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名も無き被検体774号+
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再

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アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
139 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:07:32.83 ID:lzRw6Mpe0
9月上旬

セミB「‥‥空が青いな」

セミC「今曇りだろwww」

セミA「今の空は灰色なんだが」

セミB「お前ら少しは夢見ろよwwwwwww」

セミA「お前は少し眠れよ、ずっと騒ぎっぱなしじゃねーか」

セミC「まったくだ、やかましくて眠れやしない」

セミB「みーんみんみんみんwwwww」

セミA「‥‥お前は冬も越せそうだな」

セミB「このままどこか飛んで行けそうだぜーwwwwwww」

セミC「‥‥よく言うよな、もう飛ぶ力なんか残ってないくせに」

セミB「俺ら全員なwwwww」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
140 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:14:32.17 ID:lzRw6Mpe0
セミB「にしても、俺たちがこの地上に出たのが1週間前とは思えないな」

セミA「いきなりだなwwww」

セミB「いいだろwwwww昔を振り返ろうぜwwwww」

セミC「‥‥お前、自分だけミンミンゼミで嘆いてたよなwwwww」

セミA「あぁー!あれは確かに驚いたわ、Bのあの顔www」

セミB「‥‥ミンミンゼミかっこいいからいいだろが」

セミA「‥‥まあな」

セミC「あぁ、そうだな」

セミA「それからいろんな虫と会ったよな」

セミB「カブトムシにツクツクボウシにスズメバチ、だっけか?」

セミA「お前が毎回粗相を仕出かすからヒヤヒヤしてたよ」

セミC「俺なんて何度殴ろうと思ったか」

セミB「ひっでぇwwwwwww」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
141 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:22:08.62 ID:lzRw6Mpe0
セミC「それから一丁前に俺を庇って捕まったよな、こいつwwwww」

セミA「頭がきれる奴なのか空っぽなのかわからんな」

セミB「いやきれるきれる!」

セミB「‥‥にしてもよくあんな作戦思い付いたな」

セミA「まあな」

セミC「カブトムシを囮にして蓋を開けたところをスズメバチで威嚇」

セミA「その間に俺とCで救出、か」

セミB「悪知恵が働く辺りに育ちの悪さが滲んでるな」

セミA「同じ土の中出身だろうが」

セミB「忘れてたwwwwwww」

セミB「それから今度はCがクモの巣なんかに引っ掛かってたよなwwwwwww」

セミC「‥‥あれは死を覚悟したよ」

セミB「それを見捨てて飛び去るAが許せなかったよ、俺は」

セミC「そうか?俺でも飛び去ったな」

セミB「まさか俺が捕まった時も飛び去る気か?」

セミC「聞くだけ野暮」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
142 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:29:07.58 ID:lzRw6Mpe0
セミA「まだ俺のことが許せないか?B」

セミB「聞くだけ野暮」

セミB「‥‥なわけないだろ」

セミA「え?」

セミB「今ならわかる、お前の気持ちも、あの状況で自分を見捨てるように頼んだCの気持ちも」

セミC「‥‥結果的にニンゲンに助けてもらったけどな」

セミA「どうだ?C」

セミC「なにがだ?」

セミA「その‥‥ニンゲンに対する気持ちは変わってないのか?」

セミC「‥‥‥そりゃ、な」

セミB「まあ普通はそうだ」

セミC「‥‥‥」

セミC「でも‥‥ニンゲンすべてが悪ってわけでもなさそうだ」

セミA「あぁ、そうだな‥‥‥」

セミB「それから今度は」

セミC「冷静沈着のAが捕まったんだよなwwwww」

セミA「そんなこともあったな‥‥」

セミB「一昨日のことだろwwwwwww」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
143 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:33:43.16 ID:lzRw6Mpe0
セミA「今度はCに助けてもらったよな」

セミB「俺は!?ねぇ、俺は!?」

セミA「あー‥‥はいはい、ありがとな」

セミB「いいってことよwwwwwwwww」

セミA「つくづく幸せな奴だよな、お前って」

セミB「それより、まさかCが生きてるとは思わなかった」

セミA「俺もだ」

セミC「‥‥俺が一番驚いてるよ」

セミB「Cの作戦も、なかなか秀逸だったよな」

セミA「まさか助けてくれたニンゲンを利用するとは」

セミB「悪知恵が働く辺‥‥‥」

セミA「だまれ」

セミB「wwwwwwwww」
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144 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:38:00.43 ID:lzRw6Mpe0
セミA「こうして考えるとさ、この1週間にいろんなことがあったよな」

セミB「‥‥そうだな」

セミC「みんな1度は死を覚悟してるんだよな」

セミA「‥‥‥あぁ」

セミC「お前ら、死ぬのは怖いか?」

セミB「それ、もうすぐ死ぬ奴に聞く言葉じゃねーよ‥‥」

セミC「お互い様だ」

セミB「‥‥俺は怖くないよ、こうやってお前らの隣で死ねるならな」

セミA「なんか最期だけかっこよくね?」

セミB「いつもだろ」

セミC「ないな」
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145 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:44:45.17 ID:lzRw6Mpe0
セミA「‥‥‥」

