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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」

書き込みレス一覧

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部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:04:42.12 ID:dewxfyM5O
深夜

両津「ここが眉毛の家か。贅沢な家に住みやがって」

両津「まあいい……よし、作戦開始だ」

両津「最初の目的地は……中庭か……スタートだ!」

……

部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:08:38.31 ID:dewxfyM5O
同日お昼前

両津「よう、ボルボ」

ジャーン ギュイーン

ボルボ『育ち盛りの欲張り恋心ー!!』

左近時「イェイ」

ボルボ『大好き! コトコト煮込んだカレー……』

ジャーン ジャーン

両津「……」

ボルボ「……ん、なんだ両津じゃないか。メンバー募集の張り紙を見て来たのか?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:13:14.88 ID:dewxfyM5O
左近寺「とうとう両津も目覚めたか」

両津「違う、わしは音楽をしに来たんじゃない! 大体何で道場でバンドやってるんだよ!」

ボルボ「場所が無くてな。左近寺がこの道場なら使ってもいいと」

左近寺「ああ。明日からは新メンバーも入るからな。歓迎会のためにこうして練習をな」

両津「……まあいい。ボルボ、ちょっと頼みたい事があるんだ」

ボルボ「……仕事か?」キリッ

両津「そうだ」

両津(よし、ボルボの目はまだ死んでいない)
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:21:05.55 ID:dewxfyM5O
両津(それに引きかえ……)

左近寺「ああっ、ムギュゥゥゥゥゥ!」

ボルボ「……用件を聞こう」フゥーッ

両津「これを見てくれ」ペラッ

ボルボ「屋敷の見取り図か?」

両津「時間が無かったからな。外観の分しか資料が無いが……」

ボルボ「……」

両津「ズバリ、この屋敷に……潜入したい」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:25:44.14 ID:dewxfyM5O
ボルボ「条件は?」

両津「夜から深夜に掛けてだが、短ければ短い方がいい」

ボルボ「任務内容は?」

両津「寝室への侵入だ」

ボルボ「しかし外観だけでは部屋の造りまでは……」

両津「中の探索はわしが一人で行う。ボルボは外……侵入ルートだけ考えてくれればいい」

ボルボ「なるほど、今回の仕事はアドバイザーか」

両津「ああ、頼む」

ボルボ「……この屋敷の立地条件は?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:31:12.77 ID:dewxfyM5O
両津「まず屋敷の周りには森と平地が広がっている……大きさは皇居と同じくらいだ。その中心に屋敷がある」

ボルボ「なかなか広いな。当然、四方の壁には監視カメラや電気鉄線……警備の者がいるだろうな」

両津「上空からパラシュートを使って庭に降下する作戦はどうだ?」

ボルボ「おそらく何処かのエリアは地雷元になっているはず。庭に降りるのは危険だ」

両津「庭に闇雲に降りるのはバツ、と……」

両津「じゃあ思いきって屋根の上に降りるのはどうだ?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:36:41.54 ID:dewxfyM5O
ボルボ「おそらく屋根にセンサーがついているだろう。着地した瞬間に警報が鳴るはずだ」

両津「空からは無理か……やはり地上か?」

ボルボ「軍事施設なら偽のIDを発効したり荷物に紛れる事はできるが」

両津「そういう施設じゃない。パスだ」

ボルボ「警備員に成り済ます方法はどうだ?」

両津「ダメだ。今回は準備の時間が無い」

ボルボ「それならば……ん?」

ボルボ「庭の中に……こんな大きな池があるのか?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:39:45.56 ID:dewxfyM5O
ボルボ「そして近くに流れる川……」

両津「ボルボ?」

ボルボ「よし両津。潜入ルートが決まったぞ」

両津「なんだと? 一体どこから?」

ボルボ「いいか、まずはこの川の上流から……」

両津「ふむふむ……」

ボルボ「おそらくこの辺りに水路があって……」

両津「……」

ボルボ「そして、ここがスタート地点になるわけだ」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:42:32.77 ID:dewxfyM5O
両津「なるほど。川から池の中に潜入するわけか」

