- ヒマだしとりあえずありがちなラノベ小説書いてみることにした [無断転載禁止]©2ch.net
228 :@転載は禁止[]:2016/03/02(水) 10:15:08.27 ID:2uN7iX1B - おはようございます!
それでは本日も更新します♪ 全体まとめはこちらをご覧ください。 >>153
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229 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:16:31.24 ID:2uN7iX1B - 「……んで、朝帰りまでして作った箱ってのがコイツか?」
試作品作るのに没頭し、日をまたいで既にお昼。 「なんか言い方に棘ありますよね?」 箱を手に取ってジロジロながめるおやっさん。 「私よく意味がまだ理解できていないのですが、結局どういう物なんですか?」 「なんかすげぇもんだとはわかるがなぁ。」 おやっさんから箱を受け取り、ガリンが指先一つで器用にクルクル回す。 「まぁようするにさ、この箱に詰めればビッチが腐らないってことだろ?ダイコ」 「そうです。永遠にってわけではありませんが。」 ガリンから箱を奪い返す。
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230 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:17:18.49 ID:2uN7iX1B - 「まだどのくらい保たれるのかが分かりませんが、
冷熱実験では10時間はそのまま保たれました。」 「熱いものや冷たいものがそのままに状態が維持されるってことですか?」 「うん。入れた時とほぼ同じ状態が維持される。」 へぇ〜っと言ったまなざしで箱が注目される。 「熱いお茶を入れればそれがそのまま保たれるってなぁすげぇな」 「もちろん蓋を閉めた状態で、ですけど。 大気に触れた状態ではそんなに保てません。」 「ダイコ、これはビッチの鮮度もそのまま保つって考えていいのかい?」 「ええ、野菜のシャキシャキ感も作った時そのままに 保たれると思って大丈夫だと思います。」 「それは料理人にとってはすごくありがたいものだねっダイコ!」
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231 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:18:32.24 ID:2uN7iX1B - 「んでぇコイツを量産にかけたいってわけだ?」
「はい、開店まであと二日ですよね ?それまでに十分な量ってわけにはいきませんけど、 試作品を試験販売して反応を確かめたいです。」 「開店間際にまた大変な仕事もってきたなぁ」 苦笑いのおやっさん。 「すいません。この生産については陣頭指揮を とってくれる人もいますので、おやっさんは 設備等環境を整えてもらえれば大丈夫です。」 「わかった。ひとまずは新しく拡張した厨房の2Fで 作ってもらうことになりそうだなぁ。」 「そうですね。研究場所も併設しましょうか。」 「ボクはとりあえずビッチ作ってどれくらい鮮度が保たれるか 実験することにするよ」 そう言い箱を手にとるガリン。 これで、再出発に必要なものはすべて整った。 あとは開店を待つばかりだ。
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232 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:19:40.65 ID:2uN7iX1B - それからすぐにフレイアが引っ越してくる。
2Fをフレイアの自室兼研究所として割り当てることが決まったのである。 「フ、フレイア・ランティスです! よ、よろしくお願いします!」 「嬢ちゃんが箱開発したのか。ずいぶんと若けぇなぁ」 「い、いえ、独力ではとてもとても!ダイコさんの協力がなければ私一人では…」 「フレイアさんよろしくね! 一緒にがんばりましょう!!」 「とりあえずフレイアが開発研究を取り仕切ってもらうから協力よろしく頼む。」 「そしてフレイア、2Fはお前の自宅として利用するのはいいんだが…」 「は、はい!」 「第二の魔界城にするなよ?」
