Texas v. Johnson, 491 U.S. 397 (1989) 「テキサス対ジョンソン事件」(1989)
1984年テキサス州ダラスで開かれた共和党全国大会の際に、共和党の政策に抗議して国旗を燃やし、国旗の破損を禁止したテキサス州法違反に問われたジョンソンが「州法は言論の自由に違反し違憲である」と訴えた事件。連邦最高裁は5対4で国旗破損罪による処罰は修正1条に反し違憲であると判断した。この判決は連邦議会や大統領の大反発を招き、国旗を侮辱することを禁止する「星条旗保護法」が1989年に制定されたが、直後の「合衆国対アイクマン事件 United states v. Eichman, 496 U.S. 310 (1990)」で最高裁は再び5対4で、この法律も違憲であるとの判断を下した。
Engel v. Vitale, 370 U.S. 421 (1962) 「エンゲル対ヴァイテイル事件」(1962)
ニューヨーク州の公立学校で毎朝始業時に、生徒に「全能なる神よ、私たちはあなたに依存していることを認めます。私たち、両親、先生たち、わが国に祝福を与えてください」と唱えさせていたのは明らかに宗教的行為であり、修正1条の「国教樹立禁止条項」に反するとした判決。最高裁は続く「アビントン学校区対シェンプ事件 School District of Abington Township v. Schempp, 374 U.S. 203 (1963)」で、公立学校で聖書の一部を朗読し祈祷を斉唱することを命じたペンシルベニア州法が修正1条に違反していると判断した。公立学校での宗教的教育を事実上、不可能にした両判決は宗教右派を中心とする保守派の猛反発を招き、この判決を無効にする憲法修正を求める政治運動や法廷闘争が活発になった。