- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:00:43.03 ID:F6/vGNm50 - 女「やあ」
男「おう」 女「久しぶりに、隣だね」 男「え? 高校入って初めての席替えだろ?」 女「そうだけれど、中学で隣になっただろう?」 男「そうだったか」 女「ひどいなあ。ボクがこっちに越してきた時、隣だったじゃないか」 男「……覚えてねえ」 女「まあ仕方ないよ。席替えは、小学生の時から何度もやっていることだからね」 男「悪いな」 女「悪くないよ。君がたくさんの女の子と隣になって、惑わしてきたのだから、僕を忘れるのも無理はない」 男「おい、聞き捨てならんぞ」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:01:18.10 ID:F6/vGNm50 - 女「ボクも君に惑わされた一人だったんだね」
男「勝手な話をでっちあげるな」 女「えっちしてあげる? しかたないなぁ……」 男「でっちだ。肩を見せるな」 女「出尻……」 男「でっちりだ、それは」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:02:57.30 ID:F6/vGNm50 - 男「残念ながら俺はこの人生の中で一度も彼女ができたことがない」
女「愛人は?」 男「そんなのもっといねーよ」 女「未亡人は?」 男「いるはずがない」 女「友人は?」 男「いな……い、いる!」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:05:58.62 ID:F6/vGNm50 - 女「へえ、誰だい?」
男「それは……えっと」 女「ふふ、いつも休み時間に一緒にいる男の子達かい?」 男「あいつらは……どうなんだろ」 女「おや、どういうことだい?」 男「つるんでるんだけども、友人と呼べるかどうか……」 女「ふむ。じゃあ、君には友人がいるのかい?」 男「いるよ」 女「誰だい?」 男「お前、とか」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:10:51.36 ID:F6/vGNm50 - 女「それにしても、君は優しいね」
男「急に話を変えたな」 女「友人ならぬ優人だよ」 男「うまくねえ」 女「キスのことかい? どんな味がするのかな?」 男「キスの味なんて知らん。あと、話を変えるのが唐突すぎるぞ」 女「へえ……」 男「その目はなんだ……」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:13:02.06 ID:F6/vGNm50 - 女「ああ、気にしないでくれ」
男「口を拭ってるのが気になったぞ」 女「ふふ、気にしてくれるのかい」 男「危険な気がした」 女「ボクから溢れ出る女汁にかい?」 男「なんだそれ気持ち悪い」 女「ん、愛液の方が良かったかな」 男「やめろ、それ以上言うな」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:15:57.30 ID:F6/vGNm50 - 女「……」
男「お前さ、変なこと言うなよな」 女「……」 男「……おい」 女「……」 男「わかった、もう喋っていいぞ」 女「ワンワン!」 男「犬か」 女「君がペットプレイを所望したんだろう」 男「してない」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:18:12.00 ID:F6/vGNm50 - 女「猫が良かったかな」
男「……ちなみにどんな感じだ」 女「ニャーン」 男「くっつくな」 女「君がやれと言ったんだろう?」 男「くっつくとは思ってなかった」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:22:01.98 ID:F6/vGNm50 - 女「好奇心というのは、良いことだよ。ボクも君のキツネプレイを見てみたい」
男「したことねーよ、そんなの。しかもキツネプレイってどんなんだよ」 女「コーン」 男「やらんでいい」 女「ごんぎつね……」 男「やめろ、目頭が熱くなる」 女「黄金ぎつね」 男「一気に高貴になったな」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:25:25.50 ID:F6/vGNm50 - 女「おや」
男「あん?」 女「なんだかんだ、ほら」 男「ん、うおっ、もう陽が……」 女「君と話をしているとついつい時間を忘れてしまうよ」 男「放課後に話をするのも、考えもんだな」 女「そうかな。ボクは良いけれど」 男「でも、帰りが遅くなるだろ」 女「大丈夫だよ」 男「なんで」 女「だって、ボク達家も隣なんだから」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:28:57.51 ID:F6/vGNm50 - 男「そうだけど、家の人、心配しないのか」
