- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
57 :1[]:2011/01/23(日) 00:00:01.65 ID:AyG8ToM90 - 気配のする階に着いたその時。
―――――ざわっ… 激しい胸騒ぎに襲われる。 嫌な予感がする、ここから先には行くべきじゃない。 今すぐ引き返せ。今ならまだ間に合う。 引き返せ。引き返せ。引き返せ。 ヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセ ヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセ ヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセヒキカエセ――――――――――!!!
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59 :1[]:2011/01/23(日) 00:06:07.99 ID:AyG8ToM90 - 垣根「――――五月蠅え。黙れ」
その一言で自分への警告を振り切り、歩みを進める。 頭の中を駆け巡る警告音がMAXになる。間違いなくここが最終ラインだ。 いつもなら、こんなめんどくさそうなことは放っておくに違いないのに。 それでも、垣根は自らの歩みを止めなかった。 そしてたどりついた先にいたのは――――――
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61 :1[]:2011/01/23(日) 00:09:03.62 ID:AyG8ToM90 - 煙草をくわえた、長身で赤髪の男と。
――――――白い修道服を朱に染めた少女だった。
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62 :1[]:2011/01/23(日) 00:10:21.48 ID:AyG8ToM90 - 申し訳ないけど、ここで一旦休憩入れさせてください。
10〜20分以内には戻ってくる予定です。
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75 :1[]:2011/01/23(日) 00:30:56.50 ID:AyG8ToM90 - すいません、お待たせしました。
それでは再開します。
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76 :1[]:2011/01/23(日) 00:33:29.06 ID:AyG8ToM90 - ステイル「……ここにはもう誰もいないと思っていたんだけどね」
ステイルが値踏みをするかのように垣根を見据える。 ステイル「やれやれ、これは面倒なことになってしまった」 インデックス「テイ………トク………なんでここに………」 血まみれのインデックスが垣根に話しかける。 インデックス「早く………逃げ……………て……」 そう言い終わるとインデックスの体から力が抜ける。 意識を失ったらしい。
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79 :1[]:2011/01/23(日) 00:38:34.09 ID:AyG8ToM90 - 垣根「……それはテメエがやったのか?」
垣根が念のために、目の前の男に尋ねる。 ステイル「正確には僕の仲間が、だね」 悪びれる様子もなくステイルが話しだす。 ステイル「彼女の着ている服は『歩く教会』と呼ばれる霊装でね。一切の攻撃が通用しない代物だったはずなんだが――――何の因果か砕けてしまっているようだ」 垣根「しっかし、よってたかってこんなガキを追い回すたぁテメエらあれか?ロリコンか?」 ステイル「……なかなかヒドイ事を言ってくれるじゃないか」
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81 :1[]:2011/01/23(日) 00:42:26.19 ID:AyG8ToM90 - ステイル「これは外に出回っちゃいけない、大変危険なものだからね。すぐに『回収』する必要があるのさ」
ステイル「正確に言えば、危険なのは彼女の持つ10万3000冊の魔道書の方なんだけどね」 ――――――だから魔術結社なんだよ、マジックキャバル。 私の持ってる10万3000冊の魔道書を狙ってるみたい―――――― あの時の会話が脳裏に浮かぶ。 垣根「……ならこんなガキに構ってねえで、その10万3000冊とやらを直接回収すりゃいいじゃねえか」 ステイル「それは残念ながら不可能なんだよねぇ。だってその10万3000冊は、」 ステイル「―――――彼女の頭の中にあるのだから」
