トップページ > ニュー速VIP > 2010年11月28日 > 0WNQbzNL0

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◆iAiA/QCRIM
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435 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 00:31:39.16 ID:0WNQbzNL0
ああああああああああああああ

ああああああああああ

あああ
ああああああああああああああ

ああああああああ

あああああああああああ

コヌカポォwwwwwwwwwww
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439 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 00:34:32.29 ID:0WNQbzNL0
 
 
   ───我は汝 汝は我───
 
 
 語りかけるは、心の海をたゆたいし。
 時には神を、時には悪魔をうつし身に。
 
 
 迫り来る、冥府の刈り手を屠らんと。
 宿り手に、決して深くを語らずに。
 
 
 ───我は汝の心の海より出でし者───
 
 
 ただ、求む。
 
 汝が敵に立ち向かうことあるなれば。
 
 
 我の名を呼べ、と。
 
 
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442 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 00:37:40.64 ID:0WNQbzNL0
 
 強固な自我を示した者のみに与えられる、異能の力。
 その全ては、『這い寄る混沌』を討つために。
 少年達は、少女達は、運命という演目の舞台に上がる。
 
 
 しかしその演目は、一旦の中断を見る。
 
 
 遠く離れた異世界で、全てを巻き込む運命を前に。
 少女は挑む。己の世界を護る為。
 
 
 舞台は転じ、再び激戦の幕が開く。
 
 
 多世界交わる空前の大舞台。
 
 然れども心の海にたゆたいし、その声に変わりなく。
 
 世界の果てにいようとも、言霊一つで馳せ参ず。
 
 
 その力こそ、即ち────
 
 
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446 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 00:40:22.81 ID:0WNQbzNL0
 
 
 
 
 
 
 
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                        【Single Part : Persona】
 
 
 
 
 
 
 
 
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449 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 00:44:04.71 ID:0WNQbzNL0
大麻さんがいう我慢汁ならここまでで、どうしましょう?
予定だと明日の16時くらいからやろうかなと思ってたのですが

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457 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 00:54:58.49 ID:0WNQbzNL0

合作────

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個別パート最終章、【Persona】

前に投下された三名の完成度の前に、フォヌカポウwwwwコポォwwwwなどと喚いていた。

上がりに上がったハードルをどう乗り越えるのか!
ハードルが高いなら!下をくぐればいいのだ!なるほど!


それでは28日16時から投下を開始します
どうぞよろしくお願いします

スレがなければ新たに立てますので、皆さんお気にせずに睡眠をとっていただければと思います
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465 : ◆iAiA/QCRIM [sage]:2010/11/28(日) 01:06:46.40 ID:0WNQbzNL0
>>463
狙いがいい
実はペルソナ2を下地においてますのぜ
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471 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:33:52.54 ID:0WNQbzNL0
保守してくださってありがとうございます
思ったより早く帰れたので始めちゃいます

合作個別パート最終日です、よろしくお願いします
結構長くなるので19時から小一時間、食事休憩をはさみますね
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472 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:35:04.39 ID:0WNQbzNL0
あと、深夜に投下した部分からまた再投下していきますです
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475 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:37:17.39 ID:0WNQbzNL0

      _
  /|  / |
  | | //| |
  | |// | |
_| ./_||__________________________
 /, |  ||
.//| |   ||    私   の   出   番   !   !
|/ ! |   ||   
 ̄||. ̄.|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.. ||   |/              
.. ||       ../| /| /|  
..  |/       ..| | | | | |
           .|/ |/..|..|
             //
            ..|/
_______________________________
 , ,,-‐‐,'、'/::l      /     /      //:::::::l::: /::\ :| i ∧ハヘi.l.: |:::::::::::::
 '":::::リ::`l.ノ;l.| il   /-/::::::/_/´:::/:: /"::::::::__./ ノ'-‐  ヽ::i /.l'j;:i_/i: . i:::::::::::::::
 i:::::::::_,,、 '´r |/l,'i  /、ヽヽ=-‐_`゙`'/:::/::: ''"" _‐-=メ ,.' ,,  |. /´:::} l/l ..i l::::::::::::::::
 i::::::::::::::::/ゝ/,`Λ〈 メ´イi::。:i',ヽ、 l./     '7.イi;;。:i',`ゝ' . l/:::: ィi´/i;:i l::::::::::::::::
 i:::/l:::::::/:::/,' /l:::iヘ::::.ヽ,ゞ=シ',....'  '、  ......:: '.、:ゞ=シノ´.ノ.イi l|`~/./.. ./ ::::::::::::::::
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476 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:38:50.47 ID:0WNQbzNL0
 
 
   ───我は汝 汝は我───
 
 
 語りかけるは、心の海をたゆたいし。
 時には神を、時には悪魔をうつし身に。
 
 
 迫り来る、冥府の刈り手を屠らんと。
 宿り手に、決して深くを語らずに。
 
 
 ───我は汝の心の海より出でし者───
 
 
 ただ、求む。
 
 汝が敵に立ち向かうことあるなれば。
 
 
 我の名を呼べ、と。
 
 
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478 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:40:11.79 ID:0WNQbzNL0
 
 強固な自我を示した者のみに与えられる、異能の力。
 その全ては、『這い寄る混沌』を討つために。
 少年達は、少女達は、運命という演目の舞台に上がる。
 
 
 しかしその演目は、一旦の中断を見る。
 
 
 遠く離れた異世界で、全てを巻き込む運命を前に。
 少女は挑む。己の世界を護る為。
 
 
 舞台は転じ、再び激戦の幕が開く。
 
 
 多世界交わる空前の大舞台。
 
 然れども心の海にたゆたいし、その声に変わりなく。
 
 世界の果てにいようとも、言霊一つで馳せ参ず。
 
 
 その力こそ、即ち────
 
 
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479 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:40:41.91 ID:0WNQbzNL0
 
