- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
541 :1@もしもし ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 08:51:18.65 ID:/3glbmBOP - おはよう!
やっと平常運転……! 幼稚園から帰ったら書くよー
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
543 :1@ ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 10:07:21.07 ID:/3glbmBOP - 側近「ここらへん、魔王様も知らないんだよなぁ……」
娼婦「魔王様も……?」 側近「ちょっと前まで、元人間って事も言ってなかったからな」 神父「何故、なのです?」 側近「別に内緒にしてた訳じゃネェぞ?わざわざ……って思っただけ何だが」 娼婦「今は知っていらっしゃる、のですよね?」 側近「ああ。アンタらにゃ当然の知識だろうけど、魔王様はそういう所疎いからな」 側近「回復や治癒魔法ってのは、人間の特権、て事を知らなかったのさ」 側近「本読むの好きな癖にねぇ……」 盗賊「姫から聞いた、のか」 側近「まあ、そう考えるのが妥当だろう。前魔王様に魔にして貰ったって話は伝えたよ」 神父「では……貴方は魔の身でありながら、回復の魔法が使える、と申すのですか」 側近「ここまで話しておいて嘘吐いても仕方ないだろ」 側近「前魔王様ってのは変わり者でな……否、魔王様も相当変わってるとは思うけど」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
544 :1@ ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 10:23:12.35 ID:/3glbmBOP - 盗賊「全く否定できない」
娼婦「……すみません」 側近「言っておいて何だが……不憫だな、魔王様」 側近「で、だ。えっと何だっけな……ああ。そうそう」 側近「俺が前魔王様に会った理由だったな」 側近「簡単に言えば……倒しに行った、んだ」 盗賊「え!?」 神父「魔王を……ですか!?」 側近「そうだよ。俺が人として生きてた時代、世界はもっと殺伐としてた」 側近「魔王は人を、人間を支配すると宣言していたし、魔物の数ももっと多かった」 盗賊「……お前、何年生きてんだよ」
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546 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 10:42:11.88 ID:/3glbmBOP - 側近「さぁなぁ……前魔王様は、1000年近く生きてたから」
側近「それ以上、は確定だな」 神父「千、年……」 側近「今でこそ『勇者』なんてモンは御伽噺扱いに近いけど」 側近「実際に居たんだぜ、勇者様ってのが」 娼婦「それは……選ばれた存在、という事ですか?」 側近「んー。と、言うより『魔王を倒してくれるだろう存在』かな」 側近「……実際に倒して居れば、本物の勇者になれたんだろうがな」 神父「では……貴方達は、魔王を倒せなかった?」 神父「……ん、ですよね」 側近「そうだよ。でなきゃ、俺が魔王様に仕えてる訳がネェだろ?」 盗賊「じゃ、じゃあ……側近が勇者!?」 側近「いやいやいやいや。違うって!攻撃魔法とか無理だったし」 側近「回復やら補助専門の俺が勇者な訳ないだろ」 盗賊「あ、そ……そっか」 側近「勇者になるだろう、と思われてた剣士と、俺と……攻撃魔法専門の奴」 側近「その三人で旅に出たんだ」 娼婦「側近さんは……何処の出身なのです?」 側近「俺の産まれた街はもうネェよ。旅立ってすぐに、魔王に跡形も無く消し飛ばされた」 盗賊「!?」 側近「そうだな。始まりの街……みたいな感じかな」 側近「あれほど大きくは無いが、小さな島に小さな城と、お飾り程度の街があった」 側近「……後から考えれば、王様が旅立ちを急かした理由はそれだったのか、とね」 側近「そう思えば……魔王に憎しみが沸いた。それを力に、俺たちは魔王城に急いだんだ」
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547 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 11:09:05.74 ID:/3glbmBOP - 娼婦「魔王城、と言うのは……あの、今魔王様が住んでいらっしゃる……?」
