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以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】

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【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
1 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 19:49:03.663 ID:WvGlqQtBp
キメツ学園軸
転生設定、記憶有りです
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
1 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 19:50:16.329 ID:WvGlqQtBp
キメツ学園軸
転生設定、記憶有りです
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
4 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 19:59:54.304 ID:WvGlqQtBp
「お前、ちゃんと胡蝶に思ったこと伝えてるか?」

 同僚の宇髄天元に食事に誘われた。鮭大根のある店を探すと言って俺に気を使う宇髄に断りをいれる。

「大丈夫だ。鮭大根はなくてもいい」

 こう言ってはなんだが、鮭大根を置いてある店は珍しい。わざわざ探すとなると大変な時間がかかるだろう。春休み中の貴重な昼休憩をそんなことに使う必要はない。義勇はそう思って断りをいれた。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
5 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:00:32.933 ID:WvGlqQtBp
「なんでだよ、お前鮭大根好きだろ?前は毎日食ってたじゃねぇか」
「あぁ、確かにな…だが…もうその必要はない」
「はぁ?どういうことだよ?」

 納得いかないとばかりに宇髄が理由を尋ねるので、正直に答える。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
3 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:01:06.398 ID:WvGlqQtBp
「しのぶ、ちょっとお話があります」
「は、はい…」

 こう言われたのは久しぶりに姉さんとランチをしている時のことだった。元々仲の良い姉妹だったが、お互いに結婚してからは忙しく今日は久しぶりのランチ会だった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
6 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:01:54.056 ID:WvGlqQtBp
「鮭大根は胡蝶が作ってくれるのが一番美味い」

 そう言うと、何故か宇髄は目を見開いた。まるで何かに驚いているようだった。その後、ため息をついて諦めたような表情に変わり、冒頭のセリフを口にしたのだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
7 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:02:34.788 ID:WvGlqQtBp
「お前、ちゃんと胡蝶に思ったこと伝えてるか?」
「…どういう意味だ?」
「どういう意味もクソもねえよ。そのままだ。お前のことだから、胡蝶の鮭大根が美味いことどころか最近は店で鮭大根食ってないことすら言ってないだろ?」
「…」
「図星かよ…」

 確かに胡蝶に言ったことはない。けれど、それはわざわざ言うほどのことだろうか。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
8 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:03:18.181 ID:WvGlqQtBp
「お前は本当…わかってねえな…いいか?女ってのはな、ちゃんと言葉で伝えてほしいものなんだよ!」
「いや、胡蝶にはきっと伝わっている」

 なんせ前世から、口下手な自分のことを散々フォローしてくれていたのだ。現世に生まれ変わった今でも、彼女は自分のことを理解してくれている。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
9 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:03:58.199 ID:WvGlqQtBp
「そういうことじゃねぇんだよ。いいか?全く同じ人間なんていないんだ。口で言わなきゃ伝わるわけねぇだろ?」
「…確かに」
「それによぉ、仮に伝わっていたとしても女っつうのは言ってほしいもんなんだよ」
「…そういうものなのか」

 宇髄は前世では三人の嫁を娶っていた。現世では流石に結婚こそできないが、それでも同じ三人と仲睦まじく生活しているらしい。そんな宇髄が言っているのだから間違いないのだろう。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
4 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:04:38.294 ID:WvGlqQtBp
「でね、実弥くんったら、『もうこれ以上はおはぎは…』って寝言言ってるのよ」
「へぇ、あの不死川先生がねぇ…意外かも…」
「けどね、その後すぐに『いや、きなこは別だろォ』って言ったの。それがおかしくっておかしくって」
「ふふっ…何その自分ルール…」

 話題は自然とお互いの相手の話になってくる。姉さんもこんな風に不死川先生の他愛もない話をしてくれていた。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
10 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:05:42.122 ID:WvGlqQtBp
「そりゃあお前らのことだから、普段の話の流れで察してるとは思うぜ?けどな、その敢えて言わなかった一言が大事に思う瞬間があるんだよ」
「…なるほどな」
「鮭大根が美味いことだって、伝えてんのか?少なくとも俺はお前からそんな台詞が聞こえて驚くくらいには、言ってなかったと思うぜ?」
「うっ…」

 確かに、胡蝶は俺の好物と知っているから鮭大根をよく作ってくれている。しかし、宇髄の言う通り、店で食べるより美味いと思っていることを伝えたことはなかった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
11 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:06:21.259 ID:WvGlqQtBp
「『思ってたんだ』じゃ伝わらないんだぜ?そんなこと、お前ならわかっているはずだろう?」
「…」

 返す言葉もない。前世では結局死に別れてしまった。前世ほどではないかもしれないが、今世だって何が起こるかわからない。明日一緒にいられる可能性は100%ではないのだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
12 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:07:18.432 ID:WvGlqQtBp
「俺の気持ち…か…」

