- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:08:32.30 ID:qlrRizS70 - 姫(…意味が分からない、そんなこと、私の勝手でしょう) ペラペラ
--年--月--日 小さかった娘も、もう10になる 月日は早い 少しわがままな一面もあるが、とても優しく成長した その笑顔はまるで天使のようだ --年--月--日 家族で花畑に行った 遠くで姫がはしゃぐのを見て夫が 昔のお前を見ているようだ、と言った 昔か…城に嫁いでから、随分経ったものだ
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290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:10:08.39 ID:qlrRizS70 - 医師「……お前らは止めないのか、姫様を」
兵士B「……」 兵士A「……止めるべき、なのは分かってますよ」 兵士A「ですが……何故でしょうね」 兵士B「……あんたも同じでしょう、止めようと思えば本を奪うなりできたはずだ」 医師「……そうだな」 医師「…誰の為に、何をすればいいのやら」 兵士B「…どれを選んでも誰の為にもなりませんよ、結局」
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292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:12:19.42 ID:qlrRizS70 -
--年--月--日 姫を抱きしめるたびに思う 弾力があり、肌理の細かい美しい肌 私がいつの間にか無くした肌 若さ うらやましい --年--月--日 姫は日に日に美しくなっていく かねてより絶世の美女と言われている私の娘なのだから 当然と言えばそうであるが いつか抜かされるとなると 恐ろしい 姫「?」
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295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:14:21.15 ID:qlrRizS70 - --年--月--日
姫は美しくなった 私の娘、美しい女 同じ女として 妬ましい 妬ましい 妬ましい 姫「……?」 --年--月--日 憎い憎い憎い憎い 憎い憎い憎い憎い かつて愛した我が子が 憎い 殺してしまいたいほどに 姫「…お母、様……?」
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296 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:15:26.30 ID:qlrRizS70 - --年--月--日
城に魔物の襲撃があった 娘も殺されれば良かったのに 残党を見逃す代わりに契約を交わした 娘を魔物に殺させる、と 姫「な、に…?」 --年--月--日 3回目の襲撃 娘も誘拐し、あと一歩の所だったが 結局失敗した 何をやっているんだ、魔物は 姫「何なの、これ…っ」
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297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:16:10.29 ID:qlrRizS70 - --年--月--日
また、失敗した あの近衛兵め、また余計な事を 女のくせに 女のくせに --年--月--日 魔物との交渉の最中 何者かの気配を感じた 気のせいだと願いたい --年--月--日 娘からと受け取った物の中身は 娘の手作りらしいタピストリーだった こんなもので、私の気を惹けるとでも 下らない 破り捨て、魔物のせいにした --年--月--日 夜、あの女騎士が話をしたいとのこと あの女とは関わりたくない …もし、前の話を聞いていたのがこいつだったとしたら …… 日記はここでおわっている
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301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:17:40.92 ID:qlrRizS70 - バサッ
姫「…何、これ…っ」 姫「嘘、でしょう……?」 姫「嘘、嘘、嘘…! こんな、こんなこと…!!」 姫「お母様が、私をっ……」 姫「お母様…っ!!」 姫「……じゃあ、騎士は」 姫「騎士は、騎士は、」 姫「騎士は、騎士は、騎士は…っ!」
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304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:18:30.62 ID:qlrRizS70 - 姫「……ッ」 ポタ ポタ
姫「…ひどい事を」 姫「私は、騎士に、ひどい事を…っ!!」 姫「騎士は、私の為に…!」 姫「あぁ、騎士……」 姫「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…!」 姫「騎士…」 姫「騎士ィ……ッ!」
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305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:19:25.06 ID:qlrRizS70 - ―愛しの姫
この手紙を姫様がお読みになる頃には、私は既に存在しないでしょう 私は、王妃様を、貴女の愛する母君を、殺めます この罪、決して許されるものでは御座いません もちろん、許してほしいとも存じておりません どうか、優しかった母君を、一生愛し続けてください 願わくば、その一生のうち、恨むならば他の何者でもない、 私一人のみを恨んでください 貴女の清く白い心を、これ以上黒く染めないように どうか どうか 幸せになってください ――騎士
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310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:25:50.60 ID:qlrRizS70 - 脳が溶けそうです
すごく言いにくいけど寝たい、保守頼んでいいか……
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324 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:31:00.83 ID:qlrRizS70 - ここが一番区切りがいいから、ここまで起きてたんだがwwww
いや、もう、ほんとすまん 午前中には再開したい レス数的に…数えてないから分からんが100程度かね 正直これから100も貼り続ける元気が無い
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339 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 02:39:53.39 ID:qlrRizS70 - あ、あと
このスレで終わらせるつもりだから、もし落ちたら書かない、立て直さない 次スレとか簡便 みんな乙、おやすみ
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374 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>133]:2009/10/03(土) 07:57:16.47 ID:qlrRizS70 -
――――時は遡る 騎士(…あれは……王妃?) 騎士(誰と話して……) 王妃「…もう何度目の失敗ですか」 魔物「すんません、邪魔が入ったようで」 騎士「……!?」 騎士(王妃が…魔物と!?)