 
 
 
 
 
 
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          【Single Part : Persona】
 
 
 
 
 
 
 
 
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481 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:42:31.44 ID:0WNQbzNL0
 

 
 何が起きたか、わからなかった。
 わかるのは、ずきずきとする痛みと、ひりひりとする痛みだけだった。
 
 戦いから退場した私は、身を起こす事も出来ずに、倒れていた。
 ブーンとミセリさんと一緒に戦えないことが、悔しくて、悔しくて。
 それでも、どうしても全身に力が、入らなくて。
 
 必死に横を向くだけで、もう手を動かす力も無くなって。
 
 とさりと、腕が落ちた時。
 
 
 何かに、触れた。
 
 
 その直後、目の前が真っ白になって……。
 
 
ξ; 听)ξ「ここは……」
 
 
 気がつけば、さっきまで戦っていたはずの場所と、違う場所にいた。
 
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483 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:45:04.54 ID:0WNQbzNL0
 
 相変わらず、体は言う事を聞いてくれなかった。
 ここのところ連日続く、非日常的な現象達には驚かされるばかりだ。
 しかし、身動きが取れない状態でもあまり警戒はしていなかった。
 
 九十度傾いている景色だけれど、見覚えがある。
 四角い部屋をくり抜いて、そのままそこに置かれたような空間。
 壁は無く、代わりにテレビや本で見た宇宙のような世界が、広がっていた。
 
 果てしなく伸びる四本の支柱が生えた床には、白黒のタイルが交互にいくつにも。
 その、中心。一段高くなっている場所があった。
 
 私が知っている景色とは、そこで違うものになった。
 
 今までに二度、ここを訪れている。
 その二度と、異なる箇所。
 
 恐らくはこの空間の主で、私にペルソナを与えた人が。
 『フィレモン』の姿が、そこになかった。
 
 私達の街に脅威が近づいていることを伝え、導いてくれた人が、いない。
 それならば、何故私はここに呼ばれたのだろうか。
 
 ブーンは、ミセリさんは、戦いはどうなったのだろうか。
 
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484 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:48:09.09 ID:0WNQbzNL0
 
 そこで私は、虚ろだった意識がはっきりとしてきている事に気が付いた。
 初めて来た時もそうだったけれど、この空間は何故か落ち着くことができる。
 
ξ; 听)ξ『……ペルソナ』
 
 ぽつり、言霊を紡げばペルソナは現れた。
 ついさっき、戦いの場にいた時には、もう喚べまいと思っていたのに。
 この空間にある何かが作用したのだろうか、それは、わからなかった。
 
 何にせよ、ペルソナを喚べることは私にとって最良だった。
 
 治癒の言霊を紡ぎ、打撲と火傷の処置をする。
 温かい光に包まれて、痛みがゆっくりと引いていくことを感じつつも、
 ミセリさんに遠く及ばない治癒能力が少しだけ、焦れったく思えた。
 
ξ゚听)ξ
 
 傷を癒やして、立ち上がる。
 景色が九十度戻っただけで、他に何も変化はなかった。
 周りを見渡し、一歩、足を前に出すと、
 
ξ゚听)ξ「……?」
 
 つま先が何かに触れた。
 
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487 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:51:22.90 ID:0WNQbzNL0
 
ξ゚听)ξ「これは……」
 
 落ちていた物は、デレとエクストが持っていた、『黒い箱』
 名前はたしか、黒きトラペゾヘドロン、と呼ばれていた気がする。
 でも何故これが、ここにあるのだろうか。
 
 手の平大の箱を拾い上げて観察するも、特に変わった様子は見られなかった。
 蓋があるわけでもない、揺らして音が立つわけでもない。
 『黒い箱』は手にとっても、『黒い箱』でしかなかった。
 
 視線を周囲に戻す。
 相変わらず、宇宙の様な空間がどこまでも、広がっていた。
 
 
ξ゚听)ξ「……フィレモン?」
 
 
 呼びかけには誰も答えない。
 そもそもあの人がなんなのか、私は何も知らない。
 だけど私がここにいると言う事は、きっと何か伝えたい事が────
 
 
ξ;゚听)ξ「!?」
 
 
 ふいに、遠くに見える星が、一際強く光り輝いた。
 
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489 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:54:02.90 ID:0WNQbzNL0
 
 それは段々と輝きを増していき、大きく脹らんでいく。
 …………違う。こっちに、近づいてきている。
 
ξ゚听)ξ
 
 少し下がって、身構える。不思議と力は、充実していた。
 ペルソナでは戻せない体力も、精神的な疲労も快復している。
 わけのわからないことだらけだったけれど、それだけは助かった。
 
ξ; 听)ξ「っ……」
 
 眩しい光に思わず片目を瞑る。
 もし敵だとしたら、視線を外していたら危険だ。
 
 ここには私しかいないのだから。
 護ってくれる人は、いないのだから。
 
 
 やがて、中央の段を挟んだ向かい側の床に、光が『着地』した。
 着地した、と思ったのは、光が人の形をしていたからだ。
 
 輝きは徐々に弱まっていき、少しずつ容姿が確認できるようになっていく。
 
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493 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:57:03.56 ID:0WNQbzNL0
 
