- 上条「招待状?」 インデックス「?」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:01:37.91 ID:CcD4bKN/Q - 甲板から船内に入ると、
すぐにロビーになっている。 赤い絨毯に、豪華なシャンデリア、 乗船した時はなかったが、 今は規則正しく椅子が並べられていた。 椅子の正面にはスタンドマイクが 設置されている。 ロビーには既にほとんどの 乗客が集まっていた。 船の乗組員以外は学生しかいない。 「なんか思ったより乗客が少ないわね」 美琴はロビーを見渡しながら呟く。 「まったくお姉さま。 招待状に書いてありますわよ。」 黒子が差し出した招待状には、 招待予定人数は約200人と書いてある。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:04:30.41 ID:CcD4bKN/Q - 「ぐ…あの船長。
一人でどんだけ喋んのよ」 美琴は甲板のベンチで ぐったりしている。 式典は一時間半程で終わったが、 その三分のニは船長の話で潰れた。 「あの方の晴れ舞台ですからね。 仕方ありませんの」 そう言う黒子の顔も、 ウンザリといった表情だった。 黒子はポケットから携帯を取り出す。 「今は…午後5時。 お夕食まではあと2時間 ありますわよ、お姉さま」 招待状には簡単な スケジュールが記載してある。 それによると夕食は 午後7時となっていた。 場所は第10デッキのレストラン、 バイキング形式となっている。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:05:40.05 ID:CcD4bKN/Q - 「第10デッキって事は…」
美琴は面倒臭そうに首を持ち上げる。 「あそこね…」 二人がいるのは第5デッキ。 つまりレストランは 5つ上のフロアという事になる。 (結局あのバカは来なかったわね…)
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:06:53.38 ID:CcD4bKN/Q - 「確か上条さんは大人しくしてろって
言いましたよね?」 上条はインデックスの首根っこを 掴んで説教の真っ最中だった。 「だ…だって」 「だってじゃありません!」 あれから上条は船内を 駆けずり回っていた。 ようやくインデックスを見つけたのは、 第10デッキだった。 第10デッキには和洋中と様々な レストランがある。 ちなみに今日の夕食は レストランの中ではなく、 同じフロアのパーティー用の スペースに用意される。 椅子やテーブルが並べられ、 色とりどりの料理が保温器に 準備されていた。 インデックスはそれをつまみ食いしようと、 準備しているスタッフを困らせていた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:08:23.76 ID:CcD4bKN/Q - 「もう少しでご飯食べれるんだから、
我慢だ我慢!」 「あぅぅぅ…」 名残惜しそうなインデックスを 引きずって、上条は第10デッキを後にする。 「式典の後に部屋の鍵貰う事になってんのに… 預けた荷物もその時に 返してもらうんだぞ。ったく」 「だ、だって…」 「だってじゃありません!」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:09:57.83 ID:CcD4bKN/Q - 結局式典に出られなかった事を平謝りして、
上条は預けた荷物と 部屋のカードキーを手に入れた。 第7デッキから第9デッキまでが 客室になっている。 第9デッキはスイートルームのみの フロアで、今回招待された学生達は 第7デッキのみ利用出来る様になっていた。 「えーっと…ここだ」 上条は渡されたカードキーの番号と、 扉の番号を見比べる。 部屋に入ると、新築の独特な匂いがした。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:12:13.60 ID:CcD4bKN/Q - 部屋に入ってすぐ左には、
トイレとシャワールーム、 洗面台があった。 部屋はそんなに広くはなかったが、 テーブルに椅子、テレビに冷蔵庫など 設備は充実していた。 しかし上条が真っ先に確認したのは そんなものではない。 (良かったー!ベッドが二つある!) インデックスと一緒に暮らしてはいるが、 上条の部屋にはベッドが一つしかない。 一緒に寝るわけにはいかないので、 上条は毎日浴室に寝袋を持ち込んで寝ているのだ。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:13:17.43 ID:CcD4bKN/Q - (ひ、久しぶりに柔らかいベッドで
