- バイクで日本一周してる女の子と仲良くなった話
3 :名も無き被検体774号+[sage]:2011/12/26(月) 07:39:19.92 ID:DP/9YheF0 - お盆休みにバイクで北海道をツーリングしていた時、
同じくバイクで日本一周していたオニャノコと仲良くなった リーマソの漏れは仕事の為すぐ地元に帰ったが 別れ際に必ず会いに行くから 必ず会いに来いよと約束して別れた 二ヶ月後約束は果たされ再会し もー燃え上がった燃え上がった( ̄ー ̄) でもオニャノコは旅の途中だからと 涙涙でお別れし、その時は敢えて何の約束もしなかった。 あれから何年前だか数えないとわからなくなるくらいの時間がたち 、お互い別のパートナーと結婚して幸せにやっている。 今は年賀状のやりとり程度の付き合いだが お互い元気でバイクに乗れてて何よりだ では以下kwsk行きます
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4 :兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:42:42.72 ID:DP/9YheF0 - 当時は二人とも二十代半ば、ニセコのキャンプ場で隣どうしだったのがナレソメ
俺 東北の地方都市出身在住、生産技術職。 見た目はエンセン井上にクマ髭。 175センチ75キロ。 バイクは同い年のシャベルローライダー 日本一周ムスメ 火の国の女、素朴な原沙知絵て感じ。 高校までバスケやってたそう、身長173センチ、太ってはいないがゴツイ。 旅に出る前は信金の窓口係だったらしいが、ストレスで自律神経失調になり辞めたそうな。 バイクは過積載のXR250バハ、女が乗ってるようにはとても見えん。
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6 :兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:45:12.51 ID:DP/9YheF0 - 俺は夜中発のフェリーで朝五時頃函館に着き、日本海側を北上しながら何年かぶりのホカイドーに感動していた。
天気は快晴、言う事なし。海も山も底抜けに青い、行き交うライダーとピースを交す交す。 バイクはこの春手に入れた、念願のシャベルローライダー。 ちなみにフルストックだ、カスタムにはほとんど興味がない。 タンデムシートに防水バッグ、中身は最低限のキャンプ道具と下着の替え。 後は酒とツマミのカワキモノ、ツーリングマップル北海道。 弁慶やら親子クマーなどを冷やかしつつ、昼過ぎになったら眠くなってきたので寝床を探すことにした。 オンボロシャベルにあまり無理もさせられないしね。 何と無く辿り着いたキャンプ場には、連泊らしきファミキャンがひと張り居るくらい。 まあまだ午後三時前だからな、そのうち増えてくるでしょ。 受付を済まして荷物を降ろしていると、サイトの奥に小さいテントがあるのに気が付いた。 サイズからしてソロに違いない、恐らくはバイク乗り連泊者だろう。 少し考えて十メートルくらい離してテントを張り、近くの温泉で汗を流し缶ビールのプルタブをカシュンとね。 テントの中で横になっていると急に眠くなり、日が暮れる位まで一眠りする事にした。 二時間くらい寝ただろうか、起きると周りの様相が一変していた。 大小様々なテントが林立し、炊事場は順番まちしてるような状態だ。 ありゃー参ったなと思ってたら、最初からあった隣のテントの住人が帰ってきている事に気が付いた。 どうやら女性の様だ、スラリとした長身で、美人と言ってもいい位の外見だ。 しかも何だか逞しいぞ、トゥームレイダーに出てるあの人みたいだ。 目が合ったので取り合えず会釈をし、俺の方から歩み寄って挨拶をした。 誓って言うが、この時点で下心や期待みたいなモノは全く無い。 ソロキャンパー同士の仁義と言うかマクラと言うか、社交辞令みたいなもんだ。 でもこれが出会いだったんだよな、この時が二ヶ月後の別れまでの短い恋愛?の始まりだったのでした
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8 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:51:39.04 ID:DP/9YheF0 - とりあえず当たり障りの無い挨拶を交わす、お互いにスマイル0円で掴みはおkってな感じ。
向こうも旅なれた感じで、適度な距離感と旅人同士の親近感が絡み合って、いい出会いの予感がした。 俺『こんにちは、混んで来ましたね』 ララクロフト『そうですね、私はここ三泊目なんですけど、昨日あたりから急に増えてきて』 俺『お盆ですからね、まあこんなもんでしょ』 ララクロフト『トヨタ関係がいっせいに休みになったからかなって、今朝誰か言ってましたよ、どちらから来られたんですか?』 俺『俺?、昨日の夜うちを出て今ここで・・・みちのくから一人旅ってとこかな?ww』 ララクロフト『じゃあ名前は山本譲二さんですねww』 俺『俺演歌歌手かYO!まあいいよ譲二で。それであなたはどちらから?』 ララクロフト『じゃあ・・・当てて見てください、ヒントはね・・・あたしは冬美、坂本冬美かな?』 俺『坂本冬美って言ったら・・・火の国の女かな、じゃあ熊本?』 ララ『火の国の女、舐めたらいかんばいw』 〜その後本名も名乗りあったが、ここからは譲二(俺)と冬美で行こうと思います〜 ちょww舐めたらいかんばいってwww舐めるも何も会ってまだ十分www まあ空気読むとドラマか映画か、歌の文句なのだろう。 ノリのいい子なのでこのノリを壊したくない、控えめな大笑いで誤魔化した俺GJ
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9 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:54:38.88 ID:DP/9YheF0 - その後自然の流れで晩飯を一緒に食おうって事になり、二台で連れ立って麓の町まで一緒に買い物に出かけた。
ジンギスカンだよな、やっぱり。ここは北海道だし、こんな旅のハレの日はジンギスカンで決まりだ。 俺は革パンにダブルの革ジャン、半分腐ったエンジニアブーツ、 金髪に近い茶髪ににクマー髭。どうみてもハレ珍です本当に(ry それに対して冬美は靴はガエルネ、上下赤のFOX、 銀メッキバイザーのVFX-Rにトロイリーの火の玉?柄のステッカーキットがバッチリ似合っている。 バイクはXR250BAJA、女の子が乗るには大きすぎる気もしたが、長身の冬美はアンコ抜きなどもせずに堂々と跨っている。 実は俺もドジェベル200とシャベルローライダーの二刀流なのだ、なんとハレ珍に加えて鈴菌感染者です本当に(ry さてその装備と立ち居振る舞いから、冬美のバイクに対する本気度がすぐ判った。 この女只モンじゃねえな・・・・・、なんちゅう男前だww、ますます興味が湧いてきた。
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10 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:56:04.86 ID:DP/9YheF0 - あ、最初にバイク板に書いたもんだから専門用語多くてあれだと思うけど、
適当に脳内補完して理解ヨロ わかんなかったら質問おなしゃす
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11 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:57:29.49 ID:DP/9YheF0 - 旅ライダーなど珍しくも無い土地柄時候でも、ハレ珍男とFOXねーちゃんの組み合わせはナカナカ珍しいのであろう。
農協ストアの店内で、レジのねーちゃんや買い物おばちゃんがこっちをガン見しているw 冬美『私達、何か目立っているというか浮いているというかw』 俺『キニスンナwそれより腹減ったから早く帰って肉焼くぞ肉ニク!』 冬美『野菜もちゃんと食べないとダメですYO!、それと生ラムのタレは空知とベルどっちにしますか?』 俺『何じゃそれ?まあどっちでもおk、肉とビールさえあれば他は何でもいいお(^ω^)』 冬美『だから野菜もちゃんと食えと小一時間(ry』 買ったのは生ラムが五百グラム、350缶6パックのクラシック、キャベツがひと玉w、色々入ったカット野菜、ベルの生ラムのタレ。 サイトに帰ると俺と冬美のテントの間にテントが二つ増えている、はい2人とも明らかなハレ珍ですw ハレ珍が3人とララクロフト似のFOXねーちゃん、当たり前のように四人で宴を催すことになりますたw 肉が足りないという事でハレ珍一号と二号が新たに買い出しに出かけ、帰ってきてジンギスカンが始まったのが八時過ぎ。 冬美持参の家庭用フライパンで肉を焼きまくって、とにかく喰う喰う、ビールガン呑み、あっという間にビールが無くなる。
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12 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 07:58:44.14 ID:DP/9YheF0 - ビールがなくなったが、もう補充の手段がない。
ここには売店も自販機もない、ここは俺の秘蔵の・・・まあそんなに大袈裟なもんではないが。 防水バッグから紙パックの芋焼酎を取り出し、皆の前にドンと置く。 ちなみに一升サイズの紙パックだ、黒霧島だかさつま白波だかだったと思う。 今ほど芋焼酎がメジャーでなかったからか、ハレ珍1号2号は怪訝な顔。 だが火の国の女は目を輝かせていた、やはり本場の人だからかね。 冬美『凄い!、これ頂いてもいいんですか!?』 俺『どーぞどーぞ、ご馳走しますよ』 冬美は大喜びだが他の二人はちょっと引き気味、あんまり酒が好きな方では無いみたいだ。 嫌がる人に酒を強要する趣味はないので、自然俺と冬美の呑み比べの様相を呈してきた。 うーんさすが火の国の女、男の中でもかなり強い部類に入るであろう俺相手に全く負けていない。 いや、酒ウェイトレシオでは俺が負けてるかも(´Д`) あまり酒が得意でない1号2号は途中でダウンしたが、 俺と冬美は一升の芋焼酎が全て無くなるまで呑み続けた。 馬鹿騒ぎするでも絡むでもなく、泣いたり怒ったりもしない。 あまり立ち入った話はしなかったが、八幡平がいいとか阿蘇が素晴らしいとか。 肉の脂でテカった顔で目を輝かせ、語る語る俺と冬美。 うーんいい酒だったな、今思うと最初にフラグが立ったのはこの時だったか。
