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◆.WKwoRzFd.
名も無き被検体774号+
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
おっぱいって揉まれたら大きくなるって本当?
以前投下した厨二物語続きやろうと思う

書き込みレス一覧

以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
1 : ◆.WKwoRzFd. [sage]:2011/12/16(金) 12:43:53.79 ID:hkOK0F1x0
あらすじ

東京で暮らす17歳の少年「黒崎 一希」は、4年前から社会の闇の中で生きてきた。
しかし彼の後見人となった男を憎み続ける気持ちは日増しに強くなっていき、それに応える様に黒崎の前に「ルシフェル」という悪魔が現れ、彼に血を分け与えた。
「悪魔」として生まれ変わった黒崎は4年ぶりに幼馴染の「向井 玲奈」と再会する。
玲奈を守るため、様々な敵と死闘を繰り広げた黒崎は、同じ悪魔である「高円寺 浩人」や、悪魔の敵である天使の「白石 圭吾」と出会い、共に戦うことを誓い合う。
しかし、最後の戦いで高円寺は深手を負い、白石は天使から狙われ、玲奈が「ルシフェル」に連れさらわれてしまう。

「真実が知りたければ、この女を助けたければ『上海』へ来い、黒崎。俺を追って来い!」

そう言い残して消えたルシフェルと誘拐された玲奈を追い、黒崎は白石と高円寺、そしてWAS(世界共存機構)メンバー「ガウェイン・アルフォード」とWASの長である「恵比寿 謳華」と共に日本を飛び立った。
中国に降り立った黒崎の新たな旅の始まりであった・・・
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
2 : ◆.WKwoRzFd. [sage]:2011/12/16(金) 12:46:12.19 ID:hkOK0F1x0
前スレが落ちてしまったので

書き溜めはありますが、1日に上げる量はある程度決めています。

それでもよろしければお付き合いください!
おっぱいって揉まれたら大きくなるって本当?
23 :名も無き被検体774号+[]:2011/12/16(金) 12:53:22.27 ID:hkOK0F1x0
第2部『DEVIL〜悲哀の灯筐子〜』

第一章 『東洋の魔都』

1月14日:12時00分:上海市

日本から約2時間かけて黒崎たちはこの地にようやく辿り着いた。
遠い昔は東洋の魔都と呼ばれ、現代でも中国最小にして最大の商業・金融中心都市である。

飛行機の胴体が雲を突き破り、やがてその都市は姿を現し始めた。
東京に似た近代的な高層ビルの立ち並ぶその光景は呼び名だけではなかった。

「ここに、玲奈がいる」

黒埼は窓から景色を眺めていた。
やがて機体が徐々に地面に近づいていき、小さな揺れと共にその地に足をつけた。
機内アナウンスと共に飛行機は止まり、黒崎たちは降り立った。

「寒っ!な、なんでこんな寒いねん!」

気温・・・0度
中国の平均気温は日本よりも低く、周囲にはわずかに雪が舞っていた。
高円寺は持ってきていた上着の袖を握り締めた。

「とりあえずWASの方で用意したホテルに向かおうか」

謳華がボディーガード2人に荷物を持たせて言った。

「何から何まですまないな」

「何を言ってるんです。玲奈さんの危険だと分かれば我々も協力するのは当然の事。気にしないことです。」

謳歌は微笑み、先を歩き始めた。

市街ではいたるところでビルの建設が行われ、都は今もなお成長を続けていた。
東京と比べ物にならないほどの大量の車、自転車が通りを行き交い、歩行者は横断歩道でなくてもお構いなしに渡っている。
白石や高円寺はその空気に呑まれないようにするので精一杯だった。

ドカッ

突然黒埼は誰かに肩を当てられ、振り向いた。

「ちょっと、気をつけなさいよね!」

黒崎はごめん、と返事をしながら通り過ぎていった方向に振り向いた。
そこにはピンクのチャイナドレスを着た女が走り去っていく後姿が見えた。
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
3 : ◆.WKwoRzFd. [sage]:2011/12/16(金) 12:53:32.66 ID:hkOK0F1x0
第2部『DEVIL〜悲哀の灯筐子〜』

第一章 『東洋の魔都』

1月14日:12時00分:上海市

日本から約2時間かけて黒崎たちはこの地にようやく辿り着いた。
遠い昔は東洋の魔都と呼ばれ、現代でも中国最小にして最大の商業・金融中心都市である。

飛行機の胴体が雲を突き破り、やがてその都市は姿を現し始めた。
東京に似た近代的な高層ビルの立ち並ぶその光景は呼び名だけではなかった。

「ここに、玲奈がいる」

黒埼は窓から景色を眺めていた。
やがて機体が徐々に地面に近づいていき、小さな揺れと共にその地に足をつけた。
機内アナウンスと共に飛行機は止まり、黒崎たちは降り立った。

「寒っ!な、なんでこんな寒いねん!」

気温・・・0度
中国の平均気温は日本よりも低く、周囲にはわずかに雪が舞っていた。
高円寺は持ってきていた上着の袖を握り締めた。

「とりあえずWASの方で用意したホテルに向かおうか」

謳華がボディーガード2人に荷物を持たせて言った。

「何から何まですまないな」

「何を言ってるんです。玲奈さんの危険だと分かれば我々も協力するのは当然の事。気にしないことです。」

謳歌は微笑み、先を歩き始めた。

市街ではいたるところでビルの建設が行われ、都は今もなお成長を続けていた。
東京と比べ物にならないほどの大量の車、自転車が通りを行き交い、歩行者は横断歩道でなくてもお構いなしに渡っている。
白石や高円寺はその空気に呑まれないようにするので精一杯だった。

ドカッ

突然黒埼は誰かに肩を当てられ、振り向いた。

「ちょっと、気をつけなさいよね!」

黒崎はごめん、と返事をしながら通り過ぎていった方向に振り向いた。
そこにはピンクのチャイナドレスを着た女が走り去っていく後姿が見えた。
おっぱいって揉まれたら大きくなるって本当?
24 :名も無き被検体774号+[]:2011/12/16(金) 12:54:03.12 ID:hkOK0F1x0
>>23は気にしないでくれ

