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名も無き被検体774号+@無断転載は禁止
僕の少し甘くて結構激辛な青春時代の話を聞いてほしい [無断転載禁止]©2ch.net

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189 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:31:06.70 ID:rBxtmIDi
>>188
端折っちゃったけどそれも試したんだよね。しかもかなり早い段階で。
で、当時はいちいちアドレス変えましたってメール打ってたじゃない?

ランダムないたずらの線を消すために一回アドレス変えて、今こっちで電話帳登録してる全員に登録し直してもらったんだよ。

それでもすぐメールは来た。
まぁだからもともと電話帳に入っていた人間が犯人の可能性が高くなったんだよね。それで自分も犯人を見つけられるんじゃないかって思ったってのもあるよ。

その後も見ないに越したことはないから携帯解約とかはよく提案した記憶があるけど、僕と連絡が取れなくなることが怖かったのかな。彼女はそれはしたがらなかったね。
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190 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:32:08.50 ID:rBxtmIDi
月曜日はそんな報告も兼ねて家とは反対方向のウィノナの家に直行した。

それを聞いても彼女の表情は一つも変わらなかった。

同じクラスには居ないから大丈夫と学校に行きやすくなるかと思ったのだが、被害者の当人からしたらそれは関係のないことだったのだろう。

翌日も学校を休むと僕に告げ、今日は帰って欲しいと言われた。

恐らく彼女は犯人を探して欲しいだなんて思っていなかったんだろう。寧ろ知りたくなかったのかも知れない。
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191 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:33:50.62 ID:rBxtmIDi
その時の僕はそんな事に気がつくはずもなく、ただ犯人を見つけてやめさせれば彼女は救われると盲信していた。

帰り際、ウィノナに頼み1日だけ彼女の携帯を預かる事にした。

ウィノナは特に理由も聞かず黙って携帯を差し出した。

帰宅後、その日も当然の様にウィノナの携帯に23時55分頃メールが届いた。
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192 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:34:28.92 ID:rBxtmIDi
アドレスは例の如く中傷文のローマ字打ち

内容はこんなだったと思う。
怖くて学校に来れないんでしょ?そのまま部屋で腐って死ね。
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193 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:39:39.03 ID:rBxtmIDi
僕は正直少し安心した。
一つは僕が携帯を持っている事を犯人が知らない事。
ストーカーや高度な監視技術を持つ可能性が否定された。

一つは学校を休んだことを知っている事
これでかなり犯人の特定がしやすくなった。例えば中学時代の同級生ってのは可能性が低くなった。

もう一つはメールの内容で特定するヒントを与えてしまっている浅はかさ。
同じ校内に居ますよと言ってしまうような内容を送りつけるのは馬鹿としか言いようがないと思った。

併せてウィノナのアドレス変更を行ってウィノナ側の電話帳に入ってる人だけにアドレスの変更を伝えてあった。
それでもメールは届いたから犯人は少なくとも僕も顔が分かるくらいの親しい人物ではないかって考えたんだ。信じたくはなかったけどね。

或いは自己顕示なのか、特定されるリスクを無視できる程の恨みを持っている人物か、その全てか
何れにしても特定は容易いように思われたんだ。
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194 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:41:29.16 ID:rBxtmIDi
翌日火曜日、例のメールの一通目はこの日は放課後だった。

丁度ボーカルのあゆちゃんがビッチ面でウィノナだいじょぶなのー?と訊いてきた瞬間だったことをよく覚えている。
僕はぶっきらぼうに頷くだけだった。
正直、親しくしていた人間の中だったらアユが最も怪しいと睨んでいた。
この時彼女は携帯をいじる素振りはしていなかったから、彼女も容疑者から外れた。

よく男にふられたとかで感情の起伏が激しいやつだったからそんな腹いせが同期かもとか邪推してたんだよね。

その後アユちゃんは後輩の男子高校生の漕ぐ自転車の後ろにまたがり帰っていった。
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195 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 00:42:18.29 ID:rBxtmIDi
そうすると、僕の知る限り親しい人間の中ではマンドリル以外が容疑者リストから外れてしまった。
ウィノナの携帯の受信履歴を見る限り連絡を取り合うような間柄の人間はそんなに多くない。