女「ふふ、ボクのこと、心配してくれるのかい?」 男「まあ、少しはな」 女「安心してよ。君と一緒なら、親も何も言わないから」 男「そうなのか」 女「それくらい信頼されているんだよ、君は」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:33:33.14 ID:F6/vGNm50 - 男「まあ、それでもそろそろ帰るか」
女「うん。あ、でもちょっと待って」 男「ん」 女「君に渡したいものがあってね」 男「なんだ」 女「はい。大切な友人に、プレゼント」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:37:38.01 ID:F6/vGNm50 - ヤツが差し出したのは、遊園地の招待チケットだった。
男「なんだそれ」 女「遊園地のチケットだよ」 ヤツが笑いながら、俺にチケットを手渡した。 男「おい、一人で行けってのか」 お前は鬼か。空しさで爆発するぞ。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:38:58.13 ID:F6/vGNm50 - 女「そんなわけ、ないよ」
スカートのポケットから、もう一枚チケットを出して、 女「ボクと行くんだよ」 平らな胸に手をあてて、言った。 男「お前とぉ?」 いきなりだな、おい。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:42:43.74 ID:F6/vGNm50 - 女「いいじゃないか、友人なんだし」
男「そうだけども、なんで急に」 女「誘いなんて、基本急なものだろう」 確かに一理あるが。 こいつの場合、予告なしの誘いが多すぎる。 家が隣だからって、早朝にインターホン押してきて、開口一番「エッチ……いや、遊ぼう」と言ってきたり。 隣町に行きたいとかなんとか、夕方頃に言われて出発したから、帰りが遅くなったり。 女「なんだか、唸っているみたいだね」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:47:59.17 ID:F6/vGNm50 - 小さい体を屈めて、俺の顔を窺う。
いつもよりはしっかりとした誘いだな。 男「別にいいぞ。いつ行くんだ」 女「よかった。日曜日はどうかな」 男「今度のか?」 女「もちろん」 混みそうだな。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:52:21.00 ID:F6/vGNm50 - 男「日曜って言うと、次の日は普通に学校あるだろ。土曜の方がいいんじゃないか」
女「ダメ」 キッパリと断られた。 いつものヤツとは違って、言い方が鋭い。 女「どうしても、日曜がいいんだ」 男「なんで?」 女「なんとなく、ね」
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28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:55:45.25 ID:F6/vGNm50 - どうしても日曜がいい理由がなんとなくって……。
結局確固とした理由は教えてもらえずにヤツは踵を返して、 女「さあ、帰ろう?」 ミニスカがヒラリと揺れる。見えそうで、ヒヤヒヤする。 男「わーったよ」 そういえば、遊園地なんて、何年振りだろう。 よく考えると、小学校以来かもしれない。 女「どうしたんだい?」 既に教室を出て、ヤツは廊下で俺を見ていた。 男「ああ、今行く」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 00:58:03.75 ID:F6/vGNm50 - わりと有名な遊園地の、無料招待券。
何故こんなものを、コイツが持ってるんだ? 女「そんなに見つめられると、膜に穴があいちゃうよ」 男「あくかよ、そんなことで」 女「なんの膜かな?」 ちょっと見ただけでこれである。 女「激しい視姦で体が敏感になっているよ」 わざと体をビクビクさせるな。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:00:20.15 ID:F6/vGNm50 - 男「なんか、お前と遊園地に行くの不安だな」
女「ボクもだよ」 なんだと。 女「君が変な気を起こさないか、ちょっとね」 男「それはないから安心しろ」 女「どうしてだい?」 男「お前に興味ないから」 女「……」 急に黙りこむ。どうしたんだ。 女「まさか、同性愛者かい?」 男「違う!」 断じて違う! 女「だから彼女なんているはずがない……彼氏が……」 男「やめろ! そういうことじゃない!」
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31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:04:01.43 ID:F6/vGNm50 - ちゃんとハッキリさせておこう。