ボルボ「これだけしっかりした庭なら、水をちゃんと外に流すための水路はあるはずだ。そこからなら……」

両津「サンキューボルボ」

両津(へへっ、後は夜を待って忍び込むだけだ……待っててね眉毛ちゃん、と)

……

……
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:53:16.14 ID:dewxfyM5O
屋敷内

両津「へへっ。あっさり潜入できたぜ」

タタタッ

両津「しかし……あまりに広いとは言え妙に静かだ。家具だって王様みたいで何だか落ち着かんな」

両津「……ん?」

キラッ

両津「こんな所に……金のフォークが……」

両津「な、なんだ……何かの罠か?」キョロキョロ

両津「でも」

キラキラ

両津「……」ゴクリ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 00:57:07.25 ID:dewxfyM5O
両津「この金のフォークとか、持って帰っちゃおっかな〜」


……

「……モニターに映します」

ピッ

両津『持って帰っちゃうもんね〜』スッ

両津『へへへっ。驚かせやがって……何も起こらないじゃねえか。おっ!』

両津『今度は宝石が落ちているぞ!』

両津『小判! 金塊! うひょひょひょひょ!』

斎藤「紬様の仰られた通り……なんたる不届き者……」

両津『いやあ、金持ち万歳! お金最高!』

「すっかり有頂天ですよ……」

斎藤「放っておきなさい。そろそろあの部屋の中に着くはずですから、ね」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:01:09.77 ID:dewxfyM5O
両津「いやあ、ここはいいお家だなあ……」キラキラ

両津「……って違う! こんな物のためにここまで来たんじゃない!」ブンッ

グッ

両津「くっ、手が宝石を離してくれない……!」

両津「くそっ! 早く眉毛の寝室を見つけな……ん?」

【札束の間】

両津「さ、札束の間だと!」

両津「……い、いや。いかん。早く寝室を探さねば……」

【札束の間】

両津「……」ゴクリ

両津「ち、ちょっとだけなら……ソーッと、ね」

ガチャリ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:07:28.34 ID:dewxfyM5O
両津「う……うひょぉぉぉ!」

両津「部屋一杯の……札! 札! 札!」

両津「こ、これ全部……ゆ、諭吉だ……」

両津「い、い、いやっほぁぉぁぉああ! これで一生遊んで暮らせるぞ!」


モニター室

斎藤「……」

紬「……」

両津『いやっふぉぉぉ! わしの金だぁぁぁぁぁ!』

両津『ひゅひょあー! うぇーい!!』
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:12:54.45 ID:dewxfyM5O
斎藤「……いかがなさいますか?」

紬「そうねえ……眠ってもらって屋敷の外に追い出しましょうか〜?」

両津『うっひょぉぉぉ! 眉毛ちゃん最高! ムギュゥゥゥゥゥ!!』

両津『眉毛最高ぅぅ! 沢庵和尚ありがとうぅぅぅ!』


紬「うん。やっぱり地下に落としてあげて?」

斎藤「かしこまりました」ポチッ

両津『ん、何だか腰が浮く感じがして……ん?』

ズドドドドッ

両津『ぎ……ぎょぇぇぇええ!!』

紬「……」

斎藤「終わりました」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:21:11.43 ID:dewxfyM5O
バラバラ バラバラ

両津「ちくしょー! 騙しやがったなあの眉毛!」

ヒュー

両津「札束ごと落とすなんて人間じゃねえぞ!」

ヒュー

両津「ったく、これだからお嬢様ってやつは……って……」

ヒュー

両津「一体どこまで落ちるんだ、わし……」

ヒュー ドボン!

