- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:00:26.46 ID:O5cxbXo50 -
(-A-)「誰もオレのことを見ないし、何も考えなくていい。 一人で煙草を吸うのに、これほど適したところはない」 ζ(゚ー゚*ζ「もう吸わないの?」 (-A`)「ガキがいるからな」 ζ(゚、゚*ζ「それって私?」 ('A`)「他にいるか? ここに。この周囲に」 ζ(゚、゚*ζ「煙草くらい平気だもん」 ('A`)「大人になって後悔するのさ」 ζ(゚、゚*ζ「じゃあ、どうしておじさんは吸ってるの?」 ('A`)「もう後戻りできないからだよ」 ζ(゚、゚*ζ「やめられないの?」 ('A`)「……あぁ」 ζ(゚、゚*ζ「そっか」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:02:30.87 ID:O5cxbXo50 -
('A`)「たまには早く帰ったらどうだ?」 ζ(゚−゚*ζ「……どうして?」 ('A`)「親が心配するんじゃないのか」 ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫。お父さんもお母さんもいないの。 私、お姉ちゃんと一緒なの」 ('A`)「二人なのか?」 ζ(゚ー゚*ζ「……うん。一応」 ('A`)「そうか。寂しくないか?」 ζ(^ー^*ζ「おじさんと会ってるから」 ('A`)「生意気」 ζ(>Д<*ζ「わー」 軽くデコピンをされてしまいました。 ζ(゚、-*ζ「もー」 少し痛かったです。 男の人の手ですから。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:04:23.29 ID:O5cxbXo50 -
でも、それでも良かったのです。 リーンゴーン リーンゴーン。 ('∀`)ζ(゚ー゚*ζ 恋する乙女なんてものは、そんなものなのです。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:06:19.01 ID:O5cxbXo50 -
次の日、少女は驚いてしまいました。 時計塔の前に座っている男の頬が、わずかではありますが、腫れていたのです。 ζ(゚Д゚;ζ「どうしたの?」 ('A( )「いや、ちょっとヘマしちまっただけだよ」 ζ(゚、゚;ζ「でも……。 すごく痛そう」 ('A( )「平気だって」 ζ(゚、゚;ζ「そうなの?」 ('A( )「おう。 ――っ。さわんなよ」 ζ(゚、゚;ζ「やっぱり痛いんだ」 ('A( )「……平気だ。 お前の方が痛そうな顔してるぞ」 ζ(゚ _ ゚;ζ「うっ」 ('A( )「ほら、笑え」 ζ(゚ー゚;ζ「ひひゃいよ」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:08:15.03 ID:O5cxbXo50 -
少女の頬を引っ張り、無理矢理に口角を上げさせます。 彼女は文句を言ったのですが、男には届きませんでした。 ('A( )「こんなのはな、日常茶飯事なんだよ」 ζ(゚、゚;ζ「私、そんな怪我したことないよ」 ('A( )「当たり前だ」 ζ(゚ー゚;ζ「ひひゃい!」 ('A( )「そうそう。その顔だよ」 ζ(゚ー゚;ζ「ひゃなふぃてー」 ('A( )「何を言ってるかわからんなぁ」 ζ(゚ー゚#ζ「もー!」 男の手から抜け出た少女は、拳を男の肩に降ろします。 何度も何度も降ろしました。 ('A( )「いてて。参った、参った」 ζ(゚ー゚#ζ「レディーにあんなことしたらダメなんだから! ('A( )「はいはい」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:10:16.14 ID:O5cxbXo50 -
ζ(゚ー゚*ζ「……ねぇ」 ('A( )「ん?」 少女は、拳を降ろすのを止めました。 代わりに、男の服を握って彼の目を見ました。 ζ(゚、゚*ζ「私のこと、好き?」 心臓がどくどくと音をたてます。 その言葉を言うために、どれだけの勇気が必要だったのでしょう。 ('A( ) 黙って見つめてくる男の視線に、どれほど顔を赤くしたでしょう。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:12:13.99 ID:O5cxbXo50 -
('A( )「……オレはロリコンじゃねーよ」 ζ(゚、゚#ζ「そうじゃないでしょ!」 少女は再び男の肩を叩きました。 ('A( )「煙草の味が理解できるようになったら考えてやるよ」 ζ(゚、゚#ζ「じゃあ、今ちょうだい!」 ('A( )「ダメ」 ζ(゚、゚#ζ「なんで」 ('A( )「オレが許しません」 ζ(゚、゚#ζ「考える気ないでしょ」 ('A( )「バレたか」 ζ(゚、゚#ζ「いいもーん。 私だって、おじさん何て嫌いだもーん」 ('A( )「そうか」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:14:20.36 ID:O5cxbXo50 -