いわゆる 誤 爆 だ
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
4 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:55:01.79 ID:hkOK0F1x0
「なんだったんだ?」

黒埼は風のように去っていった女を見つめながら呟いた。

「黒埼!迷ってもしらんで!」

高円寺が遠くの方で人ごみから手を高く伸ばして叫んだ。

「ああ、今いく」

黒埼は走って後を追いかけた。

5人はホテルの前に到着し、それを見上げた。
東京の帝国ホテルを越える高さ、高級感、デザインがそのホテルにはあった。

「も、もっと安価なホテルだと思ってたよ」

3人はその姿に唖然としていた。

「わい、こんなホテル泊まったことないで」

「お、俺だってねえよ」

黒埼は高円寺に小さく突っ込みを入れながら、ボーっと見上げていた。

「みなさん、早くチェックインしましょう」

ガウェインは慣れたようにエントランスに入り、手続きを済ませた。内装も豪華で、高そうな壷や花瓶が色取り取りの花を飾っている。

「ガウェイン、本当に俺たちこんなとこに泊まっていいのか?」

黒埼は小声で確認した。

「いいんですよ。どうせWASの経費で落とされているんですから」

ガウェインはハッハッハッと笑いながら軽く流した。
そういう問題じゃない、と黒埼は思ったが目に入った金のロゴプレートを前に便乗することにした。

5人はエレベーターに乗り込み、宿泊する部屋へ向かった。
エレベーターは謳華ボディーガードの大男2人を入れてもまだ人が乗れるほどの広さだった。

やがてエレベーターは止まり、更に広い廊下が眼前に広がった。

「黒埼くんと白石くん、高円寺くんは悪いが同じ部屋にさせてもらったよ」

「(いっそ廊下でも十分なくらいなんだがな)ああ、かまわない」

黒埼は謳華にキーを受け取り、重い扉を開いた。
そこは3人でも使い切れぬほどの部屋数があり、中央のリビングからは上海市街を一望できる大きな窓が広がっていた。
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
5 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:55:29.73 ID:hkOK0F1x0
「すっごい眺めやで!」

高円寺が窓に顔をくっつけながら叫んだ。
その顔は下から上へ擦られ、高円寺の顔はぐーっと伸びた。

「たしかに、こんなところ本当に使っていいのか」

白石は冷蔵庫に並べられたワインボトルの一本を眺めながらアテもなく尋ねた。
だが、そんな中黒崎は感傷に浸ることなく出かける準備をし始めた。

「到着早々どないしたん?」

「俺は、ここに観光しに来た訳じゃぁない」

白石と高円寺は黒崎の方を向いた。

「そうだったな、すまない」

白石は申し訳なさそうに冷蔵庫にボトルを戻した。

「せやかて手がかりもなしにどうやって探すんや?」

「ここでうだうだやってるよりも、街を歩いて少しでも情報を探す」

黒崎はドアノブに手をかけ回そうとしたが、それよりも先に扉の向こうから誰かに押されるのがわかった。

「ガウェイン!」

ガウェインは部屋に入り、高円寺のいる窓際から市街を見下ろした。

「いやーいい眺めですね〜」

ガウェインは大きく伸びをし、首を一回転させた。
まだ身体に飛行機でじっとしていた疲れが残っているようだ。
3人はその姿を見つめていた。

「俺は玲奈を捜しに出かけて来る」

黒崎はそう言うと再びドアノブに手を伸ばそうとした。

「玲奈さんの直接的な情報はありませんが・・・」

言葉を濁すようにしてガウェインが黒崎に声をかけた。

「居場所がわかる方の情報なら」

ガウェインは静かに微笑み、黒崎はその言葉に手を止めた。
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6 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:56:14.02 ID:hkOK0F1x0
「居場所を知っているヤツだって?」

「ええ」

黒崎はガウェインの元へ寄り、口では発しなかったが、目で誰だ、と訴えた。

「エンマです」

「エンマだって?」

白石がすかさずその名前に反応した。

「誰や?その偉っそうな名前のヤツは」

「エンマとはこの南ユーラシア大陸、主にアジアを統括しているヴェンディダードの一人です」

「ヴェンディダードだって!?」

黒崎はその言葉に聞き覚えがあった。たしかルシフェルもそのヴェンディダードの一人だった。

「理由はわかりませんが、彼も今この上海に滞在しているようです。統括している彼なら玲奈さんを探すのもたやすい事でしょう」

「だがヴェンディダードの一人ですよ?そう易々と会ってくれるかどうか・・・」

白石は俯き加減に答えた。

「ええ、ですから今謳華さんが会ってもらえるよう取り入っているところです。WASのリーダーなら、何とかしてくれるでしょう」

「謳華には、何かと世話になりっぱなしだな」

黒崎はガウェインの言葉にほっとし、ふっと笑みをこぼした。もしかしたら、不安だったのかもしれない。
何も知らない地で、どうしたらいいのか、もしかしたら玲奈を助けられないんじゃないかと。

「今日のところは、じっくり市街でも見て周りながら身体を休めましょう」

ガウェインはそう言ってウィンクしながら左手の親指を立てた。

「そうやな、せっかくの中国やしな!」

「君はどっちかって言うとそっちが主だろう」

白石が呆れたようにツッコミを入れた。
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7 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:56:41.28 ID:hkOK0F1x0
「とりあえずメシや、腹減って死んでまいそうやで」

高円寺は大きくうなだれて訴えた。

「そうですね、昼食を取りましょう」

ガウェインが笑って答えた。
一行はホテルを出、繁華街へと向かった。

「お客さんたち、観光かい?よかったら安くしとくヨ!」

突然タクシーのおっさんが窓から顔を出し、声をかけた。

「どうする?」

「ダメですよ、ここ(上海)で安易にタクシーに乗ったら危ないです」

ガウェインが小声で3人に囁いた。4人は客引きを振りほどき、歩き始めた。

「ああいうのはなるべく避けた方がいいです」

3人は何故かわからなかったが、ガウェインの表情から理由は聞かない方がいいと思った。

「歩いても充分近かったな」

4人は繁華街へ到着し、その入り口の前に立った。

「横浜中華街なんて目やないでこりゃ」

そこには溢れんばかりに人が密集し、一行が入れるかどうかもわからないくらい人で埋め尽くされていた。
間無く店が立ち並び、香ばしい甘い匂いがあたりに立ち込めていた。

「どこにする?」

4人ははぐれないようにピッタリとくっつきながら見て回った。

「あそこなんかいいんじゃないんですか?」

ガウェインが指差したのは黒ブチメガネに白い髪とヒゲを生やしたおじさんの人形の立つ『肯徳基』という店だった。

3人は何も見なかったかのように先を歩き出した。

「ダメですか」

ガウェインはうなだれながら言った。

「なんで中国に来てまでフライドチキンを食わなきゃならないんだよ!」

黒埼は冷や汗混じりに言った。
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
8 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:57:06.37 ID:hkOK0F1x0
「あそこなんかええんちゃうか!?」