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13 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:00:28.22 ID:DP/9YheF0 - 気が付いたらキャンプ場は皆寝静まっていて、起きているのは俺と冬美だけ。
俺『おっともう十時半か、そろそろ歯磨いて寝るか〜』 冬美『そうですね、今日は本当にご馳走様でした〜、また明日〜』 俺『おう、んじゃね〜、さて流しに逝って歯磨き歯磨きっと、』 冬美『待って下さい〜、あたしも行くから』 そう言ってゴソゴソとテントに歯ブラシを取りに入っていったのだが、五分経っても出てくる気配なしw ついに潰れたかwやっぱりかなり酔ってるなー、でも入り口もちゃんと自分で閉めてるし、まあ大丈夫でしょ。 なるべく物音を立てない様に、フライパンやコッフェルを体でも食器でも洗える液体石鹸で洗い、水を切ってテントの前室に置いた。 こういうのは翌日に持ち越したくない性質なのだ、歯を磨いて脂でテカった顔も洗ってオヤスミナサイ・・・・・・。 朝七時頃起きたら1号2号がパッキングを始めていた、もうお別れだ、寂しいけど旅だしね、仕方ない仕方ない。 来春に東北で行われる某バイカーミィーティングでの再会を約束し、2人と携帯アドレスを交換して別れた。 (この2人とは今でも連絡を取り合って、あちこちのミーティングで酒を飲む仲だ、旅っていいね)
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14 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:02:30.57 ID:DP/9YheF0 - 1号2号のサンダーヘッダー×2の爆音が遠ざかり、駐車場にはポツンと俺一人。
さーて、俺も出かけるかね、その前にコーヒー沸かして、と。 そんな事を思ってたら冬美が駐車場にやってきた、潰れていたわりには早起きだな・・・。 冬美『おはようございます、昨日は楽しかったですね、次は私がおごりますからね〜』 俺『おーありがとう、でも俺これからすぐ移動するからよ、また縁が有ったら、な』 冬美『え・・・もう行くんですか?、そうですか・・・それでどこに?』 俺『おー、あんま時間も無いし、ボロバイクにあんま無理させたくないからな、奥尻にでも行って二、三日ノンビリしよかと思ってんだわ』 冬美『奥尻とはまた渋いですね、ハーレーなんだから道東とかの方が楽しそうなのになんでまた?』 俺『まあ、なんとなくね、じゃあ俺もう準備すっから、ここでお別れだな』 冬美『そうですか、じゃあ、気をつけて行ってくださいね・・・』 そういって小一時間でパッキングと朝飯を済ませ、サンダル履きの冬美に手を振って奥尻に向かった。 少し寂しい気もするけど、いつもの事だ、なんてこたーない、真っ直ぐ前を見てトップギアに入れて前に進むだけだ。 ズパ、ズパパン、ズパパパパパアアアアンン!(シャベルの音)、あ、しまった、アドレス交換してなかったorz 折角仲良くなれたのになあ、まあいいか、遅れそうになりつつもギリギリで何とか船に乗れた。 夕方には小高い岬のキャンプ場(無料)でテントを張り・・・・盆だっちゅーのに俺一人だったorz
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15 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:08:09.12 ID:DP/9YheF0 - 奥尻最初の夜は一人キャンプだが、一人でもネイチャーストーブの火を見ながらウイスキー飲んだり。
まあ少し寂しいのはいなめないが、携帯もテレビも何もない夜もなかなか乙なもんだ。 自然と早寝して早起き、ゆっくり朝飯を食ってインスタントコーヒーをズルズルと飲む。 小一時間で一周できるくらいの島だが、あちこち見ながら半日かけてまわった。 トコブシ入りのシーフードカレーで昼飯を済まし、午後からは津波の記念館だか資料館だかを見学することにした。 一通り見学して、順路の最後にあった子供の作文を目を真っ赤にして見終わった後、 再びローライダーに火を入れて走り出し、青い空と若干荒れ模様の海を見ながら当ても無く適当に走った。 気が付いたらフェリー乗り場にバイクを停めていた、情けない話だが人恋しくなって居たのだろう。 とにかく人がたくさん居る所に居たかった、見知らぬ他人しか居ないと分かっていても。 丁度今日最後の船が着く時間だったのだろう、お盆時期の奥尻港はそれなりに賑わっていた。 道東だの函館だのの賑わいには比べられないが、バイクも何台か停まっているのが見える。 といっても三台くらいかwww、ヤマハのテネレと、カワサキ色のSSと、 トンボみたいなライトのオフ車・・・・んんんんええええ!!!!? あの過積載のバハは・・・いやまさかね、奥尻島の〜奥尻港で〜こんな場所に居るはずもないのに〜www
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16 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:10:08.01 ID:DP/9YheF0 - 桜木町だろうが何処だろうが居るはずもないのだが、どうやら冬美その人が居るようだ。
って言うか、奥尻逝くって有言実行してるから、当たり前といえば当たり前。 周りを見渡すと、土産物屋の店先で上下赤のFOXハケーン! もう間違いないわ、とっくに俺の存在に気付いチラ見しているみたいだが、何故だか気付かないふりをしている様だ。 うーんどうすっかなー、こっちから行くべきか、来させるべきか・・・俺も冬美もアホかww、さっさと声掛けよっと。 バイクを停めて最短距離で冬美に近づき、挙動不審なFOX女に声を掛けた。 俺『おう、奇遇だな、こんなとこで何してんだw』 冬美『あっれ譲二さん何でここにそういえば奥尻逝くって行ってましたね忘れてましたあたしも気が向いたんで来て見たんですけど』 俺『昨日の朝言ったこともう忘れんのかよw、まだ芋焼酎残ってんのか?www、それになんで一息に喋ってんだよwww』 冬美『あたし、べ、別に譲二さんが居るからって来たわけじゃないですYO!』 うっはwwwツンデレktkrwww 俺『まー何でもいーよ、今からキャンプ場探すのマンドクサだべ、俺がテント張ってる場所案内するから付いて来いよ』 冬美『わたしまだキャンプするって決めたわけじゃないですYO!、温泉が近くにある所じゃないとキャンプしたくないんです』 俺『温泉が近くにあるキャンプ場って、この島じゃ自動的に俺が居る場所しかねーんだよ、昨日観光案内所で聞いたから間違いないYO〜』 冬美『そうなんですか!じゃあ仕方ないかな、・・・・付いていっていいですか』 俺『何だよその仕方ないって、人に物頼むときの心遣いに付いて小(ry』 冬美『・・・・・スミマセン、連れて行って下さい、おながいします。』 多少の脚色wwはあるが、こんな風に最初の再会を果たした俺と冬美。 この時の俺、もう冬美に惚れかけてたな、間違いない。
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17 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:11:49.58 ID:DP/9YheF0 - 俺『さてどうする、すぐ移動するか?それともどっか見ていくか?』
冬美『いやー、とりあえずテント張って、それから考えます』 俺『んじゃー行くか、場所は島の反対側だけど、真ん中あたり大体真っ直ぐ行ける道あるからそっちいくべ』 冬美『はい、んじゃ後ろ付いて行きますね〜』 キャンプ場までの最短距離(だと思う)道を行き、出会ってから二回目の千鳥走行だ。 俺が路片側を走り、冬美がセンターライン側だった。付かず離れず、決して右ミラーの視界から外れる事はない。 やっぱり上手いな・・・、安心して前を走れる。以前からずっと一緒に走っているような気さえする、確か三十分もしない内にサイトに着いた。 小高い岬の上にテント10張り位で一杯になるくらいのサイトだが、洗面所もトイレも清潔で申し分ない、充分過ぎる位だ。 一番奥の海側に張った自分のテントの前で停車し、そのすぐ後ろに冬美が停まった。 俺が居ない間に札幌ナンバーの四人家族、自転車で来ている若いカップルのがそれぞれひと張りずつ増えていた。 冬美『ここですか〜うわー海のすぐ側なんだ!眺めすっごくいいですね!』 俺『んじゃ好きな所にテント張って、それから温泉にでも行くか』 冬美『そうですね、どこに張ろうかな・・・・・』 と言いながら俺のテントの横辺りをガン見してる、曖昧に何かを訴えている冬美ワロスwww。 でも黙って見ているほうが面白いので、マドロス風に水平線を眺めるフリをしてすっとぼける俺。 三分ほど悩んだ末冬美は結局ちょっと離れた場所に、でも間にはもう別のテントが入れない位の微妙な近さにテントを設営した。 俺『さてちょっと早いけど温泉でも行くか、小奇麗だけど高いホテルと、建物は古いけど地元民向けの安いのとどっちにする?』 冬美『もちろん安い方、もー疲れたから観光は明日にしますよ』 俺『一瞬も考えないのなwwwだよなー、んじゃ行くか』
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19 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:36:16.50 ID:DP/9YheF0 - 二台で遊歩道のような迷路のような道を下り、五分ほどで漁港の横にあるローカル御用達の温泉に着いた。
玄関の横に並べてバイクを停め、三十分後にバイクの前で落ち合うことにして温泉に浸かった。 ここは建物も風呂も綺麗ではないが、茶色でしょっぱい日本海側特有(だよな?)の泉質。 秋田や青森の海岸沿いの温泉とよく似た感じだ、不老不死とかあんな感じ(だったと思う)。 海流で繋がる海はもちろん、マクロに視ると陸も繋がっているのだなと感じながら浸かる。 きっかり二十五分後にバイクの前に戻り、五分間をストレッチにあてる。 風呂上りのストレッチは日課なのだ、やるとやらないとじゃ翌朝のキレがぜんぜん違う。 きっかり三十分で冬美はやってきた、湯上りの時間を守れる女は珍しい、やはり男前だwww 冬美『夕飯どうします?、どっかで買い物して行きたいんですけど』 俺『この辺に店らしい店は無いと思ったな、でも俺が買出ししてあるから大丈夫だYO』 冬美『えーでもまたご馳走になっちゃうのは悪いですよ、今度は私におごらせて貰いたいなあ。』 俺『じゃあビールだけ奢ってくれよ、今夜が道内最後の夜だからな、残った食材で大盤振る舞いだ』 冬美『え・・・、もう帰っちゃうんですか、でもまだほとんど何も見てないじゃないですか』 俺『いや、もう見たいモンは見たし、八幡平辺りにもゆっくり寄りたいから、明日の午後には函館から船に乗ろうと思ってんだわ』 冬美『そうですか・・・・、じゃあまた今夜でお別れかあ・・・』 2人とも言葉少なにバイクに跨り、ビールを調達してテントに戻る。 小一時間の間にもう一つテントが増えていた、どうやら俺らと同じバイク旅のようだ。