ζ(゚、゚*ζ「……嘘。 嫌いじゃないよ」 ('∀( )「知ってる」 ζ(゚Д゚#ζ 男は笑い、少女は怒ります。 そうしていると、男が怪我をしていることなど忘れてしまいました。 ただ、ふとした時に彼の顔が腫れていることを認識する程度です。 ζ(゚ー゚*ζ「そういえば、おじさん、お髭が生えてるわ」 ('A( )「剃るのが面倒だった」 ζ(゚ー゚*ζ「嫌いじゃないけど、剃ってる方が好きよ」 ('A( )「お前に好かれてもなー」 ζ(゚、゚*ζ「私だってレディーよ?」 ('A( )「はいはい。レディー。レディー」 ζ(゚Д゚#ζ「バカー」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:16:27.44 ID:O5cxbXo50 -
しばらくじゃれあった後、少女はバスケットのことを思い出しました。 慌てて中からクッキーを出します。 ζ(゚ー゚*ζ「忘れるところだった」 ('A( )「あぁ、ソレか」 ζ(゚ー゚*ζ「はい。今日のぶん!」 ('A( )「もう飽きた」 ζ(゚、゚;ζ「えっ」 どうしましょう。 一応、このクッキーを対価に、一緒にいてもらっているのです。 少女は困りました。 他には何も持っていません。 ζ(゚、゚;ζ「えっと……。他は、この靴くらいしか」 ('A( )「バカ。足がなくなるぞ」 ζ(゚、゚;ζ「服は無理だし……。シュシュ?」 ('A( )「それもいらん」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:18:22.79 ID:O5cxbXo50 -
('A( )「何もいらん。 だから、傍にいろ」 ζ(゚、゚*ζ「……うん」 ('A( )「どうした」 少し意外でした。 男は、きっと少女は満面の笑みを見せるだろうと思っていました。 それが見たかったのですけれど、少女は戸惑っているようです。 ζ(゚ー゚*ζ「……何でもない。 嬉しいの」 ('A( )「そうか」 少女が言うのならば、きっとそうなのでしょう。 男は納得することにしました。 リーンゴーン リーンゴーン ('A( )ζ(゚、゚*ζ
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:20:33.89 ID:O5cxbXo50 -
鐘が鳴ります。 いつもよりも早く感じられました。 ('A( )「帰る時間だな」 ζ(-、-*ζ「うん」 ('A( )「何だ。そんな顔して」 ζ(-、-*ζ「私とおじさんが出会って、六回目の鐘だったの」 ('A( )「もうそんなになるか」 ζ(-、-*ζ「明日は七回目」 ('A( )「それがどうかしたのか?」 ζ(゚ー゚*ζ「……また、明日」 ('A( )「あ、おい」 少女はいつものように走って行きます。 はてさて。男は一つ疑問に思いました。 ('A( )「あいつの家ってどこだ」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:22:37.56 ID:O5cxbXo50 -
次の日、男の顔からは腫れがひいていました。 無精髭はそのままでしたけれど。 ζ(゚、゚*ζ「おじさん」 ('A`)「よぉ。昨日はどうしたんだよ」 ζ(゚、゚*ζ「あのね……。 私、帰らないとダメなの」 ('A`)「ん? 用事でもあるのか? ならとっとと帰れ」 ζ(゚、゚*ζ「違うの。もう、戻ってこれないの。 お姉ちゃんとの約束なの」 ('A`)「それって……」 ζ(;、;*ζ「ごめんね。おじさん」 ('A`)「泣くな」 ζ(;、;*ζ「私、楽しかった。嬉しかった」 ('A`)「ほら、可愛い顔が台無しだ」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:24:24.83 ID:O5cxbXo50 -
ζ(う、;*ζ「うぅ……」 ('A`)「あんまし擦るな」 ζ(;、;*ζ「……帰りたくないよぉ」 ('A`)「なら、ここにいろよ」 ζ(;、;*ζ「でも、帰らないといけないの」 ('A`)「そんなに苦しいのにか」 ζ(;、;*ζ「うん」 ('A`)「逃げられないのか」 ζ(:、;*ζ「誰かがきてくれるまで、ダメなの」 ('A`)「オレと一緒にいろよ」 ζ(;、;*ζ「いたかった」 ('A`)「……抱き締めてもいいか?」 ζ(;、;*ζ「――うん」
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65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:26:25.50 ID:O5cxbXo50 -
