- 秒速5センチメートル見てきた…
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:20:25.38 ID:q6XuIg3o0 - うわああああああああああああああ
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- ( ^ω^)達の中だるみな一年のようです
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:23:35.79 ID:q6XuIg3o0 - 再投下
出来れば全部投下
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- ( ^ω^)達の中だるみな一年のようです
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:25:43.57 ID:q6XuIg3o0 - プロローグ 「廃墟と爆炎」
―――頭は冴え、心身の感覚が研ぎ澄まされる。なかなか気分が良い。これなら結果を出せる.。いや、出すのだ。 無残に崩れ落ちた廃屋や、足元や壁に見られるチラシだったのであろう鮮やかさの面影を持つ紙片など、生を失ったかつて街だった場所に‘彼ら’はいた。 今回の任務は廃墟地帯への潜入ミッションで、その目標は要人の救出。 要人は誘拐、監禁されすでに衰弱しきっており、あまり時間はかけられない。 一刻も早く要人の保護が必要である状況、ということだ。 そんな中、‘彼ら’の中の一人、長身の男が声を荒げかけている。 _ ( ゚∀゚)「だから何回も言ってるだろ?俺が一点突破すりゃあ一瞬で終わるんだよ!」 ( ^ω^)「駄目だお。たかがジョルジュでも死なせるとリーダーの僕が責任を取らなければならないお」 自分の立場が優先なのだろうか。怒鳴り散らす者にリーダーを名乗る男が淡々と言葉をつく。 _ ( ゚∀゚)「俺が死ぬわけねえだろ!だいたいこれはs――――」 ξ゚听)ξ「わかったわ」 やれやれ、といった様子で小柄な少女が口を開いた。 ( ^ω^)「……ツン、いいのかお?危険かもしれないお」 そんな遠慮した様子を見せるリーダー。 ξ゚听)ξ「ええ。このまま考えても時間ばかりかかりそうだし」
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3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:28:07.15 ID:q6XuIg3o0 - 彼女は皮肉をこめた表情で二人の方を向き、
ξ゚听)ξ「やりましょう。あなたの好きな一点突破で。 といっても私のできることは限られてるし、あなたの作戦、万が一失敗したときの全責任はあなたに負ってもらおうかしら」 蛇のような目で言い放った。その眼にジョルジュは一瞬たじろいだが、そのまま口角を釣り上げ、 _ ( ゚∀゚)「おう!失敗はありえねえ!ソッコーで終わらせるぜ!」 などと腕を振りながら息を巻く。 ( ^ω^)「作戦―――って言ってもこれは本当に単純だお。僕と彼女で突破にかかる君をサポートする。以上だお」 ジョルジュは頷く。ツンはため息をつき、端末に目を落とす。 ξ゚听)ξ「そうね、本当に単純。……敵HQまでここから約80メートル。このバカとあんたのあれなら、仮に被弾しても5秒切るでしょうね」 ( ^ω^)「だお。そして僕らはあいつの特攻で開いた穴から進めばいいお。どうせ見張り程度しかいないはずだし、簡単だお」 ξ゚听)ξ「私は接近戦には向いてないから、拾うときの邪魔が居たとしたらあなたに任せるわね」 ( ^ω^)「了解。ならあと20秒で開始だお」 告げる。 ( ^ω^)「準備はいいかお?」 _ ( ゚∀゚)「バッチリだぜ!!」ξ゚听)ξ「大丈夫、問題ないわ」 温度差はあれど、二人の言葉には同じものを確認したリーダーは小さく笑い、号令をかける。
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4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:31:15.00 ID:q6XuIg3o0 - ( ^ω^)「それじゃ、ベストを尽くすお!」