 仕事を終えた帰り道。義勇は一人呟く。思えば生徒として再会した時から、しのぶには多くの我慢をさせてしまっていた。
教師と生徒だからと、付き合うのは卒業するまで待たせてしまったし、付き合ってからも口下手な義勇に合わせてくれるのはしのぶの方だ。
 元々溜め込みやすい性格で、油断をするとすぐに自分を犠牲にしようとする。そんな彼女のことを幸せにしたかった。
前世から、自分のことより他人のことを大切にする彼女のことを何より大事にしたかった。それなのに、どうして鮭大根が美味いくらいのことを言ってやれなかったのだろうか。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
13 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:08:10.504 ID:WvGlqQtBp
「いや…違うな…」

 そうだ、鮭大根どころではない。ずっとずっと、しのぶには世話になりっぱなしだ。口下手を良いことに甘えてきてしまった。もっともっと言わなければいけないことがあるのではないか。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
14 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:08:44.880 ID:WvGlqQtBp
「…よし」

 帰ったら全部伝えよう。唐突かもしれない。ひょっとしたら上手く伝わらないかもしれない。けれど伝えずにはいられない。これまでの想いを、前世の分まで。
 さて、どんな言葉で伝えようか。あまり長々と話すべきではないな。簡潔に、それでいて気持ちが伝わる言葉を…
 そんな風に考えながら義勇はいつもの帰り道をゆっくりゆっくり歩いていった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
5 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:09:32.568 ID:WvGlqQtBp
「けど、姉さんはいいわよね…相手が不死川先生だもの…」
「あら、冨岡くんだって優しいじゃない」
「優しいけど…」

 だから私も、義勇さんの話をする。ただそれだけのつもりだった。けれど…
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
6 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:11:50.285 ID:WvGlqQtBp
「でもね、本当に言葉が足りないのよ?この間だってそう、デートでふらっと居なくなったかと思ったら、全身ズタボロになって帰ってきたのよ?」
「えぇ!?」
「それで、理由を聞いたら『喧嘩した』としか言わないの…」
「そ、それ…どうしてなの?」
「そう思うわよね?そこからゆっくり話を聞いたの。一時間くらいだったかしら、それくらい話してやっと、私を盗撮してた人たちと揉めてたってことがわかったのよ…」
「えぇ!?」

 姉さんが驚くのも無理はない。そんなことを当の本人に黙って勝手に解決しようとしてしまう。そんな不器用な人なのだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
7 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:12:29.614 ID:WvGlqQtBp
「本当に…もう少しちゃんと説明してほしいわよ…心配するこっちの身にもなってほしいわ…」
「うーん、けどそれは冨岡くんの優しさでしょう?」
「だけど!姉さんはいきなり自分の旦那さんが傷だらけで帰ってきたらびっくりしない!?」
「それは、びっくりするけど…」
「ね?そもそも普段から言葉が足りないのよ!この間だって、何を思ったのかアサリを大量に買ってきたのよ?」
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
8 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:13:01.389 ID:WvGlqQtBp
「アサリを?どうして?」
「話を聞いたら『アサリは貧血に良い』としか言わないの。多分私がその時貧血気味だったからだと思うんだけど…それにしたって五キロも買ってこられても困るわよ!」
「そ、そんなに…」
「そうなの!もう本当にどうしようもない…」

 そう言って私はため息をつく。そこからは似たような愚痴が口から自然に溢れ出てきた。基本的に義勇さんは口下手で会話がにがてだからこの手の話題には事欠かない。似たようなエピソードを五つほど披露した頃、姉さんが口を開いた。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
9 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:13:33.576 ID:WvGlqQtBp
「しのぶ、ちょっとお話があります」
「は、はい…」

 いつになく神妙な面持ちで口を開いた姉さんに思わず敬語で返事をしてしまう。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
10 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:14:05.212 ID:WvGlqQtBp
「…まさかとは思うけれど、いつもこんな感じなの?」
「こんな感じって?」
「…冨岡くんのお話するときはいつもこんな感じ?」
「え、えぇ…まぁ…」
「はぁ…そう…まさかとは思ったけどね…」

 ため息を吐きながら、姉さんは頭を抱える。どうやら私は何かをしでかしてしまったようだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
11 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:14:35.705 ID:WvGlqQtBp
「あのね、しのぶ。私はこれでも貴女のお姉さんだから、しのぶが素直じゃないこともわかってるし、近しく感じている人にほどツンツンした態度を取っちゃう性格もわかってるつもりよ」
「はぁ…」