寝られる!!神様ありがとう!) 「とーま、何ニヤニヤしてるの?」 インデックスに声を掛けられ、 上条は現実に引き戻される。 部屋の時計は午後6時を差している。 「なんでもねーよ。 それより飯まであと一時間か。 お土産でも見に行ってみるか?」 インデックスは満面の笑みで答える。 「行くー!」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:15:56.36 ID:CcD4bKN/Q - 「お姉さま。いつまでここでのんびり
しているつもりですの?」 式典が終わってから、二人は部屋で 何となく過ごしていた。 あれから一時間が経っていた。 上条の事が気になってはいたが、 自分で探しに行くのも何となく癪 なので、美琴は部屋に居る事にしたのだ。 (何で私があいつの事で モヤモヤしなきゃいけないのよ…) 部屋には小さな窓が一つ付いている。 美琴はその窓から海を眺めていた。 美琴は上条に特別な感情を持っている。 それは以前美琴自身気付いた事だ。 だがその感情を 上手く受け止められていない。 美琴の恋愛レベルはまだ低いのだ。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:20:14.17 ID:CcD4bKN/Q - 「…えさま!お姉さま!」
「へ?」 「まったく。私の話聞いてます?」 美琴が振り返ると、黒子が 呆れた顔で立っている。 「ですから…せっかくなので どこか行きませんかと私は 何度も何度も…」 「ご、ごめん。ちょっとボーっとしてた」 黒子は船内の案内図を美琴に渡す。 「黒子としましては、プールか フィットネスクラブ、 んー、スパも捨てがたいですの」 そういって黒子は、 ニヤニヤしながら第11デッキを 指差す。 第11デッキは最上階のフロアだ。 「…着替えなきゃいけないとこばっかね…」 「な、何の事か黒子には分かりませんの」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:22:47.63 ID:CcD4bKN/Q -
「あんた…変な事考えてないでしょうね?」 そう指摘された黒子は、 明らかにうろたえている。 「べ、別にお姉さまの着替えを どうしても見たいとかそんな ……あ」 「やっぱり…」 自爆してしまった黒子を見て、 美琴は深い溜め息を吐く。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:23:47.55 ID:CcD4bKN/Q - 「まぁいいわ。確かに黒子の
言うようにせっかくだしね」 「お、お姉さま!では…」 「そっちは行かないからね」 目をキラキラと輝かせる黒子を、 美琴は一刀両断する。 「お土産よ!お土産を見に行く!」 「えー……………」 不満そうな黒子を連れて、 美琴は第6デッキに向かう事にしたのだった。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:26:21.72 ID:CcD4bKN/Q - 「んー、どれにすっかなぁ…」
上条とインデックスは、第6デッキの ショップに来ていた。 このフロアは、通路を挟んで左右に 様々なショップが並んでいる。 お土産やアクセサリー以外にも、 ケーキやチョコレートなどの スイーツショップも多数並んでいる。 さながらデパートのようだ。 上条はその内の一軒でお土産を選んでいた。 「小萌の分ー?」 「おう、小萌先生にはスフィンクスの 面倒みてもらってるしなー」 スフィンクスというのは、 インデックスが拾って来た猫の名前だ。 船内はペット禁止になっていたので、 小萌に預けて来たのだ。 月詠小萌。見た目は幼児だが、 上条の担任の教師だ。 いつも何かと世話になっている。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:27:58.32 ID:CcD4bKN/Q - 「秋沙の分も買うー」