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20 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:39:16.13 ID:DP/9YheF0 - サイトに着いて、とりあえず黒ラベルロング缶をカシュンとね。
俺『カンパーイ!』 冬美『はーい、カンパーイ!』 さてと、晩飯の支度だな、あるのはエノキ1パック、ボイル済みホタテ六個、パスタ一袋200g、調味料各種。 少し考えてエノキ半分とホタテ2個をコンソメスープにして、残りをパスタの具にする事に決定。 まずは丸型飯盒に湯を沸かして、真っ二つにぶち折ったパスタを投入。 茹で上がったら適当に湯を切ってそのまま放置、フライパンにオリーブ油を少々、エノキとホタテを投入。 クレイジーソルトで下味をつけて、具に火が通ったらパスタをフライパンに投入、少々水っぽいがキニシナイ! パスタと具を混ぜ合わせて主食は完成、飯盒に残りのエノキホタテと固形コンソメと水でスープ作成。 これで三十分弱ワンバーナークッキング終了、チビチビやってたロング缶が丁度1本無くなった。 冬美『ちょwwwなにその手際の良さwwww嫁にしてえwwww』 俺『嫁とか意味わかんねーよwww、まー一人暮らし長いからな、大雑把な料理は得意なんだよ』 冬美『一人暮らしなんですか?、アパートとか借りて?』 俺『いや俺田舎のでけー農家、しかも4世代10人同居の大家族で育ったからな、狭苦しいアパートなんてハナから無理』 冬美『10人とはまた凄いですね、あたし親子三人だったから憧れちゃうなー、じゃあ今はどんなとこに?』 俺『離農した農家をその辺のアパートより安い家賃で借りてるよ、農機具小屋をガレージにしてバイクとクルマ置いてな』 冬美『エー凄い裏山・・・・、あたしはマンションで育ったから・・・・・あーんうらやましい』 俺『冬とか雪寄せで大変だし、いい事ばかりじゃねえぞ。それから正確に言うと一人じゃねえな、ぬこが一匹住み着いてるww』
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21 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:41:19.09 ID:DP/9YheF0 - 冬美『ふーん、ぬこって・・・・動物学的に言うところの、所謂イエネコの事ですよね?』
俺『他にどんなぬこがいるんってんだよ』 冬美『いやその、メタファーとしてのぬことか、かな・・・・と』 俺『なんだよそのメタファーって、高卒ハレ珍で機械屋の俺に分かる様に今北産業で説明汁』 冬美『いやその日本語で言うと暗喩って意味で、あなたが噛んだ小指が痛いとかそんな感じ』 俺『あーなるほどね、女ならいねーよ、ここ一年くらいでウチに入ったのは実の姉ちゃんとお袋だけ』 冬美『いやそんな女がいるかなんて聞いたわけじゃあのその私ぬこがいるなら会いに行きたいなとか思ってフジコ』 俺『何で急に点も丸も無くなるんだよwww来たいんなら来いよ、ぬこもオスぬこだから女っけはカケラもねーYO』
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22 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:42:51.36 ID:DP/9YheF0 - 冬美『ええ!行っていいんですか、居座りますよ私www』
俺『居座るっておい、おまいはそんなに休みあるのか?』 冬美『あれ、言ってませんでしたっけ?私こないだ仕事辞めて日本一周中なんですよ、だから時間は余裕!』 俺『それは初耳だなwww、最初の晩はお国自慢しかしてなかったからな、そう言えばやけに荷物多いと思ってたわww』 冬美『でもまだ始まったばっかりなんですよ、ウチ出て最短で北海道来て、寒くなったら南下しようと思ってるんです』 俺『あーそうなのか、ならいつでも来ていいし、好きなだけいればいーよ』 冬美『九月一杯位は道内に居ようと思ってますから、十月の頭くらいに・・・・、いいですか、本当に行っても?』 俺『おk』 冬美『じゃあ約束ですよ、えっと・・・携帯と、家電の番号も教えてもらっていいですか?』 俺『おk』 そうこうしている内に料理は全て2人の胃袋に納まっていた、夕日の名残も無くなった頃、昨日セイコマで買ったフォアロゼをどんと置く。 何故かセイコマでフォアロゼだけ異常に安かったんだよwww、湯を沸かしてホットウィスキー?にして2人でガン呑み。 この日は俺が北東北の秋の素晴らしさを暑苦しく語り、身を乗り出して冬美が聞いていた、と思ったな、泥酔してたからイマイチ不正確。 俺『よし、んじゃあれだな、八幡平で待ち合わせすっか?』 冬美『あ、いいですねそれ!、分かりやすい場所に駐車場とかあるんですよね?』 俺『あることはあるけど確か有料なんだよな、アスピーテラインの一番高いとこから秋田側にちょっと下ったとこ、そこにも小さい駐車場あるからそこにするべ』 冬美『おk』 この日もボトルが全て無くなるまで飲み続け、冬美は今度もまた歯を磨き損ねた。
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23 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:44:50.40 ID:DP/9YheF0 - 寝たのは十二時を回っていたが、六時半くらいには起きた。
サスガに頭の芯が重い、水道の水をがぶ飲みし、頭と顔に冷や水を掛けて自分に活を入れる。 日が暮れてから寝床を見つけるのは骨だ、夕方までには青森に着いていたい、あんまり時間が無いのだ。 頭を大雑把にタオルで拭き、キリキリ撤収を始めた。すると冬美のテントからガサゴソ音がし、じきに起きてきた。 冬美『おはようございます、もう撤収ですか、早いですね・・・・。』 俺『おう、日が暮れるまでには青森に上陸したいからな、またここでお別れだな』 冬美『そうですね・・・・、あ、あたしももう出ますから、すぐ撤収しますね、一緒に出ましょうよ!』 俺『おう、もたもたすんなよ、四十秒で支度しな!』 冬美『四十秒????、いくらなんでも無理ですってwww』 冬美はどうやらラピュタを見たことが無いようだ・・・・・orz 結局三十分くらいで2人とも支度は終わり、さてエンジンをかけようかという時。 冬美『譲二さんは港に直行するんですよね?、じゃあ下の道路に出たところで右と左か・・・・・』 俺『また少しお別れだな、事故にだけは気をつけてな、じゃあ八幡平でな!』 冬美『はい!、必ず行きますから、じゃあ八幡平で!』 下の道路に出て俺は左へ、冬美は右に。 停止線に並んで停まり、最後に目で笑い合って、ほぼ同時にクラッチを繋いだ。 ハモっていたVツインとシングルが遠ざかり、もう俺の耳にはシャベルの音しか聞こえない。
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24 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:47:06.85 ID:DP/9YheF0 - ・・・・・・さて、帰りますかね。
奥尻から江差に行く一番の船に乗り、最短距離をひた走りに函館へ向かう。 昼過ぎ二番くらいの船には乗れたのだが、青森に着いた頃にはもうそこから動く気力が無くなっていた。 フェリー乗り場の建物の後ろ側に芝生があったので、そこでそのまま野宿する事にする。 一応気を使って塀際の目立たない場所にテントを張り、風呂にも入らず飯も食わず泥の様に眠った。 やっぱり疲れていたのだろう、でも心地いい疲れだ。 翌朝は四時くらいに起きてしまったのだが、場所が場所なのでそそくさと撤収して出発した。 ここからウチまではボロシャベルで急げば半日くらいだが、世界で一番好きな八幡平にも寄って行きたい。 秋田側からアスピーテラインに上がり、冬美と再会するはずの駐車場で奥羽山脈の山々に見惚れた。 俺はこの駐車場から見る景色が大好きだ、ああやっぱりいいなあここ、何回来てもいいなあ。 寄り道しまくって昼寝などしながらも夕方ぐらいに家に無事着き、小屋にバイクを入れているとぬこがすっ飛んできたwww 居ない間は近所に住む姉ちゃんが毎日カリカリと水をあげに来てくれていたのだ、明日はとうきびチョコを持って礼を言いに行かねば。 虎の子並みにデカイぬこを抱き上げてもふもふしながらウチに入り、シャワーを浴びてビールを飲んだ。 ふー、いい旅だったな、今頃冬美はどうしてんだろなあ・・・・。 ・・・・ここで北海道編は終了、次回からは、ぬこと俺と冬美編
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25 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:49:42.23 ID:DP/9YheF0 - >>18
ありがと どっかであえるといいな
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- バイクで日本一周してる女の子と仲良くなった話
26 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:53:32.46 ID:DP/9YheF0 - 翌朝は朝もはようからエサねだりぬこパンチで強制的に起こされた、カリカリを景気よく補充して水を足してやってぬこ飯はおk。