マンドリルのキャリアはドコモだった。

ここで一つの疑問にぶち当たった。
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199 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:07:41.22 ID:rBxtmIDi
>>196
すまんす!!
本当は今晩中には終わる予定だったんだけど微妙www
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200 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:08:19.83 ID:rBxtmIDi
>>197
ありがとう!!
頑張って書きます!!
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201 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:09:24.58 ID:rBxtmIDi
>>198
ごめんね
ちょこちょこ書き溜めては投下してるんだ
おまたせしてすまない
ありがとね!!
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202 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:09:51.41 ID:rBxtmIDi
1日3回のアドレス変更制限があると言うことは

元のアドレスから嫌がらせ用のアドレスに変更して更にそれを元に戻す

これだけで2回制限を消費することになる。3回送ろうとするならば2回目から3回目のアドレスに変更するとき元のアドレスを経由しない。

それに気づいた夕暮れ時、この日2通目の例のメールが来た。
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203 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:12:17.94 ID:rBxtmIDi
僕は急いで怪しいと思われるすべての人間にメールを送信することにした。

当時、チェーンメールなんてものが流行ったことがあった。不幸の手紙の類や鉄腕ダッシュの企画として一通のメールがどれだけ拡散するかの調査ですみたいな内容の類。

以前受信したチェーンメールの内容を改変して、電話帳内すべての人間に送信しなければいけないと言う文言を追加して各人に送信した。
電話帳内すべてに送信ってのは無理があったけど、もしかしたらあとであいつアドレス変わってたぜなんて情報があわよくば入ってくるかもくらいの気持ちだったんだね。

仮に僕から送信できないアドレスがあればそいつが犯人の可能性が高い。そう思った。
一度犯人から外した人間も含めて送信。宛先は100人は超えていた。
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204 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:12:57.46 ID:rBxtmIDi
僕の期待とは裏腹に全員にメールは届いてしまった。
もちろんマンドリルにもだ。

そもそも当時は携帯メールは高校生たちのライフラインみたいなものだ。
そう何日も違うアドレスには出来やしない。

或いは犯人は携帯を2台持っているのか…?
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205 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:14:03.07 ID:rBxtmIDi
携帯をウィノナの家へ返しに行ってついでに携帯を2台持っている人物に心当たりはないかを訊いた。

当時は高校生が2台も携帯を持っていることはまず無かった。あり得るとすればPHSとの2台持ち。
だが僕にもウィノナにもそんなことをする必要のある人間は思い当たらなかった。
そもそもウィノナは更に生気を無くし、ベッドから出てくることもなかった。
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208 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:30:53.19 ID:rBxtmIDi
>>206
いいですか?
ありがとう!!
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209 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:31:47.94 ID:rBxtmIDi
>>207
どうだろう
期待するほどの展開じゃなかったらごめんね
ありがとう
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210 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:32:56.92 ID:rBxtmIDi
水曜日
もはや何をしていいかも分からなくなってしまった。
すべて振り出しか、はじめから意味がなかったのか。

この日も丁寧に3通、3通目は日の変わる丁度直前にメールが来たそうだ。
やはり警察に頼るしかないのか。
気乗りがしなかったが、路頭に迷ってしまった。
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211 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:34:36.79 ID:rBxtmIDi
木曜日
軽音楽部の面々がウィノナの御見舞に行くと言い出した。
家までの道のりがしっかりわかんないからあんた案内しなさいよと、マンドリルは僕に言う。

少々まずい。
ウィノナはこの件を隠したがっていたからだ。

授業の資料なんかは俺が届けるしまだ体調が優れないから来週にしたら?などと提案をしてももはや言うことを聞いてはくれなかった。

アユ、マンドリル、サユミちゃん、暇だから行くと言い出したゲイの石原がお見舞希望メンバーだった。
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212 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:37:11.95 ID:rBxtmIDi
ウィノナは電話に出ない。

