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俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
炭酸水うますぎワロッタwwwwwwwwwwwwwwww

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俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
121 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:39:26.26 ID:SV4Ek/U90
お久しぶりです。忙しかったのでブログも中々動かせず。
とりあえずアク禁解けないままちょっと別の所に今居るのでそこから。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
122 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:41:19.32 ID:SV4Ek/U90
 バトルが始まる。


「近野ぉおおおおおああああ!!」
 草薙剣を手に、駆け出す俺。
 その一撃を、いつのまにか抜いていた刀で余裕ではじく近野。
「地獄とかどういうことだ!」
「はっ! 踊る最中にぺちゃくちゃ喋るアホがおるかいな、漫画やあるまいし!
 やけど夢やしな、だったらそういうのもありやろ!」
 近野は後ろに飛び、続ける。
「快楽悦楽享楽堕落、あらゆる楽を好み、そしてそれ以上に……剣と戦を望む魔物。それが僕や。近野左近児や。
 言うたやろ、淫魔、夢魔やと。
 耶蘇では剣王アスモデウスとも呼ばれる、淫楽の王。
 ……と言っても、本人そのものとはまた違うけどな。
 そっちの嬢ちゃん、織姫は大神の分け御霊やろ、それとまあ同じや。
 僕もまたその地獄の触媒の一部、末端にすぎんから安心してええで。
 なにしろ僕の大本そのものを相手にしたら、ぼんなんか一発でガチ死にや。ああ、そりゃつまらん、本当につまらんからなあ」
「……!」
 思わず腰が引ける俺。
 それが本当なら冗談にならない大物の悪魔だ。
「はっ、いい顔や!」
 剣を振る近野。草薙剣に想い切り叩きつける。その衝撃で俺は吹っ飛んだ。
「だがまだ足りん。その先や。恐怖と嫌悪を乗り越えて立ち上がり立ち向かってこそやろ!」
 俺に飛びかかってくる近野。しかし、
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
123 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:42:01.22 ID:SV4Ek/U90
「いけ、ミサイルだっ!!」
 織姫が叫び、aiboの背中からミサイルが飛び出す。そしてそれが近野を追尾して次々と着弾、爆発する。
「ふせはっ、そんなんアリかいな!!」
 爆炎の中から笑いながら飛び出す近野。あまり効いていない。
 なお、本来のaiboに当然ミサイル機能は無い。シャレと冗談でつけてみたのがこんなところで役に立つとは思わなかった。
 そして草薙剣を拾い、追い打ちをかける織姫。その攻撃を避ける近野。
「おお怖っ! 女の子がそんなん振り回したらあかんやん!!」
「やかましい!!」
 さらに追撃する織姫。近野は舌打ちし、距離を取る。
「はぁ、僕が遊びたいんはぼんの方なんやけどなあ。しゃーない、ここは出直すかなあ。
 そんなわけでな、ぼん。ここは一旦引くわ。なんで不本意やけど、コレは返してもらうわ」
 そう言った近野の腕には、九栗の姿が。
「な……っ!? いつの間に!!」
「くっくっく……この女が欲しければ僕の居城まで折ってくる事やな。あ、なんかイイわこれ、めっちゃ悪役っぽくない!?」
「知るか!」
 なんかツボに入ったのか悦に入る近野。
「1様……!」
 近野の腕の中で、九栗が声を上げる。
「ごめんなさい、私……」
「謝るな、九栗」
 彼女の言葉を遮る。
「必ず取り返す。待ってろ!」
 俺が叫ぶ。その言葉に近野は非常に満足そうに笑う。
「……ええ。ええで、ええで、それでこそや!! 僕はこういうのが見たかった!!! 楽しませてな、満足させてくれよ!!
 僕を満たしたらこの娘はぼんにくれてやる、だから追ってこい!! 地獄の果てまでなあ!!」
 そう言って。
 近野は跳躍し、その姿を消した。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
124 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:42:47.34 ID:SV4Ek/U90
「止めてもどうせ行くんだろう?」
 織姫が言う。
「まあ、そりゃあ。ていうか止めないのか」
「色々と思う所はあるが止めん。というか、止めても別の意味で無駄だ。あ奴の地獄に落ちた今はな。もう繋がっている」
「地獄……か。どういうことなんだ」
「そのままの意味だ。神話宗教に言われる地獄もあればそれ以外の地獄もある。前に言ったがな。
 似た魂の形に引かれ、引きずられて構成される霊魂の坩堝。
 あの性悪狐のひたすら悦楽と道楽を求める地獄に、捕まったというわけだ」
「といっても別にそんな自覚は特にないんだけど」
「今は無くとも徐々に染まる。そうなる前に断ち切らんといかん。最悪……」
「最悪?」
「私はもうお前の守り神でいられなくなる、ここから去らねばならなくなる」
「……!!」
 それは想定される限り最悪の事態だった。
「そうなる前に、あの狐の居城に乗り込んで叩きのめし、ここの引力を断ち切らねばいかんのだ。
 別にあの狐娘を助けると言うわけではなくて」
「ツンデレか」
「違うわ阿呆! 勘違いするなよ、私は別にあの娘がどうなろうと知った事ではないが……」
「ツンデレだな」
「ツンデレです」
「ピンピロピー♪」
 三人から突っ込まれる織姫だった。

