- ゲーセンで出会った不思議な子の話
665 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 20:45:54.81 ID:x9+/iUde0 - かっこいいこと言おうとしたのに、彼女にこっちを見られると恥ずかしくなって
ついついおかしなことを言ってしまう。 彼女「えーww富澤でしょーwこれ可愛いなー。」 俺「うん…プレゼントだよ。すっごい似合ってる。」 本当に似合ってた。自分の選んだネックレスをつけている姿が、 とっても、微笑ましかった。
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667 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 20:50:32.37 ID:x9+/iUde0 - 瞬間、彼女は俺に抱きついてきた。
俺はビックリして心臓飛び出るかと思った。 俺「ぅお…!」ビックリして、変な言葉が出る。 彼女「ありがとう。絶対絶対、大事にするよ。」 勇気を絞って、俺も抱きしめた。 思えば、人生で始めて女の子を抱きしめた瞬間だったと思う。 とっても暖かくて、大事なものだって気がした。
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673 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 20:56:02.63 ID:x9+/iUde0 - 高校時代毎日使っていた見慣れた駅のホームの真ん中で、
俺は確かに人の温かみを感じた。 人なんてほとんどいなくて、駅のホームには俺と彼女だけだった。 向いのホームに高校生がいたが。 しばらくその状態で、彼女がいきなり 「充電完了だー!」 と大声をあげるものだから、ぱっと手を離した。
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678 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 20:59:56.61 ID:x9+/iUde0 - 改札をくぐる、なんだか照れくさくなっちゃって俺はぎこちない。
でも彼女はそんなのおかまいなしで、 「ほらら〜らら〜らら〜♪」(聖剣LOMのドミナの曲)などと鼻歌を歌う始末。 ご機嫌だったんだろう。彼女は普段からよく歌う子だった。 それ、聖剣だね!なんていつものように俺もつっこめず、 駅を抜けるとそこには迎えが待っていた。
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680 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 21:01:14.81 ID:x9+/iUde0 - ちょいと失礼。
晩飯を作ってきますゆえ、しばし離れます。 30〜40分で復帰しますね。
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697 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 21:43:36.77 ID:x9+/iUde0 - ごめんなさい。お待たせいたしました。
また一服しつつゆったりと再開したいと思います。
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701 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 21:54:02.83 ID:x9+/iUde0 - 迎えに来ていたのは、妹だった。
車で迎えにきてくれた。 「なんでアイツなんだよ…」 と思ったが、結果母親が来てもあまり変わらないので同じだった。 俺は彼女の荷物をずっと代わりに持っていたので、積みこむ。 俺「ごくろーさん」 妹「いえいえ」 彼女「こんにちは、わざわざありがとうございます。」 妹「こんにちはー」 妹は明らかにニヤニヤしていた。
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705 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:00:44.01 ID:x9+/iUde0 - 妹「可愛いなー。同級生ー?」
俺「お前よりずっと年上だから」 彼女「いえ、全然気にせず接してくださいねw」 妹「こんな兄だけどよろしくお願いしますねー」 車内は女社会と化していたが、非常に和やかなムードで、 妹と彼女も気が合いそうな感じで俺は安心した。
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709 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:08:33.88 ID:x9+/iUde0 - 車で坂をのぼる。
俺の実家はちょっと坂の上にある。 店がまったくないわけでもなく、いい感じの田舎だ。 家につくと、待ち構えていたように母さんが出てくる。 「いらっしゃい!遠くからお疲れ様」 彼女「いえいえ、よろしくお願いします。」 彼女は、こういうところで礼儀正しくて、当然のことながら少し驚いた。 気のせいか、母さんも妹も、よそよそしくて、落ち着かない感じだった。 無理もない。ダメ息子が急にこんな女の子を連れてきたら、 面食らうってもんだろう。
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713 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:15:03.82 ID:x9+/iUde0 - 母さんと妹はまだ晩飯の準備中だったらしく、