姫神秋沙、インデックスの数少ない友達だ。 現在その力は抑えられているが、 ディープブラッドという特殊な能力の持ち主。 上条にとっても友達と呼べる人物の一人だ。 上条は財布の中身と値札を見比べる。 「じゃあ、小萌先生と姫神と…土御門達の分は… よし、諦めよう!」 いくら豪華客船の中にいても、 上条の財布はいたって庶民なのだ。 「とーま。お土産買ったら…」 「ダメだ」 「う…まだ何も言ってないんだよ」 「どうせ『ケーキ買って欲しいかも』 なーんて言うんだろ? 上条さんにはお見通しなのです」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:29:10.20 ID:CcD4bKN/Q - 「とーまのけちー」
インデックスがケーキの一つや 二つで満足するはずがない。 上条は空の財布が容易に想像出来た。 豪華客船に乗るという事で、 お金は少し多めに持って来てはいたが、 あくまでも万が一の時の為だ。 出来れば生活費にしたい。 上条はお土産を買うと、 だだをこねるインデックスを連れて 部屋に戻る事にした。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:30:49.97 ID:CcD4bKN/Q - 「く…お姉さまの生着替えを見られると
思ってましたのに…いや、 チャンスはまだありますの…」 「黒子、何ブツブツ言ってんの?」 「な、何でもありませんの!お、 おほほほほ」 二人は通路を歩きながら、 様々な店を見て歩く。 30分程ぶらぶらしていると、 雰囲気の良いお店が見えた。 「初春さんと佐天さんにも お土産買って帰らないとね」 二人がお店に向かってのんびり 歩いていると、 通路の奥、こちらに向かって 見慣れた人物が歩いて来た。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:31:56.55 ID:CcD4bKN/Q - 「あぁぁ!!あんた!!」
「おぉ、また会ったなー」 「何が『また会ったなー』よ! あんた今までどこにいたのよ!?」 上条は頭を掻きながら、 苦笑いをしている。 「いやー、説明すると長くなるんですよ御坂さん」 「あらあら上条さん。お久しぶりですの。 ところでその方は?」 黒子は上条にズルズルと 引きずられている少女を指差す。 少女はうわ言の様に、 ケーキケーキと呟いていた。 「げっ…あんたもいたの」 美琴の声に、引きずられていた少女が 振り返った。 「あ!短髪だ!」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:33:41.58 ID:CcD4bKN/Q - 「ビリビリとか短髪とか…
あんた達は名前を覚えるのが苦手のようね」 美琴は眉間にしわを寄せて、 前髪からパチパチと電気を放っている。 「い…ち、違うんですよ御坂さん! こいつは決して名前を 覚えていない訳ではなく… そう!親しみを込めたあだ名です! あだ名!」 上条は美琴から距離を取りながら、 必死に言い訳をする。 しかしそれは単に、火に油を 注ぐ結果となる。 「そう…あだ名ね。なるほど」 美琴の顔が笑顔に変わる。 黒子はその笑顔に恐怖を感じたが、 上条は致命的に鈍感だった。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:34:40.07 ID:CcD4bKN/Q - 「そう、あだ名!いやー、分かって
もらえて良かった!あ、あははは」 この後上条の身に起こる事に同情して、 黒子は静かに目を閉じる。 「そんなあだ名で……」 「あはは…は?」 「親しみ感じるかぁぁぁぁ!!」 美琴の前髪からバチバチと 音を立て、電撃が放たれる。 一直線に向かってくる電撃に、 上条は咄嗟に右手を突き出した。 次の瞬間、電撃は弾ける様に 消えてしまった。 このやり取りを何度繰り返しただろう。 無駄だと分かっていても、 美琴は電撃を放たなければ 気が済まないのだ。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:35:58.10 ID:CcD4bKN/Q - 上条が美琴の電撃を
消してしまったのを見て、 黒子は初めて上条に会った時の 出来事を思い出していた。 (あの時も…私のテレポートが 使えませんでしたわね…) 黒子は上条の能力について、 薄々は感づいていた。 確証を得る為に一度調べた事があるが、 《能力を消す能力》は学園都市の バンクにも一切のデータがなかった。 「はぁ〜、お姉さま。 場をわきまえて下さいな。」 上条の能力、気にはなるが、 それがなにかしらの脅威ではない以上、 詮索しても仕方がないと黒子は判断した。 それよりも聞かなければならない 事がある。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:36:50.99 ID:CcD4bKN/Q - 「で、上条さん。もう一度お伺いしますの。