 そんなわけで移動。もうすでに繋がってしまった以上、そこへの移動は容易かった。
 そしてそこは……
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
125 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:44:27.17 ID:SV4Ek/U90
「……城?」
 その街は、巨大な城になっていた。なんというか、和風建築をかたっぱしから突っ込んで積み上げて塔にしたような、そんなかんじ。

「大遊郭・普堕落浄土……」
 やたらでかくそう刻まれている。
 そして扉をくぐり、階段を上ると広い部屋に出た。
 そこに立っていたのは精悍な男だった。

 その男は白い歯を光らせて笑う。そして、言った。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
126 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:45:11.87 ID:SV4Ek/U90
「ようこそ、普堕落浄土・衆道地獄へ」


 ……。
 ものすごく嫌な確信があった。
 今、衆道って言ったよね?
 ぼくしってるよ。それってホモのことだよね。

「……なあ、もしかしてこの流れって」
「そう。よく漫画である展開だよ。ここを通りたければ俺を倒してから行け、とな。
 だがそう簡単に俺がイくと思わないことだ……」
 今イくって言いやがったよこいつ。
 絶対に戦いたくねぇ。
「どうやら私たちの出番ではないようだな!」
 織姫が言う。ああそうでしょうよ!!
「さあどうする。俺とヤるか、それとも尻尾を巻いて逃げるか……さあ、どうする?」
「く……っ」

 絶体絶命だ。
 戦いを挑めば、勝っても負けても大切な何かを失ってしまうのは明白。
 というか、戦いたくない。
 絶対にまともな格闘勝負とかじゃねぇよ、これ。
 だがしかし、奴の背後にある階段、そこに行き着くために走って通り抜ける……無理だ。
 たとえ、織姫や鈴姫が突破できたとしても俺は絶対に捕まる。
 ……逃げるのか?
 九栗を見捨てて、ここから逃げるのか!?
 だがしかしここを、俺の貞操を守りながら突破するすべが思いつかない。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
127 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:45:46.71 ID:SV4Ek/U90
 せめて、俺以外に男がいたらそいつに押し付けるのに……

 そう思った瞬間、閃いた。
 いないのならば、作ればいい。
 そうだ、ここは幽世、鏡の世界。望むものを作りだすことができる。
 なら、ここで俺が作るべきものは。
 イメージしろ。強く想像して創造しろ。
 俺が呼び出すもの、それは……
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
128 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:46:38.10 ID:SV4Ek/U90
「来い、友人D!!」

 俺が叫んだ瞬間、それは現れた。

「BLは許容範囲内です!!」

 そう言いながらキラキラと光の粒を飛ばしながら現れるD。
 無論本人ではない。俺の作ったイメージだ。
 だが、ここではそれは実体をもち、本物のように動く。
 今まで俺が遊びで作った特撮怪人や戦闘員と同じだ。