ウィノナが会えないと言ったら或いは電話が繋がらなかったら帰るという前提で彼女らをウィノナの家まで案内することにした。
路線バスでの移動だ。
たまたま下校で乗り合わせたレナちゃんも同行したいと言う。
同じ中学出身だから家も近く、ウィノナ宅は大きな公園を挟んですぐとのことだった。
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213 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:37:53.54 ID:rBxtmIDi
ウィノナ宅の呼び鈴を鳴らしても誰も出ない。
妹はおそらく塾で母親は仕事だ。
ウィノナは連絡を取り合う気力もなかったのだろうが、お見舞い組には昨日よく眠れなかったらしいから寝てるかもしれないと伝えた。
よく眠れていないのは昨日だけど事ではないのだが…
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214 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:44:19.66 ID:rBxtmIDi
その間、自然な流れでレナちゃん宅にお邪魔することになった。歩いてものの3分だ。
結構立派な和風の家だ。
山本とちょっと見ない感じの楷書体の表札が目についた。
ゲイの石原は旅館かと思ったなどと宣ったが、気持ちは分からなくもなかった。

結構な人数のお見舞い組だったが全員が大手を振って寛いでも余裕のある大きな部屋がレナちゃんの部屋だった。
壁は和風なのに部屋一面におもちゃ箱をぶち撒けたようにキャラクターもののアイテムが配置してあった。

一番印象的だったのはラナバウツのポスター。あれだ、男の子が使う給食袋なんかに描かれていた丸っこいパトカーとか飛行機のキャラクターだ。いや、キャラクターというか顔はないんだけどさ。
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216 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:51:25.88 ID:rBxtmIDi
>>215
すまないね!!
僕はもう少し書きます
また起きてからでも読んでください!!
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217 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:52:09.77 ID:rBxtmIDi
兎に角そのポスターが浮いていたのだが、レナちゃんの不思議系のキャラクターがあってこそ、その違和感に猛烈な説得力がもたらされていたことが印象的だった。

レナちゃんの母親がお菓子と飲み物を持ってきてくれた。
レナちゃんのコップだけケロケロケロッピのキャラクターものだった。

足りなかったわけでもないだろうに、お母さんも不思議な方だなと思った。
きっとお見舞い組全員が思っただろう。
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218 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:53:39.93 ID:rBxtmIDi
こんな状況で、丸机を囲みながら僕は結構な窮地であった。

ウィノナって結局風邪なの?
こんな他愛のない質問にもなかなか答えられない。

僕はウィノナに現状と早く電話に出てほしい旨をメールで送っていた。

うん、多分風邪だよなんてお茶を濁していたら僕の携帯が鳴った。
ウィノナからのメールだった。
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219 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 01:55:39.96 ID:rBxtmIDi
“勝手なことをしないで。会いたくないよ。あなたにも。帰って欲しい。”

こんな内容だった。
僕は落胆を隠しつつ
「ダメだ、熱がすごいからうつしちゃいそうだし会わない方がいいって。申し訳ないけど今日は飯でも食って帰ろうか」とお見舞組に伝えた。
彼女ら(1名ゲイだけど)はすごく心配そうな様子で、僕の目には間違いなく完全なる善良な友人たちにしか見えなかった。

レナちゃんの母親にお礼を告げサイゼリヤでご飯を食べて帰ることにした。時刻は19時くらいだったかな。会話はそれほど盛り上がらなかったような気がする。あまり思い出せないのは多分すごく気を使って話をしていたからかな。

マンドリルと僕は帰る方向が同じでみんなと別れた後も帰路につきながらいろいろな話をした。
飯田と喧嘩したとかくだらないことだったと思う。
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221 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:07:27.16 ID:rBxtmIDi
>>220
ありがとう!!
人の睡眠時間を削ってしまって申し訳ない!!
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222 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:08:43.30 ID:rBxtmIDi
すっかりおセンチマンドリルだなと思っていたら急に神妙な面持ちをして僕に詰め寄ってきた。