('A`)「お前と会えて、オレも嬉しかった。 暴力団の下っ端なんてやってて、荒みきってたオレを救ってくれた」 ( ζ「すごく幸せだったよ」 ('A`)「それはこっちの台詞だ」 ( ζ「頭、撫でてくれる?」 ('A`)「おう」 ( *ζ「えへへ」 ('A`)「お、笑ったな」 ( *ζ「だって、嬉しいもん」 ('A`)「そうか。なら、もっと撫でてやればよかったな」 ( ζ「十分だよ」 ('A`)「オレが、十分じゃないんだよ」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:28:30.22 ID:O5cxbXo50 - ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、お願いがあるの」
('A`)「何だ? ずっと一緒にいろってか?」 ζ(゚ー゚*ζ「違うの。これ、吸いかた、教えて」 ('A`)「……煙草なんて、どこで手に入れたんだ」 -(゚ー゚*ζ「んっ」 ('A`)「……お前、吸い方知ってるだろ」 -(゚ー゚*ζ「んー」 ('A`)「ちょっと待て。 今、丁度切らしててな……。 たしか、シケモクがここに……」 ζ(゚ー゚*ζ「シケモク?」 ('A`)「吸った後のヤツだ。 お、あった。ほら、貸せ」 -(゚ー゚*ζ「ん」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:30:40.62 ID:O5cxbXo50 -
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/157.jpg ~_(゚、゚*ζ「変な味」 ('A`)-~「オレは好きだぜ。この味」 ~_(゚、゚*ζ「ふーん」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:32:25.26 ID:O5cxbXo50 -
~-(゚ー゚*ζ「おじさん」 ('A`)「ん?」 ~-(゚ー゚*ζ「煙草の味、少しわかるようになったよ」 ('A`)「そうか」 ~-(゚ー゚*ζ「ねぇ、私のこと、好き?」 ('A`)「……そうだな。 ずっとこの時間が続けばと思うくらいにはな」 ~-(^ー^*ζ「そっか」 ('A`)「どこに行くんだ」 ζ(^ー^*ζ「帰らないと」 ('A`)「待てよ」 ζ(^ー^*ζ「……ごめんなさい」 ('A`)「オレが迎えに行く。 んで、お前を連れ出してやる」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:34:18.92 ID:O5cxbXo50 -
ζ(^ー^。ζ「じゃあ、待ってる」 ('A`)「待ってろ」 ζ(^ー^。ζ「うん。私、ずっと待ってる。 私、おじさんをずっと待ってる。ずっと、ずぅっと」 ('A`)「おじさんじゃねーって!」 ζ(^ー^。ζ「ごめんね。ごめんね。待ってるから」 ('A`)「オレは、ドクオだ!」 ζ(^ー^。ζ「私、デレ。 ドクオさんのこと、ずっと待ってる」 ('A`)「待ってろ! 絶対、絶対に――」 リーンゴーン。 リーンゴーン。 七回目の鐘が鳴り響きました。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
74 :>>71創作板でラノベ祭り中[]:2012/11/24(土) 00:36:29.99 ID:O5cxbXo50 -
ζ(-、- ζ「……ただいま」 ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/72.jpg ξ--)ξ「おかえりなさい」 デレが言葉を発すると、別の声が返ってきた。 彼女は床に置かれた紙に何かを書いている。 ζ(゚ー゚ ζ「お姉ちゃんの言ってたことは、正しかった」 ξ--)ξ「そうでしょうね」 ζ(;ー; ζ「こんなに、悲しいなんて……」 ξ--)ξ「そうでしょうね」 ζ(;Д; ζ「私、わたしぃ……」 ξ゚听)ξ「もう。可愛い顔が台無しよ」 女の子は立ち上がり、そこら中に散らばっている紙を踏んでデレに近づいた。 彼女達は並ぶと、よく似た顔立ちをしている。 姉妹とはいえ、そう歳の差はないようだ。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:38:30.35 ID:O5cxbXo50 -
ξ゚听)ξ「わかるわ。私も、同じ経験をしたもの」 そう言って彼女はデレを抱き締めた。 彼女はツン。 デレと二人っきりで、狭い部屋に閉じ込められている女の子。 ζ(;Д; ζ「うぅ……」 ξ゚听)ξ「だから言ったでしょ。 泣くことは覚悟しておきなさいって」 ζ(;Д; ζ「ごめんなさい。ごめんなさい」 デレはそのまま床に膝をついた。 もう立っている気力すらないようだ。 ξ゚听)ξ「デレ、謝らないで」 ζ(;Д; ζ「ごめんね。お姉ちゃんを一人にして。 それなのに、私はこんなに泣いてばかりで」 ξ゚听)ξ「いいのよ。以前、あなただって待っててくれたじゃない」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:40:21.99 ID:O5cxbXo50 -
