トップページ > ニュー速VIP > 2017年07月18日 > zDjVKpln0

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以下、無断転載禁止でVIPがお送りします
>>1 ◆44wGrGqtF2
本文欄空白にすることができないやつwwwwwwwwwwww [無断転載禁止]©2ch.net
なあネトゲでとある初心者がギルドに加入してきたんだが [無断転載禁止]©2ch.net
ガヴリール『それは、語られる物語』 [無断転載禁止]©2ch.net

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本文欄空白にすることができないやつwwwwwwwwwwww [無断転載禁止]©2ch.net
28 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします[sage]:2017/07/18(火) 07:55:30.097 ID:zDjVKpln0

なあネトゲでとある初心者がギルドに加入してきたんだが [無断転載禁止]©2ch.net
3 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします[sage]:2017/07/18(火) 18:05:55.266 ID:zDjVKpln0
自由にやらせてやれよゲームなんだし
ガヴリール『それは、語られる物語』 [無断転載禁止]©2ch.net
1 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:54:42.316 ID:zDjVKpln0
前章

ガヴリール『それは、むかし、とてもむかしのおはなしです』 [無断転載禁止]©2ch.net
http://hebi.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1499256711/

の続編作品です

可能でしたら上のものを読んでから読まれてください
話についていけない可能性がございます。
ガヴリール『それは、語られる物語』 [無断転載禁止]©2ch.net
2 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:55:37.630 ID:zDjVKpln0
『天使と、悪魔の親愛の軌跡が』

『この本の読まれた時、細い糸が清く輝いていることを、私はただ願っています』

『伝えることを生業とした、一人の天使より』


ガヴリール「……」

ガヴリール(あの本……なんか……)

『…………助けて』

ガヴリール(えっ……なんだよ、この……声……?)

『助け……』

ガヴリール(空耳……だよな?)

『タスケ、タス、タスタスタスタスケスケタスケタスケテテ、タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケ』

ガヴリール「ッ!!?」ガタンッ

グラサン「どうした」

ガヴリール「い、いや……なんでもないです、すみません……」

グラサン「……集中しろ」

ガヴリール「……」

ガヴリール「……は、い……」
ガヴリール『それは、語られる物語』 [無断転載禁止]©2ch.net
3 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:56:16.067 ID:zDjVKpln0
きりーつ、れー

ありがとうございましたー

……

ガヴリール「……っ……」

ヴィーネ「ガヴ、授業中どうしたの?まさか寝てたとか?」

ガヴリール「い、いや……」

タプリス「えっ、どうしたんですか天真先輩……寝不足ですか?」

ラフィエル「ありますよね、寝ててびくってなること」

サターニャ「え、待ってなんでその後輩天使普通にいるのよ」

タプリス「大丈夫ですっ、クラスの友達ともちゃんと仲良くしてます」

サターニャ「興味無いわよ」

ガヴリール「……っ」

ヴィーネ「……ガヴ?」
ガヴリール『それは、語られる物語』 [無断転載禁止]©2ch.net
4 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:56:47.867 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……ああいや、なんでもないよ。ちょっと先に帰るわ、用事できた」

ラフィエル「大丈夫ですか?一人で帰れますかガヴちゃん」

サターニャ「アンタ、調子悪いなら気を付けなさいよ?横断歩道は手を挙げて渡りなさい」

タプリス「手を繋いで帰りましょうか!?」

ガヴリール「バカにしてんのか殺すぞ」

ガヴリール「……じゃあな」

ラフィエル「はい、さようならガヴちゃん」

タプリス「お疲れ様です、天真先輩」

サターニャ「また明日会おうじゃない!」

ヴィーネ「……」

サターニャ「ヴィネット?」

ヴィーネ「……う、うん。ばいばいガヴ……」

ヴィーネ「……」

サターニャ「アンタまでどうしたのよ」
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5 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:57:11.385 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……さて、と」

ガヴリール「ただいまー」

ガチャリ

…バタン

ガヴリール「……さてネトゲネトゲ……といきたいところだが」

ゴソゴソ、ゴトン

ガヴリール「……読まなきゃな」

ペラリ

ガヴリール「……序盤終盤は大体わかったから、中盤あたりを……」

ペラリ,ペラ

ガヴリール「…………」

ガヴリール「……」

………

……


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6 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:58:15.557 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……ふう」