「何かあったの…? あんた最近落ち着きないよ。ウィノナのことでしょ?風邪よりもひどい病気かなにか?」

なかなか鋭い。野生の勘だろうか。

僕は
「いや、病気じゃないから心配すんな」と答えたんだけど、これがかなり迂闊だった。

「病気じゃないなら何よ!?」

野生の気迫に押されて彼女には何も知らないふりをしてくれと言う約束の上で、経緯を話したんだ。一度行ったことのある喫茶店で話をした。もう営業時間はギリギリだった気がする。
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223 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:09:41.87 ID:rBxtmIDi
話を聞く間、マンドリルはずっと怒った顔をしていた。ちなみに僕は心の中でマンドリルと読んでいたが、彼女は公にオコリザルと呼ばれていたことがあった。普通の女子なら怒るだろうところを平然としていたし、僕は度量のでかいサルだと感心したことがあった。


怒りの対象はメールの犯人だ。

相槌なのか怒りの鼻息なのか判然としないがずっと彼女はフンッフンッと言っていた。
さっきサイゼリヤでデザートを食べたのにコーヒーフロートを飲んでいた。
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224 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:18:06.03 ID:rBxtmIDi
珍しく口数の少なかった彼女が発したのは「私も協力する」「ウィノナには彼女が話してくれるまで黙っておく」「飯田があんたのこと心配してたから飯田には話してあげて欲しい」

僕は正直、一人で抱えなくて済むんだったらと彼女の提案を歓迎した。

最後に全部聞いた上でマンドリルが怪しいと思う人物は居るか?と確認したが全く見当がつかないとのこと。

実際、携帯を2台持っている人物は学年で6人把握していて、その全てが男女カップルの通話料定額プランのウィルコムだという。
マンドリルも飯田と夜いちゃいちゃと長電話をする為に欲しいから色々話を聞いて回ったから、知っているとのことだったがマンドリルの情報網には本当に凄かった。

マンドリル曰くウィルコムのPHSもメール機能は一応あったがそれをメインの連絡先として使っている人間は知らないとのこと。
携帯2台持ちの可能性もだいぶと薄くなった。
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225 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:25:40.72 ID:rBxtmIDi
マンドリルに協力をお願いすることにした。

マンドリル「犯人探しも大事だしウィノナも心配だけどさ。私はあんたが心配。現に顔色悪いよ?」
僕「そうだな。誰かに話すだけでこんなに楽になるんだな。」
マンドリル「だったら何でも話なよ。あんたの恥ずかしいとこはさんざん見てきたわけだし」

飯田はいい彼女を作ったなとしんみり思った。

飯田にはいずれ俺から相談するとも伝えて解散した。

その後何度もウィノナに連絡を試みたが一度もつながることはなかった。

僕は一睡もすることができなかった。
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226 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:28:31.24 ID:rBxtmIDi
金曜日を迎えた。

女性というのは往々にして勘が良いのだろうか。
母親は朝食を出しながら顔色が悪いと心配してきた。2日連続顔色を指摘されるとは、多分だいぶやばい色だったんだろう。

僕は何でもないよと応えて、今日は友人の家に外泊することを告げた。
勿論ウィノナと一晩一緒にいる為の嘘である。

母親は顔全面に今にも察してますよと言い出しそうなしたり顔を貼り付けながら着替えを紙袋に詰め込んでくれた。
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227 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:47:37.26 ID:rBxtmIDi
お昼休みに飯田を呼び出して昨日の経緯を話した。

春の陽気が心地良い屋上で飯田はお弁当をもぐもぐ頬張りながら聞いてくれた。僕の心はかなり曇天だったけどね。
「俺とマンドリルは何があってもお前の味方やで。俺に関して言えば、困ってるお前を見てられへん。でも人を恨んでも何もええことあれへんからな。人恨むくらいなら俺に愚痴せぇよ」
こんな事を言ってくれた。
つくづく漢らしい奴だ。
この二人にはすごく助けられた。
色々端折っちゃうけど友人の前でガチで泣いたのはこの二人の前だけだ。タイミングを見つけては話を聞いて、すぐ傍にいてくれたんだ。

放課後からお昼の快晴が嘘のような土砂降りになった。
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228 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:48:26.23 ID:rBxtmIDi
昨日のメール以来、一度もウィノナとは連絡が繋がらなかったが、取り敢えず家に行けば会えるだろうと授業が終わった瞬間に駆け出した。