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375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 07:58:17.01 ID:qlrRizS70 - 王妃「邪魔……あの騎士の事ですか」
魔物「それさえなきゃ、ちゃんと殺せてたんだ」 王妃「あの女……わざわざ非番の日に襲わせたと言うのに」 王妃「しかし、あれも怪我をし、しばらくは動けまい」 王妃「すぐにでも始末をしてもらいたいのですが」 魔物「そら無理な話だ、こっちだって暇じゃないんでね」 魔物「少なくとも1ヵ月以上は先になる」 王妃「……次の事はまた今度話しましょう」 王妃「夜はあまり外に出れないのでね」
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376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 07:58:58.34 ID:qlrRizS70 -
騎士(…どういう事だ…王妃が姫を…) 騎士(王妃が魔物を仕向けていただと!?) 騎士(こんな事があってたまるか…!!) 騎士(どうする…城中に広めるか?) 騎士(…いや、それはだめだ。 姫の耳にも入ってしまう) 騎士(愛する母親に狙われていたなどと知られてはいけない…!!) 騎士(しかし、このまま放っておくわけにもいかない) 騎士(どうすれば…) 騎士「…………」
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378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>135]:2009/10/03(土) 07:59:51.61 ID:qlrRizS70 -
姫「騎士、行ってらっしゃい」 騎士「はい。 また二週間後に帰って参りますので」 姫「うん。 気をつけてね」 騎士(魔物たちも一ヶ月は攻めてきたりはしない) 騎士(私も同じ程戦うことはできない……ならば) 騎士(その間に魔物の巣を見つけ出す) 騎士(そして、復帰次第――…)
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380 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 08:01:45.42 ID:qlrRizS70 - ――
盗賊a「ずびばぜん、ずびばぜん…! 許じで下ざい…!!」 盗賊b「ぬ、盗んだものは、返しますから…!!」 騎士「別に私は盗品を奪還しに来たわけではない」 騎士「訊きたいことがある 魔物の住処を知っていたら教えろ、盗賊なら国中を走り回っているだろう」 盗賊a「へ、へぇ。 ち、地図を……」 ペラッ 盗賊a「こ、ここらへん…俺ら盗賊の間で、絶対に通ってはいけないと…」 盗賊a「洞窟…ま、魔物のでかい巣があるから、近づいてはいけないと……」 騎士「ふむ…」 騎士(ここなら魔物が城に襲撃に来る方向や旅人の噂とも一致する)
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381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 08:02:27.62 ID:qlrRizS70 - 盗賊a「……」チラ
盗賊a(盗賊b、今だやれ―――!) ガキィィンッ 盗賊b「あ、あ……」 ポロ 騎士「私は貴様等を殺すつもりはないんだが… 望むのなら殺してやってもいいぞ、私は躊躇しないからな」 盗賊b「ひ、ひぃぃ……」 盗賊a「お…女のくせに…女のくせに……ッ!」 騎士「……」 スッ ゴキンッ 盗賊a「があああああああッッ!! 腕がッ腕がぁぁああああ!!!」
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382 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[期待するほど変化ねーよw]:2009/10/03(土) 08:03:12.31 ID:qlrRizS70 - 村長「あ、ありがとうございました。 盗賊を捕まえて下さって」
村長「御蔭で家宝の壷も無事に返ってこれました」 村長「何かお礼を。 村人も皆歓迎するでしょう」 騎士「ありがとう御座います、しかし生憎時間がないので…」 騎士「そうだ、周辺の村などからの、魔物に関する噂があれば是非」 村長「そ、そんなもので宜しいのでしょうか」 騎士「はい」 村長「分かりました。 ええと――」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 08:04:12.31 ID:qlrRizS70 -