パタンッ

ガヴリール「……この本、よく読むと不気になるとこがいくつかあるな」

ガヴリール「……まず一つ目に、皆で読んだときは気にしなかったけど何故か最後のページが破られてる」

ガヴリール「……でも、二つ目がもし事実なら、重要な問題だな」

ガヴリール「……明日……仕方ない。学校サボって帰ってみるかな」

ガヴリール「天界の実家に」
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7 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:58:59.670 ID:zDjVKpln0
ちゅん、ちゅん……

ガチャリ
ガヴリール「……ただいま」

ハニエル「……!ガヴおねーちゃん!どうしたの?大きな休みでも無いのに……」

ガヴリール「ああ、ちょっとな。姉さんいる?」

ハニエル「うん、今日はいるよ」

ガヴリール「呼んでもらっていいか?倉庫の鍵もついでに頼んで欲しい」

ハニエル「わかった!」

トットット…

ギィ

ゼルエル「?、どうしたガヴリール。修練でもするか?」

ガヴリール「いやなんでだよいきなり。それよりさ」

ゴソゴソ

ガヴリール「あったあった。……この本、知らない?」

スッ

ゼルエル「……?なんだこれは?」
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8 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 19:59:46.544 ID:zDjVKpln0
ゼルエル「少し読ませてもらってもいいか?にしても勤勉だな。こんな古い本を」

ガヴリール「えっ、本当に知らないの?それうちの倉庫にあったんだよ?」

ゼルエル「……?私は知らないが……」

ペラッ,ペラ

ゼルエル「……興味深いな……それで、何故倉庫なんだ?」

ガヴリール「うん。その最後の、『伝えることを生業とした、一人の天使より』……ってとこのあと。最後のページが欠けてるんだ。知らないかなって」

ゼルエル「探してみるか」

ガヴリール「なかなか面白かったしさ、何より……」

ガヴリール「……学校で序盤と、終盤だけ読んだあとに、家に帰ってゆっくり読んでみたんだけど……105p目あたり……かな、読んでみてよ」

ゼルエル「……?、」

ゼルエル「……なるほど、“魔王サタン”のセリフか」
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9 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:00:09.747 ID:zDjVKpln0

『魔王様。……その、期待とは一体?』

“サタン”『……ふふ、私は、未来についてある伏線を残しているの』

『……?』

“サタン”『信じているのよ、私のいない世界をね』

『有り得ませんよ……、あなた様の"いなくなる未来"など……』

“サタン”『有り得るべきなのよ。私程度下せないような世界じゃ』

“サタン”『それこそ期待するにも、値しないわ』

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10 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:00:23.582 ID:zDjVKpln0
ゼルエル「……」ペラペラペラーっ

ガヴリール「……」

ゼルエル「……お前は、どう考えるんだ?」

ガヴリール「……最悪の未来、かな」

ゼルエル「……この本には、そこまで信憑性があるのか?」

ガヴリール「どうなんだろう……」

ガヴリール「でもさ、信じたくないからこそ、確かめるべきなんだよ」

ガヴリール「……それに、なんか不自然じゃない?物語って銘打ってるのに、下手すれば史実の可能性まであるし、未来に伏線を残すなんてさ」

ゼルエル「ふむ、なるほどな。……わかった、探してみておこう」

ゼルエル「ところでお前、今日は学校はどうしたんだ?」

ガヴリール「……いや、なんかそっちが気になって……」

ゼルエル「……まあ、この件は不問にしておいてやろう」

ガヴリール「うん、ありがとう。本は必要?」

ゼルエル「いや、いい。文章含めある程度覚えた」

ガヴリール「!?」
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11 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:01:08.474 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……」

ガヴリール(……考えられることと言えば、決まってるよな)

ガヴリール(……“サタン”の、復活)

ガヴリール(……でももし、そんなことになれば)

ガヴリール(……やめとくか、まだ信じていい訳じゃ……ない、よな)

『……ェ、……ァ、ャリ』

ガヴリール(……っ)

『逃げて……殺される…………チガ、ウ……?殺さ……ないと…………』

ガヴリール(……っ……!)