男「俺はな、お前みたいなやつには興味が無いって言ってんだ!」 女「おや、それはどういうことだい?」 男「胸に手を当ててみろ」 女「? 了解した」 言われた通り、ヤツは胸に手を当てた。 男「それだ」 女「え?」 男「その、貧相で残念な胸がだ!」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:05:50.85 ID:F6/vGNm50 - 女「!」
巨乳を愛する俺は、堂々とやつのまな板を指摘した。 ヤツは後退り、口をあんぐりと開けた。 女「胸……か」 おい、自分で自分の胸を揉むな。 男「やめい」 女「そんな……君は巨乳が?」 男「そうだ。俺は巨乳派だ」 女「ボクだっていつかは」 男「虚乳はお断りだ」
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34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:08:30.81 ID:F6/vGNm50 - 女「……やっぱり、巨乳が好きか」
さっきまでの驚きの顔から一転、すぐに笑顔に戻った。 なんだよ、その言い方。 女「でも、胸は小さいほうがいいよ」 男「自分を肯定しようとするなよ」 見苦しいぜ。 女「自慰だよ、自慰」 勘違いされるぞ、その言葉の選択。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:16:09.12 ID:F6/vGNm50 - 男「じゃあとりあえず聞くが、なんで小さいほうがいいんだよ?」
女「肩こりをしない!」 男「……」 胸のせいでこったこと無いくせに。 そしてヤケにドヤ顔である。 なんか可哀想だぞ。
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37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:21:39.84 ID:F6/vGNm50 - 女「あと、すぐに脱げることかな」
男「は?」 女「障害がないからね」 ほら、と。 ヤツはいきなり制服を脱いだ。 女「ほら、簡単だろう?」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:27:24.99 ID:F6/vGNm50 - 男「何やってんだ! 早く着ろ!」
まさかと思い、俺は目を伏せた。 夏服だぞ!? こいつ、いきなり脱ぐか? しかも外だぞ!? 女「どうして目を伏せているんだい? 興味が無いんだろう?」 ニヤリと笑った気がした。こいつ、楽しんでやがるな。 女「安心してよ、本気で脱いでないからさ」 男「……本当か?」 こいつだと上半身裸とか、平気でしそうだ。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:32:21.62 ID:F6/vGNm50 - 俺は恐る恐る、目を開けた。
下から上へ、視線を移していくと、ヤツは変わらない様子だった。 女「おおげさだなあ」 声をあげて笑ってやがる。 男「……ん」 女「どうしたんだい? そんなにジロジロ見たら……」 胸元を見てみると、ブラウスのボタンが大幅に外れていた。 どうやら気づいていないようなので、指をさして教えてやった。 女「え……? あっ……」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:37:53.23 ID:F6/vGNm50 - 顔を赤くして、俺に背を向けた。
女「も、もう、ダメじゃないか。外でこんなことをするなんて」 なんで俺を見ながら言う。 俺のせいになってるのか? 勝手だな! 男「俺のせいじゃねえよ」 それにしても、あんなにはだけてもブラジャーが見えないってのは、どういうことだ。 別に見たくないけどな。 女「ああ、バレてしまったなぁ」 男「ん、何がだよ」 女「ボクがノーブラだって、バレちゃったね」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:42:10.03 ID:F6/vGNm50 - 男「……は?」
女「だから、ノー……」 男「いや、言わんでいい」 いきなり何をカミングアウトしてんだ。 女「ふふ、ちょっとナンデモ発言だったかな」 トンデモ、だろ。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:45:22.83 ID:F6/vGNm50 - 俺は、どうやら半無意識に頷いていたようだ。
女「ふふ……いやらしいなぁ、君は」 こっちの台詞だ。 ……ムッツリなのは認めてやろう。 女「そうだね、そんなに気にしなくてもいいと思うよ」 男「答えになってないぞ」 女「ボクだって、言うのは恥ずかしいよ」 顔を逸らして、黙った。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:49:53.79 ID:F6/vGNm50 - 俺も、その後は何も言及しなかった。
今更だが、下校中である。 女「……遊園地、楽しみかい?」 不意に、ヤツが口を開けた。 男「……まあな」 女「そっか」 振り向いて、微笑んできた。 女「ふふ、また時間を忘れてしまった。もう家だね」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:52:38.72 ID:F6/vGNm50 - 男「そうだな」
