- 産まれて初めてのナンパで人生狂った
76 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/06/12(水) 19:09:26.90 ID:m9CAaXHe0 - >>70
やっぱ"やかんな"って解りづらいよな 俺の暮らす地方では"理屈の通ってない事柄で相手に因縁を吹っかける人間"のことを"やから"って言うんだ だから"やから"がそれをする行為を"やかる"と言う "やかるな"は非定型で、"やかんな"はそれが崩れた言葉になんのかな かといってこっちの地方が全員知ってるかと問われたらなんとも言えんけどw 九時以降に投下するから読んでくれてる人はもうちょい待ってな、ありがとう
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77 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/06/12(水) 19:10:11.14 ID:m9CAaXHe0 - ×非定型
○否定形 だなww
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- 30歳のダメ人間だと思いますか?
84 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 19:37:05.73 ID:m9CAaXHe0 - なんで>>1が馬鹿にされてるのか解らないな
素の文章なんだろうけど、言ってる言葉は充分に理解できるだろ? だからといって、擁護できるほど全ての人に理解してもらえるような易しい文章であるとは言えないけどさ なにが解りづらいって、>>1の文章は専門用語を挟んでいる上に抽象的過ぎるんだよ。それでも解る奴は普通に解るんだけどな とまあくどくど書いたが>>65に同意
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78 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:10:42.83 ID:m9CAaXHe0 -
待ち遠しくて堪らない第二日曜日 その間、俺は煙草を辞めた。だって彼女、どう見ても煙草が好きそうには見えないし ついでにパチンコも行かなくなった どうすりゃカメラ使っていい画が撮れるのか考えてたら休日なんて終わっちまう だからといって低収入のクズ物件なことに変わりはないんだがな そんなこんなで第二日曜日 待ち合わせ場所は街の駅前だ ここからなら歩行である程度の場所に遊びに行けるし、少し遠いくらいなら金出してタクシー使えばいい 前回よりもややおとなしめの服を身につけて、約束の十二時前に到着し彼女を待っていると、予想通りというかなんというか、ロータリーに見覚えのある黒塗りベンツが入ってきた 運転席から黒服が降りてきて後部座席を開ける様は人の目を引く 更に降りてきた彼女が俺の方に来るもんだから通行人は何者だこいつと言わんばかりの目で見ようとしている気がした 実際、黒塗りベンツの関係者をガン見できんわな 「また後に着いてしまいました」 風の中にひんやりとした空気も感じ始めるこの季節、彼女はふわふわの帽子に変えて軽く服を着込んでいた 「気にしないでください。ところで、帽子好きなんですね」 「ああ、これは……帽子がないと、恥ずかしいので」 「? なにがです?」 「なんででしょうね、恥ずかしいんですよ」 金持ち独特の、というよりは。箱入り娘独特の感性だろうか 人目に慣れていないということ? 考えてもわからん、ここはスルーでいこう。どうせ気の利いた言葉なんて出てこない 「行きましょう」 「はい」 すっと彼女は自然に俺の袖を掴んだ なぜに!? びくっと肩を震わせて距離を取ってしまったが後の祭りだ
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79 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:11:31.93 ID:m9CAaXHe0 -
「すいません、はぐれてしまったらと思うと、恐くて」 ここで友や×なら気さくに「ほなら手繋いだ方が安心するやろ?」とか言えるんだろうけど、俺はなあ。俺は童貞なんだよ 「いえ……その、どうぞ?」 離れてしまった手を差しだすも一度気にしたからか彼女は掴んでこない なにやってんだ俺はアホかアホだそうだアホだった 「……行きましょう」 「は、はい」 なんとも微妙な空気で始まった三度目のデート いや、まともなデートは今日が初めてだ 彼女の小さな歩幅に合わせてゆっくりと歩くものの、ちらりと目を寄越せば華奢な手に後悔が募る チャンスが再来すればいいんだけど、一度逃すと来ないのがチャンスだ 諦めよう、と思った矢先に彼女が通行人とぶつかって、弾かれたのを引っ張ろうと手をしっかりと握ってしまった 時が止まったような気がした 彼女の冷えた体温が手から伝わってきて、感触をより鮮明にしていく 「危ないから、繋いでいましょう」 「……」 彼女はなにも言わずに俯いて、こくりと首を振る もしかして――今日の占い、一位だったんじゃね?
