トップページ > ニュー速VIP > 2011年09月21日 > yUu6sik10

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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
◆fRP8xo8mkY
交互体制は疲れる… ◆fRP8xo8mkY
>>234シードの位置ずれた ◆fRP8xo8mkY
>>265まだッス ◆fRP8xo8mkY
>>311聞きようによってはそう聞こえる笑い声らしい ◆fRP8xo8mkY
>>311オ俺はあんまそう聞こえないけど ◆fRP8xo8mkY
>>321あるッス ◆fRP8xo8mkY
>>334出る ◆fRP8xo8mkY
>>353作中ではQBは敵、ほむらはまどかの味方 ◆fRP8xo8mkY

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メニュー考えるのめんどいから昼飯安価で買ってくる
【速報】ヤバイ…殺しちゃった…
いとうあさこってお前ら的にはストライクなの?ボールなの?
大学の英語教師の口癖がファックな件
涅マユリ「魔法少女?」
安価で手持ち作ってポケモンバトルする
空飛ぶスパゲッティーモンスター教に入信したい
唯「同性愛者とかマジきめぇわ」
QB「美樹さやか、君との契約を破棄するよ」さやか「」
中毒性があるから気をつけた方がいい趣味

その他72スレッドすべて表示する

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メニュー考えるのめんどいから昼飯安価で買ってくる
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/09/21(水) 09:57:32.09 ID:yUu6sik10
__
    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
           -=ニニニニ=-


                          /⌒ヽ   _,,-''"
                       _  ,(^ω^ ) ,-''";  ;,
                         / ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;,'
                     (.゙ー'''", ;,; ' ; ;;  ':  ,'
                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'     d⌒) ./| _ノ  __ノ

【速報】ヤバイ…殺しちゃった…
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/09/21(水) 09:59:28.58 ID:yUu6sik10
>>1おいジュースとコロッケパン買ってこいよ
もちろんお前の金でな
いとうあさこってお前ら的にはストライクなの?ボールなの?
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/09/21(水) 10:03:16.79 ID:yUu6sik10
             ____
           /      \
          / ─    ─ \
        /   (●)  (●)  \   ない ない
        |      (__人__)     |
         \     ` ⌒´    ,/
 r、     r、/          ヘ
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ
  \>ヽ/ |` }            | |
   ヘ lノ `'ソ             | |
    /´  /             |. |
    \. ィ                |  |
        |                |  |

大学の英語教師の口癖がファックな件
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/09/21(水) 13:51:13.84 ID:yUu6sik10
>>1FACK

これでいい?
涅マユリ「魔法少女?」
1 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:04:44.65 ID:yUu6sik10
尸魂界・技術開発局

マユリ「――『現世にて駐在任務にあたっていた死神が失踪』」

マユリ「『同時に霊圧の完全消滅が確認、その死神の死亡認定が下りた』」

マユリ「『先遣調査にあたった隠密機動の報告によれば、駐在地・見滝原市一帯において虚等の霊圧は確認されず』」

マユリ「『死体も回収できなかったため死因は不明』」

マユリ「『真相究明のために、十二番隊直轄組織・技術開発局による現地調査をここに命ずる』――」


マユリ「――面白いじゃないか」ニヤリ

涅マユリ「魔法少女?」
4 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:06:27.07 ID:yUu6sik10
〜数日後〜

尸魂界・技術開発局

研究室にて熱心にキーを叩くマユリ
扉を開け、ネムが入ってくる

ネム「お呼びでしょうか、マユリ様」

マユリ「ネム。例の死神変死事件の資料は頭に叩き込んであるかネ?」

ネム「はい。現世駐在の任に――」

マユリ「誰が説明しろと言ったマヌケが
    お前が把握している程度の情報を私が知らないとでも思っているのかネ?」

ネム「……申し訳ありません、マユリ様」

マユリ「ふん、まぁいい
    それでだ、この件について我々技術開発局に対して調査命令が出されたのだが――」

マユリ「お前が行け、ネム
    現世へ行き、何かしらの手がかりを集めたらすぐ私に報告しろ、いいネ?」

涅マユリ「魔法少女?」
5 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:08:36.56 ID:yUu6sik10
ネム「了解しました。マユリ様ご自身は行かれないのですか…うっ!」

ゴスッ

マユリ「お前は私をイラつかせたいのかネ?
    私だってそうしたいのはやまやまだヨ!」

マユリ「だが生憎、隊長格の死神が現世へ行くには色々と手続きが必要でネ」

マユリ「ある程度の情報が集まって事態の見通しが立つまでは動こうにも動けないのだヨ」

マユリ「つまりお前の集めてきた情報を元に報告書の一つでもまとめれば、あとは詳細な調査が必要とでも理由をつけて私が直接現世へ行けるということだヨ」

ネム「……了解しました、マユリ様」

ネム「マユリ様が一刻も早く現世に赴けるよう、情報収集に尽力します」
涅マユリ「魔法少女?」
7 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:09:27.92 ID:yUu6sik10
マユリ「当然だヨ!
    さぁ、分かったらさっさと準備をしろウスノロ。穿界門の用意は既に整っているのだからネ」

ネム「はい、マユリ様。直ちに義骸の用意を――」

マユリ「必要ないヨ、そんなものは」

ネム「は?ですがマユリさ…ぐぅ!」

ゴスッ

マユリ「口応えをするんじゃないヨこの役立たずが!私は『必要ない』と言ってるのだヨ?」

ネム「……申し訳ありません、マユリ様」

ネム「直ちに現世・見滝原市に出発します」
涅マユリ「魔法少女?」
8 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:10:21.20 ID:yUu6sik10
現世・見滝原市 〜夕方〜

