- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
156 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:02:53.60 ID:Z1bJNAI/0 - QB「本気かい?」
杏子「だってチョロそうじゃん。瞬殺っしょ、あんな奴。それとも何? 文句あるってんだ? あんた」 QB「…それだけは勘弁してくれないかな…」 杏子「ああ?」 QB「実は訳あって、彼女に死なれると非常に困るんだ… 無理を承知でお願いすると、君にはむしろ、さやかを守ってほしいんだ…」 杏子「……」 QB「駄目、だよね…」 杏子「バーッカじゃないの? そんなことしてあたしに何の得があるってのさ」 QB(どうしよう…杏子と本気でぶつかったら、さやかに勝ち目はない… マミがいない今、杏子を止められる人がいるとしたら、まどかか…) 杏子「…? 何難しい顔してんのさ」 QB(…暁美ほむら…) QB「…全て君の思い通りに行くとは限らない。この町にはもう1人魔法少女がいる…」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
157 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:03:14.31 ID:Z1bJNAI/0 - QB(昨日はああ言っていたけど、意外と情に厚い所があるように見えた…
さやかが危なくなったら、僕に借りを返しに来るかもしれない…) 杏子「へぇ。何者なの? そいつ」 QB「僕にもよくわからない…」 杏子「はぁ? どーいうことさ。そいつだってあんたと契約して魔法少女になったんでしょ?」 QB「そう考えるしかないのは確かだけど…不思議なことに、僕にはその記憶がないんだ」 杏子「……」 QB「あの子は極めつけのイレギュラーだ…どういう行動に出るか、僕にも予想ができない」 杏子「フン、上等じゃない。退屈すぎても何だしさ。ちっとは面白みもないとねぇ」 ワッフルの最後の一口を口に放り込み、歩き出す QB「…13日だけでいい」 杏子「…?」 QB「13日の間だけ、待ってほしい…守ってくれとは言わない ただ、手を出さないであげてほしい…」 杏子「…あんた、キュゥべえだよね」 QB「え…?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
158 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:03:40.56 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「なんか、性格変わりすぎじゃない? ちょっと見ない間にさー」
QB「そうかな…」 杏子「そのさやかって奴に惚れてんじゃねーの?」 QB「それは違う…」 杏子「13日後に何がある訳?」 QB「悪いけど、今は言えない…だけど、その後は君の好きなようにしていい… もう、口出しはしない」 杏子「……」 QB「……」 杏子「あんたもそんな顔するんだなー」 QB「…?」 杏子「まぁ、そこまで言うなら考えてやってもいいけど。あたしも鬼じゃねーし」 QB「本当かい?」 杏子「ああ。ただし、もし向こうから喧嘩吹っかけて来たら、そん時は知らねーよ」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
159 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:04:08.50 ID:Z1bJNAI/0 - QB「それなら大丈夫だ。僕からも釘を刺しておく」
杏子「あたしは例の『イレギュラー』って奴と遊んでるとするか。別にいいでしょ?」 QB「…構わない。けど、気をつけて」 杏子は後ろ向きに手を振って歩いていった QB(よかった…) ――――――――― その後 さやかがまどかとキュゥべえを連れてパトロールをしている さやか「――あたし馬鹿だから、1人だと無茶なデタラメやらかし兼ねないし、 まどかもいるんだって肝に銘じてれば、それだけ慎重になれると思う」 QB「…そっか。うん、考えがあってのことならいいんだ」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
160 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:04:38.16 ID:Z1bJNAI/0 - QB(まどかがさやかに付き添うことは、チャンスにもピンチにもなり得る…
マミがやられた時、まどかは完全に震え上がってしまった まして親友であるさやかがああなったら、きっと僕の声なんて聞こえないだろう… チャンスが来るとしたら、それはほんの一瞬だ… だから躊躇するな…! さやかを想うまどかの気持ちを、『利用』することを…!) QB「…ところでさやか、君に1つ言っておきたいことがある」 さやか「え? 何?」 QB「この町に、君達の知らない魔法少女が来た。ベテランだけど、マミと違って好戦的な子だ」 さやか「ん…」 QB「というか、ちょっと事情があって、グリーフシードを集めることに必死なんだ それで、ライバルである君の存在をあまり快く思ってくれていない…」 さやか「それってつまり…」 QB「ああ…ここに来た時、君をやっつける気でいた」 さやか「…!」 まどか「え…!?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
162 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:05:01.11 ID:Z1bJNAI/0 - QB「だけど安心してくれ。さっき彼女と会って、君に手を出さないようにお願いしておいた
君から仕掛けない限り、特に問題ないだろう」 さやか「ほっ…」 QB「そんな訳だから、くれぐれも噛み付いたりしないでくれよ」 さやか「なーんだ、脅かさないでよ。大丈夫大丈夫、あたしがそんなことする訳ないでしょう?」 QB「ははは。わかってはいるけど、君にもちゃんと言っておくって約束したからね」 まどか「よかった…」 さやかのソウルジェムが反応する さやか「ここだ…」 ――景色が変わった QB「この結界は、多分魔女じゃなくて使い魔のものだろう」 さやか「楽に越したことないよね。こちとらまだ初心者なんだし」 QB「なんだか君は本当に頼りないな。油断は禁物だよ」 さやか「わかってる」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
163 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:05:24.09 ID:Z1bJNAI/0 - ポコッ
