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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」

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まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:01:28.17 ID:Pv+IlQptP
和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

さやか「そっちが後回しかよ!」

和子「じゃ、暁美さん、いらっしゃい」

さやか「うわ、すげー美人!」

まどか「嘘……まさか(夢に出てきた女の子……?)」

和子「はい、それじゃあ自己紹介いってみよう!」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」ジロッ

まどか「!?(睨まれた?)」

――――――――


まどか『キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けてあげてくれないかな?』


――――――――

ほむら(今度こそ……今度こそあなたを救ってみせる……!)ジワッ

まどか「えっ?」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:04:04.73 ID:Pv+IlQptP
―クラスメイトに囲まれるほむらを眺める3人―

仁美「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」

さやか「ねえ、まどか。あの子知り合い? 何かさっき、思いっきりガン飛ばされてなかった?」

まどか「いや、えっと……」

まどか(睨まれた、って言うより……あの子、泣いてたみたいに見えたけど……)



ほむら「鹿目まどかさん」

まどか「へっ?」

ほむら「貴女がこのクラスの保健係よね?」

まどか「え? えっと……あの……」

ほむら「連れてって貰える? 保健室」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:07:02.34 ID:Pv+IlQptP
―廊下―

まどか(どうしよう……なんか怖い子だなぁ……)

まどか「あ……あのう……その……私が保健係って……どうして」

ほむら「早乙女先生から聞いたの」

まどか「あ、そうなんだ」

ほむら「」スタスタ

まどか「あ……暁美さん?」

――――――――


まどか『だから、私もほむらちゃんって呼んでいいかな?』ニコ


――――――――

ほむら「くっ」ジワッ

ほむら「……ほむら、でいいわ」

まどか「ほむら……ちゃん」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:10:00.96 ID:Pv+IlQptP
ほむら「何かしら?」

まどか「あぁ、えっと……その……変わった名前だよね」

ほむら「……」

まどか「い、いや……だから……あのね。変な意味じゃなくてね。その……カ、カッコいいなぁ、なんて」

――――――――


まどか『えー? そんなことないよ。何かさ、燃え上がれーっ、て感じでカッコいいと思うなぁ』


――――――――

ほむら「……っ!」ポロポロ

まどか「ええっ? あの……」

ほむら(思い出に囚われては駄目。まどかを助けられなくなる……!)グシグシ

まどか「ほむら、ちゃん……?」

ほむら「鹿目まどか」

まどか「は、はい!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:13:04.40 ID:Pv+IlQptP
ほむら「貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」

まどか「え、えっと? た、大切だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「ほっ、本当だよ。嘘なわけないよ」

ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになる」

まどか「え……?」

ほむら「貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」スタスタ

まどか(ど、どうしよう……変な子に目をつけられちゃったのかな……?)
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:18:23.50 ID:Pv+IlQptP
―デパート、内装工事中のフロア―

だん! だん!

QB「はぁ、はぁ、はぁ」タタタタ

ほむら「……」

だん! だん!

QB「」タタタタ

ほむら「くっ(時間停止を使う? いえ、切り札は最後まで取っておかないと……)」

―CDショップ―

QB『助けて!』

まどか「!」

QB『助けて! まどか!』

まどか「え……? え?」キョロキョロ

まどか「どこ? どこなの?」トコトコ

さやか「ん?」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:20:47.18 ID:Pv+IlQptP
―内装工事中のフロア―

まどか「どこにいるの? あなた……誰?」

どさっ。

まどか「!」

QB「助けて……」

まどか「あなたなの?」

かっ、かっ、かっ。

まどか「ほむらちゃん!?(え。何、この格好……)」

ほむら「そいつから離れて(何でこんなところにまどかが……)」

まどか「だ、だって、この子、怪我してる」

かちゃ。

まどか「ダ、ダメだよ! ひどいことしないで!」

ほむら「貴女には関係ない」

まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん! 助けてって」

ほむら「そう(相変わらず汚い真似するのね)」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:23:04.92 ID:Pv+IlQptP
まどか(何がどうなってるの? わけわかんないよ、こんなの!)

かちゃ。

まどか「だ、だめっ」

ぶしゅううううう。

まどか「!」

ほむら「!?(消化器?)」

さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら(美樹さん!)

ぐにゃあ。

ほむら「! こんな時に」

ほむら(もう少しだったのに……。またまどかとキュゥべえを接触させてしまった)ギリッ
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:26:07.80 ID:Pv+IlQptP
さやか「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ! つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」

まどか「わかんない。わかんないけどこの子、助けなきゃ」

さやか「あれ? 非常口は? どこよここ」

まどか「変だよ、ここ。なんかどんどん道が変わっていく」

さやか「あーもう、どうなってんのさ!」

まどか「やだっ。何かいる!」

使い魔「〜〜〜〜〜」

さやか「冗談だよね? 私、悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどか!」

ばしゅん! ばしゅん!

