- 英雄「雨も止まないし掃除でもするかな」
51 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:45:27.22 ID:XNmwduBu0 - ・
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52 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:45:59.40 ID:XNmwduBu0 - >>49
ありがとうございます!
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53 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:46:30.27 ID:XNmwduBu0 - 英雄「はっ・・・・」ハァハァ
英雄「夢か・・・」 英雄「雨・・・嫌だな」 英雄「雨は大切な人を奪っていく・・・」
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54 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:47:01.67 ID:XNmwduBu0 - 悪ガキ「おーい兄ちゃん、太っちょが腹減ったって」
英雄「よし、できたよ 保存食で作った料理だけど、意外と美味しいんだこれが」 太っちょ「なんでもいい・・・何か食いたい・・・」 幼女「お腹なでなで」 秀才「今日は僕も腹ペコです 英雄さん、いただきます」
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55 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:47:32.92 ID:XNmwduBu0 - 英雄「そういえば、君たちの大陸にはこの世で一番大きな山があるんでしょ?」
悪ガキ「ああ、あのでっかい山に比べたら、この山は子供みたいなもんさw」 幼女「パパはその山の麓にいってたんです・・荷物を運ぶ用事で・・」 秀才「僕たちがいた街から見ても、その大きさがとてつもないことがわかるんです」 太っちょ「俺は一生登ることはないだろうね」 悪ガキ「そういえば、俺の父ちゃん、あの山に登ったことがあるらしいぜ 嘘くさいけどw」
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56 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:48:08.25 ID:XNmwduBu0 - 英雄「ほら、ここがバルコニーになってるんだ 晴れてたときはここから星を見たりしてたんだけどね」
秀才「一体・・・この雨が止まない原因は何なのでしょう」 英雄「さっぱりわからないんだ もう7年間も降りっぱなしなんだよ」 太っちょ「7年も!?」 悪ガキ「別に強い雨ってわけじゃないけど、そんなにずっと降ってたら大変だよな」 英雄「仙人・・・私のお師匠様は仙人だったんだけど、その人は天候を変えることができたんだ だから・・・」 悪ガキ「じゃあその人に頼めばいいじゃん」 英雄「それが・・・いなくなってしまったんだ ある日突然」 秀才「そんな・・・」 太っちょ「仙人の話、聞きたいな」 悪ガキ「ついでに兄ちゃんの話ももっと聞かせてくれよ」 英雄「・・・いいとも」
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57 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:48:50.61 ID:XNmwduBu0 - 英雄「私は、幼い頃に両親を亡くしたんだ 父は漁師で、毎朝海に繰り出していた」
英雄「その日は朝は晴れていたんだけど、昼頃から急に大雨になった 嵐が来たんだ」 英雄「父は翌朝になっても帰ってこなかった まもなく、父の乗っていた船が見つかったけど、乗組員は全員死んでいたそうだ」 英雄「母はそれからまもなく亡くなった もともと病気がちで体が弱い人だったんだ それに加えて、父と一緒に船に乗っていた人たちが悲しみを母にぶつけたんだ」 英雄「父はその船の船長だったからね 父の判断がもっと早ければ、嵐が来る前に港に戻って来れただろうって」 英雄「もうその街には居られなくなった 母は病態に鞭打って、私を連れて街を出た」 英雄「広い草原を歩いていたときだった 母は倒れ、物も言わずに息を引き取った」 英雄「私は、まだ幼かったけど母がもう動かないことはわかったんだ 大声で泣いていた」 英雄「そうしたら、後ろから抱きしめられたんだ 一緒に来い、小僧は一人じゃないぞって」
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58 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:49:27.76 ID:XNmwduBu0 - 英雄「それが仙人だったんだ 仙人は旅をしていたようだけど、この山の頂上に私を連れてきて一緒にこの山小屋を建てた それからは常に私のそばにいてくれた」
