ローマの町中では赤い帽子をかぶった枢機卿などの高位聖職者の、 栄養のとりすぎではちきれそうに肥っ た身体が後部座席にふんぞりかえっている 黒光りする高級車が通り過ぎるのをよく見かけるが、 それらの 車はヴァティカン公国のもので、S・C・Vとナンバー・プレートに示してある。 S・C・Vとは、もちろん Stato della Citta del Vaticano(ヴァティカン公国) という意味だが、 ローマっ子は、そうは読まない。 Se Cristo Vedesse すなわち、もし、キリストが見たならば、と読むのである。 民衆(ポポロ)の声も、馬鹿にはならない。