掛け声と同時、三人は行動を開始した。 _ ( ゚∀゚)「いくぜ!ブーン!」 長身が叫ぶと、彼の体はどこからかせり出してきた薄い鉄のような色をした組織に瞬く間に覆われていく。 そして全身がそれに覆われるか覆われないか、その瞬間ブーンも叫ぶ。 ( ^ω^)「お!行って来るお!」 彼の手元には小さな爆竹。それを走り込みながら軽く上に放り、鉄のようになった男に挟むように蹴りつけた。 いてえお、と痛みを叫び、次の瞬間前方への爆発が起こる。 爆発の規模は人一人が扱うにしては大きく、前方の鉄の塊を吹き飛ばすには十分な程だ。 _ ( ゚∀゚)「いやっほおおうぅ!!!!」 絶叫ともとれるその声は、気づいて銃器やナイフを構えるなどしていた見張りの兵たちを廃屋や武器ごと一直線に吹き飛ばしてゆく。 傍から見ればそれは爽快に進撃を進め、やがて目標地点まであとわずかとなった。 が、その瞬間。 _ (;゚∀゚)「な!こりゃまさk――っかは!」 奇妙な文字を吐き、彼はその勢いを失った。あるはずのない‘壁’が確かにそこにあったのだ。 歩みを止めた者には、自身が一度吹き飛ばした敵兵が駆け寄ってくる。 \(^o^)/「はいじょします」 各々武器を構え、倒れた金属のような物体を囲んだ。 そして一斉に、持っている武器で転がる金属に攻撃を仕掛ける。
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5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:34:20.28 ID:q6XuIg3o0 - \(^o^)/「……!」
――しかし、それは叶わなかった。得物が何かに引っ張られている。それもかなり強く、だ。 ξ゚听)ξ「もうあなたたちの兵装は自由に使えないわ。だって、もう私の手にある金属だもの」 見張りの兵と同じものをぶら下げた少女の声が聞こえ始めた途端、兵達が構えていた武器は少女の右腕に引き寄せられるように集まって行く。 金属がぶつかり合う音が響き、黒い塊となって少女の支配下に置かれた自分達の得物。 その姿を見つめ一時的にエラーを起こした兵士たちは、一人の乱入者に気づかなかった。 (* ^ω^)「お!!ここは僕の出番だお!」 先ほどの真剣さなどとは全く結びつかない、明らかに種類の違う笑みを浮かべたブーンは、全身に火花を纏い混乱する兵士たちの中に割って入った。 兵士たちはすぐに脳内を整理すると、素手のまま火花男を取り囲み、胸から刃渡りの短いナイフを取り出しそれぞれ構えた。 \(^o^)/\(^o^)/ 一息の間。そして二人の兵が先陣を切った。 彼らは相討ちにならないように左右から突っ込み、それぞれ軌道の違う刃を振る。 ブーンは刃の軌道が高いほうである右側から来た兵に向かい小さくスライディング、通り過ぎるところで相手の左足に手を掛けた。 ( ^ω^)「くらえお!」 掴んだひざの裏を拳で突く。一瞬、がくりと崩れかけるがこの程度では倒れない。 だがその数瞬後、兵の左足が前方に振りあがった。爆発が起きたのだ。 衝撃にたまらず兵は転倒し、隙にブーンは地面に両手をついて跳ね起きる。 ( ^ω^)「どんどん来いお!」 言いながら転倒した兵の頭を踏みつぶし、爆破させた。それに伴い兵を動かしていた回路が吹き飛んだ。
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6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:37:48.74 ID:q6XuIg3o0 - 既に駆け寄ってきていた先のもう一人の兵の頭を見ると、今吹き飛んだものと同じ、無機質なものがある。
突きだされるナイフを屈んで避けるとそのまま両腕で挟み、ブーンの右腕が炎とともに弾ける。 そして彼と交錯した兵は腕を失い、バランスを崩したその体にブーンが右手で掌底を叩きこみ、爆砕する。 \(^o^)/「しになさい」 壊される同士たちに目もくれず、背後からブーンの両腕を固定する一体。 (# ^ω^)「うざってえお!」 ブーンは両足を正座のように折るようにして相手の両足、裏ももあたりを踵で蹴り、爆音とともに破壊。兵の足がちぎれ跳んだ。 そのまま背負う形になった上半身を、彼に固定されたブーンを狙うはずだったものに投げつけた。 破壊された鋭利な体が、万全であるもう一体を抉る。 ( ^ω^)「あとは――」 まるで肉食獣の群れのように、残った四体が彼の正面から跳びかかってきている。 数歩先に出ていた兵の膝、腿、肩を一度に蹴り上り足場にし、ラリアットの要領で後ろの二体を叩き落とす。 左手のラリアットを受けた一体はその瞬間爆散するのだが。 高さの合わなかった一体は構わずスルー、そして着地。 地面に叩き落とした一体の腹部分には爪先を刺し込み、その場で一回転し足で投げ飛ばす。 飛んでいくそれは、接近してきていた先程足場になった兵にぶち当たる。 ブーンはそこから二歩で踏み切り、足を止めた彼ら二体にドロップキック。同時に発生した爆風で彼らの破片が飛び散った。 ξ゚听)ξ「はやく立ちなさいよ!」 ツンは爆ぜる男から逃げおおせており、倒れるのっぽをたたき起こす。 _ ( ゚∀゚)「ちっ、なんだかんだ言って一番暴れやがって」