後方から飛んで来た小さなボールが地面で跳ねた さやか「!?」 無数のボールを引き連れた使い魔がラジコン飛行機に跨って頭上を通り過ぎた まどか「来てるよ!」 さやか「任せて」 ――変身 さやかが数本の剣を召還し、次々と使い魔に投げつける キンッ キンッ 唐突に現れた魔法少女が空中の剣を叩き落した さやか「!?」 QB(杏子…) 使い魔が逃げていく 杏子「ちょっとちょっと、何やってんのさ。あんた達」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
164 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:05:44.47 ID:Z1bJNAI/0 - まどか「逃がしちゃう!」
使い魔を追いかけるさやか 杏子がさやかの喉元に槍を突きつけた さやか「…!」 QB「杏子!」 杏子「見てわかんないの? あれ魔女じゃなくて使い魔だよ グリーフシードを持ってる訳ないじゃん」 さやか「だって、あれほっといたら、誰かが殺されるのよ!?」 杏子はたいやきを食べ始めた 杏子「だからさ…4〜5人ばかり食って魔女になるまで待てっての そうすりゃあちゃんとグリーフシードを孕むんだからさ あんた、卵を産む前の鶏絞めてどうすんのさ?」 さやか「魔女に襲われる人達を…あんたは、見殺しにするって言うの!?」 QB「よすんだ、さやか! 彼女が例の魔法少女だ。落ち着いて、ここは引き下がるんだ!」 さやか「! …あんたなのね、あたしを狙ってたってのは…」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
165 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:06:05.02 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「…キュゥべえ。どういうことさ? ちょっと話が違うんじゃねーの?」
QB「さ、さやか…お願いだから手向かわないで…!」 杏子「キュゥべえは何て言ったのかな? あたしと会ったらどうしろって言われた?」 さやかに詰め寄る杏子 さやか「うっ…」 杏子「ま、身の程わきまえろってこった。遊んでほしくなったらいつでもかかっておいで」 杏子が背を向ける QB(ふぅ…。全く肝が冷えるよ…) さやか(…あの転校生といい、こいつといい…魔法少女ってこういうもんなの? グリーフシードの為に平気で人を見殺しにするような奴らなの…!? 許せない…こういう奴のせいで、マミさんは…!!) さやか「だあああああああああ!!」 さやかが杏子に後ろから斬りかかる QB「なっ…!!」 まどか「!?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
167 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:06:27.12 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子は後ろ向きのまま槍で受け止めた
さやか「くっ…!」 杏子「はーあ。あんたさ、ひょっとして…」 たいやきの最後の一口を食べて中途半端に振り返る 杏子「…馬鹿?」 さやか「…あんたみたいな奴がいるから、マミさんは!」 QB「さやか! もういい、帰ろう! 不意打ちなんてどうかしてるよ!」 杏子がまどかとキュゥべえの前にバリケードを張った 杏子「うぜぇ…超うぜぇ! せっかくアドバイスしてやったっつーのに あんたは人としての礼儀もわかんねーのか?」 さやか「黙れ!!」 杏子「キュゥべえには悪いけどさー。やっちゃっていい? この子 よっぽど殴られたいみたいだし、あたしも我慢の限界なんだわ」 QB「まずい…!」 さやか「うああああああ!!」 先に仕掛けたのはさやかだった
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
181 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:39:55.84 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子は造作もなく打ち返し、本格的に攻撃を始める
キン キン バチッ 防ぐのがやっとのさやか 杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねーよウスノロ!」 さやか「くっ…負けるもんか!!」 まどか「どうして…。ねぇ、どうして? 魔女じゃないのに… どうして味方同士で戦わなきゃならないの…?」 QB「……」 まどか「お願い、キュゥべえ…止めさせて…! こんなのってないよ…!」 QB(どうしてこうなるんだ…杏子は戦う気なんてなかったのに… こっちから絡んだりしないって約束したじゃないか…!) QB「…さやか! いい加減にしてくれ! 杏子に謝るんだ!」 キン キン ドゴッ さやか「うっ…! …あんたはどっちの味方なのさ! キュゥべえ!! こんな最低な奴に頭下げろっていうの!?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
182 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:40:17.33 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「口が減らないね。しょうがないから二度と喋れないようにしてやるよ!」
さやか「!!」 バキッ QB(さやかの回復力は抜群だ…。だけど、杏子の攻撃力はそれを凌駕している… お互いここまで熱くなってしまった以上、どっちかが倒れるまでやめてくれないだろう… 下手をすると、さやかは魔力が尽きて――!) QB「まどか…」 まどか「何…?」 QB「これまでだ…。もう、君がやらなきゃ、さやかは殺されてしまう…」 まどか「……!」 QB「僕を赦してくれとは言わない…僕のせいなのに、僕には2人を止めることはできない…!」 まどか「……」 涙目になるまどか QBは強く目を閉じた QB「だから――!」 出かかった言葉が喉に詰まる
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
184 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:40:41.60 ID:Z1bJNAI/0 - QB(…!? ――なぜ言い出せない…! 絶好のチャンスが来てるじゃないか…!