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233 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:20:22.47 ID:2uN7iX1B - まわりは なんのことだ? という顔をする。
しかし、ダイコは今後幾度となく魔界城を目の当りにすることになる。 そしてその夜、新装開店前夜。 「これで準備は万全だなぁ」 「そうですね。生産体制も整いましたし。後は明日を待つばかりです。」 「ここまで凄いピッチできましたが、いよいよ本格的にスタートするんですね。」 「あぁ。最初のドタバタっぷりはすごかったけどな。」 「よくこんな短期間で体制整えられたもんですね。 自分で言うのもなんですが、奇跡ですよ。」 そこでフレイアがやってくる。
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234 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:21:24.19 ID:2uN7iX1B - 「ダイコさん、とりあえず保霊箱を100個用意しました。」
「ありがとう。開店前にとりあえずの量を確保できただけでも素晴らしい!」 「まだ生産にもお金かかりますし、何より一度に大量に作ることは難しい品です。」 「大量生産するのはまだ先でいいよ。今は商品として完成度を上げていこう。」 「そうですね!」 「そういえばビッチはどれくらいの期間鮮度もっているんだろ。」 「今のところ30時間を経過してますが、鮮度は変わりありません。作りたてのままです。」 「凄いな。30時間か。」 「あの調子じゃ、3日は確実に保てそうです。」 「あとは箱の保存特性付加がどのくらいの期間保障されるかだな。」 「そこらへんは時間がかかりそうな検証ですね。」 「当面は使い切りの試験販売という事で、値段もほぼ原価で 売り出したいと思ってます。」 「ま、そりゃそうだな。」 「箱も改良を重ねつつ、ある程度検証実験の結果が出そろった段階で 大量生産に踏み切ることにしましょう。」 「わかりました!」 「それと、フレイアにはもう一個平行して実験してもらいたいものがあるんだ。」 「なんでしょう??」 「それは………」
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235 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:22:48.33 ID:2uN7iX1B - 新装開店当日。お店は2時から作業開始。
厨房にはガリンの指示する声が響く。 「今日は天才が作るスーパーなビッチを世に出す初日だよ〜 みんな気合い入れてね〜♪」 ……ほおっておこう。ああ見えても腕は確かだし。ウザいけど。 前日の夜に最後の試食をしたとき驚いた。 今まで自分たちで作っていたサンドビッチが 別物みたいに思えるほど、 完成度が増したサンドビッチがそこにはあった。 「どうだい? この天才がエッセンスを加えたスーパービッチは♪」 スーパービッチ……サンドビッチは貴婦人なんですけど… しかしこれは…同じものとは思えないくらいに旨い。 「く、くやしいですけど……私たちが作るビッチより数段上です。」 「ふぃぃぃぃ! スーパービッチ感激ですぅ!!」 リズいたのか。
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236 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:23:49.01 ID:2uN7iX1B - 「パパまた腕を上げたね。ムシャムシャ。」
「愛する娘に褒められると、とても嬉しいねぇ♪」 「認めざるを得ませんね。これは。」 「ダイコくんに認められてボクは嬉しいさぁ♪」 たしかに本物の天才だこの人。ウザいけど。 おやっさんはの周りは一芸にとがった人ばかりいるなぁ。 「ほかにもファロンが見つけてきた食材を使って、 新しいレシピを考案中さぁ〜期待しててね♪」 「期待してるぜぇ ガリン!」 自分も期待してますよ! ガリンさん!! ウザいけど。 朝一で200人いようが問題なさそうな仕込みの量。 すでに500人分の調理もほぼ済ませている。どんとこいだ!
