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名も無き被検体774号+
チキンな俺に2度も告白させるひどい女の話をする

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チキンな俺に2度も告白させるひどい女の話をする
1 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 19:44:54.50 ID:Vnr8HlPi0
初心者だし、支離滅裂なこと書くかもしれんが、語ってく
チキンな俺に2度も告白させるひどい女の話をする
4 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 19:51:29.41 ID:Vnr8HlPi0
俺のまだ短い人生についてもちょいと話させてくれ。
俺はごくごく平凡に生まれ、ごくごく平凡に育った。母親は18、19で俺を産んでくれた。
本当に感謝してる、でもときどき「人生の半分以上を俺が奪ってはいないか」と不安になるときもある。
父親は母親より9つも年上だった。斉藤和義とか、奥田民生とか、なんとなく枯れた、というか哀愁漂う、というか。
贔屓目なしにしても親父はかっこよかった。
チキンな俺に2度も告白させるひどい女の話をする
5 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 19:52:50.13 ID:Vnr8HlPi0
>>2ありがとう、遅いけどきいてってくれ。初めてのスレで緊張してるんだwww
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8 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 19:56:48.66 ID:Vnr8HlPi0
そんな両親のもとですくすく育ち、俺は幼稚園に通うようになった。
物心ついたのもそのぐらいからだ。友達もいたし、先生も優しかった。幼稚園はとても楽しかった。
ただ。家ではたまに親父が、お袋のことをたまに怒鳴っていた。小さかった俺にはとても怖くて、時たま変な夢でうなされることもあった。
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9 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:01:14.84 ID:Vnr8HlPi0
>>6、7 ありがとう!頑張ります。
俺の親父は、気分屋のようだった、と今思う。
家ではいつもパソコンかゲーム、もちろん3人で行楽地に連れてってもくれたが。
でもやっぱり、2ch風に言うなら、親父はDQN、っぽかった。親父のことを悪く言うつもりは決してないが。
正確には、「子どもっぽかった」かな。
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10 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:05:25.18 ID:Vnr8HlPi0
幼稚園も年長あたりに差し掛かると、家での親父は、お袋により強く当たるようになってたと思う。
風呂に入って着替えが用意されてなかったらお袋にあたったり。
今なら、「何でそんなことで」なんて言えたかもしれんが、当時の俺にはやはり怖かったし、
それに、子どもの俺には全然そんな風にはあたらないんだ。俺のまえでは常に格好良い父親だった、と思う。
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11 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:09:15.12 ID:Vnr8HlPi0
幼稚園を卒業して、俺は小学生になった。家をちょっと引越して家がちょっと広くなったり、
妹ができたりした。学校でも、初めて友達になりたいと思ったやつに話しかけられなくて、
おふくろに「うちの子と話してあげてくれない?」なーんて言ってもらっていた。そうです、この頃からチキンだったんです。
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12 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:15:19.34 ID:Vnr8HlPi0
小学校でも一人友達ができたらあとは簡単、バイオハザード的に友達も増加していた。
このころはまだ学校が純粋に楽しかった。今も楽しいけどねw
でも、その分やっぱりうちに帰ると、おふくろと親父が口論になっていて、
「自分の大好きな二人が喧嘩しているなんて…」と、一人で耳をふさいでいた。
そのうえ、新しくできた妹のことばかりを両親は気にかけて、俺のことはほぼ気にしなくなっていた。かまってくれ盛りの俺、当然面白くない。
俺はうちでだんだん話さなくなってきていだ
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15 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:21:09.86 ID:Vnr8HlPi0
>>12 だじゃなくてた、だ。大変申し訳ありません。
そんな俺のことを気にかけて、遊んでくれたのがお袋の母さん、つまりばあちゃんだった。
ばあちゃんはそんな俺にブーブークッションを仕掛けたり、俺がドアを開けたらすぐ目の前に立っていて驚かされたり(このあと俺、驚かされるのが嫌いなため、一人でうちの車にこもる。ばあちゃんは必死で平謝りしてくれた。ばあちゃんごめん)、とっても愉快な人だ。
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16 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:22:57.14 ID:Vnr8HlPi0
>>13,14 申し訳ない、ちょっと焦っててな。
すっ飛ばそうか?