マミ宅からの帰り道

さやか「魔法少女、かぁ…」

まどか「さやかちゃんは、どうする?」

さやか「んー、なんだかなぁ。何せ急な話だしねー」

さやか「いきなり魔法少女だの魔女だの言われたって、理解が追い付かないって言うかさー」

まどか「はは…そうだよね……」
涅マユリ「魔法少女?」
10 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:11:27.44 ID:yUu6sik10
さやか「どんな願いでも叶う、かぁ……いやー悩んじゃうよねぇー。億万長者に満漢全席!」

まどか「もぉ、さやかちゃんそればっかり」

さやか「あっ、絶世の美女になるってのもアリかもねー!あたしもマミさんみたいなグラマラスボディーになってさぁ」

さやか「ほら、あそこにいる美人さんみたいなスラッとしたきょぬーにも憧れるよねー」

まどか「ちょっ、さやかちゃん失礼だよ!」アワアワ

さやか「にしてもあの人凄い格好ね……何あのミニスカな和服は?改造?」

まどか「さやかちゃん!い、行くよ!」アセアセ

さやか「ちょっ、引っ張んないでって!もー、まどかは可愛いなぁ〜!」


ネム「あの二人…私の姿が見えていた?」
涅マユリ「魔法少女?」
11 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:12:28.18 ID:yUu6sik10
見滝原市・マミ宅

紅茶を飲むマミ
傍らにはインキュベーター

マミ「キュゥべえ、あの娘たちを急かすようなことはしちゃダメよ?
   魔法少女になるかどうかは、あの娘たち自身が決断しなきゃいけないの」

QB『分かってるよマミ。ボクとしても契約を強要するような真似はできないしね』

QB『彼女たちが自分の意思で契約を決断してくれるよう、せいぜい勧誘を続けるとするよ』

マミ(でも正直に言えば、もしあの娘たちが魔法少女の後輩になってくれたら、私すごく――)

ゴゴゴゴ……!

QB『……この気配、マミ!』

マミ「――ええ、分かってるわ。まったく、今日は大漁ね――!」

QB(――待った、魔女以外にも妙な気配を感じるね。これはまさか――)
涅マユリ「魔法少女?」
12 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:13:42.83 ID:yUu6sik10
見滝原市・魔女空間inとある裏路地

無数に襲い来る《芸術家の魔女》の使い魔たち
それに白打で応戦しているネム

ネム「先ほどの少女たちが来た方向から感じた霊圧を調べようとしたところ――」

ブンッ

使い魔「ウォオオォォォーーー!!」シュウゥゥゥー

ネム「――この奇妙な空間に閉じ込められ、攻撃を仕掛けられた」シュッ

ネム「――虚とも死神とも異なる、この異様な霊圧」ウィイィィーンッ

使い魔「ウァアアァァァーーー!!」シュウゥゥゥー

ネム「この怪物たちは一体――?」バッ

使い魔たちに気を取られた一瞬の隙をついて、《芸術家の魔女》本体がネムに襲いかかる

魔女「ゲイジュツハバクハツダァァァーーー!!!」ゴォォォォーーー!!

ネム「くっ――!」


「ティロ・フィナーレ!!」

涅マユリ「魔法少女?」
14 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:15:16.49 ID:yUu6sik10
バアァァァーーーンッッッ!!!

ネム「――?」

一瞬でかき消される魔女と眷属たち
そして降り立つ一人の少女

マミ「――ふぅ、危ないところだったわね。ケガはないかしら?」

ネム「――あなたは?」(この霊圧は――始めに感じ取ったものと同じ――)

マミ(ふふ…本日二度目の自己紹介ね――)「初めまして。私は巴マミ――魔法少女よ」

ネム「魔法、少女――っ!」ダッ

マミ「えっ!?」

突然マミに向かって駆け出すネム
その右腕がドリルのように回転する

マミ「ちょっ、あなた――!」
涅マユリ「魔法少女?」
15 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:16:26.43 ID:yUu6sik10
身構えるマミの横をすり抜けて、背後からマミに掴み掛らんとしていた使い魔の生き残りをえぐり殺すネム

マミ「なっ!?」

ネム「――ご無事ですか?巴マミさん」

呆然としてネムを見るマミ

マミ「あなた――何者なの?」

ネム「護廷十三隊、十二番隊副隊長・涅ネム――死神です」

マミ「しに…がみ?」

涅マユリ「魔法少女?」
17 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:17:23.97 ID:yUu6sik10
見滝原市・マミ宅
興奮したように頬を上気させネムの話を聞くマミ

ネム「――以上が死神についての大雑把な説明になります」

マミ「――死してなお、現世に留まりし迷える魂たち――」

マミ「失った胸の穴を埋めるべく、生者を貪り悲しみを糧とする虚――」

マミ「そんな哀れな魂たちを束ね、安寧へと導く魂の“調節者”――死神!」

ネム「…このような話を、いきなり信じろというのは難しいかもしれませんg」マミ「信じます!信じるに決まってるじゃない!」ギュッ

ネムの手を両手で握りしめ、眼を輝かせるマミ
涅マユリ「魔法少女?」
18 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:18:33.43 ID:yUu6sik10
ネム「……?」