さやか「あ、あれ?」

まどか「これは?」

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

さやか「へ?」

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:28:42.58 ID:Pv+IlQptP
まどか「キュゥべえ?」

マミ「その子は私の大切な友達なの」

まどか「私、呼ばれたんです。頭の中に、直接この子の声が」

マミ「ふぅん……なるほどね」

マミ「その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

さやか「あ、あなたは?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね」

マミ「でも、その前に、ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら」ヘンシン!

さやか「へ、変身した!?」

まどか「!(さっきのほむらちゃんみたいな格好!)」

――戦闘中――

まどか「す……すごい」

さやか「も、元の景色に戻った!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:32:04.49 ID:Pv+IlQptP
かつん。

まどかさやかマミ「!」

ほむら「……」

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい」

まどか(ほむらちゃん……)

さやか(ずっと見てたのかよ……)

マミ「今回はあなたに譲ってあげる」

ほむら「私が用があるのは……」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげる、って言ってるの」

ほむら「っ!!」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「……」プルプル

さやか(この2人、敵同士なの……?)

ほむら「な、何でっ、敵対なんか……っ」ポロポロ

まどかさやかマミ「!?」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:35:07.91 ID:Pv+IlQptP
ほむら「くぅっ!」バッ

さやか「ほっ(行ってくれた……)」

マミ「……」

まどか(ほむらちゃん、どうして……)



ほむら(最悪ね……)

ほむら(もう、あの3人は聞く耳を持ってくれないわ)

ほむら(やっぱりキュゥべえを潰すしかない)

ほむら(今度チャンスが訪れたら、迷わず能力を使ってでも……)

ほむら(まどか……)


※ほむらがQBを襲うのは今回が初めてと言う設定でひとつよろしく
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:38:06.05 ID:Pv+IlQptP
―時間が飛んで、シャルロッテの結界―

マミ「またあなたなのね、暁美ほむら」

まどか「ほむらちゃん!」

マミ「言ったはずよね。2度と会いたくないって」

ほむら「今回の獲物は私が狩る。あなた達は手を引いて」

マミ「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」

ほむら「その2人の安全は保証するわ(少なくても美樹さんの安全は、ね)」

マミ「信用すると思って?」

しゅばっ!

ほむら「ば、馬鹿! こんなことやってる場合じゃ!」

マミ「もちろん怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保障しかねるわ」

ほむら「今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う!」

マミ「おとなしくしていれば、帰りにちゃんと解放してあげる」

マミ「行きましょう、鹿目さん」

まどか「え……はい」チラ
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:41:07.41 ID:Pv+IlQptP
ほむら「待っ……くっ」ギリッ

まどかマミ「」スタスタ

ほむら(そんな……この隙にまどかが契約してしまったら……)

ほむら「いやぁぁぁぁあああ! 放して! 放して!!」ジタバタ

マミ「!? いきなり何? そんなに暴れたら」

ぎりぃ!

ほむら「ぐえっ!!」ビシャッ

まどか「ひぃっ!? ほむらちゃん!?」

マミ「馬鹿! 血を吐くまで暴れるなんて(肋骨が折れて肺に刺さった!?)」

まどか「! マミさん! ここに使い魔が来たら、ほむらちゃんは抵抗も出来ずにやられちゃう!」

マミ「! そ、そうね。今拘束を解くわ」シュルッ

ほむら「かはっ! かはっ!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:44:06.82 ID:Pv+IlQptP
まどか「ほむらちゃん!? 大丈夫なの!?」

ほむら「平気よ……」ゼェゼェ

マミ「無茶をし過ぎよ。何を考えてるの?」

ほむら「もう……ぐっ……もうあなたの邪魔はしないと誓うわ。だから、私も連れて行って」ハァハァ

まどか「マミさん……」

マミ「わ、わかったわ。回復の魔法を掛けてあげる。少し横になりなさい」

ほむら「いいえ、あまり遅くなると美樹さやかが危険になる。先を急ぎましょう」スクッ

まどか「!!」

マミ「! そ、そうね……」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:47:12.32 ID:Pv+IlQptP
すたすた。

ほむら(前回、巴さんはこの魔女に1人で挑んでやられた……)

ほむら(その場面を見ていたわけじゃないのに、焦りすぎたのかしら)

ほむら(いえ、どさくさに紛れてキュゥべえを亡き者にしようとした下心を見透かされたのかもしれない)

ほむら(説得もできない。上手く立ち回ることもできない。こんなんじゃ……)

ほむら(人に迷惑ばかり掛けて、恥かいてばかりのあの頃から、私は何も成長できてないよ)ウルッ

ほむら(まどか……)ウルウル

まどか(ほむらちゃん……さやかちゃんの心配をしてくれた……やっぱり悪い子じゃないんだよ……)

まどか(どうしてこんなことになっちゃってるの……?)