彼女は手伝いたい、と言った。 俺は疲れてるんだから無理しないで、と言ったが、 どうしてもと言ってきかなかった。 俺「母さんエプロンあったっけ?」 母「あれがあったわよアンタのが」 彼女は俺が高校の家庭科で使っていたエプロンを身にまとった。 「どうかな?w」 恥ずかしそうにエプロンを着て彼女は言う。 俺「いいねー最高だよ。」
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720 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:21:34.63 ID:x9+/iUde0 - その様子を見て母さんと妹が俺の方を見て不自然にニヤニヤする。
俺は「ほっとけ!!」と心の中で連呼した。 彼女も台所についてできることを一生懸命手伝っていた。 うちの家族に混ざって、楽しそうだった。 俺はそれを横目に見つつ勝手口の裏口で一服していた。 俺も手伝おうとはしたが、アンタ失敗するから、と妹に阻止された。
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724 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:28:36.27 ID:x9+/iUde0 - その日は、カレーだった。
ウチのカレーはレトルトは使わず、スパイスとかも使って、 無意味に凝っているものだった。 みんなで食卓に着く。 俺は若干の気まずさを隠しきれなかったw 彼女「こんなに本格的なカレー、おうちで作れちゃうんですね〜」 母「まーこだわりだすとキリがないのよね」 母さんは鼻高々だった。
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725 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:30:35.15 ID:x9+/iUde0 - 彼女「おいしい!美味ですよこれ!」
彼女が笑ってそういうとみな口々においしいと言い出した。 俺「うん、やっぱりおいしいね。」 妹「たしかに美味、だねw」 ご飯が進みだすと、妹と母さんが動き出す。
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728 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:35:55.72 ID:x9+/iUde0 - 母さんは、「うちの息子の何がよかったの〜?」
とか笑いながら聞き出すし、 妹は妹で、彼女がオタ気質であることを知ると、 途端に自分の好きな漫画とかの話を振りだす。 彼女は彼女で、「わたし一発芸とかできるんです」とか ワケの分からないことを言い出すし、そうするとうちの妹も悪ノリしだすし、 色々とてんやわんやなんだけど、楽しかったよ。 初めて食卓を共にしたのに。
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734 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:42:02.65 ID:x9+/iUde0 - そのあとも、妹が「今日は面白いテレビやってないから」と
言い出してアメトークのDVDを見だしたりした。 妹は終始馬鹿笑いしていて、 彼女も「正気ですか!?」とかケンコバのものまねを始めだして、 母さんがなんか果物食べる?と聞けば 彼女は味をしめて「正気ですか!?」と返したり、 いや、楽しかったんだよ。本当に。
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737 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:48:51.19 ID:x9+/iUde0 - 夜も更けて、そろそろ寝る体制に入る。
彼女は、俺のベッドに寝かせてあげた。疲れてるだろうし、明日もあるし、 なにより体調を崩さないかすごく心配だったので、俺たちは早めに寝ることにした。 俺は毛布をしいて、床で寝ることにした。明日も、ある。明後日も。 明後日も、終わったら、その次は…? 夜になると途端に辛くなる。 部屋で二人になると彼女に言われた。 彼女「今日はすごく楽しかった。本当楽しかった。」 かみしめるように言う。
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739 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:52:19.64 ID:x9+/iUde0 - 彼女と日常を共にしていると、あの病室に帰ることが途端におぞましく思えた。
でも、彼女はもっと、ずっと、帰りたくないんだろう。 俺は彼女に「楽しかったよ。今日は疲れたし、早く寝よう。」 とだけ言ってから、ずっと考え込んでいた。 母と妹に、病気のことを言ってないのが辛かった。 正直、俺も誰かに相談したくてしょうがなかった。
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742 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 22:56:02.95 ID:x9+/iUde0 - 彼女も寝て、妹たちも部屋にいるのを確認してから、俺は勝手口に一服しに行った。
電話をかける決心をした。 親父に電話をかけた。 俺はもう、誰かに話さないとどうしょうもなく辛くなっていた。