マミ「そう、私たち魔法少女が生きる人々を魔女から守るように、あなたたち死神は死した魂たちを虚から守っているのね!」

マミ「死神と魔法少女の邂逅……素晴らしいわ!
   こんなに素敵な出逢いを体験できるなんて!」

ネム「はぁ…?
   あの、申し訳ありませんが、こちらからも魔法少女というものについて伺ってもよろしいでしょうか?」

マミ「ええもちろんよ!答えられることなら何だって答えちゃうわ!
   あっ!そういえばまだお茶も出してなかったわね!ごめんなさい、私ったらつい舞い上がっちゃって――」ガタッ

ネム「あ、いえ、申し訳ありませんが今の私は義骸に入っていない霊体の状態ですので、残念ですがおもてなしを受けることは……」

マミ「あ…そ、そうだったわね、ごめんなさい……
   ――ゴホンッ!それじゃあ気を取り直して、今度は私から魔法少女について説明させていただくわね、涅さん」ニコッ
涅マユリ「魔法少女?」
19 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:20:23.01 ID:yUu6sik10
魔法少女や魔女、ソウルジェム、グリーフシードなどについての情報をマミから得たネム
マユリへの報告の為、マミ宅を後にする

マミ「もう行ってしまわれるのね…残念だわ、もっとゆっくりしていっても私は構わないのに」

ネム「申し訳ありません、私もマユリ様への報告をまとめなければなりませんので、今日のところはこれで失礼させて頂きます」

マミ「マユリ様…?」

ネム「はい。私の上官、十二番隊の隊長です」

マミ「ああ、隊長さんね!」(まゆりさん…かわいらしい名前ね。やっぱり涅さんみたいに綺麗な人なのかしら?)

マミ「そうよね…涅さんはお仕事で現世に来ているんだもの、無理を言っちゃだめよね」ショボン

ネム「……ありがとうございました、巴マミさん
   色々な情報を提供して頂いて――」
涅マユリ「魔法少女?」
20 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:21:20.96 ID:yUu6sik10
マミ「――そうだわ!明日も魔女退治をするつもりだけれど、もしよろしかったらご一緒してみない?」

ネム「……よろしいのですか?魔女との戦闘に、無関係な者が関わっては足手まといになるのでは――」

マミ「そんなことないわ!それにね、あなた以外にも魔法少女候補の後輩たちがついてくる予定なの
   だから足手まといとか、そんなの気にしないで。みんなまとめて私が守ってみせるから!」

ネム「わかりました。それではお言葉に甘えさせて頂きます
   ……それと」

マミ「?」

ネム「……いずれ義骸を用意したら、改めてこちらにお伺いしてもよろしいでしょうか?」

マミ「…!ええ、もちろん!」パァ!

マミ「最高のお茶とケーキを用意して待ってるわね!」ニッコリ
涅マユリ「魔法少女?」
21 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:22:41.77 ID:yUu6sik10
ーーーー
マミ「はぁ…まるで夢みたいだわ」ボォ…

ネムが帰り、ひとり紅茶を啜りながら考え事をするマミ
そこへ現れるインキュベーター

QB『来客がいたみたいだね』

マミ「あらキュゥべえ。もう、どこに行ってたの?
   せっかくあなたのことも紹介しようと思ったのに――」

QB『間が悪かったみたいだね、すまないよ
  ただ、こう見えてボクも色々と忙しい身なんでね、どうか許してくれないかな?』チラッ

マミ「――まぁ、いいわ
   うふふ、それよりキュゥべえ、お客さんが誰だったかわかる?」ワクワク

QB『……さてね、新手の魔法少女とかかな?』

マミ「ふふふ…残念でした、魔法少女じゃないわ
   でもすごい人って言う点は当ってるわね」

マミ「聞いて驚かないでよ、なんと“死神”が来たの!」ドヤッ
涅マユリ「魔法少女?」
22 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:24:02.00 ID:yUu6sik10
QB『……へぇ、それはすごいね
  まさか死神なんていう存在が実在していたなんて思いもしなかったよ』

マミ「でしょでしょ!?流石のキュゥべえも知らなかったわよね!
   しかも明日魔女退治に付き合ってくれることになったの!すごいと思わない!?」

QB『ああ、ほんとだそりゃすごいね』(やれやれ、すっかり舞い上がっちゃってるねこれは)

QB(それにしても…やっぱり死神だったか)

QB(参ったな、今までボクらの存在を奴らに知られないよう気を配ってきたのに)

QB(まぁいいや、今はひとまず向こうの出方を窺うとしようか――)
涅マユリ「魔法少女?」
25 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:25:36.44 ID:yUu6sik10
ーーーー
見滝原市・夜の公園
携帯型通信装置で尸魂界のマユリに連絡を取るネム

ネム「――以上です、マユリ様
   おそらくは駐在していた死神の変死にも、魔女かそれに類する未知の存在が関係していると考えられます」

マユリ『…………』

ネム「直ちに今日交戦した魔女及び使い魔の霊圧サンプルを転送します」

マユリ『…………法少女』ボソッ

ネム「マユリ様?」

マユリ『魔法少女!魔法少女!魔法少女!!
    魔女!使い魔!ソウルジェム!グリーフシード!!』

マユリ『面白い、実に興味深い事象ばかりだヨ!』

マユリ『そうとなればグズグズしていられないネ!
    お前の送ってきた情報を元に、さっさと報告書をまとめて私も現世へ調査に向かうとしよう!』

マユリ『ネム!お前は明日も引き続き魔法少女とやらの調査に当たれ
    その巴マミとかいう魔法少女の動向を監視し、より詳細な戦闘データを取るんだヨ!』
涅マユリ「魔法少女?」
26 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:27:10.28 ID:yUu6sik10
ネム「了解しました、マユリ様
   ……それと」