 古めかしい、裾が所々切れている外套を羽織った姿が、
 漫画で見るようなファンタジー世界の魔法使いを連想させた。
 でもそんなことは、どうでもよかった。
 
ξ;゚听)ξ「────!」
 
 驚いた。私はその顔を、知っていたからだ。
 その名前は本当に、ごく自然に口から飛び出した。
 
 
ξ;゚听)ξ「ブーン!?」
 
 
 幼馴染みの、内藤ホライゾン。
 小さな頃から呼び続けていたあだ名が、ブーン。
 光に包まれて現れたのは、間違いなく、ブーンだった。
 
 まさかブーンも、フィレモンにここへ呼ばれたのだろうか。
 だとしてもあの格好は、一体どうしたのだろう。
 
 両手と片膝をついていたブーンはきょろきょろと周囲を見渡し、立ち上がった。
 服装以外の、違和感。よく見れば、少し大人びているように見える。
 体つきも、どことなくがっちりとしているように思える。
 
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494 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 15:58:20.31 ID:0WNQbzNL0
http://blog-imgs-43.fc2.com/i/a/i/iaiahasutaa/21933.jpg

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496 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:01:42.52 ID:0WNQbzNL0
 
(;^ω^)「あ、あれ……あんまり変わらない景色だお……」
 
 その声色と口調も、まさしくブーン、そのままだった。
 
ξ;゚听)ξ「ブーン……?」
 
( ^ω^)「……ツン? ツンかお?」
 
 お互い知っているはずなのに、自信なく名前を呼び合う。
 それがなんだかおかしかったけれど、何か、何かが違う。
 私が知っている『ブーン』とは、どこかが違うような気がする。
 
ξ;゚听)ξ「ブーン……だよね?」
 
( ^ω^)「おっ、そうだお。君はツンかお?」
 
ξ;゚听)ξ「う、うん……」
 
( ^ω^)「ということは……無事に着けたってことだおね」
 
ξ;゚听)ξ「つ、着けたって?」
 
( ^ω^)「落ち着いて、聞いて欲しいお」
 
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501 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:04:22.00 ID:0WNQbzNL0
 
 ブーンはそう言うと、私に近づいた。
 背が少し、私が知っているブーンよりも高い気がする。
 
 大人びている、と思えたのは雰囲気でなく、顔立ちだった。
 よく見ればうっすらと生えた無精髭があるのが、少し気になった。
 ブーンが大人になったら、この人の様になるのだろうと、なんとなく思った。
 
 いや、今はそんなことどうでもいい。
 
( ^ω^)「僕は、ブーン=ラダトスク」
 
ξ;゚听)ξ「らだ?」
 
( ^ω^)「ここは君の世界かお?」
 
ξ;゚听)ξ「……」
 
 返答に困った。
 
 ここはフィレモンがいた空間であって、私がいた世界とは違う、ような気がする。
 他にも、ベルベットルームみたいな、言い換えれば異次元みたいな場所。
 それを私の世界と言い切って良いものだろうか、少し悩んだ。
 
ξ゚听)ξ「……そう、だと思う」
 
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503 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:07:21.88 ID:0WNQbzNL0
 
 多分それは、間違っていないと思う。
 自信はないけれど、私の世界における別次元、ということにしておいた。
 
( ^ω^)「ツンは、選ばれたんだお!」
 
ξ;゚听)ξ「え?」
 
( ^ω^)「選ばれた勇者なんだお!」
 
ξ;゚听)ξ「え? ちょ、ちょっとまって」
 
( ^ω^)「さぁ! 僕と一緒に飛び立つんだお!」
 
ξ;゚听)ξ「お願い、あのね、話を……」
 
( ^ω^)「残された時間は少ないお! さぁ! でっぱつだお!」
 
 
ξ# )ξ
 
 
ξ#゚听)ξ「話を聞きなさああぁぁぁぁあああい!!」
 
 
( ゚ω゚)「こっちのツンも凶暴でしたああぁぁぁぁぁあああ!!!」
 
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506 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:10:17.88 ID:0WNQbzNL0
 
 大人びている、と思ったのはやはり外見だけだったようだ。
 ブーンはあくまで、私が知っているブーンだった。
 
 ひとまず、正座をしてもらう。
 
ξ#゚听)ξ「……あなたは、ブーンなのね?」
 
( ゚ω゚)「はい」
 
ξ#゚听)ξ「で、選ばれたってどういうことなの?」
 
( ゚ω゚)「はい、世界を救う為に、ツンさんが選ばれました」
 
ξ#゚听)ξ「……世界を、救う?」
 
( ゚ω゚)「僕の世界も、ツンさんの世界も、危ないんです」
 
ξ゚听)ξ「……どういうことなの? あ、楽にしていいわよ」
 
( ^ω^)「こほん、…………本当に、危ないんだお」
 
( ^ω^)「僕の世界やツンの世界に似た世界が、他にたくさんあるんだお」
 
ξ゚听)ξ「……?」
 
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508 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:13:08.98 ID:0WNQbzNL0
 
 SF小説などで見る、パラレルワールドというものだろうか。
 自分の世界と似た様な平行世界が、いくつも存在している。
 その手のお話には、よくあることだ。
 
 でも突然そんな事を言われても、信じられるはずがないわけで。
 
( ^ω^)「聖剣は言っていたお。ツン達の世界に、異変が迫ってるって」
 
ξ゚听)ξ「……異変?」
 
 それが一体どういうことなのかは、わからなかった。
 心当たりがあるとすれば、ここにフィレモンがいないということだけ。
 それには初めから違和感があったのだけれど、ブーンの話と関係しているのかは、やはりわからない。
 