マミ(何よ、この子……おかしいわ。普通じゃない)

マミ(一体、何が目的なの?)
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:50:35.96 ID:Pv+IlQptP
マミ「鹿目さん、願い事は決まったのかしら?」チラ

まどか「ま、マミさん(そんな……何もこんなときに)」チラ

ほむら「構わないわ。続けて」

マミ「気にしなくてもいいのよ」ニコ



――魔法少女コンビ結成を誓うまどかとマミ――



ほむら(……もう一刻の猶予もない)

QB『マミ! グリーフシードが動き始めた! 孵化が始まる。急いで!』

マミ「OK、わかったわ。今日という今日は速攻で片付けるわよ!」ヘンシン!
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:53:06.87 ID:Pv+IlQptP
―使い魔と戦闘中―

ほむら(チャンスは……ある)

  マミ(体が軽い)

ほむら(巴さんが魔女を倒して、結界が消える瞬間)

  マミ(こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて)

ほむら(時間を止めてインキュベーターを倒す!)

  マミ(もう何も怖くない……!)

ほむら(後は人混みに紛れて逃げれば巴さんも追ってはこれない)

  マミ(私、1人ぼっちじゃないもの!)

ほむら(3人には恨まれるけど、覚悟の上よ)
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:56:23.13 ID:Pv+IlQptP
―結界の最深部―

マミ「お待たせ!」

さやか「はぁ、間に合ったぁ。って、げっ! また転校生!?」

ほむら「安心して。私に邪魔をするつもりはないわ」

QB「そんなことより気をつけて! 出て来るよ!」

マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせて……もらうわよ!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

さやか「やったぁ!」

まどか「凄い、マミさん」

ずるっ。

マミ「あ」

まどか「えっ?」

さやか「あぁ!」

マミ(あ、私、死――)

かちり。
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 00:59:00.98 ID:Pv+IlQptP
ぶわっ。

マミ(え? 何? 急に魔女が遠ざかって……)

ほむら「」

マミ(暁美さん?)

ずる。

ほむら「!!」

マミ「あ」

ほむら「手を離さないでっ!! あなたの時間まで止まってしまう!」

マミ「はっ、はい!」ギュッ

すたん!

ほむら「ま、間に合った」ハァハァ

マミ(鹿目さん達が止まってる……?)

かちり。
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:02:30.34 ID:Pv+IlQptP
まどか「いやあああああああああっ!!」

さやか「マミさんが……マミさんが食べられちゃった……!」

マミ「わ、私はここよ」

まどか「!? マミさん、無事だったんですか!?」

さやか「え? あれ? いつの間に」

ほむら「あいつは私が狩る」ダッ

さやか「ああっ! あいつやっぱり手柄を横取りする気だったんだ!」

マミ「ち、違うの……私、暁美さんに助けてもらったのよ」

まどか「えっ?」

さやか「転校生が?」

マミ(必死の形相だった……)

まどか「ほむらちゃん、足に怪我してる!」

さやか「げっ、凄い血」

ほむら「くぅっ」ズキン

ほむら(巴さんを助けるときに、あの牙にかすったみたいね。絵本に出てくるような顔をしてる癖にたちの悪い)
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:05:01.17 ID:Pv+IlQptP
さやか「ああっ、食べられ……」

ぱっ、ぱっ。

さやか(瞬間移動した!?)

どん! どん!

まどか「魔女が爆発したよ」

さやか「何がどうなってんの?」

QB(暁美ほむら……君は……)

さやか「あ、結界が消える」

かつーん。

マミ(そうよ。私……今、死んじゃうとこだったんだ……)ブルブル

ほむら「結界は消えたわ。変身を解いて、巴マミ」ファサ

マミ(今になって震えが止まらない)ブルブル

ほむら「巴マミ? 変身を」

マミ「あ? え? ああ、そうね」ヘンシン

ほむら(やっぱりソウルジェムが濁ってる……)
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:08:08.43 ID:Pv+IlQptP
ほむら「貸して」シュワァ

まどか「!」

ほむら「これでいいわ。……キュゥべえ、餌の時間よ」シュッ

QB「了解」カポッ

QB「きゅっぷい」

さやか「ええっ!? グリーフシードを食べちゃったの?」

まどか「ちょっとグロい……」

QB「それが僕の役目のひとつだからね」

まどか「やっぱりほむらちゃんは……あれ? ほむらちゃん?」

さやか「転校生? どこに……」

まどか「ああっ、ほむらちゃんが倒れてる!」

マミ「!」

ほむら「はぁ……はぁ……」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:11:07.07 ID:Pv+IlQptP
まどか「ほむらちゃん! ほむらちゃん!? 目を覚ましてよ!」

さやか「足、ざっくり割れちゃってる! って、病院、目の前じゃん! 連れてくよ!」

マミ「待って。このぐらいの傷なら私の魔法でも治せるわ」シュワァ

まどか「マミさん……」

マミ「きっとこの子も、騒ぎになるのは不本意でしょうからね」

QB「……暁美ほむらはかなりのベテランみたいだね。きっと痛覚を消して戦っていたんだろう」

さやか「そんなことまで出来るんだ?」

マミ「無茶し過ぎよ、この子……」シュワア

ほむら「うぅ……まどか……」ハァハァ

まどか(私の名前?)
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:14:05.48 ID:Pv+IlQptP
―ほむらの夢―