さて自分の朝飯だなと考えてたら、ねえちゃんがママチャリでやって来た。 この姉が兄弟姉妹の一番上で俺は次男、女男男女の三番目だ。 十歳離れたこの姉ちゃんは俺にとって母親以上に母親だ、親達は農業で忙しく俺と妹の面倒の殆どをこの姉に丸投げしていたのだ。 見た目はちょっと所帯やつれして老けた小雪って感じだが、一度直接そう言ったら偉い剣幕で怒られたww 姉ちゃん『あれれ譲二?もう帰ってきてるの?』 俺『おうただいま、昨日の夕方無事にな。ぬこの面倒ありがとな〜』 俺『ああそれでコレお土産、名物だぞ名物!』、と、とうきびチョコを手渡して言った。 姉ちゃん『・・・・これって北海道名物なの?、いつだかの正月に安比行ったときも有った様な期ガス』 俺『だって有ったんから仕方ねーべよ、道内で買ったんだぞ、本場だぞ本場』 姉ちゃん『まあいいよ、ありがと。それより朝ごはんまだでしょ、ウチに来て一緒に食べなさい』 俺『おーサンキュ、すぐ着替えていくわ』 俺んちから姉ちゃんちまでは家10軒分くらい離れていて、よく遊びに逝って甥っ子に遊ばれたりしている。 市街地と田んぼが隣り合っているような中途半端な場所だが、実家を出る時に姉が今の物件を紹介してくれた。 近所で夜逃げwwwした人の家が空いてるから、あんたアパート嫌なら入ったらどう?、と言われたのだ。 因みに大家は近所に住む夜逃げ家族の親戚だそうだ、遊ばせて痛むに任せておくよりは誰かに住んで欲しいとの事だった。 姉は十年前にここに嫁いできたのだが、旦那の祖父母〜両親と相次いで他界し、今は親子3人暮らし。 夫婦揃って大家族育ちなので、親子だけの家と言うのがどうにもケツの座りが悪いらしい、近くに住む俺は何かにつけて呼ばれたりしていた。 旦那である義兄は市職員でステレオタイプの堅物だが、どうにも酒が好きな性質なので同じくノンベの俺とは結構仲がいい。 俺『ハーイお邪魔します、では早速いただきまーす、でも野菜ばっかりだな・・・・』 姉ちゃん『あんたほっとくと米と肉と酒しか口に入れないでしょ、野菜もちゃんと食べなきゃだめよ』 俺『女って何でこう男に野菜ばっか喰わせたがるんだ?、菜っ葉ばっか食ってちゃ力なんて出ねーYO』 姉ちゃん『だからバランスでしょバランス!、ウチでくらいたっぷり食べていきなさい!』 とまあこんな感じで毎日が過ぎていっていた訳だがwww、当時は週に三回くらい姉ちゃんのとこで飯食ってたな。 それは冬美がいた半月間ほどの間も変わらなかった、姉ちゃんは今でも俺と2人になると冬美の事を話題にすることがある。
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27 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:55:24.38 ID:DP/9YheF0 - 北海道から帰ってきて以来冬美からは、週に一回くらいのペースで電話がかかって来ていた。
まだ秋なのに九州の冬より寒いとか、そんな他愛も無い話しかしなかったが。 そんな九月下旬のある日冬美から、来週の日曜日に八幡平の例の場所で待ち合わせおk? という電話が来た、もちろんおkだと返事をし、ついにこの家に冬美がやってくることになった。 ・・・・・今でも思い出すとぞっとするのだが、冬美からの電話が来た翌日、俺は仕事で大変なミスをやらかした。 俺の仕事は工場の生産設備の保守を行う生産技術関連、まあエンジニアの端くれの端くれだ。 俺の単純なミスで設備の根幹に関わる大事な部品を壊してしまったのだ、最悪な事にこれまた俺の発注ミスで予備の部品も無い。 規格に無い特注品なのでメーカーにも在庫はなし、これから発注しても届くのは最短で一ヵ月後。 でも何とかしなければ向こう一ヶ月間ラインが完全に停止してしまう、が、東奔西走の結果、関東の系列会社に部品があることが分かった。 誠心誠意頭を下げて部品を廻して貰い、ラインが復旧したのはトラブル発生から四日後の事。 だが一体どれだけの人達に迷惑をかけ、どれだけの損害を受けたのだろう、顧客からの信頼をどれだけ失ったのだろう。 ・・・・考えた末にすっぱりと頭を丸め、クマー髭も全て綺麗に落とした。 あーそういえば冬美はもう今週来るんだよな・・・・、この頭見てどう思うだろorz 鏡に映った顔は・・・・、どう見ても受刑者です、本当に(ry
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28 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:57:38.78 ID:DP/9YheF0 - さて冬美と待ち合わせの日の朝だ、秋晴れのいい天気だが、放射冷却の寒さが五厘坊主のもろ肌に染みる染みるwww
ローライダーはイマイチ機嫌が悪そうなので、今日はドジェベル200で出かける事にした。 ・・・・・折角だから、バッチリ決めていくかなwww驚くだろな冬美wwwハレ珍が来るとばっかり思ってるだろうしwww ヘルメットは黒のVFX−R、冬美と同じモデルだが俺のはバイザーも真っ黒だ、プロテクターJKTもばっちり着込む。 グローブ、ジャージ、モトパン、この三つは全てSHIFTだ、・・・・・セスエンスローが好きなんだよwww ちなみにウチのぬこの名前はセスエンスローjrだwww、まあ俺を含めた誰もが『ぬこ』としか呼ばないのだがww ここから八幡平山頂までは4時間くらい、200ccシングルでとことこ、と向かう。 国道からアスピーテラインへ、かなり有名らしい秘湯の前を過ぎて視界が開ければもうすぐに待ち合わせの駐車場だ。 ・・・・約束の時間より三十分も前だったが、居た、過積載のバハの隣に大柄な女、背中まで位の黒い髪。 ああ間違いない、冬美だ・・・・本当にまた会えた・・・・、ゆっくりと冬美の横にバイクを停めた。 まだ俺だと全く気付いていないみたいだ、さーて、どうやって脅かしてやるべかwwww
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29 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 08:59:02.57 ID:DP/9YheF0 - 横に停めてゆっくりバイクから下り、ヘルメットを脱いで冬美の方に向き直った。
天気はいいがここは吹きさらし、少し強めの風に髪の毛がなびいているのを見て少しときめいいたwww んん?、この一月ちょいでで少し痩せたみたいだな、まあダラダラしないで本気で旅すると誰でも痩せるもんだからな。 森吉山の辺りに視線を向けていた冬美がゆっくりこっちに目を向け、・・・すぐに俺だと気付いたようだ、顔中を目と歯にして笑う冬美。 冬美『こんにちは譲二さん、秋の北海道寒杉でwwちょっと早いけど来ちゃいましたwww』 俺『何にも驚かねーのかよww、乗ってきたバイクとか頭とか小一時間(ryな事色々あるだろーがww』 冬美『あーその事、バイクの事はオフ車も乗ってるって最初の晩に言ってたでしょ?』 俺『そだっけか、ずっと呑みまくってたから、言ったか言わなかったかも覚えてねえ』 冬美『頭は・・・・男の人がいきなり坊主にする理由って・・・ねえ、それをいきなり聞くほど馬鹿な女じゃないですってww』 俺『なるほどね、納得、今日のつかみはお前の方が上手だなwww、一ヶ月でかなりもまれて来たな?』 冬美『ありましたよー色々、楽しさ五割、辛さ三割、ムカつくのも二割くらいww』 俺『そーか、まあ後でゆっくり聞かしてもらおうかな、とりあえず乾杯だ、熱いコーヒー持ってきてるからカップ出して』 冬美『おお!何と言う準備のよさwww、今出しますからちょっと待って下さい!』 サイドバッグからコールマンのステンレスマグを取り出すのを待って、愛用のテルモスの蓋を開ける。 冬美の分を先に注いでから、自分の分は容器の蓋に注いで駐車場の柵に並んで寄りかかった。 俺『お久しぶり、ようこそいらっしゃいました、てことで乾杯!』 冬美『来ちゃいましたww、って事で、かんぱーい!』
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30 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:01:01.52 ID:DP/9YheF0 -
乾杯のあと二人でずるずるとコーヒーをすすり、ぽつぽつと話しながら奥羽山脈の山々を眺めた。 俺『さて、とりあえず昼飯にしねーか?、秋田側にはしばらく何もねーから、松尾側に降りて何か食うべ』 冬美『そうですね、もう昼ですもんねぇ、来た道帰るのはつまんないですけど、仕方ないですね』 俺『アスピーテラインを安比側から上がって来たんだべ?、もう一本樹海ラインてのがあるからそっち行くばおk』 冬美『え、そうなんですか?、じゃあ案内してくださいよ!』 俺『案内するほどのアレじゃねーけどな、んじゃ行くか。』 冬美のイデタチはお馴染の赤FOX上下だったが、その上にカソリタカシ色?のEDジャケットを着て準備完了。 俺はテルモスをくくり付けたバッグにねじ込むだけだ、エンジンをかけてゴーグル越しに冬美を見る。 目線が合うと真面目な顏で頷く冬美、頷き返してクラッチを繋ぎ、ひと呼吸遅れて冬美が続く。 シングル2台が樹海ラインを下っていき、松尾温泉郷を少し過ぎた辺りの某所で停まった。 今日のランチは怪しい洋館風の作りの洋食屋、二人とも同じラム肉ステーキ定食を注文した。
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31 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:03:46.59 ID:DP/9YheF0 - ラム肉ステーキ定食を食い終わり、コーヒーを飲みながら2人でまたーり。
一人のときは黄昏流星群とかを読みながらノンビリするのだが、今日はもちろん漫画には目もくれず冬美と話し込む。 俺『んで、どうだった北海道の一ヶ月?、スゲーの一杯居たべ?』 冬美『いやー、いい人も一杯ですけど、変なのとか悪い人とか。見た目どおりだったり、見た目に寄らなかったり色々でしたww』 俺『いい奴は一杯だよな、うん、俺も行くたびに友達増やして帰って来てるしな。でも悪いのとか変なのって、たとえばどんなの?』 冬美『うーん、同じキャンプ場にシーズン中ずっと居て、バイクで来てるのに全然走らない人とか』 俺『それは噂に聞くヌシって奴じゃないのか?、でもおれ盆休みほぼ毎年行ってるけど見たこと無いぞそんなヤカラ』 冬美『それは多分・・・・ひょいと奥尻行ったりする譲二さんとは行動かぶらなさそうだし、会ってもあまり近寄らないからでは?』 俺『へ?何で?』 冬美『あたしみたいな女とか、小さいバイクに乗った気が弱そうな学生さんとかには、何だか色々言ってくるんですけどね』 俺『何言われんの?』 冬美『新入りだからここにテント張れとか、あそこに固まってる連中とは話さない方がいいとか』 俺『・・・・本当に居るんだなそんな連中。一回は見てみたいもんだと思ってたけど、別に会わなくてもいいなww』 冬美『譲二さんと最初に会ったキャンプ場は有料だったでしょ?、あーいう所には居ないんですよ、無料の所にはわんさかww』 俺『ふーん、じゃあ会ってても、そんなんだと気付かなかっただけかも知れんな。まあ縁が有ったら気付く事もあるでしょww』 気付くともう一時半を回って二時近くなっていた、おっといけねえ、早く出ねえと日が暮れちまう。 割り勘で支払いを済ませて我が家に向かい出発、途中で某農場のソフトクリームが食べたいと冬美が言い出したので寄ってみた。 だがどうもソフトを食う為には入場料を支払って中に入らないといけないらしい、それを聞いてあっさりあきらめる冬美ww 冬美曰く、『商売丸出しの観光施設なんて興味ないですキリッ』、だそーだ、相変わらずの男前発言www。