まどかがかわいそうか? そう思わない為に深入りは避けて来ただろう 卑怯? それが何だ…気にしてる場合か…! まどかは最高のエネルギーだ それ以外の何だというんだ! 契約する…これで全て終わる…! これで楽になれる…!) QB「け…」 バキッ ドカッ QB「契約してくれ…! まどか、君が今ここで魔法少女になって、2人の仲裁に入るんだ…! 彼女達を止められるのは、強い魔法少女だけだ…!」 まどか(…そうだ…。私が契約すれば…!) 杏子がさやかの足を薙ぎ払う さやか「うわ!」 ドサッ 杏子「終わりだよ」 杏子が渾身の攻撃に入った まどか(さやかちゃん…!) まどか「私…!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
185 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:41:00.63 ID:Z1bJNAI/0 - ほむら「それには及ばないわ」
ほむらがどこからともなく現れる まどか「…!?」 QB「ほむら…!」 ドゴーン 杏子の一撃でコンクリートの地面が砕けた 杏子(消えた…!?) さやか「……?」 まどか「ほむら…ちゃん…」 杏子「…! な、何しやがったテメェ!!」 ほむらに槍を向ける杏子。そこにほむらはいない 杏子「!?」 ほむら「……」 ほむらが背後から杏子を見つめている
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
186 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:41:18.69 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「!!」
向き直って警戒する杏子 杏子「そうか…あんたが噂の『イレギュラー』って奴か 探してたんだよね。退屈しのぎの相手にさ。それにしても、妙な技を使いやがる…」 さやか「くっ…邪魔するな!」 ほむらはさやかの後ろに出現し、首に手刀を入れた さやか「ッ……!」 バタ 杏子がバリケードを解く まどか「さやかちゃん!」 倒れたさやかに駆け寄るまどか QB「…大丈夫、気絶しているだけだ」 杏子「…何なんだあんた? 一体誰の味方だ」 ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵 あなたはどっちなの? 佐倉杏子」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
188 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:41:38.98 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「な…! …どこかで会ったか?」
ほむら「さぁ。どうかしら」 杏子(こいつ…タダモンじゃなさそうだ。今んとこ、全てが未知数… 手品の種なんてのは蓋を開けてみりゃあくだらないもんだけど… 何もわからないまま突っ込んで行ったら一杯食わされるかもしれない…) QB(杏子のことまで知っている…!? 杏子はこの町に来たばかりなのに… 一体いつ、どうやって調べたっていうんだ…? こんなこと、特殊能力を複数持ってでもいない限り、できるはずない…!) 睨み合う杏子とほむら 杏子「……」 ほむら「…」 杏子「…手札がまるで見えないとあっちゃねぇ。今日のところは降りさせてもらうよ」 ほむら「賢明ね」 杏子はビルの上に飛び去った ほむら「…」 QB「…ありがとう…ほむら」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
189 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:42:00.71 ID:Z1bJNAI/0 - ほむら「お礼を言われる覚えはないわ。頼みを聞き入れた訳でもない
まどかと契約する口実を、あなたに与えたくなかっただけ」 QB「……」 ほむら「鹿目まどか。一体何度忠告させるの? どこまであなたは愚かなの?」 まどか「! ……」 ほむら「あなたは関わり合いを持つべきじゃないと、もう散々言って聞かせたわよね」 まどか「…私は」 ほむら「愚か者の相手なら、私は手段を選ばない」 まどか「…!」 QB「…まどかを怖がらせないであげて」 ほむら「脅しのつもりはないわ。あなたには、それが伝わったはずよ。キュゥべえ」 去っていくほむら まどか「ほむらちゃん…どうして…」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
190 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:42:19.98 ID:Z1bJNAI/0 - ――――――――――――
――夜。さやかの部屋 ソウルジェムを浄化するさやか QB「これでまたしばらくは大丈夫だ」 さやか「うわぁ…真っ黒」 グリーフシードを眺めながら QB「もう危険だね。これ以上の穢れを吸ったら、魔女が孵化するかもしれない」 さやか「え…!?」 QB「大丈夫。貸して」 受け取ったグリーフシードを体に取り込むキュゥべえ QB「キュップイ…これでもう安全だ」 さやか「食べちゃったの?」 QB「あはは、ちょっと違うかな…。それより、また次にソウルジェムを浄化する為には 早く新しいグリーフシードを手に入れないと」 さやか「これを綺麗にしておくのって、そんなにも大切なことなの?」 QB「…うん…すごくね…。あ、ほら。佐倉杏子は強かっただろう?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
191 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:42:36.03 ID:Z1bJNAI/0 - さやか「…」
QB「余力が沢山ある分、魔力を出し惜しみせずに攻めることができる。それが杏子の強みだ」 さやか「だからって…グリーフシードの為に他の人を犠牲にするなんて…」 QB「杏子にも、彼女なりの事情がある。君は初対面であんな風になってしまったけど あの子を悪く思わないでほしい…」 さやか「事情ねぇ…ううん。あいつに何があったか知らないけど 他人を食い物にしていい理由なんてある訳ない!」 QB(あの子は、普通の生き方はできなかったんだよ… 他にもやりようはいくらでもあったに違いないけど、 僕にもさやかにも、杏子を非難する資格はないと思う…) QB「いずれにしろ、魔法少女とグリーフシードは切っても切れない関係にある 君がこれを集められない限り、杏子と戦っても勝ち目はないだろう」 さやか「はぁ…なんだかなー… …マミさんだって、充分なグリーフシードを持ってた訳じゃないんでしょう? でも、ちゃんと戦えてたよね。やっぱあれ? 才能の違いとかあるの…?」 QB「そうだね。それだけじゃなく、君は能力の特性上、普通に戦っているだけで 他の子達より多くの魔力を消耗する傾向がある 君の傷は放っておいてもすぐに治るだろう? それが原因の1つとなってしまっている」 さやか「うぅ…。ずるーい! 不公平だー!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