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8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:41:53.54 ID:q6XuIg3o0 - ジョルジュは不服そうな声、楽しげな顔で呟いた。その間ツンは目の前の白みがかった透明の壁に触れている。
ξ゚听)ξ「それにしてもこんなとこに‘断界’が仕掛けてあるなんて……」 _ ( ゚∀゚)「あいつ、おれたちが結局この手で来ると察していたんだろうな」 ξ゚听)ξ「だって私たちチームワークは最悪だもの。そんな私たちが取る行動なんて限られてるわ」 二人が言葉を交わす間に、中心部にいた危険人物は自身の一方的な暴力に満足したような顔で、軽い足取りを見せながら合流していた。 ( ^ω^)「‘断界’があるってことは今回はあいつかお」 _ ( ゚∀゚)「まあ今ならいい勝負できるだろ、大体分かるし。行こうぜ」 ξ゚听)ξ「ええ」 _ ( ゚∀゚)「……お?一体居るじゃねーか」 呟きながらジョルジュは、笑顔でこちらへ走る兵の顔面に全体重を乗せた拳を合わせ、振り抜いた。
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10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:45:22.78 ID:q6XuIg3o0 - 三人は目の前の壁を迂回し、崩れかかった敵本部、もとい要人の監禁場所へ侵入した。
( ^ω^)「……誰もいないのかお?不用心だお」 _ ( ゚∀゚)「つーことはさっきのやつらで雑魚はほぼ全員か。あんなもん何体居ようが変わらねーが」 ξ゚听)ξ「自信過剰ね……馬鹿よ馬鹿」 _ ( ゚∀゚)「それどっちに言ったの?もしかして俺?」 ξ゚听)ξ「うっさい、死ね」 悪態をつきながらも警戒は怠らない。相手はどんな手をつかってくるのかわからないのだから。 それにしてもやけに生活感がある。それほど利用していないはずなのだが。 _ ( ゚∀゚)「外から見た感じよりも内装はしっかりしてるな」 ξ゚听)ξ「結局罠も何もないのね、やっぱり自信過剰」 ( ^ω^)「ここだお」 リーダーが指をさす。たしかにここはそこそこ広い平屋ではあるが、もっとも奥にありなおかつ監禁部屋としての体裁を保っているのはこの部屋ぐらいしかない。 ならばここに敵陣営の指揮官がいるだろう。それと要人の見張り一人か二人だろうか。彼らは中に気配が複数あるのを感じ取っていた。 事前に編成などを予測しておけば、おのずとその位置もわかる。火薬に不足もない。ツンは短銃を構え、ジョルジュは先ほどのように身体を硬質化させている。 _ ( ゚∀゚)「いくぞ」
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11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:48:07.46 ID:q6XuIg3o0 - \(^o^)/「侵入者ですね、わかります」
鉄塊となったジョルジュが真っ先に突入する。響く銃声。しかしこれで突入の瞬間の襲撃はほぼ無傷で乗り越えられる。 そのまま要人のもとに突っ切っていき、防弾、防刃、防炎、という何ともトンデモな布を被せ、特殊な金属で固定、同時に合図を送る。 布と要人はツンの力で瞬時に安全地帯まで引っ張られてゆき、それを確認したと同時、爆音とともにブーンが現れる。 ( ^ω^)「行動遅いお!」 _ ( ゚∀゚)「うるせえ!」 先ほどの部屋が修羅場と化そうとしているのを無視し、包まれた要人をツンは解放する。 くたびれているかと思っていた要人は彼女の想定した姿ではなかった。 だが気にすることもなく、そのまま凛とした声で語りかけた。 ξ゚听)ξ「荒巻様、救出に参りました。申し訳ありませんが一刻も早く救出しろ、 との命でしたので少々強引な手を取らせていただきました。あとは彼らが犯人を確保しますので、私たちはここから早急に離脱します」 / ,' 3「そんなに簡単にはいかんよ」 ξ゚听)ξ「?」 / ,' 3「いや……教官は強いじゃろう?」
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12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:50:54.85 ID:q6XuIg3o0 - ( ゚∋゚)「さすがに一般兵では歯が立たぬか!ならば我が出よう!我こそは神に匹敵せし力‘断界’の使い手!貴様らなど取るに足らんわ!」
