- つらつらしたい
13 :1 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 15:58:39.55 ID:cSNZc6R80 - 母のスマホには、早くも彼女の思い出が詰め込まれていて、多くの番号が登録されていた。
私のスマホにはネットの海で攫った絵画の画像と、スクロール要らずのアドレス帳しか無い。 それでも、絵文字の出し方や画像の保存の仕方を教えると、母は子供のように、素直に感嘆の声をあげる。 「やっぱり若いって良いわねえ」 スマホを繁々と眺めながら、母がそう言った。
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14 :1 ◆LPys9vWKYo [sage]:2012/11/06(火) 16:04:52.60 ID:cSNZc6R80 - お、書き込めた。やったねたえちゃん!
つらつらの仕方が分からないので試行錯誤だ。 これからは話を区分していくだろうから、サブタイトル的なものを名前欄に入れることにする。 独りごちるときは名前を1にしておく。 レスさんくすこ。
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16 :母と私 ◆LPys9vWKYo [sage]:2012/11/06(火) 16:11:20.80 ID:cSNZc6R80 - 「椿、寝てないでしょ?ごめんね付き合わせて」
スマホの画面を撫でながら母が言う。 絵画を無料で何枚でも保存出来るよ、と教えてから、母はリャドの絵を何枚も見比べている。 彼女もネットの海にはまったことを確認して、私は「また出掛けてくるから寝ない」と答えた。
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18 :母と私 ◆LPys9vWKYo [sage]:2012/11/06(火) 16:21:19.20 ID:cSNZc6R80 - また出掛けるの?と母が訊いたと同時に、私のスマホが軽やかな音で短く鳴いた。
これは、内蔵されてる着信音のなかで私が一番好きな音で、ある一人からの着信を知らせるものに設定している。 うん、と着信音より短く答えた。自分のスマホを手に持って椅子から立ち上がる。 「体壊さないようにね、また豚汁作っとくから」 コートを羽織った私の後ろで、母がリビングから声を掛けた。
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19 :1 ◆LPys9vWKYo [sage]:2012/11/06(火) 16:31:33.10 ID:cSNZc6R80 - 母と私はこれで終わっておく。尻切れドラゴンフライとは俺のことさ。
最初だし、まあ良いか。そのうち起承転結とか則り始めてたら小説家でも目指そう。 レス嬉しすぎて全レスしそうな勢いだがわきまえてみる。しかしさんくす! でも新しいPC買うまでは、こんな大きい専ブラ入んないよぉ……。(容量的な意味で)
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20 :1 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 16:36:07.91 ID:cSNZc6R80 - あとで突っ込まれたときに言おうかなと思っていたが、このスレの特徴を幾つか書いておく。
・時系列はめちゃくちゃである ・実話、妄想もめちゃくちゃに入り混じっている ・なので一人称はころころ変わると思われる ・書き込む時間帯はおやつ時が多いと思われる ・レスを貰えるのは嬉しい ということでつらつらしていく。
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21 :女と私 ◆LPys9vWKYo [sage]:2012/11/06(火) 16:43:04.39 ID:cSNZc6R80 - 心地よい重みと温もりを感じながら微睡んでいると、遠くであの音が聞こえた。
この家に来たときには分からなかったが、あの音の少しあとにはいつも、扉が開く音がする。 つまりあの音は来訪者によるものなのだろう。 私の上で寝ていた兄弟を起こさないように、寝床からそろりと抜ける。 冷えた廊下に足をつけると、このまま進むか寝床に戻るか、少しばかり考えてしまった。
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22 :女と私 ◆LPys9vWKYo [sage]:2012/11/06(火) 16:46:52.42 ID:cSNZc6R80 - 腹が減った。
廊下から玄関までの短い距離で、覚醒し切っていない頭でそう思った。 ちょうど良い、今から来るであろう女に飯を拵えて貰おう。そうも思った。 あの音が近付いてきて、続いて扉の向こうで金属の冷たい音がした。 そして扉を開けた女と目が合って、私は丁寧に「腹が減った」と言った。
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23 :女と私 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 18:38:33.17 ID:cSNZc6R80 - 「おお」
女が短く返事した。この女は口数が少なく、なにか喋ったと思っても、文字数が少ない。 「なんやお前、可愛いな」 珍しく饒舌な女が言う。しかし言葉が通じていないことが分かり、私は少し落胆した。腹が減っていく。 靴を脱いで腰を屈めた女が私の頭に手を置いた。そのまま指先で頭を掻かれる。 依然腹は減るが、その刺激は好きだ。目を細めて身を任せておいた。
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24 :女と私 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 19:57:51.02 ID:cSNZc6R80 - しかし女はすぐに私から離れ、いつも女が入る部屋へと向かって行った。
私は体を玄関の方へ向けたまま、首を動かして目だけで女を追う。 女も、わざわざ出迎えていた私を気にしているらしかった。 分厚い上着を脱いで姿形の細くなった女が再び私の頭を掻く。私は目を細める。 しばらくそうしていたが、女が台所へと歩き出した。 もしかしたら私の飯を用意してくれるかも知れない。そう思ったところで、落胆しない為にと期待を打ち消した。
