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172 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 00:26:32.70 ID:Payhyr75 - >>168
ありがとう。書いていくよ >>169 文章にすると恥ずかしいw >>170 青春と言われて真っ先に思い出すのはこのエピソードです >>171 当時流行ってたものを見たり聞いたりすると 何とも言えない気分になっちまうなぁ
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173 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 00:28:01.48 ID:Payhyr75 - >>166の続き
年が明け1999年。 明けたと言えど、特に変わらない日常。 変わったことと言えば携帯の番号が11ケタになったことぐらいだろうか。 当然コンビニは年中無休。元旦もバイトだ。 みんな家で家族と過ごしているのだろう。お客も少なく暇だ。 店の前の道路も車がほとんど通らない。 暇な理由がもう一つ。その日、彼女は休み。 カップラーメンの棚をひたすら拭き掃除した。 「彼女がいないと真面目に働くんだね。明けましておめでとう」 新年早々、嫌味を投げつけてきた筧君は3日の夜に新年会をしようと続けた。 お互いシフトに入っていないことを確認しての計画だ。 「聞きたいこともあるしね・・・」 少し早目に帰省していた筧君にはキムチ鍋の日以降 私たちの事を何も話していなかった。 新年会=尋問の席なのである。
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174 :名も無き被検体774号+@無断転載は給ヨ止[]:2017/02/02(木) 00:30:46.34 ID:Payhyr75 - そして迎えた1月3日。
この日は特別だった。 水炊き・キムチ鍋・湯豆腐の繰り返しだった食卓にすき焼きが現れた。 お供に焼き鳥もいる。 三が日に出勤した私たちオーナーがお年玉をくれたのだ。 いつも冷静な筧君もこの日は少しウキウキしているように見える。 ウマい。肉ウマい。 正月の特番を見ながら、帰省中の話を聞いた。 弟に彼女が出来て、その彼女に初めて会ったこと。 新年を実家で迎えられて嬉しかったこと。 筧君が3本目の淡麗生に手を付け、私は〆のうどんを仕込中。 「んで、何があったの?」 尋問の始まりだ。
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175 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 00:32:44.33 ID:Payhyr75 - 1・プレゼントをあげたこと。
2・その後、涙声で留守電が入っていたこと。 3・おでんヘアー事件の後に普通に話せるようになったこと。 4・でも、彼女と付き合おうとは思わないこと。 感情を交えず、起こったことを淡々と話した。 特に相槌もせず聞いていた筧君だったが4を聞くと納得がいってない様子。 少し黙ったあと、 「さて、もう遅いから片付けて寝ましょうかね…」 私の話したことについて何も言わないまま、さっさと食器を片づけ始めた。 2人で食器を洗い、私は炬燵で眠った。 翌朝目を覚ますと、筧君は既に起きていて朝ごはんの用意をしていた。 真面目で規則正しい生活をしているんだなぁ・・・と目をこすっていると 準備してくれた朝食がトーストと味噌汁だったので驚いた。 朝食を済ませると、 「1はスキーかボードやる?今度行こう。実家からスキー道具持ってきたんだ」 そう言いながら部屋の隅にあった板を指さした。 私も前の冬に買ったボードを持っている。今シーズンは1度も滑りに行けていない。 もちろん!と返事をし、その後鍋しよう!と付け加えた。 こうして特に尋問されることもなく、一方的に話しただけで新年会は終わった。
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176 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 00:37:22.21 ID:Payhyr75 - スキーへ行く日、珍しく早起きした私は眠気覚ましにシャワーを浴びた。
筧君は時間に厳しい。迎えに来るのは7時。 前日から用意していたので、準備は万端。いつでも来い。 思った通り、筧君は7:00ジャストに到着。 挨拶もそこそこに荷物を積み込む。後部座席に横になるように板を置くと、 「あ、言い忘れてた。俺の友達も一緒に行くから一人分の席を空けといて。途中で拾うから」 初対面の人と会うのは、やはり緊張する。 だけどバイトのおかげで、知らない人と話すことに抵抗がなくなっていた。 それに車を出してくれるのは筧君。Noの選択肢は無い。 それぞれのスキー・ボード歴や怪我したエピソードなんかを話してると 筧君はハンドルに伏せるようにして、周りを気にし始めた。 「この辺だな…」とぽつり。 待ち合わせの場所が近いようで、私も少し身構える。 「いたいた。絶対遅刻すると思ったけど」 その視線を追うと道路わきにボードのウェアを着た人が立っている。 彼女だ。 何で!?とか、まずいでしょ!? そんな感じの言葉をずらりと並べた。Noの選択肢は無いはずなのに。 筧君は眉ひとつ動かさず、 「嘘は言ってないよ。あの子も俺の友達。俺が俺の友達2人に声を掛けてスキーに行くだけ。何か文句でも?」 はめられた。 同時にシャワー浴びてきて良かったと思った。 ボサボサの頭を見られずに済んだから。
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177 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 00:47:49.55 ID:Payhyr75 - 「おはよう」