「俺は友情の為に貴様と戦う!!」
「いいだろう、俺の愛情と劣情が貴様らの友情にヒビを入れてやる!」
 Dが叫び、走る。それを敵が迎え撃つ。

 俺たちは脇目も振らず全力で次の部屋へと向かった。
 あのあと何がどうなったか知りたくないし知ったこっちゃなかった。

「最低だな、お前」
「カルデアネスの板だ!!」
 織姫のツッコミに俺は全力で答えた。意味が違うのかもしれないけど。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
129 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:47:38.51 ID:SV4Ek/U90
 それからも地獄は続いた。
 問答地獄(クイズ大会)、暴食地獄(大食い大会)、血の池地獄(熱湯我慢大会)など。
 ていうかてめぇふざけてんだろ、というような展開ばかりだった。誰だよこんなの考えた馬鹿は。

「地獄は楽しんでもらえたやろか?」
「とりあえず一発殴らせろ」
 俺たちを出迎えた近野に対して、俺は笑顔でそう言った。
「ええでええで。殴れるもんならな♪」
「……」
 手を広げて立つ近野。しかし簡単に飛び込むわけにはいかない。
 立ちすくむ俺に、近野はため息をつき、挑発してくる。


「なんやぁ、怖気づいたん?
 そんなん怖がらんでええよ。よっしゃよっしゃ、ここで出血大サービスネタバラシといこか。
 まずそのいち、ここでぼんが僕に殺されても、所詮は夢や。コンテニュー可能です。
 どや、安心した? 漫画やラノベじゃあるまいし、夢で死んでも実際にゃ死にゃせんよ」