即座に雑魚を片付けた二人に仰々しい台詞を吐きだしながら、筋骨隆々の肉体を奮わせた敵の指揮官であろう男が上半身裸で笑っている。 _ ( ゚∀゚)「そんなキャラでいくのかよ!ボコボコにしてやるぜ!」 ( ^ω^)「だお!」 三人は睨みあいもそこそこに、組み合う隙を見定める。先手を取るか、後手に回るか。相手の能力は知っているので後手に回る意味は薄いのだが。 やがて痺れを切らしたのか、ブーンが前に出る。目の前の巨大な男を見上げ、睨みつけた。 ( ゚∋゚)「ふはははは!やはり貴様からか!二人同時に来ても構わんのだがな!」 ( ^ω^)「僕は共闘向きじゃないし、一対一で僕が駄目ならどうせジョルジュも駄目だお。だから僕から行くお!」 そしてブーンは足を床に擦りつける。くくりつけた火薬が発火すると同時、小爆発を起こし、その反動を利用して筋肉野郎に飛びかかった。 ( ゚∋゚)「相も変わらず直線的だな!見えるぞ!」 ( ^ω^)「誰が!」 勢いはそのままに、ブーンは両手の甲を叩き合わせる。発火が見られると甲を後頭部より少し上に持ち上げ、やはり爆発。 ( ゚∋゚)「目くらましか!?甘いわ!!」 筋肉は左手をかざし爆風を防ぎ、そのまま手を引き力を込めた右手を突き出す。 しかし、拳が目標を打ち抜くことはない。彼の姿はなかったのだ。そして癇癪玉の弾けるような音とともに、尾てい骨に衝撃が走った。 ( ゚∋゚)「ぐっ!」
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13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:56:35.25 ID:q6XuIg3o0 - 背後からの衝撃に揺れるなか、そのまま腰、背骨、脇腹、肩、とがむしゃらに打ちこまれる爆音と蹴撃が彼の体勢を崩しにかかる。
(♯゚∋゚)「小賢しい!」 それでも彼は倒れず、丸太のような右腕で跳びつくブーンを薙ぎ払った。 なすすべなくそのまま壁に激突する。呼吸が詰まり、背骨が軋むような痛みが走った。 しかしすぐに顔を上げ、闘争の意志が消えていないことを示す。筋肉はブーンに向き直り、余裕をもった顔で口を開く。 ( ゚∋゚)「ずいぶん器用になったようだな。視界外からのスプリングキック、そこからの連繋。 滞空時間も長くなった。以前に比べれば幾らかマシになったようだな。しかし粗い」 楽しそうに話す筋肉にブーンは焦点を合わせていない。視線はその背後にある。 _ ( ゚∀゚)「器用になったのはそいつだけじゃねえよ!」 ( ゚∋゚)「愚か者め!不意打ちで叫ぶとは!」 筋肉はジョルジュの拳が迫る寸前に右手をかざす。 すると彼の掌よりひと周りほど大きな半透明の板が出現、拳を防いだその接点からは火花が散った。 ( ゚∋゚)「おお、ようやく身体の一部を硬質化することができるようになったか!それより貴様は近接格闘術に問題があるがな!」 _ ( ゚∀゚)「言ってろ!」 ジョルジュは半ばがむしゃらに拳を振り回す。 硬質化している拳を全力で振るならば、とりあえず一発でも当たればそれなりの衝撃を与えることはできる。 しかし彼の拳は、筋肉が掌から召喚し続ける頑丈な板にことごとく阻まれているのだ。 筋肉はまさに赤子をあしらうようにジョルジュの拳をいなしてゆく。 その傍ら、筋肉男は自分の後ろでぱちり、と弾ける音がするのを感じ取った。
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14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 14:59:32.71 ID:q6XuIg3o0 - ( ゚∋゚)「悪いな、ジョルジュ」
_ ( ゚∀゚)「なっ……!」 筋肉は遊んでいたジョルジュの腕を握りつぶしてしまそうな勢いで掴み、 そのまま力任せに振りまわすと頭から壁に叩きつけた。ぱらぱらとくたびれた壁の破片が吹き飛んでゆく。 軽々と壁に打ちつけられたジョルジュは直前に身体の硬化に成功していたのか流血はしていない。 しかし、彼が即座に動き出すことも無かった。 ジョルジュを沈めた彼は体に付着した土埃をほろい、小さく溜息をつく。 ( ゚∋゚)「……やれやれ」 筋肉が振り向くと部屋の一角では火花が立ち上がっており、一瞬で壁が一面吹き飛んだ。 その爆発により圧倒的な初速を得たブーン。彼の目は筋肉野郎の頭部に向けてあり、体は飛びひざ蹴りの姿勢であった。 今の速度なら、奴はどうあがいても間に合わない。 ( ^ω^)「届くお!」 とった、そうブーンは確信した。 ( ゚∋゚)「悪いな」 (;^ω^)「うぁ!!」 ごすん、とブーンの体に響く音。目に見えない壁がゆらゆらと揺れる。 そして先の勢いが一瞬で止まってしまった。いつの間にか仕掛けられた‘断界’に彼は正面衝突したのだ。 そもそもブーンは完全に見誤ってた。ジョルジュに彼の足止めなどできるはずがなかったのだ。 ブーンは自分が一撃を入れることを優先し、冷静な判断力に欠けていた。自分がおとり役を買って出ればもう少しチャンスがあったのではないか。 いまさら考えながらもその膝の激痛は、結果を得られなかった事実を残酷にも押し付けていた。