 あまり納得はいかないが、ここで反論すべきではないと感じ相槌を打つ。姉さんは続ける。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
12 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:15:15.417 ID:WvGlqQtBp
「だけどね、夫婦っていうのは元々他人なの。そりゃあ冨岡くんとは前世からの知り合いで、気心だって知れているけど、それでもこんな風に悪口を言われ続けて耐えられるかしら?」
「悪口って…そんなつもりは…」
「そうね、そんなつもり無いわよね…けどね?しのぶがこの数分の間に言った言葉を思い出してみて?」
「この数分の?」
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
13 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:15:45.058 ID:WvGlqQtBp
「『もっとしっかりしてほしい』『どうしようもない』『なんでそうなるのかがわからない』」
「あっ…」
「ね?気づいたでしょう?」

 なるほど、こう聞くと私の話は義勇さんの悪口に他ならない。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
14 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:16:19.111 ID:WvGlqQtBp
「そりゃあ一緒に暮らしてるんだもの。嫌なところの一つや二つはあるわよ。私だって実弥くんに思うところもあるもの。けどね、言い方や伝え方は気をつけなきゃダメよ?」
「うん…そうね…」
「たまには素直に『愛してる』って言ってあげてもいいんじゃない?」
「愛し…へ?」

 唐突に飛び出してきた言葉に驚いて、つい情けない声を出してしまった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
15 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:18:18.333 ID:WvGlqQtBp
「あら、私たちは結構頻繁に言ってるわよ?」
「嘘!?あの不死川先生が!?」

 姉さんが言っているのはあまり違和感はないが、あの強面なんてものじゃない不死川先生が言っている姿が想像できない。どんな顔をして言っているのだろうか。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
16 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:18:56.296 ID:WvGlqQtBp
「だって言わないと伝わらないじゃない。私は必要だと思うわよ?」
「けど…そんなのがらじゃないし…」

 私だけじゃない。義勇さんだって私にそんなことを言われた日にはビックリして目を丸くするだろう。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
17 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:19:25.480 ID:WvGlqQtBp
「あらそう、じゃあ無理強いはしないけど…」

 しかし、次の姉さんのセリフを聞いた時、私の中で時間が止まった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
18 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:19:56.953 ID:WvGlqQtBp
「知らないわよ?冨岡くんが誰かに取られても?」

 まるで脳みそを直接殴りつけられたような衝撃が私を襲った。取られる?誰が?誰に?どうして?そんなことを考えているうちにいつの間にか楽しいランチ会は終わっていた。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
19 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:20:28.627 ID:WvGlqQtBp
「はぁ…」

 気がつくと私はいつもの家路についていた。早く家に帰らなければ。義勇さんが帰ってくる前にこの気持ちを整理しておかなければならない。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
20 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:20:58.875 ID:WvGlqQtBp
「取られる…なんてこと…ないわよね?」

 ただでさえ無口で無愛想な義勇さんのことだ。私が告白した時だって、どれ程苦労したことか。前世での知り合いだなんて、何のアドバンテージにもならなかった。そもそも義勇さんは浮気ができるような性分ではない。けど…
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
15 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:21:45.110 ID:WvGlqQtBp
「話があるんだ」

 家に帰り、荷物を置く。しのぶはもう既に夕食も風呂も準備してくれている。けれど、その前に義勇は決心が鈍らないうちに日頃の想いを伝えようと心に決めていた。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
21 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:22:22.132 ID:WvGlqQtBp
「もしも、本気だったら…?」

 それなら充分にあり得る話だ。思い返せば、私が素直だった瞬間なんて、前世を含めても告白したあの時くらいだ。それまでもそれからも、彼の優しさに甘えて冗談や嫌味を言ってからかってばかりだった。もしも、そんな女に嫌気が差してしまったら?
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
22 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:23:00.435 ID:WvGlqQtBp
「いや…いや…そんなの…いや…」

 考えれば考える程、嫌な方向に考えてしまう。

「よし…」

 姉さんのアドバイスを真に受けるわけではないけれど、今日くらいは素直になってみよう。たまには可愛い姿を見せてもバチは当たらないだろう。
どんな言葉なら彼をつなぎ止められるだろうか。天然な彼にでもわかるようにしなければ…そんなことを考えながら、私は義勇さんの好きな鮭大根を作る。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
23 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:23:27.940 ID:WvGlqQtBp
「話があるんだ」

 帰宅した義勇さんが、着替えもそこそこに私にそう伝える。

「話…ですか?」

 いつにも増して真剣な表情。いつもなら、もっと余裕をもって聞けただろう。けれど、あんな話があった後では気が気でない。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
16 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:24:15.328 ID:WvGlqQtBp
「話…ですか?」

 けれどしのぶはどこか浮かない表情だ。まるで何かに怯えているかのようだ。なるほど、確かに宇髄の言っていることは正しかったらしい。俺はこんなにもしのぶを不安にさせていたのか。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
17 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:25:00.727 ID:WvGlqQtBp
「あぁ、いや、何、大した話ではないんだが…」