マユリ『さぁて久々に忙しくなりそうだヨ!明日は早朝から隊首会を開いて……ん、なんだネ?
    まだ何か報告してない事項があるのかネ?』

ネム「いえ、そうではないのですが…あの、マユリ様、やはり義骸を送っては頂けないでしょうか?」

マユリ『――何故』

ネム「人間である巴マミと行動を共にする以上、こちらも霊体のままでは――」

マユリ『図に乗るんじゃないヨ屑が
    私はお前に『義骸は必要ない』と二度も言ったハズだ』

マユリ『お前は“人間”の相手をするワケじゃない、“魔法少女”と“魔女”の相手をするんだ
    ――全く、私は忙しいんだ余計な話で水を差すんじゃないよこ役立たずがァッ!!』ガチャッ


ネム「……申し訳ありません、マユリ様」
涅マユリ「魔法少女?」
27 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:28:39.14 ID:yUu6sik10
その夜は明け方近くまで、開発局長室から薄明りと共に猛烈な打鍵音が響き続けたという
涅マユリ「魔法少女?」
28 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:29:56.81 ID:yUu6sik10
翌日午後――
見滝原中学校・校門付近
校舎から連れだって歩く三つの影
巴マミ、鹿目まどか、美樹さやかの三人である

さやか「あっ、そういやあの白いやつ――キュゥべえは今日は一緒じゃないんですか?」

マミ「ええ、なんか最近忙しいみたい
   他の魔法少女候補でも見つけたのかしらね?」

まどか「――でも、ほんとによかったんですか?
    私たちなんかがついていったら、魔女退治の邪魔になっちゃうんじゃ……」

マミ「ふふ、みんなそればっかりね
   大丈夫、二人のことは私がしっかり守るわ」ニコッ

さやか「さっすがマミさん!頼りにしてますよー?」

まどか(みんな?)「ところでマミさん、もう一人一緒に魔法少女体験ツアーに来る人って誰なんですか?」

マミ「うふふ…きっと二人とも驚くわよ?――ほら、あの人よ」
涅マユリ「魔法少女?」
29 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:31:46.62 ID:yUu6sik10
まどか「あれ?あの人――」

ネム「……」ペコリ

さやか「あっ!昨日見かけたミニスカ和服の!」

まどか「ちょっ、さやかちゃん!?」

マミ「えっ?あなたたちあの人のこと知ってるの?」(うそ…まさか二人とも死神のこととっくに知って――!?)ガーン

まどか「あっ、いえ!たまたま昨日マミさん家から帰る途中で遠目に見かけただけで……!」

マミ「そ、そうなの…」ホッ

ネム「――お初にお目にかかります。護廷十三隊、十二番隊副隊長・涅ネムです」ペコリ

さやか「えっ、あっ!こちらこそ初めまして!見滝原中二年の美樹さやかです!」オジギッ

まどか「あ、お、同じく二年の鹿目まどかです!」オジギッ

さやか「……あ、あれ?ところでごてい…何たらってなんですか?」

マミ「ふふ、聞いて驚かないでね?
   ネムさんは死者の魂を導く“調節者”――死神なのよ」ドヤッ

まどか・さやか「……しにがみ?」
涅マユリ「魔法少女?」
31 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:33:05.14 ID:yUu6sik10
ーーーー
ネムと合流し、街へと向かうまどかたちを、じっと見ている少女がひとり

ほむら「……あの女性は何者?今までの時間軸に、あんな人物は一度も出てこなかった」

ほむら「イレギュラーな存在――ひとまず様子を見る必要があるわね」ファサァ
涅マユリ「魔法少女?」
32 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:34:39.29 ID:yUu6sik10
見滝原市・工事現場付近

さやか「はぁー…なんていうか、魔法少女とか聞かされてたおかげで、『今度は死神かよ!』ってくらいの衝撃しか受けないわ、うん」

まどか「そうだね…割とすんなり受け入れられたっていうか、昨日から色んなことの連続で麻痺しちゃったっていうか」

マミ「そ、そうかしら?」(もっと興奮して舞い上がるかと思ったのに……意外にドライなのね二人とも)

ネム「……お二人とも、魔法少女候補だと聞きましたが?」(今のところ霊感のある人間という程度の霊圧しか感じない――)

さやか「あー、まぁそうみたいですねー
    ま、あたしたちはまだキュゥべえと契約するか決めたわけじゃないですけど」

ネム「キュゥべえ…契約によって魔法少女を生み出す存在、でしたね
   できれば一度お会いしたいのですが……」

マミ「ごめんなさい、最近キュゥべえなんだか忙しいみたいで。今日も誘ったのに来られなかったの」

まどか「そういえば今日は見てないね、キュゥべえ」

さやか「昨日マミさん家で話した時にはやたら熱心にあたしたちのこと勧誘してた癖にー!」

ネム(……キュゥべえは避けている?私のことを――あるいは死神のことを)

ゴゴゴゴ……!!

マミ「――お喋りの続きはまた後にしましょうか
   どうやら現れたみたいね――!」
涅マユリ「魔法少女?」
33 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:37:01.60 ID:yUu6sik10
魔女空間in工事現場
出現した《薔薇園の魔女》ゲルトルートと交戦する魔法少女・マミ
ネムはまどか、さやかと共にそれを見守っている

さやか「うわ…アイツ、昨日マミさんが倒した奴より強いかも……!
    ――がんばれー!マミさーん!」

マミ「ありがとう美樹さん――!」

バンッ!バンッ!バンッ!
ポイッポイッポイッ

マミ「――この魔女、手強いわね
   昨日二人を襲った使い魔はもちろん、涅さんを襲った魔女よりも――!」ブンッ

魔女「バラバラバラバラバラバラバラバラ」ゴォォォーー!
涅マユリ「魔法少女?」
34 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:38:26.68 ID:yUu6sik10
まどか「マミさん……!」ハラハラ

さやか「大丈夫――マミさんならきっと勝ってくれるはずだよ――!」ソワソワ

ネム(今回は魔法少女の戦闘データを詳細に取るよう命じられている――)

ネム(――従って私自身が巴マミに加勢することは許されない)


ほむら(何をやってるのよ巴マミ――!
    この程度の魔女、いつもならもっと簡単に――)

ゴゴゴゴ……!!