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17 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:27:30.93 ID:Vnr8HlPi0
俺が3年生になったある日、ばあちゃん家に泊まりに行こうとお袋が言った。
俺は何の疑問も持たずについていって、そして数日後、何事もなく帰宅した。
親父の姿が見当たらなくて、不安になった俺にお袋が言った。
「もしお父さんがいなくなったらどう思う?」って。未だに覚えてる。
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18 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:31:52.35 ID:Vnr8HlPi0
そのときの俺は、親父とお袋は少しの間だけ別々に暮らすもんだとばかり思っていた。
「いつか帰ってくる」と胸のなかで繰り返しながら、何度も同じ季節が流れた。
俺は小学校を卒業して、中学へ入学した。小学校での友達もたくさんできていた。
でも親父は、帰って来なかった。
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19 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:37:28.70 ID:Vnr8HlPi0
中学での俺は、部活にも入って新しい友達も作って、以前よりずっと楽しい生活を送っていた。
それで、申し訳ない、ちょっとずつ本題に入ってくる。
俺は2年に進級し、そいつと出会うことになる。ただ、これは決して本人には言えたことじゃないんだか、
第一印象もなにも、正直、「きれいな人だな」としか思ってなかったんだよなあ。
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20 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:41:53.98 ID:Vnr8HlPi0
そいつとはずーーっと何にもない。ただのクラスメイト同士として、必要最低限の会話しかしていなかったし、
そいつは部活もバリバリ成績上位、かたや俺はベンチ。ひたすら声出し。恋心どころか尊敬の念すら抱くことを許されないような、
とにかく俺にとって彼女は、ただのクラスメイトだったわけだ。
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22 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:46:08.85 ID:Vnr8HlPi0
そんなどうでもいいような毎日を過ごしていたが、空の青かったある日、
ふと「あ、もう無理だ」と思った。
糸がぷつんと切れたような、人として生きることもめんどくさくなったような気分だった。
理由もそのときはよくわからなかった。
ただ、その日を境に、ひと月に1度は必ず学校を休むようになった。
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24 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:51:23.94 ID:Vnr8HlPi0
>>21 すまんな、頑張る。
このよくわからない気分は何だ、と考えながら、無理を押して学校に来ていたある日こと、席替えをした。
俺の席は、彼女のひとつ後ろになった。
明るく快活な彼女なら、気も使わずに楽でいいか、と思った。
そしてその日の給食のとき、彼女は俺に話しかけた。
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25 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 20:55:49.68 ID:Vnr8HlPi0
>>23 ありがとな。
彼女「ねぇ、レイブンクローの名前ってなんだったっけ?」と。
あまりに唐突に、しかも素っ頓狂なことを聞くもんだから、俺はむせ返ってしまった。
ちなみにヘレナ・レイブンクローはハリーポッターの登場人物である。
おかしなことを言う女だ、そう俺は思った。
それから、気がついたら目で彼女を追っていた。
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26 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:00:43.45 ID:Vnr8HlPi0
目で追って行くうちに、彼女の人間性がとてもよく伝わってきた。
食べ方も、話し方も、歩き方も、なにもかもきれいな人だった。
今迄彼女のことについて、「俺とは関係のない人だ」と完全にシャットダウンしきっていたが、
2年の終わりの今更、やっと気が付いた。俺の初恋はこの素っ頓狂だけどかっこいい、おかしな女にまんまと持って行かれたのだ。
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28 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:05:48.60 ID:Vnr8HlPi0
友達から、一斉送信のメールが来た。中身は掲示物についてのどうでもいいことだったが、知らないメールアドレスが目についた。