いつもなら夕方にかわす言葉。ぎこちないのは時間の違いのせいじゃない。 ドキドキしていた。 彼女の板やブーツを積み込んで出発。後部座席にちょこりと座ってる彼女。 まだ現実感が無い。 役立たずの私の代わりに筧君が会話を回してくれた。 そして車はゲレンデに到着。 それぞれブーツに履き替えて、リフト券売り場へ向かった。 途中で筧君は歩みを止めた。 「俺はもうリフト券買ってある。 ちんたら滑るのは性に合わないから上の方へ行くよ。 キミたちは二人で遊んでなさい。お昼ご飯は12時。レストランの前に集合。」 それだけ言うと、さっさとリフトに乗って行ってしまった。 なるほど。バイト先でチケットを買ったのか。 集合時間の指定をするあたり、引率の先生みたいだな。 そんなことより、この状況。 はめられた。本日2回目。 彼女も筧君の意図を理解したようだ。 顔を見合わせてお互い照れ笑いした。 お膳立てされた私たちの初デートが始まる。
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178 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 00:54:18.27 ID:Payhyr75 - 「ピンポン♪が鳴ったらお進みください。」
リフト乗り場の前に掲げられた大きな看板にはそう書かれていた。 ピンポンが鳴るたびにカップルや親子がリフトに乗っていく。 自分の番まであと3組。ここで大事な事を思い出した。 私、リフトに乗るの初めて。 昨シーズンに一式揃えて始めたボードだが、ちゃんとしたスキー場で滑ったことが無い。 地元の全長70m位のとこしか滑ったことが無い。 ピンポン♪ リフト係りの人が手招きしてる。 大丈夫。やればできる。右足で地面を蹴って進んだ。 ガッ!! やってもできなかった。腰に強い衝撃を受けて倒れた。 リフト停止。最悪の滑り出しだ。 体制を立て直し、係りの人に謝る。 「あの人も一緒に乗るの?」 心配そうにしている彼女を見て係員が言った。 そっか。この2人しか乗れない乗り物に一緒に乗るのか。 隣に彼女が座るのだ。心臓が数回、大きく動いた。 動揺しつつ「そうです」と声に出す。 彼女を手招きで呼ぶ係員の顔は「彼氏、転んだねwww」だった。 私たちを乗せて再びリフトが動き出す。
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179 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 01:04:16.10 ID:Payhyr75 - 膝が触れるくらい近づいたのはこれが初めて。
心臓がうるさい。 その鼓動を悟られないように必死で言葉を捻り出す。 いつもの倍一人で喋った。 7割くらい進んだところで 「見て見て」と彼女が手を差し出した。 手のひらには左右対称に整った雪の結晶が乗っている。 綺麗だねーとか、初めて見た。とか言ってると、突風にさらわれて飛んでいってしまった。 二人で手を覗き込んでいた為、凄く顔が近い。再び心臓が暴れだす。 恋愛ってこんなにドキドキするものだったっけ?
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180 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 01:10:38.24 ID:Payhyr75 - まもなくリフト降り場。
乗るのが初めてなら当然降りるのも初めて。 前の人の降り方を食い入るように見た。 板を縦にして、リフトに押し出されるようにしている。 なるほど。 座り直して板を縦に構える。 残り15mくらい。 「まだ早くない?」と笑われてしまった。 見よう見まねで無事にリフトを降りる。 ほっとしたのも束の間。 彼女は右のコースへ。私は左へ。 右は普通に滑るコース。 左はキッカーやハーフパイプがあるコース 。 私にとってボードは跳んで回ったりするもの。 彼女にとっては普通に滑るもの。 リフト降り場の先はすぐに斜面になっていたため、追うこともできず。 ゲレンデに引き裂かれてしまった。 急いで滑り降りると先に彼女が待っていた。 お互いのドジ加減を笑ったあと、普通コースへ行くべく、リフト乗り場へ。 係員が私を警戒していたw
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181 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 01:17:19.37 ID:Payhyr75 - 2本滑った後で、
「意外と上手いね」と言ってくれた。 頭に「意外と」がついたのは、リフトに腰をぶつける奴が上手いわけないと思っていたのだろう。 スケボーで培った横乗りの感覚が上達を早めてくれたんだと思う。 そろそろお腹が空いてきた。 約束の時間には少し早いけど、私たちはレストランへ。 筧君は先に来ていた。 少し疲れたから休憩していたのだそうだ。 お昼時と言うこともあり、賑わっているレストラン。 驚いたのはラーメン¥900。牛丼¥800。 高い。 「どこもこんなもんだよ」と筧君。 私は牛丼。彼女はカレー。筧君は何食べてたか忘れた。 レトルト丸解りの味だった。 お昼ご飯を食べながら午後の予定を話す。 「2時にはここを出発しよう。多分雪が降ってくるから余裕をもって帰りましょう」 先の事もきっちり考えている筧君らしい提案。 あと1.5時間でデートが終わる。寂しいけど仕方ない。 「そう言えば筧君が滑ってるとこ見てないよ?」と彼女が言った。 それもそのはず、筧君はてっぺんから中腹まで滑り、またてっぺんへ戻るの繰り返しだったようだ。私も筧君の滑りが見たいと伝えると、 「じゃ、最後に上から下まで一気に下りてくるよ。タイミングが合えば見れるんじゃない?」 そこまで勿体ぶるなら是非とも見てやろう。 「1時45分にセンターハウス前に集合ってことで」 またしても筧君はさっさと行ってしまった。