女「それじゃあ」 男「おう」 ヤツは手を振って、俺の家の隣へ駆けて行った。 男「遊園地……か」 本当、久しぶりだ。 ポケットから取り出して、チケット見てみる。 男「ん……?」 よく見てみると、日曜日にはナイトパレードがある、と書いてある。 男「ははーん、なるほどな」 俺は得意気な顔をして、家のドアを開けた。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:55:43.09 ID:F6/vGNm50 - 妹「遅い」
男「は〜疲れた」 妹「あのさあ、いっつも言ってるじゃん。遅くなるならちゃんと言ってって」 男「この匂いは肉じゃがかな」 妹「大体お兄ちゃんはさあ」 男「うおっ、思ったより汗かいてるなぁ」 妹「……」 ジトーッとした視線が俺に突き刺さっている。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 01:58:48.29 ID:F6/vGNm50 - 男「いやぁ〜、あはは」
笑ってごまかしてみる。 妹「笑ってごまかしてもダメだから」 失敗。 妹「せっかく待ってた妹にただいまもないわけ?」 男「おーう、ただいま〜」 妹「……頭撫でないでくれる?」 撫でていた手をはたかれた。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:03:40.58 ID:F6/vGNm50 - 妹「本当に信じらんない! お兄ちゃん自分勝手過ぎ」
男「悪かったって」 妹「私だって色々言いたくないのにさぁ」 じゃあ言わなきゃいいのに。 妹「『言わなきゃいいのに』って思わなかった?」 男「は、はい?」 なぜバレた。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:06:04.53 ID:F6/vGNm50 - 妹「……肉じゃが冷めちゃうから、早く食べてね」
男「母さんは?」 妹「泊まりで仕事だって」 今日もか。 いつものことながら、俺と妹の二人か。 父は単身赴任なので、家にはいない。 ということは、肉じゃがは妹作かー……。 妹「なんでため息ついてんの?」 男「いやあ、なんにも」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:08:35.35 ID:F6/vGNm50 - またもやジロリと見られたが、妹は居間に移動した。
まったく、どうしてあんなにしっかり者になったのか。 別に嫌ではない。むしろ助かってるし。 世間の妹よりも恵まれているとも思っている。 妹「来ないなら片付けちゃうよー」 男「行く行くー」 ちょっとせっかちなのが、玉に瑕だが。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:12:38.99 ID:F6/vGNm50 - 男「いただきます」
肉じゃがは、ちょっとじゃがいもが多めだった。 ちょっとというか、ほぼじゃがいもだ。 女「美味しい?」 男「ん……美味いな」 妹「ホント?」 男「母さんのには勝てないけどな」 妹「同じレシピなのに」 男「あーなるほどな」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:18:40.72 ID:F6/vGNm50 - 妹「何が?」
男「お前には足りないものがある」 妹「な、なに?」 机の真向かいから、身を乗り出す妹。 男「それは、愛だ!」 妹「……」 キラキラしていた目は、一気に濁った瞳に変貌した。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:21:47.34 ID:F6/vGNm50 - 妹「はぁ……」
何故ため息を吐く? 妹「そんなさぁ」 男「甘くみちゃいけないぞ。やはりお前の味はまだまだだ」 妹「なんでお兄ちゃんに、私が愛を注がないといけないのよ!」 男「いや、俺にじゃなく、料理にだぞ?」 妹「えっ……」 妹は決まりが悪そうにして、 妹「そんなの……わかってるよ」 机に突っ伏して「話しかけるな」オーラを出し始めた。 よくわからん妹である。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:25:21.79 ID:F6/vGNm50 - テレビつけて、バラエティー番組を観ながら肉じゃがを箸でつつく。
妹「テレビ観ながらはダメってルールでしょ」 男「母さんいないからいいだろ」 妹「ふんっ」 バラエティー番組の笑い声だけが空しく響いた。 妹の沈黙に耐えかねた俺は、テレビを消して、じゃがいもにかぶりついた。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:27:58.81 ID:F6/vGNm50 - 妹「あのさ」
突っ伏したまま、妹は声を出した。 男「あんだ?」 妹「日曜って、空いてる?」 日曜日。 男「あー、空いてないな」 妹「え?」 俺がそう言うと、妹は勢い良く頭を上げた。 男「空いてない。土曜ならいいんだが」 妹「……じゃあいい」 男「ダメなのか?」 妹「……いい」