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15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:02:33.82 ID:q6XuIg3o0 - ( ゚∋゚)「‘断界’が揺らぐとは思わなかった。褒めてやろう」
( ^ω^)「もう火薬が足りないお。次で終わらせてやるお」 ( ゚∋゚)「終わってしまった、だろ?ブーン。その膝じゃ俺には勝てんぞ?やめておけ」 ( ^ω^)「負けないお」 これで最後となるであろう闘争に対して笑う膝を押さえつつ立ち上がり、無理矢理にボルテージを上げるブーン。 だが筋肉は先ほどジョルジュやブーンに破壊された入り口を見て、なんとも渋い顔を見せた。 ( ゚∋゚)「いや、もうお前らの負けだな」 ( ^ω^)「?」 ブーンも見ると、両手に手錠をされ荒巻に短銃を突きつけられるツンがいた。 ξ゚听)ξ「ごめんなさい。油断してた」
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16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:06:13.59 ID:q6XuIg3o0 - ( ゚∋゚)「やれやれ、詰めが甘いなおまえら。残念だがこれでテストは終了だ。
このままだと犠牲者しか出ないからな!」 筋肉は笑いながら告げて、通信機を取り出しどこか話をしている。 ブーンは残った火薬の正確な量を確認、ジョルジュはいつの間にか復活をし、眉をしかめ崩れた部屋を転がっている。 _ ( ゚∀゚)「納得いかねー。何で要人がテロリストに加担してんだよ!」 ( ^ω^)「あれだお。吊り橋効果?」 _ ( ゚∀゚)「それでもテロリストに加担するような思想持っちまうようなやつには国を任せられねーし助ける義理もねーな。試験する側も皮肉でやってんのか?」 ( ^ω^)「実際どうしたら合格なんだお今の」 ξ゚听)ξ「ごめんなさい。私の詰めが甘かったわ。要人役の服装や血色もちゃんと見ておくべきだった。あんな健康的なはずないもの」 ツンは俯き、悔しそうに呟いた。 _ ( ゚∀゚)「いやおまえは悪くねーよ、こんな現実味のない試験なのにそこまでするか?」 ( ^ω^)「でも今後は気を付けてほしいお。もしもの時君には……絶対に死なれたくないお」 _ ( ゚∀゚)「…………」 ξ゚听)ξ「ごめんなさい」 _ ( ゚∀゚)「いやだかr――」
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17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:08:51.62 ID:q6XuIg3o0 - 通信機との会話が終わった筋肉がこちらに近づいてきた。ニヤニヤした面持ちで話しかける。鬱陶しい教官だ。
( ゚∋゚)「おまえら、合格だとよ。まだまだ粗削りだが、伸びしろはありそうだしな。おじさんも納得!」 バンバンと力任せに男二人の背中を叩く。痛い。 _ ( ゚∀゚)「え、合格?あれで?マジかよクックル!」 頷く。 _ ( ゚∀゚)「よっしゃあああ!!」 ( ^ω^)「ジョルジュは今回対して働いてないお?」 ξ゚听)ξ「むしろ今回はブーンしか働いてないわ。本当にありがとう。あなたのおかげ」 (;^ω^)「それは言い過ぎだお……」 _ ( ゚∀゚)「まー俺もそれには賛成だな!でも次はおれの出番だからな!」 その後もあーだーこーだと言い合う三人は、それぞれ年相応の笑顔を見せた。 これにてようやく彼らニュー速学園中等部二年の、最終実技試験がが終了した。 プロローグ「廃墟と爆炎」・おわり
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18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:12:11.26 ID:q6XuIg3o0 - 第一話
三月初頭の試験期間は終わりを告げ、やってくるのはおそらくすべての学生が待ち望んだ長期休暇、春休みである。 ここ学園都市ニュー速では春休みなどの長期休暇の際、それぞれの理由で実家に帰らない気の抜けた学園生たちがふらふらと街をぶらついている。 観光地としても機能しているこの都市は観光客の多いこのシーズンでは毅然とした態度で過ごすことを指導されているのだが、それを守る生徒など雀の涙ほどだ。 _ ( ゚∀゚)「ひまだなー。スケボーでもしてくっかな」 ( ^ω^)「だめだお。それだと僕のすることがないお。そしたら僕は暇をこじらせて死んでしまうお」 _ ( ゚∀゚)「え?お前の都合で決まるの?」 ( ^ω^)「薄情な奴だお……目の前に死にかけたバンビがいるんだお……」 _ ( ゚∀゚)「いや、居ねえけど。