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103 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:05:26.52 ID:7FNzvFf6 - 今日は書き溜め少ないけど、ちょっとづつ書いていく。
>>99>>100
駄文を読んでくれてありがとうございます。
>>102
会社員だよｗ
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104 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:07:10.83 ID:7FNzvFf6 - レコードの箱を置き、機材をみてみるとターンテーブルは私が使ってる物と同じ機種。
でも、ミキサーが違う。いじるとこがいっぱいある。
それもそのはず、その年にVestaxってメーカーから発売された最新モデルだった。
店頭に並んでるのを見て、「次の目標はコイツだ」と思ってた機材が目の前にある。
興奮気味にレコ箱に手をのばし、1曲目にチョイスしていたRakimを探す。
…見えない。暗くてよく見えない。
そりゃそうだ。クラブではないにしろ、そういうイベントの照明が明るいわけがない。
派手なジャケットの物は判別できるけど、「黒ジャケ」と呼ばれてた黒一色の物はなんだかわからない。無知が招いた大ピンチ。
ぼんやりと見えるレコードの中心のラベルに顔を近づけ、「違う。これも違う。」とやってると後ろからレコ箱が照らされた。
振り返ると、さっきまで音を出してた人が立っている。
「マグライトは用意しといたほうがいいぞ。ここに置いとくから本番でも使いなよ」
お礼を言ってライトを受け取ると、彼は私のレコ箱の中身を見始めた。
「お？これ持ってんの？しかも2枚ある！1枚ちょうだい？」と言って取り出したのは
ｋrs−oneのstep into a worldと言う曲。
え？え？と困ってると「冗談だよｗ」と仲間たちのとこへ戻っていきました。
他のDJが欲しがる曲を持ってることがちょっと誇らしかった。
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105 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:13:24.01 ID:7FNzvFf6 - 男たちの中でも会話らしい会話をしたのはこの人だけだったなぁ。
彼らは一つのグループで、クラブジャズやハウスなどの
ドンチキした感じの曲をプレイする集団なのだそうだ。
20時30分をまわるとぽつぽつとお客さんが集まり始めた。
その街で初めてのクラブイベント。楽しみにしてた人も多かったんだと思う。
4ｍ×10ｍくらいのフロアが着飾った男女で埋まってきた頃、
突然フロアが真っ暗になった。次の瞬間、ｄｊブースにスポットライトが当たる。
最初のｄｊがイベントのタイトルをマイクで叫び、軽いスクラッチから曲が始まった。
フロアに音楽が放たれて、空気の密度が増した気がした。
興奮と緊張が混ざった何とも言えない気持ち。
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106 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:20:01.29 ID:7FNzvFf6 - 先輩DJの機材を扱う仕草を見て、かっこいいなぁ…慣れてるなぁ…
こういう人たちも緊張するのかなぁ…とフロアの隅っこで観察していると持田がやってきた。
「次、出番だよ！準備しといてね。」
がちーん！。体が硬直する音が聞こえた。
そうだ。俺もやらなきゃないんだ。この日の30分の為にひたすら繰り返したルーティーン。
心の準備はいつまでも整わない。
フロアの雰囲気にお客が馴染みはじめ、室温がちょっと上がり始めた21時55分。
ブースの傍へ行きマグライトを手に、1曲目を取り出した。
それを見た一人目のｄｊがヘッドホンを外す。
「この曲、最後までかけてくれます？」その曲はルパン3世のテーマ曲をリミックスした物でかっこよかったんです。私ももうちょっと聞きたかったんで、快諾しました。
針の位置を見て、ルパンがあと２分くらい位で終わるかな？と思っていると男たちの一人がこちらへやってきます。
「どうした？やらないの？」
ブースに棒立ちでルパンの終わりを待つ私が心配になったのでしょう。
終盤で繋ぐことを伝えると、「切っちゃえ切っちゃえ！」と。
ヒップホップと４つ打ちの曲はテンポが大きく違います。違うジャンルの曲からかっこよく繋ぐスキルなんてありません。
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107 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:25:26.46 ID:7FNzvFf6 - 針を落とす手が震える。
南無三！
突然のジャンルの違いにフロアは混乱してるように見えた。
でも、自分にできるのはやってきたことをやるだけ。
棒立ちってのもおかしいだろうと、ドラムに合わせて揺れながらやろうと思いました。
始まった私の30分の舞台。その間の事は良く覚えてない。
お客の反応を見る余裕もなく、ひたすら曲を繋ぐ。
気が付けば、さっきマグライトを貸してくれた兄さんがそばで用意をしている。
次の1枚で最後。step into a worldをマグ兄さんに見せ、
「これで俺の出番終わりです」と告げる。
マグ兄さんはニコッと笑って親指を立てた。
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108 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:33:35.22 ID:7FNzvFf6 - ヘッドホンを渡すと、マグ兄さんは私の肩に手を回し、「お疲れ」と一言。
ホッとした。改めてフロアを見るとさっきより踊ってる人が少ないように見える。
失敗もせず、成功もせずかな？そもそも初めてだから何が失敗で何が成功か解らないんだけどね。
凄くのどが渇いてた。
ウーロン茶を貰ってごくごく飲む。すごくウマい。
一仕事終えた１杯のウマさではなく、緊張から解き放たれた解放感。