側近「そうだよ。どうにかこうにか……俺たちは最果ての街にたどり着いた」 側近「ああ、街はもう今みたいな感じだったな」 側近「誰かが住んでる訳でも無く、廃墟に近かった」 娼婦「では……私達が見た感じと同じ……」 側近「だな。で、歩いて歩いて……門をくぐって、城の中に入った」 側近「そしたら、誰に会うでも無くさ。あっさり前魔王様の居る玉座の間まで」 側近「来ちまった……ご対面、さ」 神父「配下の魔族は……何故、居なかったのです?」 側近「俺も勿論、疑問に思ったさ。だがな、俺たちは極度に緊張してた」 側近「前魔王様が話しかけた瞬間、魔法使いの奴が魔法をぶっ放しやがったんだ」 盗賊「……」 側近「前魔王様はあっさり……それこそ指一本ではね除けた」 側近「そこで怖じけずきゃ良いのに、プレッシャーってのは怖いモンでね」 側近「俺たちはパニックになった。一斉に殴りかかっていったのさ」 神父「ど……どうして……」 側近「考えてもみろよ?既に亡い人達から受けた期待と、怨み。俺たちに」 側近「『魔王を倒す』以外の選択肢があったと思うか?」 娼婦「逃げ出す訳には……行かなかったのですね」 側近「逃げ出したって帰るところは無い。俺たちを知る人も居なければ」 側近「気にする必要も無い、かもしれんがな」 側近「そんな事は許されない。『勇者達』てのはそういうモンなのかもな」 側近「……実際、そうだったよ。俺たちがやらなけりゃ、被害は増えるだけ」 側近「そうとしか思えなかったんだ……ろうな。多分、な」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
548 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 11:38:04.21 ID:/3glbmBOP - 側近「俺たちはあっさり吹っ飛ばされた。魔法使いは壁に打ち付けられて血まみれ」
側近「勇者も似た様なモンだったな」 側近「声も出せなかったよ。ありゃ文字通り化け物だ……人が太刀打ち出来る相手じゃない」 娼婦「ど……どうなった、のです……」 側近「死にかけの俺たちに、前魔王様は言った」 側近「『行きたいか』とな」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
549 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 11:39:35.46 ID:/3glbmBOP - ちょっと早いけど、お昼ご飯ー
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
551 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 11:45:28.23 ID:/3glbmBOP - あ、誤字……
『生きたいか』です……すまん(・△・)
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
554 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 12:15:14.06 ID:/3glbmBOP - す、すまん、気をつけるwww
再開!
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
556 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 12:29:23.78 ID:/3glbmBOP - 側近「即否定したよ……俺以外の二人はな」
神父「……」 側近「死にかけて、口から血を噴き出しながら二人は、怨みの言葉を囁いてた……らしい」 盗賊「らしい?」 側近「俺だって死にかけてたんだって。ハッキリ覚えてネェよ……後から聞いた話だ、それは」 神父「前魔王、に……ですか」 側近「ああ。『情けで生きてどうする』『お前を倒さなきゃ、死んでも死に切れん』」 側近「『化け物』『魔など生きていて良いはずがない』『親を返せ』『皆を返せ』」 娼婦「……」 側近「『俺たちの幸せを奪う権利など、無い』……とか、な」 神父「……」 側近「で、前魔王様は答え無い俺に、もう一度聞いたそうだ」 娼婦「……『生きたいか』?」 側近「俺は即座に答えた。死にたくない。生きたい……死ぬのは厭だ」 側近「『ならば生きろ。強い意思を持ち、己が手を取るが良い……人の子よ』」 側近「……そんな感じだったかなぁ」 盗賊「そ、それで?」 側近「こっから先は、魔王様にも話したかな。使用人……少女ちゃんの時に」 神父「? 少女さんと言うのは……先ほど、魔に変じられたと言う……?」 側近「ああ。まあ、後で話そうと思ったんだがな」 側近「側近てのは、俺が人から魔になった時に与えられた新たな名前だ」 側近「必要なのか、けじめなだけなのかはわからんが……」