騎士(次はこの村……時間的にも最後になりそうだな) 騎士「Go,go」 馬「ブルルフッ」 パカラッ 騎士「…済まないな、もう少しだ。 帰ったらゆっくり休ませてやるからな」 騎士(国内の魔物の住処は大きく分けて5ヵ所……) 騎士(城に襲撃に来た魔物の形態はその内最も勢力を持つ所) 騎士(前に姫を攫った魔物もそこからの派生だった。 場所もそう遠くはない) 騎士「……」
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384 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>197]:2009/10/03(土) 08:05:30.06 ID:qlrRizS70 - ――
兵士A「魔物…!」 兵士B「姫様、すぐに避難所へ――」 騎士「待て!」 騎士「避難所は恐らく危険……このまま、この部屋にいた方がいい」 姫「えっ」 兵士A「隊長、何を――」 騎士「いいから! お前たちは姫から離れるな!」 姫「騎士は! 騎士はどこに行くの!?」 騎士「離れたところでおびき寄せます。 では」 姫「あっ――」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 08:06:14.74 ID:qlrRizS70 - タタタタタッ
騎士(避難所の場所…王妃ならすべて把握していてもおかしくはない) 騎士(魔物側にその場所が知れ渡っていたとしたら、下手に動かない方が得策) 騎士(何度も襲撃の邪魔をした私ももちろん狙われていることだろう) 騎士(私が常に姫の傍にいると思っているとしたら、危険……) 騎士(一緒に居てはいけない――!) 騎士「ぉらァ!」 ドシュッ 魔物「ヒ……」 ドサ
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- メイド「前略、世界規模の不景気ですがお元気ですか?」
144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2009/10/03(土) 08:16:25.85 ID:qlrRizS70 - キタワァ
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387 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 08:19:06.51 ID:qlrRizS70 - 騎士(今すべきは、この襲撃に乗じて王妃を――)
騎士「…!!」 ザッ… 魔物「…お前は姫の女近衛兵。 姫はどこだ」 騎士「邪魔だ。 退け」 魔物「姫の場所まで案内してくれんなら退いてやる」 騎士「ふん……ふざけたことを!」 バッ ヒュッッ ギリギリギリギリッ 魔物「…っぶねぇ!」 騎士「時間が惜しい、邪魔をするな!」
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389 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 08:21:05.06 ID:qlrRizS70 -
「魔物が撤退したぞォォ!!」 「「ウオオォォオオオオオッ!!」」 騎士「……チッ」 騎士(間に合わなかったか) 騎士「……む」 ツツー 騎士(血…、かすったか。 選りによって頭、隠せないな…) 騎士(……また姫に叱られる) 騎士「……戻るか」 グイッ
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391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>204]:2009/10/03(土) 08:25:48.93 ID:qlrRizS70 -
王妃「近衛に貴女からの荷物を受け取りました」 王妃「けど……開ける前に、魔物に焼かれてしまいましてね」 姫「…! そんな…」 騎士「…!!」 騎士(……こいつ) 騎士(嘘だ) 騎士(あの見下すような、氷のように冷たい目) 騎士(この女、自分の手で) 騎士(姫の、愛情の籠った贈り物を) 騎士(それを分かって) 騎士(姫を泣かせた) 騎士(……誰が許すものか)
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[>>214]:2009/10/03(土) 08:34:32.59 ID:qlrRizS70 - 騎士「…兵士A、兵士B」
兵士A「はい」 兵士B「うい」 騎士「…話がある。 少し付き合え」 兵士A「話とは」 騎士「……ここは些か静かすぎる」 騎士「移動するぞ」 兵士B(…他人には聞かれちゃ困る話ってわけか)
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:00:21.80 ID:qlrRizS70 - 騎士「おい、今空いてるか」