まどか『ほむらちゃん、過去に戻れるって言ってたよね。こんな終わり方にならないよう、歴史を変えられるって』

まどか『だからね、お願いがあるの』

まどか『キュゥべえに騙される前の馬鹿なわたしを助けてあげてくれないかな?』

ほむら『約束するわ。何度繰り返しても、絶対あなたを救ってみせる……!』ポロポロ

まどか『よかった……あと最後にね、もう1つだけお願い。私、魔女になりたくない……』

ほむら『まどか……!』ポロポロ

まどか『ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。嬉しいなぁ』

ほむら『ううぅぅう……ううぅうぅぅううううぅぅぅぅぅうううううううううっ!!』ポロポロ
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:17:08.14 ID:Pv+IlQptP
まどか「ほむらちゃん、苦しそう!」

マミ「そんな! 傷は全部治したはずよ!?」

ほむら「まどか……まどか……っ」ポロポロ

さやか「あの……これって、単にうなされてるんじゃないのかな?」

QB「うん。彼女はレム睡眠中のようだし、夢を見てるみたいだね」

マミ「そ、そうなの」ホッ

まどか(でもこんなにうなされるなんて……どういうことなの……?)

ほむら「まどかあああああああぁぁぁぁああああっ!!」ガバッ

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「!?」

まどか「……」

さやか「……」

マミ「……」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:20:10.18 ID:Pv+IlQptP
ほむら(わ、私、いつの間に意識を!?)ガバッ

まどか「ほむらちゃん、急に立ったら……」

ほむら(ど、どういう状況なの?)グシグシ

まどか「ほむらちゃ」

ほむら「」スッ

さやか「消えた!」

マミ(また時間を止めて移動したのね)

まどか「そんな……まだお礼も言ってないのに……」

QB「暁美ほむらは帰ったようだ。マミ、僕らも帰ろう」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:23:01.25 ID:Pv+IlQptP
―マミのマンション―

まどか「マミさん、大丈夫ですか?」

マミ「ええ、落ち着いて来たわ」

マミ「ごめんなさい、みっともない所を見せちゃったわね」

まどか「そんな! マミさんが助かって良かったです」

さやか「しっかし転校生の奴、マミさんを助けるなんてさ。意外だったよね」

QB「まぁ、彼女が敵意を向けていたのは僕に対してだけで、君たち3人には敵意を持ってはいないようだったからね」

まどか「え……(な、なんでもっと早く言ってくれないの……?)」

マミ「私、恥ずかしいわ。暁美さんのこと、敵だと思い込んでずいぶん挑発するようなこと言っちゃったもの……」

さやか「まぁ、しょうがないんじゃないですか? あの態度じゃねぇ」

まどか「さやかちゃん」

さやか「それよりあいつ、不思議な戦い方してたよねー。どんな魔法を使ったんだか」

マミ「時間を止めてたわ。だから私、助かったの」

まどか「時間を?」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:26:13.42 ID:Pv+IlQptP
QB「なるほどね。これで彼女の正体に関して、おおよその検討はついたよ」

さやか「どういうこと?」

QB「魔法少女にはそれぞれ固有の魔法がある。それは最初の願い事に左右されるものなんだ」

マミ「そうね。キュゥべえに『助けて』って願った私は、強力な回復魔法を手に入れたわ」

QB「暁美ほむらが時間を操作できるのなら、彼女の願い事は時間に関することだと考えていい」

さやか「そうなんだ」

QB「さしずめ、彼女は過去に戻ることを願ったんじゃないかな? これなら僕が契約した覚えもないのに、彼女が魔法少女だと言う矛盾も解決される」

さやか「じゃああいつは、未来から来たってこと?」

QB「そう考えるのが自然だろうね」

まどか「……ねぇ、もしかしてほむらちゃんが今まで言ってたことって、未来からの警告なんじゃないの……?」

さやか「えー?」

まどか「今日だって、マミさんが危なくなる、って知ってて助けに来てくれたんじゃないのかな?」

マミ「!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:29:02.34 ID:Pv+IlQptP
まどか「きっとそうだよ。なのに私、ちゃんとほむらちゃんの話を聞こうともしなかった。このままじゃほむらちゃん、可哀想だよ!」

さやか「いや、まぁ」

マミ「暁美さん……」

QB「そう考えるのは早計じゃないかな、まどか」

まどか「え……?」

QB「確かに暁美ほむらは君達に敵意を持ってない。でも何かに利用するつもりなのかもしれない」

QB「彼女の目的がはっきりするまで、警戒を怠らないに越したことはないと思うよ」

まどか「そ、そんな……」

さやか(こいつ……?)