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80 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:12:35.92 ID:m9CAaXHe0 -
俺よりもずっと小さな手を壊さないように握り締めて、ひとまず近場の喫茶店に向かっていた。昼時で彼女も御飯を食べていないというなら、腹ごしらえは必要だろう 真っ白な肌を紅潮させて秋に馴染む彼女は筆舌しがたいほどに可愛らしいのだが、ビルのウインドウに写る俺はいかんせんゆでダコも真っ青な具合で耳まで赤くなっていたから、迂闊に彼女の方を向けない 遠慮がちな肩幅の距離感が俺と彼女の親密度を物語っている。きっとまだ、手を繋ぐには早かったんだ だけどこれは大成功と言っていいだろ? ドッキリと書かれたプラカードはいらないけど 落ち着いた雰囲気の喫茶店に入って窓際の二人席に座った 彼女は喫茶店でさえも初めてなのか、店内をきょろきょろと見回している 「綺麗な場所ですね」 「でしょ?」 彼女に喜んでもらえたみたいで一安心 先週末、足を棒にして喫茶店巡りをした甲斐があったというものだ もちろん、俺には素晴らしい友人が三人もいるので「男二人で喫茶店巡り? 悪いけど俺は女好きやねん」と断られて一人で探索した 俺って人徳があるだろ? 泣けてくるぐらいにさ
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81 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:13:24.28 ID:m9CAaXHe0 -
現在の店内BGMは曲名までは解らんがジャズだった ジャズなんて単語しか知らんかった俺だが、あの車内で聞いたことのないような雰囲気音楽を聞いたからちょっとだけ勉強してみたわけだ 「こういうジャズは好きですか?」 「……ジャズ?」 もしかしてあの雰囲気音楽は彼女の好みじゃなかったのだろうか。今流れている音楽のことですよ、と教えると、彼女はああと手を打つ 「はい、好きですよ」 「よく聞くのはどんな音楽です?」 こういう基本情報のリサーチが後々(略 「えっと……琴や三味線等ですかね。あれはなんて名前の音楽なんでしょう」 琴や三味線をやってる人間を初めて目の当たりにした俺に聞かないでほしい 「わ……和音楽?」 それっぽい言葉を口にしてみた。でも絶対に間違ってる気がする 「ですかね?」 小首を傾げて笑んだ彼女につられて苦笑した どうやら音楽もろくに聞かずに育ったようで、徹底した箱入りっぷりに困惑する
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82 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:13:59.88 ID:m9CAaXHe0 -
彼女は事あるごとに驚いて、喜んで、それらはありありと表情に出ていて見ているだけで面白い 例えば注文したクリームパスタをフォークで突き刺して食べようとしていたから、こうするんですよとくるくるとフォークを回して見本を示すと、彼女は感嘆の息を漏らす 食事を終えてデザートにケーキを食べれば、こんなに甘くて美味しい物があったんですねと無邪気に笑った 喫茶店を出て映画館に向かう途中で、以前から興味を持っていましたと語る彼女は、映画館ではなく映画そのものが初体験だったようで、大画面のスクリーンに映しだされた映像を食い入るように見詰めていた 興奮冷めやらぬ彼女とゲームセンターに向かって、面白半分でダンレボを薦めてみれば、よほどの運動音痴なのか踏むタイミングがばらばらで、それでも精一杯にクリアしようとする彼女にほっこりと頬が緩む
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83 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:14:18.27 ID:m9CAaXHe0 -
UFOキャッチャーで二千円使い、なんとか手に入れたぬいぐるみをプレゼントしたら一生大事にしますなんて言ってくれる 彼女は今までどうやって生きてきたんだろうと、遅ればせながら考えた俺は、黒服が言っていた言葉を思い出した 生半可な覚悟でお嬢様に近づくな もしかしたらあの言葉は予想以上に中身の詰まった、手放しで喜んでいいような類の忠告ではなかったのかもしれない でも、こんなふうに一般的なデートをして、彼女が笑うたびに嬉しくなって、彼女をもっと喜ばせたくなって、調子に乗ってダンレボで滑ってコケて笑われたりして―― 自分の気持ちを思い知った 一目惚れがとっくに終わって、本当に彼女を好きになっているということを