192 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 00:42:55.10 ID:Z1bJNAI/0 - QB「こればっかりは仕方ないよ。何にでも個人差はある。杏子は素質がある上にベテランだし…
逆に、まどかは契約した時点で杏子くらいでは太刀打ちできない魔法少女になるだろう」 さやか「前にも言ってたね…。あのまどかがねぇ…」 QB(何度もチャンスはあったのに、僕はまだこんなことをやっている… 後回しにしたって何の意味もないのに… …そうだ。さやかに後押ししてもらおう…僕1人では、荷が重い…) QB「そこでなんだけど…こういうのはどうかな 君が単独でグリーフシードを集めるのは難しいし、杏子やほむらといった難敵もいる それでも、まどかの協力があれば、どんな戦いもずいぶん楽になるはずだ だから、僕と契約してくれるように、君から頼んでみてもらえないかな…」 さやか「ううん、駄目! …これは、あたしの戦いなんだ。あの子を巻き込む訳にはいかない…」 QB(…甘かったか…。逃げてばかりじゃ駄目なんだよなぁ…) QB「…そっか。ごめんね。汚い仕事押し付けようとして…」 さやか「え? 何よそれ」 QB「……。大した意味はないよ。まどかと契約したいのはやまやまだけど、 魔法少女の苦悩を沢山見て来たから、自分で頼むのは気が進まなくて」 さやか「へぇー」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
200 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:01:17.21 ID:Z1bJNAI/0 - さやかが急にキュゥべえを抱き上げる
QB「うわ!」 さやか「やっぱあんたっていい子だよねー! ちっちゃい体して憎いなーこのこのー!」 QB「……」 QB(…どうして…?こんな風に誤解されるのが嫌で… 友達と思われるのが嫌で、仲良くならないように気をつけてたのに… 君には冷たいことだって沢山言ったじゃないか…なのにどうして…?) QB「……」グスン さやか「って、あれ…? あぁ、ご、ごめん、痛かった!?」 QB(…いいさ。笑うよ) QB「ひどいよー! さやかは限度ってものがわかってないんだから!」 さやか「あはは、ごめんって」 QB「あはは」 QB(もう取り返しはつかない…。これはせめてもの罪滅ぼしだ…)
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
202 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:05:47.01 ID:Z1bJNAI/0 - ―――――――――
――2日後 さやかがキュゥべえを連れて恭介の家に向かっている QB「本当について行っていいのかい」 さやか「ただちょっと話しに行くだけだから。それに、今更コソコソすることないでしょ あたしとキュゥべえの仲なんだし」 QB「…そっか」 恭介の家の前 さやかがインターホンに手を伸ばしたところで バイオリンの音が聞こえ出す さやか「あ…」 QB「……」 聞き入るさやか QB(恭介が弾いているんだろうか。さやかには、音だけで誰の演奏かわかるのかな…) さやかがキュゥべえに笑いかける
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
203 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:09:07.23 ID:Z1bJNAI/0 - QB「……」
曖昧に笑い返した さやか「…帰ろっか」 QB「え? いいのかい? 会わなくて」 さやか「うん…恭介のバイオリン聴けただけで、あたしは満足だよ 今は邪魔しないでおきたいから…」 QB「わかった」 さやかが振り返る 杏子「…」 杏子が見ていた さやか「…!」 杏子「会いもしないで帰るのかい? 今日一日追いかけ回したくせに」 QB「杏子…どうしてここに?」 杏子「ちょっとそいつの面倒見てやろうと思ってさ。使い魔なんか探したりして 魔法少女っつーものが何なのか、まだ全然わかってないみたいだからねぇ」 QB「…さやかなら、大丈夫だ…!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
205 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:12:15.16 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「なんであんたまでそんな怖い顔してんのさ? 別に取って食いやしねーよ」
さやか「何を言いに来たのよ」 杏子「キュゥべえから聞いたよ? この家の坊やなんだろ。あんたが契約した理由って」 さやか「…!」 QB「杏子! からかったりさせる為に教えたんじゃない!」 杏子「わかってるわかってる。あたしはただ先輩としてお説教しに来たんだ」 さやか「……」 杏子「全く。たった一度の奇跡のチャンスをくっだらねーことに使い潰しやがって」 さやか「く…! お前なんかに何がわかる!」 杏子「わかってねーのはそっちだ、馬鹿。魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを 叶える為のもんなんだよ。他人の為に使ったところでロクなことにゃあならないのさ …巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?」 さやか「…!!」 QB(何を…! …いや、落ち着け。杏子はさやかが憎くてこんなことを言ってるんじゃない… そう、落ち着け…ここで僕が冷静でいないでどうするんだ…) 杏子「惚れた男をモノにするなら、もっと冴えた手があるじゃない。せっかく手に入れた魔法でさ」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
206 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:15:32.29 ID:Z1bJNAI/0 - さやか「…何?」
杏子「今すぐ乗り込んでいって、坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰してやりな あんた無しでは何もできない体にしてやるんだよ そうすれば坊やは今度こそあんたのモンだ。身も心もぜーんぶね」 さやか「…くっ…!」 杏子「気が引けるってんならあたしが代わりに引き受けてもいいんだよ? 同じ魔法少女のよしみだ。お安い御用さ」 さやか「…赦さない」 QB「杏子!!」 杏子「?」 QB「言いすぎだ! 撤回してくれ!」 杏子「……」 さやか「キュゥべえ…」 QB「君が本当に言いたいことは、僕にはわかる… だけど、さやかに対してそんな皮肉はないだろ! ひどすぎるよ!」 杏子「…はぁ?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