「……前に夢で殺されそうになって、現世でも死にそうなめにあったんだけど」
 俺は前の事を思い出して言う。
「そんなん、気のせいや!」
 近野は言い、刀を振りおろしてきた。俺はそれを受け止める。
「気のせいってどっちがだよ!」
「どっちやろな、まあどっちでもええことや! 君は安心して全力で戦えばええんや、楽しませるのが主役の役割やろ!」
「俺は主役じゃねぇよ!」
「人間はみな自分の人生と言う名の物語の主人公やで!」
「それっぽいこと言って何がしてぇんだよお前さっきから本気でわけかわらん!」
「奇遇やな、僕もや!」
 本当にわけがわからないというか、思いつきだけで喋ってるような気がする。
 それを見かねてか織姫が言う。
「まともに耳を貸すな!」
「そうは言われても次から次へとしつこいんだよこいつ!」
 あまりにも色々と言ってくるので、全ての会話をここに記す事は出来ない。というか色々と忘れている。それくらい支離滅裂だった。
 まるで、荒唐無稽な混沌とした悪夢を見せられているかのように。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
130 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:48:11.43 ID:SV4Ek/U90
あかんなあ、こっちじゃ火ぃつかんかったかいな」
 いったん距離を取り、刀の背で肩をとんとんと叩きながら、近野は言う。
「んじゃネタバレそのにー」
「まだあんのかよ」
「まあ聞いときって。
 今回の賞品ー、とらわれのお姫様こと九栗ちゃんやけどな、彼女についてどう思う?」
「……? どうって、なんだよ」
「だからな。ホラ、あの子の言ったこと、キミは全部信じたのかな、ってことや」
「……」
「よく考えてみよー。僕は君をこの地獄に引き込むために一芝居打った、そこまではオーケーやな。
 さて、それはつまり、ぼんの世界とこの地獄をつなげる事やったね。
 その引き金となったのはなんだったでしょーかー」
「……黙れ」
 俺は静かに言う。
 だが近野は続ける。
「薄々気になってはいたんやないかな? どこまでが僕の仕込なのか……」
「もういい、黙れ!」
 俺は剣を振るう。
「ははっ、そうやな、もしかしたら王子様が助けようとしているお姫様が、魔王の仕込んだ手先かもしれんとか、まさに悪夢やもんなあ!
 安心しとき、仕込みは仕込みでも、彼女自身は僕の手先やぁない、僕の地獄に囚われた地獄の一部ではあろうとも、一枚岩やない!
 それはぼんの世界でも同じやろ、君から生まれた式神、付喪神が君の思い通りの操り人形やないんと同じでな」
 近野は鈴姫やアイボを見ながら言う。
「だから彼女が僕の地獄から逃れたい、外を見たいと言ってたのは彼女の真実や。
 それを僕が許すかどうか、はまた別やけどなぁ。だってほら、僕は、近野左近児はなぁ、この地獄を広げたいんや。
 なのにわざわざ生餌を逃がしてどうすんねんって話」
「生餌、だと……」
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
131 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:49:00.19 ID:SV4Ek/U90
「そうや。極上の美少年や美少女は誘蛾灯のように、生餌のように、魂を集める。
 死んだ者、生きてる者、色々な人間たちが彼ら彼女らに惹かれてやってくる。そして僕は大きくなる」
「何の為に!」
「それが僕たちやからやよ。そう人間が望んだ、あるいはその逆か、まあどっちでもええ。ニワトリが先か卵が先かを論じても答えは出んやろ。
 僕ら夢の登場人物はな、ただそうあるべく存在するだけやねん。
 全ては幻でまやかしや。だったらそうあるべく、淫夢はただただ惹かれてくる魂たちに望むままを提供する。
 九栗ちゃんだってそうや。彼女は自分の出自に忠実にその役目を果たしてる、それをほいほいと捨てるにはもったいないやろ」
「出自……?」
「金毛白面九尾の狐、あるいは玉藻御前。そう呼ばれる伝説の大淫婦……彼女は」
「な、まさか……」
「その陰毛の一本から生まれた娘や」
 近野はそう彼女の正体を宣言する。
 ……陰毛かよ!
「そんなわけで実にエロい娘やったやろ?
 最高の物語を彩るにふさわしい舞台、配役や。そやからな、君もそれにふさわしいヒーローらしく戦ってくれなきゃ困るんや。
 多くのモンがそれを望んどる!!」
「誰だよそれは!!」
「スレの住人とか?」
「いやあいつらが望んでるのはそっちじゃないと思う!」
「そんなん僕が知るかいな!!」
「逆切れかよ!!!!」
 近野は自分が夢の登場人物だと言う。
 すべてはまやかし、まぼろしだと。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
132 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:49:59.51 ID:SV4Ek/U90
 ……その楽しそうに笑う近野の姿に、俺は彼の中に空虚なものを感じた。
 自暴自棄というか、しかし何かを求めてやまないというか……なんかうまく言えないのだけど。
 近野は、そう言いながら俺に攻撃をしかけてくる。
 そんな中、俺は、これだけは言わないといけないと思った。

「……近野!」
「なんや」
「全ては夢で幻でまやかしだと言ったな」
「ああ、そうや。それがどないしたか!」
 俺は、近野を見据えて言う。

「俺にとってお前は夢の登場人物じゃない」

 これだけは、言わないといけないと思った。

「みんなをただの鏡像と思ったことは、(仮面ライダーごっこ用の怪人や戦闘員たちやさっきのホモ生贄用のDなどを除いて)ただの一度も無い」
 だけど、それでも……
「だけどそれでも、ここは俺の夢だ、俺の世界だ。ここがお前の地獄、お前そのものだとしても……
 今、俺が見ている俺の主観認識世界だ。だったら……」

 強くイメージする。強く認識する。強く設定する。強く定義する。

「近野左近児! お前は悪魔じゃない、地獄じゃない、魔王でもなんでもない!
 ただの性悪狐だ!」
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
133 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:50:56.46 ID:SV4Ek/U90
 さっきから支離滅裂に思いついた設定をべらべらと押し付けて、つまらないにもほどがあるだろう。
 リアル中二ならそういうのに盛り上がって燃えたかもしれないけど、あいにく俺はそこまで餓鬼じゃない。
 ……少年の心は捨ててないとも思うけど。

