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名も無き被検体774号+
暇だから小説書く

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12 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 05:43:16.45 ID:oREI3m5MO
とりあえず俺と同じクラスで

入学当初から登校拒否で、担任が時々アイツの家に言ってるらしいとか
同じクラスの名前まだ覚えてない出っ歯の女と同じ小学校だったらしいとか
クラスの女子ほぼ全員に何故か良く思われてないとか
俺がアイツに対して知る事はそれ位なもんで

時々席替えをしては、空席が教室内をあちらこちらと移動する。
「アイツ学校も来ないでさ、毎日なにやってんだろね〜」
たまたま俺の近くに移動した空席を見ていたら、隣に座る女子が話かけてきた。
馬鹿にした様な口調と、曇った目つきに少しだけ不快になりながらも何気なくそれを飲み込む。
「…、さあ」
「アイツあんなブサくて地味で友達もいなくてさ〜、学校も来ないなんて終わってるよね」
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13 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 05:47:10.02 ID:oREI3m5MO
>>11
ありがとう

今日は雪で登校時間遅いからもう少し頑張る
>>12の更新で誤字発見
すみません
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14 :名も無き被検体774号+[]:2013/01/15(火) 07:10:44.29 ID:oREI3m5MO
そう言いながら嬉しそうに笑うこいつに何も言えなくて、もう一度空席を見た。
その後もなにやら話かけてきたが、俺は適当に相槌を打ち、朧気にしか思い出せないアイツの顔を思い出そうと頑張っていた。



冬休みに入り、冬期講習の隙間にクラスの奴数人とカラオケボックスで遊ぶ事になって。
何処からか話を聞きつけた女子も数人混ざって遊ぶ事になった。
何とか歌えそうな曲を必死にさがしていたら、女子の話が聞こえてきた。
「学校来てないアイツさあ、昨日事故って今ヤバいらしいよ」
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15 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 07:19:18.90 ID:oREI3m5MO
頭の中が滅茶苦茶沸騰した気分だった。
普段口数が極端に少ないと自覚する自分が、舌先が痺れる程何やらまくし立て、気がつくと店を飛び出していた。
町に一カ所しかない緊急指定の病院にあっという間に駆け込み、俺は其処から何処に移動して良いのか分からずに立ち竦んだ。
何故か歯がガタガタ鳴るし、アイツが今まだ生きてるのかとか、駄目に近いのかとか色々な事が一瞬で駆け巡る。
全身が心臓になる気分…
妹が時々発作を起こし緊急搬送されるが、その時の比では無い。
昔味わった、妹が倒れ生死をさ迷った時の僅かな記憶が蘇る。
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16 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 07:27:03.15 ID:oREI3m5MO
「…、君?…君」
ぼやけた頭で正面を見ると、担任が俺の名前を呼んでいた。
「…、は、…は今…」
音になるかならないかの俺の声を拾ったらしい担任は少し目を見開き、隣にいた見知らぬ若い男性が俺の肩に力強く手を乗せた。

「ありがとう、大丈夫、大丈夫、大丈夫だから」
「本当に?大丈夫、本当に?」
涙がどっと溢れ、俺は気がつけばその人と抱き合っていた。
凄く悲しくて、辛くて、声を出して泣いた。
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17 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 07:39:33.26 ID:oREI3m5MO
身内しか入れないICUに入る事を若い男性…アイツのお兄さんに促され、俺は薄い服とマスクを身に付け入室した。
沢山のモニターや他の患者の側を通り過ぎ、一番奥まで行く。
すると其処には、白いシーツに身を投げ出す、変わり果てたアイツがいた。

沢山のモニターと電子音。
妹のおかげで、モニターに表されている数値が今正常では無い事が嫌でも分かってしまって。
有り得ない血圧の数値と、紙ペラみたいな色の顔をしたアイツを交互に見る。
「…、おい、…君が来てくれたぞ、ほら、もう目を覚ませ、せっかく来て…くれたんだぞ」
「おい、俺の事覚えてるか?おい、猫あれからどうなったか知ってるか?…、なあ、…」
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18 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 07:54:00.08 ID:oREI3m5MO
ベンチに座ったまま暫く沈黙が続き、すると、プルトップを持ち上げ、カシャリとした音が隣からした。
一口飲み込む気配の後
「…猫の事だけど」
「…はい」
俺もお兄さんに買ってもらった缶コーヒーを掴む。
「押し入れで飼ってたんだぜ、アイツ」
「…」
「バレてないって思ってたみたいだけど、バレるっちゅーんだよ。馬鹿だよなアイツ、……、遠慮しないで飼いたいって言えば良いのに」
「……」
「…俺達血は繋がってなくて、去年親が再婚したんだけど、…、…、事故で…アイツの父親…、あっという間に死んじゃって」