マミ「でも、暁美さん、必死の形相だったわ……」

QB「もちろん、僕の言ったことも仮説のひとつに過ぎないけれどね」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:32:08.10 ID:Pv+IlQptP
まどか「それじゃマミさん、お休みなさい」

さやか「お大事に」

マミ「ところで鹿目さん」

まどか「はい?」

マミ「今でも魔法少女になりたいと思ってる?」

まどか「!」

さやか「ま、マミさん……」

まどか「あの……私……」ブルブル

マミ「ふふっ、いいのよ。あんなの見た後じゃ、そんな気になれないわよね」

まどか「私、弱い子でごめんなさい。でもやっぱり怖くて……マミさんが食べられちゃったと思ったあのときから、ずっと震えが止まらなくて……」

マミ「気に病まないで。私も考えなしだったわ。やっぱり魔法少女は危険なの。もし願い事ができても、今日のことを思い出して簡単に決めてしまっては駄目よ」

まどか「はいっ……ありがとう、マミさん」

QB「……」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:35:09.62 ID:Pv+IlQptP
―帰り道―

まどか「……」

さやか「……」

まどか「ほむらちゃんはさ」

さやか「ん?」

まどか「ほむらちゃんは、何で過去に戻ってきたんだろう?」

さやか「……あたしさ、気づいちゃったんだよね」

まどか「え……?」

さやか「最初、転校生がまどかを襲ってるように見えてさ、だからあたし、戦闘モードになっちゃったんだよね」

まどか「でもあれは」

さやか「そう、あいつが狙ってたのはキュゥべえだった。でも、それでも思ったよ? あんな小さい子を襲ってるなんて、なんて奴だろう、って」

まどか「う、うん……」

さやか「でもそれってさ、もしキュゥべえが悪い奴なら、全部ひっくり返る話なんだよね」

まどか「!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:38:02.59 ID:Pv+IlQptP
さやか「よく考えたらさ、キュゥべえって何者? あいつが私達と転校生を争うようにし向けてるように見えたよ、今日」

まどか「そう言えば、考えたこともなかった」

さやか「はっきり言うけど、胡散臭い、って思っちゃったよ、キュゥべえのこと」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「何?」

まどか「実は今日、さやかちゃんの所へ行く途中、ほむらちゃん、大怪我したの」

さやか「転校生が?」

まどか「マミさんと2人で歩いてたらほむらちゃんが来て、今日の敵は強いから、って。私が戦うから、って」

さやか「その言い方……やっぱり未来から来たんだ、あいつ」

まどか「でもマミさんはほむらちゃんを敵だと思ってたから魔法で縛っちゃったの。それを抜けようとほむらちゃん、血を吐くまで暴れて」

さやか「マジで? 無茶する奴だなぁ(それでマミさん、転校生の胸の辺りも魔法掛けてたんだ……)」

まどか「マミさんが回復魔法を掛けるから横になりなさい、って言ったのにほむらちゃん、聞かなくて。遅くなるとさやかちゃんが危険だから、って」

さやか「!!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:41:03.07 ID:Pv+IlQptP
まどか「ねぇ、私、ほむらちゃんが悪い子だなんて思えない。一緒にほむらちゃんの話をちゃんと聞こうよ」

さやか「あいつ……」

まどか「ね? 明日にでもお話してみよう?」

さやか「確かに……あいつがあたし達を騙すつもりだったとしても、寝ている間まで演技なんてできないよね」

まどか「そうだよ!」

さやか「でも、思い込みで決めつけるのことも良くないよ」

まどか「さやかちゃん、そんなぁ!」

さやか「だから、ちゃんとあいつの話を聞いてから判断しようよ」

まどか「! うん!!」パァア
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:44:07.77 ID:Pv+IlQptP
―夜の公園―

ほむら(いつの間にか怪我が治っていた……巴さんね)

ほむら(考えてみれば、私の意識がない間に何かをするような卑怯な真似が、あの3人にできるとは思えない)

ほむら(敵対されたから、って、過剰反応をしてしまったわね)

QB「やあ、暁美ほむら」

ほむら「!」

QB「今回は君の勝ちのようだね」

ほむら(巴さんの気配がしない……1度襲った私に1人で近づくなんて、こいつは馬鹿なの?)

QB「まどかもさやかも今回の件ですっかり怯えてしまったようだ」

QB「まさかベテランのマミがあんな目に遭うなんてね。計算違いだったよ」

ほむら「……」

QB「あの2人は魔法少女になる気をなくしてしまったみたいだ」

ほむら「そう、めでたいことだわ」

QB「でも人間は心変わりをする動物だ。僕は次のチャンスに掛けることにするよ」

かちり。
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:47:06.94 ID:Pv+IlQptP
どん! どん! どん!

かちり。

ばす! ばす! ばす!

QB「きゅ……ぷい……」ドサッ

ほむら「……」

ほむら「……」

QB「」

ほむら「死んでる……」

ほむら「嘘……こんなあっさり?」

ほむら「ふふっ、うふふふふ」

ほむら「何よ、こんな簡単なことだったなんて。ふふふふ」

ほむら(これでまどかが魔法少女になることはなくなる! もう誰も騙されることはない!)