高円寺が指差したのは、いかにも老舗といった感じの古びた飲茶店だった。
4人は店内に入ると、さっそく席に着き、各々料理を頼んだ。
店主らしき気前のいいおばちゃんがぞろぞろと料理を運んでくるのだが、どれもこれも大盛りでやってくるのを4人は口をあけたまま見つめていた。
湯気の立ち上るチンジャオロース、熱々の小龍包、真っ赤な麻婆豆腐etc・・・

「これ、食いきれんのか・・・?」

「食べ切れなかったら御代は倍だからネ!」

黒埼の問いにおばちゃんがすかさず答えた。
表情は笑い、本人は冗談のつもりで言っているのだろうが4人にはまるで冗談に聞こえない。

「食うしかないやろ!・・・!」

高円寺が意を決して麻婆豆腐を口に運んだ。高円寺の手が止まった。

「ウ、ウマイ!こりゃいくらでもいけるで!」

高円寺はそうに言うと、どんどん周りの料理にも手を付け始めた。

「本当だ!これは美味い!」

白石もその味に感動し、黒埼とガウェインも食べ始めた。
まるで最初の大盛りがウソだったかのようにテーブルの料理はどんどんと無くなっていき、皿は全て空となった。

「げぷっ」

高円寺が小さくゲップをすると、店主が肩を叩いた。

「おいしかったカイ?」

「こんな美味い料理始めて食ったわ!浜のおばちゃんに迫る美味さやで!」

高円寺が料理をホメると、おばちゃんは機嫌良さそうに笑った。

「あんなおいしそうに完食してくれたんだ、御代は半分でいいヨ!」

「本当ですか!?」

「ラッキーだな」

4人は御代を払うと、店主との別れを惜しみながら再び繁華街へと足を進めた。
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
9 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:57:25.34 ID:hkOK0F1x0
「次はどこに行きますか!」

ガウェインはそう言って大きな観光マップを広げて見せた。

「ここなんかええんとちゃう?」

「いやいや、上海といったらやっぱりここだよ」

3人の言い合いは続いたが、すぐに目的地は決まった。
黒崎はそんな様子を少し溜息混じりに笑いながら見ていた。

「よし、ここに行きましょう!」

ガウェインが大きく右手を掲げ、叫んだ。その目にはメラメラと炎が燃え滾っている。
一体どこに行くつもりなんだか、と黒埼は思っていた。この4人なら、つまらない心配などしなかったし、どこでも楽しめると思った。

3人はどんどんと歩みを進めていき、黒埼もその後ろを付いて歩いていた。
だが、突然横から通行人に割り込まれ、3人の姿が視界から消えた。

「おい!高円寺!白石!ガウェイン!」

黒埼はすぐに眼前の人ごみを掻き分け、3人の姿を探した。だが大勢の人ごみの中見つけられるはずも無く、黒埼は繁華街を駆け出た。

「ここ・・・どこだ?」

繁華街は出たものの、そこにはまったく見覚えの無い景色が広がっていた。
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10 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:59:19.77 ID:hkOK0F1x0
石レンガで作られた噴水の淵に黒埼は座り込んだ。

「完璧に迷った・・・。ホテルもどこにあるかわかんねえ」

右を見ても左を見ても見たこともない建物や銅像が並んでいるばかり。どうやらここは公園らしい。
噴水の両端では小さな川がせせらぎを立てながら流れていた。

こういしていても仕方ない、と黒埼は立ち上がった。
と、噴水の池の中に何か小さく光るモノを見つけた。
黒崎は袖をまくって腕を突っ込むと、ヒョイッとそれを拾い上げた。

「何だこれ」

それは赤紐のついた金色の鈴だった。
濡れた表面に太陽の光が反射して鈴はピカピカと輝いた。

「どこに行ったアルかぁ〜?出てくるアルよ〜」

後ろから女の声がした。女は何かを探して必死に地面やベンチの下などを覗いていた。

「もしかしてこれを探してるのか?」

黒埼の問いかけに女は振り返り、ハッと驚いた表情を見せた。
見ると頭の左側に拾った鈴と同じ鈴で髪が結われていた。

「これアルよ!見つかってよかった〜♪」

女は嬉しそうに鈴に頬擦りすると、右側の髪を束ねて頭の上で結んだ。
頭を左右に揺らすたびに、忙しなく鈴の音が響き渡る。
以前投下した厨二物語の続きを書く 第2部
11 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 12:59:49.67 ID:hkOK0F1x0
「見つかってよかったな」

黒埼がそう言うと、女は再びハッと驚いて顔を見上げた。どうやら嬉しすぎて今まで黒崎の存在に気づいていなかったようだ。

「ありがと〜助かったよ。あ!でも何にもあげないんだからね!」

女は頬でプーッと風船を作ると、疑いの眼差しを黒埼に向けた。

「別に何にもいらねえよ。俺も今忙しいんだ」

黒埼はそう言ってその場を立ち去ろうとした。

「(面倒はゴメンだ)」

黒崎がそう思う時は大抵面倒が起こる。

「あ!もしかしてアンタ日本人?迷ったんでしょ?」

女はニッと笑って黒埼の顔を覗きこんだ。

「あ?」

図星というのが顔から現れていた。

「まぁまぁ、そう恥ずかしい事じゃないし、プププッ」

女は鼻で笑うと黒埼の前に立ちふさがり、下からジーッと見上げた。

「こ、これから帰るところなんだよ!」

黒埼は必死に言い訳して誤魔化そうとした。

「私は『鈴 途心(リン・ツァンシン)』。リンって呼んで♪よかったら道案内するけど?」

黒埼は一度悩み、空を見上げた。

「俺は『黒埼 一希』だ」

黒埼は組んでいた両腕を解き、名前を明かした。それはリンの提案への承諾の証でもあった。
おっぱいって揉まれたら大きくなるって本当?
35 :名も無き被検体774号+[sage]:2011/12/16(金) 13:11:42.87 ID:hkOK0F1x0
くわばたおはら?の眼鏡は出産して乳首吸わせすぎて木苺みたいになったって言ってたな