英雄「仙人は、今から思うと本当に凄い人だった 天候を変えるなんて、今の私でも到底無理なことだしね そんな人が、私に一から魔法を教えてくれたんだ」 英雄「この剣も、仙人がくれたものなんだ 私は剣に魔力を込めて戦うのが得意だったからね」 英雄「それから、仙人は友達が多かった 翁さんもその一人さ 他にネズミに鳥に牛に、でも人間の友達は翁さんしか見たことがないなぁ」 英雄「そうそう、一度は大きな白いドラゴンが訪ねて来たこともあった」
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59 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:50:04.69 ID:XNmwduBu0 - 悪ガキ「ド、ドラゴン!?」
秀才「しーっ 悪ガキくん、お話の途中ですよ!」 英雄「ふふ、ドラゴンさ 私もとても驚いたよ 丁度、君たちと同じくらいの歳の頃だったかな ある日、仙人と私が稽古をしていると、あたりが白い霧で覆われたんだ」 英雄「そしたら、ほら、あそこに崖があるだろう あの辺にドラゴンが現れたんだ」 英雄「ドラゴンは仙人と何事か話していた 内容はよくわからなかったが、仙人は難しい顔をしていたなぁ」 英雄「でも確か仙人が、そちらは無事に平穏が戻ったようでよかったって言ってたのは覚えてるよ」
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60 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:50:42.79 ID:XNmwduBu0 - 英雄「それから何年か経って、私も一通りのことを仙人から学び取った そんな時、仙人は突然姿を消した」
太っちょ「え・・・」 英雄「その日は朝から雨が降っていて、仙人も私も早めに寝ることにしたんだ そして次の日の朝、目が覚めたら仙人は消えていた」 英雄「代わりに翁さんがやってきた 仙人に私のことを頼まれたと言っていた 翁さんは仙人の友達だということで、これからの暮らしは自分を頼れと言ってくれた」
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61 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:51:27.03 ID:XNmwduBu0 - 英雄「思えばその日から、雨は止まなくなった そしてその頃からモンスターが現れだした この大陸の人々は、突然訪れたモンスター達に恐怖した」
英雄「私は、仙人に教わった魔法を駆使してモンスターを退治して歩いた」 英雄「それから、人間同士の戦いも勃発してしまった」 英雄「ある日、もともと雨に対する対策が万全だった南の地域と、そうでなかった北の地域が戦争を起こしたと聞いた」 英雄「もともと北の地域は雨が少なく、いきなり降り続けだした雨に困ってしまったんだ 逆に南の国は普段から雨が多く、迅速な対応が出来たんだ」 英雄「翁さんのアドバイスもあって、私は南の地域から雨に対する対策を教わり、北の地域に広めた」 英雄「それぞれの地域の指導者同士で、何やら対立もあったようだが、お互いの地域の兵が衝突する前になんとかなだめることができた」 英雄「それがきっかけで、私は英雄と呼ばれるようになってしまった」
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62 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:52:02.63 ID:XNmwduBu0 - 英雄「長くなってしまったね 退屈だったろう」
秀才「とんでもないです 貴重なお話を聞くことができて嬉しいです」 悪ガキ「とりあえず、その仙人を探したらこの雨のことも解決するんだろ?」 英雄「そうだね それには君たちの・・・特に悪ガキくんの協力が必要なんだ」 悪ガキ「お、俺?」 英雄「翁さんは、君が仙人を探し出す鍵だと言っていた だから、君の進みたい道を行くんだ」 悪ガキ「えぇぇ・・・ 俺、仙人と会ったこともなんだぜ?」 英雄「とにかく、信じてみたいんだ」 太っちょ「」zzz 幼女「ねーねーてるてる坊主作ったぁ」
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63 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:52:38.60 ID:XNmwduBu0 - 翌朝
<フィールドにて> 悪ガキ「うーん、なんとなくこっちに進みたい気がするぜ」 英雄「では、そうしよう」 秀才「悪ガキくんの選んだ道を進むなんて不安でしかたないですけど・・・仕方ありませんね」 太っちょ「なあ悪ガキ、美味いもんがある所に連れてってくれよw」 幼女「悪ガキくん・・がんばれー」 ?「おい、あいつだ」 ?「周りにガキがいるな 一緒に処分してしまおう」