彼女宅の呼び鈴を鳴らすと出てきたのは母親だった。
ちょっとリビングに上がってもらえる?
そんなことを言われて少し違和感を覚えた。


口をついて出たのはウィノナは大丈夫ですか?の一言

母親の顔は曇っていた。
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229 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:49:03.43 ID:rBxtmIDi
母親曰くは、今朝口論になったとのこと。
昨日、友人たちが折角お見舞いに来たのに断ったこと。一週間も連続で学校を休んだことを揶揄したらしい。
僕は母親を責めたかったが、ただのメールなんかに屈してはそれこそ犯人の思う壺だと言う母親の意思も分からなくはなかった。

その口論でウィノナは家族にすら分かってもらえないと嘆きながら家を飛び出したそうだ。

母親もこの状況に疲れを隠せない様子だった。
僕の知らない間でウィノナは母親にきつく当たったりもしたのだろう。
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231 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:56:18.50 ID:rBxtmIDi
現状、父親が仕事終わりに車で探し回っているらしい。
僕にも心当たりの場所はなかったが、いても立ってもいられず探してきますと言い残し家を飛び出した。

僕は昨日から連絡が繋がらなかったからか。それとも彼女が以前割りと簡単に死という言葉を使ったからか、頭からは彼女の自死のイメージが離れなくなっていた。
今となっては人はそんなに簡単に死ねないのだろうと分かる。そもそも本当に自殺する人は唐突だ。死にたいなんて言わない。言えないから死ぬんだ。そう実感したのは大切な友人を一人自殺でなくしたから。でもこれは本件とは関係のない話だから置いておく。
まぁ兎に角、さっきの下りでもあったけど人に話すことは大切だし、人に聞いてもらえること、話したいと思える友人がいること、それはとても大切なことだ。
話がそれてしまってすまない。

兎に角、その時の僕にとっては彼女の死はとてもリアルなものに感じられた。人間の脆さ、危うさを目の当たりにしていたからなんだろうね。

目につく飛び降りられそうな建物に登っては調べる無為な行為をしているうちに僕の携帯が鳴った。
ウィノナからの電話だった。
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232 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 02:57:11.38 ID:rBxtmIDi
>>230
嬉しいな!!ありがとう!!
夜更かしさんですね!!
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233 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:02:15.10 ID:rBxtmIDi
「私もう死ぬね。人にこんなに恨まれて耐えられないや。」

嫌な予感が的中した。
慌てるという言葉では形容できない心情、心臓が焼けてしまうんじゃないかってくらいの鼓動、何か言葉を発せねばと思っても喉がぴったりと閉じて喘ぎに近い何かしか出てこなかった。
かなわない相手に対峙した時のベジータみたいな反応をしていたと思う。

「お母さんにもそんなに死にたいなら死ねばいいじゃないって言われたよ。じゃあね。」

それは知らない事実だった。
勿論僕には言えなかっただろう。
いくら衝動的とは言え、実の娘に死ねと言っただなんてね。

彼女は少し声を震わせながら電話を切った。
僕もどうしていいか分からず、土砂降りの雨の中、ただひたすらに泣きながら血眼で無作為に走り回った。

時間は必要だと思う時ほど一瞬で過ぎ去る。
何も出来ぬまま夜の23時を向かえた。
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237 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:10:08.03 ID:rBxtmIDi
何も言えなかった。
そんな不甲斐なさ。
もしこのまま彼女が死んでしまったなら…