>>28
第一部のスレは落ちちゃいました・・・
一応前スレ http://toro.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1323531974/
これ以上はスレチなので退散します。
以前投下した厨二物語続きやろうと思う
286 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:28:33.63 ID:hkOK0F1x0
あれ?スレが復活してる・・・

>>285
遅くなってすみません!
ありがとうございます!

早速投下していきますねー
以前投下した厨二物語続きやろうと思う
287 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:32:07.74 ID:hkOK0F1x0
リンの案内のおかげで、黒埼はすぐにホテルにたどり着くことができた。

「こんな目と鼻の先立ったのか」

遠くから見ればこの高さですぐにわかると思ったが、周囲に高層ビルが並んでいたため、紛れてわかりにくくなっていた。

「悪かったな、道案内させて」

「そんな事ないヨ。これのお礼だしね」

そう言ってリンは右の鈴を揺らして見せた。

「そんなに大事なモノだったのか?」

「うん、まぁね・・・」

リンは何か思いつめるように俯いた。

「でも見つかってよかった!アンタのおかげだよ」

「ああ。ここでお別れだな」

黒崎の言葉に、リンはまた機嫌悪そうに頬を膨らませた。

「そうねー。会わなくてせいせいするアル」

「俺なんか悪いこと言ったか?」

黒埼はわからないまま焦り、リンの機嫌を伺った。

「別に何も気にしてないって!じゃぁね!」

リンはそう言ってそこを去っていってしまった。

黒埼はエレベーターで昇り、部屋へと戻った。
部屋のカギはかかっていない。黒埼が扉を開けると、そこは不気味なくらい静まり返っていた。

「みんな、いないのか?」

黒埼は恐る恐る足を進め、リビングを見渡した。
と、瞬間背後の何者かに首を絞められ黒埼は持ち上げられた。
以前投下した厨二物語続きやろうと思う
288 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:33:08.71 ID:hkOK0F1x0
「くぅ〜ろ〜さ〜きぃ〜」

絞めたのは目を光らせた高円寺だった。

「高円寺!?」

「君は・・・玲奈くんという人がいながら」

その囁きと共に現れたのはこん棒を持った白石だった。

「はぁ!?」

白石は身動きの取れない黒埼の頭をポコポコとそれでタコ殴りした。

「黒崎さん!あれは立派な大罪ですよ!?」

そいこには2人と同じように目をギンギンに光らせたガウェインが仁王立ちしていた。

「ちょ、お前ら話を聞け!」

「「「問答無用!」」」

数分後・・・

「はひ・・・ほめんなしゃい」

黒埼は3人の制裁を受け、体中ボロボロになった。

「まったく」

白石が両腕を組んで黒埼の前に座った。

「だからリンとはなんでもないんだって!ただ道案内してもらっただけで・・・」

言い切りそうになったが、3人の目が一瞬光ったのを感じ黒埼は口を止めた。

「第一玲奈とだって何にもないっつの」

黒埼はため息混じりにこぼした。
その言葉に再び3人は動き出しそうになったが、ガウェインのケータイの着信音でそれは停止させられた。

ガウェインはその場から離れ、電話に出た。

「はい・・・はい、わかりました。ありがとうございます」

ガウェインは電話を切ると、真剣な眼差しで黒埼の方を向いた。

「エンマが明日の10時に会うそうです」

黒埼はその返答に息を飲み、確かな希望を確信した。
以前投下した厨二物語続きやろうと思う
289 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:34:51.74 ID:hkOK0F1x0
その夜、黒崎はベッドの中で眠ることができずにいた。ずっと頭から玲奈の事が離れなかった。
始めて会った日のこと、白いドレス姿のクリスマス、そして祭壇で静かに眠っていたあの日・・・。

「眠れないのかい?」

白石が横のベッドから顔を出して黒埼の方を向いた。
その向こうでは高円寺が気持ち良さそうに眠っていた。

「玲奈は、今頃どうしてるんだろうな」

黒埼は答えのない質問を空に尋ねた。

「きっと大丈夫さ。もし殺すつもりだったなら、黒崎の言っていた教会ですでに殺されてるはずだろ?」

白石も確証の無い答えを放った。

「すぐに見つかる」

白石はそう言うと、再び向こうに体を直して眠りに付いた。
以前投下した厨二物語続きやろうと思う
290 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:35:48.25 ID:hkOK0F1x0
「黒崎くん」

聞き覚えのあるその声。黒埼はむっくりと起き上がり、周りを見渡す。
窓の外は朝靄に包まれ、白石と高円寺はぐっすりと眠ったままだった。

「黒埼くん」

再びその声が響いた。黒埼は声のするほうに向かって歩き出し、部屋の扉を開いた。
そこには左右に真っ白な長いが広がっており、いくつも扉が並んでいた。

「助けて・・・」

先ほどの声がかすれるほど小さく聞こえた。声の居場所を探すが、扉が多すぎて、どこから聞こえてくるのかわからない。
黒埼は手当たり次第に扉を開けていき、『彼女』を探した。

「(どこにいるんだ)」

声にならない悲鳴が黒埼の心の中で叫んでいた。
いくつも開いていくうち、一つだけ空かない扉があった。
黒埼は何度もドアノブを捻り、押したがビクともしない。

「早く、助けて・・・」

「(くそ、開けよ!)」

黒埼は体当たりし、その扉をこじ開けた。
そこは窓も家具も何も無い真っ白な部屋だった。

「(ああ・・・)」

黒埼はその姿に涙をこぼした。
そこには『彼女』が立っていた。
静かに微笑み、こっちを見つめていた。

「きてくれてありがとう」

黒埼が駆け寄ろうとしたその時、鈍い音と共に血飛沫が起こり、『彼女』の体は真二つに切り裂かれ、目の前で肉片となって崩れ落ちた。

その裏には、血塗られた剣を持ったルシフェルが静かに立っていた。

「全て、お前が招いた結果だ」

黒埼はその光景を静かに見つめていた。
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291 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:37:02.14 ID:hkOK0F1x0