医師「ん、騎士か。 俺の分の患者は終わって他のに手をだそうとしてたんだが」 騎士「なら丁度いい、私を診ろ」 医師「あ? そんな悪そうには見えんが……まぁいいや鎧脱げ」 兵士B「えーと隊長、俺ら外で待ってましょうか」 騎士「いい、部屋に入ってろ、このまま話す」 兵士B「はぁ」 兵士A(衛生面を考え医療塔は石造りであり、声が外に漏れにくい) 兵士A(加えて今日の魔物の襲撃の為怪我人が多く、紛れやすい……) 兵士A「……それで、話とは」 騎士「……そうだな、…単刀直入に言えば」 騎士「明日、王妃を殺しに行く」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:08:27.93 ID:qlrRizS70 - 兵士AB「「…………は?」」
医師「……おいおい騎士さんよ、そりゃ冗談でも許されんレベルだぞ」 騎士「冗談ではない」 兵士B「だったら何故」 騎士「……姫は王妃を愛しておられる」 医師「…私怨か?」 騎士「それも無いとは言えん。 が、」 騎士「……王妃は姫を愛してなどいない」 医師「なっ、…だからって」 騎士「…今までの魔物の襲撃……全て王妃の企てだ」 兵士AB「「!?」」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:16:34.62 ID:qlrRizS70 - 騎士「私が怪我をし、最初に町に行った帰り……魔物と王妃が会話するのを見た」
兵士A「…見間違いということは」 騎士「一応でも主である者の顔と声を間違える配下があるか。 夜目も効く」 騎士「次の日からは国の魔物の住処の正確な位置を調べて回った」 騎士「魔物の住処の調査は王妃が禁止していたのは知ってのとおりだ」 騎士「そして今日、魔物の襲撃」 兵士A「……分かっていた、と言うのですか」 騎士「正確な日時を把握していたわけではない。 その為に、姫に土産を買い、いつでも私の部屋に誘えるようにした」 兵士B「意図的に、姫を兵舎に…」 騎士「……襲撃に乗じて王妃を狙いに行ったが、行く道行く道で魔物に邪魔されたのだ」 騎士「王妃を守るように、な」 兵士A「……」
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405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:19:19.39 ID:qlrRizS70 - 騎士「おかしな話だ、魔物のくせに人の多い兵舎も医療塔も襲わんのだ」
騎士「……王妃の、姫だけを狙った企てだ」 騎士「だから明日、正面から、この手で」 兵士A「……」 兵士B「……」 兵士A「…だったら、魔物だけを殺せば」 騎士「魔物など世界中にいる。 根絶やしにでもしない限り、王妃はまた別の魔物に話を持ちかけるだろう」 兵士A「……」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:23:59.52 ID:qlrRizS70 - 兵士B「王妃の事を国中に知らせるのは」
騎士「愛されていないなど、姫が知って幸せになれるとでも言うのか」 兵士B「それは…」 騎士「姫が王妃を愛し、また愛されていると…… "優しい母"としての王妃を、姫の中に残すことが…姫にとって一番の選択だ」 騎士「だから、私が」 兵士A「…しかし、王妃様を殺めるなど…自ら死にに行くようなものです」 騎士「構わない。 姫の為なら、私の命など」 兵士A「…ッ」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:25:53.24 ID:qlrRizS70 - 兵士B「…だったら、俺が行きますよ」
騎士「阿呆か。 お前には妻子がいるだろう」 兵士A「でしたら!」 騎士「駄目だ。 私の後任には別の兵が来るだろう、が、姫はお前に任せたい」 兵士A「……ッ」 騎士「…私の持っていた土地。 それもお前らにやる。 書類はあとお前らの印を押すだけだ、昼間のうちにに提出しておけ」 騎士「あと、明日……護衛が終わり次第王妃の処へ向かう。 それまでに、昔使っていた古い方の裏口に馬をつないでおいてくれ。 あそこは警備が手薄だ」 騎士「最後に、この件が終わった後、事情を訊かれると思うが……」 騎士「お前たちは関わっていないと。 知らぬ存ぜぬを決め通せ」 騎士「……これは上官としての最後の命令だ」 騎士「…話は以上。 お前たち、部屋に戻っていいぞ」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:32:28.84 ID:qlrRizS70 - バタン
騎士「……」 騎士「…よく出来た部下たちだ」 医師「……本気なのか」 騎士「ん、ああ」 医師「死ぬんだぞ」 騎士「分かっている。 王妃を殺し、兵から逃げ切れても、 魔物の住処に行き、まぁできる限りのことはするが、当然生きては帰れんだろうな」 騎士「…っと、そう言えば死んだら私の金はお前にやると言っていたな」 騎士「休み中に半分を施設に寄付しておいたからその残りを――」 医師「んなもんいらねえよ!!!」
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- レスが50までいったら姉か妹の下着に精子かける
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:39:26.84 ID:qlrRizS70 - 余裕