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237 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:25:21.16 ID:2uN7iX1B - 5時頃。リズが慌てた顔で知らせにくる。
「ふぃぃぃぃ!! ダイコさぁん! 外が!」 「外? なんかあったのか? まさか…ケンカでもしてるのか?」 「ふぃぃぃぃ!! 人が 人がぁ!!」 埒あかん。自分の目で見てこよう。 2Fの自室窓から辺りを見回す。えっ… 人で通りが埋め尽くされている…… 何人いるんだ?!200?500?もっと?? 慌てて厨房へかけていく! 「ガリンさんっ! いまどれくらい完成品ありますか??」 「なんだい慌てて。今はようやく500ってとこかな♪」 「作るペースを上げてください!その倍は開店時ほしいです!」 「倍もかい??」 「通りが人で埋め尽くされています! 1000人じゃきかないかも…?!」 「なんだってぇ? それは一大事♪」 厨房に緊張が走り、ガリンが指示を飛ばす! 「天才のデビュー戦にはもってこいの状況だね♪ みんなペースあげるよっ!」 スイッチが入ったかのように、全員キビキビと動き出す。 なんだかんだ言ってこの人すでに厨房支配してるな。ウザいけど。
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238 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 10:27:16.33 ID:2uN7iX1B - そして売り場スタッフ全員に状況を説明。全員の顔がひきしまる。
「あんたたちっ! 今日は絶対に失敗できないよ!! いいね!!」 「「「はいッ! メイシャお姉さま!!」」」 全員が声を合わせてメイシャの檄に応える。 ん?メイシャお姉さま?? こいつは何を作り上げようというのか…… しかしそんなことを取り上げている余裕はない。 列の整理で外に出る。 改めて商店前の通りを見渡す。こんなに人が集まることは初だな。 これ以上あつまると開店時間を切り上げることも考慮しないとマズそうだ。 まだまだ集まる人々の群れをみて、開店時間を1時間繰り上げ6時に変更決定を 全員に伝えるダイコ。それに伴い、開店作業は急ピッチで進む。 6時。新装開店時間になった。 ダイコが店前に設けてある、高く備えた宣伝台の上に立つ。 「みなさま大変おまたせしました!!!」 「只今より営業を開始します!!」
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239 :1@転載は禁止[]:2016/03/02(水) 10:30:27.40 ID:2uN7iX1B - 一旦休止です。
次回の更新は13時頃を予定しています。 よろしくお願いします♪
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240 :@転載は禁止[]:2016/03/02(水) 13:26:47.84 ID:2uN7iX1B - お昼の更新です。
よろしくお願いします♪ これまでのまとめは >>153 を参照してください。
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241 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:27:56.03 ID:2uN7iX1B - その言葉と同時に店の出入り口が開かれる。
大歓声がその場で起こる。 殺到する店内。メイシャを筆頭に全員がそれぞれのポジションに付く。 グランジーナは会計にまわる。 リズは補充に、ダイコは列整理に全力をあげる。 そこには開店当時と比べて、遥かに強固となった連携がそこにはあった。 スムーズな会計、補充。お客様対応を始め、パニックになっていた 昔の面影がそこにはなかった。 「頼もしくなったな。」 一人呟くダイコ。 圧倒的なお客様で埋め尽くされた新装開店初日。 それは当然のごとく、無事終了した。
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242 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:28:40.41 ID:2uN7iX1B - 「かんぱーーい!」