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64 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:53:13.41 ID:XNmwduBu0 - <湿地にて>
悪ガキ「なんか、でっかい水たまりがいっぱいだな」 英雄「この湿地帯を抜けたら、岩場に出るんだ 岩場には洞窟もいくつかあるから、今日はそこで休もう」 太っちょ「うへぇ・・・まだ歩くのかよぉ・・・」 秀才「さあ、文句言わずに・・・うわぁぁ!!!」 バシュゥゥゥゥゥゥ 秀才の体を逸れて光が飛んでいく 英雄「魔法弾!?」 幼女「ふぇ・・!? なになに・・?」
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65 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:53:46.83 ID:XNmwduBu0 - 英雄「みんな、走って!」
悪ガキ「俺も戦うぞ!」 英雄「だめだ! 悪ガキくん、みんなを連れて逃げてくれ!」 秀才「さあ、行きますよ!悪ガキくん!」 悪ガキ「くそぉ 絶対やられるんじゃないぞ!」 英雄「あの子達の結界を保ったまま戦えるだろうか・・・」
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66 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:54:18.72 ID:XNmwduBu0 - 武装団A「英雄・・・だな」
武装団B「お前の抹殺を言い渡されている」 英雄「南の地域の人間だね 誰の命令だ?」 武装団A「今から死ぬ人間が知ってどうする?」 バシュゥゥゥゥッゥ 英雄「くっ 魔法剣・炎装備! なるべくなら傷つけたくないのだが」 ゴォォォォォォォオッ 武装団B「へっ 結界盾だ」 武装団A「魔法が使えない者も、戦闘の心得がない者も、我が国は戦うことができるのさ」 武装団B「戦争をきっかけに武器が作られた 戦争がきっかけであらゆる発明が生まれた 科学力の乏しい北の人間が、俺たちに逆らおうってのがおかしい話なのさw」 英雄「っく・・・一度結界を解くか やむを得ない」
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67 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:54:50.68 ID:XNmwduBu0 - 英雄「結界解除 魔法剣・豪炎装備!」
グワァァァァァァァァァアァアァアァァアア 武装団B「くそっ盾が!!!」 武装団A「なんだこの威力は!!」 突如上空に黒い球体が浮かび上がる 武装団A「な・・なに!? うわぁぁっぁああぁぁ」 武装団B「ぎゃぁぁっぁぁぁぁぁ」 武装団は球体に吸い込まれ・・・消えた 翁「英雄殿、少年たちの結界を張り直しなされ」 英雄「・・・翁さん」
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68 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:55:23.74 ID:XNmwduBu0 - 悪ガキ「おーい、兄ちゃん!」
秀才「いったい、さっきの奴らは・・・?」 太っちょ「ひぃひぃひぃ・・・走って息が・・・」 幼女「あぅ。。。 怖かった・・」 英雄「大丈夫かい、君たち?」 翁「南の地域の武装グループでしょうな 彼らは、英雄殿が戦争を止めたことを心良く思わなかった者の命令で動いておる」
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69 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:55:57.24 ID:XNmwduBu0 - 翁「そもそも南の地域の権力者は、この雨に乗じて、雨に対する対策を北に教える代わりに大量の見返りを求めておったのじゃ」
翁「北はそんな見返りは用意することができないと突っぱねた 互いにどうにも引けなくなり、とうとう戦争に発展しようというところであったのじゃ」 秀才「それを仲裁されたのが英雄さんなのですね?」 翁「その通りじゃ じゃが・・南の国の権力者の一部は、それを良く思わなかったようじゃの」 英雄「翁さん、本当に助かりました この子たちの結界も張り直しました」 翁「うむうむ 先ほどのような者は実際に肉眼で捉えた者しか追えぬが、遠くから気配を感じて追う者に対して、その結界は非常に有効じゃ」 翁「しかし・・・相変わらず人間どもは吾輩の計画を邪魔しますねぇ おっと、いけないいけない わしは翁、仙人の友人 ふふふ」
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70 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:57:57.65 ID:XNmwduBu0 - <岩場にて>