ここいちおう首都圏な」 ( ;ω;)「ブーンのようなバンビは死んでしまうんだお……」 _ ( ゚∀゚)「そうか?じゃあ珍しいから眺めててやるよ。ほら、今すぐ死ね」 先の試験をパスしたブーンとジョルジュである。彼らは実家が遠いので帰省するのも億劫で、大した用事もなく、バイトは禁止されているので何もすることがないのだ。 この二人は春休みが始まって四日になるがずっとこんな調子であり、学園都市で最も広い、それでいて美しいとされる公園、ニュー速国立記念公園でうだうだしている。 たまに見かけるカップルにふにゃふにゃした視線を送りながら、ジョルジュが死にそうな顔をしていた。 _ ( ゚∀゚)「あー!いっそ試験落ちればよかったんじゃねーか?あれじゃあ俺の力が正しく評価されたとは思えねー!追試はキツイらしいしな、腕が鳴るぜ!」 ( ^ω^)「めんどくせーお……」 などと抜かしても受かった事実は変わらない。むしろ評価は悪くはなかったのである。 ブーンは暇な癖に話すのがいやなのか自分の靴紐を抜きとりあやとりにしていた。
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19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:15:19.93 ID:q6XuIg3o0 - ξ゚听)ξ「まったく、あなたたちはいつもそうやってだらけて」
突然浴びた少女の声。ツンだ。今日は私服で登場した。 放送終了時のTVようなデザインのTシャツに気持ち悪い目玉模様のパーカーをはおり、 虹色の縞模様が腰から裾まで入ったジーンズという他人の振りをしたくなるような個性的格好ではあるが、寒くないのだろうか。 すかさず口を開くのはジョルジュ。 _ ( ゚∀゚)「おまえは――ああ、図書館に引き籠る用事があるもんな」 ξ゚听)ξ「違うわ、バイトしてるのよ。というかブーン、今携帯持ってないでしょう?連絡がつかなかったわよ」 ( ^ω^)「ああ、別にいらないかなーって部屋に置いたままだお。充電忘れちゃってたし」 _ ( ゚∀゚)「バイトだと?おいおい見つかったら即退学だぞ?無謀な奴だなーおい」 そう。彼らがなぜバイトをしないのかといえばこの理由だ。彼らの学園は何故か一般的な労働をさせたがらない。 学園側としての理由は勉学に支障が出るから、というものだが、それにしても即退学にする理由にはなりえないと皆考えるのだ。 しかし、実際のところ学園都市内は学割やらなんやらがえらく多いので金欠で困ることはほとんど無く、結局皆考えるのを放棄することになる。 ξ゚听)ξ「わかってる。だからニュー速外のコンビニでやってるの。意外と誰も来ないからばれないわ」 _ ( ゚∀゚)「バレたらその店潰されるぞ……っていうかお前どう見てもガキなのによくつかってもらえるな」 ξ゚听)ξ「死ね」 _ ( ゚∀゚)「え、そんな……」 ( ^ω^)「まあまあ。今日はバイトないのかお?」
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20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:17:57.68 ID:q6XuIg3o0 - ξ゚听)ξ「ないわ。それで暇なのよ、だからせっかく暇なんだしどうせ暇なあなたたちで暇つぶしに来たの。いいでしょ?暇人」
( ^ω^)「いや酷すぎるお」 _ ( ゚∀゚)「よしいい度胸だ。ツン、脱ぐんだ」 ξ゚听)ξ「うっさい、あんたは帰っていいわ。さようなら」 優雅に手を振るツン。 ( ^ω^)「あー、で、なにするお」 ξ゚听)ξ「ボウリングにしましょう。前回のあなたとの雪辱をはらしてやるわ」 ツンは口調は若干食ってかかるような言い方であるが、どことなく楽しげに提案する。 ( ^ω^)「いいお。じゃあすぐ行くお、今行くお」 ξ゚听)ξ「ええ」 二人は上がるテンションを表には出さずに並び、近くのボウリング場に向かった。 _ ( ゚∀゚)「……おれもいくもん!」
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21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:21:00.02 ID:q6XuIg3o0 - で、時刻は夕方。