『私、何して』

ガヴリール「っ……だ……やめっ……」

ガヴリール「……黙れよ!!!」

『……』

ガヴリール「っ、っ……!はぁっ、はあっ……っ!!」

ガヴリール「っそ……」
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13 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:02:17.944 ID:zDjVKpln0
ラフィエル「にしても、ガヴちゃんはどうしたんでしょう。連絡しても繋がりませんし……」

サターニャ「今日も休みだったら放課後、行ってやりましょうか。でも魔界通販最近面白いの無いのよね……」

ヴィーネ「……そうね……、今日は来たらいいけど……」

ガラッ

ガヴリール「……」

ヴィーネ「ガヴっ!」

サターニャ「ガヴリール!」

ラフィエル「ガヴちゃん!」

ガヴリール「あ、ああ。……おはよう」

ラフィエル「その、昨日はどうしたんですか?ただのサボりではないですよね」

ガヴリール「……いや、さ」

ガヴリール「……実は」
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14 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:03:34.668 ID:zDjVKpln0
ヴィーネ「つまりガヴ、あの物語……本は実話だ、って言いたいの?」

サターニャ「いやいや、そんなわけ無いでしょ。大悪魔なんてより、魔王なんて……バカなの?それこそ本の中だけでしょ」

ガヴリール「……それとさ、一昨日……本を読んだあとから、頭の中で変な声が聞こえるんだ」

ガヴリール「助けて、とか。殺す、とかさ」

サターニャ「……」

ヴィーネ「……」

ラフィエル「……」


ガヴリール「私、思うんだよ。論理的じゃないけどさ。私があの本を見つけて、みんなと読んだのは偶然じゃないんじゃないか。って」

ラフィエル「……実は」

ラフィエル「私も、あれを物語というには違和感がありました」

サターニャ「……ラフィエル……?」

ヴィーネ「……聞かせてくれない?ラフィエル」
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15 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:04:47.169 ID:zDjVKpln0
ラフィエル「確か、魔界には古い伝承として"魔王の復活"を謳ったものがあるはずです」

サターニャ「え、そうなの?」

ヴィーネ「聞いたこと無いわね……」

ラフィエル「はい、資料にはかなり古いものと書いてありました。真偽は不明ですが……」

ラフィエル「そして、もう一つ」

ラフィエル「悪魔の誕生について、納得が行き過ぎるんです」

サターニャ「……?」

ヴィーネ「確か、あの本ではそもそもは天使の謀反を起こした姿が悪魔だ、って……」

ラフィエル「はい。天界では、悪魔はヒトの信仰を高めるために神によって作られたと習いますが、私は以前からそれは疑問でした」

ラフィエル「信仰を高めるためとしても、他に手はあるはずですし、そんな配下の天使や、自らを危険に晒すような真似はリスクが大きすぎます」

ラフィエル「何よりそんなの……かわいそうですし」
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16 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:05:18.723 ID:zDjVKpln0
ラフィエル「一方、例の本の話ですが」

ラフィエル「悪魔がそもそもとして神に逆らう存在なのなら、他の色々な仕組みにも納得がいくんです」

ラフィエル「両者に戦闘向けの技術が磨かれていることや、堕天により天使の構造が悪魔に近付くこと……」

ラフィエル「人間界での修行においては、天使と悪魔がほとんど必ずといっていいほど接触する統計がとれていること、等です」

ラフィエル「勿論例外もありますが……これは習う話では不自然です」

ガヴリール「……なるほどな」

ヴィーネ「じゃ、じゃあ、ラフィ……その」

サターニャ「本の中の話の、“サタンの復活”も本当に起こるっていうの……?」

ラフィエル「それはわかりませんが……私も実家で、色々と調べてみます」
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17 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:05:56.739 ID:zDjVKpln0
……



ガヴリール「っと、帰るか」

サターニャ「そうね!」

ラフィエル「はーい♪」

ヴィーネ「うん、そうね……」



サターニャ「明日土曜だし、どっか行かない?服とか買いたいんだけど……」

ラフィエル「うう、ごめんなさいサターニャさん……、明日は実家に行こうかと……」

タプリス「私でよかったら行きますよ?胡桃沢先輩っ」

サターニャ「うわっ、また来たわね」

タプリス「はいっ、別に胡桃沢先輩に付きまとってる訳じゃ無いですけどね!」

サターニャ「それでいいんだけどなんかむかつくわねアンタ」

ヴィーネ「ちょ、仲良くしなさいよ……」

ガヴリール「っ……!」

ヴィーネ「ガヴ……?」
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18 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:06:53.069 ID:zDjVKpln0
『こ……私…せい…ゃな!私……じゃ……や……て、れ!やめ……』