ξ゚听)ξ「聖剣って、何?」
 
( ^ω^)「僕も上手く説明はできないんだけど……世界の流れを円滑にする、と言っていたお。
       持ってる人の願いを叶える力もあるらしいお」
 
ξ;゚听)ξ「はぁ……なんだかすごい話ね」
 
( ^ω^)「だけど、信じるしかないお。実際僕らは救われたし、
       “アンノウン”の事を考えれば、説明がつくお」
 
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512 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:16:05.31 ID:0WNQbzNL0
 
ξ゚听)ξ「“アンノウン”って?」
 
( ^ω^)「……僕らの敵の名前だお。アイツのせいで、世界が滅びようとしてるお。
       僕達はアイツに挑んで負けて……聖剣に助けてもらったんだお」
 
ξ゚听)ξ「……そう」
 
(  ω )「トーチャンも……アイツに……」
 
ξ゚听)ξ「……」
 
 ブーンはそう呟くと、とても暗い顔をした。
 明るい調子で捲し立てた時とは、真逆。
 彼にとってそのことは、とても重たく肩にのし掛かるものらしかった。
 
 あまりに突拍子も無い話だ。
 なのに何故か、ブーンの話が事実であると、いつの間にか素直に受け止めていた。
 
 今、目の前にいる彼が、私が知っているブーンでない事は、間違いない。
 それでも彼をブーンと思える事が、私に話を信じさせているのだろうか。
 
 けれど、私は思う。
 
ξ゚听)ξ「……どうして、私なの?」
 
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516 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:20:05.58 ID:0WNQbzNL0
 
 私のことは、私が一番良くわかっている。
 直前の戦いも、私は足を引っ張るばかりだった。
 
 ブーンもそうだし、モナーさんやミセリさん、ジョルジュ達の方が私より何倍も強い。
 それなのに、ブーンが言う聖剣は何故私を選んだのか、それがわからない。
 
ξ゚听)ξ「ここは私の世界だと思う、ってさっき言ったけど、
       普段生活している世界はここじゃないわ。そこには私より強い人が、きっと……」
 
 元の世界がどうなっているかは、わからない。
 私がここにいることは、間違いなくフィレモンが何かをしたんだと思える。
 でも実際に、元の世界を見ていないのだから、慎重になり疑うべきだとも、思う。
 
 それほどに切羽詰まった危機が訪れているのなら、私では、とても。
 
( ^ω^)「きっと、ツンで間違いないはずだお」
 
ξ゚听)ξ「え?」
 
 
( ^ω^)「聖剣がここへ導いてくれたんだお。
       きっと、きっと聖剣が選んだのは、ツンなんだお!」
 
 
ξ゚听)ξ「…………」
 
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519 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:23:53.10 ID:0WNQbzNL0
 
 そうだとしても、私には、わからない。
 今までの戦いだって足手まといのままで、いつも誰かに助けられていた。
 そんな私が選ばれても、とても。
 
 
   『────少女よ』
 
 
ξ;゚听)ξ「ッ! フィレモン!?」
 
 声が、きこえた。
 過去、二度聞いたあの時の声よりも弱々しい声が。
 でも間違いなくそれは、フィレモンの声だった。
 
 
   『────時間がない……運命は、汝を選んだ────征け……』
 
 
ξ;゚听)ξ(……そんな……本当に……)
 
( ^ω^)「お? どうしたんだお?」
 
 ブーンには、きこえていなかったようだ。
 ペルソナ使いにしか届かない声なのだろうか、でも今は、そんなことよりも。
 
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520 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:26:24.61 ID:0WNQbzNL0
 
ξ; )ξ(フィレモン……)
 
 声で、心で呼びかけても、再び声が聞こえる事はなかった。
 ふと、手に持っていた黒い箱に目をやる。
 心無しか、さっきまでよりも艶がかかっているような気がした。
 
 
 私で、いいのだろうか。
 
 
 自問自答では考えるまでもなく、却下だ。
 どれだけ前向きに考えたとしても、同じ答えしか出てこない。
 そんな大事な戦いに、私が必要とされる理由がわからないのだ。
 
 でも、フィレモンは言った。
 
 運命が、私を選んだと。
 
 私にペルソナを与えた時と、同じ言葉で。
 
ξ゚听)ξ(迷惑な話、ね)
 
 本当にそう思う。私の事情など構いもしない。
 
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524 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:29:25.47 ID:0WNQbzNL0
 
 あの時、ペルソナ様遊びなんてしなければ。
 違う線路の上に、私は立っていたのだろうか。
 
 でも、それでも。
 
 やはり同じ様に、この日へと続いていたのだろうか。
 だとしたら、どちらにしろ────
 
 
( ^ω^)
 
 
 ブーンはじっと、私を見つめていた。
 特徴的な柔らかい表情は、やっぱり私が知るブーンと同じだ。
 
( ^ω^)「大丈夫だお。他にも僕の仲間達が、同じ様に強い仲間を連れてくるお。
      そうすればきっと、きっと世界を救えるはずだお!」
 
ξ;゚ー゚)ξ、
 
 苦笑しか、返せなかった。
 
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525 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:32:40.93 ID:0WNQbzNL0
 
 私は何度、同じ事を繰り返せば解るのだろう。
 いつか私は、私の世界のブーンに言った。
 
 
 『だから私は、モナーさんの言ったことを信じて、できることをするわ』
 
 
 『たとえ死んだって……何もしないまま死ぬよりはマシよ』
 
 
 啖呵を切っておいて、目の当たりにした敵との実力差に、何度も挫けた。
 今の私は、戦う前から自分の弱さを認め、勝負を捨てようとしている。
 こんな所で立ち止まっていたら、異変が迫っているという自分の世界も、友達も、救えない。
 