207 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:19:01.62 ID:Z1bJNAI/0 - QB「…! さやか、怒らないでくれ…。杏子は本気じゃない。本当は君の為を思って――」
杏子「あのさぁ」 QB「…?」 杏子「しょーじき、ムカつくんだわ。こいつ 甘ったれて生きて来ましたってのがモロに伝わって来るんだよね 言っとくけどあたしは本気だよ? 何だったら今すぐにでも――」 さやか「殺してやる…」 QB「さ…さやか…!」 さやか「お前なんか、いなくなっちゃえばいいんだ!!」 杏子「…ほーう。言っちゃったね。いい度胸じゃん。あんだけやられてもまだわからないなんて、 あんたよほど物分りが悪いんだねぇ」 QB「さやか、いけない。怒っちゃ駄目だ…!」 さやか「望むところよ…今度こそ終わらせてやる…!」 QB(駄目だ、聞いてない…! さやかはいつもこうだ…カッとなると周りが見えなくなる… 杏子もどうしてそこまでさやかに突っかかるんだ…!) 杏子「場所変えようか。ここじゃ人目につきすぎる」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
209 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:22:02.09 ID:Z1bJNAI/0 - ―――――――――
――まどかの部屋 QB(まどか――) まどか「ん?」 QB(まどか!) まどか「え?」 窓辺からキュゥべえが覗いている QB(急いでくれ…さやかが杏子と決闘しようとしてる) まどか「ええ!」 QB(何度も申し訳ないけど、僕には止められないんだ…。ついて来て)
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
211 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:25:15.02 ID:Z1bJNAI/0 - ――歩道橋の上
杏子「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手に行こうじゃん」 チョコプレッツェルをくわえたまま変身する杏子 さやか「…」 さやかがソウルジェムを掲げる まどか「待って! さやかちゃん!」 まどか達が駆け付ける さやか「まどか!? 邪魔しないで、そもそもまどかは関係ないんだから」 まどか「駄目だよこんなの、絶対おかしいよ…!」 杏子「フン、ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだねぇ」 ほむら「――じゃああなたの仲間はどうなのかしら」 杏子の背後にほむらが現れる 杏子「!」 ほむら「話が違うわ。美樹さやかには手を出すなと言ったはずよ」 杏子「あたしはその気はなかったんだけど、あいつがやたら刃向かって来るから…」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
213 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:29:18.83 ID:Z1bJNAI/0 - ほむら「それなら私がおとなしくさせるわ。手出ししないで」
杏子「…フン。じゃあこいつを食い終わるまで待ってやる」 くわえたプレッツェルを指差す ほむら「充分よ」 QB(ほむらと杏子がグル…!?) さやか「ナメるんじゃないわよ!」 まどか「…さやかちゃん、ごめん!」 まどかがソウルジェムを奪って橋から投げ捨てた ポトッ 下を通りかかったトラックの幌に乗って運び去られていく QB「あ!!」 ほむら「!」 ほむらが消えた さやか「…! まどか、あんた何てこと…!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
214 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:31:08.12 ID:Z1bJNAI/0 - まどか「だって、こうしないと――」
さやかがぐったりとまどかにもたれかかった まどか「え…? さやかちゃん…?」 QB(まずい…いや、まずいどころじゃない…! 大変なことになってしまった…! まどかがソウルジェムの秘密を知る…! 終わりだ…何もかも…!) まどか「どうしたの…? ねぇ、さやかちゃん? 大丈夫?」 杏子「…?」 杏子が駆け寄ってさやかの脈を取る まどか「や、やめて!」 杏子「…!? …どういうことだおい…! こいつ、『死んでる』じゃねーかよ…!!」 まどか「!?」 QB(嘘だ…嘘だよね…。こんなことになるなんて…。最悪だ…… 嘘だろう…? 待ってくれ…これは、現実なのか…? 夢だろう…!?) まどか「さやかちゃん…? ねぇ、さやかちゃん…! 起きて…? ねぇ…! ねぇ、ちょっと…どうしたの? ねぇ…! 嫌だよこんなの! さやかちゃん!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
221 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:43:29.32 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「何がどうなってやがんだ…?」
QB「……」 杏子「おい!」 QB「う…うぅ…」 杏子「なぁ、何なんだよこれ! テメェ何か知ってんだろ!? 答えろよ!!」 杏子がキュゥべえを掴み上げる QB「うっ…!」 QB(どうしよう…どうしたらいい…? 何て言えば納得してもらえるんだ…?) QB「これは…」 QB(『納得』…? 何を考えているんだ…ふざけている場合じゃないだろう…! 今やるべきことは、一刻も早く――) 杏子「おいったら!!」 QB「…ソウル…ジェムを…」 杏子「あ!?」 QB「ソウルジェムを取り戻さないと…!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
223 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:46:59.22 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「何言ってんのか聞こえねーよ!」
QB「は、早く!! さやかのソウルジェムを取り戻さないと! 行方がわからなくなってしまう!!」 杏子「質問に答えろ! さやかはどうなっちまったんだよ!」 QB(会話にならない…!) QB「手を放して!」 杏子「ごまかすんじゃねぇ!」 QB「今すぐ放せ!!」 投げつけるように乱暴に解放する杏子 QB「あぐっ!」 潰れたままトラックの去った方に目を凝らす QB(まだ見えるはずだ…僕の目になら。人間だったら双眼鏡が必要になってしまう… トラックのナンバーを見るんだ…所有者に連絡して、行き先を調べるんだ…! 絶対に…絶対に壊さないように沢山お願いして…! 無事に取り返すんだ…!!) トラックはとっくにカーブを曲がって見えなくなっていた QB(そんな…!)