ほむら「ふふふ。うふふふふふ。あはははははは!」

ほむら「次のチャンスですって? そんなものは永遠に来ないわ、インキュベーター!」

ほむら「あははははははは!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:50:01.29 ID:Pv+IlQptP
QB「なるほど。その呼び名を知ってるなんてね。どおりで僕の邪魔に熱心なわけだ」

ほむら「…………え?」

QB「まったく、話の途中でいきなり殺してくるなんて。君は乱暴な人間なんだね、暁美ほむら」ムシャムシャ

ほむら「嘘……」

QB「ところで君は、この街にしか魔法少女がいないと思っているのかい?」ムシャムシャ

ほむら「い、いえ……他の街にもいるのは知ってるわ……」

QB「うん。ならこうは考えなかったのかい? 他の街にも魔法少女がいるように、他の国にも大勢の魔法少女がいる、と……」キュップイ

ほむら「それは……」

QB「まさか君は、そんな大勢の魔法少女の相手を、僕のひとつだけの個体で相手していると考えてたわけじゃないよね?」

ほむら「……っ!」

QB「世界中で僕の他の個体は同時に活動している。それに体のストックだってたくさんある」

QB「君のやったことはまったくの無意味だったんだよ」

ほむら「そ、そんな……」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:53:23.84 ID:Pv+IlQptP
QB「だからって無意味に潰されるのは困るんだけどね。もったいないじゃないか」

QB「あ、そうそう。『もったいない』という言葉は君の国にしかないのを知ってるかい?」

QB「これに懲りて、学習してくれることを望むよ、暁美ほむら」

ほむら「うるさいっっっ!!」

QB「」スッ

ほむら「……」

ほむら「ふふっ、ふふふふ」

ほむら「まどかに怯えられて、巴さんに嫌われて……」

ほむら「それで得た結果がこれ……?」ジワッ

ほむら「ふふっ、よく考えればわかることだったんだわ……とんだ道化ね……」ポロポロ

ほむら「くぅ〜〜」ブワッ

ほむら「うわあああああああああああっ!」

ほむら「なんでっ! なんでこんな馬鹿に生まれちゃったのよぅ! うわああぁぁぁあぁあああっ!!」ポロポロ
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:56:06.20 ID:Pv+IlQptP
―朝の教室―

さやか「よう、転校生」

ほむら「!?」

まどか「あの、昨日はありがとうね、ほむらちゃん」

ほむら(どういう風の吹き回し?)

さやか「あのさ、転校生が未来から来たって本当?」

ほむら「!!!!」

まどか「あのね、昨日キュゥべえが、ほむらちゃんは未来から来たんだろう、って」

ほむら(いえ、時間を止めるのを巴さんに見られたのだから、そのことがバレる予想はできたはずだわ……)クッ

さやか「おいおい、そんな泣きそうな顔することないじゃん」

まどか「もしよかったら、ほむらちゃんに詳しい話を聞きたいな、って。今まで私達のために色々忠告してくれたんだよね?」

ほむら「!!!!」

ほむら「ほ、本当……?」

さやか「まぁ、今まで態度悪くてすまなかったよ。よく考えたらさ、双方の言い分聞かなきゃフェアじゃないな、ってね」

まどか「お願い、ほむらちゃん」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 01:59:02.10 ID:Pv+IlQptP
ほむら(嘘……こんなチャンスが来るなんて……ど、どうしよう……ちゃんと説得しないと……)

ほむら「わかったわ……それじゃ、放課後でいいかしら?」

さやか「うん、それでいいよ」

まどか「ありがとうね、ほむらちゃん」


―授業中―

ほむら(どうしよう……こんなチャンスがいきなり来るなんて……)

ほむら(何を話せばいいの? 未来から来たことがバレたからって、流石に全部の話は残酷すぎる)

ほむら(私の契約内容を知れば、まどかは気に病むわ……)

ほむら(上手く話の詳細をわからないようにして、キュゥべえの目的を教えないと……)

まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:02:08.43 ID:Pv+IlQptP
―ほむらのアパート―

さやか「いやぁ、悪かったね。いきなりあんたの家に押しかけちゃってさ」

ほむら「いえ、気にしないで。今、飲み物を出すわ」

まどか(ほむらちゃん、一人暮らしだったんだ……殺風景な部屋……)

さやか「なるべくマミさんに見られない方がいいと思ったんだよね。マミさん、キュゥべえのこと信頼してるからさ」

ほむら「! そう……(美樹さんとはあまりちゃんと話をしたことがなかったけど、鋭いのね……)」

まどか「ほむらちゃん、これって、魔女のデータ、だよね?」

ほむら「……ええ。見滝原に現れる魔女はだいたい把握してるわ」

さやか(なるほど。いつもいつもタイミング良くこいつが現れるわけだ)

まどか「(こういうの見ると、ほむらちゃんが未来から来た、って実感するな)この地図は?」

ほむら「ワルプルギスの夜の出現予測よ」

さやか「ワルプルギス?」

ほむら「……今から3週間後に現れる、大型の魔女よ。そいつは結界に守られる必要もない強力な魔女で、現れただけでも何千人もの人が犠牲になるわ」

まどか「嘘っ!」

さやか「!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:05:14.25 ID:Pv+IlQptP
ほむら「でも普通の人には見えないから、自然災害だと思われるだけ。私の目的のひとつは、ワルプルギスの夜を倒す事よ」