「九栗だってそうだ。お前が勝手にホラ吹いた、金毛白面九尾狐の娘という荒唐無稽な設定は却下する。
 ただのかわいい狐っ娘で、俺の女だ!」

 過度な装飾はリアリティを無くすと思うんです俺は。

「俺は選ばれし者じゃない、特別な者じゃない、英雄でも勇者でも何でもない。
 お前が勝手にどんな妄想を演出しようとしているか知らないが、俺はただの人間だ!」

 世の中に不思議なことはたくさんあるし、人間の心、魂、存在そのものが一番不思議だと俺は今までの体験で知った。
 そして人間そのものが不思議で特別であるなら、そんなのは全世界に何十億と溢れている取るに足らないものだ。
 少なくとも、俺と俺に関わるものだけが不思議で特別で素晴らしいものなんかじゃあない。
 俺はただの人間で。

「お前は、ただの」

 討ち滅ぼすべき邪悪でも地獄でも何でもなく。

「ただの人間に追い払われるだけの動物霊に過ぎない!!」
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
134 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:53:10.78 ID:SV4Ek/U90
 真実がどうなのかは知らない。どうであろうと、検証なんてできっこないのだ。
 近野が言っているただのホラかもしれないし、もしかしたら俺が心の中で望んでいる、俺を主人公とした英雄譚なのかもしれない。
 あるいは、本当に近野は大悪魔の一部、地獄の顕現なのかもしれない。
 その事実は、見えない世界のものである以上、検証なんてできない。
 だったら、俺は俺の真実を押し付ける。そうだ近野、間違いなくここは俺の夢だ。
 お前は俺の夢じゃない、だけど俺の夢に侵入して活動しているなら、俺に定義され影響を受ける事は必至。

「は、ははははは、ははははははははははははははははははははははははははは」
 近野が笑う。そしてその姿が変化する。
 魔王然としていた姿から、半人半獣の狐の姿に。
 なんともまあ、サービス精神旺盛な演出家だろうか。こっちが考えていなかった以上の事を反映させてくる。

「なら、それでええわ」

 獣が唸る。

「どのみち、本気の戦いはできそうやからなあ!!」

 そして近野が襲い掛かってくる。
 その時――

「危ないっ!!」
 そう、俺と近野の間に割り込んでくる人影。
 九栗だった。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
135 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:53:51.63 ID:SV4Ek/U90
「な……っ!?」
 その姿に動揺したのは、俺ではなく近野。

 全く予想していなかったのだろう、それはそうだ。近野にとって九栗は、俺が近野を倒したときに与えられる賞品、囚われのお姫様だ。
 決着もついていないのに現れる。その事実に近野は驚愕する。
 しかし俺にとっては、それは完全に想定内。というか……

 目の前の九栗は、俺が創ったものだからだ。

 九栗そのものの姿は作れないし、作って囮にするのはさすがにアレなので、顔はへのへのもへじのかかしだったが。というか、体も中身は綿がつまっているダミーである。

 よって、まるごと真っ二つにすることに躊躇は無い。消すという手間もかけることなく、草薙剣を振り、叩きつけた。

 壁に叩きつけられる近野。それを折って俺は走り、
「んがあああああああっ!」
 剣を、近野の腹に憑きたてた。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
136 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:55:27.00 ID:SV4Ek/U90
「なんちゅう……こすっからい手や。ヒーローの風上にもおけんやろ……」

 仰向けに倒れて、近野が笑う。獣の顔は元の姿に戻っている。
 俺は九栗を傍らに、近野を見下ろしていた。

「だから俺はヒーローじゃないしな。知ってるか、最近はそういうのがはやりなんだよ」
「知るかボケ。陳腐な王道ヒーローはいつだって大人気やろ」
 こっちこそ知るかボケ、だと思う。

「だからお前は陳腐な悪党、か」
「そうや。どうや、楽しめたやろ」
「全然。楽しくない」
 素直な感想だった。
「嘘こけや。僕と戦ってる時のぼん、楽しそうやったで? 男に生まれてヒーローに憧れん奴ぁ、おるもんかいな。
 みんな諦める、現実を知って身の丈に合わせて生きる。それが悪いとは言わん、だけどな……
 夢でぐらい、楽しめばええやろ」