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25 :女と私 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 20:10:54.12 ID:cSNZc6R80 - 玄関に居ると、より体が冷えた。しかし瞼と四肢と頭が重く、眠気が後を引いている。動くのも億劫だ。
飯時までここで寝ておこうか。 そう思ったときに、兄弟が台所を歩く音がした。とことこ、と。小気味よく響いている。 続いて彼が「ご飯」と言った。彼は飯時だけは甘えた声になる。 幼い彼だから出来ることで、私には到底真似できない。想像しただけで寒さが増した。 「ちゃすけ」 台所から女が私を呼んだ。ゆっくり振り向くと、女も私を見ている。女と目が合った。
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26 :女と私 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 20:24:22.58 ID:cSNZc6R80 - 「ちゃすけ、おいで」
睡魔に呑まれている私には、女の要望に応えられるかも分からなかった。 しかし空腹も無視出来ない。 前へ向き直って無理矢理に瞬きをする。掌に力を入れたり抜いたりもする。僅かだが眠気が引いた。 文字通り重たい腰を上げ、台所へと向かった。女が皿に飯を盛っている。兄弟は既に食べ始めていた。 兄弟の隣に腰を下ろした。彼は食事に夢中だ。 私も食べようと鼻を近付けたところで、本日二度目の落胆を味わうこととなる。 あろうことか、私の好きではない飯が用意されていた。しかもここ数日はこればかり食わされている。 無意識に「またか」と呟いていた。
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27 :女と私 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 20:32:30.96 ID:cSNZc6R80 - 「食わんのか」
女の声で我に帰った。 どれだけ長いあいだ落胆していたのか、いつの間にか兄弟は飯を平らげ、寝床へと戻っている。 私は出来るだけ申し訳ない顔をしながら「すまん」とだけ言った。 「美味しくなさそうだしね。これ」 女が私の頭を優しく撫でる。その気持ち良さと、言葉が通じた安堵から、私は目を細めた。
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28 :女と私 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 20:50:19.00 ID:cSNZc6R80 - 女が椅子に腰掛けたので、私も後を追い隣に座った。
眠たい目で女を見上げると、女も私を見ていた。私は思い出したように「おかえり」と呟く。 しかし女は返事せず、無表情のまま私の脇に手を差しこみ、私を持ち上げた。 無抵抗でいるとそのまま尻を抱えられ、女の膝の上に載せられる。 多少居心地が悪いのを自分で調整していると、寝床よりも女の膝の方が暖かいことに気が付いた。 しかしこのことを知っているのは猫である私だけだろう。 人間が人間を膝に載せているところを、私は見たことが無い。少しばかり人間に同情した。 女が私の体に手を置く。冷たい外気から守られているように、女に触れている部分だけが暖かい。 心地よい重みと温もりを感じながら、私は微睡みを堪能することにした。
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29 :1 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 20:54:54.97 ID:cSNZc6R80 - 女と私、了。
これからはつらつらの終わりに「了」を差し込もう。 激しく板違いな気がしないでもないがのんびりつらつらする。 マイペースであれ。 今夜はもう少しつらつらする。
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31 :connector ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 21:00:19.88 ID:cSNZc6R80 - 人と繋がっている、と思ったことが無い。
手を繋いでみる。人に触れてみる。普段人に見せないところを、普段人が見せないところと繋いでみる。 携帯電話には誰かに繋がる番号が多々ある。メールを送れば返事がくる。インターネットは、まあ多少難はあるが繋がっている。 繋がりたいと思ったことも無い。 それは私が、自覚はなくとも誰かと繋がっているからかも知れない。
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32 :connector ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 21:03:56.74 ID:cSNZc6R80 - いろいろなことをしてみた。
大人数での会話に交じってみたこともある。終始誰もが笑っていた気がする。 一対一での会話で相手が泣き出して、その後に笑顔で「ありがとう」と言われたこともある。私も「何がよ」と笑った。 手を繋いでみる。人に触れてみる。普段人に見せないところを、普段人が見せないところと繋いでみる。 携帯電話には誰かに繋がる番号が多々ある。メールを送れば返事がくる。インターネットは、まあ多少難はあるが繋がっている。 しかし、人と繋がっている、と思ったことは無かった。
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- 今日は俺の誕生日。
10 :名も無き被検体774号+[]:2012/11/06(火) 21:05:32.58 ID:cSNZc6R80 - >>1
そうだと思って赤飯炊いといたよ。 食えよ。俺の奢りだ。
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33 :1 ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 21:12:38.63 ID:cSNZc6R80 - 厨二っぽい書き出しにしたら途端に筆が重たい、改めキーボードが硬い。
ちょっとハヴァブレイクしよう。 レスさんくすこ!