僕が何も言えなかったせいで彼女は死ぬのか?
そんなネガティブな自問自答。

並行してもし死ぬなら自分ならどう死ぬのかも考えた。
首吊り、飛び降り、刃物

真っ暗な空を見上げるたび、息を切らして目を閉じるたび彼女がそれぞれの方法で死んでいくイメージが克明に再生された。

今でもたまに夢に見るくらいの強烈な負のイメージ
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238 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:11:47.73 ID:rBxtmIDi
>>234
そうだね。僕もこうして書いていると当時のことが思い出されてなかなか眠れません。
特に死についての具体的なイメージは今でもはっきりと思い出せます。
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239 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:14:42.63 ID:rBxtmIDi
>>235
そうだね。
ほんとにそんな状況になると思ってたよ。
たまたま住宅街が近くに見えて、そのどれかの屋上に人影があるんじゃないかってね。
空ほど高くもないしね
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240 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:16:45.27 ID:rBxtmIDi
>>236
うん。
せっかく自分でもこんな風に思い出して書いて、反応までもらえて、眠いからって適当に書いちゃうつもりはないよ。
実際ちょっと眠くなってきた。
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241 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:25:03.66 ID:rBxtmIDi
彼女の母親からは何度か連絡があり、父親がまだ彼女を見つけられていないことを聞いた。
僕もまた母親がウィノナに言った死になさいという言葉には思うことがあって、半ば喧嘩腰で話をした。母親はウィノナが死ぬと軽々しく口にすることや被害者とは言え人を巻き込むことに憤っていたが反省はしているようだった。

ただ1日3通だけのメールが一週間。それだけでウィノナ、彼女の家族、僕の心は限界まですり減っていたんだ。
人によっては何ともないのかもしれないね。ウィノナにとっては耐え難いことだったんだろう。彼女の中で増幅された負のイメージがそれに関わる人間まで壊そうとしていたのかも知れない。

僕は母親に警察に連絡してくれと懇願した。
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244 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:40:32.75 ID:rBxtmIDi
>>242
んまぁ110は無いですよ
むしろ僕はそんなに体重に拘る理由を聞かせて頂きたいwww
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245 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:42:08.87 ID:rBxtmIDi
>>243
180超えると何でも許せちゃうよね
僕もそれくらい欲しかったな
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248 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:52:21.98 ID:rBxtmIDi
体力も精神も限界だった。

ウィノナ宅の近くの公園に戻ってきた僕はベンチに寝そべった。星も見えない宙を仰ぐように。


そんな時に僕の携帯が鳴った。
ウィノナからだった。
ほんの少しの安堵と呼応するように雨はやみつつあった。
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249 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 03:56:35.78 ID:rBxtmIDi
>>247
なるほど!!
僕も今となっては人から言わせたらデブにはなると思います。
体重はご期待に答えられる数値ではないですがね。
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250 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 04:00:16.85 ID:rBxtmIDi
死んでなかったってだけでもその瞬間にとっての僕には救いだった。
イメージの暴走が止められなくなっていたから。

僕が口を開くその前に彼女が話した。

「やっと踏ん切りがつきました。今までありがとう。」

おい!!と叫んだその瞬間には電話は切れていた。

電話口に波の音が聞こえた気がして僕は以前彼女と初めてキスをした海岸まで走った。
家から徒歩圏内の海ならあそこしかない。
ここからだと大凡15分くらいの距離だった。
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251 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 04:04:07.24 ID:rBxtmIDi
僕はウィノナの母親に電話をした。
多分何を言っているか分からなかったと思う。
息も切れているし、言葉も出てこない。
ウィノナが死んでしまう、そんな意味合いの言葉を叫び続けていたと思う。

今その状況を文字に起こすと、まるで小学校の教科書に出てきたもちもちの木みたいだね。あれはじいさんが死んでしまうって叫びながら走る話だったと思うけど、まぁ似たようなもんだ。
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253 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 04:05:40.05 ID:rBxtmIDi
浜辺に到着した。

相変わらずぼんやりとした街灯だけがその灰色の海辺を照らしていた。
波打ち際には明かりはなく、殆ど何も見えはしなかったが、何かにすがる思いで堤防から浜に降り立ちそのまま海岸線まで走ってみたんだ。

目を凝らして海を見ると腰くらいの高さまで海水に使ったウィノナを見つけた。

僕はもはや意味も成さない言葉の羅列を叫びながら海の中へ走った。

彼女も取り乱した様子で逃げ出した。
客観的に見るととてもシュールな情景だったと思われるが、本人たちは至って本気だったんだ。
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254 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/07/02(日) 04:06:30.59 ID:rBxtmIDi
>>252
ありがとう!!
でもそろそろ瞼の重さが限界かもしれない。
中断してもまた読んでくれるかな?
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