ほむら(この気配、新手の魔女!?場所はゲームセンター近くの裏路地――いや、既に他の魔法少女が向かってるみたいね)

ほむら「仕方ないわね――このままじゃまどかたちにも危険が及びそうだし、今回は巴マミに加勢するとしましょう」ファサァ
涅マユリ「魔法少女?」
35 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:42:07.65 ID:yUu6sik10
無論、魔女と交戦中のマミも、別の場所で魔女が出現したのに気づいていた
しかし、予想以上に激しいゲルトルートの猛攻に追い詰められ、そちらまで気が回らない

マミ「――ゲームセンターの辺りかしら?」

バンッ!バンッ!
ポイッポイッ

マミ「――もう、いい加減にしてよね――!」

バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
ポイッポイッポイッポイッ

魔女「アカバラシロバラマボロシノアオイバラ」グゥオォォォーーー!!

マミ「まだ倒れないの!?ほんとにしぶと――」

ヒュン

ドォオオォォォーーーンッ!!!」

魔女「ッッッ!!??」グラリ…

マミ「え――?」
涅マユリ「魔法少女?」
36 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:43:39.91 ID:yUu6sik10
スタッ…

ほむら「しっかりしなさい、巴マミ」ファサァ

マミ「あなた、昨日の――!」

ほむら「今は争ってる場合じゃないわ
    鹿目まどかたちに危険が及ぶ前に、さっさとあの魔女を倒すわよ――」サッ

マミ「――そうね、今はあなたと共闘した方がよさそう――!」サッ


さやか「あっ!あいつまた――!」

まどか「ほむらちゃん……!」

さやか「さてはマミさんの獲物を横取りする気ね!」

まどか「で、でもさやかちゃん!今は二人が協力して戦った方がいいよ……!!」

さやか「ぬうぅ〜!確かにそうだけどぉ〜!」

ネム(あれは――新手の魔法少女?それにこの霊圧、他の場所でも魔女と魔法少女が交戦を――)
涅マユリ「魔法少女?」
37 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:44:54.26 ID:yUu6sik10
ザ…ザザ…ピッ

マユリ『お前如きが心配せずとも、もう一方の魔女の出現場所は既に把握しているヨ』ザーザー…

ネム「! マユリ様――」ボソッ

マユリ『余計なことは気にするんじゃないヨ。お前は黙って巴マミの戦闘データを取っていればいいのだからネ』ガチャッ

ネム「……はい、マユリ様」ボソッ

まどか「え?ネムさん、今何か言いました?」

ネム「……いえ、何も」

さやか「あっ――!」
涅マユリ「魔法少女?」
38 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:46:17.29 ID:yUu6sik10
ほむら「私が奴の注意をそらすわ
    あなたはとどめの一撃に強力なのを叩き込んでちょうだい――!」バッ

マミ「私の顔を立ててくれるつもり?――ふふ、それじゃあ遠慮なく――!」ピョンッ

魔女の周囲に手榴弾を投げこみ、次々に爆発させていくほむら
ゲルトルートがそちらに気を取られた瞬間、上空から大筒を構えたマミが――!

ほむら「今よ!巴マミ!!」


マミ「ティロ・フィナーレ!!」

バアァァァーーーンッッッ!!!

まどか「…やった」

さやか「魔女を倒した――!」

ネム「…………」
涅マユリ「魔法少女?」
39 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:47:51.60 ID:yUu6sik10
消滅する魔女空間
マミはグリーフシードを拾うと、何も言わず去ろうとするほむらを呼び止める

マミ「これはあなたのものよ……今回はあなたに助けられちゃったわね、暁美さん」

ほむら「……必要ないわ。私は後からきて少し手を貸しただけよ
    最初から戦っていたあなたの方が魔力の消費も激しいでしょう?素直に取っときなさい」ファサァ

マミ「……ありがとう。それじゃ、お言葉に甘えて――」

グリーフシードをソウルジェムに近づけるマミ
見る見るうちにソウルジェムの穢れが移っていく

ネム(あれが魔法少女の“穢れ”――)ジー…

まどか「マミさん、ほむらちゃん!大丈夫ですか!?」アタフタ

さやか「二人ともお疲れさま――って、あんたもう行くの?」

ほむら「――ええ。他の場所でも魔法少女が戦ってるみたいだから、一応そちらの様子を見に行くわ」スタスタ
涅マユリ「魔法少女?」
40 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:49:21.88 ID:yUu6sik10
マミ「待って暁美さん
   ――助けてくれて、ありがとう!」ニッコリ