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83 :1[]:2011/01/23(日) 00:48:13.01 ID:AyG8ToM90 - ステイル「完全記憶能力者……というものをご存知かな。つまりはそういう訳だ」
なるほど、そういう訳ならこいつが言ってた事も納得できる。 頭の中。そりゃ、バカじゃなくったって見えねえ訳だ。 垣根「……ったく。説明するならしっかりやれっての」 ステイル「……っと、少し余計なことまで喋ってしまったようだ」 ステイルが口にくわえた煙草を手にし、垣根の方を向く。 ステイル「……さて、これは君とはまったく関係のない事なんだ。今すぐ立ち去って、忘れてはもらえないかな?」 提案のような脅し。有無を言わせぬ警告。 この魔術師は、言外に「消えろ」といっているわけだ。
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86 :1[]:2011/01/23(日) 00:54:05.59 ID:AyG8ToM90 - 垣根「………そうだな。俺とはまったく関係ねぇしな」
このガキがどうなろうと、このガキがどういう運命を歩むのだとしても俺には関係ない。 だいたい、コイツとは昨日あったばかりな訳だし、むしろ一度助けてやった側だ。 これ以上訳のわからん連中と関わって面倒を起こす必要は、無い。 ――――――――ありがとなんだよ、カキネ カキネに神のご加護がありますように――――――――――― ――――――それでも。 垣根「だから、個人的にテメェをぶちのめす」 垣根「―――――――ムカつくんだよ、お前」
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88 :1[]:2011/01/23(日) 01:02:08.53 ID:AyG8ToM90 - ステイル「…やれやれ、それじゃ仕方ないね」
やれやれ、と言わんばかりにステイルがかぶりをふる。 ステイル「¬¬¬―――『Fortis931』」 ステイルがそうつぶやくと、ガラリと雰囲気が変わる。 垣根のよく知る空気。 死の気配、血の匂い。 ステイル「これは魔法名といってね。昔は相手に名前を知られてはいけないなんて言い伝えがあったそうだが……まあそれはどうでもいいか」 ステイル「そうそう、僕の本当の名はステイル・マグヌスというんだ。覚えておくといい」 ステイル「――――――自分を殺す相手の名前位はね」
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91 :1[]:2011/01/23(日) 01:09:43.81 ID:AyG8ToM90 - ステイルの手からタバコが落ちる。
ステイル「――――炎よ」 するとその言葉に呼応するかのように煙草の炎は、ステイルの右手の上で渦を作る。 その炎は徐々に増大していき、今やステイル以上の大きさになっている。 ステイル「これが魔術ってやつさ。天国へのいい土産話になるだろう?」 ニヤリ、とステイルが笑う。 垣根「ああそうだな、話のつなぎ位にはなりそうだ」 それでもなお、垣根は余裕を崩さない。 ステイルがその手を大きく振りかぶる。 ステイル「巨人に苦痛の贈り物を!」 その手の上で渦巻く炎は、 そのまま、垣根を飲み込んだ。
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96 :1[]:2011/01/23(日) 01:16:33.31 ID:AyG8ToM90 - ステイル「やれやれ」
そう呟きながらステイルが髪をかきあげる。 まったく無駄な戦いをしてしまった。 インデックスを回収して、早く帰らねば―――――― ―――――――――ゾクリ。 急に、 背筋が凍りついた。 おぞましい気配のもとを確かめるべくステイルが振り向く。 そこには――――――――― 垣根「なるほどな。魔術ってのはこんなもんか」 六枚の白い翼を展開した、垣根帝督の姿があった
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100 :1[]:2011/01/23(日) 01:21:58.92 ID:AyG8ToM90 - 垣根「なかなか大した威力じゃねーか。土産話には勿体ない位だ」
垣根「――――ただ、相手が悪かったな」 口元には笑み、動作は緩慢。 だが、その眼はまるで相手を射殺すかのような光をたたえていた。 ステイル「な………その羽は一体…………?」 呆然とするステイル。だがすぐに意識を戻す。 ―――ステイルの全身に緊張が走る。 この男は、只者ではない。 全力を出さねば、こちらが殺られる―――――――!! ステイル「やれやれ、いきなりこいつを使う事になるなんてね――――!」
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104 :1[]:2011/01/23(日) 01:28:07.66 ID:AyG8ToM90 - ステイルの周りに再度炎が集まる。