ガヴリール「っ……ぅう゛、あ、あああっ!!!」

タプリス「天真先輩っ!?」

ヴィーネ「ガヴっ!」

ラフィエル「ガヴちゃんっ……!」

サターニャ「ちょ……どうしたの!?」

『誰か……助けて』

ガヴリール「っ……はあ、はあ……」

ガヴリール「いや、声が……さ」

ヴィーネ「大丈夫……?ガヴ」

ガヴリール「あ、ああ……いてて……」

ヴィーネ「頭痛もなの……?なんとかしないと……」

タプリス「声……ですか?」

ヴィーネ「あ……そっか、タプちゃんは知らないのよね」

ヴィーネ「サターニャ、明日タプちゃんにあの話してみましょう」

サターニャ「……そうね。明日私の家に来なさい」

タプリス「?、はいっ」

ヴィーネ「ガヴはどうするの?」

ガヴリール「ちょっと明日はネトゲのイベントが」

ヴィーネ「あんたの問題なのに」

ガヴリール「頭痛に声も相当辛いけどさすがにこのイベントは大事だ」

サターニャ「廃人の鑑ね」
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19 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:07:15.868 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「さて、私はコンビニ寄るから、じゃあな」

タプリス「はいっ、お疲れ様ですっ」

サターニャ「何しにいくの?」

ガヴリール「プリペイドカード買いたい」

ラフィエル「さようなら、ガヴちゃん」

ヴィーネ「うん、ばいばい……ねえ、ガヴ」

ガヴリール「なんだよ」

ヴィーネ「……、」

ヴィーネ「その、本当に辛かったら、連絡してね。すぐ行くから」

ガヴリール「……ああ、ありがとう。じゃ」

ヴィーネ「うん……ばいばい」
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21 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:13:00.283 ID:zDjVKpln0
バタン…

ガヴリール「……備蓄は揃えたから……」

バサッ

ガヴリール「……これでいつ、またきても……」

ガヴリール「誰にも心配かけずに済むな……。きっと、きっと……」

ガヴリール(あの声には、何か意味があるはずだ)

ガヴリール(……)

ガヴリール(『誰か、助けて』……か)

ガヴリール「天使として聞き逃せないよな……」

ガヴリール(どんどん来いよ、考えて、考えて……出来るだけ何か手を貸してやるからさ……)

ガヴリール(……らしくないなあ……我ながら……)
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22 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:14:15.354 ID:zDjVKpln0
━天界、ラフィエル実家━

ラフィエル「……帰りましたよー?」

ラフィエル「……あれ、マルティエルはいないのでしょうか。珍しい」

ラフィエル(……魔王についてや、創世について書いてありそうな本は……)

ラフィエル「離れの書斎と、倉庫の古い本をいくつか見てみましょうか」

……


ラフィエル「っとと……」

バズンッ

ラフィエル「さーて、調べますよー!」
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23 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:14:39.971 ID:zDjVKpln0
━天界中央資料室前━

タン,タン,タン……

「この先は天界中央資料室だ、緊急時以外は通せない」

「……地上と、天界。魔界の危機と言ってもだめだったか?」

「証拠は出せるのか」

「不可能だ」

「なら、今すぐ引き返してもら」

ドサッ

「貴様ッ……!天界に背くつもりか!!」

「……ふっ!」

「ぐはぁっ……ッ!」

ドサ

「……」

「私は従順だよ。天界にも、世界にも」

「……確信を、得たいからな」
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24 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:14:58.526 ID:zDjVKpln0
━下界、ガヴリール家━

ガヴリール「……っ、ぅああっ……!」

『動かないでよ、やだ、やだよ!やっ……』

『……やだ……やだよ、やめて、壊さないで、壊さないで壊さないで壊さないで壊さないで壊さないで壊さないで壊さないで壊さないで』

ガヴリール「っ……!ぐぁっ……ああっ……!!」

ガヴリール(壊す……?何の話だ……!?)

『壊さないで……私の…………大切なっ……』

『…………』

ガヴリール「っ……やっぱ痛ぇな……」グラリ

ガヴリール(……大切なものを、壊されようとしていた、ってことか……?)

ガヴリール「……6時」

ガヴリール「もう、朝か……」
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25 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:15:30.842 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……そんだけじゃ、場所すら特定できな……ぁっ……があっ!!」

『やめて、やめてよ、あああ、あああああああああああっ!!!あああ、ああ…………そんな、嘘だよ、嘘だ……』

『……ヴィネ……』

ガヴリール「……ッ!……ぐっ……はあ、はあ……二、連続っ……とか、さあっ……」

『……』

ガヴリール(……確かに、そう言った)

ガヴリール「ヴィネ……嵐の悪魔、魔界に背き、悪魔軍を一人で一部殲滅させた……」

ガヴリール「……じゃあ、この声は、まさか……」
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26 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:16:13.999 ID:zDjVKpln0
━天界、ラフィエル実家━

