- 忘れられない人がいるが幸せになりたい
1 :名も無き被検体774号+[]:2013/03/29(金) 00:21:00.89 ID:KHnemHv50 - とりあえず転載禁止しときます。
たったら書く
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6 :名も無き被検体774号+[]:2013/03/29(金) 00:21:53.94 ID:KHnemHv50 - まあlv40だから立つに決まってるわけだが。
とりあえず忘れられない人との出会いから書いていく。
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8 :名も無き被検体774号+[]:2013/03/29(金) 00:24:25.49 ID:KHnemHv50 - 当時、俺は腐ってた。
付き合ってた女が処女卒業してしばらくしたらビッチ化して浮気してた。 浮気なんて自分には関係のないこと、と思ってた俺はひどく参ってしまった。 よくあるコピペみたいなやり取りをしてビッチとは別れた。
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10 :名も無き被検体774号+[]:2013/03/29(金) 00:29:04.84 ID:KHnemHv50 - 純情少年だった俺は荒れに荒れた。
バイト先の同僚やお客さん、バンドのお客さんや対バン相手の女、 まあとりあえず穴があったら入れてた。 思考回路がすっかり捻じ曲がってしまっていて、女自体を憎んでた。 ビッチのことが忘れられなかったのかもしれない。 女全体をビッチに重ねて、決して報われることのない復讐を日々重ねた。
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11 :名も無き被検体774号+[]:2013/03/29(金) 00:32:11.02 ID:KHnemHv50 - けれど、まあ心は痛むわけでさ。
セックス自体は嫌いではないけど、終わった後物凄い嫌悪感が湧き上がる。 でもさみしいから辞められないし、次の恋愛を始める勇気もなかった。 そう、俺は傷付くことにすっかり怯えていたわけである。
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12 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 00:41:22.84 ID:KHnemHv50 - 当時俺には公園や神社、お寺などで一日ぼーっとする習慣があった。
性にまみれている時よりもよっぽど自分を取り戻せる貴重な時間だった。 ある日、俺は例によってある公園でぼーっとしていたわけだ。 その日はアコギを手に、ただベンチに座っていた。 ランニングしている人、景色を写生している人、子供たちの笑い声。 ぼーっとしている間に瞑想状態になって完全に精神と肉体が分離してたと思う。
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13 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 00:47:01.90 ID:KHnemHv50 - 気が向いたら1曲歌って、また瞑想状態に戻る。その繰り返しだ。
ス○バで買ったコーヒーもすっかり冷えていた。気付けば夜だ。辺りは真っ暗だった。 ふと我に返って、うーんどうしよう。なんて考えている時、 女性の叫び声がした。 昼間は人が多いが、夜になれば人はまばら。 暗い公園は、女性の一人歩きには危険だ。 何かあったのだろうと、俺はアコギをベンチに寝かせ、声がしたほうに走った。
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14 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 00:52:10.33 ID:KHnemHv50 - 案の定、女性が襲われていた。
小柄な女の子に抱きつくおっさん。 必死な抵抗を見せる女の子だったが体格差がありすぎる。 俺「おい」 どう動こうか思案してる間に勝手に声が出てしまっていた。 女の子は泣き出している。おっさんは下半身が半脱げ状態だった。
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15 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 00:58:05.76 ID:KHnemHv50 - 男「あ?」ハアハア
俺「いやいや、公共の場で何してんのかとね…」ドゴッ 俺「聞いているわけですよ、わかります?」 俺は話しながらおっさんに近付いて前蹴りした。 バランスを崩しておっさん倒れる。おっさんが女の子の腕を掴んで離さなかったので 女の子まで一緒に派手に転倒してしまった。すまない、女の子。 おっさんは興奮状態で何をするかわからない。 とりあえずおっさんの半脱げ状態だったズボンを引っ張って女の子から引き離すことに成功。 おっさんはあっあっあっ…みたいな情けない声を出してた。 よく考えたら仰向け状態だから、おもっくそちんこを地面に擦り付けてたなおっさん。 だがこれも天罰。やむなし。南無。
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16 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:04:15.33 ID:KHnemHv50 - 立てた時間が悪かったかな…人いないな。