さやか「転校生!――あたし、あんたのことちょっと見直したかも
    昨日あんたがなんでキュゥべえのこと襲ってたのかは知らないけど――」

さやか「少なくてもあんたは意味もなく動物虐待したり、他人の手柄を横取りするような奴じゃないって、わかった気がする」

さやか「だからその…昨日は色々ごめん!それと、マミさんを助けてくれたこと、あたしからもお礼言うよ!」

まどか「わ、私も!ほむらちゃんのこと誤解してたかも…
    だから、えーと――!」

ほむら「――ありがとう、みんな」サッ

まどか「あ…行っちゃった」

さやか「はぁ…クールなのは変わんないねー」ヤレヤレ

ネム「……今の魔法少女は、皆さんのお知り合いですか?」
涅マユリ「魔法少女?」
41 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:51:00.47 ID:yUu6sik10
ーーーー
マミたちがゲルトルートを倒す少し前、もう一つの戦いも終わろうとしていた

魔女空間inゲーセン裏路地
《鳥かごの魔女》を追い詰めているのは――

杏子「――これでトドメだっ!!」ブンッ

魔女「ワタシハショセントリカゴノナカノコトリーーー!!!」

ドォオオォォォーーーンッ!!!

杏子「ふぅ――いっちょあがり、ってか」スタッ

槍を担いで地面に降り立つ魔法少女・佐倉杏子
主を倒され逃げ惑う使い魔たちを適当にあしらい追い払う

使い魔「ピーチクパーチクピーチクパーチク!!」アタフタアタフタ

杏子「ほらほら、とっとと失せろー!今なら見逃してやるぞー?」ブンブン

残っていた使い魔も全ていなくなると、魔女空間が消滅し元の路地に戻る
すると――

「ホゥ、使い魔たちは始末しないのかネ?」
涅マユリ「魔法少女?」
43 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:53:17.43 ID:yUu6sik10
杏子「なっ――!?」バッ

飛び退る杏子
見ると、先ほどまで背にしていた壁の表面が剥がれ落ち、『何か』が浮かび上がってくるではないか!

杏子「――なんだてめぇは――!」

「さて、キミに名乗ったところで意味があるとは思えないがネ――まあいい」


「十二番隊隊長及び技術開発局二代目局長・涅マユリ――」


杏子「――よくわかんねーけど、魔女じゃねーみてーだな」

警戒を緩めない杏子
武器も仕舞わず、いつでも動けるように構えている
涅マユリ「魔法少女?」
44 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:55:50.63 ID:yUu6sik10
杏子「にしても、壁から湧いてくるなんてアンタ一体ナニモンだよ?
   アタシに何か用があって来たのかい?」

マユリ「ああ、別にキミ個人に用があったわけじゃないのだがネ
    ただ、たまたま最初に接触した魔法少女がキミだったというだけの話だ」

杏子「あ?」

マユリ「要するに、私は魔法少女や魔女について研究するためにこの街へやって来たのだヨ」

杏子「研究?科学者かなんかってことか――?」

マユリ「思ったよりも理解が早いじゃないか。感心感心」

杏子「喧嘩売ってんのか」

マユリ「まぁ待ち給え。それよりも、魔法少女であるキミに話があるのだが?」

杏子「――ふん。まあいいさ。魔女じゃねーならひとまず敵じゃねーし
   聞くだけ聞いてやるよ、話ってのはなんだい?」

マユリ「フム、話がわかるじゃないか
    それではこちらも単刀直入に言おうか――」


マユリ「どうだネ女?私のもとで研究体として働く気はないかネ?」
涅マユリ「魔法少女?」
46 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 14:58:16.29 ID:yUu6sik10
杏子「……は?」

マユリ「もちろんタダでとは言わないヨ。最高級の待遇で迎えようじゃないか
    安心し給え、私は女性には優しいのだヨ」

杏子「いやちょっと待て。そもそも研究体ってなん――」

マユリ「薬物投与は一日八回」

杏子「――っ!?」

マユリ「機械実験は五時間までとしよう」

杏子「ちょっ、待ておい」

マユリ「食事も経口で与えるし、睡眠時には衣服も与えよう」

杏子「だから――!」

マユリ「改造だって死ぬようなことまでしないよう極力努力するヨ?」

杏子「…………」

マユリ「どうだネ?研究体としては破格の申し出だと思うのだがネ」ズイッ

杏子「……悪い、さっきのは取り消しだ」スチャ…
涅マユリ「魔法少女?」
47 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:00:29.51 ID:yUu6sik10
杏子「アンタ、魔女じゃないみたいだけど、どう見ても敵だわ――!」グッ

手にした槍を大きく振るう杏子
槍は空中で連結棍の如く分離し、まるで鞭のようにしなりながらマユリに叩きつけられる

ドォオオォォォーーーン!!!

杏子「へっ――なっ!?」ハッ

ところが、気が付くとマユリは杏子の後方に移動しているではないか!

マユリ「フム、なかなかの威力だネ。槍自体の破壊力もさることながら、使い手の技術も大したものだ――」

杏子「てめぇいつの間に――!」ブンッ

ヒュンッ
ドォオオーーン!!

マユリ「確かキミたちは“魔力”とやらで身体能力を強化させているのだったネ?
    それに加えキミには魔法少女としての十分な実戦経験も備わっているようだ――」ヒュンッ

ドォオオーーン!!

マユリ「攻撃範囲も広く、速度も申し分ない。まぁ、流石に瞬歩の速度には反応しきれないようだが――」
涅マユリ「魔法少女?」
48 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:03:00.55 ID:yUu6sik10
杏子「くそっ――ちょこまかすんじゃねぇ!」ブンッ

ヒュンッ
ドゴォオオォォーーーン!!!

マユリ「フゥム、しかしいささか面倒だネ。瞬歩というものはとても疲れるのだヨ――」

杏子「ハァ…ハァ…ごちゃごちゃウゼェんだよ変態オヤジ!」(さっきからなんだよあの動きは!?瞬間移動みてーに出たり消えたりしやがって――!)