ラフィエル「……朝、6時……」ウトウト

ラフィエル「っ、だめです、次の本を……」

バザッ,ドザドザドザ

ラフィエル「ああ……はあー……!」

ビラッ

ラフィエル「……?しま、破れてしまいましたか!?貴重な本があああ…………え?……、これ……」

ラフィエル「……これ、まさか、あの本の……ガヴちゃんが無いって言ってた、最終ページでは……?」


ラフィエル「……!?」

ラフィエル「そん、な……他の資料と見合せなければ……!」

ラフィエル「急がないとっ……!!」
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27 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:19:13.504 ID:zDjVKpln0
━天界、中央資料室━

「……やはり、な」

「適した場所というには、あそこだろう」

「……急ぐか……、神足通ッ!」

バシュゥッ
……


「……」スタッ

「……魔界の、最奥。近付くことさえ禁じられる、とても頑丈に閉じられた洞窟」

バチィッ

「……ッ」

「間に合ったようだな……」

カラリ…

「……骨か……相当前……天使のものだな」

「……後で、ちゃんと葬ってやろう」


「……守護結界」
パヒュゥィン

「……来る」

ズッ…

ズドオオオオオオオオオオン!!!!
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28 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:19:51.784 ID:zDjVKpln0
「……」

ズゥウウウ……
ガタ,ガラン

「……お目覚めか」

『……』トン,トン

「……“サタン”よ」

『……』


「伝承の通りなら、お前は今から死兵を復活させて世界を滅ぼしに行くんだろう?」

「……そうはさせん」

「……私は、可愛い妹たちと、妹の愛する世界を守らせてもらう」


『……』

「天使、"ゼルエル"……ここで、貴様を……」

「殺すッ!!!」
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29 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:20:21.829 ID:zDjVKpln0
『……』

ゼルエル(……様子を見よう)

ゼルエル「……光の矢」
パフュッ

シュイイイイイ…

バシッ

『……』

ゼルエル「ッ……!」

ゼルエル(真正面からとは言え、私の光の矢を防いだ……いや)

ゼルエル(届く前に、かき消えた……!?)

『……』ズン

ゼルエル「……っ、とんでもない力らしいな……ビリビリとやかましいことだ」

『……』

ゼルエル「……全力でいって、勝てるかどうか……いや、勝つしかない……か」

ゼルエル「はああああああッ!」
ズンッ!!
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30 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:21:09.761 ID:zDjVKpln0
ゼルエル(……右で殴ると見せかけて、懐に飛び込みつつ左でっ……)

ゼルエル「ふんっ!!」

ズンッ!

『……』

ドォオン!!!

ゼルエル(入った!)

ゼルエル「……ッ!?」

『……』フッ

ゼルエル「くっ!」

『……っ』スッ

ズバアアアアアアアアン!!!

ザリッ
ゼルエル(弾き飛ばせる算段だったが、とんでもない堅さだな……それにしても)

ゼルエル(……右手を振り下ろしただけで地面に割れ目が……10m程か。……単純な威力でも化け物というわけだ)

ゼルエル「さすが“魔王サタン”……一筋縄じゃいかないな」
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31 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:21:41.639 ID:zDjVKpln0
━下界、ガヴリール家━

ガヴリール「…Zzz…」

prrrrッ!!!

ガヴリール「……っ、……?私寝て……、ラフィか」

ピッ

ガヴリール「おはよラフィ……今日はお前実家に行ってるんじゃなか」

『ガヴちゃんっ!今すぐそちらに向かいます!ヴィーネさんと、サターニャさんとタプちゃんもです!』

ガヴリール「はあ?おい、一体どうし」

『とにかく待っていてください!』

ガヴリール「はあ!?」
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32 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:22:06.298 ID:zDjVKpln0
……

ピンポーン

ガチャリ

ヴィーネ「ガヴ、おはよ……」

サターニャ「あ、ガヴリール……」

タプリス「先輩っ!」

ガヴリール「……おう……はあ」

ガヴリール「……まあ、とりあえず入れ」


……


ヴィーネ「ガヴっ……その、大丈夫?」

サターニャ「なんかラフィにここで集合って言われたんだけど、何なのよ?」

タプリス「お話聞きました。絵本の話から……大丈夫なんですか?天真先輩……」

ガヴリール「……ああ、大丈夫だよ。んで、私もラフィからも詳しい話も聞かされてない。一緒じゃないのか」

サターニャ「ここにいると思ってたから……」

ガヴリール「ったく、なんなんだよ……」
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33 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:23:04.913 ID:zDjVKpln0
━魔界━

ゼルエル「ならば……っ」

ゼルエル「……"究極爆炎魔法"!!」

ゼルエル「はあああああっ!!!」

ゴッ…
ブズッ、ゴゴゴゴ…
ドボオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

ゼルエル「……ッ、"土印封印術"!」

ゼルエル(土で敵を覆いつくす技だが……)

ゼルエル(炎を阻害しないようにアレンジを加えるっ……)

ゼルエル「はあああああっ!!!!!」

ガ
ドゴッ,ドブリ,ズミッ
ガシャンッ!!ガシャ,ガシャッガシャン!!!
ドゴオオオオオオオン!!!!