まあ、続ける。 俺「大丈夫?立てる?」 俺は女の子に声をかけた。よく見るとかわいらしい女の子だった。 しかし怖い思いをした後なのだから当然だろう、俺まで怯えられてしまった。 女の子は泣きながら走って逃げてしまった。 その後、おっさんを警察に付き出して小2時間くらい事情聴取を受けて解放。 公園にアコギを置き忘れたことを思い出して、めんどくせえな…と思いながらベンチのとこまで戻った。 ベンチにはまだ少し温かい缶コーヒーが置かれていた。
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18 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:11:11.48 ID:KHnemHv50 - 女の子がお礼を言いに来る…ような展開もなく、2週間ほどが過ぎた。
俺はあれから色々忙しく、あの公園には行ってなかった。 久しぶりの休みだったので、散歩がてらあの公園がある街に行った。 滅多に買わない服を買ったり、CDを買ったりして、 やっぱり最終的にはあの公園にコーヒーを買って行った。
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19 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:14:51.96 ID:KHnemHv50 - >>17
ありがとさん。 こないだあんなことがあったとは言え、昼間は平和な公園。 今日も子供が騒ぐ声が遠くに聞こえて、それはそれで心が休まった。 その日は、確か自分のバンドの曲を作ってた。 アコギをちょろっと弾いては、ノートにメモ、ひたすらその繰り返し。 ようやく曲としての輪郭が見え始めた頃、コーヒーを飲んで一服してると俺に話しかけた人がいた。
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20 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:20:15.96 ID:KHnemHv50 - 振り返ると、例の女の子だった。
小さくて、ツインテールで、ゆるふわ()な服を来て、もじもじしていた。 女「あの…」モジモジ 俺「…はい?」 女「ひっ…!」ビクッ また怯えられてしまった。 素の時の俺は無愛想なので、たまに怖いと言われてしまう。 俺「あ…ごめんなさい。なんでしょう」 女「こないだ…ここで…」 俺「え?」 正直この時はあの時の女の子だと気付いてなかった俺がいた。
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21 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:24:28.17 ID:KHnemHv50 - 女「あの…たす…けてもらったのに…わたし…」
俺「…ん?…あー!あの時の!」 女の子は顔を真っ赤にしながら、首をぶんぶん縦に振った。 不覚にも、この可愛い生き物は、一体なんなんだろう、と思ってしまった。 俺「ごめんね、今気付いたわ。あの時暗かったし…大丈夫だった?」 女「おか、おかげさまで!」 はにかみながら答える彼女があまりに可愛くて俺は笑ってしまった。
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22 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:31:18.59 ID:KHnemHv50 - 敢えて言う。俺は断じてロリコンではない。
とりあえず、女の子をベンチに座らせて話をした。 女の子は19歳。この春大学生になったばかり、地方から出てきたという。 この公園は家の近くで、公園を通ると駅から近道だからよく通るんだと。 あの日はバイトが遅くなって暗いなーやだなー怖いなーと思いながら この公園を歩いてたら怖い目にあったと。 動転してて逃げ出してしまってごめんなさい、と。
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23 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:37:28.26 ID:KHnemHv50 - 俺は、笑った。
俺「そんなこと気にしなくていいのに。律儀だね」 女「あっ…いえ!本当にありがとうございました!」 俺「東京は怖いところだからねー気をつけないとね?」 女「はいぃ…友達にも怒られました」 しょんぼりする女の子の頭をぐりぐり撫でて 俺「まあ、頑張って声出せたから、俺も助けにいけたわけだから」 俺「よく、頑張ったね」 彼女は顔を真っ赤にして、今度は横に顔をぶるんぶるん振った。
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25 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:42:09.56 ID:KHnemHv50 - 女の子はベンチの横に置いてたギターが気になるみたいで、ちらちら見てた。
女「あの…ギター…」 俺「弾けるの?」 また顔をぶるんぶるん横に振って否定した。 俺「興味あるなら、ほら」 俺はアコギを彼女に手渡した。 *・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・* って顔したけど、ほんとに弾き方知らないみたいだった。 なので、奪い返して一曲弾き語った。 andymoriの1984。 ちょうど、夕方5時くらいだったので。
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27 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:48:25.68 ID:KHnemHv50 - 歌い終わると彼女はすごいすごい!を連呼した。