 いざ言うとなると、少し気恥ずかしく思ってしまい、言葉が詰まる。こんなことではいけない。しっかりと伝えなければ。呼吸を整えて、話を始めようとしたその瞬間からだった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
18 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:27:09.994 ID:WvGlqQtBp
「わ、私も!義勇さんにお話があります!」

 なんとしのぶの方からも話があるという。なんだろう。この不安そうな表情…というより、青ざめているようにも見える…ひょっとして、もう手遅れなのだろうか。向こうは既に俺に愛想を尽かしてしまったのかもしれない。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
19 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:27:50.416 ID:WvGlqQtBp
「…そうか、だが俺から言わせてほしい」

 もしもそうだったとしても、ちゃんと今までの感謝は伝えよう。そうしないと、自分の中で納得ができない。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
20 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:28:38.984 ID:WvGlqQtBp
「い、嫌です!私からがいいです!」

 珍しい。いつもは折れてくれるしのぶが、自分の意見を通そうとするなんて…それほどまでに俺といるのはもう限界なのだろうか…
そう思うと胸が締め付けられるけれど、だとすればこちらも尚更譲れない。フラれた後に気持ちを伝えられる程、強いメンタルは持ち合わせていないのだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
21 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:29:31.472 ID:WvGlqQtBp
「わかった…それならお互いに同時に言うと言うのはどうだ?」
「え?」

 我ながらバカげた提案だと思った。けれどしのぶも譲りそうにない。俺にとってはこれ以外にこの状況を解決する方法がわからない。こうするしかないのだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
23 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:30:24.409 ID:WvGlqQtBp
「…わかりました」

 そんなバカげた提案にしのぶは珍しく乗ってきた。そこまで俺に愛想が尽きたのか。もうしのぶの顔は涙が溢れて見ていられない。すまない、しのぶ。これだけ…これだけ言えば、俺はもうお前の目の前からは消えるから…だから、これだけは言わせてくれ…
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
24 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:33:03.942 ID:WvGlqQtBp
>>22
pixivでもやる!
【鬼滅の刃】愛の言葉は必要か【ぎゆしの】
25 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:34:48.327 ID:WvGlqQtBp
「しのぶ…」
「義勇さん…」
「愛してる」
「愛しています…」
「「え?」」

 打ち合わせていたかのように、二人とも同じ言葉を言っていた。驚いたところに至っては本当に同時だった。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
24 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:35:42.483 ID:WvGlqQtBp
「あぁ、いや、何、大した話ではないんだが…」

 妙に歯切れが悪い。口下手ではあるが、言いたいことは誤解されても言う人なのに…そんなに言いにくいことなのだろうか…まさか本当に…捨てられてしまうのだろうか…
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
25 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:36:45.090 ID:WvGlqQtBp
「わ、私も!義勇さんにお話があります!」

 もしも本当に義勇さんに、他に好きな人ができたのならば、それを伝えられる前に言わなければならない。それでつなぎ止められるなんて思って無いけれど、フラれてからではとてもではないが伝えられないからだ。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
26 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:39:31.639 ID:WvGlqQtBp
「…そうか、だが俺から言わせてほしい」

 珍しい。いつもは私がどんなワガママを言っても譲ってくれるのに…ねぇ、義勇さん、そんなに私のことを嫌いになってしまったんですか?
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
27 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:40:55.115 ID:WvGlqQtBp
「い、嫌です!私からがいいです!」

 溢れ出しくる涙が止められない。けれど、それを気にする余裕もない。泣くな、泣くな、面倒くさい女になったらダメ…いや、いっそこの場で大泣きしてみせようか。
そうすれば、この人は私を忘れずにいてくれるかもしれない…けれど、それも全てこの言葉を伝えてからにしよう。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
28 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:41:56.479 ID:WvGlqQtBp
「わかった…それならお互いに同時に言うと言うのはどうだ?」
「え?」

 驚いた。義勇さんの方からそんな提案をしてくるだなんて。そんなにも、私とは一緒にいられないのだろうか…こんなことになるのなら、もっと早く素直になっていれば良かった。姉さんみたいな人ならば、愛想を尽かされることもなかったのかな。
【鬼滅の刃】愛の言葉は私から【ぎゆしの】
29 :以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします[]:2020/04/05(日) 20:43:32.539 ID:WvGlqQtBp
「…わかりました」

 私は覚悟を決める。この後、どうしよう。行く宛なんてない…姉さんだって不死川さんと家庭をもっているのだ。
転がり込むわけにはいかない。そんなことを考えながら、けれど、最後に自分の気持ちは伝えなければ。キュッと気合で涙を止める。最後くらいちゃんと伝えなければ…
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