まどか「未来では勝てなかったの……?」

ほむら「何度か勝てたわ。でも、犠牲を出さずに勝てたことはなかった……!」

まどか「そんな……」

さやか「ふーん。つまりあんた、何回も過去に戻ってたんだ?」

ほむら「っ!(しまった。つい普通に話してしまった)」クッ

さやか「だからそんな泣きそうな顔することないじゃん。ちゃんと話を聞くからさ」

まどか「ほむらちゃん、お願い」

ほむら「わかったわ……」

ほむら「私達、魔法少女はキュゥべえと契約して、何でも願い事を叶えてもらう代わりに、魔女と命がけで戦う運命を課せられるわ」

ほむら「でも、あなた達はこう考えたことはなかったかしら……『キュゥべえはこの契約で何を得るんだろう』、と」

さやか「ちょっと待った! あたしはそんな話を聞きに来たんじゃないよ」

ほむら「えっ?」

まどか「えっ?」

まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:08:04.19 ID:Pv+IlQptP
さやか「あんたの身に起こったこと、全部話してよ。何で魔法少女になったのか、何で過去に何度も戻ってるのか」

さやか(なんであんたがそんなにまどかに執着してるのか……)

ほむら「っっ!! そ、そんなこと……(言えるわけない……)」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「じゃなきゃ、信用できない」

ほむら「そんなっ(そんなっ……せっかくのチャンスなのに……)」グッ

さやか「あんたはマミさんを助けてくれたけどさ、キュゥべえがそれはあたし達を利用するためじゃないか、って」

ほむら「なっ、何を言ってるの!? 何を言ってるのよ!!」

まどか「さやかちゃん!?(何を言い出すの?)」

ほむら「ど、どっちが、どっちが利用してるって言うのよ……っ!」ポロポロ

さやか「じゃあ、あんたの経験したこと、全部話してよ」

ほむら「〜〜〜〜〜っ!」ポロポロ
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:11:07.76 ID:Pv+IlQptP
まどか(こんなに泣いて……ほむらちゃんが知ってる未来って、そんなに辛いものなの……?)

まどか(どうしよう……聞くのが怖いよ……)

まどか(でも…………ほむらちゃんが私達を助けるために来てくれたんなら、ほむらちゃんだけに背負わせてちゃいけないんだ!)キリッ

まどか「ほむらちゃん、お願いだから教えてよ」

ほむら「え?」

まどか「私、どんなに辛い話でも受け止めるよ。だから、ひとりで背負わないで」

ほむら「まどかぁ……」

さやか「さあ、話してくれるよね」

ほむら「わかったわ」グシグシ
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:14:17.97 ID:Pv+IlQptP
ほむら「私は元々心臓の病気で入院していて、体が弱く何の取り柄もなかった」

ほむら「見滝原に来たのは、ここの病院に通うためで、親と離れて一人暮らしをしているのはそのためなの……」

ほむら「見滝原中学に転入してきた日、私は魔女に襲われたわ」

ほむら「その私を助けてくれたのが巴マミと、魔法少女になったまどか、あなただった」

まどか「わ、私!?」

ほむら「ええ。あなたは私の初めての友達だった」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「でも、ワルプルギスの夜と戦って、巴マミもあなたも死んでしまったわ」

まどかさやか「!!」

ほむら「だから私はキュゥべえに願った。まどかとの出会いをやり直したい、まどかに守られる私じゃなくて、まどかを守る私になりたい、と」

まどか(そんな……私のために……)

さやか(それでか!)ゴクリ

ほむら「魔法少女になった私は、巴マミに戦い方を教わったわ」

ほむら「そしてワルプルギスの夜に3人で挑んだ……そして何とか倒すことができた……」

さやか「でもさっきの話じゃ、犠牲が出たんだよね……?」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:17:02.73 ID:Pv+IlQptP
ほむら「ええ。巴マミが死んでしまって……まどかも……ソウルジェムが濁って……」プルプル

ほむら「魔女に……なったわ」ポロッ

さやか「えっ!?」

まどか「そんなっ!?」

ほむら「魔女は……元々魔法少女なの。ソウルジェムは私達が魔法を使うたび、魔女を狩るたび、そして日常での生活で辛い思いをするたび濁っていくわ」

ほむら「そしてソウルジェムが濁りきり、、黒く染まるとき、私達はグリーフシードとなり、魔女として生まれ変わるの」

さやか「そんな……マミさんは? そのことをマミさんは知ってるの!?」

ほむら「いいえ、知らないわ」

まどか「そんな……そんなのってないよ!」

ほむら「これが私があなた達を魔法少女にさせたくなかった理由よ」

さやか「何でさ!? 何でキュゥべえはそんなことしてんのさ!?」

ほむら「宇宙の寿命を延ばすため、だそうよ」

まどか「宇宙の……?」

さやか「何それ?」

ほむら「あいつは他の星から来たと言っていたわ。色々説明してもらったけど、難しい話はわからなかった。だから、説明は簡単にするわね」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:20:07.75 ID:Pv+IlQptP
まどか「う、うん(何だか話が大きくなって来ちゃったみたい……)