両津(ぶふぁ……み、水? またどこかの地下水路か?)
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:24:32.25 ID:dewxfyM5O
……ギラリ

両津(ん、今何か水中で光ったような……)

クロコダイル「……」ギラッ

両津「ぎ……ぎょえぼぼぼっ! ワ、ワニだワニ!」

クロコダイル「グバァ!」ギラッ

両津「……なんで獰猛なクロコダイルがこんな所にいるんだよ!!」

クロコダイル「……」ギラッ

クロコダイル「……」ギラッ


両津「ここまでやる事ないだろうがあぁ!」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:28:18.50 ID:dewxfyM5O
紬「地下の様子はどうだったかしら?」

斎藤「ご指示通り、ペットのワニには昨日から餌を与えておりません」

紬(うん……それならもう安心ね)

斎藤「紬様、そろそろお休みになられては……」

紬「そうね。今日はもう疲れたわ……おやすみ斎藤」

斎藤「おやすみなさいませ」スッ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:33:36.13 ID:dewxfyM5O
次の日 放課後

さわ子「ほ、本当に? 本当にもう写真は貼られないの?」

律「それにもう唯も狙われないって……」

澪「あ、もしかして昨日の口座であっさり犯人逮捕とか?」

紬「ううん。口座はやっぱり違ったのよ……」

ガチャリ

中川「それについては僕の方から説明します」

さわ子「な、中川さん……!」

紬「今回の事件のためにわざわざ来てもらったのよ」

中川「事件とは別に、ちょっと気になる事もあったからね」

澪「そ、それで……口座は結局誰の?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:42:32.86 ID:dewxfyM5O
中川「詐欺でよく使われるのと全く同じ……他人名義の口座だよ」

律「どうやって作ったんだろうな?」

中川「違法なサイトにアクセスして一日で作ったらしいよ。先輩はそういうの得意だから……」

澪「警察のやる事じゃないな……」

中川「次に電話の正体だけれど……」

さわ子「だ、誰だったんですか? やっぱりその……」

中川「先輩じゃあありません。先輩の馴染みの、プラモ屋のご主人だったんですよ」

梓「プ、プラモですか?」

唯「え〜? じゃあ共犯って事?」

紬「はたして共犯と言えるかどうか……」フゥ

中川「……話によるとね」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:48:09.89 ID:dewxfyM5O
数日前

両津「うおっすプラモ屋」

尾崎「な、なんだい両さんかい。朝から元気だね」

両津「そういうプラモ屋は元気無いじゃないか?」

尾崎「不景気だよ不景気。近ごろ商品がメッキリ売れやしない……誰かさんがキッチリ借金返してくれりゃあ、首も回るんだけどね」チラッ

両津「実はな、今日はその話をしに来たんだ」

尾崎「ハァ……もうツケは無理だよ。五百円でもいいから、借金払ってくれってんだ……」

両津「だから違う! ほれ!」スッ

尾崎「こ、これは……五万円も……」

両津「ふっふっふっ」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:52:35.51 ID:dewxfyM5O
尾崎「え……明日の朝に?」

両津「そうだ。この電話番号にかけて……上から順にこの単語を読むだけでいいんだ」

尾崎「なになに……先生の山中さんをお願いします……?」

尾崎「写真……銀行……なんだいこりゃ? まともなのは最初の文だけじゃないか」

両津「いいんだよそれで。山中という女教師が出たら下の単語を読み始めればいい」

尾崎「……こんなんで借金返してくれんのかい?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 01:57:45.44 ID:dewxfyM5O
両津「その証拠にこの五万円を渡すんだ! いわばこれは誠意の金だ!」

尾崎「まあ、両さんが競馬で買った時意外に金を払うなんて珍しい事だけどさ……んー……」

両津「どうした! 何を迷う事があるプラモ屋!」

尾崎「でもこれって、その……オレオレ詐欺みたいなもんじゃないのか?」

両津「」ドキッ

尾崎「この誠意とか銀行口座とかさ……両さん、この銀行の口座持ってたっけ?」

両津「そ、それは……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:02:25.60 ID:dewxfyM5O
>>168
買った×
勝った○