ζ(;Д; ζ「お姉ちゃん……」 ξ゚听)ξ「ほら、おめめが溶けちゃうわ。 幸せだったんでしょ?」 ζ(;Д; ζ「……うん」 ξ゚听)ξ「それならいいの。 私も、書いたかいがあったわ」 ツンは壁中に張られている紙を見た。 そこには文字や絵がぎっしりと書かれている。 それは物語であったり、人物設定や世界観であったりしていた。 いくつも張られ、いくつも散らばっている。 【('A`)】 その中に、ドクオが描かれていた。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:42:30.88 ID:O5cxbXo50 -
彼女達はいつからかその部屋にいる。 綺麗な服を着せられて、毎日食事を出されて。 でも、人を見たことはない。 何故だかわからないけれど、毎日毎日紙に物語を綴るだけ。 退屈すぎて、時間の流れもわからない。 ξ--)ξ「小さな希望でもいいの。 信じられるなら、それで……」 強くデレを抱き締める。 長すぎる時間は、絶望を生み出す。 彼女達は、自分が生きているのかどうかもわからない。 ζ(;Д; ζ「信じるよ……。信じたいよ……!」 二人に与えられていたのは空想だけ。 作り上げた物語にのめりこむことだけ。 彼女達が空想の世界に入り込めるようになったのは、きっと必然だった。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:44:21.20 ID:O5cxbXo50 -
ξ゚听)ξ「あなたも、もう物語の中には入れないわね」 ツンはデレの姿に、いつかの自分を思い出す。 あまりにも退屈すぎて、ずっと空想の世界にいたことがあった。 それはデレが書いた世界だった。 暖かくて、幸せな世界だった。 ξ--)ξ「私も、もうずっとブーンを待ってるもの」 出会った青年を愛した。 必ず迎えにくると言ってくれた。 それならば、待つしかない。 他のところへふらふらしていてはいけない。 ずっと、同じところで。 ここで待つしかない。 ξ--)ξ「聞かせて。ドクオのこと。 終盤は、あなた達に任せてたから」 ζ(;ー;*ζ「うん。 あのね、ドクオさんは――」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:46:32.53 ID:O5cxbXo50 -
彼女達は知っていた。 彼らの気持ちは作り上げられたものだということを。 それでも嬉しかった。 それだけで待つことが幸せなことに思えた。 彼らがやって来ることなど、できないと知っていても。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:49:03.83 ID:O5cxbXo50 - それからも、ずっと、ずっと彼女達は同じように生きた。
ただ生きて、ただ綴る。 時折、床に散らばっている紙を壁に張る。 ζ(゚ー゚*ζ「何で、私達はこんなところにいるんだろ?」 ξ゚听)ξ「その質問は、もう百回くらい聞いたわね」 ζ(゚、゚*ζ「だって……」 ξ゚听)ξ「私だって知りたいわ。そんなこと」 ζ(゚ー゚*ζ「……迎え、遅いなぁ」 ξ゚听)ξ「……そんなものよ」 ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃんも、ずっと待ってるもんね」 ξ゚听)ξ「ついこの間、会ったばっかりのような気もするんだけどね」 ζ(゚ー゚*ζ「もうわからないねぇ」 ξ゚听)ξ「でも、待つわ」 ζ(゚ー゚*ζ「私だって」 そんないつも通りの会話。それが、 ――いつも通りが、崩れる時がやってきた。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:50:26.80 ID:O5cxbXo50 -
――音がする。 ξ;゚听)ξ ζ(゚、゚;ζ ――壁を削るような音がする。 そんな音を現実の世界で聞くのは始めてだった。 今まで、ずっと静かな世界で暮らしていた。 ――人の声が聞こえた。 現実世界で聞いた声といえば、姉妹のものだけだった。 けれど、聞こえてくる声は、彼女達の声とは似ても似つかない。 ――光が見えた。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:52:19.81 ID:O5cxbXo50 -
(;^ω^)「成人女性二名発見いたしました!」 光の中から現れたのは二人の男。 (;'A`)「お嬢さん達、大丈夫か?!」 それはまるで、空想の世界からそのまま飛び出してきたような。 (;^ω^)「もう大丈夫だお。 変態野郎はとっ捕まったお!」 (;'A`)「それにしても、いつから閉じ込められてたんだ……?」
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:54:20.40 ID:O5cxbXo50 -