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32 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:05:05.17 ID:DP/9YheF0 - 観光農場を後にして、周辺の酪農地帯をとことこ走る。
秋晴れのいい天気だが、だんだん体に当たる風が冷たくなってきた。 温泉にでも入って温まりたい所だが、この時間からだと湯冷めして風邪引くのが落ちだ。 とにかく最短距離を駆け抜けて家に帰ろう、走りを楽しむのは明日からにすればいいと冬美に言った。 冬美『そうですね、実はあたし夜中に青森に着いて全然寝てないもんでw、早く落ち着きたいです』 俺『よし、じゃあ最短距離をノンストップだ、ガスは大丈夫か?』 冬美『えーっと、・・・大丈夫です、ガンガン行ってください!』 俺は頷いてクラッチを繋ぎ走り出し、着かず離れずいい間隔を空けて冬美が着いて来る。 普段なら三時間近くかかる距離だが、頑張った甲斐あって二時間強でウチに着いた。 ローライダーの横にドジェベルを置き、ヘルメットを脱いで冬美を誘導してあげた。
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33 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:06:45.68 ID:DP/9YheF0 - 俺『そうそう、ドジェベルの横、クルマにあまり近づけないように・・・・オーライオーライ、よしおk!』
冬美はバハに跨ったままヘルメットを脱ぎ、顔中で笑ってこう言った。 冬美『いやー、本当に来ちゃったなあwww、いいんですか、居座ってもwww?』 俺『だからいいって言ってんだろwww、早く荷物降ろして楽な格好に着替えろ、クルマで温泉連れってってやるから。』 冬美『温泉!近くにあるんですか!?』 俺『十分くらい走るけどな、まずはその過積載なんとかすっぺよ。』 冬美『はーい、でもどこに置いたらいいですか?』 俺『着替えとか必要なもんだけ家に入れて、キャンプ道具とかの必要ないモンは、この小屋の隅にでも置いておいてくれ』 冬美『おk』 冬美はてきぱきと荷物を降ろし、キャンプ道具は小屋の隅に置き、必要なものはバックパックにひとまとめにした。 俺は準備おkと見て着いて来いと促し、玄関のカギを空けて冬美を中に招き入れた。 冬美『おじゃましまーす・・・・、うわー、広ーーーーい!!!!』 こうしてついに冬美はウチにやってきて、短いけど、一生忘れられないだろう二週間の同居生活が始まった。
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34 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:09:19.96 ID:DP/9YheF0 - ちょっと中断、ここで3分の1くらいかなあ。
みてるひと居る? 居なくても書くけどね
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38 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:31:22.76 ID:DP/9YheF0 - マンション育ちの冬美が仰天するのも無理は無い、周りと比べれば小ぶりではあるがここは元農家なのだ。
一般のマンションよりはまあ、かなり広いだろう、一人暮らしなので居間台所風呂便所くらいしか使ってないがww 冬美『わー、○○の○○○○○○みたーい!』 俺『ん?、なんだそれ?』 冬美『あっとですね、元農家を使ったライダーハウスですよ、オーナーさんもいい人でとてもいい感じでしたよ!』 俺『おうそうか、じゃあここも今日からお前が居る間はライダーハウスだなw、居なくなったら即廃業するからwww』 冬美『あははは、じゃあオーナーさん、一泊の値段はお幾らですかwww?』 俺『そうだな、宿泊は無料、食費飲み代は掃除洗濯で相殺、光熱費はオーナーの晩酌に付き合ってくれたら免除、って事でどうよ?』 冬美『おkおkおkおk!!!!、じゃあ早速今晩から光熱費無料って事でwwwwよろしく!』 俺『おーう、じゃあお前が寝る部屋はそこの和室だから、荷物置いて着替えたら居間に来い、温泉行くぞ。』 冬美『はーい、すぐ行きますね』 五分後くらいに冬美が居間に現れた、胸のところに大きなキツネの柄がプリントされたピンクのTシャツにジーンズというイデタチ。 俺『私服もFOXかよwwww徹底してるなおいwww』 冬美『いやー、何だか常にこの柄がどこかに付いてないと落ち着かなくてwww』 俺『筋金入りだなwww、じゃあ行くか、忘れモンはないな?』 冬美『はーい』 当時の俺の愛車は小さめの電気工事会社が営業で使っている様な軽1BOX、小さいし非力だが荷物はたくさん積める。 その気になれば車中泊だって余裕だ、クルマは道具と割り切る俺には必要充分だ、おまけに四駆なので冬もバッチリ!。 まあバイク二台と合わせて維持するにはこれが精一杯だったってのもあるがw、あの頃は貧乏だったなあ・・・・トオイメ・・
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39 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:33:29.18 ID:DP/9YheF0 - 俺と冬美を乗せたクルマが温泉に向かって走っていく、ちなみにBGMはチェンジャーから流れるメロコアだ。
一昔以上前に流行ったoffspringとかgreendayとかのあれね、ハレ珍仲間からは女子供が聞くようなモンとか馬鹿にされてたがww あのスチャスチャ感が好きなだけなんだけどね、ちなみにこの時はエンジンかけたらいきなりオフスプが大音量だったww 冬美『ちょwwおまおまーwww音でけええwwwww』 俺『おっとスマソ、ボリュームダウ〜ン、と』 冬美『あーびっくりしたwww、でも何かいいですねコレ、ガンガン上がってくる感じww』 俺『ああ、後でCD貸してやろか?』 冬美『はーい、ありがとうございますw、温泉てすぐそこなんですか?』 俺『もう五分くらいかなあ?、すぐそこだそこ。』 ぽつぽつ話してる間にすぐ着いた、温泉といってもぬるい源泉を沸かしなおしたモンだが、熱い湯が気持ちイイ事に変わりは無い。 三十分の約束をしてカウンターで別れ、例によって二十五分後にストレッチしていたら携帯が鳴った。 俺『はいもしもし〜譲二で〜す』 姉ちゃん『ああ譲二、あんた今日の晩御飯は?』 俺『んーと・・・、これから考える』 姉ちゃん『じゃあ今日うちカレーだから来て一緒に食べなさい、ジャガイモとほうれん草がたくさん入ってて美味しいわよ』 俺『えー野菜なんて別に・・・・、と、あ、姉ちゃん、ちょっと待って。』、この時三十分きっかりで冬美が来た。 俺『おい冬美、お前カレー好きか?、ジャガイモとほうれん草がいっぱい入った奴』 冬美『はい?、カレーはまあ、好きですけど、ジャガイモとほうれん草も普通に』 俺『よし分かった・・・・ああ姉ちゃん、もう一人連れて行ってもいい?』 姉ちゃん『ん?あんたの友達?、いっぱいあるから一人くらいなら構わないわよ』 ・・・こうしてこの日の晩御飯は姉ちゃんちでカレーと決定したwww
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40 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:35:44.40 ID:DP/9YheF0 - 姉ちゃんからの電話を切った後、訝しい顔の冬美に事情を説明し、とりあえずウチに帰ってから徒歩で姉ちゃんちに行く事にした。
冬美『譲二さんのお姉さんてどんな人ですか?、あたし緊張してフジコっちゃうかも・・・・』 俺『別に何てことねーただの主婦だよ、高校まではバスケ部で凄え選手だったらしいけどな』 冬美『え!!あたしも高校までバスケやってたんですよ、まあやってただけですけどwww』 俺『お、そうか。ならつかみはそれでおkだな、ここに居る間は俺の姉でご近所さんだから、まあ適当に仲良くしてくれよ』 冬美『はーい、バスケやるもの皆姉妹だから、多分大丈夫っす!』 十分でウチに着き、徒歩で姉の家に向かった。せいぜい三分くらいだ、玄関の引き戸を開け勝手知ったる姉の家に上がりこむ。 緊張している冬美を促して2人で居間に入り、隣の台所で何やら働く姉ちゃんの背中に声をかける。 俺『はーい、カレー頂きに来ましたよ〜』 姉ちゃん『ああ、もう出来てるからそこに座っ・・・・・ちょっと譲二、友達って、そのお嬢さん!?』 俺『そうだよ〜今日から暫くウチに居るからよろしく頼むわ〜、冬美、挨拶しれ。』 冬美『あはいあのはじめまして熊本から来ました坂本冬美です高校までバスケットやっててえっと譲二さんとはニセコのキャンプ場で最初に会ってそれから奥尻島で偶然(ry』 俺『何その一息自分史wwwwとりあえず、こんにちはよろしくお願いします、でいいだろがwww』 冬美『え?あ?はい、そですね、あの、よろしくおながいします!』 姉ちゃん『はい、こちらこそよろしくね冬美・・・ちゃんでいい?、こっちには今日来たの?』 冬美『はい、あの、呼び捨てでも結構ですんで、今日の昼待ち合わせて、一時間前くらいに着いたばっかりです。』 姉ちゃん『譲二じゃあるまいし、会っていきなり呼び捨てなんて出来ないわよ冬美ちゃんwww、でも譲二の頭見てびっくりしたでしょwww?』 冬美『いやー、はい、あの、かなりwww、でも何か、似合ってますよねwww』 姉ちゃん『あたしもびっくりしたわよ、・・・朝は犯罪者だったのに、帰ってきたら受刑者になってたって感じ?』 ・・・・エライ言われようであるが、どうやらモノの数分でお互いにつかみはおkになった様だ。
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41 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:38:00.48 ID:DP/9YheF0 - 不思議な事だが女同士はすぐ仲良くなる、少なくとも男の俺にはそう見える。