いぶかしく思った俺は、そのアドレスだけに、メールを送ってみた。
「お前は誰だ」、と。
返信は思いもよらぬ、その彼女からだった。
「あたしですけど」、と。
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30 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:14:05.38 ID:Vnr8HlPi0
>>27 すまん、なんか癖なのかね。
俺は必死になって何通かメールをつないだ。照れくささと、恥ずかしさだけは必死で隠した。
やはり、というか、俺はチキンなので、ここで彼女のメールアドレスを手にしていなければ
おそらく一生彼女とメールなんかしなかっただろう。
そこから先は、一生懸命アタックした。
「どーせ告ったところでふられんだしー」と思って、色々なことを2人で話した。
彼女は俺の言ったことでよく笑ってくれたが、でもどうせ眼中になんかないんだろうな、と1人で落ち込んでいた。
そうやって俺の2年生は終わった。
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32 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:20:21.15 ID:Vnr8HlPi0
>>29 がんばってみるぜ
春休み、ひょんなことから俺は2週間、海外へ留学することになった。
春休み前、俺はクラスメイトや部活のやつらからは土産をねだられ、そして彼女からは熱い握手をいただいた。
ただ握手しただけだったけど、なぜかとても嬉しかった。
まあ結局、友達と毎日メールはできたし、そうなると彼女とも毎日メールしちゃうよね。
時差がかなりあったため、俺は毎日寝不足になりながらメールしていたが、不思議と疲れは感じなかった。
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33 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:27:37.38 ID:Vnr8HlPi0
>>31 まあ気楽に聞いてくれや。
TVの中だけにあったものが、海外に出てみると、自分の眼前に広がっていて、
「世界は広いんだか狭いんだかよくわからんなあ」と思った。
その風景を写真に撮って、彼女との毎日のメールの口実にした。
「すごいね!」なんて言い合いながら。
そして、帰国の前の日、俺はそれとなく明日飯に行かないか、と誘った。
彼女は「ホントに? 奢ってくれるならぜひw」なんて言っていたが、
最後の最後に「でもやっぱり疲れてるでしょ? また今度ね!」とかわされて、
やっぱり脈もクソもないなあ、と落ち込んだ。
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35 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:33:41.48 ID:Vnr8HlPi0
そして春休みが明け、始業式の日、俺は迷子になりながら手に入れた茶菓子を1人1人に手渡し、そしてとてもありがたがられ、
彼女からは「これが迷子になりながら手にしたブツねwww」と笑われた。
そうして、新年度、クラス替えが行われた。当然、というべきか、俺と彼女は別々のクラスになった。
俺は時差ボケで軽く体調を崩し、学校を休んだ。
それからしばらく、学校に行けない日が続いた。
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36 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:36:55.99 ID:Vnr8HlPi0
>>34 覗いてくれただけありがとう。
2年生のときはなんとかごまかしながらやってこれていたが、限界だったんだろう。
本当に外に出ず、人と会いたくないと思う日々だった。
外の世界と俺をつないでいたのは、彼女とのメールだけだった。
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37 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:42:00.08 ID:Vnr8HlPi0
お袋には、焦らなくていいから、ゆっくり原因を探せと言われた。
この時の対応にはほんと感謝している。一生かかっても返しきれない。
学校に行かなくなって、なんとなく原因が見えてきた。
2年生のときにした部活でのちょっとしたケンカだったり、彼女との問題だったり、
一番は家族に何も話さなくなったことかもしれない、と。
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38 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:46:10.01 ID:Vnr8HlPi0
最初に書いたとおり、俺は妹ができてからあまり家族にかまわれなくなった。
そのうえお袋は片親で俺たちを育ててくれたし、俺の個人的な話なんかはなすべきじゃないと思ってた。
今振り返ってみるとこれも気持ち悪いけど、この時は理由でもないとやっていけなかったんだなあと感じる。
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39 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:50:50.69 ID:Vnr8HlPi0