今度は、先ほどの比ではない。 ステイル「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり その名は炎、その役は剣 顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ――――――!!」 ステイルの詠唱が終わると同時に、その場に巨大な炎の巨人が姿をあらわす。 真紅に燃え盛る炎、圧倒的な質量をもつ炎の塊。 その3000℃の炎の塊は周りの壁やドアノブを溶かし始める。 ステイル「魔女狩りの王イノケンティウス―――意味は『必ず殺す』さ」 垣根「…っは。これがテメエの切り札か」
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106 :1[]:2011/01/23(日) 01:35:02.89 ID:AyG8ToM90 - 垣根がそう呟くと同時に、イノケンティウスが手の十字架を振りかぶる。
垣根「邪魔だ、デクの坊が」 しかしその暇は与えない。 翼を一気にはばたかせ、それによって引き起こした風と翼そのものをイノケンティウスに向けて放つ。 イノケンティウスがハリケーンのような強風にあおられる。 だがさすがと言うべきか、その風を受けてもなおイノケンティウスは原形を保っていた。 しかしそれも、翼の直撃を受けかき消える。 垣根「さて、これで終わりか……?!」
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109 :1[]:2011/01/23(日) 01:41:00.15 ID:AyG8ToM90 - だがすぐに、垣根は驚きに目を見開く事になる。
吹き飛ばしたはずのイノケンティウスがすぐに再生を始めたのだ。 垣根「なるほどな。メンドクサイやつだ――――!」 イノケンティウスが垣根へ肉薄する。 それを、翼を用いて前へ押し返そうとする垣根。まさにおしくらまんじゅうだ。 ステイル「僕もいることを忘れないほうがいいよ?」 ステイル「――――灰は灰に。塵は塵に。」 ステイルの両手に炎があらわれ、 ステイル「吸血殺しの紅十字!」 それを、垣根の背後へと放つ。
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110 :1[]:2011/01/23(日) 01:47:27.92 ID:AyG8ToM90 - 垣根「ちっ」
ステイルの放ったそれを残りの翼で打ち消す。 その炎が垣根自身へ届く事は無く、ダメージはゼロ。 しかし。 垣根「ぐっ」 その隙をつき、さらに前へと進もうとするイノケンティウス。 このままでは、どちらかから押し破られるのは明らかだ。 垣根「挟み撃ち………ってか」 前方の虎、後門の狼。 絶体絶命、危機一髪。
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
113 :1[]:2011/01/23(日) 01:55:48.73 ID:AyG8ToM90 - >>111 Oh……… 死にたい
だが、 垣根「甘えよ」 もう一度、垣根はその翼でイノケンティウスをかき消した。 ステイル「はっはっは!無駄だよ、そいつはいくら消そうが消えることはない!」 だが、それにもかかわらず垣根はイノケンティウスを攻撃し続ける。 消されてすぐイノケンティウスは再生し、そしてその直後にかき消し、また再生する。 かき消し、再生。かき消し、再生。かき消し、再生。かき消し、再生―――――― しかし、何度やろうと、イノケンティウスが消えることはない。 それは自然の摂理。無駄な抵抗。覆ることのない現実―――――
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115 :1[]:2011/01/23(日) 02:01:30.48 ID:AyG8ToM90 - ―――――――――――そのはずだった。
だが、ステイルが違和感を感じ取ったのはすぐだった。 ―――――――イノケンティウスが、小さくなっている? そんなばかな。ありえるはずがない。 イノケンティウスは、ルーンの刻印がなくなるまで決して消えることはない――――― 焦燥感に駆られる。 なにかわからない。だが、早くこいつを倒してしまうべきだ―――――― ステイル「吸血殺しの………紅十字!」 もう一度ステイルが炎を放つ。
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
117 :1[]:2011/01/23(日) 02:06:34.71 ID:AyG8ToM90 - しかし、
ステイル「な、なに?!」 ステイルが放った炎は、明らかに威力が半減していた。 いや、半減どころではない。もはやボヤ程度のものだ。 ステイル「貴様、一体何をした!!」 垣根「バカかテメエは。自分から種をバラすような奴なんかいるかよ」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