セミB「‥‥‥」

セミC「‥‥‥」

セミB「‥‥綺麗な空だ」

セミC「‥‥灰色、でもか?」

セミB「あぁ、灰色でもだ」

セミA「そうだな‥‥綺麗な空だ」

セミC「‥‥本当だな」

セミB「‥‥さて、俺はなんだか眠くなってきたわ」

セミA「‥‥‥‥そうか」

セミC「あんだけはしゃいでたからな、疲れたんだろ?」

セミB「あぁ」

セミA「また会えるよな」

セミB「‥‥くさいセリフだな、当然だろ」

セミC「お前もくさいなwwwww」

セミB「wwwww」

セミB「‥‥‥楽しかったなぁ」

セミA「俺もだ」

セミC「お前がいてくれたからだ」

セミB「‥‥‥‥‥‥‥そうか、そりゃ良かったよ」

セミB「‥‥‥‥ありがとう」

セミB「‥‥」

セミB「‥」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
146 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:49:58.73 ID:lzRw6Mpe0
セミC「‥‥‥‥眠ってるみたいだ」

セミA「バカ‥‥眠ってるんだよ」

セミC「‥‥そうだな」

セミC「‥‥‥」

セミC「なぁ、A」

セミA「ん?」

セミC「さっき、ニンゲンへの気持ちが変わったかって俺に聞いたろ?」

セミA「あぁ‥‥聞いたな」

セミC「ニンゲンにもたくさん種類がいると思ったんだ、俺は」

セミA「ほう」

セミC「俺たち虫のようにさ、優しい奴もいて、嫌な奴もバカな奴もいる」

セミC「俺がニンゲンを悪だと決めつけていたのはさ‥‥きっと」

セミC「‥‥虫が嫌いだって言ってるのと同じようなことなんだろうな」

セミA「優しい奴、嫌な奴、バカな奴‥‥か」

セミC「ニンゲンも、悪くないかもな」

セミA「‥‥そうだな」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
147 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 00:57:50.55 ID:lzRw6Mpe0
セミC「正直言うと、俺、死ぬのが怖いよ」

セミA「‥‥そうなのか?」

セミC「あぁ、Bは大丈夫なんて言ってたけどよ」

セミA「‥‥眠るみたいなもんさ」

セミC「お前らとこうして会えないと思うと‥‥」

セミA「なにいってんだよ、また会えるだろ」

セミC「‥‥そうだよな、会えるよな」

セミA「当たり前だろ!また3匹で大空を舞おうじゃねーかwwww」

セミC「‥‥楽しみだ」

セミA「だから、また会おう」

セミC「‥‥これは嘘ついたら針千本だな」

セミA「飲んでやるよ、何本でも」

セミC「‥‥‥俺、お前やBと友達になれてよかったよ」

セミA「俺もお前と友達になれてよかった」

セミC「‥‥‥‥」

セミC「‥‥‥ありがとう」

セミA「気にすんな」

セミC「‥‥‥‥‥」

セミC「‥‥おやすみ」

セミA「あぁ、朝はちゃんと起きろよ」

セミC「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥おう」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
148 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 01:07:06.88 ID:lzRw6Mpe0
スズムシ「‥‥‥そうだったんですか」

セミA「あぁ、あれから2日経ったけどさ‥‥俺だけ長生きしちゃってるよ」

セミA「あいつらあっちで元気にやってるかな」

スズムシ「やってるんじゃないでしょうか、きっと」

セミA「だといいんだけど」

セミA「あいつら昔からバカな奴でさ」

スズムシ「‥‥はい」

セミA「ほっとけない奴らだったんだよ」

スズムシ「‥‥はい」

セミA「俺、地上での暮らしも好きだけどさ」

セミA「まだ俺たち3匹が幼虫だった頃も‥‥好きだった」

セミA「まだこれからの未来を想像してさ、はしゃいでた頃が懐かしいよ」

スズムシ「‥‥‥そうですね」

セミA「‥‥今日は秋のよく晴れた日だ」

セミA「綺麗な秋晴れ、空が青いな」

スズムシ「‥‥もう、季節が変わってしまいましたから」
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
149 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 01:17:07.12 ID:lzRw6Mpe0
セミA「こんな景色を2匹にも見せたかった」

スズムシ「きっと見ていますよ」

セミA「‥‥そうだといいな」

スズムシ「えぇ、絶対見てます」

セミA「‥‥そろそろ眠くなってきた、外してくれないか?」

スズムシ「そうですか、わかりました」

スズムシ「お話、ありがとうございました」

セミA「‥‥‥おう」

スズムシ「それじゃ‥‥‥お元気で」

セミA「あぁ、またどこかで会おう」

セミA「‥‥‥‥」

セミA「‥‥‥B‥‥‥C‥‥‥」

セミB『おい、何哀しそうに泣いてんだよwwwww』

セミC『まったくだ、雄だろ!しっかりしろ!』

セミA「‥‥‥‥あぁ、すまんな」

セミA「俺もさ、今からそっちに行くよ」

セミA「だからもう少しだけ、待っててくれ」


ヒラヒラヒラ


セミA「‥‥‥‥森も色を変えてるんだな」

セミA「‥‥すぅ‥‥‥はぁー‥‥‥」

セミA「‥‥‥‥よし!」

セミA「‥‥‥‥‥‥」

セミA「‥‥‥生まれてきて、本当に良かった」




ーfinー
アブラゼミ「秋のよく晴れた日」★再
150 :名も無き被検体774号+[]:2013/10/19(土) 01:18:33.97 ID:lzRw6Mpe0
終わりです
ところどころ誤字脱字申し訳ないです
保守してくれた人みんなありがとう
雑な出来になってしまいすいません
では


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