春先ではまだまだ寒い時刻である。 ひたすら集中して4ゲームを投げ切った彼らは疲れ切った様子だ。 ξ゚听)ξ「けっきょくまけた」 (* ^ω^)「やっぱりツンは詰めが甘いおwwwwwブヒィwwwwwwwwww」 ξ*゚听)ξ「やっぱりってなによー!」 _ ( ゚∀゚)「疲れたなー。良い時間だし飯でも行くか!」 (* ^ω^)「ごめんお。今のは失言だおー」 ξ*゚听)ξ「もうブーンったら!」 などとカップルじみた会話をキャッチボール。 ジョルジュは今日のラスト2ゲームでパーフェクトを二回連続で出したのにもかかわらずこの扱いである。 そもそも彼らの視点ではジョルジュを呼んでいないので、 「たまたま同じ場所に遊びに来ていた知り合い」程度の扱いになってしまうのは仕方のないことなのだ。 ( ^ω^)「それじゃあまただお」 ξ゚听)ξ「ええ、また」 手を振りあう二人。
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22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:24:18.44 ID:q6XuIg3o0 - ( ゚∀゚)「おいおい完っ全にスルーかよ!」
( ^ω^)「いいじゃないかお。可愛いとこあるお」 _ ( ゚∀゚)「それはおまえにだけだ!骨だけ溶けて死にやがれ!」 ( ^ω^)「確かに骨抜きにされそうだお。 つーかジョルジュがボウリングでパーフェクトなんていつもどうりだお。球技だけは天賦の才をもってるから地味にうぜえお」 _ ( ゚∀゚)「まあな!もっと褒めろ!崇めろ!ひれ伏せ!」 ( ^ω^)「いや無駄にでかいジョルジュにひれ伏すのは簡便だお。あれだし。近接戦闘術は素人だし」 _ (#゚∀゚)「おうてめえやる気か?」 その後もくだけた会話を続け、ようやく寮の前に到達した。と、ブーンはふと思い出す。 前回の試験の際に火薬の量が足りなくなってしまったことだ。あのまま教官と実際に戦っていれば危なかっただろう。 ブーンの使う火薬は絶対に誘爆しないが、叩き潰すと火花が出る妙なもので、あまり量を作ることができず、一度演習があると必ず補充しなければならないのだ。 ここのところ気を抜きすぎてすっかり忘れていたらしい。まだ施設は開いている時間帯であるため、ブーンは頭にあるうちに行くことにした。 ( ^ω^)「ごめんちょっと技術局行くお」 _ ( ゚∀゚)「ん?あー火薬か?わかった、じゃーな」
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23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:27:07.30 ID:q6XuIg3o0 - ニュー速圏内西の端、繁華街からはかなり離れる位置で、道はしっかり舗装されているが今の時間にはあまり人の通らない寂しげな場所。
そんな所にわざわざやってくるのは、もちろんブーンが傷心したわけではない。 彼の目的地、ニュー速技術開発局があるのだ。 この施設はおもに、能力がある条件でしか発動しない者や一般的な武装だけでは効率が悪い者が利用する。といっても大半の生徒はここにお世話になっている。 ブーンもその一人で、特殊加工された制服や靴などもここで受け取った。 彼は爆炎を纏い戦うので普通の服ではどうしても大変なことになってしまうのだ。 入り口で学生証を提示し、さっさと中へ入る。内装はとてもシンプルで、どこにでもあるような研究所の様相。 同じような理由で来ているのであろう、ちらちら学園生が見受けられる。 \(^o^)/ 先日試験で散々破壊したオワタ戦闘兵MK2のいらつく顔もブーンの視界にちらちら入ってきた。 相も変わらず味気ない所でうんざりしながら、彼の興味をひかれるものもやはり無いようなので二階の隅の部屋へ直行する。 ハハ ロ -ロ)ハ「あら、今来たの?」 ごちゃごちゃとしたなんだかよくわからないものが雑に長机に置かれ、この部屋の主の性格を示しているようだ。 もともと広い部屋がここの研究者には割り当てられているのだが整理をする気がないらしく、入り口から一直線で奥に続くスペースしか足の踏み場が無い。 ここの研究所の性質上これはかなり危険なのではないか。そしてその奥にいる女性がコーヒーを片手に振り返る。 栗色をしたぼさぼさの長い髪になぜか鮮やかなオレンジ縁の眼鏡。いつ見ても似合っていない。 ( ^ω^)「どうもハローさん。火薬の補充お願いしますお」 ブーンはこの女性が苦手なので、用件だけさらりと伝えた。しかし彼女は怪訝な顔で見つめ、 ハハ ロ -ロ)ハ「いやです。態度が冷たい子には上げません」 言った。また始まった、と思うブーン。覚悟を決める。
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24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:31:04.38 ID:q6XuIg3o0 - ハハ ロ -ロ)ハ「あたしは君のためにがんばってるじゃ〜ん。なんか労いの言葉は〜?」