118 :1[]:2011/01/23(日) 02:11:35.30 ID:AyG8ToM90 - ―――――『未元物質』の能力は、この世に存在しない素粒子を作り出し、物理法則を塗り替えるというものだ。
その能力をもってすれば、この世の法則も、自然の理も全ては垣根の思いのまま。無意味と化す。 『火の燃焼』 それもまた、物理法則に従うものにすぎない。 ならば――― 垣根「まあ、一言だけ言ってやるなら―――――」 垣根「悪いな」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
120 :1[]:2011/01/23(日) 02:14:04.45 ID:AyG8ToM90 -
「俺の『未元物質』に常識は通用しねえ」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
126 :1[]:2011/01/23(日) 02:20:47.23 ID:AyG8ToM90 - ステイル「く、くそっ!イノケンティウス!イノケンティウス!?」
もはやイノケンティウスはステイルよりも小さくなり、 垣根「じゃあな、デク人形」 翼に押しくるめられるや否や、完全に姿を消した。 ステイル「くっ!何故だ?!一体何が起こっている?!」 魔術は確実に発動しているはずなのに、 ステイルが炎の魔術を行使しようとしても、炎が発生することはなかった。
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128 :1[]:2011/01/23(日) 02:26:07.08 ID:AyG8ToM90 - にじり寄る垣根に後ずさりするステイル。
もはや逃げ道はない。 勝敗は決した。 垣根「絶望しろ、クソヤロウ」 ――――――――強い気配。 ズガガガガガッ! それに気づいた垣根がよけるのと、衝撃が来るのはほぼ同時であった。 床、手すり、壁全体に激しい亀裂が走る。 神裂「…まったく、一体何をしているのですか?ステイル」 隣の棟の屋上。そこに神裂火織はいた。
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129 :1[]:2011/01/23(日) 02:31:43.79 ID:AyG8ToM90 - ステイル「神裂か………すまない、助かったよ」
垣根「おーおー、ようやくボスの登場ってか」 軽口を叩きながらも、垣根は神裂から目を離さなかった。 ――――――今の気迫。こいつは只者じゃねえな。 神裂のほうもまた、一目で垣根の実力を見抜く。 一瞬の膠着。
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131 :1[]:2011/01/23(日) 02:37:09.98 ID:AyG8ToM90 - 垣根「で、どうする?二人がかりでも俺は構わねえが」
先に話しかけたのは垣根のほうだった。 もっとも本音を言えば、なんの準備もしていない今、神裂と戦う事が得策でない事位はわかっていた。 ――――だが、こういう時は引いたほうが負けだ。 余裕の表情は崩さず。しかし神裂から決して目を逸らすこともせず。 互いの目線がぶつかりあう。
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134 :1[]:2011/01/23(日) 02:42:09.92 ID:AyG8ToM90 - 神裂「そうですね……インデックスの回収は最優先事項。今すぐにでも何とかしなければなりません」
神裂「…ですが、今は少々分が悪い。至極残念ですが、ここは撤退させていただきます」 神裂のほうもまた、垣根と戦うのは得策ではないと考えていた。 あのステイルが敗れた相手だ。うかつに手を出すべきではない。 それに――――――インデックスの傷をそのままにする訳にもいかない。 神裂「いずれ会うでしょう。それまで、インデックスは預けておきます」 神裂「では、また」
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138 :1[]:2011/01/23(日) 02:47:12.64 ID:AyG8ToM90 - そういうや否や神裂は姿を消していた。
振り向くとステイルの姿もない。 ――――――やれやれ、何をしてんだかな俺は。 厄介事に首を突っ込んじまった。 だが、反省も後悔も後だ。まずはこのガキをなんとかしねえと――― 垣根はそう思い、インデックスの方へと向かった。
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140 :1[]:2011/01/23(日) 02:51:17.88 ID:AyG8ToM90 - 傷はなかなか深いようだ。