「うあああぁぁぁぁぁっ!!!!」

黒埼の悲鳴に2人は振り返った。

「どないしたんや?」

「夢・・・?」

黒埼はまだベッドに入っていた。
全身は汗をかき、両手は震えていた。

「悪い夢でもみたのか?」

白石がコップに水を汲み、黒埼に手渡した。
黒埼はそれを一気に飲み干すと、大きく深呼吸した。

「玲奈が殺される夢を見た・・・」

今さっきの夢の感触がまだ現実のように蘇ってくる。

「心配しすぎやで。玲奈ちゃんなら大丈夫や」

高円寺は肩をポンと叩き、白石は黒埼のコップを片付けた。

「早く準備しないと遅れるぞ」

時計を見ると、エンマとの約束の時間が迫っていた。

「ああ、すまない」

黒埼はベッドから起き上がり、シャワールームへと足を向けた。
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292 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:38:50.24 ID:hkOK0F1x0




移動する車の中から見える景色は昨日と同じで、巨大な建物・多くの人々が行き交っていた。
黒埼はそんな景色を見ながらボーッとしていた。

「まだ夢の事を気にしてるのか」

白石が様子に気づいて声をかけた。

「ああ・・・少しだけな」

「夢、とは?」

気づいたガウェインが尋ねた。

「黒埼が、その・・・玲奈くんが殺された夢を見た、と」

「そうですか」

ガウェインは何か考えるように空を見つめた。

「今日はエンマに会える日です。すぐに玲奈さんも見つけられますよ」

ガウェインはニッと笑って黒崎を一度見、前を向きなおした。

やがて車は目的地に到着し、4人は降りた。

「本当にこんなところにおるんか?」

そこはホテルとは打って変わって、路地裏に佇むボロボロで今にも崩れそうなアパートだった。

「場所はここで合ってるはずです」

ガウェインが地図を広げ、合ってることを確認すると中へと4人は入っていった。
中も外観を裏切ることなくボロボロで、ところどころに穴が開いている。
入り口の横には小さな窓でできた受付があり、ガウェインは覗き込むように声をかけた。
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293 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:39:31.47 ID:hkOK0F1x0
「なんじゃ?」

顔を出したのは、ニット帽を被った無精ひげの年寄りだった。
窓からやっと見えるほどの小ささで、メガネは使い古しているのか小さなヒビが入っていた。

「老皇に会いにきたんですが」

「老皇って誰や?」

聞きなれない言葉に高円寺が白石にそっと尋ねた。

「エンマのことだよ。表立って名前の出せない場所とかではそう呼ばれてる」

白石も囁くように答えた。

「ふむ」

老人は疑うようにガウェイン、高円寺、白石、黒埼と目を移していった。

「約束はしてあるんですが」

ガウェインの言葉に、老人は少し迷いながら裏へと歩いて行った。

「ほれ」

老人は小さなナンバーの付いた鍵を窓から放り、ガウェインはそれを受け取った。

「ありがとうございます」

4人は老人に向かってそれぞれ頭を下げ、その鍵に付いたナンバーの部屋へと向かった。

古びた廊下は歩くたびにギシギシと奇声を上げ、今にも足が抜けそうだった。
一室のわずかに開いた扉を覗くと、痩せ細った老人がゆり椅子に揺られながら外の景色をずっと見つめていた。

「ここですね」

そこには、鍵のナンバーと同じ、『459号室』と書かれていた。
ガウェインがゆっくりと鍵穴に差込、鍵を回した。
カチャッという音と共に鍵がはずれ、ガウェインはドアノブに手を伸ばそうとした。
だが、手を触れる直前に扉は開き、中から女性の声が聞こえた。

「お待ちしておりました。時間ピッタリですね」
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294 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:42:26.28 ID:hkOK0F1x0
全員が開いた部屋に入ると、そこはすぐにいっぱいになった。
部屋の窓は木板で打ち付けられ、外の光りは微かにしか射し込んでこなかった。
さきほどの声の主は真っ赤なチャイナドレスを着た、大人っぽい女性だった。

「それで、老皇は?」

「こちらです」

そう言って案内された先は、バスルームだった。
カビが生え真っ黒になった浴槽に、ヒビの入ったタイルの壁と床。
とても人が住むような場所ではない、と4人は改めて思った。

「さあ、早く入ってください」

女性は部屋の中へ入るように促したが、こんな狭い部屋に入りきれるのか、と4人は思った。
予想通り、最後の一人はギリギリ押し込むようにして入り、5人は何とかその部屋に納まった。

「それでどうするんだ?」

黒埼が尋ねると、女性は意味深に黒埼の唇に人差し指を当て、そのまま指を入ってきた部屋の扉へと押し当てた。
女性は指で何か紋章のようなモノを描き出した。
すると、部屋を唯一照らしていた裸電球がチカチカと光りを弱め、浴槽が音を立てて震えだした。

「な、何が起こっとるんや!」

4人は何が起こっているのか検討も付かず、周りを見渡した。
やがて怪奇現象は収まり、裸電球は再び部屋を明るく照らし出した。

「行きましょう」

女性がおもむろにバスルームの扉を開いた。
そこに見える景色に、4人は自分の目を疑った。
部屋を出ると、そこにはずっと先まで真っ赤な中国様式の廊下が広がっていたのだ。

「どうなってんだ?」

「これが、ヴェンディダードの魔力という事なのかもしれませんね」

ガウェインは冷静に答え、帽子を被りなおした。
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295 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:43:20.43 ID:hkOK0F1x0
「こちらです」