俺「いやいや、これ簡単な曲だからww」 女「でもすごいです!私も弾けるようになりたい!」 俺「じゃあ練習する?このアコギかしてあげるよ」 女「えっ」 俺「えっ?」 女「いやいやいや、悪いですよ!」 俺「いやならいいけどww」 女「いや…じゃないです!うれしいです!」 その日から成り行きでギター教室が始まるわけだった。
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28 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 01:56:41.30 ID:KHnemHv50 - 見ててくれる人がいてうれしいよ。
なるべく回想話は今日で完結したい。 …無理かなあwww その日は連絡先を交換して解散。 彼女は熱心に練習した。指も痛いだろうに、一生懸命練習した。 なんていうか、いつでも全力で可愛いんだよな。 いつもその公園で会って、ギターを練習して帰る。 女の子の名前は亜依ちゃんにしとく。響きが近い。 亜依はいつもコーヒーを買ってきてくれた。 昼過ぎに集合して亜依のバイトが夕方からだから、そこで解散。 ただギターを練習するだけ。 だけど、荒んでた自分の心が休まっていくのを感じてた。 俺のビッチへの復讐は、いつの間にか終わってた。 亜依と会うようになってから、女遊びは全くしなくなっていた。
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29 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:00:22.49 ID:KHnemHv50 - 楽しかった。亜依が一生懸命だから、楽しかった。
うまく弾けるようになったら亜依は喜んで、俺も嬉しかった。 俺は亜依にはししょー!って呼ばれてた最初の頃ww 夏前くらいになって、亜依が夏休みに入る頃、 俺はいつものお礼、ということで亜依にご飯をご馳走になることになった。
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31 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:11:08.94 ID:KHnemHv50 - 俺はてっきり、どこかに食べに行くと思ってたんだ。
いつも通り公園で待ち合わせをして、正直変だな、と思った。 食べに行くなら駅で待ち合わせしたほうがいいからね。 そしたら、亜依の部屋に呼ばれた。 考えてみてほしい。 低身長の美少女の家で二人きりとかどんな苦行かと… 前もってわかっていたら断ったのに。
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32 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:18:14.01 ID:KHnemHv50 - >>30
わたし、はやく、しあわせに、なりたい! 亜依の家は公園から5分くらいだった。 ねえ、女の子の部屋ってなんであんなにいい匂いするんだ? 何だか改まった雰囲気で緊張した。 不覚にも何食べたかも、全然覚えてない! 食べ終えたらごちそうさま言って、テレビ見ながら紅茶飲んでた。 俺はタバコが吸いたくなったので、ベランダに出た。 そしたら、亜依もちょこちょこついてきた。
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33 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:22:44.97 ID:KHnemHv50 - 俺「…」
亜依「…」じーっ 俺「…なに?」 亜依「たばこ、おいしいですか?」 俺「んー、おいしいっていうか、癖に近い」 亜依「ししょーが吸うなら、わたしも吸う!」 俺「子供はやめとけよw」 亜依「子供、ちがう!わたし、子供、ちがう!」 俺「…お酒とタバコは?」 亜依「はたちから!…あ」 俺は爆笑した。他の住民の皆さん、ごめんなさい。
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35 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:31:14.21 ID:KHnemHv50 - 真っ赤になって怒る亜依はかわいかった。
俺「好き好んでこんなもん吸うことない」 亜依「じゃ、ししょーなんで吸ってるですか?」 俺「いろいろあるんだよ…大人はね」 亜依「おっとなー!ししょーおっとなー!ふー!」 俺「やめれwwwwこのやろうwwwww」 俺は亜依の頭を痛くないようにヘッドロックして頭をぐりぐりした。 亜依はきゃーきゃー言いながら喜んでた。 またタバコに戻って。 亜依「…いろいろって…なんですか。わたしじゃ、抱え切れませんか」 俺「うーん…」 亜依「わたしにも、分けてください。ししょーずるいです」 俺は、俺のことを話した。 亜依は泣いた。
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36 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:38:17.94 ID:KHnemHv50 - >>34
亜依が、よく言ってたせりふ。 亜依「ししょーは…辛かったですか」 俺「まあ人並みに傷付くくらいはね。でもそれ以上にたくさん傷付けた」 亜依「わたしには…傷付ける価値もない?」 俺「何言ってんだお前」 亜依「ししょーのこと、好きです。ししょーとなら…そういうことしてもいい」 俺「やめろ」 亜依「え」 俺「やめてくれ」 俺はそのまま玄関に向かった。 亜依が泣きながら、何か言いながらついてきたが、 俺は振り返らずに靴を履いて、家を出た。 扉を閉める時に、ごちそうさま、と言って振り返った時の 亜依の絶望したような表情が忘れられない。