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557 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 12:30:04.70 ID:/3glbmBOP - >>555
今から書くとこー! 先に言われたwww
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
558 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 12:49:16.53 ID:/3glbmBOP - 側近「手を取れと言われてもな。俺はスタボロで動けなかったから」
側近「実際は前魔王様が俺のとこまで来てくれて、手を握ってくれた」 側近「で、人としての命と引き替えに、俺は前魔王様の魔力で、魔に生まれ変わったんだが……」 側近「……与えられた魔力は、元々は前魔王様の物だ。いくら強い意思があったとしても」 側近「はいそうですかー、と受け入れる物でも、耐えれるモンでも無い」 神父「……」 側近「負った怪我は奇跡的に治ってたんだか、そんなモン気にならなかったんだか解らんが」 側近「俺は……俺の魔力は暴走して、訳も分からない侭に前魔王様に襲いかかった」 側近「これだけはハッキリ覚えてる。前魔王様は『元気があって何よりだ』とか」 側近「……そんな事言って、大笑いしながら、笑顔で俺を吹っ飛ばした」 娼婦「だ、大丈夫だったのですか……!?」 側近「まあ、今生きてるからねぇ。その衝撃でどうにか暴走は収まったけど」 側近「大爆笑してる前魔王様の傍で、泣いたね。ガチで泣いたね」 盗賊「……笑う所じゃ無いよな」 側近「全く持って違うね!」 娼婦「怪我は……前魔王様が治して下さったのですか?」 側近「娼婦ちゃんともあろう人が何言ってんの。魔王だろうが何だろうが」 側近「回復魔法は使えないでしょ?」 娼婦「あ……」 側近「鼻水垂らしながら自分で回復したよ……ああ、思い出したくない」 神父「貴方以外の……二人は、どうなったのです?」 側近「その頃には既に死んでた……と思いたいがな」 側近「俺の暴走に巻き込まれて、てのは……なぁ?」 盗賊「わからない、のか?」 側近「気がついたら既に死んでたからな。その後、前魔王様に色々な話を聞きながら」 側近「……片付けた。魔王城の庭で、二人の亡骸を燃やして貰ったのさ」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
559 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 13:02:53.17 ID:/3glbmBOP - 神父「それは……前魔王が?」
側近「そうだよ。俺は炎なんて操れないからな」 側近「俺と前魔王様と二人で庭まで運んで、前魔王様が……炎で浄化しよう、てな」 神父「浄化……」 側近「俺は確かに生きたかった。だけどそれがまさか、魔になることだなんて思いもしなかった」 側近「話を聞いている内に、憎しみとか……不思議だけどどっかいっちまったんだよ」 側近「あんなに憎んだ存在だったのにさ」 神父「ど、どうしてです!?命の恩人には、違い無いでしょうが……!」 側近「俺たちの島を消し飛ばしたのも、人に宣戦布告したのも」 側近「前魔王様の先代だったそうだ。そりゃな、『私じゃ無い』なんて言われて」 側近「あっさり信じられる訳も無かったけど」 側近「なんて言うかなぁ……話してる内に、気がついたら信じてたんだよ」 側近「……そういう人だったんだ。まあ、魔王様の親父、って思えば」 側近「納得、て感じなんだが。さっきも言ったけど、まあ本当に変わった人でな」 盗賊「魔王の親父……そう聞くと、納得しちまいそうだ。まじで」 娼婦「ええ……あの、私も……同感です」 神父「盗賊さん……娼婦さん迄!?」 側近「世代交代の方法とか、先代と自分の考え方の違いとかな」 側近「その辺、全部話してくれた、てのもあるけど」 側近「……前魔王様の炎が消えて、二人の存在が完全に消えて無くなった頃に」 側近「前魔王様は俺に、これからどうするんだと聞いた」 盗賊「え?」 側近「前魔王様は先代をぶち殺して、自分が魔王になってすぐだったそうでな」 側近「先代の頃からの参謀達も、絶対に自分に賛同はしないだろうからって」 側近「ついでに、一掃しちゃったらしいんだわ」 娼婦「……」 側近「血なまぐさい話ですまんね」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