女性は何事も無かったかのように再び歩き出し、4人もその後に続いた。
壁を見ると、金色の龍の模様がそこら中を駆け回り、虎が龍に向かって咆哮を放っていた。

「僕たちは、とんでもないところに来たのかもしれないな」

白石が額に汗を流しながら呟いた。

いくつもの十字路を曲がり、5人そこにたどり着いた。目の前には大きな門扉が聳え立っていた。
その豪華な扉は金で縁取られ、一匹の巨大な龍が2枚の戸を跨いで唸っていた。

女性が小さく門を叩くと、龍の金像は目を輝かせ、門は轟音を立てて開いた。
徐々に視界が開けていき、部屋が全貌を現した。
その宮は廊下よりもさらに豪華なつくりになっていた。
高い天井、自分の姿がはっきりと映るほど磨かれた壁と床、部屋をやんわりと照らす何本もの蜀台。
そして、その中央には見事な金作りの玉座が据え付けられ、男が鎮座していた。
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296 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:46:33.33 ID:hkOK0F1x0
日橙色の髪と顎髭、真っ赤な布を羽織った筋骨隆々の赤胴、そしてその胸の中央には六芒星のネックレスが輝いていた。

「遅かったじゃねえか」

その口は静かに開き、ここまで案内した女性に叱咤した。

「申し訳ありません。少し手間取ってしまって」

女性は深々と頭を下げると、玉座の隣まで歩いていき横に並んだ。

4人は近くまで歩いていき、その男の前で止まった。

「あなたが、エンマ様ですか?」

最初に口を開いたのはガウェインだった。

「ああ、俺様がエンマだ。なんか用があるらしいな」

エンマは退屈そうに右肘を付いた。そしてもう左手からリンゴを作り出すと、それを音を立てて頬張った。
その時両頬に赤い模様があるのも見えた。

「玲奈の居場所を知りたい」

黒崎は我慢できず直接聞いた。
エンマのこめかみが小さく動いたが、エンマは態度変わらずすぐに鼻で笑った。

「誰だ?その女は」

「とにかく捜してくれよ!お前なら見つけられるんだろ!?」

黒崎が叫んだ瞬間、衝撃と共に4人の立っている床が崩れ落ちた。
そこには奈落の底が広がり、死ぬことも生きることもできぬ亡霊たちが手を伸ばしていた。
黒崎たちは何時間もの死風に吹かれ、肉体は風化し骨のみの屍となった。
やがて引きずり込まれるように亡霊たちに呑み込まれていき、黒崎は死んだ・・・。
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297 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:48:08.75 ID:hkOK0F1x0



「ハァ・・・ハァ・・・!」

「(なんだ今のは・・・幻覚?)」

「(いや、こいつは今『本気で』ここまで殺る気だった・・・!)」

周囲はいつの間にか元通りに戻り、黒崎は現実とも幻術ともわからぬ力に震え、ひれ伏した。

「口のきき方には気をつけろよ若造」

そう言うとエンマは鼻で笑い、リンゴをもう一口囓った。

「頼む、玲奈はルシフェルに連れさらわれたんだ。捜してくれ」

黒崎は床を見つめたまま、土下座するようにエンマに頼み込んだ。

「人間の女は捜しようがねえ。が、ルシフェルの方は捜してやる。あいつが俺様の領土に勝手に入ってるなら捜さねえ訳にはいかねえからな」

エンマはそう言って目で女に合図を送った。
女はそそくさと後ろに下がると、どこかへ消えてしまった。

黒崎はようやく足に力が入れることができ、震えながらも立ち上がった。

「もう立ち上がれるとは強えな」

エンマは黒崎の姿に驚いた。やがて後ろの3人も立ち上がり、エンマの方を見つめた。

「明日の朝、またここに来い」

「そんなすぐに見つかるのか?」

「ここは俺様の管理下なんだ、悪魔の事でわからねーことはねえよ。それよりもさっさと帰りやがれ。
俺様はここ(上海)に祭りを楽しみに来てんだ、お前らの顔はこれ以上見たくねえんだよ」

4人は渋々引き下がり、大きな門扉を開いた。
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298 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:50:59.87 ID:hkOK0F1x0


扉は音と共に固く閉ざされ、動く気配は無かった。

「こちらです」

突如背後から声をかけられ、4人は振り返った。
そこには先ほどエンマに頼まれ後ろに消えていった女が立っていた。

「あんたはさっき…」

「どうかしましたか?」

女性は何も無かったかのように無表情のままだった。

「エンマはいつもあんな感じなのか?」

長い廊下を歩きながら黒崎が尋ねた。

「あの方は多忙なものですから、今日の祭を楽しみにしていたせいでしょう」

「そこに僕らが謁見にきた、と」

白石が悟ったように答えた。

「そうですね」

女性も無表情のまま相槌を打った。

「今日の祭りってそんな盛大なんか?」

「今宵は旧暦の正月なのです。今宵の灯籠祭は中国で最も大きな祭りと言っても過言ではありません」

「それは楽しみやな〜♪」

高円寺は頭の中で想像した。すでに高円寺は行く気満々だ。

そんなこんなで5人は再びボロアパートへと戻り、車に乗り込んだ。



「何かありましたか」

肘を付いたままボーっと門扉を見つめるエンマに女が話しかけた。

「なんとなくあのガキには会った事があるような気がする」

何か考えるように胸のネックレスを指で撫でまわした。

「お知り合いで?」

「バカ言え!あんな若僧なんざ知らねーよ。まぁイイ、今夜は旧正月灯籠祭だ。つまんねー事は忘れるぜ!」

エンマは立ち上がり、玉座の裏へと消えていった。
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299 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 19:56:34.83 ID:hkOK0F1x0



黒埼は帰り道もボーッと車窓の外を見つめていた。
とてもじゃないが、4人ともこれからどこかへ出かけようなどという気にはなれなかった。
あの瞬間の、エンマの圧倒的な魔力の前に、誰しもが無力にもひれ伏した。
しかも玲奈を見つけられると思ったのに、情報一つ手に入れることができなかった。