 
 私は、決めた。
 
 
ξ゚ー゚)ξ「行くわ」
 
 
 これがペルソナを与えられた私の運命だとするならば。
 
 
 全力で戦うしか、ないのだ。
 
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529 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:35:42.91 ID:0WNQbzNL0
 
( ^ω^)「ありがとうだお! それでこそツンだお!」
 
ξ゚ー゚)ξ「ううん、たくさん迷っちゃって……正直、まだ不安はあるかな」
 
( ^ω^)「仕方がないお、僕だって、いきなりこんなお願いされたら困るお」
 
ξ゚ー゚)ξ「あら、自覚はあったのね?」
 
(;^ω^)「おっ……こっちのツンも痛いとこついてくるお……」
 
ξ゚听)ξ「ブーンの世界にも、私がいるの?」
 
( ^ω^)「幼馴染みなんだお。同じ村で育ったんだお」
 
ξ;゚听)ξ「幼馴染み、かぁ……見事に私と一緒ね……」
 
( ^ω^)「外見も性格もそっくりだお。さっきみたいに凶暴だったり、胸が小さいとことか」
 
ξ#゚听)ξ「そう。デリカシーないとこがブーンはそっくりね。次言ったら行かないから」
 
(;^ω^)「ご、ごめんお……」
 
ξ゚ー゚)ξ「ふふ、……じゃあ、お願い」
 
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531 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:38:44.96 ID:0WNQbzNL0
 
( ^ω^)「よし、行くお!」
 
 いきなりブーンが私の手を握りしめる。
 少し恥ずかしかったけれどそんなことは言っていられず、平静を装った。
 
( ^ω^)「しっかり握っててくれお? 途中で離れたら帰ってこれないから」
 
ξ*゚听)ξ「わ、わかった」
 
 ぎゅ、と強く握り返す。
 私の世界のブーンよりも、逞しい手をしていた。
 その時、気がついた。彼の首に一筋の傷があることに。
 
ξ;゚听)ξ「血、出てるよ?」
 
(;^ω^)「お?」
 
ξ゚听)ξ「じっとしててね」
 
ξ゚听)ξ『ディア』
 
 治癒の言霊を紡ぎ、スアデラの手が傷跡に重ねられた。
 このくらいの傷なら、すぐに治すことができる。
 やはりというか、ブーンにはペルソナが見えていないようだった。
 
ξ゚听)ξ「……うん、もう大丈夫」
 
( ^ω^)「ありがとうだお!」
 
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533 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:40:57.69 ID:0WNQbzNL0
 
ξ゚听)ξ(不思議に思わないんだ……彼にとっては、当たり前の力なのかな)
 
( ^ω^)「それじゃ、いくお」
 
( -ω-)『───v──√レvv──……』
 
 気を取り直して、ブーンが呪文みたいなものを唱え始める。
 暖かい光が、体を包み込んでいく。
 握る手に、また強く力をこめた。
 
 やっぱり、不思議だ。
 ブーンなのに、ブーンじゃない。
 言葉に表わすと、更に頭がこんがらがってしまいそうだ。
 

 ふわりと、体が浮き始める。
 上昇直後のエレベーターの感覚に似ている気がした。
 
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536 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:47:49.82 ID:0WNQbzNL0
 
 更に強く、握る手に力を込めると。
 
 視界に映る景色が、急激にぶれた。
 ぷつりと、テレビのチャンネルを切り替えた時のような暗転。
 移動していると思える感覚は一切無かった。
 
 
 視界は暗転したまま、変わらない。
 
 
 でも、握る手にはしっかりと、温もりが残っていた。
 
 
 

 
 
  
   「着いたお」
 
 
 ブーンの声が聞こえても、視界は真っ暗のままだ。
 そう思った時、自分がいつのまにか目を閉じていた事に気が付く。
 ゆっくりと、目を開けた。
 
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538 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:49:06.80 ID:0WNQbzNL0
 
ξ;゚听)ξ「…………」
 
 小高い丘に、立っていた。
 そこにはさっきまでの宇宙のような景色はどこにもなく。
 青々とした草原が、ずっと広がっていた。
 
 青空の下、遠くに見えるのは山ばかり。
 広大な大自然とは、こういう景色のことを言うのだろうか。
 見る人により違うのだろうけど、私には間違いなく、そう思えた。
 
ξ;゚听)ξ「ここが……ブーンの世界なの?」
 
( ^ω^)「そうだお。上手くいくか不安だったけど……成功したみたいだお」
 
ξ;゚听)ξ「し、失敗してたかもしれないのね……」
 
 ゾっとすることを軽く言われた。
 疑っていたわけじゃないけど、本当に来てしまったという思いが心臓を高鳴らせる。
 不安だけは、どうにも抑えることができない。
 
ξ゚听)ξ「それで、ここはどこなの?」
 
( ^ω^)「僕の村のすぐ近くにある丘だお。
      村をイメージしてたんだけど、上手く飛べたみたいだお」
 
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539 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:52:08.11 ID:0WNQbzNL0
 