英雄「みんな、岩が濡れて滑りやすいから気をつけてね」 翁「もう間もなく夜になろう 洞穴を見つけて休まぬか」 英雄「ええ、そうしましょう」 太っちょ「腹減ったぁ・・・・」 秀才「悪ガキくん、なんの根拠があってこんな所にきたんですか」 悪ガキ「なんかよくわかんないけど・・・この岩場に来てから誰かに呼ばれてるみたいな感じなんだよな」 幼女「・・誰に?」 悪ガキ「それがわかんないんだよなー」
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71 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 22:58:37.16 ID:XNmwduBu0 - 英雄「よし、今日はこの洞穴で寝よう」
太っちょ「ちょっと待ってよ 飯は? 腹が減って眠れないよ」 翁「ここにたんまりと・・・ほれ、干し肉にパンにソーセージじゃよ」 悪ガキ「じいさん気が利くなぁw」 秀才「では火をおこしましょう」 幼女「あ・・わたしできます 炎魔法小!」ボッ 悪ガキ「ふー食ったら眠くなってきたぜ」 英雄「うん、ゆっくりおやすみ」 太っちょ「」zzz 秀才「はい、おやすみなさい」
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72 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:00:10.90 ID:XNmwduBu0 - ・
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73 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:00:43.69 ID:XNmwduBu0 - あれ?
「どうしたんですか・・・仙人?」 「小僧、何があってもこの小屋から出るんじゃないぞ」 「え? いったい何があったのですか?」 ドゴォォォォォォッォオオオン 「う・・・・仙人? 仙人!?」 「小僧・・・見るな・・・わしは・・」
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74 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:01:40.20 ID:XNmwduBu0 - ・
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75 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:02:11.69 ID:XNmwduBu0 - 英雄「はっ・・・またあの夢・・・ ん? 悪ガキくんは・・」
英雄「洞穴の外に出たのかな?」 英雄「おーい、悪ガキくん どこだい?」 英雄「ん? あ、あれは!?」
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76 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:02:43.37 ID:XNmwduBu0 - その場所だけは、雨が降っていなかった
その場所だけは、月の雫が溢れていた ぽっかりと空いたその穴は 月の雫を 呑み込んでいた
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77 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:03:14.84 ID:XNmwduBu0 - 英雄「悪ガキくん・・・?」
悪ガキ「なんか、この中に入れって・・誰かに言われてる気がするんだ」 英雄「ここ、何度も通ったことがあるのに、こんな穴を見つけたのは初めてだ・・・」 秀才「悪ガキくーん どこですかー? っこれは!?」 太っちょ「すげー・・・」 幼女「きれい・・」 翁「ほう・・・中に、入るかの?」 穴は短く、すぐに最深部へと辿りついた。 秀才「石の・・・台座ですかね」 太っちょ「台座の上には・・・」 悪ガキ「宝石・・・か?」 蒼く輝く石が台座に埋め込まれていた ふと、石が輝きだし、あたりを蒼く包み込んだ
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78 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:05:29.12 ID:XNmwduBu0 - ・
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79 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:06:00.42 ID:XNmwduBu0 - 雨の草原
少年が倒れた母親にすがって泣いている 「ふむ・・・」 少年「うわぁぁぁぁぁぁぁ」 「小僧・・・一緒に来い お前は一人じゃない」 少年「・・・うぅぅ・・・」コクッ 「さあ、お母さんを運ぼう もっと安らかに眠れるところにな」 ここは・・・仙人の記憶のなか・・・?