「本当にアイツに玲奈が探せるのか」

黒埼は独り言のように呟いた。

「アジアを統治している彼ならすぐに見つけられるはずです」

車は一行のホテルの前で止まり、4人はロビーへと入っていった。

「どうでしたか?」

真っ先に話しかけてきたのは、ボディーガードを従えた謳華だった。

「いや、駄目だった。ルシフェルなら探せるそうなんだが・・・」

「そうですか」

「せっかく謳華が用意してくれたのに、悪かったな」

黒崎は小さく頭を下げた。

「気にしないでください。それよりも今夜は灯籠祭です、みなさん楽しみましょう」

「そういえば老皇もそんなような事を言ってましたね」

「悪いが、今はそんな気分じゃないんだ」

黒崎は謳華を後にし、部屋へ戻ろうとした。その背中はだいぶ気を落としているようだ。

「彼女のことばかり考えていても仕方ないでしょう。今は焦ってはいけません」

謳華の言葉に黒崎は振り返った。自然と、その言葉が心に染みたような気がした。

「ああ、ありがとう謳華」
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300 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:05:07.20 ID:hkOK0F1x0


黒崎は夕陽の沈む光景をずっと眺めていた。
目の前の河では笠を被った船主が舵を取りながらゆっくりと流れていた。
黒崎はその時を悠久の時のように感じていた。

「誰だと思ったら昼間の迷子じゃない」

突如騒音とともに肩を叩いたのはリンだった。

「なーに落ち込んでんのよ!なんか嫌な事でもあった?」

リンは隣にちょこんと座り、俯いた黒崎の顔を覗き込んだ。

「少し、な」

黒崎は一言返し、河に向かって石を投げつけた。
石ころは一度小さく跳ね、小波を広げて沈んだ。

「何があったか知らないけどさ、大事なのはこれからなんじゃない?なのに今そんな落ち込んでたら動こうと思っても何もできないよ」

黒崎はリンの顔を一度見、小さく笑った。

「ありがとな」

リンの言葉がスッと黒崎の心に流れた。
今まで色々と考えすぎて、心にゴツゴツと障害物があったはずなのに、その言葉は真っ直ぐに黒崎の心へと流れ込んできた。

「そうだよな!これから動くのに、ごちゃごちゃ考えてても仕方ないよな!」

黒崎は勢いよく立ち上がり、座っているリンに左手を差し出した。

「ありがとな、リン」

「別にあたしはあんたみたいなヘボ見てらんないだけよ!」

リンは手を握り、ゆっくりと立ち上がった。その時リンは黒崎の手に不思議な暖かさと優しさを感じた。
優しく、包み込むような。
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301 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:05:34.97 ID:hkOK0F1x0
「見つけたぞっ!」

流れる静寂を突き破るように、男の声が響いた。遠くの方で、男がもう一人を呼ぶように手を振っていた。

「やばっ!アイツらもしつっこいわね〜」

リンは繋がれた黒崎の手を引っ張り、その場を駆けだした。それを追うようにして後ろの男たちも駆け出した。

「ちょ、待てっ!何がなんだか説明しろ!」

「アタシたちは逃げててアイツらはそれを追ってるの!!」

「んなの見ればわかるっつーの!」

黒崎はワケのわからない返答に困っていたが、リンは有無を言わさず黒崎を引きずり回した。

「どんどん距離が迫ってるぞ!」

後ろを見ると、さっきよりも男たちとの距離が近い。

「このままじゃ追いつかれる!」

「大丈夫よ!アタシの方がここの地理には詳しいんだから!」

リンはそう言って右に曲がり、突如アパートに入り込んだ。中にはいくつも青いドアが並んでいる。
リンは奥の階段を登ると、その中の一室の扉を開いた。

「おばちゃんお邪魔するね♪」

中では椅子に座った老婆が一人、毛糸で編み物をしていた。

「おやおやリン、今日も元気そうだねぇ」

リンは老婆に言葉を返すことなくベランダに飛びだし、隣の家の屋根へと飛び移った。
続くように男2人も部屋に駆け込んできた。

「ババア!女はどこにいった!!」

男は鬼の形相で老婆に問いつめた。

「何か飲んでいくかえ?」

老婆の返事に男2人は諦め、逃げたであろうベランダへと向かった。
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302 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:09:43.51 ID:hkOK0F1x0
黒崎とリンは屋根を伝い、2軒先の家まできていた。
そこの倉庫のような部屋に窓から入り込み、息を潜めた。
外を覗くと、男たちは必死に周りを捜している様子だった。

「くそ!どこに行きやがった!」

「また逃げられるとは、兄貴に面目が立たんな」

「うるせー!とにかく探せ!」

男がそう言った瞬間、黒崎は信じられない光景を目の当たりにした。
男2人は漆黒の翼を背中から生やし、一度羽ばたくと空へと飛び上がったのだ。

「何なんだ?アイツらは」

黒崎は中国にも悪魔がいることは知っていたが、本当に目の前で人間が悪魔に変身した事に改めて驚いていた。

「アイツらはね・・・悪魔だよ。ずっとアタシを追ってるんだ」

リンは窓から出、徐々に街へと沈んでいく夕陽を眺めていた。

「まさか・・・」

「そう、実はアタシも悪魔なんだよ」

リンはまるで何かいけない事でもしたかのような表情で俯いていた。

「でもね、アタシは人を襲わないしアンタに何かしようなんて思ってないから!」

黒崎はこのかみ合わない会話の原因をようやく理解した。
リンはまだ黒崎が悪魔だということに気付いていない。

「俺も・・・」

黒崎がそう言いかけた瞬間、市街地から大きな砲音が鳴り響いた。
黒崎は何が起こったわからず周囲を見渡した。
すると街のはずれから幾発もの花火が打ち上がり始めた。

「こっちこっち!」

リンが倉庫の外から大きく手招きしながら家の下を見下ろしていた。
そこには何人もの人間で溢れた大通りがあり、家々の前には橙色に灯された提灯がずっと先まで取り付けられていた。
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303 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:16:59.06 ID:hkOK0F1x0

「これは・・・」

「灯籠祭だよ。年に一度のお正月みたいなもの♪」

人々は祭り衣装で着飾り、どこかへ向かってみな歩いていた。

「アタシたちも行くよ!」

黒崎は再びリンに手を引かれ、屋根の上を走り出した。
屋根瓦がカタカタと音を立てながら2人の去った後を飾った。

「すごい・・・」

そこには、さっきの大通りを越える光景が広がっていた。
とてつもなく大きな広場に中央を囲むようにして何万人もの人が集まり、中央では獅子舞に似た巨大な龍が舞うようにうねっている。