おかわりのウーロン茶を飲み干し、マグ兄さんのプレイを見に行くと凄いことになってた。
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109 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:40:10.71 ID:7FNzvFf6 - ブースをに詰め寄るように人がいる。縦に、横に揺れている。
そんときマグ兄さんが掛けてたのは、「Stevie WonderのPart Time Lover」
https://www.youtube.com/watch?v=jN2AdOjI4FI
これもさっきのルパン同世にリミックスされたものだった。
同じレコードを2枚使ってサビの部分を繰り返すマグ兄さん。
この曲を知ってる人もいるようで、口ずさんでいるお客さんもいる。
そのうちマグ兄さんは「Part Time Lover〜♪」の部分の音を消した。
カモン！という手の動きでお客を煽っている。
次のPart Time Lover〜♪でも音を消すとそのタイミングでお客が合唱してる。
あんたすげぇよ。
格の違いを見せつけられた。
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110 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:45:59.27 ID:7FNzvFf6 - 壁にもたれて、一人反省していると缶ビール片手に話しかけてきた人がいる。
「どうした？少年。浮かない顔してるな」
この兄さんはさっきウーロン茶を出してくれた人。「ヨネ」って呼ばれてた。
多分、米田とかそんな感じの苗字なんだと思う。
初めてイベントで回して、緊張したこと。手ごたえが無かった事。を話した。
するとヨネさんは「初めてでお客を湧かせられると思ってたのか？」と。
何も言えなかった。マグ兄さんも、他の男たちも一朝一夕でやってる訳じゃない。
よけいに自分が小さく感じた。
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111 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 01:49:20.40 ID:7FNzvFf6 - 書き溜め終わり。誰もいないようなので、ゆっくり書いてく。
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112 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 02:08:41.11 ID:7FNzvFf6 - 「一人で来たのか？」とヨネさんに聞かれ、「そうです」と答えると
「じゃ、俺んとこ手伝え！」と強引に連れて行かれた。
どうやらヨネさん、サボっていたらしい。
ついて行くと、「助手連れてきたー」と忙しそうなカウンターの人に声を掛ける。
ヨネさん声でかい。
カウンターに入れてもらうと、カクテルのコンクが並んでた。
「ジュースで割るだけだから、誰でもできる！手伝え！」とヨネさん。
あのままフロアの端にいるよりは面白そうだと思い、手伝うことにした。
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113 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 02:20:22.57 ID:7FNzvFf6 - お客さんにお酒を渡していると、
「さっき回してた子だよね？」と何人かの人に声を掛けてもらった。
男性だと反応しないのに、女性が来て同じことを言うとすかさずヨネさんがフォロー？に来る。
下心丸出しのヨネさん。何故か憎めない。いっそ羨ましい。
0時を過ぎたくらいだったと思う。
カウンターを離れトイレに向かう途中で肩を叩かれた。
振り返ると、彼女がいた。
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118 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 02:29:55.43 ID:7FNzvFf6 - うぉ。人がいた。
>>114
ホントに会社員だ。こんな文章で1発なんか狙えないでしょｗ
>>115
頑張って書くよー
>>116
おっしゃる通り、俺の彼女じゃないｗ
皆、こんな時間に読んでくれてありがとう。
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120 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 02:41:51.14 ID:7FNzvFf6 - 「え？なんで？」
間抜けすぎる返事をする私。
「何でって、行くって言ったじゃん」と笑う彼女。
けっこう早い時間から居たらしい。
…ってことは、私が回してる時もいたのか？
がっちがちに緊張して、周りを見る余裕もない姿を見られてたのか！？
その通りでした。
テープの時と同様に取り繕いたい。言い訳したい。
でも、それってやっぱりかっこ悪い。
やっと絞り出した言葉は「そっか」の一言だけ。
気の利かない言葉を投げつけられた彼女の返事は、「デビューおめでとう！」だった。
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121 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 02:44:23.08 ID:7FNzvFf6 - >>119
コテとかトリって聞いたことあるけど、
どういう物かも、やり方もわかんなくてそのまま始めちゃった。
ごめん
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123 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 02:57:35.44 ID:7FNzvFf6 - トモダチと来てるってことで、そこへ戻っていく彼女。
おしっこしたい俺。
ひとまず、そこで別行動になった。
そう言えば、「無かったことにする」んじゃなかったのか?