売り場でささやかながら初日の労を労う。 「いままで一番の数だったなぁ」 「グランジーナ、今日はどの位売り上げたんだ?」 「えーと、ちょっと待ってて。今計算してるから」 「すぐ計算できない位、売り上げたって事じゃん。スゴくね?私たち。」 「天才のデビューに相応しい売上だって事はわかるよ♪」 「ふぃぃぃぃ! お酒飲めないですぅ!」 「しっかしこのペースで売れちゃうと、食材足りるの? パパどうなの?」 「正直この量は想定外だったさぁ♪」 「このままだと、また食材不足とかになりかねねぇぞ、ダイコ。」 「ある程度の食材は溜め込んであるので、これがあと1週間続いても大丈夫ではありますが…」 「でた。今日の売上は、約4000シルバー。」 「4000?! カッパーじゃなくて??」 「ということは約4000個もサンドビッチを売ったわけですか。」 「ふぃぃぃぃ! ジュースがないですぅ!」 リズにジュースを差し出し、頭を撫でる。 「倉庫増やした方がよさそうですね。おやっさん。」 「おうよ。裏に空いてる家だな。」 「できればこのあたりの空き家も探してほしい。」 「倉庫以外にも何か必要なんか?」 窓をから通りを見渡すダイコ。
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243 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:29:09.72 ID:2uN7iX1B - 「保霊箱の生産もそうだけど、このあたりは押さえておいた方がいいかもしれない。」
「わかった。すぐギルド行って確認してくらぁ。」 「なにか気になることあるんですか??」 少し考え込み… 「この周りの土地・建物は争奪戦になりそうです。多分。」 「ふぃぃぃぃ! ジュース美味しいですぅ」 リズのほっぺを優しくつねる。 みな一様になぜだ?という顔をする。 「とりあえず、空き家わかったら商店の近い順に資金の許す限り 押さえていってください。一か月も経てばこのあたりは激変します。」 ダイコには確信があった。
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244 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:29:46.11 ID:2uN7iX1B - そうして2週間が経過。
初日の勢いは当日だけかと思いきや、あれをスタートにお客は増す一方。 朝のダイコ商店大行列はもはやいつもの風景として定着しつつあった。 そして大行列だけでなく、別の風景も目の当たりにする。 「少し離れたはす向かいに、預かりやオープンだってよ。」 「そうですか。今週だけで新規開店5件目ですね。」 ダイコ商店の位置は、南門大通りから少し外れた人気もなくさびしい場所にあった。 南門からは近い方だが、周りには商店が少なく、用もなければ特に人は 通ることもそうない場所だった。サンドビッチを販売するまでは。 せいぜい東へ抜ける近道程度だったこの場所は、今や中央街きっての人が、 早朝から集まる場所へと変貌を遂げた現在。 買い物客が大勢あつまる新たなスポットの誕生に、 商人たちは指をくわえて黙ってみているわけもなく… 「争奪戦とはこのことだったんですね」 開店準備を進めながら外をみるグランジーナ。 「うん。これだけ人が、冒険者が集まるということはそれだけ商圏が新しく誕生するという事で。」 「この人の流入量は南門大通りに匹敵しますよね。」 「この地域がサンドビッチの完成で、活性化の恩恵を受けているってわけです。そうすれば…」 「あらたな商機をのがすわけねぇもんなぁ。商人どもは。」 おやっさんは自分が商人ってこと忘れてるよな…
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245 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:30:19.49 ID:2uN7iX1B - 「もっともっと出店攻勢はかかってくるでしょう。」
「来週あのベーリンガー武具店が、角のとこに開店だって聞くし。」 「押さえといて正解だったってわけだ。」 「おかげで稼いだ大半はつぎ込んでしまいましたけど。」 苦笑いをするダイコ。 「今後はここに拠点を設けるつもりですし、その時に土地がないじゃ 話にならないですしね。」 「保霊箱もずいぶん改良加えてよくなったしなぁ。そろそろか?」 「ですね。本格的に売り出す準備進めましょう。」 そうして今日も開店を迎えるのであった。
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246 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:30:47.21 ID:2uN7iX1B - 一方ここ西の国ダッカーランドではビッグニュースが商人の間で駆け巡っていた。
「ベルガド様、失礼します。」 「おう。入れ。」 赤く、豪華な模様が入った毛の長いフカフカな絨毯をふみ歩く商人風の男が 豪勢にあしらったレリーフが刻まれた、ドア一個分はあろうかという机に 腰の深く入りそうな椅子に腰かけた男の前へ進み出る。 「ご報告します。かねてより要望のあった【保霊箱】をお持ちしました。」 そう言って保霊箱を机の上に置く。 遠目でジロジロと見つつ、そして手に取ってまたジロジロ。 「ふむ。特に普通の箱とは変わらんが…」 「はい、恐れながらベルガド様。見かけは樹皮で組み上げたタダの箱のように見えていますが…」 「噂にある保存属性の件は間違いありません。」