男同士が仲良くなるには、同級生だったり同僚だったり旅先での出会いだったり。 それに酒や連帯感なんかを加えて、ようやく腹が割れるようになるもんだろうよ。 だが冬美と姉ちゃんは会っていきなり打ち解けてしまっている、なんでだ?、まあ仲がいいのに越した事はないので別に不満ではないが。 冬美『あの、譲二さんの実のお姉さんなんですよね?、じゃあお姉さんて呼んで・・・いいですか?』 姉ちゃん『もちろんいいわよ、よろしくね冬美ちゃん』 冬美『はい、お願いしますお姉さん!』 姉ちゃん『じゃあそこに・・・、譲二の隣に座ってまってて、すぐ御飯にするから』 冬美『あ、あたし手伝います!、カレーですよね、お皿どこですか?』 何なんだこの自然な馴染み様はwww、まるでずっと前から俺と冬美が・・・・夫婦かなんかだった様だ。 その後甥っ子を連れて買い物に出かけていた義兄が合流し、夕餉のテーブルで見事なノンベが3人揃った。 三人でカレーをつまみにビールを飲み、下戸の姉はお茶で付き合った、三才の甥っ子は始めて見る冬美にはにかみながらも興味深々だ。 夜中のフェリーで青森に着いてろくに寝ていなかった冬美だが、義兄の勧めるままに芋焼酎をガン飲みし、午後九時には撃沈したwww 姉ちゃん『あらあら仕方ないわね、譲二、床の間に布団敷くからあんた起こして寝かしなさい。』 俺『おk、・・・・すまねーな姉ちゃん、俺の客なのに面倒かけさせちまって』 姉ちゃん『ふふ、あんたが女の子紹介してくれるなんて何年ぶりかしらねwww、で、もう付き合ってるの?』 俺『・・・そんなんじゃねーよ、旅の途中でちょっと寄ってくれただけだよ、まあ居る間は仲良くしてやってくれればありがたいな』 姉ちゃん『ふーん、でもそんな感じじゃないけどねえあんた達www』 ・・・・そんなんじゃなかったんだよ、本当に・・・・・。
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42 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:40:44.89 ID:DP/9YheF0 -
さて翌日は月曜日で俺は仕事だ、姉ちゃんちに冬美を寝かせたまま俺は自分ちに戻る事にした。 姉ちゃんにウチの合鍵を預け、起きたら鍵を渡して勝手に家に上がらせておいてくれと伝えた。 姉ちゃん『でも大丈夫なの?』 俺『何が?』 姉ちゃん『出あって間もないんでしょ?、信用できるの?』 俺『・・・・大丈夫だろ、じゃあ頼むわ』 まだ付き合いは浅いが冬美は信用できる女だと思う、出会ってからの言葉や仕草や立ち居振る舞いがそれを表している。 そうじゃなかったら俺の見る目が無かったてことだろうし、第一盗られて困るものはウチには殆どない。 盗られて困るものはローライダー位だが、俺以外の人間にはエンジンをかけることすら難しいだろう。 その翌日の仕事はそんなに忙しくなく、午前中はたまっていた書類仕事を淡々とこなす。 午後からは暇な時しか出来ない設備のカスタムwwなどする、狙い済まして五時ビッタリには会社を出れた。 ちょいと脱線するが、俺ら生産技術は、吊るしの設備に工夫を凝らして改良して使うすることが多い。 幾つかの設備メーカーはそのアイディアを平気な顔でパクって、別の会社の設備や今後の生産に展開するのだ。 これってどうよ?、アメリカあたりだと訴訟で面白い事になりそうだけどなwwww 会社を出てウチまでは三十分弱だ、渋滞さえなきゃ20分をきる事もある。 ウチに帰ると玄関のカギが空いていた、・・・なんか玄関ホールが綺麗だぞ?、廊下もピカピカだ。 居間に入ると・・・冬美が正座していたwwww、何やってんだよおいwwww 冬美『えっと・・、あの、昨日はスミマセンでした!!!』、正座したまま深々と頭を下げる冬美。 俺『は?、何が?』 冬美『だって来ていきなり酔っ払って迷惑かけちゃって・・・・、あああ、恥ずかしい・・・・・』 俺『キニスンナwww、俺だってしょっちゅうだwww』 冬美『でも譲二さんは家族だし、・・・ああ、何であたしってこうなんだろ・・・・orz』
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43 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:43:27.27 ID:DP/9YheF0 - ひたすらに平身低頭の冬美だが、別に誰も怒ったり呆れたりしている訳じゃない。
少なくとも俺はそうだ、さてどうやって立ち直らせてやろうかwwww 俺『もーいーよ、それより体は大丈夫?、二日酔いになってないか?』 冬美『あ、はい、大丈夫です。久しぶりに布団でゆっくり寝させてもらったんで、いやー、偉大ですね布団ってww』 俺『ははは、そーそー今夜は何食う?、っつうか何食いたい?』 冬美『えーっと・・・・特に何と・・・、じゃあアレがいいです、奥尻で譲二さんが作ってくれたスパゲティ!』 俺『あんな適当なモンでいいのか?ここはキャンプ場じゃないぞww』 冬美『いやー、あの晩御飯は、あたしがキャンプの自炊に目覚めた記念すべき料理なんですよww』 俺『ん?、じゃあそれまでは何食ってたんだ?』 冬美『カップラーメンとかコンビニ弁当とか・・・・、でもあれから地元の店で食材買って、色々料理したりするようになりました!』 俺『そうかwww、じゃあ三十分待ってろ、すぐ作ってやるから!』 冬美『はい!お願いします!』 それからの一週間は穏やかなモンだった、毎晩夕食を一緒にとり、毎晩一緒に酒を飲んだ。 一日一日と冬美はウチになじんで行き、姉ちゃんとも毎日行き来して茶飲み友達として仲良くやっていた。 晴れた日は日帰りであちこち走りに行き、雨の日は一日中俺の本棚の前で過ごしていた様だ。 だんだんお互いに立ち入った話もするようになって行った、人に歴史ありとはよく言ったモンで、いくら話しても話し足りなかった。 でも寝る部屋は相変わらず別だった、この時の俺は何だか、ずっとこのままでもいいような気になってきていたのだ。 もし俺があのタイミングで、酒なりノリなりの勢いで押し倒しても、恐らくは拒まなかっただろうと思う。 でも俺はそれをしたら、冬美とはそれで終わりになってしまう様な気がしていた。 あくる日の俺が居ない昼間に、黙ってバハに荷物を積んで出て行ってしまうのではないかと。 ・・・・それだけは絶対に嫌だった、そんな終わり方なんて真っ平だ。 あっという間にその週は過ぎて行き、冬美がウチにやってきて最初の週末が来ようとしていた。
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44 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:46:50.62 ID:DP/9YheF0 - 生産技術屋さんの俺は一応週休二日なのだが、製造業なので現場は土日関係なし。
故に土日昼夜関係無しに容赦なく呼び出されるのがデフォだ、でも今週の土日だけは勘弁してもらう事にした。 誰でも長い人生の中で色々な事があるだろうが、夏の北海道で出会った女の子と過ごす秋の週末がそう何回も有るとも思えない。 金曜は全身全霊で仕事をこなし、定時で上がって携帯の電源を切り家電は留守電にした、準備万端だwwww 俺『おうただいま、今日は何やってた?』 冬美『お帰りなさい譲二さん、イマイチ天気悪かったですから・・・・また本棚の前で一日中過ごしてました』 俺『本なんてどこでも読めるだろーが、せめて温泉行くとかしたらどーよ?』 冬美『いやー、でも自分以外の人の本棚って、何だか楽しくってwww、譲二さん見かけによらず読書家だしwww』 俺『へ?、俺が読書家?ここにあんのは西原理恵子とかはじめの一歩とかスラムダンクとかしょうもねーマンガばっかりだろーよwww』 冬美『そんなこと無いですよ、本棚って人が表れるし、・・・・譲二さんらしいなあってwww』 俺『はー、まあ一人の日中に何しようがお前の勝手だけどな・・・、でも明日は晴れるみたいだし、サクッと走りにいかねーか?』 冬美『いいですね!・・・・あの、じゃあ行きたい所、ていうかしたいことがあるんですけど・・・?』 俺『ん?なんだ?』 冬美『・・・・・・・林道に、行ってみたいんです、あの、普段あんな格好してますけど、実は、その・・・・』 俺『・・・?????』 冬美『あの、あんなバイク乗ってますけど、実は林道とかダートとか、まともに走ったこと無くて・・・』 俺『・・・・・なるほどwwww、で、この機会に初体験してみたい、てー訳だなwww、おkおk!、やばい所連れてってやるwww』 冬美『ちょwwwwあんまやばいとこはwwwwヤメテホシスwww』 そんな訳でその翌日の土曜日は、冬美と連れ立って某林道に行く事になった。 それまでも何回となく日帰りで通った林道だが、その翌日にそこで起こったあるアクシデント。 一生忘れられない思い出の大きな山場が、いきなりそこで起こったのだ。
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45 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:49:04.58 ID:DP/9YheF0 - そういえばぬこと冬美のファーストコンタクトを書いてなかった。
てな訳で、今更ぬこと冬美出会うの巻。姉ちゃんちで潰れた次の晩の話ね。 続き 大雑把なスパゲッティを食いながらビールを飲み(やっぱり飲むww)、その後はさきイカをつまみに2人でバーボンを舐めていた。 冬美は水割りでグイグイ、俺は生でチビチビと。飲む程に酔うほどに話は弾み、どんどんいい酒になっていく。 冬美『そういえば譲二さん、ウチにぬこが居るって言ってませんでした?』 俺『ああ居るよ、でも居ない時は1週間くらい平気で居ないからな、昨日の朝は居たけど今日はどうかな?』 冬美『そうですか・・・、会いたいんですけど、仕方ないですよね、何せぬこだしwww』 俺『ああそうだな、まあ気が向けば帰って・・・んん?』 その時居間の網戸が急にガタゴト音を立てた、俺は聞きなれているが冬美は驚いている様子。 冬美『ちょwwwなんすかそのラップ音www』 俺『ああ、噂をすれば何とかだな、おいお客さんだ、上がって挨拶しれwww』 サッシと網戸を両方開けると、ささっとセスエンスローjrが居間に入ってきた。 サイズは虎の子並みで顔は般若系の悪人顔、はじめて見る冬美に若干戸惑い気味だが別におびえる風でもない。 悠然と歩を進めて定位置であるテレビの上にジャンプして上がり、いつもの様に上から目線で人間どもを睥睨し始めた。 冬美『わー・・・・・、すごーい大きいー・・・、百万回生きたぬこにそっくり・・・・』 俺『なんだそれ化けぬこか?、鍋島とかの?』 冬美『ちょww違いますってww絵本のキャラクターですYO!』 俺『絵本?こんな可愛くないのが子供向けの絵本?、子供トラウマになるんじゃねえかwww』 冬美『いや、確かに可愛くないんですけどねwww、でも泣けちゃうんですよ、それに作者がバイク乗ってんですYO!』
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- バイクで日本一周してる女の子と仲良くなった話
46 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:50:57.55 ID:DP/9YheF0 - 俺『バイク乗ってる絵本作家?若いのか?』