マユリ「仕方がない、できれば完品の状態で持ち帰りたいところだったのだがネ――」スッ…カチャッ

杏子(刀の柄を握りやがった!やっぱりあの刀が武器か!)「へっ!ワケわかんねーナリの割には武器は古風じゃねーか――!」グッ

マユリ「――手足の一、二本も潰せば、おとなしくなるだろう」カチャッ、スゥゥゥー…

言って、刀を引き抜くマユリ――
槍を構え直し、マユリの出方を窺う杏子――

その時である

「そのくらいにしておきなさい、佐倉杏子――」
涅マユリ「魔法少女?」
49 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:05:08.54 ID:yUu6sik10
杏子「あぁっ――!?」

マユリ「……?」

いつの間にか、二人の間には一人の少女が出現している

杏子「なんだてめぇは!?新手の魔法少女か!?」(こいつ、なんでアタシの名前を――!?)

ほむら「――この場はひとまず退いて、佐倉杏子。私はこの男に話があるの」

杏子「はっ、いきなり湧いて出て何勝手なこと言ってやがんだ!てめぇそいつの仲間か!?」

ほむら「違うわ。私はただ、この男が何者なのか確かめに来ただけ――
    あなたには別に、この男と戦う理由はないのでしょう?」

杏子「そ、そりゃまぁ――」

ほむら「魔女と戦ったばかりだというのに、この上正体不明の不審者相手に無駄な魔力を使うのは賢明じゃないと思うけど?」

杏子「――ちっ、わかったよ
   そのかわり、次に会った時にはそいつやアンタの正体についてたっぷり聞かせてもらうからな――!」ダッ

武装を解除し、あっという間にその場を去る杏子
後に残ったのは、無表情でマユリを睨むほむらと、興味深そうにほむらを観察するマユリだけである
涅マユリ「魔法少女?」
50 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:07:13.22 ID:yUu6sik10
先に口を開いたのはマユリであった

マユリ「――今のがキミの能力かネ?」

ほむら「――何のことかしら」

マユリ「シラを切るのは止め給えヨ。今のは瞬歩や飛簾脚のような高速歩法術の類ではない」

ほむら(……!)

マユリ「時間か、あるいは空間に直接作用するタイプの高等技術だ――違うかネ?」ニヤニヤ

ほむら(こいつ――!)「――さぁ、どうかしら」ファサァ

マユリ「フム、いや面白い
    で?あの小娘を逃がして、代わりにここへ残ったということは、キミが実験材料になってくれるのかネ?」

ほむら「生憎、そのつもりはないわ。ただ――」

マユリ「タダ?」

ほむら「――あなたと協力関係を築きたいとは思っているわ
    ひと月後にこの街へ襲来する“ワルプルギスの夜”との戦いに備えて、ね」

マユリ「ホゥ……?」カクッ

興味深そうにそう呟いて、マユリはカクッと首を傾けるのだった
涅マユリ「魔法少女?」
52 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:10:26.20 ID:yUu6sik10
ーーーー
マユリ「――成程、要するに規格外の魔女が出現するのに備えて、我々死神の力を利用したいというわけだネ?」

ほむら「端的に言えばそうなるわね」

ほむら(それにしても、まさか死神とはね……魔法少女以外にもこんなわけのわからない存在がいたなんて)

ほむら「魔法少女や魔女について、私は他の魔法少女たちよりもずっと精通している
    だから、あなたの研究についてできる限りの情報提供はするつもりよ」

マユリ「――さて、それだけなら私にメリットはさほどないのだがネ
    わざわざキミと協力体制を取らなくとも、ここでキミを生け捕りにすれば済む話だろう?」ニヤニヤ

ほむら「――キュゥべえ」

マユリ「ん?」カクッ

ほむら「少女たちと契約を結んで魔法少女にする存在――インキュベーターのことよ」
涅マユリ「魔法少女?」
53 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:12:54.61 ID:yUu6sik10
ほむら「奴は、ある少女に目をつけているわ
けれど今日になってから、いつもならしつこくその娘に契約を迫るそいつが一度も姿を現していない」

マユリ「ホゥ…で?」

ほむら「そしてその娘は今日、巴マミという魔法少女と行動を共にしていた――」

マユリ「――フム、その名前は聞いているヨ。巴マミとやらには今、ネムを付かせている
    どうやらそのインキュベーターとやらは、死神との接触を避けようとしている、というワケかネ?」

ほむら「ええ、おそらくは」(やっぱり今日まどかたちと一緒にいたのは死神だったようね)

ほむら(この男が羽織の下に着ている和装束があの女性の服と似ていたから、当りをつけてはいたけれど――)

ほむら「奴は狡猾で、かつ慎重よ
    そう簡単にはあなたたちに見つかるような下手は打たないはず」

マユリ「それはつまり、インキュベーターの捕獲にキミが手を貸す、ということかネ?」

ほむら「そういうこと。少なくとも私があなたに協力しようとしていることの証明にはなるんじゃないかしら?」ファサァ

マユリ「――おもしろいじゃないか」ニヤリ
涅マユリ「魔法少女?」
54 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:14:43.82 ID:yUu6sik10
時間は少し遡り、ほむらが去った後の工事現場――
肩を落とすマミを慰めながら、帰路につくまどかたち一行