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34 :connector ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 21:38:24.86 ID:cSNZc6R80 - 家に帰ると彼女がご飯を作っていた。
おかえりと言われ、半ば機械的にただいまと返す。彼女は笑顔だった。 「もうちょっとでご飯出来るよ」 薄い湯気の向こうで彼女が言う。私も「今日めっちゃ腹減ってるんよね」と言う。二人とも笑顔だ。 食卓に並ぶのは、至って質素な一汁一菜だ。しかし私に不満は無い。 彼女のほうはいつも「おかずこれだけだけど」と淋しそうに笑っている。
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36 :connector ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 21:46:47.27 ID:cSNZc6R80 - 食事を済ませると、彼女はゲームを始めた。
最初の頃は彼女から「見たいテレビある?」という断りがあったが、毎回私が「ないよ」と言うので、一カ月後には食事の後片付けが終わるとゲームの流れが定着していた。 画面に収まり切らないほどの大きいモンスターを攻撃している彼女を後ろから見る。 彼女はモンスターの動作に逐一反応して、興奮したり動揺したり、喜んだりしている。私もそれに合わせる。 巨大なモンスターを三体捕獲すると、彼女は満足したのか、ゲームの電源を落とした。途端に夜の静けさが強調された。
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37 :connector ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 21:56:13.02 ID:cSNZc6R80 - 寝支度を整え、彼女と同じ布団に入る。
風呂上がりの彼女は体温が高く、シャンプーか何かの香りが高く上った。 「おやすみ」と言いながら、彼女が私に擦り寄る。私も同じ言葉で返事をし、彼女の背中に腕を回した。 「柊」 うとうとしているところに、私を呼ぶ彼女の声が聞こえた。囁いてるような、小さく掠れた声だった。 眠り掛けている私は、口を開けずに喉だけで返事をする。彼女は掠れた声で「好きだよ」と呟いた。
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38 :connector ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 22:55:34.21 ID:cSNZc6R80 - 既に覚醒していない頭で、彼女の言葉を反芻した。
彼女は好きだと言った。私のことを好きだと言っているのだろう。そしていま、恐らく返事を待っている。 「……ん」 そこから言葉を続けようとしたが、私は不意に眠りに落ちた。 その間際、彼女の細い腕が私を強く抱き締めた気がした。
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39 :connector ―sheside― ◆LPys9vWKYo []:2012/11/06(火) 23:40:47.16 ID:cSNZc6R80 - 髪を切った。
考え事をしながら髪をいじっていると痛んだ毛先が憎らしくなり、ちょうど目の前のペン立てに鋏が居たので髪を切った。 手櫛で適当に毛束を取って、適当なところで鋏を入れる。 ヂョキ、という鈍い音と共に髪の毛が分裂する。指の隙間から短い毛がはらりと落ちた。 「あ、髪切ってる」 帰宅した恋人が私を見るなりそう言った。「さっぱりしたでしょ?」私はさも嬉しそうに、新しい髪形が気に入ってるかのように言う。 恋人もさも楽しそうに、新しい髪形が可愛いとでもいうように、私の頭を撫で回した。
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