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80 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:06:31.97 ID:XNmwduBu0 - 「ほれ、小僧 もっと集中をせねばならん そんなものでは魔法は身に付かんぞ」
少年「だって、毎日座禅ばっかりじゃないか・・・いつになったら魔法を教えてくれるんだよ」 「ふむ・・・ほれ」ゴォォォォッォォォ 少年「す、すげえ・・・仙人の周りから火が出てきた!」 「集中力を高めることが、すなわち魔力を高めることじゃ 小僧も精進すればこれくらいできるようになる」 少年「わかったよ、仙人!」
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81 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:07:05.96 ID:XNmwduBu0 - 純白のドラゴンが霧の中から仙人に語りかけている
白龍「センニン・・・ワタシのクニ・・ヘイワモドッタ・・・ コクリュウ・・・スクワレタ・・・」 「そうか、よかったのう じゃが・・・どうやらこれで終わりではないようじゃの」 白龍「ゲンキョウ・・・タタナイト・・・シンのヘイワ・・コナイ ゲンキョウ・・ハジマリのシマ・・・」 「うむ エイゴーラルからよからぬ風を感じる じゃがとりあえず、お主の島は平穏が戻りよかったの」 白龍「コノシマ・・・ジキにマノテにソマル・・・アイスルモノ・・コロサレタトキのニクシミ・・・アクのミナモト・・」 白龍「ダレデモ・・アイスルモノをコロサレタトキ・・ニクシミ・・ウマレル・・」 白龍「ツヨキモノのニクシミ・・・グゲンカスル・・センニン・・キヲツケロ・・・」 白いドラゴンが飛び立つと、霧はすっと晴れていった
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82 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:07:41.19 ID:XNmwduBu0 - 「小僧、大変じゃ、早く起きんか!」
青年「どうしたんですか・・・仙人?」 「小僧、何があってもこの小屋から出るんじゃないぞ」 青年「え? いったい何があったのですか?」 ?「探しましたよ、仙人 あなたの愛する者はこの青年ですね」 黒いマントに身を包んだ男が迫る 「ならぬ 小僧を殺させはせんぞ!」 ?「でも・・・もう間に合わない」 ドゴォォォォォォッォオオオン 真っ赤な光が青年に迫る 「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁっ」 青年「仙人! 仙人! しっかり!」 ?「あなたに死んでもらうわけにはいかないのですよ 魔王になるのはあなたなのですから」 青年「くっ 下がれ、私が相手だ!」 ?「ふふふ、仙人の愛する者よ 死ぬがよい・・・ぐはぁぁっ」グワァァァァァァx 「はぁ・・・はぁ・・」 青年「う・・・・仙人? 仙人!?」 「小僧・・・見るな・・・わしは・・」 青年「仙人!!!!!!!」 青年「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」 青年のから邪悪なものが吹き出した ?「・・・・ほう、嬉しい誤算ですね お前のような若造が魔王となりえるなんて」 青年「ぐわぁぁぁっぁぁっぁぁぁ」 「よかった・・・死を受け入れる準備をしていて・・・本当によかった・・・姿は残さぬぞ・・小僧、お主の記憶、わしが持っていく」 糸が切れたように青年が倒れこむ と同時に、仙人の体が蒼く光り、一筋の光となって空に舞い上がった 「全ての元凶を断つものよ 光と闇を分けることのできるそなたに、この記憶を残す」
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83 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:08:31.87 ID:XNmwduBu0 - ・
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84 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:09:09.73 ID:XNmwduBu0 - ふっと蒼い光は消える
翁「そう、魔王となった自覚がなければ使い物にならないのじゃよ」 翁「英雄殿、そなたが魔王となってくれたことは誠に嬉しい誤算ではあったが、記憶を持っていかれるとはこれまた誤算じゃった」 悪ガキ「お、お前が・・・」 秀才「そんな、だって、あの男と姿が全く違う!」 翁「そうじゃのう・・・この姿も気に入っておったのじゃが・・・やはり吾輩は元の姿にもどるべきですかね?」 太っちょ「あ、あのマントの男だ!!」 幼女「あぅ・・・」ぶるぶる
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85 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:09:39.61 ID:XNmwduBu0 - マントの男「吾輩は全ての始まりの地、エイゴーラルより参じた者 コクゴドル、そしてこのスウガ・クーナを魔の力で支配するために」