560 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 13:19:26.96 ID:/3glbmBOP - 娼婦「いえ……」
側近「で、俺に『側近』になれ、とな……ただ、厭なら拒否しても良いとも」 神父「魔王が……そういった、のですか」 側近「ああ。生きたいと言うから生かしたけれど、まさか本当に魔になれるとは」 側近「思わなくて吃驚した、とも言ってた」 盗賊「……それって実験台……」 娼婦「盗賊!」 側近「まあ、事実その通りだ。で、前魔王様的には、それで満足したんだと」 神父「満足?」 側近「そう。自分は本当に魔王になったんだなぁ、と感慨深そうに言ってた」 盗賊「……本当に、なんて言うか……魔王のお父さんだな」 側近「だろ? 俺も気が抜けたよ。拒否したら殺すのかと聞いたが」 側近「好きにしろとか言う。でもさ、好きにしろって言われてもな?」 側近「帰る場所も無いし、魔王を倒す、って言う目標ももう無い。つか、無理だ」 側近「じゃあ、ここに居れば良い。じゃあ、お前の名前は今から側近な」 側近「……て、訳だ」 神父「その、新しい名を与えた意味は……」 側近「『意味があるかどうかは解らんが、新しい生のスタートとしてのけじめとして』」 側近「『必要な事だと思うから』……そんな感じだったかな」 娼婦「それで……側近さんは、前魔王様に仕える事を決められた、のですね」 側近「んなハッキリ決めたとかじゃネェなぁ……なんか、気がついたら」 側近「こうなってた?」 盗賊「んな疑問系にされても」 側近「つか、まあ前魔王様の望みは『人間と魔族が共存できる世界』だったからな」 側近「初めの頃は俺に、その橋渡し役をやれって言ってたよ」 娼婦「魔王様が……少し、仰ってましたね」 側近「ああ。だが俺はそれは拒否したんだ」 盗賊「え!?」 側近「時期じゃ無い、って意味な」 神父「そうですね……先代の魔王が、支配を望んでいたのなら……」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
561 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 13:32:54.47 ID:/3glbmBOP - 側近「ああ。魔族の生は長い。ましてや、前魔王様は魔王になったばかりだ」
側近「焦らなくても、そういうチャンスはいくらでもあるだろう、とな」 側近「どっちにしても行く場所なんか無い。もう人で無いなら」 側近「永住も叶わんだろ?人の世界では、さ」 娼婦「側近さんは……見かけは変わっていらっしゃらない?」 側近「同じ魔族でも個人差はあるんだけどな。俺はまだあの頃のまんまだな」 側近「だから、とりあえずは城に住んで、お前……前魔王様の傍にいてやる」 側近「生かして貰った恩もあるし、とな」 盗賊「……はぁ」 側近「実際、前魔王様は本当に、先代に仕えてた殆どをぶち殺しちまったみたいで」 側近「城には怯える使い魔とか位しか残って無くてな。マジで大変だった訳よ」 側近「世界各地に散らばった奴らの討伐だとか、何だとか……」 側近「まーじーでこき使われたからね!」 側近「んで、回復だけじゃ頼りにならんってんで」 側近「風の攻撃魔法たたき込まれたりな」 娼婦「では……特訓のおかげで、使える様になったのですか……あの、魔法」 側近「実際、魔王に回復とか補助とかいらねぇだろ?」 側近「要は使い方なんだってさ」 神父「『願えば叶う』……ですか」 側近「お。姫様の名言、広まってるねぇ」 盗賊「あれ、てことは……側近は、魔王のお母さんとかも知ってるのか?」 側近「おう。俺は魔王様のおむつも変えたことあるぞ」 盗賊「まじで!?」 側近「まじで……引っかけられた事もある」 娼婦「何を、です?」 側近「…… ……聞かないで?」
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- 魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】
562 :1 ◆6IywhsJ167pP []:2013/05/20(月) 13:37:57.04 ID:/3glbmBOP - おむかえー!
で、多分そのままバイトー!
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