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247 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:31:14.63 ID:2uN7iX1B - そう言い箱に目を落とす。
「こんな単純な構造でか。にわかに信じられんな。」 箱の蓋をとって中身を見る。 「それほどの性能を発揮するのならば、肝心なアレが見当たらん。」 「コアとなる輝石ですね。」 「言う通りの事を発揮するなら、かなりの力が込められた輝石が必要だろう。」 「おっしゃる通りです。ベルガド様。しかし……」 その時、また別の男が入室してくる。 「邪魔するよベルガド。」 「クンベル様!」 クンベルと呼ばれるこの男。青年風の容貌は31歳のダッカーランド8商の一人。 茶色の耳までかかったその髪に、中性的な顔を持つこの商人はスラリとした身のこなしで ベルガドの前まで進み出る。
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248 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:31:47.18 ID:2uN7iX1B - ダッカーランドはここしかない政治統治機能で国を運営している、
過去の歴史を紐解いても例のない国家を形成しており、それは【商和主義】と呼ばれる。 大戦争終戦時、約80年前にできたこの国は、商人の統べる唯一の国であり 8人の大商人が国の統治を一手に引き受ける、8商会議による統治機構を持っており 全ての決定権はこの8商会議できまる。その他にも委員会と呼べる機構があり それぞれが商いを重視して法を司り、国を治めている。 商いと和を尊ぶ商人の国、それがこのダッカーランドである。 腰の深い椅子をクンベルに譲り、傍らに立つベルガド。 このベルガドは8商の一人、クンベルに仕える大商人。 大きく肥満したその体が緊張のせいか、たちまち汗をかいて行く。 「なにも連絡せずこっちに来てすまなかったね。ベルガド。」 「む、むしろ呼びつけていただければよろしかったものを。」 「いや、なに、面白いものを入手したって聞いてね。」 「お、お耳が早いことで。」 「これがあの噂の箱かい?」 「さ、左様で。」 「ふーん。これがあの保霊箱。」
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249 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:32:46.30 ID:2uN7iX1B - そういって先ほどのベルガドと同じようにジロジロと、中を開けてジロジロと。
「こんな簡素な造りで保存属性の定着を成し遂げたって、誰が聞いても嘘だと思うよねぇ。」 「は、はは。たしかにその通りで。」 「だけどこんな簡素な造りで本当に成し遂げたってなら…」 立って背面の大きな豪勢な細工を凝らした窓へ近づくクンベル。 外の前庭を見ながら 「大偉業だよね。」 そう言って遠くを見つめるクンベル。 部屋には威圧するかのようなプレッシャーがあたり一面降りかかる。 ベルガドは顔面から汗がとめどなく吹き出し、流れ落ちる。 「作った人間の正体はもう掴めているのかい?」 少し顔を商人風の男に向ける。 「はっ!中央圏・中央街に最近商店クランとして登録したダイコという者が 作成・販売したという事です。」 「このフレイアってのは?」 箱の上蓋右下に刻印をみて問いかける。
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250 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:33:22.24 ID:2uN7iX1B - 「そのフレイアというものは研究者の魔呪師です。同じく作成に協力したとのことです。」
また遠くの景色を見つめるクンベル。 少し間を置き… 「茶会に招待しよう。」 驚き、更に汗の吹き出すベルガド。 「手配したまえ。中央街の公館で行う。」 「かしこまりました。すぐに手配を行います!」 窓から机の方へむかって歩き出す。 そっと机に保霊箱を置く。 「切り刻んでもなんでもいいからすぐに調べろ。北の手を借りても構わない。」 「はっ!御意に。」 そのまま颯爽と出ていくクンベル。 部屋には大量の汗をかいた、すこし細くなったベルガドが絨毯の上にへたり込んでいた。
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251 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 13:34:32.98 ID:2uN7iX1B - 次回は18時頃更新の予定です。
よろしくお願いします!