 なるほど、上手くいったとはそういうことなのか。
 
ξ゚听)ξ「でも村の近くって……アンノウンはどこにいるの?」
 
( ^ω^)「アンノウンの場所へ行くにはこれを使うんだお」
 
 そう言ってブーンは懐から小さなビー玉のような石を取り出した。
 真上で輝く太陽の光を受けて、青色にキラキラと反射している。
 
( ^ω^)「夕日に向かってこれを掲げれば、アンノウンの所へいけるお」
 
ξ゚听)ξ「へぇ……便利なのね」
 
( ^ω^)「期限は、明日の夕方。その時に仲間全員で掲げなきゃいけないっていう制限があるお」
 
ξ゚听)ξ「じゃあ、仲間を待てばいいの?」
 
( ^ω^)「どちらにしろワープは夕方にしかできないし、その間は……待ってれば……」
 
ξ゚听)ξ「?」
 
(;^ω^)「と、とにかく、みんな違う場所にいたとしても、この鍵はどこでも使えるから心配ないお」
 
ξ゚听)ξ「ふぅん……」
 
 私の世界にはない不思議な力に、そんな相槌を打つ事しかできなかった。
 感心しつつも、頭を追いつかせることに精一杯なのだ。
 
ξ゚听)ξ「アンノウンがいきなりここへ現れるってことは……ないの?」
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541 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:55:01.12 ID:0WNQbzNL0
 
( ^ω^)「それは……わからないお。元々得体の知れない奴だけど、
      僕達の動きを知っているのかもしれないし、知らないかもしれないから……」
 
ξ゚听)ξ「そう……願いを叶える聖剣を持ってるなんて……反則よね」
 
( ^ω^)「聖剣は今、力が空っぽだから願いは叶えられないらしいお」
 
ξ゚听)ξ「そうなの……少し、安心したわ」
 
 その時、強い風が吹いた。咄嗟に髪とスカートを抑える。
 
 そういえば、ブーンの格好は私と随分違う。
 この世界がどんな文化なのかわからないけど、VIP高校の制服でおかしくないだろうか。
 ただでさえ地味な制服なのに。
 
( ^ω^)「そういえば、寒くないかお?」
 
ξ゚听)ξ「うん、言われてみれば、ちょっと寒いかも」
 
( ^ω^)「村に行こうお。外套くらい余ってるはずだお」
 
ξ゚ー゚)ξ「わかった。ありがとう」
 
( ^ω^)「お?」
 
ξ゚听)ξ「なんでもないわ。いきましょ」
 
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543 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 16:58:27.17 ID:0WNQbzNL0
 
 優しい所も、鈍い所も、彼はブーンと一緒だった。
 
 この先に、世界を懸けた戦いが待っている。
 そんなことが信じられない程に、この景色は壮大で。
 
 もう一度振り返り、しっかりと目に焼き付けた後、ブーンの背を追った。
 
 
 
 

 
 
 
 十五分ほど、歩いただろうか。
 丘を下り、ちょっとした林を抜けると、木で造られた家が見えた。
 更に歩くと、ぽつりぽつりと同じ様な家が数軒見える。
 
 同じく木で造られた柵をまたいで越える。
 どうやらそこからが、ブーンの村らしかった。
 赤茶色の地面が広がり、周囲は林に囲まれている。
 
 人の姿は見えない。とても静かな所だった。
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545 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:01:28.35 ID:0WNQbzNL0
 
 柵を越えてすぐの所にある家の前で、ブーンは立ち止まった。
 どうやらここが、ブーンの家のようだ。
 
 結構、大きい。
 
 木組みの外観は私の世界で言う、ちょっとした山荘ほどの大きさだ。
 正直、失礼ながら村と言われた時はもう少し質素な建物を想像してしまっていた。
 ブーンの服装から、なんとなくそんな事を予想していただけだ。
 
 同じく木で造られた階段を上がり、ブーンが入り口の戸をノックする。
 少しして、キィと音を立てながら扉が開いた。
 
J(;'ー`)し「はいはい……って、ブーン!?」
 
( ^ω^)「カーチャン、ただいまだお」
 
J(;'ー`)し「ぶ、無事だったのね!? ツンちゃんも……怪我はない?」
 
 驚いた。
 ブーンのお母さんまで、私の知っている姿をしていた。
 これが異世界、即ちパラレルワールドということなのだろうか。
 少しやつれているように見えたけれど、本当に差はそのくらいだった。
 
ξ;゚听)ξ「あ、あの……」
 
 なんと言っていいか返事を言いあぐねていると、
 
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547 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:04:32.60 ID:0WNQbzNL0
 
ノハ*゚听)「おおッ!? ブーン! ツンもいるぞ!」
 
 ずさ、と走り寄りおばさんの横で急停止したのは、女の子。
 私はその子にも、見覚えがあった。
 元気いっぱいで赤い髪を揺らすこの女の子は……。
 
(;^ω^)「……カーチャン、色々事情があるんだお。とりあえず中で……」
 
J( 'ー`)し「……わかったわ。さぁ、こっちに」
 
ノハ*゚听)「あれ? ツンがひらひらしたの着てる! なにそれ!」
 
ξ;゚听)ξ「え、これは、わわ──っ! ちょ、ちょっと!」
 
 女の子にスカートの裾を掴まれ、ぐいぐいと引っ張られてめくられそうになる。
 私は必死でスカートを押さえながらじりじりと家の中へ入った。
 
( ^ω^)
 
ξ#゚听)ξ「ちょっと! 見てないで止めなさいよね!」
 
 あんたはどこを見てるんだ。
 もしかすると、私の世界のブーンよりちょっと、スケベなのかもしれない。
 
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549 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:07:46.97 ID:0WNQbzNL0
 