ゼルエル「……どうだ」


スゥ…

『……』

ゼルエル「……ッ」
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34 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:24:10.390 ID:zDjVKpln0
『……』スタ,スタ…

ゼルエル「……堅さは一流か……」

ゼルエル「……ならば、その堅さを利用させてもらおう」

ゴォオオオオオ…

『……』ピタッ

ゼルエル「本来、この魔法を使えば天界、魔界、下界の全てを束ねた世界の存在そのものに被害が出る可能性があり、使えなかったが」


ゼルエル「……幸いにもお前の動きはとろい。"内側"を魔法の格の座標設定すれば、その心配は無いだろうな」

ゼルエル「……"爆炎散解魔法"」

ゼルエル(爆発に触れたもの全てを破壊する魔法……私の構想でしか無かったが、私では爆発そのものの威力の調整できず危険で試せなかった)

ゼルエル(……初めて全力でこれが撃てる!)

ゴッ……

ゼルエル「……」スッ…

ゼルエル「はあああ……ぁああああああああああッ!!!!」

………ツッ

『……』
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35 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:24:50.929 ID:zDjVKpln0
ドムッ!!!!!!!!!!

『っ……』バブゥンッ

シュウウッ……

ブスッ,ブス

『……』スタ,スタ

ゼルエル「なっ……!?」

ゼルエル(内側からあの魔法ですら破れないというのか……!?)

ゼルエル(何か……何か手は……)

ゼルエル「まずいな……これは」
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36 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:25:34.628 ID:zDjVKpln0
━下界、ガヴリール家━

バアン!!!

ガヴリール「っ!?」

ラフィエル「失礼します!ガヴちゃんっ!!!」

ガヴリール「窓から入るなよなんだよ……」

ヴィーネ「あっ、ラフィ。どうしたの……?」

サターニャ「息きれてるじゃない……相当急いできたのね」

タプリス「そんな、鬼気迫る表情で……」

ラフィエル「はあっ……はあ……っ、よかった……まだ、下界の方は大丈夫だったんですね……っ」

ガヴリール「……」

ガヴリール「どういうことだ?ラフィエル」

ラフィエル「……っ、実は」
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37 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:25:49.620 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……?何だよ、この紙……」

サターニャ「随分古臭いわね」

タプリス「本の一部ですか?」

ヴィーネ「なんかこの字、見覚えが……」

ガヴリール「ラフィ?」

ラフィエル「はい。うちで、発見したんです」

ラフィエル「……おそらく、あの本の最終ページかと」

ガヴリール「っ!」
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38 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:26:19.351 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「これが……」

ラフィエル「……はあっ、はあ……」

スッ…
バチィッ!!
ガヴリール「っ……!あっ……!」

ヴィーネ「ガヴ!?」

ガヴリール「ぐっ……んだよっ……こんな時にっ……」

ガヴリール「ちがっ……触ったからか……!?うっ……あ、ああああああっ!!!」

「……ちゃん、ガヴちゃ……」

「……ヴっ!?……」

「……せんぱ……」

「……リー……」

「……」
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39 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:27:14.556 ID:zDjVKpln0
『先輩……?』

『ようタブリス。さっそくなんだけど、ちょっといいか?』

『はい、どうしたんで』

ドシュッ

『あづっ……!……ガブリエル先輩……?どうし……』

『……"タブリス"……、命じるわ』

『……!お前……っ、先輩じゃ……』

『……"堕ちなさい"……?』

『っ!……ぁ……』

『そして……そうね。少し、未来の話になるんだけれど』

『私に、着いてきなさい?"悪魔タブリス"……?』

『……は、』クタリ

『い』

『うふふ』

ズバアッ!!!