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37 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:43:41.32 ID:KHnemHv50 - それからしばらく、亜依から電話やメールが来たけど、俺は無視してしまった。
あの街にも行かなくなった。足がまったく向かないのだ。 俺は亜依のことは好きだった。 けど、女としてというよりは妹のような感覚だった。 亜依とは男とか女とか、そういう関係にはなりたくなかったのだ。 俺への好意には気付いてたけど、わざと気付かないようにしていた。 本当は有難いことだったのに。 俺がしてきたことは許されることではないのに。 それでも好きと言ってくれたのに。 俺は、逃げ出したのだ。
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41 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:55:04.96 ID:KHnemHv50 - 「ごめんなさい」
「嫌われましたか?」 「怒ってますよね…」 そんなメールがたくさんきた。 だが俺は無視した。 1ヶ月はそんな調子だったと思う。 夏も終わりに差し掛かったある日、俺の仕事中に、携帯に留守電が入っていた。亜依からだ。 仕事中だから留守番は確認しなかった。 終わったのは結局22時過ぎ。 いつもなら聞かずに消してしまう留守番だが、その日だけなぜか聞いた。 「ししょー…亜依です。連絡するのは、今日で最後にします。あの公園で待ってます。来てくれなくても…夜中まで待ってますから。わたし、しあわせに、なりたい。ししょーと…俺さんと一緒に、しあわせに」 そこで切れていた。 時計を見る。22:13。まさか、まだ待ってるのか。
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42 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 02:59:05.70 ID:KHnemHv50 - 俺は急いで、あの街に、あの公園に向かった。
馬鹿か。怖い想いをしたはずなのに、何もわかってない。 自分がどんなに可愛い顔してるのか、全然わかってない。 男が、どんなに怖い生き物なのか、全然わかってないんだ。 そんなことを思いながら。 正直、誰に言ってるのかよくわからなかった。 23時過ぎ。俺は公園についた。
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44 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:08:56.38 ID:KHnemHv50 - いつも練習していたベンチに、亜依は座っていた。
俯いて、ひとりで、何時間ここに座っていたんだろう。 馬鹿だ。俺なんかのために。いつも必死で、全力で。 こんな馬鹿見たことない。 俺「何やってんだ!」 俺は大声を出してしまった。 亜依の前で大声を出したことなんてなかった。 びくっとして亜依は顔を上げた。泣きそうな顔をしてた。 亜依「俺さ…ごめんな、さ…」 やっぱり泣き出した。 すぐ泣く女は嫌いだ。泣けばいいと思って。 俺はそういう時いつも不機嫌になる。 だけど、この時は不機嫌とはまた違った怒りだった。 亜依に?自分に?俺にもよくわからなかった。 俺「…帰ろう」 亜依「…」 俺「…亜依!」 亜依「………や」 俺「や?」 亜依「いや…です…」 俺「何が」 亜依「わたしのこと、嫌いなら嫌いって言ってください」 俺「嫌いなわけじゃない」 亜依「わたし…俺さんが好きです。俺さんは…わたしのこと…」 俺「わかった」 亜依「え?」 俺「ちゃんと話す。だから、帰ろう」
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45 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:15:26.50 ID:KHnemHv50 - なかなか立ち上がろうとはしない亜依の手を取って、無理矢理立たせた。
時計を見ると12時近い。もう終電には間に合いそうにもない。 亜依の手を引いて、亜依の家に帰ろうとするが、どうにも亜依の足が重たい。 亜依「振るならここで振ってください」 俺「え?」 亜依「俺さんは…前の彼女さんのこと忘れられないんですか」 俺「そういうわけじゃない」 亜依「私じゃ…だめなんですよね」 俺「ちがう、そうじゃない」 ここで、亜依のほうを振り返って正対した。 依然、亜依は泣いている。 シャツの袖で涙を拭う。 俺「可愛い顔、こんなにしてw」 亜依「笑わないでくださいよぅ…」 和ませようとして冗談ぽく言ったら逆効果だったらしく、余計泣いた。
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46 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:20:21.01 ID:KHnemHv50 - 俺「違うんだ。亜依は可愛い」
亜依「…」 俺「正直に言う。好きだ。でも恋愛の好きかは、わからない」 亜依「…ぐす」 俺「今すぐじゃないと、だめか?」 亜依「だめじゃない…」 俺「帰ろう」 亜依「…うん」 ようやく亜依は歩いてくれた。