 
 おばさんが淹れてくれた紅茶を一口すする。
 口に含むと茶葉の香りがふわりと広がり、それだけで思わず「ほう」と息を吐く。
 例えるのも失礼だけれど、コンビニで売っているどの紅茶よりもおいしかった。
 
J( 'ー`)し「そう……使ったのね、“禁呪”を……」
 
 暖炉のある部屋に置かれた木製のテーブルを五人で囲み、
 ブーンが事情を説明し終えた後、おばさんは静かに、呟いた。
 向かい。おばさんの側に座る二人の少女を見つめながら、私は話を聞いていた。
 
ノパ听)
 
lw´‐ _‐ノv
 
 元気いっぱいの赤毛の女の子とは対照的な、
 落ち着いた雰囲気を醸し出している長い黒髪の女の子。
 この子の事も、私は多分知っている。
 
lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃんは……?」
 
( ^ω^)「大丈夫だお。僕と同じ様に、きっと戻ってきてるはずだお」
 
lw´‐ _‐ノv「……」
 
物語のページが( ^ω^)´・ω・)゚听)ξ 川 ゚ -゚)応えるようです
551 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:11:17.52 ID:0WNQbzNL0
 
ξ゚听)ξ「お姉ちゃんって……もしかしてクーって名前だったり……?」
 
( ^ω^)「そうだお。この二人はクーの妹、ヒートとシューだお。
      旅に出てる間、カーチャンに面倒見てもらってるんだお」
 
ξ゚听)ξ「そう……」
 
 見る限り、二人は私が知っている二人よりも少し幼い気がする。
 
 ブーンとおばさんもそうだったけれど、まさかクーの家族構成も同じだなんて。
 私の世界でもクーの両親はおらず、高校に通いながら二人の面倒を見ていたはずだ。
 この様子ならきっと性格もそっくりなのだろうな、なんて思った。
 
( ^ω^)「それで、カーチャン」
 
J( 'ー`)し「?」
 
( ^ω^)「僕らは揃って、アンノウンの城に合流するお」
 
J( '-`)し「……ツンちゃんの転送魔術ね」
 
 一瞬、自分の事かと思ったけれど、すぐにこちらのツンさんの事だと理解した。
 自分の名前に「さん」を付けるなんて違和感があったけれど、それが今起きている現実なのだ。
 
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553 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:14:25.81 ID:0WNQbzNL0
 
J( 'ー`)し「…………」
 
 おばさんは一瞬、目を伏せると、すぐに顔を上げて視線を移動させる。
 止まったその先には、石で造られた古めかしい暖炉があった。
 見ているのは、その上に置いてある物のようだった。
 
ξ゚听)ξ「……?」
 
 オブジェ、だろうか。素材はよく分からないけれど、銀色に鈍く光っている。
 それを見つめるおばさんの真剣な表情が、ただの美術品であると思わせない。
 手の平ほどの大きさの物が四つ並んでおり、その中の一つに、どこか見覚えがあった。
 
( ^ω^)「お守り、だお」
 
 疑問が顔に出ていたのだろう。
 隣に座るブーンが、私の求めていた答えを言ってくれた。
 振り返り彼を見ると、もう一つの“もや”も晴れた。
 
 オブジェの一つが、ブーンが羽織っている外套の留め具と、同じ形をしていたのだ。
 
 彼がつけている留め具は、タイルに筋が入ったような、シンプルなデザイン。
 暖炉の上に飾られているものは、蝶のような形、アルファベットのような形、
 そして、本で見た刀の鍔のような形から、小さな棒がぶら下がっているもの。
 
 並ぶ四つの“お守り”は、それぞれがそんな形をしていた。
 
( ^ω^)「僕たちの家に代々伝わる家紋を、模してあるんだお」
 
ξ゚听)ξ「そうなんだ……」
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554 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:17:58.29 ID:0WNQbzNL0
 
 ブーンを見るに、話の中にいた仲間も、あれと同じ物を身につけているのだろう。
 ということは、仲間は彼を含めて四人以上いるということだ。
 
( ^ω^)「ツンは……こっちのツンは、あの蝶々さんをつけてるお」
 
 返事は、しなかった。
 できなかったが、正しい。
 
 なんとなく、あれかなと思っていたからだ。
 そんな気がしていただけの、全くの勘だったのだけれど、少し驚いた。
 
ノハ*゚听)「ねーちゃんのはあれ!」
 
 ヒートちゃんが指差したオブジェは、刀の鞘の様な形をしたものだった。
 とすると、残りの一つは誰だろうか。
 それを訊こうと口を開きかけた時、
 
ξ;゚听)ξ「ッ……」
 
 いつの間にかおばさんがこちらを向いていることに気が付く。
 思わず背筋を伸ばして目を合わせた。
 
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556 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:21:00.85 ID:0WNQbzNL0
 
J( '-`)し「ツンちゃ……ツンさん」
 
ξ;゚听)ξ「は、はい」
 
J( 'ー`)し「……この世界を、お願いします」
 
ξ゚听)ξ「……」
 
 ブーンがおばさんにした話は、“禁呪”など私にはよくわからない言葉が混じり、全く理解できなかった。
 どうやらそれはとても大変なことらしく、おばさんは神妙な面持ちでずっと聞いていた。
 
 特に、“転送魔術”の話をした時に、表情が強張った気がする。
 この世界の“魔術”を知らない私にとって、“禁呪”との違いはわからない。
 でもその時の様子は、とても理由を聞けるような雰囲気ではなかった。
 