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84 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:14:46.11 ID:m9CAaXHe0 - 「次はどこに行くのですか?」
自然に繋げた手を引いて人気の少ない路地に入っていく。俺を信用してくれているのか怯えることもなく、目的のビルに入り込んで非常階段を上っていく 「こういうゴミゴミとした街でも自然を味わえる場所ですよ」 そのビルは高校時代に友と○と×と四人で、自分達だけの居場所を探そうという陳腐な企画で見つけた 普通に雑居のオフィスが入り組むビルだが、この辺りでは一頭高く、屋上も開放されている 緑の非常扉を開くと景色は丁度いい頃合で、夕暮れが街を焼いていた 「うわぁ」 映画のスクリーンにも負けない視界いっぱいの太陽が地に沈んでいく 彼女は感動の表れなのか両腕を広げて光を浴びた
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85 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:15:50.23 ID:m9CAaXHe0 - 「凄いです、凄いですよっ」
殆ど無意識に手が自分の腰に伸びていて、今では日常的に持ち歩いているカメラを取り出す 赤に染まる彼女をファインダー越しに捉えて、光量を軽く弄って気づかれない内に何枚か撮り収めた 夕焼けに埋まる黒い影の淵は淡く陽に吸い込まれて、美麗さよりも不安や恐怖が先立つようなその一枚を彼女に見せる 「ありがとう、ございます」 にこりと微笑んだ頬に一雫の涙が伝っていく 俺が撮った世界は彼女にどう写ったんだろうな
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86 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:16:11.03 ID:m9CAaXHe0 -
「今日は本当にありがとうございました。とても楽しかったです」 「それはよかったです」 夜も近いのでお開きとなって、駅で待っていた黒服の元に彼女を送り届けた 後部座席に乗り込んだ彼女はウインドウを下げて顔を出す 「あの、よかったらなんですけど……今度は私の好きな物を紹介させてくれませんか?」 「構いませんけど、それはどういう?」 「ですので、私の家に」 「お嬢様、それは」 運転席の黒服から静止の声がかかる 俺を家に連れて行くというのは簡単な話じゃないのかもしれない 彼女はそんな黒服に目配せをして、お願い、と小さく呟いた 黒服は諦めたように頭を振って溜息を吐く 「庇いきれませんよ、それは」 「うん」 「あの、そんなに大変そうなら別に……」 「是非、是非私の好きな物も、貴方に知ってほしいんです」
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87 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:16:47.18 ID:m9CAaXHe0 -
天にも舞い上がる気持ちとはこのことだ 喜びを隠せなくて自然とブサイクな面になった気がするよ。元々か、うるせえほっとけ 「それじゃあ来月の第二日曜日。車で近くまで迎えに行きます。どの辺りがいいですか?」 「じゃあ、○○駅で」 「わかりました。少し時間がかかりますから、十一時に待ち合わせということで」 「はい」 いつもの黒塗りベンツがロータリーをぐるりと回って大通りに出る 彼女は見えなくなるまで後ろを向いて、俺に手を振ってくれていた これで期待するなって言う方が難しいよな? 手放しで喜んだって罰は当たらないよな? だから俺は一目散に友に電話して、今日のことを自慢してやろうと飲みに誘った あいつは俺の自慢話をうざったそうに流しながらも、でも聞いてくれて、最後に頑張れよと肩を叩いてくれた ほんと、ありがたい奴らだよ
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88 :名も無き被検体774号+[]:2013/06/12(水) 21:18:03.44 ID:m9CAaXHe0 - ここまで
また書き溜めておく
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