そちらの方をご紹介してくださいませんか?」 黒子は改めてその少女を観察する。 日本人ではないようだが、 日本語は話せるようだ。 銀髪で白い肌、瞳は薄い緑色。 人の事は言えないが、かなり幼く見える。 「あ、あぁ。こいつは……」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:38:05.18 ID:CcD4bKN/Q - 上条は黒子にインデックスを紹介した。
もちろん"重要な項目"は話さなかった為、 紹介は薄っぺらいものになってしまったが。 こうして改めてインデックスの事 を誰かに話すと、 記憶をなくした事を実感する。 上条はインデックスと出会った経緯も、 なぜ記憶をなくしたのかも覚えていない。 黒子に話さなかった"重要な項目"も、 記憶ではなく知識として知っているだけなのだ。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:39:06.67 ID:CcD4bKN/Q - 「まぁ、あまり納得出来る紹介では
ありませんが… とりあえずよろしくですわ、おチビさん」 黒子はそう言って恭しく頭を下げた。 こう見えてもきちんとお嬢様なのだ。 「む?あなたには言われたくないかも」 おチビさんと言われた事に、 インデックスはムッとしている。 「"短髪"より"おチビさん"の方が マシよね…」 黒子の横では美琴がブツブツ 呟いている。 面倒な事が起きる前に、 上条は話題を変える事にした。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:40:30.52 ID:CcD4bKN/Q - 「そ、そういえばそろそろ夕食の
時間じゃねーか?」 上条が携帯を取り出すと、 ディスプレイにはPM06:52と表示されている。 「あら、本当ですの」 黒子も携帯で時間を確認している。 夕食と聞いて、 インデックスの顔がみるみる明るくなる。 「とーま大変!急がないと!」 つまみ食いをした時に 場所は覚えたのだろう、 インデックスは一人で走って行ってしまった。 「じゃあ俺達も行こうぜ」 上条は二人に声を掛ける。 「え?」 美琴は驚いて聞き返す。 上条はてっきりあの少女を追って、 別行動になると思っていた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:41:44.14 ID:CcD4bKN/Q - 「せっかく知り合いに会えたんだし。
一緒に飯食おうぜ」 そう言うと上条はさっさと第10デッキに 向かって歩き出してしまった。 思わぬかたちで一緒に食事を する事になって、 美琴は嬉しいような、 気恥ずかしいような気持ちだった。 ちなみに上条は知り合いと一緒の方が、 落ち着いて食事が出来ると思っただけだった。 なにせ豪華客船。 上条の様な貧乏学生とは無縁なのだ。 正直二人に会えて、上条はホッとしていた。 もちろん美琴はそんな上条の心情が 分かるはずもなかったが…
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:43:11.00 ID:CcD4bKN/Q - 第10デッキの船尾側には広いスペースがある。
希望があれば結婚式なども執り行われ、 主にパーティー用などに使う為、 あけられているスペースだ。 会場には綺麗に飾り付けられた円テーブルや椅子、 バイキング形式で様々な料理が並んでいる。 すでにほとんどの乗客が集まっていた。 テーブルは丁度四人で一つ割り当てられている。 単純計算でおよそ50脚だ。 「………」 会場を見渡していた上条は 思わず絶句してしまう。 予想はしていたが、 会場の奥、テーブル一杯に料理を 広げているインデックスが目に入った。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:44:19.96 ID:CcD4bKN/Q - 「おい…インデックス」