冬美『いやーそれがその絵本てもう三十年くらい前の絵本で、著者近影の写真がバイクに跨って笑ってる写真でーwww』 俺『そんな昔にバイク乗ってたのか、CBナナハンとかならカッコイイなー、でももうかなり爺さんだよな?』 冬美『え?、いやあの女の人ですよ、佐野洋子さんて人、ビシッと決めてて、もう、女バイカーの元祖って感じ!』 俺『へー!、そんな昔に女がバイク乗ってて、しかも職業が絵本作家か、なかなかの大物だな!』 冬美『そうなんですよー、もうかっこよくって!あんな風になりたいなあ・・・・・』 俺『そーか、お前がそんなに言うんならナカナカのアレなんだろうな、俺も一度読んでみっかなwww』 冬美『あーもう、早く譲二さんに読ませたい!、本当にそっくりなんですよ、この、えっと・・・?』 俺『セスエンスローjrだよwww、でもみんなただ単にぬこって呼んでるww』 冬美『なんすかその外人wwww』 このあたりで2人とも酒が脳まで回ってしまい、記憶は定かでないwwww 2人で膝を突き合わせ、GARRRRRの付録(林道ガイド)等をつまみに更に飲んだくれた。 まー毎日この様な事を繰り返しつつも、ついに記念すべき週末はやって来る。 金曜はガルルとバックオフを部屋いっぱいに開いてあーだこーだ、最終的に選んだのは奥羽山脈をまたぐ峰越林道の内の一つ。 当日の朝六時半に起きて居間に行くと、もう気合充分の冬美が朝飯の準備を済ましていた。
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47 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:53:28.45 ID:DP/9YheF0 -
台所で朝飯の支度をしていた冬美におはようと声をかけ、すでに開けられていたカーテンから外を見ると秋晴れのいい天気だ。 俺『おう、いい天気だな、昨日は雨で今日は晴れ、絶好の林道日和だなww』 冬美『え?晴れがいいのは分かりますけど、昨日が雨だとなんでいいんですか?』 俺『いやあのな、雨降ると林道の穴ボコに水たまったり、小さな沢みたいな流れになってたりしてなwww』 冬美『えー・・・まさかわざわざそこに突っ込んだり・・・・するんですねwwwww』 俺『台風級の雨風だと土砂崩れ起こってたりして危ないけどな、ちょっとぐらいの雨で湿り気があるくらいが楽しいんだよ』 冬美『・・・・・やっぱり、行くの止めようかな・・・・・・・』 俺『大丈夫だよ、道幅いっぱいの深い水溜りや流されそうな濁流なんてそうそう無いからwww、やばいと思ったらすぐ引き返せばいいんだよ。』 冬美『・・・・分かりました、あのあたし、超遅いと思いますけど、置いていかないで下さいね!』 俺『おkおkwww、行く前からあまり考えんな、さ、朝飯くうべ、うまそーだなおいwww』 御飯、味噌汁、半熟の目玉焼き、もやしとほうれん草の炒め物、美味い、マジで美味い。 朝から二回もお代わりしてしまうほどだ、きっといい奥さんになるわこいつwww 飯を食い終わって出発の準備を整える、行き先が林道なので2人とも当然のフル装備だ。 2人ともジャージの中に着込むタイプのプロテクタージャケット、モトパンにオフブーツ、ニーシンガード。 リアシートにテルモスと工具が入ったバッグを括り付け、待ちかねている冬美を促していざ出発。 冬美はリアシートに例のEDジャケットと小さ目のバッグをくくりつけ、普段と違う勝負ジャージ(本人談)でバッチリ決めている。 目に痛いくらいの真新しい赤いジャージはやっぱりキツネ印なのだが、胸の辺りにFOX HONDAとロゴが入っている。 ワークス向けの非売品ぽいけど、まあ多分コラボ商品という奴だろうな。その辺の林道でも冬美的にはサハラかバハなのかもwww 俺はいつもの着古したジャージだ、コケまくって付いた草の汁やら泥やら何やら得体の知れない汚れと穴だらけ。
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48 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:55:35.16 ID:DP/9YheF0 - 山に向けて暫く走ると単線の県道→舗装農道→砂利道、と順調に道路状況が変化していく。
砂利道を数キロ行くともう山の麓だが、この林道は山頂まではほとんどただの砂利道だ。 冬美にはああ言ったが、林道初体験の女子をガレ場だのゲロ系だのに連れて行くほど鬼じゃない。 山に入る少し手前の公園の駐車場で一旦バイクを止め、山を指差しながら注意事項などのアレコレを説明した。 俺『山頂というか峠まではここから10キロくらい、そこまではただの砂利道だから走りやすいぞ』 冬美『そうですか・・・でも不安だなあ・・・転んだらどうしよ・・・・』 俺『こけねえ様に自分のペースで行けば良いんだよ、置いていったりしねえから心配スンナ』 冬美『はい・・・わかりました、じゃあお願いします!』 俺『おk、でもその前にちょっと練習だ、ここで8の字書いてみ、いや教習所のアレじゃなくてな、ちょっと見てれ。』 以前バイク屋主催のダート走行講習会に参加した事があり、その時に教えてもらった事をそのままやって見せた、つもり。 足を出してラクに曲がる方法と、スタンディングじは膝ではなく、くるぶしでバイクをホールドする事とか。 俺だってちゃんと出来ているわけじゃないだろうが、ダート初体験の冬美には一応教えて置かなければと思ったのだ。 あの時少しだけ乗せて貰ったモトクロッサーの加速は凄かったなあ、金があったら俺も欲しいなあ、とその時ふと思う。 冬美『・・・・はい、・・・・はい、えっと、こうですか?』 俺『うんそうそう、まあ砂利道とことこ走るくらいならそれで大丈夫だろ、もう少し練習したら行って見るか』 冬美『はい!』 三十分近くその駐車場に居ただろうか、頃合を見て冬美を促し、いよいよ山道に向けて出発だ。
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49 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 09:56:40.58 ID:DP/9YheF0 -
砂利道の直線を一キロほど行くと、いよいよ山の麓から森の中に入っていく。 山菜取りの車がガンガン入ってくるような場所なので、ガレ場好きの俺は正直面白くないww だが今日は自分ではなく冬美の為にここに来たのだ、ホスト兼ガイドに徹しなければならない。 充分に抑えたペースで走りながらミラーで後ろを確認しつつ、前から車やバイクが来ないか、危険な箇所は無いか。 冬美もそんなに危なっかしい感じでもなく、とことこと走って付いて来る。 ゆるいカーブでも少々大げさに足を出したり、別に立たなくてもいいでしょ、て時に立ってるくらいはご愛嬌か。 数キロで森林限界を超え眺望が開ける、林道好き山好きには説明の必要はないだろう、正に絶景である。 久々の絶景にも気を取られず後ろに注意をはらって走り続ける、たまに止まって冬美に声をかけて様子を窺ったり。 その後も峠につくまでは特に問題なく走れた、三十分もかかっただろうか、ちょっとだけ広くなった山頂部分に無事到着した。 俺『はい、おつかれさん、無事山頂に到着ですwww、どーよ、楽しかったべ?』 冬美『いやー、もう、本当に楽しい!それにすんごい景色!、林道最高!、でも腕はパンパンっすwww』 冬美の林道デビューはとりあえず順調だった、ここまではね、でもこの後があまり良くなかったなあ。
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50 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 10:06:14.23 ID:DP/9YheF0 - 冬美が先に走るのは別に構わないが、上りと下りは走り方が違う、当たり前のハナシだが。
上りみたいにアクセルを開ければ当然オーバースピードだし、ビビッて開けなさ過ぎればコントロールし辛くなる。 俺『分かってるとは思うけどな、下りだぞ、大丈夫なんだな?』 冬美『はい、あの、大丈夫だと思います、何だか前に譲二さんが居ると、付いていかなきゃって焦っちゃいそうで・・・』 俺『・・・・・俺、ゆっくり走るよ?』 冬美『はいあの、それは頭では分かってるんですけど、やっぱりどうしても、ねえwww』 俺『まあ、それはそうだな、逆の立場なら俺もそう思うかも知れんしなー』 冬美『わがまま言ってスミマセン、じゃあすんごく遅いと思いますけど、見守ってて下さい!』 俺『おk、じゃあそろそろ行くか。』 冬美『はい!』 2人ともヘルメットをかぶりゴーグルを顔に合わせ、アイドリングが落ち着いた頃に冬美がゴーグル越しに視線を寄越してきた。 俺は視線を外さないように気をつけてコクンと頷き、冬美はそれを見て頷き返してからクラッチを繋ぐ。 一呼吸遅れて俺も続き、なるべく視野を大きく、マクロ的に状況を見るように心がけて進む。 危険を感じるくらいおかしい走り方をしたり、何か異常を感じたら即座に前に出て注意を促せるように。 ・・・・・・まあ、かなり神経を使って走っていたわけだ、これは前を走っていても同じ事だが。 上りより少々長い時間をかけて来た道を下り、何とかかんとか農道の砂利道部分まで戻ってこれた。 両側には大根やら何やらを作っている畑が続き、落ちれば死ぬ崖っぷちに比べれば何とも長閑な風景だ。 それまでは精々時速20〜30キロ程度しか出して居なかったのだが、長閑な風景で気が緩んだのだろう。 冬美は急にアクセルを開け始め、50キロ程度に巡航速度を上げてきた。 ・・・・・こりゃ少しやばいかな、と思った時にはもう遅く、あっと言う間の出来事だった。
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51 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 10:08:19.63 ID:DP/9YheF0 -
農道をバイクで走る上で気を付けなければならない事の第一は、まず農作業の邪魔にならない事。 農作業の為にある道なのだからそれは当然だ、第二に気をつけなけらばならないのは、道に刻まれた轍。 轍そのものはどうって事無いのだが、道の中央部分が車輪で削られずに残り、そこに生えた雑草が嵩を上げる。 結果的に細い道が2本ある様な状態になり、バイクで走るのにはあまり適さない形状だ。 山から出てすぐはあまり轍らしい轍ではないが、200メートルも走ると前述のような走りにくい状態になる。 けわしい山から出た開放感から迂闊にアクセルを開け過ぎた冬美は、あっと言う間にエグくなる轍に気付き、ビビッた。 冬美はビビリから急にアクセルを戻し、フロントブレーキを強くかけてしまったのだろう。 ゆるいカーブの途中でバハのコントロールを失った冬美は、なすすべなく道中央の出っ張り部分に突っ込んでいく。 バハはけつまづく様な感じで一回転して畑の横に転がって停まり、冬美はその横に背中から落ちて大の字になった。 俺はバイクを横に停めて冬美の側に駆け寄り跪き、大の字になった冬美に向かって大声で叫