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:42:46.54 ID:qlrRizS70 - 騎士「……だったら兵士Cや兵士Dにでも」
医師「そういう意味じゃねえ!」 医師「俺は! お前に死んでほしくないんだよ!!」 騎士「……」 騎士「…何を言うかと思えば」 騎士「もう決めたことだ。 土地もやった、金もやる」 騎士「あとは王妃を殺し魔物も殺し殺される、それだけだ」 騎士「もう何も残ら―――んっ!?」 騎士「…っ、……んっ…ふ……!!」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:45:05.24 ID:qlrRizS70 - 騎士「……ッ、…ぷ、は……ッ!」 ドンッ
騎士「はっ、はっ…! …き、貴様!! 何をする!!」 医師「俺はずっとお前のことが――!!」 ドスッ 医師「うぐっ、」 騎士「……ッ」 騎士「…10年前も言っただろう」 騎士「それには、……応えられない」 医師「、待っ――――」 バタン
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:46:50.29 ID:qlrRizS70 - 医師「……くそっ…」
医師(…馬鹿か俺は) 医師(あんなこと言ってもあいつを苦しめるだけじゃないか) 医師「……」 医師(…10年前、か) 医師(まだ、そんなこと覚えていたのか) 騎士「……」 騎士「……いいんだ、これで」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:51:19.07 ID:qlrRizS70 -
いつも通りの朝 まだ日も昇らぬ時間に起き、軽く口をすすいでから兵用食堂に降りる 兵士Aと兵士Bに会うと、浮かぬ顔で何かを言いたそうだった それを無視し、空いてる席を探す 今日のミルクは味が濃いな、と思いつつ 寝ぼけた顔の兵士たちが出入りするのをぼうっと見ていた 朝食を済ませると、手早く鎧を装備し、訓練所へ向かう 聖堂から僅かに漏れる讃美歌を耳にしながら、点呼を取り号令をし、隊に分かれ訓練を始める 訓練用の刃引きした剣を交える 兵士Aの剣にはまだ迷いが見えた、が、兵士Bは、いつもより力強く思えた 所帯を持つ分、心持は兵士Bの方が強いのかもしれない
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:53:45.16 ID:qlrRizS70 -
訓練が終わると、男たちは汗を流す その間に書類や報告など雑務をこなす 裸の男の集団の中に女の自分一人が入ると姦淫される危険があるからと止められている こんな筋肉と傷に覆われた身体のどこに色気があるのかと疑問に思う そんな物好きほとんど居ないだろうな、と思ったが、新米のころにあったことを思い出した 結局返り討ちにしたそいつは、確か3年前の内乱鎮圧の時に目の前で串刺しになり死んでいった 汗を流し、一足遅れて姫の部屋に着く、と、姫はソファに腰かけ眠っていた 小さな寝息に合わせ肩が上下する ふと見ると、先日渡した指輪が革紐で首から掛けられていた やはり大きかったかと少し反省する
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:54:58.05 ID:qlrRizS70 - 足音を立てぬよう静かに、姫に歩み寄る
兵士Aと兵士Bは部屋の外、侍女は奥の寝室で掃除をしていた ――今なら…… 姫の白く肌理細やかな頬を撫でる そっと指を滑らし、桃色の柔らかな唇に触れる ――奪って、しまおうか ゆっくりと顔を近づける が、姫の息が直に感じるところで、ぴたりと止まった 昨夜、医師に無理やり口付されたのを思い出したからである ――あれと同じではないか 軽く自分の頭を小突く それに、自分に姫を触る資格などないのだろう 今までも、そしてこれからも殺しを続ける自分に
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 09:58:13.67 ID:qlrRizS70 -
姫が起きると、またいつも通りの他愛のない話をする 王妃の話をするときの姫は まるで天使がほほ笑んでいるかのように愛らしかった この笑顔は自分に向けられているのでなく 王妃に向けられている その王妃も、この笑顔を受け入れようとはしないのだろう それでも 姫が王妃を愛しているのなら その王妃のままで
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:02:25.86 ID:qlrRizS70 -
夕食と湯浴みを済ませた姫はベッドに入る 蝋燭一本の明かりの中、また他愛のない話を始める 入団当初の事を訊かれた そう言えば、入団してから8年か "もう"と言うべきか"まだ"と言うべきかは分からないが それも今日で終わり おやすみなさい、とだけ言えばいいのだ それなのに、躊躇してしまった ――馬鹿か もう迷っても遅い