「だから押し付けだって。俺はな、ここで織姫たちとイチャイチャできてればいいんだよ」
「ああ、それもええなぁ。それなんてエロゲ、ハーレム万歳。虹嫁最高! だけどな、それやと……僕には困るんや。だってな」

 近野は、笑う。

「それやと、僕が君と遊べへんやろ?」

 そして、そのまま……近野は動かなくなった。

 浄土は消える。
 ハリウッド映画のような崩壊ではなく、ゆっくりと消え去っていく。幻想的に。
 それを俺と九栗と、織姫たちは見守る。
 九栗は、この地獄から解き放たれた。俺もまた同じだ。
 この地獄そのものが消える事は無いのだろう。だが、俺は、俺たちはおそらくは、もうここに来ることは無いのだろう。
 悪夢は、醒めたのだから。
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
137 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:56:16.00 ID:SV4Ek/U90
「……という展開はどうやろか」

 ちゃぶ台でロールケーキを突きながら近野が言う。
 場所は俺の世界の俺の屋敷である。

「随分盛ったな!?」
「なんやねん、大半はこんな感じやったろ」
「基本の出来事はそうだが色々と脚色しすぎだ」
「ええやん。こういう流れでスレに頼むで」
「こんな恥ずかしい展開で描けと!?
 ていうかなんで普通にいるんだよお前!?」
「僕とぼんの仲やろ、細かい事いいっこなしや」

 もうどこから突っ込めばいいのかわからなかった。
 ていうか悪夢は醒めてなかった。色んな意味でな。


「そもそもお前のところのあのエロ地獄、抜けようと思えば簡単に抜けられるだろ」
 具体的に言うと賢者モードになったりした時とか。
「ま、来るもの拒まず去る者追わずやしね」
「それ本当に地獄か?」
「エロイコール地獄やからなあ、耶蘇では。そこんとこ僕納得いかんのやけど」
「お前どんだけエロ好きなんだよ」
「エロだけやないっちゅーねん。あらゆる快楽、娯楽大好きな遊び人なだけやで?」

 それは身をもって嫌と言うほど体験した。
 しかし確かに、近野のいる地獄からは、抜けようと思えば普通に抜けられる。
 そして行こうと思えばやっばり普通に行ける。
 地獄と呼ぶにはあまりにもゆるい世界だった。 
俺の体験した怖い話をします 勝手に2スレ目
138 :1@転載禁止[]:2014/04/13(日) 14:56:46.51 ID:SV4Ek/U90
「私も、簡単に出られるとか思ってませんでした……」
「あーんもう、九栗ちゅわんは素直やねぇ」
 しなを作る近野。キモい。
「九栗は素直すぎる。たまには怒ってこいつぶん殴ればいいのに」
 織姫が言う。
「で、でも私にとっては父親のような存在ですし……」
 こんなんが親父でよくグレなかったな。
「はあ。まったく、だから関わるなと言ったのだ阿呆……この手の性悪狐は振り回されるだけだぞ」
 織姫がため息をつく。はい、全く持ってその通りでした。
 
「うーん、僕は現世でも通じる才能あると思うんやけど」
「無いな。陳腐すぎる」
 俺は言う。改めて思い出してもいろいろとひどかった。
 近野の脚色もそうだが、あれは脚色しなくてもまあひどかったし。
 衆道地獄とか二度と思いだしたくもない。
「なんや、まだ怒っとるんかいな」
「そりゃ怒るっつーの」
「勘忍してや。今度またええ娘紹介するから、今度は西洋っぽい悪魔っ娘で、どや」
「いい加減懲りろ!」


終わり
炭酸水うますぎワロッタwwwwwwwwwwwwwwww
4 :名も無き被検体774号+@転載禁止[]:2014/04/13(日) 19:42:24.63 ID:SV4Ek/U90
うまいよな、ケース買いしてるわ
好きな種類とかある?


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