「もっと近くまで行って見ようよ!」

そう言ってリンは屋根から飛び降りた。黒崎もそれに続くようにして飛び降り、周りを見渡した。
周囲には日本の出店のようなものが何十軒も広場を囲むようにして並び、視界が見えぬ程人で溢れかえっていた。

「もうすぐ上がるよ!」

リンがそう言って空を指さすと、間もなく夜空に巨大な花火が打ち上がり、真っ黒な夜空のキャンバスを彩り始めた。
赤、青、緑など何色もの火種が空に舞い、散っては上がり、再び上がっては散っていった。
黒崎はその光景にただただ見とれていた。その時は玲奈のことも、今の目的も考えずに済んだ。

「アンタそういう顔もできるんじゃない」

ずっと夜空を見上げていた黒崎の顔をふっと見てリンが囁いた。

「もっと真ん中まで見に行こう!」

「え?ちょっと!」

今度は逆に、黒崎がリンの手を引いていた。黒崎は自然と手を伸ばしていた。
リンは抵抗も、握り返すこともなくただ握られたその手を見つめていた。
しっかりと掴み、自分を引っ張っていく手。

やがて人の樹海に割り込んでいくように2人は駆けていき、龍の舞が見える最前列まで出た。
笛の音や太鼓のリズムに乗って美しく2匹の龍が提灯に照らされた広場中を踊る。
その光景はまさに幻想的で、2人はすぐに引き込まれた。
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304 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:21:16.32 ID:hkOK0F1x0

「あの2匹の龍は永遠に結ばれることはないんだって」

突然リンが悲しそうな目で話し始めた。

「愛し合ってるけど、天と地を司る役目を任されてるから会えるのはこの日1日だけ」

「じゃぁ、今日は2匹にとって大切な日なんだな」

2匹の龍の踊りは徐々に外側へ外側へと大きくなっていき、それと同時に激しい舞もゆっくりとした動きになっていった。

「くるよ!あの2匹に頭を噛まれた2人はずっと一緒に居られるんだって」

よく見ると周りでは祈るように両手を合わせるカップルがちらほらと見受けられる。
龍はまるで人を選定するかのようにゆっくりと頭を上下に踊らせ、黒崎たちの方へとうねってきた。

「え?」

と突然リンの頭が一匹の龍に囓られた。

「ア、アタシ!?」

と、今度はもう片方の龍が黒崎の前で頭をもたげ、大きな口を開いた。

「ちょっ、まっ・・・!?」
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305 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:23:10.49 ID:hkOK0F1x0

黒崎は囓られる瞬間目をつぶってしまった。
何かに囓られた若干の痛みと、周囲の視線を肌で感じた。

「おぉ〜」

「あれはどうなるんだ?」

周りの歓声が少しおかしいことに2人は気付いた。黒崎がゆっくりと目を開くと、黒崎は頭ではなく、防ごうとした腕を囓られていた。
龍はゆっくりと口を開け、その場を離れるように去っていった。

「でもすげえじゃねえか!」

「うらやましいわ〜」

「ヨ!おめでとさん!!」

周囲の新たな大きな歓声に煽られ、2人は顔を真っ赤にして俯いてしまった。


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306 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:31:57.97 ID:hkOK0F1x0


やがて祭りは終盤を迎え、人だかりも少しずつ減ってきていた。
2人も暗い夜道を並んで帰っていた。
道にはまだ幾つかボンヤリと提灯に灯かりが灯っている家もあり、2人の足下を淡く照らしていた。

「あれって、どういう意味なんだろうねー」

リンは心なしに尋ねた。

「ア、アレって?」

黒崎は手で防いでしまったことに罪悪感を感じながらも、リンの問いかけに知らんぷりをした。

「あーそう・・・ふーん」

リンは横目でキッと睨み、黒崎もその悪寒に反応して身体が震えた。
だがそれはすぐに殺気に変わった。

「やぁっと見つけたよリ〜ンちゃん♪」

さきほど追いかけてきた男2人組が2人の前を塞ぐように立ちはだかった。

「こっち!」

リンはすぐに横道に逃げようとしたが、すぐに誰かに突き飛ばされ尻餅を付いた。

「痛った〜い」

「今度はもう逃がさねえ」

2人組の仲間らしき男がそこには立っていた。
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307 : ◆.WKwoRzFd. []:2011/12/16(金) 20:32:54.30 ID:hkOK0F1x0

「逃げて!」

リンは黒崎に向かって叫んだ。

「ボクは早く帰ってママと寝てな!」

男は悪魔の姿へと変身し、リンに手を伸ばそうとした。
徐々にリンに近づくその手の上を何かが通り過ぎた。
瞬間男の腕が見事な輪切りにされ、切り口から血が吹きだした。

「ぬぁ、ぬぁんじゃこりゃあああぁぁぁっ!」

リンの目には、信じられない光景が映っていた。
黒崎が悪魔の姿となり、背に大鎌を携えていた。

「リン、下がってろ」

黒崎は一言そう告げ、他の2人にアンダーグレイブを向けた。リンはその状況に混乱していた。
ただ、その後ろ姿に惹かれ、見とれているばかりだった。

「てめえ、悪魔だったのか!」

黒崎の姿に2人は驚き、一歩後ろに退いた。

「バ、バカ野郎!兄貴に顔合わせできねーだろ、ビビってんじゃねえ!」

腕を切られた男が2人に向かって怒鳴った。
それに合わせて2人の内の1人が黒崎に向かっていった。
黒崎はその動きをしっかりと目で捉えていた。
腕を掴み、遠心力を利用して宙に浮かし、地面に叩きつけた。

「てやあぁっ!」

背後から腕を着られた男が襲ったが、黒崎はカンタンに攻撃を払い退けると、胸ぐらを掴んでそのまま2人の元へと放り投げた。
そのまま男は2人にぶつかり、山となって崩れた。

「お前らの兄貴とやらに伝えろ。『用事があるなら直接来い』ってな」

黒崎の真紅の瞳に睨みつけられ、男たちは逃げるようにしてその場を去っていった。



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