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:07:04.50 ID:qlrRizS70 - 兵士A「隊長」
部屋を出ると、兵士Aが言った それに続く、馬の準備ができました、とは口にはしなかった 後は任せたと言い、その場を後にする 長く暗い廊下を歩く その足音は静かな廊下によく響いた 謁見することになっている広間に入ると、そこはとても明るかった 揺れる蝋の炎に一瞬目がくらむ ―― 5、10、……20人、か 物陰に、少なくともそれだけの王妃の衛兵が居る、気配がする 奥にはまだ居るだろう 広間に王妃が姿を現すと、跪き、頭を下げる
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:09:54.78 ID:qlrRizS70 - 王妃「頭を上げて」
改めて見ると、なるほどやはり美しい顔立ちをしているな、と思った 絶世の美女、と呼ばれるのも不思議ではない 王妃「……それで、話というのは」 大きく息をを吐く そして、王妃を真直ぐに見る 騎士「貴方を、殺しに」 広間には殺気が立ち込めた
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:13:48.32 ID:qlrRizS70 - 王妃「……それは、どうして?」
騎士「貴方が魔物に、姫を襲わせるからです」 王妃「……そう」 王妃「……やはり、知っていたのね」 騎士「…何故、姫を。 姫は王妃、貴女の子ではないのですか」 王妃「そう。 違いなく、私が腹を痛めて産んだ子」 王妃「だからこそ。 姫は、美しい王妃になれたでしょうね」 王妃「私はそれを許すことができない」 王妃「私は姫が、あの女が、私より美しくなるのを許せない」 騎士「……」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:16:55.30 ID:qlrRizS70 - 王妃「心底あの女を殺したいと思っていた。
だけど、王妃という立場である私が子殺しなんて出来る筈もない」 王妃「だから魔物の残党を誘った。 まさか、私と魔物に繋がりがあるなど誰も思いもしないでしょう」 王妃「邪魔なのはあの女だけ。 だから怪我人の多い医療塔も休む兵の多い兵舎も襲わせなかった。 有能な兵を殺しても、国の力が弱くなるだけですものね」 王妃「そして貴女も」 騎士「……」 騎士「魔物が、何故そこまで動くのか……金ですか?土地ですか?」 王妃「……ふふ」 王妃「……国民の」 王妃「 命 」 騎士「!?」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
436 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:18:44.89 ID:qlrRizS70 - 王妃「もし、あの女を殺すことができたら」
王妃「町を襲ってもかまわない。 派兵もさせない」 王妃「私の権限で、ね」 騎士「……貴様」 王妃「あちら、喜んで承諾されたわ」 騎士「貴様、己の嫉妬の為に無関係な国民を巻き込むのか!? 民の命を何だと思っている!!」 王妃「安い代償。 ……貴女、誰に向かって言っているの。 王妃の前よ、慎みなさい」 騎士「…もう貴様を王妃だとは思わん!! 嫉妬に溺れた醜い女め、私がその首飛ばしてくれる!!」 王妃「私が醜い? …戦いに埋もれた惨めな女が、ふざけた事を!!」 王妃「兵士どもッ!! この女を殺せッ!! 殺すのだ!!!」
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- 女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:34:47.88 ID:qlrRizS70 -
ガチュン ズルズル ドシャッ 王妃「……」 王妃「……な、」 騎士「……」 王妃「何故、だ……、兵、が…!!」 広間は静まり返っていた 横たわる40の兵 立っているのは、血まみれの鎧の女と その場にそぐわない、ドレスを着た女だけだった 王妃の近衛兵隊はこんなものか、と呟き、歩み寄る 王妃「ひっ……!」
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444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 10:37:18.90 ID:qlrRizS70 - 顔をゆがめ、後ずさる
剣を拾い上げ、震える手で刃を向けてきた 騎士「……剣を握るのは、初めてですか?」 そう言い、王妃の剣を軽く弾き飛ばす カラン、と虚しく、乾いた音が響いた 王妃「…あ、…あ……」 騎士「……」 騎士「なんと惨めで醜い姿か、王妃よ」 王妃「……、わ、私は、」 王妃「私は、私は、」 王妃「私は私は私はぁああああああああああああああああああああああ!!!!!」 王妃「―――あ゛」
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