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
227 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:51:02.35 ID:Z1bJNAI/0 - ジャキ
QB「!?」 杏子がキュゥべえの顔に槍を突きつけている 杏子「何してんだこら…!」 QB「…!」 QB(どうして……!) QB「杏子…」 杏子「…」 QB「君達魔法少女は…ソウルジェムで肉体を操っている…」 杏子「…!?」 QB「魔力の届く範囲は…多く見ても100メートル程度だ…」 まどか「何言ってるのよキュゥべえ! 助けてよ! さやかちゃんを死なせないで!」 QB「…まどか…」 QB(落ち着け…。まだ手遅れって決まった訳じゃないんだ…そうだよね…?)
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
231 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:56:16.58 ID:Z1bJNAI/0 - QB「まどか…さやかは、死んでない…」
まどか「え…?」 QB(だけど、トラックはどこへ行ったんだ…? 手がかりも何もないのに、 見つけ出せるのか…!? いや、トラックが見つかったとして、 肝心のソウルジェムが道に転がってしまっていたら…!?) QB「えっと…」 杏子「どういうことだよ!」 QB「それは…その…少し違うんだ…」 QB(! ほむらは…!?) QB「ぐ、具体的に…説明する…」 杏子「…」 QB「魔法少女は、生身じゃないんだ…。魔女と戦う為に、肉体が傷ついて壊れても、 死なないように…魂を取り出して、ソウルジェムに変える…。それが、『契約』…」 杏子「な…!」 まどか「…!」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
232 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:59:20.76 ID:Z1bJNAI/0 - QB「ソウルジェムは…文字通り、魔法少女の魂…命そのものだ…
だから、なくしたり砕かれたりすると…体は抜け殻になってしまう…」 杏子「…ふざけんじゃねぇ!! それじゃああたし達、ゾンビにされたようなもんじゃねーか!」 QB「…こ、これが、魔法少女が『強い』理由の1つなんだ… 魂が、肉体と別の場所にあるから…致命傷を負っても、 魔力で治すことさえできれば、今まで通り…戦える…」 まどか「…ひどいよ…こんなの、あんまりだよ…!」 さやかの体にすがって泣きじゃくるまどか QB(もう駄目だ…こんなに泣いてる…。まどかはもう、諦めるしかなくなってしまった… 僕のやって来たことは、『間違い』だった…。全て水の泡だ… こんな結末の為に、無関係だったさやかまで…) 死んださやかの目を見る QB(さやか――!) ピト ほむら「……」 戻って来たほむらが、ソウルジェムをさやかの手に乗せた QB(ほむら…?)
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233 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 01:59:52.70 ID:Z1bJNAI/0 - さやか「…はっ」
息を吹き返す まどか「!」 杏子「!?」 起き上がって周りを見るさやか さやか「…何?」 キュゥべえは飛びつくようにさやかの服にしがみついた さやか「えっ?」 QB「……」 体が震えている さやか「キュゥべえ? ちょっと、どうしたの?」 QB「……」
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234 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:00:13.95 ID:Z1bJNAI/0 - さやか「…あれ…泣いてる?」
QB(僕は…さやかに何を言いたいんだろう。謝りたいのか…?) まどか「キュゥべえ…」 杏子「な…」 QB「……」 さやか「ど、どうしたのよ? っていうか、あたし、今何してた…?」
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235 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:00:41.35 ID:Z1bJNAI/0 - ―――――――――――
――さやかの部屋 ガチャ 部屋に入って机の上にソウルジェムを転がすさやか さやか「…騙してたのね、あたし達を」 QB「……」 さやか「なんで教えてくれなかったのよ」 QB「……」 さやか「…答えてよ」 QB「…ごめん」 机に突っ伏して泣き出すさやか QB「…本当にごめん…。あの話を先にしなかったのは、こっちの勝手な都合だよ…」 さやか「……」 QB「…さやか」 さやか「…話しかけないで」
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238 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:03:11.40 ID:Z1bJNAI/0 - QB「…僕は、君を魔法少女にしてしまった。恨まれるのは、覚悟の上だった…」
さやか「……」 QB「…初めからわかってたのに…。それでも、君と契約してしまった…」 さやか「…」 QB「…ごめんね」 音を立てないように去っていくキュゥべえ さやか(『ごめん』? 謝って済むことじゃないでしょ…! キュゥべえはどうしてあたし達をこんな目に遭わせるの? なんでこんな体にしたの? あんたのこと信じてたのに…!) 顔を伏せたまま拳を握る (QB『魔法少女になったら、君はきっと不幸になってしまう』) さやか「……」 さやか(…そっか。こういう意味だったんだ。最低だよね そうやって前もってごまかしておけば『嘘は言ってない』って逃げられるもんね あんたは騙されたあたし達が悪いって思ってるの?) さやか「……」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
243 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:06:09.10 ID:Z1bJNAI/0 - さやか(……馬鹿じゃないの、あたし。何考えてるんだろ…。最低なのはあたしのほうだ…
キュゥべえはずっと、契約したがるあたしを引き止めてたじゃんか… やめたほうがいいって何回も言われたのに、それでも無理に頼んだの、あたしじゃん… いつも何か考え込んでたのも、無理して笑ってたのも、 それって…全部あたしが原因だったんじゃん… 毎回あたしが馬鹿やる度に、キュゥべえは、あたしの代わりに悩んでたんだ… 時々キツいことも言うけど、あいつはあたしみたいに八つ当たりしたことないし… なんでキュゥべえの気持ち、少しも考えなかったんだろ、あたし…) 机から少し顔を離す さやか(キュゥべえに謝らないと…) さやか「ごめん、キュゥべえ…。ちょっと、言いすぎた…」 返事はない さやか「本当、ごめんって…」 振り向くさやか キュゥべえはいない さやか「……」 さやか(出てっちゃった…。…ひどいこと、したな…)