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750 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:12:40.62 ID:x9+/iUde0 - 親父「おう、どうしたー?」
俺「遅くにすまん、実は…」 俺は、彼女のこと、彼女の病気のこと、今すごく不安なこと、 すべてを親父に赤裸々に離した。 男同士で、話したかった。聞いて欲しかった。 親父は多くは語らなかった。そして、俺に言った。 「絶対、最後までそばにいてあげろよ。つらいと思う。 でもお前が弱音吐いちゃだめだろ。 いつだってそばにいてあげろ、男と男の約束だ。」
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754 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:15:02.31 ID:x9+/iUde0 - 親父は古風で、頑固な人間だった。
そんな親父の言葉は、俺の胸に強く響いた。 絶対に最後まで一緒にいよう。何が待ってるか、分からないけど。 青臭い小僧の俺が一人でずっと抱えていたことが、 親父に話したことで、とても軽くなった気がした。
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758 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:20:48.60 ID:x9+/iUde0 - 俺は親父に話して、すっきりした。
部屋にもどると、さっきまでの不安が嘘のように、スムーズに眠りに落ちた。 気付くと、窓から明かりがさしていた。 実家の俺の部屋は一つの窓にカーテンがなく、朝日は入り放題なのである。 起きると、彼女は俺の机で何かをしているようだった。 俺は寝ぼけていて、状況を読み込めず、目覚めて彼女がいること自体に驚いた。
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762 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:26:24.63 ID:x9+/iUde0 - 朝飯を食べて、いざ出かけよう、となる。
前々から話していたが、彼女はとりあえず俺の育った町や場所を見て回りたいのだという。 俺は本当に楽しいのだろうか、と若干の不安があったが、 彼女がやっぱりどうしても、というのでそうすることにした。 彼女「今日は一日動きまわるねー!」 俺「無理しちゃダメだかんね。」 俺はさっそく車のキーを握って車をだそうとした。
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766 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:30:52.43 ID:x9+/iUde0 - すると彼女は珍しくぐずった。
俺はよく分からなくて、車乗らないの?と聞く。 彼女「自転車、あるよね…?自転車乗りたい」 俺「あ、そうなんだ。でも2台あったっけなー?」 彼女「そうじゃなくて。二人乗り…しようよ。」 俺「え?」 彼女「ずっとしてみたかったんだ…二人乗り」
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768 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:34:49.85 ID:x9+/iUde0 - 俺「だめだよ、あぶないし、体に負担かかって疲れちゃうよ…」
彼女「わたし一度も二人乗りってしたことないんだよ…」 そう言われると、弱い。 かくいう俺も人生で一度も二人乗りをしたことがなかった。 だから怖い、ということもあったのだが。 俺「分かったよ。じゃあすぐ近くの俺の小学校まで、だけね。」 彼女「やったー!じゃあグローブ持ってこうよ!」 笑顔になってはしゃぎだすのを見ていると、仕方ないかって思えた。
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774 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:40:03.70 ID:x9+/iUde0 - 彼女は「どう座るんだ?」ってつぶやきながら荷台にちょこんと座って笑った。
俺「それでいいんじゃないかなw よし、じゃあ俺が乗るから一回降りて」 彼女「やったー!」 荷台に乗せて気付いたが、彼女は嘘のように軽かった。 家を出て、ろくに車も通らない農道のような坂道を下っていく。 彼女は、とてもごきげんだった。
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781 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:50:21.01 ID:x9+/iUde0 - 彼女は歌い出した。
「かーみーさーまー!ひとつきいてくれよー!」 それは彼女が好きだった藍坊主のテールランプだった。 俺も楽しくなって、一緒に歌う。 「かーぜーきるー!あしをーぼくにくれよー!」 はたから見たら馬鹿丸出しなんだけど、 もう、どうでも良かった。
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787 :1 ◆WiJOfOqXmc []:2012/01/16(月) 23:55:54.10 ID:x9+/iUde0 - 彼女はごきげんだった。色んな歌を俺に歌ってみせてくれた。
彼女は歌い終わると、 彼女「こら、拍手しろ!」 俺「どうやってすんだよww」 このやりとりを数回に渡って繰り返したw
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