マミ「……今日はみんなにみっともないところを見せちゃったわね」ハァ…

さやか「そ、そんなことないですよ!マミさんめっちゃかっこよかったですって!ねっ、まどか?」アセアセ

まどか「う、うん!マミさんが一生懸命戦ってたの、私ちゃんとわかりましたよ!」アワアワ

ネム「今回対峙した魔女は、昨日私が交戦した個体よりも強力でした
   長期戦になりながらも大したダメージもなく、よく戦い抜けたと思います」

マミ「……なんだかみんなに気を使わせちゃってるみたいね、ごめんなさい」

マミ「決めたわ。明日は魔法少女体験ツアーはお休みにしましょう」

さやか「えっ!でも、マミさん、あたしたちならほんと気にしないで――」

マミ「ううん、そうじゃないの」
涅マユリ「魔法少女?」
56 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:16:04.10 ID:yUu6sik10
マミ「魔法少女体験ツアーとか、ベテラン魔法少女とか、私ちょっと天狗になってたみたい」

マミ「確かに今日の魔女は手強かったけれど、落ち着いて堅実に戦っていれば私ひとりでも対処できたと思うの」

マミ「こんな調子じゃ、わざわざ魔女空間まで入り込んでもらってまで戦いに付き合ってくれてるみんなを、守り切れる保証もないもの」

マミ「だからね、少し自分の戦い方を見直してみようと思うの」

穏やかな口調ながら、決然と言い切るマミ

さやか「マミさん……わかりました。けどあたし、またマミさんの戦いが見られる時が来るの、楽しみに待ってますから!」グッ

まどか「私も!マミさんならすぐにスランプなんて乗り越えちゃうと思います!」グッ

マミ「ありがとう、二人とも……!
   ――ごめんなさいね涅さん。魔法少女の戦いを見せてあげるだなんて偉そうなことを言っていながら――」

ネム「こちらこそ、無理を承知で同行させて頂き、ありがとうございました」ペコリ
涅マユリ「魔法少女?」
57 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:17:24.71 ID:yUu6sik10
ーーーー
マミ「それじゃあ鹿目さん、美樹さん、涅さん。さようなら」バイバイ

まどかたちに手を振り、マンションに入っていくマミ
まどかとさやかも手を振り返す

さやか「さーて、あたしたちも帰りますか!」

まどか「そうだね。あ、えーっと…ネムさんはどうされるんですか?」

ネム「……せっかくですから、お二人をご自宅までお送りします」

まどか「えっ、でもそんな、悪いですよ。死神のお仕事もあるんでしょう?」

ネム「いえ、構いません。それに、魔法少女候補としてお二人からも少しお話を伺いたいと思っていましたので」

さやか「はいはーい!あたしも死神について色々聞きたいでーす!」

まどか「ティヒヒ…それじゃ、歩きながらお話しましょうか」
涅マユリ「魔法少女?」
58 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:20:18.90 ID:yUu6sik10
ーーーー
さやか「……護廷十三隊に隠密機動に鬼道衆、技術開発局、中央…えーと、四十六室に、王族特務だっけ?」

さやか「ひゃあ〜ダメだぁ〜!複雑ってか規模がでかすぎてわかんない〜!」

まどか「すごいんですね…死んじゃった後の世界にもちゃんとそういう組織とか、社会みたいなものがあるなんて……」

ネム「尸魂界と現世とは輪廻によって連関した表裏一体の世界ですので
   現世に法や社会があるように、尸魂界も掟によって管理されなければなりません」

さやか「はー、死後の世界ってもっとのんきなもんかと思ってのになー。一日中お花畑をふわふわしながら酒盛りしてるみたいなさー」

まどか「完璧に極楽のイメージだねそれ…」

ネム「……ところで話は変わりますが、お二人は既に契約の願いとやらを決めているのですか?」

まどか・さやか「!」

まどか「えと…私はまだ…かな」

さやか「あたしも…まだはっきりとは」

まどか「なんていうか…叶ったら嬉しいなっていうぐらいの願い事なら思いつくんですけど…」

さやか「……今日のマミさんの戦いを見てても思ったけど、やっぱあんな化け物の相手をずっとしていかなきゃならないと思うと…ね?」

ネム「なるほど…っ!?」ハッ

ネム(この霊圧は――マユリ様!)
涅マユリ「魔法少女?」
59 : ◆fRP8xo8mkY []:2011/09/21(水) 15:22:07.67 ID:yUu6sik10
まどか「ネ、ネムさん?どうかしたんですか……?」オロオロ

ネム「マユリ様――私の上官が現世に到着しているようです」

さやか「まゆり様?なんか『隊長』って役職に似つかわしくないかわいらしい名前ですねー!
    ネムさんの上司ってことは、やっぱりスペシャルぼでーの持ち主なんですかー?」ニヤニヤ

まどか「ちょっ、さやかちゃん失礼だよ!」カァー

ネム(スペシャル……?)「……確かに少々特殊な身体の持ち主ですが」

さやか「やっぱり!?」(スレンダーきょぬーのネムさんから見て『特殊』って、どんだけわがままぼでーなのよ!?)

ネム「申し訳ありません。ご自宅までと言いましたが、報告事項等がありますので一刻も早くマユリ様のもとへ行かねばなりません――」

さやか「ハッ!いやいやいやとんでもない!こちらこそわざわざ付き合わせちゃってすいませんでした!」オジギッ

まどか「あっ!あの、色々お話聞かせてもらってありがとうございました!お仕事頑張ってください!」オジギッ

ネム「礼には及びません――それでは失礼します」ヒュンッ

まどか「あ…消えた……」

さやか「さすが死神……!」


ネム(わずかながら霊圧が上昇している――交戦状態にあるということでしょうか――?)シュタタタタ…
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