ξ;凵G)ξ「ブーン!」 駆けだしたツンの背をデレは見た。 その背中は、幼い子供のものから大人のものへと変わる。 背丈も髪も伸び、寸胴だった体のラインは局線を描く。 長い手足をいっぱいに使って、彼女はブーンに抱きついた。 (;^ω^)「おっ? どうして、ボクの名前……」 ξ;凵G)ξ「待ってた! 待ってたの!」 涙を零し、ブーンの背中に手を回す。 ブーンは戸惑ってはいたが、嫌な気はしていないようで、ツンの肩に触れているだけだ。 (;'A`)「おいおい。 どーいうことだよブーン」 (;^ω^)「ボクに聞かれましても……」 ドクオとブーンは言葉を交わす。 ここへ来たのは、拉致監禁されていた少女、女性を救出するためだ。 決して、生き別れの婚約者を救出しに来たわけではない。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:56:25.07 ID:O5cxbXo50 -
ζ(゚、゚*ζ「ドクオ、さん……」 (;'A`)「へ?」 ζ(;ー;*ζ「迎えに、来てくれたんだ……!」 状況を理解することができなかったデレも、ようやく思考回路が動き出す。 知らぬうちに延びていた手足を使い、ドクオに抱きつく。 ( *ζ「待ってたの。ずっと、ずぅっと」 (;'A`)「あの……」 まさか、隣にいる男と同じ状況になるとは思わなかった。 ドクオは戸惑う。 何せ、今までろくに女性とお付き合いをしたこともない。 監禁されていたとはいえ、とびっきりの美人だ。 抱きつかれて嬉しくないはずがない。 わけのわからないことを言っているようだが、監禁されていたのだから、精神に異常があってもおかしくはない。
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:58:12.30 ID:O5cxbXo50 - ドクオはちらりと横を見た。
すると、戸惑っていたはずのブーンがツンを抱き締めていた。 そうそうお目にかかれないような美人からの誘惑に負けたのだろうか。 (;'A`)「あのね、お嬢さん」 (゚ー゚*ζ「私、デレよ。 おじさん、もう忘れちゃったの?」 (;'A`)「おじさんって……。オレとあんたは同じくらいの歳に見えるけど」 (゚、゚*ζ「そうなの?」 デレは抱きついたまま首を傾げる。 どこか幼さを残した表情は美しくも可愛らしい。 (^ワ^*ζ「じゃあ、何も問題ないね」 (;'A`)「はぁ?」 (^ワ^*ζ「今度は、煙草越しじゃないんだから」 不思議なことに、ドクオはここが、雪の降る時計塔の前なのではないかと思った。 〜おわり〜
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- ('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 00:59:56.57 ID:O5cxbXo50 - 以上!
こんな時間に支援d ちなみにラノベ祭り作品です ラノベ祭りって何ぞって奴は今進行中のスレに行ってこい http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353593410/
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2012/11/24(土) 11:29:53.85 ID:O5cxbXo50 - ( ^ω^) 2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
・開催場所 VIP/創作板/創作板内専用スレ ・開催期間 11月18日(金)0時〜25日(日)23時59分 ・まとめ(イラスト展示中) REST〜ブーン系小説まとめ〜 前回 http://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/list/3.htm(REST〜ブーン系小説まとめ〜) あと半分弱と言ったな? あれは嘘だ。数えたらもっと短かった。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2012/11/24(土) 11:32:13.42 ID:O5cxbXo50 -
翌日、またんきはオムライス城の城下町にいた。 (*・∀ ・)「すごいぞー!」 流石兄弟達が盗んできた良質の服に身を包み、本物の笑顔を浮かべている。 笑顔以外の表情はまだ見せないが、最も見ていて気持ちの良い表情があるのだから、 急いで別の感情を見せる必要はない。 ('A`)「コロブゾー」 (*・∀ ・)「だって! すごいぞー!」 (´<_` )「それだけ褒められれば、オムライス城も嬉しいだろうよ」 興奮しているまたんきの頬は赤い。 顔いっぱいで楽しさと興奮を表しているようだ。 ( ´_ゝ`)「これを見れば、オムライスが美味いわけもわかるだろ?」 (*・∀ ・)「おう! これは、うまくないとな!」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:35:14.49 ID:O5cxbXo50 -