常に、痛々しい程に控えめに過ごしていたらしいアイツ。
亡くなった、大好きだった義父の分も、本当の兄貴になりたいと語る、隣に座る男。
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19 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 08:04:02.81 ID:oREI3m5MO
『飼ってあげたいけど…無理なんだよ』
そう、呟いたアイツの台詞が蘇る。

また此処に来る事を許された俺は、大きな溜め息と共に病院を出た。



親には早めに塾に行くと告げながら、毎日病院に通い、アイツの顔を見ながら、俺は話が苦手なりに頑張りながら何かしらを語って病院を出て行く。
こんな状況は突然終わりを告げる事になる。
「あんた早めに塾に行って自習してるなんて嘘でしょ?毎日毎日なにやってるの!」
母親にいきなり怒鳴りつけられた。
「あんたには妹の分も頑張ってもらって、大学も行って、立派になってもらわなきゃ駄目なんだから」
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20 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 08:05:33.21 ID:oREI3m5MO
では学校行ってきます
続きはまた後で
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21 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 15:41:02.41 ID:oREI3m5MO
頭の中が真っ白になった。
酷い言葉を次々と吐き捨てる俺。


普段何があろうとも泣かない母親が、しゃがみ込み泣き出した。

…でもその時、罪悪感はまるで感じなかった。
何故かアイツの存在を母親に虫けらみたいに扱われた気分になって、自分でも気が狂ってしまったんじゃないかって位腹がたって。
母親は自分が何をしているかさえ知らないで言ってきただけだと頭の片隅で分かっているのに。
それでも、言葉は止まらない。

「ダチの心配しちゃいけねーのかよ!俺は妹の分まで頑張ってオメーの自己満足に付き合って!オメーらの奴隷になって働かなきゃなんねーのかよ?俺の存在って何だよ?ふざけんなよ!キタねえ涙なんか流して俺を悪者にするな!!」
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22 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 15:52:24.64 ID:oREI3m5MO
俺は家を飛び出して自転車に飛び乗った。


――妹想いのお兄ちゃんをずっと続けてきて

勉強も頑張って

言いたい事があっても出来る限り飲み込んで


とにかく、アイツと話がしたい



『猫押し入れに隠してたのバレてたぞ』

『名前なんてつけてたんだよ』




『学校来いよ。
俺オマエの事何も知らなすぎる
なんか色々誤解されてるみてーだけど
俺で良かったら、力になれるか分かんねーけど

だけど、孤独には絶対にしないから』


目覚めたら言おうと決めている、何度も思い描いた言葉を繰り返し繰り返し
心の中で俺は叫んだ。
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23 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 16:06:50.86 ID:oREI3m5MO
かなりの時間街中をさ迷った後、気がつけば日中訪れていた、アイツの居る病院の前にいた。


しんとすっかり静まり返った受け付けの前を通り過ぎ、休憩所の長椅子に腰を降ろした。

自販機の音以外何も聞こえない。目の前にある防犯灯の灯りを意味も無く見つめながら、俺は暫く呆けていた。


「…君、…此処に…居たんだ」

静かに話かけてきた人物に向けて見上げると、それはアイツの兄さんで。


「さっきね、息を引き取ったんだ。……は、天国に…」
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24 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 16:21:59.67 ID:oREI3m5MO
「君が帰って少しした後、奇跡的に意識が戻って」