なのになぜ、洗面台の鏡に映る顔はだらしなく唇を緩ませんているんだ?
初めてイベントに出てがちがちに緊張して、
ヨネさんに引っ張られて作ったこともないお酒を作って、
いないはずの彼女が同じ空間にいる。
色んなことが起こりすぎた夜。
0時を過ぎれば、その先は朝への途中。
その後に起こる事なんて、予想できないですよね。
沢山あって
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124 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:00:31.67 ID:7FNzvFf6 - ミスった。最後の「沢山あって」は忘れておくれやす。
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125 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:08:35.37 ID:7FNzvFf6 - カウンターに戻るとヨネさんがニヤニヤしている。
トイレに行く前の2割増しニヤニヤしている。
「逆ナンされたか！？このやろー！？」
声でかいよ。
カウンターも少し暇になったので、このイベントに参加するきっかけや
逆ナン女性の正体も話した。「彼氏がいる人を好きになっちゃったんです」
って。
この時、初めてヨネさんの真顔を見た。
止めてよ。あんたにそんな顔は似合わない。
次の瞬間、お酒を取りに来たお姉さん相手に鼻の下を伸ばしてた。そうだ。それがいい。
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126 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:09:38.86 ID:7FNzvFf6 - >>122
読みにくいと思うけど、お付き合いくださいませ
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127 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:19:28.66 ID:7FNzvFf6 - 忘れてたことが二つあった。
一つは、「無かったことにする」って決意。
いないはずの片思いの相手が突然現れて、舞い上がってた。
もう一つはコートのポケットのチケット。
招待券だと自分は思ってたけど、渡せず終いだったからただのチケット。
彼女が自分で来ちゃったから、なおさらただのチケット。
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128 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:36:37.08 ID:7FNzvFf6 - いくら非日常にいても、人と人との関係なんてそう簡単に変わらない。
「無かったことにするスタイル」を再び取り戻した。
「他の人のプレイも見たいんで…」とヨネさんに告げ、再びフロアへ行ってみると
序盤とはまったく雰囲気が違う。
グラスを片手に揺れる姉さんに、ダンサーっぽい人が輪の中心で踊ってて
喝采を浴びてた。このイベントは成功したんだなぁ…とぼんやりと思う。
再びヨネさんのとこに戻ると、カウンターに椅子が置いてある。
さっきまでそんなの無かったよね？
んで、何でそこに彼女が座ってるの？
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129 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:47:12.00 ID:7FNzvFf6 - カウンターに入って改めて彼女の顔を見ると、
ほんのり頬が赤い。
前にはビールの注がれたグラスが置かれている。
「どうやって帰るの？」と聞くと、友達が運転してくれるから大丈夫とのこと。
それよりも気になったのは、ずっとうつむき加減でいること。
あんた何か言ったの？とヨネさんを見ると、無言で肩を竦めた。
彼女が何を思っているのか、彼女しか解らないということらしい。
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130 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 03:58:23.52 ID:7FNzvFf6 - 「1君。ちょっと外に出よう」
顔を上げた彼女が言う。
私の返事を待たずに、高めの椅子から降りて出口へ歩き始めた。
？？
よくわかんないけど、追うようにカウンターを出る。
店の扉を開けると、雪がちらついている。
大音量の音楽を閉じ込めるように扉を閉めた。
彼女が「雪だね」と言って、私は「うん」と返事をする。
そこから少しの沈黙。
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131 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 04:00:11.30 ID:7FNzvFf6 - 眠いので、今日はここまでにします。
書き溜めてまた明日きますー
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135 ：名も無き被検体774号+＠無断転載は禁止[]：2017/01/27(金) 23:58:01.81 ID:7FNzvFf6 - >>132
書き始めるから、お暇なら読んでね
>>133
身体の心配までしてくれてありがとう。わりと丈夫な方だよｗ
>>134
お待たせしました
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