国王が住まうオムライス城。 左右対称の形をしており、左右は低く、中心は高い山型となっている。 壁はレンガで出来ており、赤茶色をしている。 そんな城を包み込んでいるのが、黄色のベールだ。 魔法の力を込めた黄色の薄いベールは、赤茶色の城を優しく包み込む。 山の頂上辺りから中腹にかけて、ベールには赤い刺繍がされていた。 無論、その刺繍にも魔法がこめられている。 赤茶色の中身に、黄色の外側。そこにある赤い色。 その姿は、まさに「オムライス」そのものだ。 もっとも進んだ技術を用い、 もっとも素晴らしい芸術作品に城を仕立て上げる。 国の象徴として、また主が住まう場所として、これ以上に相応しい場所などあるはずがない。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:38:36.78 ID:O5cxbXo50 -
(´<_` )「あのベールは攻撃を跳ね返すためにあるんだ」 (・∀ ・)「うすいぞ?」 (´<_` )「あぁ。だけど、常に最新の魔法をこめて、反射を可能にしているらしい」 (・∀ ・)「まほうってすげー」 またんきはオムライス城を見る。 大きな城の中には、多くの者が住んでいるのだろう。 それらを魔法が守っている。 ( ^ω^)「そうだお。まほうはすごいんだお!」 小さな力ではあるが、魔法を使うことのできるブーンが言う。 (・∀ ・)「何で、おれは使えないんだー?」 (´<_` )「盗みの技術を教えてもらいながら、魔法の練習もしような」 (・∀ ・)「うー」 ( ´_ゝ`)「ほれ、この顔だ」 (・へ ・)「むー」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:41:17.59 ID:O5cxbXo50 -
('A`)「オムライスジョウモ、ミタシ、ツギハ、ドウスル?」 ( ´_ゝ`)「クレープ喰おうぜ!」 そう言うと、誰の返事も聞かずに兄者はクレープ屋へ駆けだした。 ( *^ω^)「くれーぷ……」 返事はなかったが、誰も拒否しない。 甘い物が好きな一行だった。 (´<_` )「追いかけないと兄者に全部決められるぞ」 ( ^ω^)そ「それはこまるお!」 慌てて兄者を追いかける。 すでに注文は終わっているだろうが、彼に文句をつけるくらいはできるだろう。 何を言ったところで、それならもう一つ食え。と、言われてお終いなのだけれど。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:44:14.53 ID:O5cxbXo50 - (・∀ ・)「おいしいなー」
( *^ω^)「あまーいお」 クレープを食べながら城下町を探索する。 国の中でも一等栄えているこの場所には、様々な施設がある。 食事やファッション、小物に始まり、娯楽施設まで。 実に多様で、実に面白い。 (*・∀ ・)「つぎはどこにいくんだ?」 またんきは未だ興奮冷めやらぬ様子で、視線をあちらこちらに飛ばしている。 その表情は、実に子供らしい笑顔だ。 ( ´_ゝ`)「美味しいものも食べたし、パーッと遊ぶか」 (´<_` )「ダーツなんてどうだ?」 ('A`)「イロイロスレバイイ」 ( ´_ゝ`)「そうだな。しばらくは滞在する予定だし」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:47:41.42 ID:O5cxbXo50 -
(´<_` )「滞在中はずっとそうやっていてもいいかもな」 (*・∀ ・)「あそぶのかー!」 ( ^ω^)「またんきも、うれしそうだし、いっぱいあそぶお!」 ブーンは嬉しそうに兄者の周りを飛ぶ。 誰も遊ぶことに関しては反対しない。 この旅も大まかに見れば遊びの範囲内だ。 今さら遊ぶ日数や密度が濃くなったところで、気にする者などいるはずもない。 むしろ、自由気侭に生きる彼らとしても、そうやって過ごす方がずっと自然だ。 ( ´_ゝ`)「よし! 遊ぶぞ!」 (*・∀ ・)「おー!」 またんきが軽く跳ねた。 服の裾がふわりと舞う。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:50:19.05 ID:O5cxbXo50 -
遊ぶと決めたらとことんだ。 兄者は目についた建物に片っ端から入っていく。 (・∀ ・)「これは何だ?」 (´<_` )「ダーツだ。こうして――」 ( ^ω^)「ないす!」 ('A`)「ヒャクテン」 ( ´_ゝ`)「ならオレはこうだ!」 (・∀ ・)「ふたつどうじか!」 ( ´_ゝ`)「ほれ、またんきもやってみろ」 ('A`)「トウゾクニハ、トウテキノウデモ、ヒツヨウダゾ」 (・∀ ・)「なるほど……えい!」 ( ^ω^)「はずれー」 (・∀ ・)「もう!」 ( ´_ゝ`)「はいはい。教えてやるから」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:53:12.27 ID:O5cxbXo50 -