ドサッ
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40 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:27:48.490 ID:zDjVKpln0
『……、なんだ、今……の……意識が……』

『っ……タブ、リス……?タブリス!?』

『なん……これ……私が、やった、のか……?』

『嘘だ……嘘だ!!そんな、タブリスがっ……!!』

『誰かっ……!!』

『誰

「がっ……あ゛っ……!!!」

『……!、ガブ……?それ……何、やって……』

『ヴィネっ……わからない、これっ……私っ……ぐっ!!』

『ガブっ!?』

……あなたは、悪魔だったわね。……なら、そのまま

『声……?』

ズバッ

『ぁ゛っ……

「ああっ……ぐぁあああっ……っ!!」

『ヴィネっ……!あ、ああっ……何してんだよ、止まれよ!!』

『(右手が、勝手にっ……!)』

ブズゥッ…

『っ……』グラリ

ドザ

『ヴィネッ!!ヴィネええええっ!!』
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41 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:28:09.900 ID:zDjVKpln0
「ああっ、ああっ……あああ、ああああああああ……っ」

「……っ……」

「あああ、ああ、あああああああああああああっ!!!」

「……ヴ、……ヴっ!!……」

「ガヴ!!!」

ガヴリール「ああっ……あっ……あっ…………っ……、……」

ガヴリール「っ……はっ……はっ……っ……」

ヴィーネ「ガヴ!!」

ガヴリール「あ……っ……ヴィーネ……」

ラフィエル「ガヴちゃんっ……」

タプリス「先輩!」

サターニャ「ガヴリール!!」

ガヴリール「あ……ああ……大丈夫……だ」
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42 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:28:47.699 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……」

ラフィエル「……っ、ごめんなさい、ガヴちゃん……私のせいで……」

ガヴリール「……ラフィ、読ませてもらっていいか」

ラフィエル「……!?は、はい……でもっ……」

ガヴリール「……いや……」

ガヴリール「いや……ちょっと、なんとなくわかったことがあってさ……」


ガヴリール「……」ゴクリ

スッ

ガヴリール「……」ホッ

ピラッ

ガヴリール「……これ……っ」
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43 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:29:48.419 ID:zDjVKpln0
『さて、これを読めた……いや、見つけることができた人に。気付いているだろうが、物語と嘘をついたことをここに謝らせてほしい』

『これは、全て事実だ』

『私はあの日、魔王“サタン”を倒した』

『でもあれは、始まりに過ぎなかったんだ』

『魔王は、悠久の時を経て必ず復活する』

『そして。この本が見つかったということはそういう事だよ』


『この本を見つけられたお前にだけ、伝えたいことがある』

『目を閉じて、このページの裏面をなぞってくれ』

ガヴリール「……」

ガヴリール「……っ」ピラリ…

スゥ…
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44 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:30:31.033 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……っ!」


『……これが聞ける。ってことが、どういうことか。ある程度察しはついているはずだ』

ガヴリール「っ……声、か……?」

ヴィーネ「どうしたのガヴ!?」

ガヴリール「あ、ああ。大丈夫だよ……私にだけ、か……」

ヴィーネ「何が聞こえるの……?」

ガヴリール「……」

『お前には、力がある。私と同じ……、"伝達"が、さ』

ガヴリール「……っ、は……?」

『……さて、力の話は少し置いとくが……』

『頼む。名も知れぬ天使』

『世界を、救ってほしいんだ』
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45 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:31:02.151 ID:zDjVKpln0
━魔界━

ザッザッ,ザズッ……

ゼルエル「はあっ……くっ……天使力が尽きたか……っ」

ゼルエル(この私がっ……まさか、こんなっ……)

『……』ス

ブゥンッ

ゼルエル「ッ……!」

ズッ…ズゴオオオオオオオオッ!!!

ゼルエル「っ、っ!……かはっ」ズシャアッ

ゼルエル「……っ……く、はあっ……」

ゼルエル(手も、足も……出ないっ!!)

『ふふ』スッ…

ゼルエル「……!?消え……」


ゼルエル「奴め……何処にいっ」
ダアン!!!

ゼルエル「ぐぁっ……ッ!」ズジャアアアア

『……ふう』

『あ、あー……』

『やっと意識がハッキリしてきたわ。……貴女は……天使ね?』

『お名前は……確か、ゼルエルさん。と、仰ったわよね』

ゼルエル「……何を……」

『天使"ゼルエル"?ちょっと……』

『"そこで、寝ていてくれないかしら?"』

ゼルエル「……ッ!!!ぁっ……何を……したっ……!!!」

『あら……すごいわね、逆らえるなんて』

『無条件睡眠が無理なら、細かく突こうかしら。そうね……』

ゼルエル「なるほど、なっ……お前……は……」

『"黙りなさい"』

ゼルエル「ぁ゛っ……っ、っ!!っ……!」

『"動くな"』

ゼルエル「っ……っ!っ!!」
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46 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:31:31.877 ID:zDjVKpln0
『さて……』

ゼルエル「っ……!」
バチィッ!
バシュウ。
『……ッ』

『雷魔法ね。無駄な足掻きを……』

『……面倒ね。"そのまま待て"よ』

ゼルエル「…………ッ」

ゼルエル(だめだ、全く抗えないっ……!)