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52 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 10:09:05.69 ID:DP/9YheF0 -
俺『大丈夫か!!!!!??』 冬美『・・・・・うーーーーーん・・・・やっちゃいましたね・・・・・・・すみません・・・・・・』 俺『どっか痛いところは!?、動けそうか!?』 冬美『・・・・はい、体は大丈夫みたいです、・・・・・起きます。』 俺『手を貸すから、気をつけてな・・・・、そーーーっと・・・・・』 大の字に寝転がった冬美の両肩と腰の辺りに手を回し、首に負担をかけないようにゆっくりと起こす。 上体を起こした冬美は慎重に首を振り、肩や手首を回して痛んでないかを自分で確かめた。 冬美『・・・・・大丈夫みたいです、・・・・立ちますね』 俺『その前にヘルメット脱げ、ああ待て、アゴ紐とゴーグル外してやるから・・・・痛くないか?』 冬美『・・・はい、大丈夫です・・・』 ゆっくりゆっくりとヘルメットを脱がしてやり、座っていた傍らに置いた。 一応肩を貸してやったが、冬美はしゃきっと立ち上がった。 どうやらケガは無いようだ、まずは一安心。 ・・・・・よかった、本当に良かった。 これで冬美が大怪我でもしてしまっていたら、冬美の両親に何と詫びれば良かったのか。 やっぱり下りでも俺が先に走るべきだったのだ、明らかに俺の判断ミスだ。
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53 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 10:16:46.75 ID:DP/9YheF0 - 一回おちるよー
次は今晩か明朝か ABEKOと紳士早く来い
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62 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 19:11:41.85 ID:DP/9YheF0 - 続きます
勢いよく立ち上がった冬美だが、なんだか視線が定まっていない。 失神したり意識が混乱している訳じゃないし、立ち居振る舞いからして大きな怪我などはしていない。 大丈夫だとは思うが、何だか頼りない感じだ。 冬美『いやーやっちゃいましたねwwww山降りてきて少し調子に乗っちゃってアクセル開けすぎてwww』 俺『いや、すまん、やっぱり俺が前でペース作るべきだった、申し訳ない・・・・』 冬美『いやそんな譲二さんの所為じゃないですよ私始めての林道でハイになっちゃって楽しくってwww』 俺『いや・・・・、俺がちゃんと先導してればお前は安定していた、こんな場所でこけなかったはずだ、すまん・・・』 冬美『いやでも連れて行ってってお願いしたのは私だし前を走らせてってお願いしたのも私だしあのその』 俺『・・・・・』 明らかにおかしい状態だった、俺にも覚えがあるから、何となーく分かった。 以前細い峠道でスリップしてコケた事があるのだが、その後の俺と今の冬美がそっくりなのだ。 その時の俺は連れに対し、狂ったように笑ってはしゃいでいた記憶がある。 怖かったのだと思う、昔の俺もその時の冬美も、大怪我したかも、死んだかも、そんな恐怖と必死に戦っている。 俺はまあ、見栄っ張りな男だから、黙って痩せ我慢してその場をやり過ごしたが、あの時の冬美はそう行かなかった。 冬美『・・・・・・・・・・・・、バイク、乗って帰れるかなあ・・・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』 そう呟いた冬美は見る見るうちに無口になり、顔が青ざめていく。 すぐにガタガタ震え始め、自分の両肩を抱いてその場にうずくまってしまった。 俺は迷わなかった、しゃがみ込んだ冬美の両肩を鷲掴みにして無理やり立たせ、そのまま力一杯抱き締めた。 後ろ頭と腰の辺りに両手をまわし、振り回す様に引き寄せて、強く抱き締めた。
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63 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 19:13:22.55 ID:DP/9YheF0 - 冬美は一瞬だけびっくりした様な感じだったが、構わず抱き締めている内に段々落ち着いてきた。
鉄の棒が入っていたみたいだった体は段々柔らかくなって行く。 自分の両肩を抱いていた手は、いつの間にか俺の背に回っていた。 冬美はコクンと首を前に倒し、俺が視線を下に向ければ項と背中を見下ろすカタチ。 俺『・・・・落ち着いたか?』 冬美『・・・・はい、もう大丈夫です、大丈夫だと思います・・・、取り乱してすみませんでした・・・・』 俺『・・・同じだったからな。』 冬美『・・・・はい?』 俺『俺も前にこけた事があってな、パニくってさっきのお前みたいになってた。』 冬美『・・・・・そうなんですか、ごめんなさい、あたし、不安で、怖くって・・・』 俺『怪我がなくて良かったよ、本当に、・・・・・さて、いつまでこうしてるwww?』 冬美『・・・・え、あ!はいあのそのスミマセンあたしそのフジコ』 気が付くともう五分ほども抱き合っていて、慌てて俺から離れた冬美は顔を真っ赤にしているwww 離れる瞬間は残念と言うか寂しいと言うか、後で聞いたら冬美もそうだったらしい。 俺と冬美が出会ってから別れるまで、お互いに一度も好きとか愛してるとか、その類の言葉は口に出さなかった。 口にすればお互いの気持ちが形になり言霊になる、極めて近い将来に別れが来ると言うのにも関わらず。
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64 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 19:14:49.78 ID:DP/9YheF0 - 俺『さてと、お前のバイクを何とかしないとな、走れればいいんだけど。』
冬美『ああああ、あたしのバハが、・・・・大丈夫かな・・・・』 数メートル離れた場所に転がっていたバハに近寄り、とりあえず引き起こしてスタンドをかけて立たせた。 つんと鼻を突くガスの臭いがする、キャブがかぶっているのだろう、まあこけたんだから当然だ。 問題はフロント周りと灯火類、バハ特有のトンボ眼を支えるステーは根元から曲がっていた。 ライトもウインカーも正常に動作するので電装は問題ないだろうが、光軸が左に曲がっている状態だった。 更にハンドルを真っ直ぐにすると、前輪が右に少し切れている状態、だったと思う。 他の部分には全くダメージは無いみたいだ、結構激しく転がってたみたいだけど、丈夫だなあXR。 元々過酷な場所を楽しく走るためのバイクだからして、当然と言えば当然だ。 試しにセルを回すと幸いにして直ぐにエンジンは掛かった、コレなら何とか自走して帰れそうだ。 でも今の状態の冬美に、左に少しハンドルを切ってれば真っ直ぐ走るから大丈夫とか、・・・・心配だ。 結局俺がバハに乗って帰る事にして、ドジェベルは冬美に跨らせた。
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65 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 19:17:06.88 ID:DP/9YheF0 - 俺が真っ直ぐ走らないバハを運転し、冬美がドジェベルで後ろに続く。
一時の動転からは何とか立ち直ったようで、乗り慣れないバイクにでも千鳥で淡々と付いてくる。 怪我もなかったようで何よりだが、どうにも全身泥だらけで気の毒だ。 ウチまで無事辿り着いた後例の温泉に行かないかと誘うと、泥だらけ汗まみれの冬美はもちろん即OK。 とりあえずガレージにバイクを入れてから、フル装備を脱ぎ捨てて2人で軽ワゴンに乗り込んだ。 俺『すっかり落ち着いたみたいだな、怪我がなくて良かったわ、マジで。』 冬美『・・・・・・もー、いきなりなんだからwww』 俺『は?何だって???』 冬美『いきなりギューってしたじゃないですかwwww、びっくりしましたよ本当にwww』 俺『あーあれかwwwいや何だか自然になwww、・・・・嫌だったか?』 冬美『まさかまさかまさか!!!!そんな事無いですよwww、すっごく安心しました・・・ありがとう。』 俺『そうか、なら良かった。怒ってないかちょっとだけ心配だったww』 冬美『さっきの譲二さんて、何だかお父さんみたいで・・・懐かしかった。』
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66 :譲二兄貴[sage]:2011/12/26(月) 19:18:31.83 ID:DP/9YheF0 - 俺『ふーん、お前のお父さんて、俺に似てるのか?』
冬美『いやーあの、外見は全く似てませんwww、ある意味に於いて似てると言えば似てるんですけどwww』 俺『何だそりゃ?どっちだおいwww』 冬美『外見は全然似てないんですけど、譲二さんて兄貴親分丸出しって感じじゃないですか?、その辺はそっくりwww』 俺『俺が?兄貴丸出し?はあ?、どこがよ?』 冬美『・・・・自覚無いんですね、でも誰が見ても明らかにそうだと思いますよ、・・・・だから気になったのかな・・ボソ・・・』 俺『ん?なんだって?、まーなんでいいけどな、それでお前の親父ってどんな人なんだ?』 冬美『うーんそうですね・・・・、零細だけど社長さんで、脂ぎってて男臭くて、いつも元気で、元気でした・・・・』 俺『元気、・・・・でした?』 冬美『はいあの、あたしが中1の時、病気で・・・・』 俺『そうか・・・・・・すまん、聞いちゃいかん事を聞いちまったな・・』 冬美『いや気にしないで下さい、ずいぶん前の事だし、譲二さんは何も知らなかったんだから、仕方ないっすよww』 何故ニセコで初めて出あったあの時、いきなり俺と打ち解けられたのか判った気がした。 何故わざわざ奥尻島くんだりまで俺を追いかけて来たのか、それも判った気がした。 その時は何となくそう感じただけだったが、冬美がいなくなった後考えに考え、そうだったのだなと思い至った。
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