(´<_`* )「ふっふっふ。 ダーツでは負けたが、今回は勝たせてもらった」 (;´_ゝ`)「オレが負けるだと……」 ( ^ω^)「おとじゃは、びりやーどがうまいお」 ('A`)「アタマヲツカウカラナ」 (・∀ ・)「おとじゃー。こうかー?」 (´<_` )「もう少し腰を落としてみろ」 (・∀ ・)「わかったー」 (;´_ゝ`)「弟者! もう一回だ!」 (´<_`* )「何度でも相手をしてやろうじゃないか!」 ( ^ω^)「むだだとおもうおー」 (;´_ゝ`)「オレだって本気を出せばなぁ!」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 11:56:15.89 ID:O5cxbXo50 - ( ´_ゝ`)「こんな施設もあるんだな……」
( ^ω^)「『ろっくくらいみんぐ』ってかいてるお」 (・∀ ・)「ようは、これをのぼるんだろー?」 ('A`)「オレトブーンニハ、カンケイナイナ」 (´<_` )「登ってみるか」 (;・∀ ・)「あぶないぞー」 ( ´_ゝ`)「ドラゴンに乗ってる時の方が高いぞ」 (・∀ ・)「あ、そうか」 ('A`)「ソレニ、コレクライノボレナイト、トウゾクナンテ、ムリダゾ」 (・∀ ・)「やる! おれ、のぼる!」
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18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:01:16.39 ID:O5cxbXo50 -
('A`)「タイリョクソクテイ、スルゾー」 (´<_` )「兄者に任せとけー」 ( ´_ゝ`)「おー」 (;^ω^)「それじゃ、いみないだろうお」 (・∀ ・)「やるぞー」 (´<_` )「無理はするなよ」 (・∀ ・)「わかってる!」 ( ´_ゝ`)「いい機会だし、またんきの動きでも観察するか」 (・∀ ・)「はずかしいぞ!」 (´<_` )「気にするな」 ('A`)「ムチャナ」 ( ^ω^)「きになるだろうお。じょうしきてきにかんがえて」 (・∀ ・)「いくぞー!」 ( ´_ゝ`)「予想はしてたが、これ程酷い反復横飛びは始めてだ」 (´<_` )「足元が絡まってるぞ」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:04:21.46 ID:O5cxbXo50 -
数日をかけて、五人は的芽を堪能した。 遊びを知らなかったまたんきは、他の四人よりも楽しんだ。 毎日が笑いの日々だった。 誰かが失敗しては笑い、 誰かが上手くいっては共に手を叩きあった。 ( ´_ゝ`)「いやー。遊んだな」 (´<_` )「もう十分だな」 (・∀ ・)「たのしかったぞー」 ( ^ω^)「そうさくもきっとたのしいお」 (・∀ ・)「そうなのかー」 一通りの場所で遊んだ五人は、何の変哲もない公園にいた。 芝生があって、滑り台とブランコ、鉄棒にベンチ。それらがあるだけの場所だ。 時間帯がズレているのか、子供の姿はない。 地元の子供と遊ぶのもいい経験になると思っていたのだが、あてが外れた。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:07:32.13 ID:O5cxbXo50 -
(・∀ ・)「そうさくは、どんなばしょなんだ?」 ブランコをこぎながら疑問を投げかける。 (´<_` )「発展途上の地域さ」 ( ´_ゝ`)「雷雨が激しい場所でもあるな。 たぶん、国の中でもかなり活気がある場所だな」 公園のベンチに座っている流石兄弟が疑問に答える。 今までとは違い、海を越える必要がないので、地方についての情報を出し惜しみしない。 (・∀ ・)「らいうかー」 ('A`)「カミナリト、アメダゾ」 (;・∀ ・)「し、しってるぞ!」 ( ^ω^)「あやしいお……」 知らなくてもおかしくはないのだが、またんきが隠そうとするのでからかいたくなる。 ブーンは疑わしげな目を向けてやる。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:10:16.79 ID:O5cxbXo50 -
(;・∀ ・)「うそじゃないぞ!」 ブランコから飛び降りて強く主張する。 ( ^ω^)「わかってる。わかってるお」 どうどう。と、またんきを落ち着かせようとするが、その余裕面が彼をまた苛立たせる。 (#・∀ ・)「もー!」 (;^ω^)「おっ?!」 ブーンを捕まえようとまたんきが手を伸ばす。 間一髪のところで避けることに成功したブーンに、また手が伸びる。 (#・∀ ・)「まてー!」 (;^ω^)「まてないおー」 ('A`)「カラカウカラ……」 二人の様子をドクオが眺める。 ベンチに座ったままの流石兄弟も、あれは兄弟喧嘩のようなものだろうと傍観を決め込む。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:13:29.92 ID:O5cxbXo50 -