尾崎「悪いけど、悪事には手は貸せないんでね。説明ができないんじゃあ……」

両津「うっ、ううっ……」ポタポタ

尾崎「り、両さん? もしかして、泣いているのかい……?」

両津「す、すまん……情けない所を見せちまった……」

尾崎「いいんだよそんなの気にしないで。俺と両さんの仲だろ?」

両津「プ、プラモ屋……」グスッ

尾崎「さ、涙を拭いて。何があったか話しちゃくれねえかい?」

両津「ああっ、話すとも……話すとも!」

両津「……あれは忘れもしない去年の暮れ……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:10:56.30 ID:dewxfyM5O
両津「実家に帰省していたわしは、家族三人で鍋をつついていた……今年最後の食事だったんだ」

両津「雪が降りだしそうなくらい寒かった大晦日……覚えているだろプラモ屋!」

尾崎「あの日は夜風が身にしみたねぇ……」

両津「そんな中親父が突然言い出したんだ……オデンが食べたい、と」

尾崎「気の強い親父さんだからねぇ」

両津「でもお袋は……嫌な顔一つせずに買い出しに向かう準備をし始めたんだ……」

尾崎「いいお袋さんじゃないか。十何年一緒にいると、流石に人間ができてるねえ」

両津「……」グスッ

尾崎「そ、それで?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:14:58.77 ID:dewxfyM5O
両津「しかしわしらが、その日オデンを食べる事は無かったんだ……」

尾崎「年末じゃあお店もやってないだろうし……」

両津「違う! 店はやっていた! ちゃんとオデンの具だって買っていたんだ!」

尾崎「それじゃあ……ま、まさか」

両津「そうだ。帰りに車にはねられて……お袋はその日家に帰って来なかった」

尾崎「まさか、もう生きてないんじゃ……」

両津「いや、幸い一命は取りとめた。しばらくは寝たきりだったが……ううっ」グスッ

尾崎「大変だったんだな、両さんも」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:19:12.26 ID:dewxfyM5O
両津「お見舞いに行って愕然としたよ。痩せこけた頬に痛々しい包帯……わしゃ見てられんかった!」

尾崎「っ……ぅ」グスッ

両津「枕元にはボロボロになった買い物かご……ふと中を見てみると、大量の……大量の……うっ……」

両津「ち、ちくしょう。思い出しただけで涙が……」

尾崎「い、いいんだ両さん! もうわかったから! 言わないでも俺には全部わかったから!」

両津「わしのために泣いてくれるのか、プラモ屋!」

尾崎「ああ、ああ……もちろんだ!」

両津「プラモ屋……」

尾崎「両さん……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:23:24.88 ID:dewxfyM5O
……

中川「……という話が」

律「ポカーン」

澪「……」

唯「ううっ、両さん可愛そう……」グスッ

律「せんせー、一名本気で泣いとります」

澪「……」ウルッ

律「いやお前もかよ!」


澪「だ、だってそんな過去があるなんて……」

梓「なんだかちょっとだけ……同情しちゃいますね」

紬「うふふっ。でもこれで終わったわけじゃないのよ?」

さわ子「?」

中川「ええ。この話の後にですね……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:28:09.32 ID:dewxfyM5O
尾崎「……で、その話がこの紙とどんな関係が?」

両津「そこに書いてある山中という名前だ! そいつが……そいつがわしのお袋を車ではねた張本人なんだ」

尾崎「こ、この人がかい?」

両津「わしはあれから懸命に捜査をした。雨の日も風の日も……現場に通い詰めて千回現場を調べた」

両津「そして、ある一台の車がリストに挙がった! それこそがこの……」

尾崎「山中という人物の車か……」

両津「その通り!」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:33:29.88 ID:dewxfyM5O
尾崎「しかしそこまでわかってるなら、こんな回りくどい事しないでもいいんじゃないかい?」