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246 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:09:07.46 ID:Z1bJNAI/0 - ―――――――――
――翌日の夜。ホテル一室 QB(悪い夢だったんだ――) キュゥべえが窓から杏子を覗いている QB(魔法少女と友達になるなんて、悲しいだけ…。全部、夢だったんだ みんなと一緒に過ごした目的は、幸せになることなんかじゃない… 僕1人の感情なんか、どうでもいい…。宇宙全体の問題なんだ …いや、そもそも僕が、あの子達の笑顔を見たいと思うこと自体、おこがましい) QB「杏子」 QB(僕は間違ってたんだ。僕は病気だ) 杏子「ん? …キュゥべえ…!」 ガラッ 杏子「何しに来たんだよ」 QB「伝え忘れたことがあってね」 杏子「何さ」 QB「まず、無意味なのはわかってるけど、きちんと謝らせてほしい…」
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247 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:12:01.66 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「…」
QB「黙っててごめん…あの頃の僕は、人の気持ちを全く理解できなくて… それで、やっとわかるようになっても、昨日の事故が起こるまで、ずっと言いづらくて…」 杏子「…フン。かしこまって何言い出すかと思えば、そんなことか そのことなら、あたしはもう割り切ることにしたから別にいいよ この体のおかげで好き勝手できてるんだしねー」 QB「それから、さやかのことなんだけど…」 杏子「…さやかなら、さっき会ったよ。お前に謝りたがってた」 QB「…」 杏子「お前にひどいことしちまったって。…そう言ってた」 QB「…さやかは、優しすぎる。僕があの子をどれだけ傷つけたか――」 杏子「あー、それについても話したんだけどさー。あいつは意外と前向きだよ まぁ、あたしとは正反対の方向にだけどな…」 QB「…そう。…本題に入るよ。簡単なことだけど」 杏子「ああ」 QB「あと、10日だったよね」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
249 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:14:14.00 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「…?」
QB「この間話したろう? 『13日間だけ見逃してくれ』って」 杏子「あぁ…あれのことか」 QB「あの話は無しだ」 杏子「ああ? 無しって何だよ。どういうことさ?」 QB「もう、さやかは君の好きにしていい。それだけ伝えに来た」 QB(まどかはもう…契約してくれないよ。魔法少女の本当の姿を見てしまったから 危険な戦いだとか、魔法少女同士の抗争だとか、そんなレベルじゃないんだ… さやかの犠牲によって、まどかは救われてしまった… …そして僕は、数え切れないくらいの少女達に、まどかの肩代わりをさせなきゃならない) 杏子「おいおい、一体何なんだよ…。あ、ひょっとして…」 QB「?」 杏子「あれってワルプルギスに関係することか?」 QB「…『ワルプルギスの夜』…?」 杏子「ほむらの奴から聞いたんだけど、もうすぐあれがこの町に来るって… なんだ、お前知らなかったのか?」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
251 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:17:29.25 ID:Z1bJNAI/0 - QB「そんな…信じられない。第一、なぜほむらにそんなことがわかるんだい?」
杏子「さぁね。あいつもそれは教えてくれなかった まぁそんなこんなで、1人では倒せるかわからねーから協力してくれって言われたんだ」 QB「それで仲間になっていたのか…」 QB(また謎が深まったな…情報が本当だとしたら、やっぱり予知能力を持っているんだろうか 『瞬間移動』と『未来予知』…2つの特殊能力を併せ持つ魔法少女…? 待てよ…1つの力を2つの目的に応用しているということは考えられないだろうか 未来のことがわかって、尚且つゼロ時間で違う位置へ移動できる… …『ゼロ時間』? …時間を数値に置き換えると、未来はプラス、過去はマイナス… 『ゼロ』はその中間…ほんの1秒も先でない、現在…この『瞬間』…『瞬間移動』…! もし時間を止めることができたら、それは可能になる…! そして、もし時間を進めたり戻したりできたら、擬似的に未来を知ることができる… …『時を操る能力』か…!?) QB「杏子…、ワルプルギスの夜が具体的にいつ現れるか聞いているかい?」 杏子「聞いた時は『1週間後』って言ってた。あたしがさやかと戦った次の日にな」 QB「あと4日しかない…!?」
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252 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:20:25.18 ID:Z1bJNAI/0 - 杏子「なーに、慌てることねーよ。もし本当にワルプルギスが来たとしても、
あたしとあいつで2人がかりなら何とか倒せるだろうしさ」 QB「そうだといいけど…」 QB(――どうして?) 杏子「さやかの奴が出しゃばんなきゃいいけどなー。あいつがいたらむしろ足手まといだ」 QB(ワルプルギスの夜が現れたら、この町は滅茶苦茶だ… だからって、なぜ、僕がそのことを気にする――?) QB「……」 QB(杏子とほむらが共闘しても勝てるかどうか、ギリギリの相手だろう…? それなら、2人が負けたら、『どうなる』?) 杏子「…まだ気にしてんのか?」 QB「…いや」 QB(誰かが代わりにこの町を守らなければ、大惨事は免れないということになる… …あったじゃないか。否が応でも僕と契約せざるを得なくなるシナリオが…) QB「…さやかのことなら、別に…」
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255 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:24:06.80 ID:Z1bJNAI/0 - QB(そうだ…この話をまどかに知らせるんだ…まどかならワルプルギスの夜を倒せる…!