上条は一心不乱に料理を 口に運ぶインデックスに声を掛ける。 「あ、とーま。これは私の分。 とーまにはあげないんだよ?」 「いらねーよ。てか取りすぎだ。」 上条は呆れた顔で席に着く。 「だって好きなだけ取っていいって 言われたもん」 そう言いながらもインデックスは 食べる事だけは止めない。 「…残すなよ」 「うんっ!」 インデックスが幸せそうならまぁいいか。 上条は今日だけは大目に見る事に 決めたのだった。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:45:45.32 ID:CcD4bKN/Q - 「あいつ、席取ってくれてるかな」
美琴と黒子は少し遅れて会場に入った。 席は決められていないようで、 皆思い思いの場所に座っている。 「おーい!御坂ー!白井ー! こっちこっち!」 声がする方を見ると、 奥のテーブルで上条が両手を振っていた。 「あ、あのバカ!大声で名前呼んでんじゃないわよ!」 その大声に、周りの乗客の 視線が二人に集まっていた。 『ねぇ、御坂って…』 『あの"超電磁砲"の?』 『嘘ー?』 『でもあれ常盤台の制服だぞ』 『すげー!俺初めて見た!』 招待客は皆学園都市の学生なので、 レベル5の"超電磁砲"といえば ちょっとした有名人なのだ。 会場内はザワザワとしていた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:46:34.22 ID:CcD4bKN/Q - 「あらあらさすがお姉さま。
黒子は鼻が高いですわ」 乗客の皆に笑顔で頭を下げている黒子を置いて、 美琴は上条に詰め寄る。 顔は真っ赤だ。 「あっ、あんたね!ちょっとは空気を読みなさいよ!」 「えー、何怒ってんだよ? いいじゃん別に」 「ぐっ…この…」 上条は何が悪いのか 分からないという顔をしている。上条には分からなかったが、 レベル5にはレベル5の苦労があるのだ。 「……はぁ〜、もういい」 不毛な言い争いになるのは目に見えている。 美琴は諦めて席に着いた。 「で…この大量の料理は何…」 インデックスは満面の笑みで答える。 「私のー!短髪は食べちゃダメなんだよ!」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:49:32.51 ID:CcD4bKN/Q - 毎度お馴染みの揉め事はあったものの、
三人はそれぞれ料理を取り、 席に着いた。 「んじゃ、いただきますか」 上条の一言で夕食の時間が始まる。 三人は食べ始めたばかりだが、 インデックスは既に折り返し地点に来ていた。 料理の半分以上はなくなっている。 お箸を上手く使えないインデックスは、 フォークで次から次へと料理を刺していた。 「あ…あんた見てると お腹いっぱいになるわね」 「えぇ…胸焼けしそうですの」 上条にとっては至極当たり前の光景だが、 やはり他人が見れば この反応が当たり前なのだ。 「おいインデックス。 食べ過ぎたらお腹壊すぞ」 上条は内心無駄だと分かっていたが、 保護者的立場から一応忠告する。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:50:54.14 ID:CcD4bKN/Q - 「らいひょーふ!」
インデックスは口一杯に料理を 詰め込んで答える。 頬にご飯粒がいくつも付いていた。 「ったく、慌てて食わなくてもご飯は逃げねーぞ」 そう言いながら上条は インデックスの頬に付いた ご飯粒を取ってやる。 もちろんこれも保護者的立場 からとった行動だった。 が、美琴はそれを面白くなさそうに見ていた。 そんな美琴に気付いた上条は、 心配そうに声を掛けた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:52:16.37 ID:CcD4bKN/Q - 「ど、どーした御坂?食欲ないのか?」
「…何でもない」 美琴の声は明らかにイライラしていた。 「具合悪いのか? 具合悪いなら医務室に連れて行っ…」 「何でもないって言ってるでしょ!」 美琴は勢い良く立ち上がり、 テーブルの上の食器がガチャンと音を立てる。 突然の大声に、周りの乗客達は 静まり返ってしまった。 「……御手洗い行ってくる」 驚いて、ただ美琴を黙って見ている 上条達を残して、美琴は会場から 出て行ってしまった。 黒子だけは何かを感じ取ったのだろうか、 ただ黙々と食事を続けていた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:53:38.48 ID:CcD4bKN/Q - 丁度夕食の時間なので、