両津「その山中はトンデモナイ奴でな。自分がひいたにも関わらず治療費は払わない、病院にも顔は見せず……」

尾崎「おいおい、本当かい?」

両津「冗談だったらどんなにいいか! 日に日に痩せていくお袋。手術の金も無く……病院を追い出されるわで……」

尾崎「そ、そんなに……」

両津「だからこそ! その電話が必要なんだ! 金は払ってもらわなくても伝えたいんだ。苦しんでいるお袋がいる事を……」

尾崎「り、両さん……!」

両津「これを聞いてまだわしが悪だと言うのなら、わしは去る」スッ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:37:27.48 ID:dewxfyM5O
両津「あばよプラモ屋」

尾崎「ま、待ってくれ。この五万円はどうするんだ!」

両津「手切れ金だ、取っておいてくれ。今までありがとうよ……」

尾崎「両さん……」

両津「じゃあな……」

尾崎「……」

尾崎「なあ両さん。明日の何時に電話すればよかったんだっけな?」

両津「……プラモ屋?」

尾崎「あーあ。実は昨日ちょっとした団体さんが来てな。金には困ってないんだよ」スッ

尾崎「この五万円は、お袋さんに何か美味いもんでも食べさせてやんなよ」

両津「プラモ屋……うっ……ううっ……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:40:20.05 ID:dewxfyM5O
尾崎「泣くなよ。俺がこんな電話くらいかけてやるから、な?」

両津「う、うおおお! ありがとうプラモ屋! わしはいい友人を持ったなあ……」

尾崎「よ、よせやい。そんな事言われたら……照れるぜ」

両津「プラモ屋!」

尾崎「両さん!」

ガシッ(握手)

……
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:44:46.96 ID:dewxfyM5O
中川「以上です」

さわ子「わ、わわ私事故なんて起こしてないわよ?」

唯「え? そうなの?」

さわ子「あったり前よ」

中川「念のため、先輩の実家に連絡してみましたが事故の事実は無いそうです。先輩のお母さんもピンピンしてました」

律「大嘘すぎんだろ! さわちゃん犯罪者にして母親までダシに使うなんて!」

中川「先輩だから……」

澪「その言葉だけで納得でき始めてるのが悲しいな」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:50:39.12 ID:dewxfyM5O
唯「プラモ屋さんもやっぱり共犯になっちゃうのかな?」

中川「先輩に騙されての犯行だからね。注意という形だけで終わると思うよ」

紬「義理人情のあるいい人よね、プラモ屋さんて」

梓「ひどいのはやっぱり両さんですね」

律「あ、でもこれだけ証言があるなら捕まえちゃえばいいんでない? そのプラモ屋が持ってたメモとか証拠にさ〜」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 02:56:50.32 ID:dewxfyM5O
中川「メモはあったけど、逮捕はできないだろうね。言い逃れもするだろうし」

律「あ、どんな言い逃れするかみんなで考えてみようぜ?」

澪「……プラモ屋が勝手にやった事だ?」

梓「し、証拠はあるのか証拠は?」

律「そこに書いてあるのはただの単語だ!」

紬「わしが恐喝などするはずないだろ〜」

さわ子「死ね、バーカバーカ」

律「発言と考え方が全部子供すぎる……」

澪「小学生以下かもね」

梓「綺麗な心がある分、小学生の方が偉いと思いますよ……」

律「ちげえねえや」

さわ子「も、もう話は終わりですか?」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:02:38.67 ID:dewxfyM5O
中川「僕の用事はあと……これを」カチャッ

唯「何この機械?」

澪「パッと見エフェクターに見えるが……」

中川「これは盗聴機を探知できる機械だよ。この部室に盗聴機が無いか……ね」

梓「と、盗聴!」

中川「海パン刑事が来てた時、先輩が色々やってたみたいだからさ……一応」

律「あの原始人、そんな事まで!」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:05:14.47 ID:dewxfyM5O
中川「もし機械があったら音が鳴るけど……さすがにそんな事は無いと信じてるよ」