マントの男「コクゴドルでは欲深い男をそそのかし、黒きドラゴンの愛する女を殺させました」 マントの男「だが、かの地は失敗に終わってしまいました もう少しのところであったのですが しかし、この地を支配した後、またやり直せばいいだけのことです」 マントの男「この地では、この男は英雄です それもそのはず、この地始まって以来の戦争を止めたのですから」 マントの男「戦争は武器を始め科学の力を育ててしまう 魔王に対抗する力は早いうちに摘んでおかねばなりませんからね この男に知恵を貸して止めましたよ」 マントの男「おかげで、この地で英雄に敵う者はいなくなりました 魔王の力を身につければ、もう誰にも止めることができないでしょう」
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86 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:10:12.25 ID:XNmwduBu0 - マントの男「さて、英雄殿 そろそろお時間ですよ」
英雄「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ゴォォォォッォオォォオオ 悪ガキ「てめぇぇ!! 英雄を元に戻せ!!」がしっ マントの男「う・・・・・・ くっ そうか、お前は危険だな」 マントの男「少年よ、お前はまだ知らない お前はこの世界の運命を握っている 危険な芽は早く摘んでおかねばな ここで殺させてもらう」 秀才「そうはさせませんよ!」 太っちょ「悪ガキがなにを握ってるか知らないけど、お前なんかに殺させるもんか!」 幼女「あ・・うぅ・・」ぶるぶる
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87 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:10:46.15 ID:XNmwduBu0 - 英雄「グアァッァアアァァァッァァァ」
ドゴォォッォオォッォォォオォォォォォォォォx マントの男「なかなか派手に暴れてくれますね こうなれば、吾輩が直接手を下すまでもなく、魔王が片付けてくれることでしょう」 グワァァァァァアァアァァアッ 悪ガキ「うわぁぁぁっ!!!!!」 物凄い勢いで弾き飛ばされる悪ガキたち 悪ガキ「・・・みんな、大丈夫か・・・?」 秀才「なんとか・・・」 太っちょ「・・おい! 幼女が!!!」
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88 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:11:23.32 ID:XNmwduBu0 - 英雄は剣を振り上げ、幼女に向かって振り下ろした!
ガキィィィイイイイイイイン ?「コポォォォォォwwwwww 幼女タソはパパがお守りいたすぅwwwwwwww」 幼女「・・・パパ・・・?」 突如空を何かが遮った 純白のドラゴンが上空を旋回している そのドラゴンの背から、一人の男が舞い降りてきた
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89 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:11:56.26 ID:XNmwduBu0 - マントの男「くっ 少年たちの周りに張っていた結界が消えてしまったか」
マントの男「あとは頼みますよ、“英雄殿”」 マントの男を黒い影が包み込み・・・跡形もなく消し去った ?「まったく、メモ書きしか残さないで、よくこんな所まで来たもんだな」 悪ガキ「・・・・・・・父ちゃん・・・?」 ぽんっ ?「心配したぞ・・・」
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90 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:12:30.58 ID:XNmwduBu0 - その日、7年ぶりに雨が止んだ
民衆は歓喜した 太陽は地上を優しく照らし、その光はまるで地上を労わるかのようだった やがて太陽は空を焼き、沈んだ 真紅に 橙に紫に まるで、明日もきっと地上を照らすからと、約束するかのようだった
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91 :1 ◆8VS2bI7FBY []:2013/03/30(土) 23:15:24.14 ID:XNmwduBu0 - ここまで読んでくださった方、ありがとうございました
全部で三部作の予定です これは第一章にあたります これは、「あんた勇者なんだしそろそろ旅立ちなさいよ」シリーズの続編として作成したものです 前作はhttp://ncode.syosetu.com/n5947bo/ こちら もしくは、各種まとめサイトに掲載されております 前作を読んでいただけると、今作の世界観もよりつかみやすいかと思われます それでは、第二章以降は明日に書き込ませて頂きます
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