トップページ > ニュー速VIP+ > 2012年07月27日 > H0TWczxL0

書き込み順位&時間帯一覧

218 位/2922 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数40000000000007000011000013



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名も無き被検体774号+
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です

書き込みレス一覧

人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
185 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 00:07:31.37 ID:H0TWczxL0
「さて、そろそろ解散といくか」
青空の顔を見つめながら、僕は言います
「なんだかお前、いきいきしてきたからな」

青空は痛いところをつかれて
慌てて緩んでいた表情を引き締め
「別に、そんな」と言いながら顔を赤くします

”実は人と話すのが好き”などと思われるのは
青空のような者にとっては最も苦痛なことなのです
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
188 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 00:27:30.12 ID:H0TWczxL0
タダイマー
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
189 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 00:29:14.69 ID:H0TWczxL0
「さようなら、くもりぞらさん」
青空は公園を出て行きました
逃げるように早足で出て行ったので
公園の前にいた人に気づきませんでした

青空のクラスメイトの男は
公園から出てきた青空を見たあと
その手に抱えられた植木鉢を見て
見てはいけないものを見たように目を逸らしました

すかさず僕は青空の体をのっとります
感じの良い笑顔で「こんばんは」と言います
相手の男は、とても困った顔をしましたが
「ちわっす」と頭を軽く下げました
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
190 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 00:43:27.62 ID:H0TWczxL0
クラスメイトの男が去って行くと
青空は僕のところまで戻ってきて言います
「いったい、なにがしたいんですか?」
よほど恥ずかしかったのか、涙目になっています

「お前がしたくないことをお前にをさせたい。
 お前がしたいことはお前にさせたくない」

「変な人と思われたじゃないですか、
 公園から植物盗んだ人みたいじゃないですか」

「いいじゃないか、どうせ死ぬんだろ?」

「確かにそうですけど、それでも、死ぬ直前まで、
 死んだ後の自分を想像する自分はいるんですよ」

「いいことを言う、その通りだ。だからやりがいがある」

呆れたような顔で青空が僕に言います
「女子高生に嫌がらせして楽しいですか?」

「楽しいぜ。今度やってみな
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
204 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:05:48.39 ID:H0TWczxL0
それからも毎日、僕は青空が知人と出会うたびに
礼儀正しく挨拶させ、時には会話までさせました

周りが少しずつ、青空が口を開いても
違和感を覚えなくなってきたところで、
惜しくも課外授業が終わってしまいます

最期の授業が終わった後、
青空はまっさきに教室を出ると思いきや、
ノートの隅に、おそらく僕に向けた
メッセージを書きはじめました
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
205 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:14:34.69 ID:H0TWczxL0
青空は、以前僕がそうしていたように、
ブランコに腰掛けて待っていました

「こんばんは、くもりぞらさん」

真夏日の昼間で、ブランコの椅子は
ひどく熱を持っていました

カーティシーの育て方について、
今のやり方で合っているのか確認したい、
というのが青空の要望でした

話を聞く限り、青空の育て方に
特に間違った点はなさそうでした
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
207 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:19:49.56 ID:H0TWczxL0
「こんばんは」じゃなくて「こんにちは」だね
俺あたまおかしい
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
208 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:21:41.16 ID:H0TWczxL0
「糞暑いな」と僕は汗を拭います

「落としてあげましょうか、川とかに。涼しげですし」

僕は無視してシーブリーズを体に塗ります

「いつか落としてやりますからね」
青空は僕に小石を定期的に投げてきます

僕は青空の体をのっとり、水飲み場で
おでこで水を飲ませてやります

制服までびしょ濡れになった青空は、
「涼しげでいいです」とブランコに座って言います
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
209 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:34:42.99 ID:H0TWczxL0
「お前はもう夏休みか。残念だな」と僕は言います
「もっと色々やらせようと思ってたんだが」

「夏休み大好きです」と青空はばんざいします
「人と会わなくて済むし、家にいられるし。
 お酒は誰かが捨てたから飲めませんが」

「人と会うのも、外に出るのも嫌なのか」
僕がそう聞くと、青空は「しまった」という顔をして、
「ええと……どちらかと言えば」と濁します

青空の体をのっとり、僕はポケットをまさぐります

ところが目当てのものは見つかりません
しかたなく、操作をいったん解除します
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
210 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:43:03.33 ID:H0TWczxL0
「お前」僕は聞きます、「携帯はどうした?」

「携帯? 持ってませんよ、そんなもの」

「携帯電話を持ってない? 今時の女子高生が?」

「必要ないことくらい見ればわかるでしょう。
 いままで気付かなかったんですか?」
前髪をしぼりながら青空は言います

確かに、青空が携帯電話を持っても、
目覚し時計と化すのが目に見えています
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
211 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 13:49:30.24 ID:H0TWczxL0
「なにをするつもりだったんですか?」

「知人に連絡して、遊びに誘ったりするつもりだった」

「断られますよ、そんなの」

「そうなれば尚良かった。お前傷つくだろうし」

「……そうですね。効果覿面でしょう」

「お前が人に会いたくなくて外に出たくないなら、
 俺はお前を人に会わせて外に出そうと思ったんだ」

「間に合ってます。もう外に出てますし、
 現にこうしてくもりぞらさんと会ってるんです」

「じゃあそれを継続しよう」と僕は提案します
提案と言うか、もう決定なのですが
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
217 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 18:51:20.89 ID:H0TWczxL0
青空はお酒が飲みたいそうなので
僕は青空を喫茶店に連れて行きました
エスプレッソをふたつ注文します

「私コーヒー苦手なんですよ。にがいから」

「知ってる。ウィスキーは飲めるのに、変な話だ」

「コーヒー、毒みたいな味するじゃないですか」

「毒を飲んだことがあるような口ぶりだな」

「ええ、他人の体を使って、ですが」

僕が何も言わずにいると、青空は
「冗談でしたー」と言って微笑みます
冗談にしても分かりにくいし、何より面白くありません
人を自殺させるだけの簡単なお仕事です
218 :名も無き被検体774号+[]:2012/07/27(金) 19:01:00.18 ID:H0TWczxL0
僕が机の上に広げた参考書をのぞきこみ、
青空は不思議そうな顔をします

「勉強するんですか?」

「ああ。試験が近いんだ」

「そっか……そうなのか。私も勉強しよう」
青空は鞄から速読英単語を取りだします
それを見た僕は、なんだか懐かしい気分になります

運ばれてきたコーヒーに、砂糖をたっぷり入れ、
おそるおそる口をつけた青空は、「にがいー」と顔を歪めます


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。