律「中川さんは……信頼してるんですね?」

中川「僕は先輩を信じるよ。いくら先輩でも女子高の部室を盗聴なんて、ね」ピッ


ピーッ ピーッ ピーッ

ビーッ ビーッ ビーッ

ピピピピ ピピピピ

唯「うわ〜めっちゃ鳴ってるよ〜」

中川「……」

律「信頼する相手、変えたら?」

中川「……考えておくよ」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:12:30.27 ID:dewxfyM5O
……

中川「これで全部かな」

澪「やれやれ」

律「よくあるよあの原始人も」

さわ子「ま、また襲って来ないかな?」ブルブル

紬「その心配は無いですよ」

梓「ム、ムギ先輩?」

中川「実は昨日から先輩の姿が見えないんだ」

澪「え?」

紬「私の家に侵入しようとしたみたいなんだけど……セキュリティに引っ掛かったみたいなの」

律「ムギん家に忍び込むなんて……金か! 金なのか!」

紬「私の眉毛を全部抜き取るってお友達に売り付けるつもりだったみたいよ?」

律「そんなの買うやつがいんのかよ……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:18:00.68 ID:dewxfyM5O
紬「SPに捕まって、外に追い出したんだけど……帰っていないみたい」クスッ

律「またどこかで下らない計画たててるんじゃね?」

中川「全く連絡がとれないから不安なんだ。以前、車のトランクの中に3週間ほど入っていた事があって……」

律「どんな状態、それ!」

紬「石膏でガチガチに体が固まって、増えるワカメに囲まれながらも生きていたそうよ」クスッ

律「いや、だからね……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:22:05.30 ID:dewxfyM5O
中川「とにかく何かあったらここに連絡を」スッ

さわ子「え……あ! 名刺ゲットー!」

中川「はい、みんなにも」

梓「ど、どうも」

澪「なあなあ、なんかキラキラしているぞ?」

中川「ははっ、ただ純金が散りばめられているだけだよ」

唯「じゅんきんかあ〜! キラキラ綺麗だね」

律「一枚いくらだよこれ……」

中川「じゃあ、僕は勤務に戻るから、また」

ガチャッ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:25:14.08 ID:dewxfyM5O
紬(……)

紬(人食いワニに囲まれて生きているわけないわよね?)

紬(うん、きっとそうよ。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど……両津さんですもね)

紬(今ごろはお金と一緒に食べられちゃってるわよ……ね)

唯「安心したらお腹すいたぁ〜。ムギちゃんお菓子〜」

紬「はいはい。今お茶いれるからね」クスッ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:29:30.56 ID:dewxfyM5O
ガシャン ガシャン

……

ガシャンッ!

両津「ぷは! やった地上に出られた!」

クロコダイル「クゥ〜ン」

クロコダイル「クゥ〜ン」

両津「お前たちはここまでだ。ありがとよ」

クロコダイル「……」バシャッ バシャッ

両津「……」

両津「これで終わったと思うなよ! わしは……地獄の底から帰って来た!」

両津「絶対に……仕返ししてやるからな……!」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 03:32:02.64 ID:dewxfyM5O
ちょっと休憩。
後半はもう少し簡潔にまとめたい。

書いてると自然に間延びしちゃう感じに……すんません
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:13:21.11 ID:dewxfyM5O
数日後

ジャーン ジャーン

ボルボ「ふわっふわタ〜イム!」

左近寺 本田「ふわっふわタ〜イム!!」

ジャーン ジャーン

ボルボ「センキュウ!!」

左近寺「……よし、休憩だ」

本田「だいぶ形になってきましたね〜」

ボルボ「うむ。あとはドラムが入ってくれれば完璧なんだかな……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:17:18.57 ID:dewxfyM5O
両津「相変わらずだ元気にやってるな」

左近寺「ん?」

本田「せ、せんぱ〜い?」

ボルボ「両津か、あれから連絡が取れなくて心配したぞ」

両津「……ああ、実はその事で話があるんだ」


ボルボ「また何処かに忍び込むのか?」

両津「そんな事はせん。実はわしも……音楽をやりたくなってな」

左近寺「ほ、本当か両津!」

ボルボ「歓迎するぞ」

両津「だがわしがやるのは……こんな軟弱な音楽じゃない」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:22:32.73 ID:dewxfyM5O
左近寺「な、軟弱だと!」