(#・∀ ・)「まて――うぶっ」 公園内を走っていたまたんきが、誰かとぶつかる。 柔らかな腰に顔を埋める形になってしまったまたんきは、慌てて顔を上げた。 (・∀ ・)「ごめんなさい!」 (*:::ー ) ヒュゥ ヒュゥ (・∀ ・)「……?」 そこにいたのは、耳族の女だった。 ボロ布をまとった姿は、的芽では見ることのなかったものだ。 布で隠されていない場所に見える桃色の毛は、旅を続けている流石兄弟以上の有様だった。 (・∀ ・)「どうかしたのかー?」 ボロボロの服も、酷い様子の毛並みもまたんきは気にしない。 ニュー速でも灯南でも似たような者は山のようにいた。 話しかけることや触れることに抵抗はない。 (*:::ー ) ヒュゥ ヒュゥ だが、返事はない。 喉から掠れるような風の音が聞こえるだけだ。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:16:28.87 ID:O5cxbXo50 -
( ´_ゝ`)「またんき。こっちへきなさい」 (・∀ ・)「どうしたんだー?」 兄者に招かれ、またんきは耳族の女を気にしながらもベンチへ向かう。 (´<_` )「彼女は、もう駄目だ」 (・∀ ・)「だめ?」 またんきは弟者が何故、冷たい目をしているのかがわからなかった。 駄目。と、いう言葉の意味もわからない。 彼は気づいていなかった。 耳族の女は、全身に細かな傷を持っており、その部分は毛が生えていない。 また、目は片方が潰れていた。おそらくは、喉も潰されているのだろう。 声を発しないのがその証拠だ。 彼女がそのような目にあっているわけはすぐにわかる。 首にかけられている首輪は、彼女がもはや耳族ですらない証だ。 爪'ー`)「見つけたよ。愛しの奴隷ちゃん」
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30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:19:28.28 ID:O5cxbXo50 -
(*:::ー )そ ヒュゥッ 女が後ずさる。 足は震え、歯はかみ合わなくなり鳴っている。 爪'ー`)「どうして逃げるんだ?」 ニヤける面はどこか恐ろしい。 兄者はまたんきの手を引き、近くに引き寄せる。 (´<_` )「またんき、彼女は奴隷だ」 (・∀ ・)「どれい、なのか」 自分がいた立場に、耳族の女がいる。 またんきはあれほど無残な姿にされたことはないけれど。 爪'ー`)「オレは悲しいよ。 せっかく、お前を買ったっていうのにさぁ」 男は煙草をくわえた。 懐からライターを取り出し、火をつける。 爪'ー`)y-「――もう、さよならなんてさ」
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:22:55.11 ID:O5cxbXo50 -
ライターが傾く。 すると、炎が一直線に耳族の女へと走る。 (*:::ー ) ヒュ――ッ! 女は背を向けてどうにか逃げようとする。 このままでは死んでしまう。 (;・∀ ・)「あっ……」 またんきが声を零す。 火は真っ直ぐ女へ向かった。 女は逃げられなかった。 (:: ー:::)「――ぁ、ああ――あぁ――!」 火は女に追いつくと、彼女を包み込むような軌道を描き、炎を着火させた。 女の毛は燃え、一瞬で火達磨になる。 掠れた悲鳴が公園に響く。 ( ∀ ) またんきはそれを見た。 弟者が視界を手で覆ってくれたが、確かに見た。 そして、いくら視界を隠そうとも、音も臭いも隠せはしない。
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- (・∀ ・)と兄弟のようです
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2012/11/24(土) 12:25:17.87 ID:O5cxbXo50 -
長く感じた時間が終わる。。 黒コゲになった女が公園で崩れ落ちる。 もう息はしていない。 (; ∀ )「うっ……」 表情は変わらずとも、吐き気はする。 またんきはその場に膝をついた。彼の傍でブーンも地面に落ちる。 爪'ー`)「あー。ごめんねぇ。嫌なもん見せちゃって」 男がヘラりと笑う。 罪悪感など欠片もないらしい。 ( ´_ゝ`)「構わんが、こういうことはお前の敷地内でしてくれないか。フォックスさんよ」 爪'ー`)「オレのこと知ってるんだー」 (´<_` )「有名だからな」 間延びした声に応える。 流石兄弟は表情を少しも変えていない。
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