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67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:33:15.55 ID:F6/vGNm50 - 低い声で答えて、妹は座り直した。
男「みんな日曜がいいんだな。絶対に土曜日の方が次の日休みでいいのに」 妹「バカだね」 いきなり暴言吐きやがった。 男「ひでぇなぁ。というか、何するつもりだったんだ?」 妹「……言いたくない」 どうせ無理だから、と。 沈んだ声で言った。
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68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:39:04.47 ID:F6/vGNm50 - ふむ。
素っ気ないな。思春期だろうか。 俺も、こういう時があったのだろうか。 男「そうかい。ご馳走様」 妹「おそまつさま」 男「おそ松くん?」 妹「無視するね」 無視すると宣言するスルーの仕方も、珍しい。
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69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:47:18.16 ID:F6/vGNm50 - 俺は台所に皿を持っていった後、そのまま自分の部屋に直行した。
男「……」 そういえば最近、妹の相手をしてなかったな。 というより、今日は何だか様子が変だったな。 急に雰囲気が変わったっつーか、なんつーか。 一言でいうと、暗い。 何があったのだろう。
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70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:51:00.33 ID:F6/vGNm50 - ベッドに横になっていたのだが、どうしても気になって、妹のもとに向かった。
俺の食器を洗っているだろうから、まだ台所かな。 階段を降りる足は、音を立てないように慎重な歩調だった。 一階に行くと、水の流れる音がした。 やはり、妹は台所で食器を洗っていた。 男「なあ」 声をかけるが、返事はない。 男「えーっと……土曜日にしてもらえるか聞いてみる」 妹「いいよ、そんなことしなくて」 こちらを見ずに、妹は言った。 男「でも、久しぶりにお前とどこか行きたいし」 ピタリ、と手が止まった。 妹「それは、女さんもそうだと思うよ」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:51:32.02 ID:F6/vGNm50 - ……え。
なんでこいつ、アイツと予定があるって知ってるんだ。 男「お、おい、なんで……」 妹「だって、お兄ちゃんと遊んでくれる心優しい人なんて、女さんくらいしかいないでしょう?」 なんだと。 妹「ほんと、女さんに感謝だね!」 ササッと食器洗いを終え、こちらを向いて無邪気に笑った。 妹「お風呂入れといたから、入っていいよ」 男「お、おう」
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:53:17.48 ID:F6/vGNm50 - そう言って、妹は二階に上がっていった。
急に、いつも通りに戻った。 俺のことをイジるのが妹のクセだ。 中にはグサリと来るいじり方もあるが、気にしない。 そして、俺は言われるがまま、風呂に入ることにした。 オンナってのは、よくわからない。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 02:54:13.46 ID:F6/vGNm50 - ごめんなさい、もう寝ます。
今日の朝起きられたら続きを書きたいと思います。 夜遅くまで見てくださってありがとうございました。おやすみなさい。
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- 女「ここから見える景色がとても素敵だから」
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2013/07/13(土) 15:28:36.24 ID:F6/vGNm50 - 女「やあ」
男「おう」 女「久しぶりに、隣だね」 男「え? 高校入って初めての席替えだろ?」 女「そうだけれど、中学で隣になっただろう?」 男「そうだったか」 女「ひどいなあ。ボクがこっちに越してきた時、隣だったじゃないか」 男「……覚えてねえ」 女「まあ仕方ないよ。席替えは、小学生の時から何度もやっていることだからね」 男「悪いな」 女「悪くないよ。君がたくさんの女の子と隣になって、惑わしてきたのだから、僕を忘れるのも無理はない」 男「おい、聞き捨てならんぞ」
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