早く治療しなければマズイ。 このあたりに病院は――――――いやまて、こいつを学園都市の人間に見せて大丈夫なのか? となると、『裏』の人間に任せるべきか――――それもマズい。 どうすりゃいい――――――? 垣根がいろいろと思考を巡らす。
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
143 :1[]:2011/01/23(日) 02:57:28.31 ID:AyG8ToM90 - その時。
――――――――ジャリ ……それより先にやらなきゃいけねえ事が増えたみたいだな。 背後に気配を感じる。 ―――――まさかこの時期に、俺以外にこんなところに来るやつがいるとはな。 また面倒くさくなりそうな雰囲気を感じ取りながらも―――――振り向く。 上条「―――なにやってんだよ、お前」
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146 :1[]:2011/01/23(日) 03:04:18.70 ID:AyG8ToM90 - そこには、ツンツン頭の少年。
よく見れば、つい先ほど見た顔だ。 上条「インデックスから離れろ」 怪しい男1人に、血まみれの少女1人。 なるほど、この状況を見りゃ勘違いすんのもわからなくもないな。 話しても聞いてもらえそうにはないな―――――それに、メンドくせえ。 垣根がちらっとインデックスの方を見る。出血はひどく、長くは持たないだろう。 ―――時間もねえし、さっさと黙らせて終わりにするか。 垣根がもう一度、六つの翼を展開する 垣根「安心しろ、峰打ちですませてやる」
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149 :1[]:2011/01/23(日) 03:09:03.74 ID:AyG8ToM90 - 翼が上条の体を打ち付けようと大きく展開し、そして一気に襲いかかる。
上下左右全方向からの攻撃 それはまさに、不可避の一撃であり、一撃必殺。 もはや逃れることは出来ない。 ――――相手が、常人ならば。 上条「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 全方位に展開された翼に対して上条が取った行動。 それはただの突撃。 上条が、垣根の方へ一気に駆け出す
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151 :1[]:2011/01/23(日) 03:15:33.96 ID:AyG8ToM90 - ―――――なんだこいつは。死ぬ気か?
自分の体以上ある翼に対し突っ込むなど、狂気の沙汰にしか見えない。 まさに自殺行為だ。 特攻とすら呼べまい。 だがしかし、まさに翼が襲いかかるその瞬間。 上条が、右手を前にかざした。 ――――――パキィ 展開された翼が粒子状に消え去る。 垣根「なっ!」 ――――俺の未元物質が打ち消された? こいつ一体なにを――――――
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154 :1[]:2011/01/23(日) 03:21:07.69 ID:AyG8ToM90 - 少なからぬ動揺。それは、相手の接近を許すには十分な時間だった
上条「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 ――――目の前には既に、拳を振りかざす上条の姿。 完全に間合いを取られた。 垣根「くっ!」 先程未元物質は破られた。 回避する余裕は、ない――――――
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156 :1[]:2011/01/23(日) 03:27:06.76 ID:AyG8ToM90 - インデックス「お止めください」
それを止めたのは、無機質な声だった。 振り下ろされた拳が垣根に当たる前に止まる。 上条「インデックス?!……だよな?」 インデックス「はい、私はイギリス清教内、第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔道図書館です。正式名称はIndex- Librorum―――」 垣根「細けえことはどうでもいい。テメエはあのガキなんだろ?」 インデックス「はい。その認識で間違いありません」 インデックス「彼は敵ではありません。むしろ私を守ってくれました」 上条「………え?」
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160 :1[]:2011/01/23(日) 03:34:01.09 ID:AyG8ToM90 - 呆然とした表情を浮かべる上条。
垣根「そういうことだ。お前、頭に血が上ってたからな。話しても聞かないと思ってこーするしかなかったんだよ」 まあ説明しようと思えばできたのだが、めんどくさくなって荒業にでたということは秘密である。 垣根「とにかく話は後だ、まずはそのガキのキズを何とかすんのが先だろ?」 上条「そ、そうだ!でもいったいどうしたら―――」