トイレの前の通路に人の気配はない。 誰もいないトイレ、洗面台の前で 美琴は溜め息を吐く。 「…最低ね」 鏡には暗く沈んだ自分が映っている。 何故あんなにもイライラしたのだろう。 何故こんなにも胸が締め付けられるのだろう。 上条の前では"自分だけの現実"が保てない。 美琴は最初からレベル5だった訳ではない。 多少の才能はあったのかもしれないが、 間違いなく"努力"の結果だった。 誰よりも自分に厳しく、 誰よりも努力をして今の位置に立っている。 それにより積み上げて来たのが、 パーソナルリアリティ、"自分だけの現実"だ。 【常盤台のエース】【学園都市第三位のレベル5】 そういった"現実"も、 粉々に砕いてしまう程の上条への感情が 美琴の中にあった。 この感情を上手く受け止められる程、 美琴は大人ではないのだ。 それがこうした形で表に出てしまった。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:57:18.37 ID:CcD4bKN/Q - 「よし、笑顔笑顔!」
ここでウジウジしていても仕方ない。 美琴は頬をパチンと叩くと、 上条達のもとへ戻る事にした。 「?」 トイレから出ようとした美琴は、 誰かの話し声に気付いた。 どうやらトイレ前の通路から 聞こえて来ているようだった。 (う…何よ。出にくいじゃない) 理由は特にないのだが、 なんとなく恥ずかしいので どこかに行くのを待つ事にする。 かなり小声だが、どうやら男女二人が 話しているようだった。 会話が断片的に聞こえてくる。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:58:18.19 ID:CcD4bKN/Q - 『…のか?…に…が……』
『…わよ。もちろん……は…よ』 『じゃあ……。……で頼む』 『それじゃ』 会話が途切れ、足跡が遠ざかって行く。 美琴がそっと通路に顔を出すと、 既に誰一人いなかった。 「ふぅ〜、カップルか何かかしら。 話すならコソコソせず 堂々と話しなさいよね」 さっきまでコソコソしていた美琴は、 ブツブツ言いながら トイレを後にするのだった。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 00:59:47.87 ID:CcD4bKN/Q - 「あ…れ?」
上条の箸が皿に当たって カチャンと音を立てる。 「俺のエビフライがない!」 上条にはすぐに犯人が分かった。 きっとどんなに冴えない探偵でも、 犯人を突き止められるだろう。 「おい、インデックス。 俺のエビフライ食べただろ」 「し、知らなーい」 インデックスは分かり易く顔を背ける。 「じゃあ質問を変えよう。 俺のエビフライはおいしかったか?」 「うん、おいし…あ…」 インデックスはしまったという顔をしている。 「単純な奴め!つーか俺の盗らなくても あっちから取って来たらいいだろ!」 「とーまこそ取って来たらいいんだよ!」
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:00:52.24 ID:CcD4bKN/Q - ギャーギャー言い合う二人を横目に、
黒子は自分のエビフライの尻尾を摘む。 黒子の指先からエビフライが消え、 上条の皿の上にポトンと落ちた。 「たかがエビフライで そこまで喧嘩なさるなんて。 ある意味尊敬しますわね」 黒子が呆れて二人を眺めていると、 美琴が席に戻って来た。 「あんた達、食事の時くらい 大人しくしなさいよねー」 そう言って美琴は席に着く。 「御坂、ほんとに大丈夫か?」 「大丈夫に決まってんでしょ。 さ、ご飯ご飯!」 明るく振る舞う美琴を、 黒子だけは心配そうに見ていた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:02:46.46 ID:CcD4bKN/Q - 黒子は一番近くで美琴を見て来た。
美琴の事は誰よりも理解しているつもりだ。 そんな自分が今美琴にしてやれる事は…。 黒子は美琴の耳元で囁く。 『お姉さま。あまり無理はしないで下さいな』 きっとこれで充分だ。 美琴はたったこれだけでの言葉でも、 自分が伝えたい事を理解してくれる。 黒子はそう思った。 その証拠に、 美琴は声を出さずに唇だけ動かす。 "ありがと"
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:03:59.96 ID:CcD4bKN/Q - その後は食事もスムーズに進んだ。