『……ふふ』


『さて、と』

『始めようかしらね』

『おいでなさい?私の、可愛い、可愛い子供たち……?』

ズゥ…………………
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47 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:32:26.278 ID:zDjVKpln0
━下界、ガヴリール家━

ガヴリール「は……私が、世界を……?」

『もちろん、情報は至るところにある。お前になら、"伝達"を自覚できたなら。何か、見えるはずだ』

ガヴリール「……」

『……時間みたいだな』

ガヴリール「……」

『……頼む。私の……』

『私の、私たちの誤りを押し付けるようなことになっちゃうが……。お前がやらなかったら、全てが終わっちゃうんだ。だから、頼む』

『世界を……』

守って、

ガヴリール「……っ」

ガヴリール「すべ、て……か」



ヴィーネ「ガヴ、どうしたの……?黙りこんで……」

ガヴリール「……断れねえよ……、そんな脅しみたいな言い方されたんじゃさ」

ヴィーネ「え?」

ガヴリール「過去の英雄。大天使ガブリエル」

ガヴリール「……私に任せろ。アンタが一度守った世界」

ガヴリール「見習いでも一天使として……私が、引き受ける」
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48 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:34:09.387 ID:zDjVKpln0
ヴィーネ「何が聞こえたの……?」

ガヴリール「……天使ガブリエルの言葉だよ。……まあ、とにかく大丈夫だよ。心配すんな」

タプリス「……っ」

ラフィエル「……」

サターニャ「大丈夫なの?本当に……」

ガヴリール(策は無い)

ガヴリール(だが……方法はあるはずだ)

ガヴリール(あいつは、未来、自分と同じ能力を持つ者が現れると信じた)

ガヴリール(なら、同じ能力ならと勝てる術を残したはず)

ガヴリール(……というか、じゃなきゃ詰む)
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49 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:35:25.879 ID:zDjVKpln0
ガヴリール「……じゃあ、情報が必要、ってことか……」

パリッ。

サターニャ「なに?この音……雷?」

ピロリロリンっ

ヴィーネ「あ、メール……、……!?」

タプリス「どうしたんですか?月乃瀬先輩」

ラフィエル「……魔界にて、強大な魔力を持った存在が突如発生した」

ヴィーネ「同時に、天界の"大天使ゼルエル"と思われる天使力が微々たるものへと変化した……!?ガヴ、これって……!?」

ガヴリール「なっ……姉さんが、負けた……!?!?」

ラフィエル「……“サタン”の、復活……!!」

ビリッ,バチッ。

タプリス「そんな、じゃあ、この音……!」

サターニャ「えっ!?なになに、どういうこと!?」

バチバチバチバチィッ!!!!


ガヴリール「……下界と魔界との障壁が、破られたってことか……!!!」
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51 :>>1 ◆44wGrGqtF2 [age]:2017/07/18(火) 20:38:05.122 ID:zDjVKpln0
ドォン!!!!
きゃあああああっ
なっ……なんだよこいつら!!
ズブァアアアアアン!!


フォオオオオオオオオオオオオオン!!!!オュオオオオオオオオン!!!!

ラフィエル「……サイレン、ですね」

ヴィーネ「……っ」


タプリス「私、行ってきます」

ラフィエル「……タプちゃん」

サターニャ「よくわかんないけど、私も行くわ。アンタだけにいい顔なんかさせないわよ」

ヴィーネ「サターニャっ……」

ラフィエル「……」

ラフィエル「ガヴちゃんは、ここにいてください。下手に目立つと危険です」

ガヴリール「なっ……、私も戦う!」

ヴィーネ「いつあれがまた起こるかわからないから、ね?」

ガヴリール「っ……でも!」

ヴィーネ「ダメよ、ガヴ。戦闘中じゃ、動きを封じられるのは命取りになるわ。だから……」

ヴィーネ「私たちに任せて、ね」

ガヴリール「……っ」

タプリス「先輩」

サターニャ「絶対、人間たちは守るわ」

ラフィエル「だから……お願いします。ガヴちゃん」
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