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161 :1[]:2011/01/23(日) 03:39:31.40 ID:AyG8ToM90 - インデックス「私の所蔵する魔道書の中に治療法が存在します。ただ、超能力開発を受けた人間では、それを実行することは不可能です」
インデックスが唯一残された道を提示する。 だが、 垣根「おいおい、この街の学生は一人残らず超能力開発を受けてんだぜ?」 そう、ここは学園都市。学生の街だ。 超能力開発を受けたものが魔術を使えないというのなら、 この街の学生では誰一人魔術を使うことはできないのだ。 上条「学生は魔術を使えない………そうか!なら!」
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162 :1[]:2011/01/23(日) 03:43:25.71 ID:AyG8ToM90 - ――――――――――――――
垣根「なるほど、確かに教師なら超能力開発は受けてねえな。いい考えだ」 上条「じゃあ早くいこう!じゃないとインデックスが!」 垣根「そう焦んな。急いては事を仕損じるってな」 上条「で、でも!」 上条が焦る。 インデックスが今にも息絶えそうだというのだから、当然のことではあろう。 垣根「他にもよ、急がば回れとも言うだろ?」 しかしそれでも、あくまで自分のペースを崩さない垣根。 垣根「昔の人間の教えってのは大切にしないといけねえもんだぜ?」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
164 :1[]:2011/01/23(日) 03:48:04.08 ID:AyG8ToM90 - 垣根はそういうとインデックスを左手で抱きかかえ、
垣根「だが、善は急げとも言うよな」 そのまま翼を展開し、右手で上条の襟元をつかんだ。 上条「は、はい?!いったい何して」 垣根「静かにしてろ。あとさっきの変な力は使うなよ、墜落する」 次にインデックスに呼び掛ける。 垣根「おいクソガキ。俺の左手にしっかり捕まってろよ」 左手にしがみついたインデックスを胸元に引き寄せ ―――――――一気に飛翔した。 上条「ぎゃあああああ!!!怖い怖いよ怖いんです三段活用―――――!!!」 垣根「うっせえ、舌噛むぞ。それよりさっさとその教師の家までナビゲートしろ―――――」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
166 :1[]:2011/01/23(日) 03:55:20.89 ID:AyG8ToM90 - ――――――とある高校の教師、月詠小萌は後にこう語る。
「あれは夜のことなのですよ」 「仕事も終わってさて、疲れを癒す一杯でも―――そう思った時なのです」 「窓の方から変な音がして―――――最初は小鳥さんが飛んできたのかな、ともおもったのですけど」 「あまりに何度もこつこつ、こつこつ、って音がするから、正体を確かめようと思って、窓を開けたのです」 「そうしたら――――――」 「………窓に、上条ちゃんの顔が押し付けられていたのですよ………!」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
169 :1[]:2011/01/23(日) 04:01:10.01 ID:AyG8ToM90 - 垣根「いやー悪かった。両手とも塞がってるから窓をたたくモンがなくてな」
上条「………普通に玄関から入ればよかったのではないでせうか……?」 垣根「まあとにかく早く着いてよかったよかった!うんうん。あの教師も話せばわかるやつだったしな!」 上条の疑問を完全にスルーする垣根であった。 実は、これには先ほどの憂さ晴らしも含まれていたりする。 上条「………はあ、不幸だ」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
171 :1[]:2011/01/23(日) 04:07:15.64 ID:AyG8ToM90 - 小萌先生の家からの帰り道。垣根と上条は、今までの事情を説明しあった。
ベランダに引っかかっていたこと。 飯を食わせてやったこと。 ――――魔術師の襲撃を受けていたこと。 上条「……悪かった。てっきりあんたがインデックスを傷つけたのかと……」 垣根「気にしてねえよ、あの場面なら誰だって勘違いする。それより――――」 垣根「お前、何者だ?」 垣根「さっき俺の攻撃を防いだだろ。ありゃ一体なんだ?」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
172 :1[]:2011/01/23(日) 04:13:28.17 ID:AyG8ToM90 - 垣根「それに、超電磁砲とも仲が良いみたいだしな。まさかレベル5か?」