そんな風に、学校に行っていなかった俺のことを彼女はずっと心配してくれた。
ときには彼女から悩みを相談されたりもした。
なんだかそんなことがこの時はとても嬉しかった。でも脈はないんだろと思いながら。
やけっぱちで、もう一度デートしてくれ、と彼女に言った。
「冗談じゃなければ、ぜひ!」、が彼女の返事だった。でもやっぱり脈はないんだろ、と思った。
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40 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 21:57:17.06 ID:Vnr8HlPi0
当日、彼女は集合場所に、とても動きやすそうな服装で立っていた。携帯をいじりながら。
俺は「ああ、もうダメかもわからんね」と思った。
その日、俺たちはゆっくり色々な話をしたり、俺の見たかった映画を見たりした。
ずっと手を繋ぐ機会を伺っていたが、結局そんなものは1度も来なかった。
ただ、帰りに花を渡すと、彼女はとても喜んでくれた。帰った後すぐに、
「飾ったよ!」なんて、写真をわざわざ送ってくれたりもした。
それでもやっぱり脈はないんだろうなー、と数日間寝込んだ。
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41 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:01:49.87 ID:Vnr8HlPi0
それからは、ちょっとずつ学校に行くようになった。部活も引退したし、ちょうどいい句切れだと思って。
彼女も、「ちょっとずつ学校来てくれて嬉しい!」なんて言ってくれた。
それにしたって結局俺は振られるんだろうから、夏休み、二人の好きな映画を見て、
帰りに告白しよう、それで振られて勉強に集中しようと決意した。
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42 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:06:41.20 ID:Vnr8HlPi0
彼女のいた部活はその夏、全道まで進んだ。
俺は彼女が会場に出発する前日、手紙と、欲しいと言っていた歌手のCDを送った。
手紙の終わりには「大会が終わったら映画をみに行きましょう、そしたら大事な話があります」と書いておいた。
彼女は、帰ったらすぐにそれを読んだらしく、
「楽しみにしてる!」というメールがすぐ帰ってきた。
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43 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:11:17.76 ID:Vnr8HlPi0
当日まで、俺はガチガチの夜を何度か過ごした。大会期間の間、晴れるようにとてるてる坊主を作ってみた。不恰好ではあったが。
そして、迎えた当日。前回と同じ場所で集合し、喫茶店で彼女の成績を聞いたり、他愛のない話をしたり、映画館の周辺を散策したりして、時間をつぶしていた。
彼女に会えるのもこれが最後かな、と思いながら。
しかし、ここでちょっとした事件が起こる。
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45 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:19:35.66 ID:Vnr8HlPi0
忘れもしない、彼女の服選びに付き合っていた時だった。
なんと、彼女の部活の後輩(男)が、メールで彼女に告白したのだ。
「ね、ねぇ…。こういうのって、どうしたらいいのかな…?」
彼女は困ったように笑った。
困り果て、憔悴し切った俺は、混乱したまま彼女の手を取って、歩き始めた。
そうして近くのベンチに腰を下ろして、俺はまだ混乱したまま
「俺がついてる」だのなんだのとほざいた。
俺も彼女もなんとかして落ち着くと、俺は彼女に向かって、
「お嬢さん、お手を繋いでもよろしいでしょうか」
カッチカチの口調でいった。返ってきたのは、
「手汗かいてるけど、それでもよければどうぞ?」
だった。
「俺も手汗かいてるからよくわからん」と言って、今度はしっかりと彼女の手を握った。
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46 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:24:41.31 ID:Vnr8HlPi0
>>44 見てくれてどうもありがとう。
結局、映画が始まるまでに、ずっと手を繋いでいた。
ずっとつないでいるわけには当然いかないが、離れた瞬間はなんだかさみしく感じた。
彼女は、「終わるまでこっちみないでよ」と言った。
俺は「なんで?」と答えたすぐ後にその理由がわかった。泣いているところは見られたくないってかい。
どちらともそれ以上は何も言わず、ただ静かに映画を見ていた。
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47 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:31:46.52 ID:Vnr8HlPi0
映画はとても素晴らしく、彼女も存分に彼女楽しんでいただけたようだった。
