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名も無き被検体774号+@無断転載は禁止
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net

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時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
282 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/10(金) 00:19:29.79 ID:abGF5YU+
いつも通り静かな公園。誰もいない。

木の陰にいるんじゃないか?
それともあの遊具の裏?
希望とも言える予想はことごとく外れた。

ブランコの上には封筒が一枚。
風で飛ばないように小石が乗っている。

中を見たいけど見たくない。
封筒の中には、手紙の形をした「別れ」が入っているのだろう。

「1君のマネしてみたよ」
その言葉を最初に、水色の文字で綴られた彼女の思い。

本当はレストランのデートで最後にするつもりだったこと。
楽しそうにお祭りの話をしてたから別れを切り出せなかったこと。
「浴衣姿で花火する」という夢を叶える為に予定を延ばしたこと。
頑張っておめかししたこと。

「これからいろんな人に出会うと思います。

きっといい人が見つかるよ。1君は優しいから。

いろんなわがままを許してくれたけど、さすがに怒ってるよね?

私のこと嫌いになってもいいし、憎んでもいいよ。

でも、忘れないでね。ありがとう。さようなら。」

拳を握り涙を堪えた。
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
283 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/10(金) 00:28:37.76 ID:abGF5YU+
肩と頭に雨粒の感触。
空を見上げると同時に、激しい夕立に襲われた。

下着までずぶ濡れになるほどの雨。
玄関に駆け込んで息を整える。
封筒は水を吸ったせいでふにゃふにゃになっていた。
二つ折りになった便箋は、ぴったりとくっついてしまっている。
息を止めてゆっくり剥がし開いた。



精一杯の彼女の思い。

それは夏の雨に溶け、流れるように滲んでいた。

いよいよ私には何も残らなかった。
限界だった。顔をぐしゃぐしゃにして膝から崩れ落ちた。決壊した思いが止まらない。
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
284 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/10(金) 00:37:34.52 ID:abGF5YU+
夕立と思っていた雨はその日の深夜まで降り続いた。

翌日は快晴。

もし自分が大人だったら。
もし自分が金持ちだったら。
もし自分が頼れる存在だったら。

白昼夢の内容が線香花火じゃなく、ずっと一緒にいる事だったら。

彼女の選択肢は増えたのだろうか。


「1君は優しいから」

もしもどこかでばったり会ったとき、
自分が優しさ以外の何かを持っていたら、それで違う結末を探そう。


空が昨日より高い。
悲しみと後悔が、溜め込んだ夏休みの宿題と一緒にのしかかってくる。

早く答えを出さなければ。
失速を始めた夏が自分を追い越していく前に。



〜おわり〜
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
286 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/10(金) 00:42:58.65 ID:abGF5YU+
>>285
読んでくれてありがとう。
途中で規制かかって焦った
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
288 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[sage]:2017/02/10(金) 01:01:27.31 ID:abGF5YU+
>>287
う〜ん…わからん。
ただ終わったとしか言えない
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
290 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[sage]:2017/02/10(金) 01:21:25.61 ID:abGF5YU+
>>289
こないだバッタリ彼女に会ったから。
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
294 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[sage]:2017/02/10(金) 01:42:19.81 ID:abGF5YU+
>>291
>>292
当時の自分の気持ちをおっさんの自分が代弁。
答え=理由がわからないまま終わった恋の片付け方って感じかな…

17時を過ぎたスーパーは主婦で賑わっている。
その波にまぎれる私は夕食の買い物中。

今夜は鍋にしよう。

材料を一通りカゴに放り込み、日本酒を選んでいた。

純米…いや奮発して純米吟醸…ラベルの裏まで読んでいると

視界の隅に親子連れが見える。

その場から動かない。視線を感じた私は親子の方を見た。

彼女だった。
時には昔の話を [無断転載禁止]©2ch.net
295 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[sage]:2017/02/10(金) 01:47:34.24 ID:abGF5YU+
どうしていつも突然…いや、この場合私も彼女にとって突然だ。

「1君?」

うん。と短く返事をした後、「変わってないね」というと「良かった…」と笑った。

言葉を交わしたのはそれだけ。

小学校低学年くらいの彼女にそっくりな女の子は不思議そうな顔をしてる。

その場を離れた後、遠くから彼女が娘を叱る声が聞こえた。

懐かしさを買い物袋と一緒に抱えて帰宅。
晩御飯を済ませ、土鍋を洗う妻を手伝った。

「夜更かししちゃダメだよ」と言う背中を見送った後、PCを起動した。

自分の青春時代を誰かに話してみたい。

スレタイ…「時には昔の話を」


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