黒子は少し心配していたが、 美琴はいつもの御坂美琴に戻ったように見える。 今は自然な笑顔を見せていた。 「はぁ〜、お腹いっぱいかも」 インデックスは満足そうに テーブルに突っ伏している。 あれだけあった料理も、 今は重ねられた皿に変わってしまった。 「あんたねー…あれだけ食べて よく平然としてられるわね」 美琴は心底呆れた顔で、 食い意地の張ったシスターを眺める。 上条の話では、このシスターは いつも人の何倍も食べるらしいが、 見たところ腕も首筋にも余計な 肉は付いていない。 どちらかと言えば 痩せているとさえ言えるだろう。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:05:33.81 ID:CcD4bKN/Q - 「いいなー、食べても太らないなんてさ」
そう呟いた美琴に、 黒子が背後から襲い掛かる。 「お姉さま。女性は少しくらい ふくよかな方がモテますの。 確かにここは少し 痩せ過ぎかもしれませんけど…」 そう言いながら、黒子は美琴の胸を鷲掴みにする。 「ちょっ!黒子!やめて!」 「でも黒子はお姉さまのこの! この慎ましい胸を好いておりますのっ!」 黒子はひたすらに胸を触り続ける。 上条はわざとらしく目をそらしている。 「やめろって言ってんでしょーがぁぁ!」 「げふっ!!」 美琴が繰り出した肘は、 背後の黒子を正確に仕留めた。 これも毎度お馴染みの光景だ。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:08:53.98 ID:CcD4bKN/Q - 「さて、と。あんた達はこれからどーすんの?」
美琴は携帯で時刻を確認する。 ディスプレイにはPM08:45と表示されていた。 「んー、そうだな。まずは風呂でも入って…」 上条は上のデッキにスパがある事を思い出す。 こういった客船は、煙突の下のデッキなど 騒音の恐れがある場所には、 スパやレストランなどの パブリックスペースを造るようにしている。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:09:58.95 ID:CcD4bKN/Q - 幸いにも美琴と黒子がいるのだ。
インデックスも一緒に お風呂に連れて行ってもらおう。 一人で行かせるのは正直不安なのだ。 「インデックス。風呂に…ん?」 上条はテーブルに突っ伏している インデックスがプルプル震えて いる事に気がついた。 嫌な予感がする。 「とーま…」 「インデックス…お前まさか」 「お腹がちくちくする…」 「………」
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76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:11:32.53 ID:CcD4bKN/Q - 「お約束の展開ですわね」
「…そうね」 結局インデックスを部屋で休ませる為、 四人は別行動する事になった。 上条は医務室で胃薬をもらい、 インデックスをベッドに寝かせてやる。 「とーま、ごめんなさい」 布団で口元を隠し、 インデックスは謝る。 彼女なりに迷惑を掛けたと思って いるようだ。 「ったく、だから気をつけるように言ったんだぞ」 「うん…」 落ち込むインデックスに、 上条は優しく微笑んでやる。 「まぁとにかくゆっくり休め。 ここにいてやるから」 インデックスは本当に 嬉しそうな顔をして目を閉じた。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:12:52.57 ID:CcD4bKN/Q - 「ふぅ〜」
上条は窓から外を眺める。 出航してからどれだけの 距離を進んだのだろう。 もう街の灯りも見えない。 ただただ闇が広がっていた。 「さてと、のんびりしますか」 それから上条はテレビを見たり、 部屋でシャワーを浴びたりして時間を過ごした。 インデックスはいつの間にか、 スースーと小さな寝息を立てている。 気付けば部屋の時計は午後10時を差していた。 「はは、疲れてたんだなー」 上条はインデックスの寝顔を 眺める。 とても幸せそうな寝顔だ。 インデックスと暮らし始めてから、 上条は浴室に寝袋を持ち込んで寝ている。 だからこんなにマジマジと寝顔を 眺める事はめったにない。
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80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:14:38.85 ID:CcD4bKN/Q - >>78