 お守りを見た後のおばさんは、幾分か表情が和らいでいた。
 
 色々な事が一度に起こりすぎて、頭がパンクしそうになっている。
 その所為で、返事をどうしてよいのか戸惑ってしまい、微妙な間が生まれてしまう。
 
 それに、躊躇した理由は会話についていけない、という事だけではなかった。
 
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558 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:24:07.34 ID:0WNQbzNL0
 
ξ゚听)ξ「全力を、尽くします」
 
 そうとしか言えず。
 それでもおばさんは、にっこりと笑ってくれた。
 
 私の力がアンノウンに通用するかは、わからない。
 何故私なのか、という疑問は未だ残り続けているからだ。
 必ずとは、どうしても言い切ることができなかった。
 
( ^ω^)「カーチャン、ツンに外套を貸してやれないかお?」
 
J( 'ー`)し「あら、そうね……その服、少し寒そうね」
 
ノパ听)「ヘンな格好──!」
 
lw´‐ _‐ノv「わたしは結構好き」
 
ξ;゚听)ξ「あは、あはは……」
 
 この制服は、やっぱりこの世界では珍しい服装みたいだった。
 こっちへ、とおばさんに促され、別の部屋へと移動する。
 ヒートちゃんがぴったりと私の後をついてきていた。
 
J( 'ー`)し「私のお古だけど、大丈夫かしら?」
 
ξ゚听)ξ「はい、ありがとうございます」
 
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560 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:27:17.67 ID:0WNQbzNL0
 
J( 'ー`)し「なんなら服も全部取り替える?」
 
ξ;゚听)ξ「いえ、そこまでは……」
 
J( 'ー`)し「そう。少し汚れてるみたいだけど、洗濯しましょうか?」
 
ξ;゚听)ξ「そんな、悪いです」
 
J( 'ー`)し「遠慮しなくていいのよ? 洗濯なんて十分もあれば終わるから」
 
ξ;゚听)ξ「じゅ、十分?」
 
 どう考えても十分で洗濯は終わらない。
 もしかして単位は同じでも、私の世界と時間の基準が違うのかもしれない。
 こちらの世界の十分が、私の世界で一時間だったりする可能性もあるのだ。
 
J( 'ー`)し「ツンさんの世界は知らないけど、こっちの世界では洗濯はこうするのよ」
 
 そういうと、おばさんは人差し指をぴんと立て、何かを呟きはじめた。
 すると指先にふよふよと何かが集まり、それの背景が歪んで見える。
 
ξ;゚听)ξ「み、水?」
 
 おばさんの指先に生まれたのは、人の頭ほどの大きさをした水の塊だった。
 
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562 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:30:19.84 ID:0WNQbzNL0
 
J( 'ー`)し「水を召喚して、更にそこへ風を召喚して、洗うのよ」
 
ξ;゚听)ξ「……魔法?」
 
J( 'ー`)し「あら、ご存じ?」
 
ξ;゚听)ξ「いえ……私の世界にはありません……」
 
J( 'ー`)し「そう。召喚術と言ってね、乾かす時は火と風を応用するの。すぐ済むわよ」
 
ξ;゚听)ξ「へ、へぇー……」
 
J( 'ー`)し「この村の人達は召喚師の末裔でね、こういうことは誰でもできるの。
      戦いとなると……話は違うけどね」
 
ξ゚听)ξ「……それが、ブーン達ですか」
 
J( 'ー`)し「……あの子達が、この村で戦える最後の召喚師……。
      私達の村の……いいえ、この世界の最後の希望なのよ」
 
ξ゚听)ξ「そうだったんですか……」
 
ノハ*゚听)「ねーちゃんはすっっごく強いんだぞ!」
 
J( 'ー`)し「あらあら、ブーンもツンちゃんも、ショボンくんも強いわよ」
 
ノハ*゚听)「だけどねーちゃんが一番だっ!」
 
J( 'ー`)し「あらあらうふふ」
物語のページが( ^ω^)´・ω・)゚听)ξ 川 ゚ -゚)応えるようです
565 : ◆iAiA/QCRIM []:2010/11/28(日) 17:33:15.00 ID:0WNQbzNL0
 
 おばさんは水を消すと、ヒートちゃんの頭を撫でる。
 ヒートちゃんはと言うと猫のように目を細め、実に気持ちよさそうな顔をしていた。
 そんな様子を見ていると大変な戦いがこれから始まるなんて、信じられなくなる。
 
 おばさんは、ショボンとも言っていた。
 と言うことは、アルファベットのような家紋はショボンがつけているのだろう。
 
 ブーンと、ショボンと、クーと、そしてこの世界の私。
 その四人がアンノウンに敗れて、他の世界に助けを呼びに旅立ったということか。
 
 私の他にどんな人が呼ばれたのだろうか。
 案外、同じ組み合わせなのかもしれない。
 重なる私の世界との共通点に、なんとなく、そんな気がした。
 
 この世界の私はどんな感じなのか、不謹慎だと思いつつも少し、楽しみだった。
 ブーンが言うには胸の大きさまでそっくりとのことだけど、一言余計だ。
 同じ容姿の相手に、『初めまして』なんて言っている図を思い浮かべて、可笑しく思えてしまった。
 
 おばさんの厚意に甘え、制服も洗ってもらうことにする。
 私の世界の下着が珍しいのか、またヒートちゃんに引っ張られた。
 ヒートちゃんが、必死で下着を奪われまいと死守し続けている私に、
 
ノハ*゚听)「おっぱい小さいな! やっぱりツンだっ!」
 
 などと自分はつるぺたなくせにそんな事を言い、ちょっぴり凹んだことは胸の中にしまっておく。
 
J( 'ー`)し「あら……これは?」
 
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