これを利用すれば…いや、『するしかない』 3人でワルプルギスの夜と戦うように言って…) 杏子「…ちょっとー? もしもーし。何ぼーっとしてんだ?」 QB「…そんなことないよ」 QB(違う…! 駄目だ、それでは『まどかはいざという時の最後の切り札』で終わる… 手始めに2人だけで戦って、もし本当に勝った場合、まどかの出番は来ない… そしてチャンスは永遠になくなってしまう…!) 杏子「…やっぱ、お前変わったよ」 QB(わずか4日だ…4日以内に、何らかの方法でほむらか杏子、どっちかを排除するんだ…!) QB「…変わってないよ」 杏子「いや、だって前と全然違うもん。なんか妙に哀愁漂ってるし」 QB「…僕は今までのままだよ。杏子」 QB(そうだよ…僕は人間を家畜程度にしか思っていない、 感情の無い、単なる『インキュベーター』だ…!)
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256 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:27:06.83 ID:Z1bJNAI/0 - ―――――――――
――ワルプルギスの夜出現まで、あと3日 鉄塔の上から魔法少女達の動向を見張るキュゥべえ QB(ソウルジェムを盗み出すのが一番手っ取り早いと思ったが… 杏子はあれからずいぶん注意深くなったし、ほむらに至っては近づくこともできない… となると、ワルプルギスの夜が来る前に危険な魔女を見つけて 杏子に討伐を依頼してみるのが妥当か…) QB「……」 QB(とても現実的ではないな…。いっそ、戦いの隙を突いて 僕の手でソウルジェムを砕いてしまうべきだろうか…いや、そんなの無理に決まってる…) 浮かない顔で歩いていくさやかを見つけた QB(あれは…。制服を着ているということは、今日は学校に行ったのかな… それにしてもひどく落ち込んでるな…杏子が言ってたことと食い違う 学校で何かあったんだろうか…) QB「……」 QB(さやか…) 無意識に目を閉じるキュゥべえ
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259 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:30:14.71 ID:Z1bJNAI/0 - QB(…。ゆうべ、杏子は言った。『さやかは足手まといになる』って
…そうだ。さやかをワルプルギスの夜との戦いに駆り出すんだ… そうすれば、杏子はさやかに足を引っ張られて死ぬ…) 涙が滲んだ QB(…さっきから僕は何を考えてるんだ。そんな簡単に行く訳ないじゃないか こんな薄っぺらな能書きを垂れ流すなんて、自分で聞いてて恥ずかしい 感情のせいで思考能力は人間並だ…) さやかが家に入っていく QB(辛い思いばかりだ…。問題を起こしては解決することさえ躊躇して 毎日泣いて悩んで苦しんで、大量のジレンマを抱えては結果に関わらず後悔して… もう…僕はいっそ死んだほうがいい…。新しい個体を呼ぶべきなんだ… 病気の個体ではとても役目を果たせない…) ほむら「……」 キュゥべえを後ろから密かに見つめている QB(だけど、怖いよ…君達のことを何とも思わなくなるのが…! こんなに悩んだことさえ何だったのか理解できなくなってしまうのが…! だから死ぬ前に、1つだけ贅沢を言いたい…!) QB「赦してくれ…」
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- QB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
261 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:33:07.02 ID:Z1bJNAI/0 - QB(どんな顔で謝ればいい…? 僕は責任を取れない。君はどんなに傷ついてる…?
僕が死んだら君はまた自分を責める? でも、そんなのは違う… ただ一言でいいから、『もう怒ってないよ』って、君の口から言ってくれ…! さやか…。会いたいよ) QB「…」グスン ほむら「…やっぱり泣き虫ね」 QB「!?」 ほむらが歩み寄る QB「…見てたのか」 ほむら「ええ」 QB「……」 ほむら「何を考えていたの?」 QB「…わからない。色んなことを同時に考えてた。…多すぎて自分でもわからないんだ」 ほむら「…そう」 QB「…暁美ほむら」 ほむら「?」
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266 : ◆o1ehmgejyk []:2011/09/20(火) 02:44:21.64 ID:Z1bJNAI/0 - QB「…人間は、みんなこうなのかい…?」
ほむら「何の話?」 QB「みんな、いつもこんなに苦しみながら生きてるのかい…?」 ほむら「それはどうかしらね」 QB「…」 ほむら「罪人が苦しむのは当然のことよ」 QB「…それなら、僕も被害者だ。やりたくてやってる訳じゃないのに…」 ほむら「口を慎むことね。理由はどうあれ、あなたはどれだけ償っても 償いすぎるということはないわ」 QB「お願いがある…」 ほむら「そう」 QB「僕を、殺して…」 ほむら「……」 QB「僕が憎いだろ…?」
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