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47 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:35:16.30 ID:KHnemHv50 - 二度目の亜依の家。
最近の亜依の心境さながら、部屋も多少荒んでた。 見ないでー!とか赤い顔で言われても… 俺「じゃあ、話そう」 亜依「いやです」 俺「あ?」 亜依「わたしと、付き合えない理由なら、ききたくないです」 俺「はあ…」 亜依「わたしたちの、未来の話ならしましょう?」 俺「左様か」 こいつ自分が美少女だってわかってんだな、と思った。 だってデブスがこれ言ったら… 俺「じゃあ、未来の」 亜依「うん!」 俺「いやその前に」 亜依「えー!えー!」 俺「いいか、お前ちょっと黙れ」 亜依「」 俺「俺じゃなくてもよくないか」 亜依「なんで」 俺「俺みたいな奴と好き好んで付き合う必要なんてない」 亜依「…やだ」
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48 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:40:34.05 ID:KHnemHv50 - 俺「なんで?」
亜依「だって…好きになったものは仕方ないです」 俺「あのさあ…」 亜依「わたし、わかってます」 俺「え?」 亜依「俺さんは寂しかったから誰でもよかった」 俺「…」 亜依「でも本当はよくないでしょ」 俺「…」 亜依「さみしくないように、そばにいます」 亜依「ゆっくり、行けばいいです」 俺はそこで泣いてしまった。
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49 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:48:55.71 ID:KHnemHv50 - 俺「言い訳だよな」
亜依「え?」 俺「自分が傷付くのが怖いから、遠ざけて」 亜依「うん」 俺「自分が信じなかったら、進めないよね」 亜依「うん」 俺「だから、俺は亜依に向き合うことにする、もう逃げない」 亜依「…うん」 俺「付き合うか」 亜依「えっ…いいの?」 俺「この流れ、今付き合うか一生付き合わないかだけど」 亜依「付き合います!喜んで!」 俺「おいバイトwwww」 亜依「うへへwwww」 俺「…頼むな」 亜依「…わたしが、いますよ」 俺はいつの間にか寝落ちした。
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50 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:51:27.58 ID:KHnemHv50 - というわけで今日はここで一区切りしたいと思います。
不人気スレつらいお…
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51 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 03:52:49.80 ID:KHnemHv50 - 寝る前にちょっと書き溜めておく。
質問などあればどぞー
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55 :1転載禁止[]:2013/03/29(金) 04:01:28.26 ID:KHnemHv50 - >>52,53
ありがとー >>54 はずかしながら24ちゃいです。
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62 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 10:38:24.13 ID:KHnemHv50 - 見てくれてありがとう。
今日中に戻って来れるかわからないので酉つけとく。 目覚めると、横に亜依がいた。 床に座り、ベッドに突っ伏した状態で寝てしまったらしい。 亜依も、俺のせいで自分のベッドで眠れなかったのか、同じ姿勢で寝ている。 時計を見ると、10時過ぎ。今日が休みでよかった。 俺はタバコを吸いに、ベランダに出る。 サッシを開けるカラカラという音で、どうやら亜依を起こしてしまったようだった。 亜依「…ん…俺さん…」 俺「ごめん、起こしたね」 亜依「…んん…」 亜依は腕を伸ばした。俺とはだいぶ距離があったので、その腕は空を切った。 小さい子供が、母親に向かって抱っこーという時のそれに似てたので、愛しくなって俺はまた笑った。 8月も終わり。まだまだ外は暑い。セミが盛大に鳴いていた。
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63 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 10:45:25.61 ID:KHnemHv50 - 昨日のことを思い出すように、煙を深く肺に溜め、ゆっくりゆっくり吐く。
ベランダからは、あの公園が見える。 見慣れない景色だけど、何だか落ち着く場所に思えた。 サッシが開いて、亜依が遅れてベランダに出て来た。 俺「おはようw」 亜依「…おはよう、ございます…」 俺「ごめん、寝ちゃったわ」 亜依「…んん…」 視線を公園のほうに戻す。 腕に、亜依が絡みついてきた。室内は冷房が効いていたせいか、 亜依の腕はひんやり冷たい。心地よかった。 小さくて、柔らかくて、可愛いこの生き物は、どうして俺なんかを選んでくれたのか。
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64 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 10:52:21.57 ID:KHnemHv50 - 俺「…お風呂入ってないし、汗臭いよw」