すいません、携帯です 改行上手く出来なくて申し訳ないです 大目に見てくれたら幸いです
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81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:15:44.25 ID:CcD4bKN/Q - 「来て良かった…かな」
記憶の無い上条にとって、 インデックスに出会う前の事は 知識として頭に入っている。 こんな小さな体で、どれほど 辛い思いをしてきたのだろう。 インデックスの頭の中にある、 10万3000冊の魔導書のせいで、 どれだけ危険な目にあっただろう。 一年に一度、大切な思い出を消され、 この少女には何が残ったというのだろう。 「今日の思い出…大事にしよーな。 インデックス」 上条は幸せそうな寝顔を見て呟く。 この少女の笑顔を守る為に、 出来る事はなんでもしてやる。 上条は右手を握り締め、 強く強く心に誓った。
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82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:17:31.68 ID:CcD4bKN/Q - 「お姉さま…まるで檻の中の
動物のようですわよ」 黒子はベッドに腰掛けて、 美琴を観察している。 上条達と別れ、部屋に戻ってからというもの、 美琴は明らかにソワソワしていた。 立ったり座ったり、 テレビを付けたり消したり、 今は部屋の中をあてもなく 行ったり来たりしている。 「そんなにあのお二人が気になるなら、 お部屋に遊びに行ってはいかがですの?」 「べっ、べべ別に気になってなんかないわよっ! てか何で気にしなきゃいけないのよ!」 美琴は真っ赤になって否定する。 上条の話をする時の美琴は、 とてもレベル5とは思えない。 ただの女の子だな、と黒子は思う。
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84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:19:28.95 ID:CcD4bKN/Q - 「へぇ…そうですの。
ではあのお二人の事は放っておいて…」 黒子の目に邪悪な光が宿る。 「私と愛を育んでくださいませ! お姉さまぁぁぁ!!」 「育むかぁぁぁ!!」 「げふぅっ!」 飛びかかって来た黒子に、 美琴のアッパーが炸裂する。 (はぁ〜、夜風にあたって少し落ち着こう) 「ぐふ…お…お姉さま… どこへい…かれますの?」 美琴は牽かれたカエルのように、 床に這いつくばっている黒子を 置いて部屋を後にする。 「ちょっと夜風にね」 時刻は午後10時半を回ったところだった。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:23:00.91 ID:CcD4bKN/Q - 「………」
美琴はメインデッキ、甲板の柵に 肘をついて、海を眺めていた。 甲板には乗客もまばらで、 美琴をいれても数人しかいない。 甲板にはオレンジ色の暖かなライトが灯り、 夜の甲板を優しく包んでいる。 (あのバカ……) 美琴は上条とインデックスと同じ部屋なのが、 なんとなく嫌だった。 訳があってずっと一緒にいるのは 分かるし、上条の性格なら ほっとけないのも当たり前だろう。 頭では分かっているのだが、 実際に目の当たりにすると こうも心が揺さぶられるとは思わなかった。 「はぁ〜……」 美琴は深い深い溜め息を、 海に向かって吐き出した。
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- 上条「招待状?」 インデックス「?」
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/02/26(金) 01:25:45.28 ID:CcD4bKN/Q - 「何溜め息吐いてんだ?」
「!?」 驚いて振り返ると、 そこには上条が立っていた。 「あ、あんた!何でここにいんのよ? あの子は?」 「インデックスならもう寝ちまったよ。 ちょっと夜風に当たりに来た。 ほれ」 そう言って上条は美琴に 缶コーヒーを投げる。 「あ…ありがと」 缶コーヒーは温かく、 潮風で冷えた美琴の手には 心地良かった。
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