ボルボ「いくら両津でもHTTをバカにするのは許さんぞ!」

本田「そ、そうですよせんぱ〜い……」

両津「わしがいってるのはそういう事じゃない。軟弱なのはお前らの事だ!」

左近寺「お、俺たちが軟弱だと?」

両津「そうだ! 楽器にも歌にも罪は無い……お前達自体が軟弱なんだ!」

ボルボ「俺たちは、これでも一生懸命やってるんだ!」

本田「そうですよ〜。確かにまだバンドとしてはダメダメレベルかもしれないっすけど〜……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:26:40.40 ID:dewxfyM5O
両津「本田、そういう事を言ってるんじゃない……わしらは今まで何をやってきた?」

本田「え〜?」

両津「ギターを弾く前だ! わしらは何を叩いていた!」

本田「わ、和太鼓ですか?」

両津「そうだ! 太鼓に赤ふん! これがわしらのスタイルだっただろ!」

ボルボ「今はこのスタイルだ」ジャーン

左近寺「俺も」ポーン

両津「……あああ、可愛そうに。紬ちゃんに嫌われちゃうな〜っと。おっといけない。一人言一人言」

左近寺「な、何ッ! どういう意味だ!」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:30:54.93 ID:dewxfyM5O
両津「実は僕ちん紬ちゃんのお家に遊びにいったんだよね〜」

左近寺「なんだと!!」

両津「その時彼女が言ってた言葉がね〜……」

紬『私、男らしい太鼓を見るのがずっと夢だったの〜』

……

左近寺「ほ、本当に彼女がそう言ったのか! え!」ギュッ ギュッ

両津「く、苦しい……ほ、本当だ!」

左近寺「……」スッ

両津「ゲホッゲホッ……どうだ左近寺? お前の中の男を彼女に見せたくないのか? ん?」

左近寺「お、俺は……」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:35:11.12 ID:dewxfyM5O
左近寺「俺は……キーボードを卒業するぞ! ムギゅぅぅぅうう!」バッ

両津(まずは一人)

ボルボ「ふん……今は和太鼓よりレスポールだ。この重量感がたまらん」

両津「レスポールと言えば……唯ちゃんがね〜……」

ボルボ「な、なんだ! 何か言ってたのか?」

両津「いやあ、最初に会った時にさ、よくボルボに触ってたじゃない?」

ボルボ「あれには正直参ったが、悪い気はしなかったな」

両津「でね、みんなが帰った後にちょっとお話する機会があって……そしたら唯ちゃんがね」

ボルボ「……」ゴクッ
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:39:22.70 ID:dewxfyM5O
唯『うんたん♪きんにく♪』


唯『きんにく♪きんにく♪』

……

両津「ありゃあ相当な筋肉マニアですぜ旦那」

ボルボ「お……お……」

両津「まあ、いくらギターが上手くても筋肉が見えないんじゃあ彼女が振り向く事なんて……」

ビリッ ビリッ

ボルボ「ふ、ふふっ……きんにく♪ きんにく♪」

両津(よし、こいつらが味方につけば……!)

両津「ふっふっふっ……まずは第一歩だ!」
部長「最近署員の間で度々耳にするけいおんとは一体何のことだ?」
205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/07/29(木) 04:43:39.66 ID:dewxfyM5O
桜ヶ丘高校

唯「お茶おいし〜」

澪「もうすぐ発表会があるんだから……いいかげん練習するぞ?」

唯「まだ先なんだから平気だよ〜」

律「いやあ町のお偉いさんも来るからなあ……ここは真面目に練習しとこうぜ?」

梓「り、律先輩が珍しくやる気です!」

律「へへ〜。コンクールで一等になったら10万円分の商品券だぜ? 気合いも入るってもんさ」
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