「それが、ここ数日意識はあったみたいで…、自分の状況は良くわかっていた」


「君の事、いっぱい話していた。


『あんまりアイツの事知らないけど。
とりあえず学校に行って。うちからアイツに話かけてみる事から

中学生を初めてみたい』

『こんなに一緒にいてくれた奴今までいなかったし
友達に…してもらえるかなあ』

色々話した後ふっと意識が無くなってね。…色々危なくなって。だけどもしかしたらまた意識が戻るんじゃないかと思って君の携帯に電話したんだけど繋がらなくて…

いや、責めてる訳じゃない、……、最後はね、凄く幸せそうに笑っていた


ありがとう。本当にありがとう」
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25 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 17:19:51.92 ID:oREI3m5MO
自宅に帰ると、母親が泣き腫らした顔で出てきた。
酷い事を言ってしまった事や、塾をサボった事で罵られるのではないかと虚ろながらも心を身構えてる

「…、ごめんなさい」

自分が言ったのか母親が言ったのかわからないその一言。

俺は真っ直ぐに車椅子に座る妹の元へ近寄り、妹に抱きついた。

指をしゃぶる音や、俺の首筋に伝う妹のよだれが冷たくて、ちょっと笑いながら、また涙が出た。
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26 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 17:31:35.52 ID:oREI3m5MO
俺の妹は2歳の頃、保育園で怪我をして脳に障害をおった。
歩くことも、話すことも出来なくなったけど、無邪気な笑顔だけは残ってくれた。

年々体重も重たくなって
色々な発作を繰り返して

…もしかしたらアイツも妹みたいになっていたのかもしれない

そうだったら、あの兄さんや時々見かけた義理の母親はアイツをどうしたんだろうか

でも、こんな笑顔を見たら、乗り越えられたんだろうか


そういえばアイツの笑った顔知らないなあ。
いや、それ以前に何も知らなすぎた。


でも

「なあ、兄ちゃんのな、友達が…、天国に行っちゃったんだ…。オマエは…頑張るんだぞ」

妹は何やら声を出した後、優しく笑い声を出した。
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27 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 17:44:54.54 ID:oREI3m5MO
葬儀にはクラスでは俺しか来ないと思っていたら、女子を中心に結構来た。


もっと一緒にいたかった。
色々話をしたかった。
涙声でそう話す彼女らには、今まで感じていた不快さは微塵も感じなくて

妹以外の女子が苦手だった自分を、アイツが変えてくれた気がした。

――…一緒に子猫を撫でただけの、ほんの一瞬しか過ごせなかった友達だけど。

アイツのお兄さんが持つケースの中をしゃがみ込み覗くと、見た事がある毛並みの、あの頃より逞しくなった子猫がいて。
涙ぐみながら頭を俺に下げるその人に、俺はアイツへの想いを口にした。


母親な吐いた暴言への罪の重さも噛み締めながら、苦しみに負けず、頑張って前に進み生きていこうと

俺はアイツの幻の笑顔に誓った。
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28 :名も無き被検体774号+[]:2013/01/15(火) 17:48:13.48 ID:oREI3m5MO
終わった〜www
誤字脱字だらけだったけど初書き楽しかった
しかし暗い話になってしまった
(´・ω・`)

ニーズがあるなら次はエロいの書く
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30 :名も無き被検体774号+[]:2013/01/15(火) 17:57:09.89 ID:oREI3m5MO
>>29
お疲れ様w
読んでくれてありがとう
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34 :名も無き被検体774号+[]:2013/01/15(火) 19:37:11.99 ID:oREI3m5MO
>>31
読んでくれて有り難う
読み返すといらないエピソードと足りないエピソードに気付いたり、表現の可笑しさに気付いて、ちょっと恥ずかしくなったりw
物書き見習いの方にホメて貰えてめちゃめちゃ嬉しいですwww
感情移入しながら書いてたから自分も泣きそうになってました
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35 :名も無き被検体774号+[]:2013/01/15(火) 19:42:02.72 ID:oREI3m5MO
>>32
本気にしてしまいそうww
でも上には上がいるから、他のもの目指します(´・ω・`)

>>33
そんな法則があるんだ
全然知らなかった〜
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39 :名も無き被検体774号+[sage]:2013/01/15(火) 22:42:00.99 ID:oREI3m5MO
>>36
また話が浮かんだら今度はまとめ書きしてアップしてみる
色々とアドバイス有り難う

どこで話書いてるのかわからないけど頑張って下さいw
ちょっと読んでみたくて気になるけどww

>>37

グロ絶対注意
完全スルーで

>>38

有り難うw


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