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252 :1@転載は禁止[]:2016/03/02(水) 18:10:08.25 ID:2uN7iX1B - おまたせしました。更新します。
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253 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:10:43.37 ID:2uN7iX1B - ベルガドが大汗をかいている時同じくして、北のエースランドでも同様に、
学者・商人の間で一大ニュースとして流れていた。 「して、箱は手に入ったのかね?」 「はい。間もなく、こちらへ到着するかと存じ上げますが…」 学長室をノックする音。 「失礼します。学長様。お届け物をお持ち致しました。」 届け物を机に置き、若い騎士が部屋から立ち去る。 厳重に封された包み紙を取り払い、中身を取り出す。
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254 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:11:04.86 ID:2uN7iX1B - 「ふむぅ。これが保霊箱か。」
脇に立つ若い学術員が、包み紙を机から取り除く。 学長室内の応接間から声がかかる。 「普通の箱にしか見えんな。それが本当に保存属性を付加した箱なのか?」 ガセではないかといわんばかりの70才は過ぎた老人が問いかける。 横目で見つつも箱を手に取り、ルーペで細部を確認する。 「これは一個しかないのか?」 「はい。なにせ入手困難な品物で…」 「分解するにも勇気のいる決断じゃな。」 そういって箱を机に置く。この学長と呼ばれる60過ぎた初老の男は エースランド王立学術院 学長ガレフ・ランドルフ。 魔導士号を持ち、世界4指にはいる世界で最も有名な魔呪師である。
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255 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:11:33.57 ID:2uN7iX1B - 「なにか魔法特性がかかっておるのは間違いない。」
そういってまたルーペで細部を確認する。 「噂によると、熱いお茶すら1日は、その温度が保つという事じゃが…」 「はい。それは間違いないようです。」 「ふむ。ふむふむ。眺めていても分からんな。」 応接間にどっかり座っていた中年の男が箱を見に近寄ってくる。 「そこらへんにありそうな箱じゃな。何回見ても信じられん。」 「どういたしましょうか?」 ふたりを見つつ、箱を再度見る。 「バラして調べるしかなかろう。それ以外に、確かめる術がほかにあるのか?」 「わかりました。すぐに選りすぐりの上等研究員に回して、調べさせます。」 「中央街の公館に通達して、もっと数を手に入れさせよう。サンプルは多い方がいいだろ?」 「バジ…そうしてくれると助かる。」
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256 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:12:07.99 ID:2uN7iX1B - このバジと呼ばれる男、バジ・サタデナイツは
王国最高機関の元老院、下級元老が一人である。今回は保存属性と付加成功の報を聞き、 元老院から事態の詳細を判明させるよう命が下り、その任にあたっている。 「実はそれに関するニュースがもう一つあります。」 「ニュースとは?」 「つい先日のことですが、中央街にある連合学術院にて、ある論文が出されまして。」 「論文?…内容は…?」 「はい。保存特性の付加条件とその論理的解明についてです。」 薄い目をかっと見開き、若い学術員を見る。 「提出したのはだれじゃ?」 「はい。フレイア・ランティスという者と、ダイコという者です。」 「だれだそいつらは?」 学長ガレフは、箱の蓋に刻印された文字を見る。 「制作者か。」 「はい。」 押し黙る学長室内。 「先を越されたのぅ。」 慌てて若い学術員が否定する。 「まだ完全に解明されたかどうかはわかりません!!」 わき目で若い学術員をみつつ、 「とりあえずバジよ。その論文も至急取り寄せてくれ。中身を確認したい。」 「わかった。大至急取り寄せよう。」 窓の外を見るガレフ。 季節は、静の時期から動の時期に入る時期に起こった出来事であった。
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257 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:12:42.66 ID:2uN7iX1B - そんな事とは露知らず、いつものようにビッチ販売に精を出す