亜依「くさく…ないもん」 亜依は、俺の手を取り、自分の頬に擦り付けた。 そして、ふふっ、と笑った。 亜依「夢じゃ…ない…」 俺「おう」 亜依「…もう…会えないのかとおもった…」 俺「俺も会わないつもりだったかもしれない」 亜依「…ばか…」 俺は亜依の頭を撫でた。猫みたいに、黙って撫でられた亜依は気持ちよさそうだった。 俺「おなかすかない?」 亜依「…すいた」 俺「どこか行こうか」 亜依はこくんと頷いて、部屋に戻って行った。 ひとりになると、突然暑さを感じた。
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65 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 11:07:10.82 ID:KHnemHv50 - それから、2人が始まって、以前のように会ってはギターを教える日々に戻った。
たまに亜依の部屋に泊まったりもするようになったが、性的なことはしない。 亜依は、「そういうこと」をしたことがないそうだった。 どんな感じなのか聞かれて、答えに困った俺は、 「恋人同士でするとしあわせなことなんだよ」と教えたら 亜依は「わたし、はやくしあわせになりたい」って言った。 俺が大人になったらね、って言ったら、うーっ…って唸ってた。 好きだけど、妹みたいで、性的な対象として見るのはまだ難しかった。 俺にも時間が必要、と諭すと納得行かないって顔しながらも、受け入れてくれた。
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66 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 11:15:16.92 ID:KHnemHv50 - 恋人らしいスキンシップはしていたので、流れでキスはしてた。
部屋でじゃれ合って、脇腹をくすぐって遊んでたら、 笑いながら涙目で振り向くもんだから、もう可愛くてしてしまった。 最初は触れるだけのキス。吃驚した顔をしてたが、すぐに笑顔になった。 もっとー、と言われて応えた。可愛い。 唇の内側で吸い付くみたいなキスをしたら、ぼーっとした顔をしてた。 正直、勃起しなかったのかと言われたら、それは全力で否定するが、 行為には及ばなかった。まだ必要ないと思った。 それから会う度にキスをせがまれて、セックスしないでよかった、とも思った。 別に恋人同士だから構わないけど、会う度にセックスをせがまれるようになったら 自分がまた闇側に転落してしまうのでは、と怖がっていたからだ。
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67 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 11:20:13.27 ID:KHnemHv50 - 亜依のことはすぐに大好きになっていたので、後は自分の問題だった。
デートらしいデートもそこそこした。 亜依が映画見たいといえば映画館に行ったし、 水族館にもネズミの国にも行った。 俺の趣味に付き合わせて京都に短い旅行に行ったこともある。 楽しかった。 自分にも穏やかな幸せというものが、再び訪れるとは思ってもみなかった。
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69 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 11:25:06.96 ID:KHnemHv50 - 幸せだったある日、ちょっとした事件が起こった。
例のビッチからメールが届くようになった。 やっぱり忘れられない、やり直したい、そんなメールだったが、 その都度、彼女がいるから無理です、と返していた。 が、ビッチは諦めなかったみたいだ。 ビッチの執念は、ストーキングに発展する。 俺からメールの返信がなくなると、俺の自宅や職場周辺に現れるようになった。 許して、と言う。もう終わったことだ、と俺が言う。 ビッチは諦めなかった。 俺の彼女が亜依だと知られるまで、時間はかからなかった。
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70 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 11:30:09.54 ID:KHnemHv50 - ビッチの執念は、亜依に向いた。
亜依を付け回すようになり、嫌がらせをするようになった。 郵便物を汚されたり破られたり、真夜中に玄関のドアを叩かれたり。 亜依はいつも誰かに尾行されてると感じるようになり、怯えた。 それがすぐビッチだとわかったが、俺がそれを言ってもしらばっくれた。 あの子と別れてやり直して。それしかビッチは言わなかった。
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73 :1転載禁止 ◆lYll.l0mahiO []:2013/03/29(金) 12:37:03.28 ID:KHnemHv50 - 俺はごめん、と言って亜依を抱きしめた。
亜依も無言で強く抱きしめ返してきた。 また別のある日、今度は2人でいるときにビッチが俺たちの前に現れた。 簡単に言うと、ビッチは刃物を持っていて、亜依を刺そうとした。 かばって俺刺される(今も刺し傷が残ってる) ビッチタイーホ。 そんな感じで一件落着したんだけど、俺は引っ越すことにして、仕事も変えた。 少し広めの部屋にして、亜依と半同棲状態になった。
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