レベル5は7人しかいない事は知っている。それでも、そう問わざるを得ない。 上条「いやいや、上条さんはただの無能力者ですよ」 垣根「……おちょくってんのか?あんな事が出来てただのレベル0な訳が――」 上条「俺の右手には異能の力を打ち消す力があるんですよ」 垣根「異能の力を、打ち消す?」 垣根が思わず聞き返す。 上条「ただ、システムスキャンしてもレベル0扱いなんですけどね…」 たはは、上条が髪をかく。
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
174 :1[]:2011/01/23(日) 04:18:35.00 ID:AyG8ToM90 - 垣根「……にわかには信じられねーな。実際、身を以て味わった訳だが」
………とはいったが、実は一度話に聞いたことがある。 ―――――幻想殺し。アレイスターのお気に入り。第一位に並びうる、プランの中心 垣根「まさかこんな形で出会うとはな」 上条「はい?」 垣根「独り言だ、なんでもねぇ」 垣根「しかし今日は非常識なやつばかりに出会う日だ。まったく、不幸だな」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
175 :1[]:2011/01/23(日) 04:25:12.93 ID:AyG8ToM90 - 垣根「ところでお前はこれからどうするつもりだ?」
垣根が上条に質問する。 上条「………インデックスの傷が癒えるのを待って、それからインデックスのもとに戻ろうかな、と。やっぱり心配だし……」 垣根「ほお。もしかしてお前、あのガキに惚れてんのか?」 上条「はっ?」 思わぬ質問に上条が動転する。 垣根「あのガキに、超電磁砲に。まったく、もてる男はつらいってか?」 上条「いえいえそんなんじゃありませんよ?!大体、御坂のほうは俺のこと目の敵にしてるくらいだし……」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
177 :1[]:2011/01/23(日) 04:28:57.29 ID:AyG8ToM90 - 垣根「じゃあなんでだ?どうしてわざわざこんなことに首を突っ込んでんだ?」
垣根が当然のように質問を口にする。 あの少女は魔術師達から命を狙われている。 下手に関わればこちらも巻き込まれるのは明白だ。 昨日今日で出会ったようなヤツに命をかけるようなやつは普通いない。 ―――――そもそも、他人のために命を賭けること自体間違っているのだ 例え家族だろうが、恋人だろうが、そんなものはどうでもいい。 大切なのは己ただ一人だ。 むしろ人は、他人の命を蹴落として生きて行くのがデフォルトだ。 他人を助けるなんて、ありえない話でしかない――――――
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
179 :1[]:2011/01/23(日) 04:32:50.15 ID:AyG8ToM90 - だが、
上条「上条さんの性分なんですよ。困ってるやつがほっとけないっていうか、自分が助けられるんならやらなきゃいけないと思うっていうか」 目の前の男は、それをいともあっさりと否定した。 垣根「………っは、英雄(ヒーロー)気取りってか。なかなかカッコいいこって」 上条「別にそんなつもりじゃねーよ。だいたいお前だって、インデックスのこと助けたいと思ったんだろ?」 垣根「(―――――――俺は)」 垣根「………そんなんじゃねえよ。ただの気まぐれだ」 上条「気まぐれって………」 そういうと、垣根は上条に背を向けて歩き出す。 上条「垣根?」
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
180 :1[]:2011/01/23(日) 04:39:36.52 ID:AyG8ToM90 - 垣根「……俺は帰る。あのガキのことについてはお前がなんとかしてやれよ」
垣根は上条のほうを見ようともせず、そのまま歩き続ける。 上条「おい、垣根!」 上条が呼びとめるが、立ち止まるどころか後ろを向く気配すらない。 上条「―――――――インデックスが待ってると思うから!だから会いに来てくれよ!」 上条は、ただそう言う事しかできなかった。 そして垣根は、上条の問いに背を向けたまま立ち去るだけであった。
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- 上条「その幻想に」垣根「常識は通用しねえ」
182 :1[]:2011/01/23(日) 04:43:37.71 ID:AyG8ToM90 - もう………頭が限界だ………
申し訳けど寝させてもらいます、見てくれた人達ホントにありがとうございます。 もしもスレが残っていたら、お昼頃に再開します。
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