お昼頃、ダイコ商店へ人が訪ねてくるのであった。 「失礼!ここの店主ダイコ殿はおられるか?」 沸き立つ店内に、場違いな正装をした中年男性が現れる。 「お、お客様? お買い求めでしたら、一旦外の列にお並び直しくださいませ。」 そういうメイシャに 「客ではない。私は通商連合の使者である。店主殿と話をしたく参上した。」
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258 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:13:07.29 ID:2uN7iX1B - メイシャが引きつった顔をして居間の方へ駆け込む。
すぐに口元をもぐもぐしながらダイコが店の中へ入ってくる。 立派な出で立ちに空気を読んだのか、すぐ居間のほうへ案内をする。 「このような汚いところで失礼します。」 そういって足で荷物どけるダイコ。 「私がこのダイコ商店の店主 ダイコ でございます。」 まるで値踏みをするような仕草をする使者。そして… 「あなたがダイコ殿でしたか。ずいぶんとお若くて、びっくりしました。」 そこにグランジーナがお茶を持ってくる。 「そ、粗茶ですが…。」 明らかに緊張している。手を震わせながらお茶を届ける。 お茶に口付けしつつ、話を切り出す。
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259 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:13:44.84 ID:2uN7iX1B - 「それで通商連合の使者殿が、何用でこんな商店へ?」
「実は、招待状をお持ち致した次第で…」 そういって懐から蝋で封じられた、金細工の施された招待状を机に差し出す。 恐る恐る受け取り、見ていいですかのしぐさを送る。 「どうぞ、拝見ください。」 固く封印された蝋が、中々取れない。 まだ見てないダイコに、気にも留めず話を進める。 「このたび我ら通商連合は、動の時期入りを祝う、ささやかながらお茶会を 執り行う事になりました。つきましては、是非出席のほどをお願いしたく、参りました次第です。」 「は、はぁ。お茶会?」 カリカリ蝋を爪で削るダイコ。 「そうです。お茶会です。動の入りを祝うささやかながらのお茶会です。ぜひご参加を。」 「い、いま返答を?」 黙ってうなずき 「左様です。どうかご参加を。」 「一つ伺いたいのですが、なぜこのような若輩者で、世間に対して、何ら示す事もできない私に招待を?」 ふふっと笑う使者殿。
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260 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:14:47.58 ID:2uN7iX1B - 「御冗談を。あなたは今や、保霊箱の制作者として、世界に名を轟かせているのではないですか。」
「え、保霊箱?」 「西のダッカーランドでも、とても希少な品として伝わってきております。」 保霊箱?? まだ試作販売中の保霊箱が?! 俄かに信じられないダイコは黙り込む。 「もちろん共同制作者のフレイヤ殿にも、招待状に連ねさせて頂いております。」 やっと空いた招待状を読む。 たしかに自分と、フレイアの名前がそこにはある。 「たしかに招待状を送らせて頂ました。ご参加していただけると受け取って、差し支えありませんでしょうな?」 そう言い、席を立つ使者殿。 「あ、はい。……はい。参加させて頂きます。」 「よろしい。このことは必ず、主催のクンベル様に伝えさせて頂きますぞ。」 居間から出ていく使者殿。 考え込むダイコ。 「保霊箱が…」
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261 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:15:45.09 ID:2uN7iX1B - その夜、みんなに伝えるダイコ。
「わ、私も参加ですか!?」 「すごーい! ダイコ凄いじゃん!!」 「はわっ! はわっ! はわわぁぁぁぁ!!!(訳:すごいですね、ダイコさん、フレイアさん)」 「まさか通商連合からとは。」 久しぶりに顔を出すファロン。 「やぁファロン! お久しぶりだね♪」 「お前も元気そうだな。」 談笑するファロンとガリン。 「しかし、またこらぁ大変な事になったなぁ。」 「保霊箱が各国で有名になっていたとは、思いもよらなかったよおやっさん。」 「ここにいると、商売だけで精いっぱいだからなぁ。外からの声なんて届きゃしねぇ。」 「俺は最近仕入れやギルドに寄る時、しょっちゅう聞かれるぞ。」 「そうなのか? ファロン?」 「あぁ。本国が欲しがってるから、融通してくれとかそんなのばかりさ。」 「まさかこの短期間で広まるとは、思いも寄りませんでした。」 「そりゃ超有名クランが使ってるからな。」 「あ、そうだった。」