確かに泣ける映画だったが、好きな人の手前、派手に泣くわけにもいかず、とても辛かったことを覚えている。
帰り道、あのシーンはどーだったこーだった、と言い合いながら帰った。もう一度手を繋ぎなおすのにはやはり勇気と度胸がいった。
彼女のうちの前まで到着し、さあ言うことを言わねば、と思ったら、彼女が、
「ちょーっと待ってて!」と言った。え?ここに来て肩透かし?と思った俺は、何が起こるのかドキマギしながらただ彼女をまっていた。
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48 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:39:38.14 ID:Vnr8HlPi0
そうして、やっとこさ出てきたのは彼女ではなく彼女のお母さまであったのだった。
あまりの唐突さに驚きを隠せない俺は、お母さまに「お嬢様の同級生でうんぬん…」としどろもどろになりつつわけのわからないことを繰り返していた。
彼女がお母さまを強制退場させ、「ごめんねー…」といかにもバツが悪そうに謝った。
それで結局、彼女は遠征先での土産を俺に渡したかった、ということらしい。
「ごめんね、何にもないところで…」といって差し出したのはこれまた茶菓子だった。
あなたからであれば、なんだって嬉しいからと俺は口から絞り出した。
さて、本題だ。おれは彼女の肩を掴んだ。
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49 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:46:50.29 ID:Vnr8HlPi0
俺「え、えーっと…」
彼女「うん」
俺「あーー」
彼女「大丈夫?」
俺「あー、俺はっ、あなたのことがっ、地球の裏側からでもずっと好きでした!」(この一文をいうのに1分30秒ほどかかりました(
彼女「…ねぇ?」
俺「え?」
なんだなんだ、何が彼女の口から飛び出るんだ!? と思ったら。
彼女「心臓の音、すごいバクバクいってるよ?www」
俺、「んなっ!?」しか返す言葉がない。自分でもわかるくらいバクバクいっている。軽く酸欠状態。
「いや、その…。チキンだから…?」というと、彼女は俺の緊張を無視するかのように笑い始めた。なんだよぅ!
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50 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:52:36.82 ID:Vnr8HlPi0
彼女「いやー、おかしくってついwww」
俺「あの! まだ一番大事なこと言ってないんですけど!」緊張のあまりボリュームがおかしくなってきていた。
彼女「…。あ、そっか」
この女、一番大事な約束をしないで笑って済まそうとしていたのか!? おそろしや。
「えーっと、」と言い、俺はその場に跪いた。けど、やはり彼女は俺の緊張その他諸々を無視し、
「ちょっとっwww 普通にしてよっwww」と笑いこけている。ここまでされると俺の方がおかしいような気がしていた。いや、世の男は普通跪きなんかしないか。
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51 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 22:59:27.55 ID:Vnr8HlPi0
渾身の一撃をヤツにかましてやった。
「好きです、付き合って下さい」
返事は「こちらこそ、よろしくお願いします」
だった。あれ? え? 返事はノーじゃないのか?
混乱していた俺もよそに、俺の体は勝手に彼女を抱きしめていた。
俺「俺、今の今まで振られると思ってた…」
彼女「好きじゃなかったら、2回も映画なんかいかないし…」
はぁ。さいですか。
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52 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:04:35.35 ID:Vnr8HlPi0
その日は、夜も遅かったので、すぐに解散した。帰り道は幸せエネルギーが有り余ってたから全力疾走だったけどな。
その日のメールは、お互い今まで言えなかったぶん、少しだけ「好きだ」と言いあった。
そんなわけで、俺たちの長い夏休みは始まった。これまで以上に色々なことを話したり、動物園に行ってみたり、とカップルらしいことをしてみた。
なんやかんやで、夏は案外早く過ぎていってしまった。
そして、俺は彼女に依存しすぎてしまっていた。
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53 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:10:14.21 ID:Vnr8HlPi0
学校が始まって、学力テストなんかのせいで、俺たちはほとんど会えなくなっていた。
その上に学校祭なんかかぶっちゃうものだから、帰りも一緒に帰ることがなくなっていった。
俺は、あの時に放ったらかしておいたままだったモヤモヤしたやりきれない気分を、彼女と会えない間募らせていた。
どうしようもなく寂しくなったりした。彼女へのメールで、彼女に何度も迷惑をかけた。
そして、俺たちはそんなどうしようもない状況のまま、お互いに傷付けあった。
そして、別れは思っていたよりずっとずっと早く来た。