ほむら「エネルギーは変換する毎にロスが生じる。そのせいで宇宙のエネルギーは目減りする一方だと言うことだわ」

ほむら「でも私達の感情のエネルギーを使えば、そのロスを埋められるらしいの」

ほむら「特に効率的なのは、二次性徴期の少女の希望から絶望への相転移。希望を持った魔法少女が、絶望して魔女になるとき生み出されるエネルギーこそが、あいつの目的なの」

さやか「あ、あいつ……っ」

まどか「酷いよ! キュゥべえはそんなことして、何も感じないの?」

ほむら「そもそもあいつがこの星に来たのは、あいつらが感情を持っていなかったから。さらに言えば、自分達がやっていることを悪いことだとさえ思っていないでしょうね」

さやか「それで終わりじゃないよね? 続きを……聞かせてよ……」

ほむら「だから私は過去に戻ってそのことをみんなに告げた。でも、誰も信じてはくれなかった」

ほむら「でも、最悪の結果でみんなにそのことが知らしめられたの……」

さやか「どんな?」

ほむら「美樹さやか…………あなたの、魔女化によってね」

さやか「!!」

まどか「そんな……そんなのって……」

さやか「って言うか、あたし、魔法少女になったんだ」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:23:03.72 ID:Pv+IlQptP
ほむら「ええ。幼馴染みの少年の腕を治すためだった、と聞いてるわ」

さやか「っっ!!」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「はは……あたしがさっきまで考えてたことだよ……」

ほむら「そう……」

さやか「これであんたが未来から来たって、信憑性が増したわけだ。で? 何であたしは魔女になっちゃったの?」

ほむら「失恋だったらしいの」

まどか「そんなのおかしいよ!!」

ほむら「ま、まどか?」

まどか「だってさやかちゃん、怪我した上条君のお見舞い、ずっと続けてるんだよ? 上条君が辛いときに、ずっと支えになってあげてるのに!」

さやか「まどか……」

まどか「何かの間違いじゃないの? 例えば、すれ違いだった、とか」

ほむら「ご、ごめんなさい。私恋ってよくわからないし、あなた達の話もそんなに興味が持てなくて、ちゃんと聞いてなかったの」

ほむら「だから、詳しい話は覚えてないのよ」

まどか「そんな……」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:26:01.62 ID:Pv+IlQptP
ほむら「その少年が恋人を作ったことで、美樹さやかのソウルジェムが濁ったことは事実だわ(……志築仁美の名前は出せないわよね……)」

さやか「っ!」

ほむら「ごめんなさい、あなたにとって辛い話よね」

さやか「! いいっていいって。あたしが聞きたいって言ったんだからさ!」

ほむら「恋愛のことはよくわからないけど……例えば好きな人がいない少年が魅力的な少女に告白されたら、OKをしてしまうものじゃないかしら?」

さやか「あー」

ほむら「あなたが先に告白をすれば、未来は簡単に変わるかもしれないわ」

まどか「……でもそれって、今の上条君はさやかちゃんをそう言う目で見てない、ってことだよね。私は納得できないよ……」

さやか「ま、まぁ、その話はもういいじゃん。あたしの問題なんだし、これで終わり! 続きを教えてよ」

ほむら「え、ええ」

まどか「……」

さやか「それで? あたしは……その……倒されたんだね」

ほむら「ええ。私が倒したわ」

さやか「そっか……。なんか面倒掛けちゃったんだね」

ほむら「でも! この時間軸の話じゃないわ。あなたが気に病む必要なんてどこにもない!」
まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/12/18(日) 02:29:09.38 ID:Pv+IlQptP
まどか「そうだよ、そうならないためにほむらちゃんにお話を聞いてるんだから」

さやか「うん、サンキュ。先を続けて?」

ほむら「ええ。……魔法少女が魔女になる。この事実は重すぎたわ。巴マミは耐えきれず、錯乱してしまって……佐倉杏子――そのとき一緒に戦っていた隣町の魔法少女なのだけれど――彼女のソウルジェムを撃ち抜いて殺してしまったの」

まどか「そんな……そんな……」

さやか「あのマミさんが……」

ほむら「私がみんながキュゥべえに騙されていると言い続けたことで、私達の仲は悪かった。それを巴マミは何とかしようと気に病んでいたから、その緊張の糸が切れてしまったんだと思う」

ほむら「しかも可愛がってた後輩が魔女になる瞬間も見てしまったのだから……」

まどか「……」

さやか「……」

ほむら「見て。これが私のソウルジェム」

まどか「……紫色なんだね。綺麗」

ほむら「これを砕かれたら、私は即死するわ」

まどか「!」

さやか「!」
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