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182 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 01:23:15.39 ID:Payhyr75 - 午後の一本目のリフトの上で、左のコースに行ってもいい?と聞いてみた。
「左ってジャンプ台とかがある方?いいよ。飛ぶの?大丈夫?」 大丈夫だよ。無茶はしないから。そう答えてリフトを降りた。 今度は付いてきてくれている。 5,6人のライダーがキッカーのアプローチの上にいた。 どうやらワンメイク大会をやっているらしい。技の見せ合いみたいなものだ。 上から降りてきた私に気付いた一人が順番を譲ってくれた。 軽く会釈をし左手を挙げる。「今から行きます」の合図。 ジャンプ台を避けて付いてきてと彼女に伝えてドロップダウン。 キッカーに入る角度を調整し、右足に力を込める。 せい!! BS540ステールフィッシュ。 当時得意としていた技だ。 上の方から「うぇーい」みたいな声が聞こえる。心地よい。 ゴーグルの下は、今でいう「ドヤ顔」だ。こんなことも出来るぞーって言うアピール。 そのあとは彼女のペースに合わせてハーフパイプを降りた。 下に着き、ゴーグルを上げた彼女。 目が輝いている。 「すごいじゃーん!!」と両足を固定したままぴょこぴょこ跳ねている。 そのうちにバランスを崩して転んでた。 かっこいいとこも見せたくてね。と言うとバシバシ肩を叩かれた。
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183 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 01:38:02.08 ID:Payhyr75 - 残り時間もあと少し。
リフトの上で足をぶらつかせながら、 「下まで降りたら帰る準備だね。」 寂しそうに言わないでほしかった。これが最後のデートって言われた気がして。 筧君の言った通り雪が強くなってきた。気温も下がったように感じる。 私はまた結晶が見たいなぁと思い、手を右へ左へ動かして捕まえようとしてた。 リフトの終点が見えてきた頃。 「やっぱり大好き」 彼女から2回目の告白。 肩が少し震えているのは寒いから?それとも別な理由だろうか。 自分の気持が決壊した瞬間だった。溢れすぎて言葉にならない。 彼女の手を握った。 温度も感触もグローブに遮られて解らない。 だけど、握り返してくれた。私の思いも伝わったんだと思う。
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185 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 01:48:11.23 ID:Payhyr75 - まずいことになった。ここまで来て、自分の気持を止める自信が無い。
もやもや考えながら滑ってるとうっかりエッジを引っかけてしまった。 前にふっとばされてごろごろ転がる。幸い緩い斜面だったので、怪我はない。 でも背中を打ったので、すぐには動けない。邪魔にならないようにコースの端に移動し座った。 落ち着いた頃、結構なスピードで降りてきたスキーヤーがいた。 筧君だ。 そのまま私のそばまで来ると、「ズシャァァァ」 急にエッジを立てて一瞬の猛吹雪を私に浴びせて去っていく。 このやろーと立ち上がり追いかける。 笑いながら彼女も付いてきた。 センターハウスに集合し帰り支度を整える。 いよいよ終わり。 荷物を持って車へ向かった。 板やらブーツやら積み込んでいると 「あ、ゴーグル忘れちゃった。取ってくるね。」と彼女。 背中を見送っていると 「一緒に行け。スキー場はナンパが多いぞ」と筧君。 ウソかホントか解らないが後を追うことにした。 ゴーグルを回収して戻ると、荷物の積み込みが完了している。
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92 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[sage]:2017/02/02(木) 03:27:06.04 ID:Payhyr75 - 確かにやだな
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187 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 03:28:15.76 ID:Payhyr75 - が、おかしい。
強引に助手席が荷物で埋め尽くされている。 「さぁ、乗った乗った」 後部座席に並んで座れという事らしい。 本日3回目のはめられた。 いや、嬉しいんだけどさ。顔の緩みを抑えるのが大変なのです。 平静を装って後ろへ乗り込んだ。 帰りの車内は「何鍋」をするかが主な話題だった。 あれも良い。これも良い。 結局決めることが出来ず、「スーパーについてから決めよう」と言うことで落ち着いた。 行きと違い、私の口数も増えた。 しかし1時間くらい走った頃、彼女に異変が。 うつらうつらしている。 でも、寝ちゃダメだと思っているようで必死に睡魔と闘っている。 数分後、軍配は睡魔に上がった。 同時に私は1mmも動けなくなった。 彼女は私の肩にもたれて眠ってしまったのである。
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188 :名も無き被検体774号+@無断転載は禁止[]:2017/02/02(木) 03:29:25.75 ID:Payhyr75 - 書きため終わりー
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