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54 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:17:49.27 ID:Vnr8HlPi0
ある秋の日、俺は学校に行けなかった時のような、どうしようもない状態になってしまった。
メールを送っても返事はない。ふと我に帰る。
「もう終わりにしたほうがいいんじゃないか」、と。
そんなとき、彼女から返信がきた。
「ごめんね。忙しすぎて返事できないの」
そうか、と思いながら、別れた方がいいと思っている自分と、別れたくないと思っている自分がいた。
俺はどうしようもない男だった。
「わかってる。けど、もうなんて言っていいかわからない」と返信した。
彼女からの返事は、
「本当にごめんなさい。今のあなたに答えられない私が私は嫌いなんです。
もう終わりにしよう?」だった。
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55 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:25:01.98 ID:Vnr8HlPi0
俺は本当にダメな男だった。すぐに電話をかけ、彼女はすぐに出た。
何を話したかはもう覚えていない。ただ、彼女の言った、
「絶対なんて言葉を使う人は嫌い」
「人としては好きだけど、恋人としては…」
そして、「ごめん…」と言ったあと、俺の聞いた「俺のこと、嫌いになった?」という問いに対して、
「嫌いになれるわけないでしょ…!」と答えたとき、俺は彼女にどれだけのことをしたのか、そして彼女の痛みにどうして気づいてやれなかったのか、と自責の念ばかりが浮かんできた。
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56 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:28:57.04 ID:Vnr8HlPi0
最後に、彼女が「あっ」と漏らした。
「なんかあったか?」と俺が聞くと、
「借りてた本を返さないと…」と彼女が言った。ああ。確かに、一冊貸していたが…。
「いいよ、もうやるよ」
「いや、返さないとふっきれないから…」
そうか。なら、明日会おうか。
今までで一番悲しい約束だった。
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57 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:35:28.46 ID:Vnr8HlPi0
外はもう寒く、冬の訪れを感じさせていた。
昼過ぎ、彼女が来た。
「おはよう」
「おはようございます」
ただのあいさつも、最後かと思うと途端に悲しくなった。
「じゃ、これ…」
「ん、確かに」
「うん…」
「…言いたいことあんなら、今のうちだぞ」
「うーん、昨日のうちに全部言っちゃったからなあ…」
「…俺はある」
俺はそう言って、彼女を抱きしめた。あー、これで最後か、悲しいなー。
気丈を振る舞わないと、切なさで押し潰されそうだった。
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58 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:44:24.76 ID:Vnr8HlPi0
「俺から、2つだけ約束してほしい。」
「…多いなw」
「いいだろ、最後なんだ」
「うん…」
「一つ目は、あなた自身のことも、俺のことも、嫌いにならないこと。いい?」
「うん。もうひとつ、のまえに、一つ聞いていい?」
「何を?」
「高校のこと。ずっと避けてたでしょ?」
「…よくわかったな」
「わかるよ。それでね、私の志望校は…」
彼女は、そこで、志望校に入るためにはランクが少し足りないこと、もっと勉強しなければならないことを俺に告げた。
俺もまた、彼女と同じ学校を志望していることを告げた。
「やっぱりか。そうだと思った」
彼女は言った。なんだい、こいつエスパーかよ。
「んじゃあ、もう一つの約束、いいか?」
「うん。いいよ」
チキンな俺に2度も告白させるひどい女の話をする
59 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:52:01.36 ID:Vnr8HlPi0
「俺、もっと…。あなたと釣り合うような男にならなきゃいけないなと思って」
「うん」
「だから、全部終わったら…、もう一度好きだって言いに行くから…」
「その時には好きかわかんないよ?」
「じゃあもっかい好きにさせます」
「そっかww …」
「え? 今なんて?」
「ううん、わかったよ。じゃあ、またね」
「ああ」
彼女が手を振りながら遠ざかっていく。そして、一度前を向いたきり、もう後ろは振り返らなかった。
ああ、なんだこいつ、すごくかっこいいじゃんか。俺はそう思って、もう一度、彼女に惚れてしまった。
チキンな俺に2度も告白させるひどい女の話をする
61 :名も無き被検体774号+[]:2014/03/12(水) 23:57:39.91 ID:Vnr8HlPi0
それから、俺は自分と向き合ってみた。人のせいにばかりしていられない。
学校にも、その日からは毎日行き続けた。
俺は1人で受験会場を下見し、1人で受験した。
合格かどうかはまだわからんが、いずれにしても後悔はない。


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