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262 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:16:34.19 ID:2uN7iX1B - 実はこの試作品を作った際に、お礼も兼ねて、蒼眼クランに無償で100個送っていた事を
すっかり忘れていた。それ以降、たまに使用感とか聞いてはいたけど。 「いちいち保霊箱を使ってた位で、世界に発信されるもんですかね?」 「なんだ知らないのか。」 「何をですか??」 「つい1週間前に世界ギルド会議がおこなわれて、そこで、蒼眼のリーナが一押ししていた事を。」 「えっ?! そんなことを? リーナさんが…」 「そういえば最近は、まず最初に保霊箱から売れてくよね。」 「不思議だとは思っていたけど、そういう事か。」 メイシャがふむふむとうなずく。 ■蒼眼クラン本部にて。 「はっくしょん!!」 鼻をずずっとグスらすリーナ。 「風邪かぁ?リーナ。バカは風邪ひかないとは思ってたけどな。」 「うっさいバカガラン。」 だれか噂でもしてるのかな…? 窓から空を見るリーナ。
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263 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:17:24.99 ID:2uN7iX1B - ■ダイコ商店内にて。
「新聞でも取り上げらてたな。見てないのか?」 「うちは新聞とってねぇぞ。ファロン。」 「雑誌の取材が多くなったのもそのせいか。」 「てっきりサンドビッチの取材と思ってましたよ。」 「論文を出すタイミングもう少しずらせば良かったですかね?」 「もう出したのか?」 「はい。今現段階で確定してる事象は纏めて出しています。」 「なんかもう一波乱きそうだな。」 「お茶会はいつだ?」 「今週末です。」 「もうすぐじゃないか。」 「衣装もすぐ用意しないとだな。ダイコ、フレイア。後で採寸に取り掛かるから、家に来てくれ。」 「ありがとうファロンさん。」 「か、かしこまりました!」 「フレイアは美容殿に行って、おめかししないとな。」 「び、び、美容殿ですか!?」 「いーなー!私も行きたい。ダイコ連れてって!」 「メイシャ。お前は招待されていないだろう。」 「この招待状、付き人2名までOKってかいてます。」 「ふひひ。きまりだね。」 「はぁ。ファロンさん。出席お願いします。」 「おれもか。わかった。予定を空けておこう。」
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264 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:17:57.24 ID:2uN7iX1B - その後、深夜厨房にて…
「ふう……」 階段から誰かが降りてくる音がする。 「あら、ダイコ。起きてたんだ?」 「うん。なんだか眠れなくてさ。それに喉も乾いたしお水を。」 「そうなんだ。実は私も。」 グラスをもう一つ用意し、お水を入れて手渡すダイコ。 「ありがとう。」 静まる厨房。 「あと少ししたら、ここも賑やかになるね。」 「ホント。最初の頃からは考えられないよね。」 「最初の頃って言っても、まだ1ヶ月やそこらだけど。」 「お父さんとダイコと三人で初めて食べたビッチが、まだ1ヶ月位前の事なんだよね。」 「生き急いでるなぁ、自分。」 なにそれ? とばかりに笑うグランジーナ。
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265 :1@転載は禁止[sage]:2016/03/02(水) 18:18:46.63 ID:2uN7iX1B - 「通商連合かぁ。」
「やっぱり。気にしてるんだ?。」 「そりゃあね。ただ、サンドビッチではなくって、保霊箱の方が評価されたってのがさ。」 「商人的には食べ物よりも、箱とか、売りやすいものに目を付けるのは当然じゃない?」 「その通りなんだけどさ。」 「何か心配事でも?」 少し黙って、俯きながら… 「商人がさ、新しい考え方よりも、品物を選んだっていうのがさ。なんか怖いっていうか。」 グランジーナを見つめるダイコ。 「お茶会は…多分罠だ。」
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266 :1@転載は禁止[]:2016/03/02(水) 18:19:57.60 ID:2uN7iX1B - 本日の更新は以上です。
ありがとうございました! また明日♪ こちらでまとめています。 >>153
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