( ^ω^)「毎度の事ながらそちらの手を煩わせてしまい、申し訳ありません。本当に感謝しています。有難う御座います」 ハハ ロ -ロ)ハ「気持ち込めすぎ」 ( ^ω^)「Thank you」 ハハ ロ -ロ)ハ「発音良すぎ」 (* ^ω^)「いつもありがとだお。ねーちゃん」 ハハ*ロ -ロ)ハ「ほうほう!それで?」 (* ^ω^)「僕、ねーちゃんのおかげで頑張れるお!」 ハハ*ロ -ロ)ハ「そーだよー、あたしのおかげなんだよー」 うんうん、とどや顔をする。なかなか憎たらしい表情だ。いつもこのような気持ちの悪いやり取りをしなければ火薬を受け取ることができない。 もちろんハローはそれに関して迷惑だと思っていない。死ねばいいのに、とブーンは毎回同じやりとりに同じ感想を持つ。 ( ^ω^)「火薬」 ハハ ロ -ロ)ハ「はいよー」 いつもの量の火薬を渡されながら、ブーンは前回の試験のことを話した。 ハハ ロ -ロ)ハ「そっか。やっぱりまだ改良が必要かなー。いや、効率のいい生産が優先?」
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25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:33:48.65 ID:q6XuIg3o0 - ( ^ω^)「まあなんにしても頼むお」
ハハ ロ -ロ)ハ「おっけー。愛しのおねーちゃんに任せてー!」 意気込みは半分だけ聞き取ったのだが、残った半分のそれはどこへ行くのだろう、三歩進む時間だけ考え込んだブーン。 施設を出るともう日は完全に落ち、聞こえるのは彼自身の足音くらい。 明日はまた退屈するかもしれないだろう、なんて考えながらその静けさに身を委ねつつ、のんびりと予定を立てる。 ―――時間も多分にあるし映画鑑賞でもしようか。そういえば見たい映画があったんだ。 ゆったりとした風に乗せられ決まりつつある予定に、すこしだけわくわくしながらふらふら進んでいく彼。 と、気づけば後ろから駆ける足音。アクティブなやつもいるもんだ、と内心考えてはいるがもちろん行動では示さない。 さっきまでと同じように歩き、スルーする気でいたのだが。 「ねーねーちょっといいかな?あなたニュー速の学園生でしょ?」 足音が背後でピタリと止まり、馴れ馴れしいような軽妙さを持った声がかかる。 ブーンは私服だったので断定的な聞き方はしていないが、彼ほどの年齢でここを通るのは学園生しかいないだろう。 なので形而上の質問だ。が、そんなことはどうでもいい。今何故この時、彼に声をかけたのか。 モテ期だろうか、とそんな少しばかりのバカな期待をしながら、できるだけさわやかにゆっくり振り返りつつ、 ( ^ω^)「そうだけど、何か用かn―」 「実験台ね!」 相手の姿を確認しきる前に純粋な青少年の動きは止まる。 全身に電流が走ったのだ。突然のことに一瞬体がうまく働かない、そして朦朧とする意識。 その場に崩れ落ちそうな身体であるが、先に掛けられた声は若かった。 こいつも学園生のはずだ、最低でも顔ぐらいは覚えてやろう、
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26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:37:00.69 ID:q6XuIg3o0 - ブーンは自分で考えうる最善の行動のために、ぐぐ、と顔をあげる。と、
ミセ*゚ー゚)リ そこにはかわいらしい少女がいた。くりくりとした眼に始まる小さな顔はさながら小動物。 白に近い金色の髪は肩に届かないほどに切られているようだが、全体的に逆立ち広がっているように見え、その顔に似合わず攻撃的な印象を受ける。 そこで疑問を持つ。彼女はかなり目立つ容姿のはずだ、一瞬でも噂にならないはずがない。しかしながらブーンは、この少女を知らないのだ。 ミセ*゚ー゚)リ「ははっ!これいい!うりゃっと!」 笑う彼女は突然発光した。そして胸部と腹部の間ほどに衝撃。 殴られたのか。しかしこれは明らかに一般的な思春期の少女の力ではない。 拳は胃にダイレクトに入っていた。内臓が上にずれ込み、一気に全て口から出てしまいそうな感覚に陥る。 学園では肉弾戦を主体とし、ある程度打撃に関しては小慣れているはずのブーンなのだが、これは明らかに異常な一撃である。 教官の正拳突きにも劣らないかもしれない。頭の片隅の冷静な部分はそう言っていた。 そしてそれらの思考はあまりに刹那的に過ぎ去り、今度こそ彼は完全に意識をもっていかれた。
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27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:40:20.23 ID:q6XuIg3o0 - ―――ナチュラルに浮かれていたらしく全力で一撃を入れてしまった。
相手は自分から数メートルほど離れた位置で大の字に倒れ気絶してしまっている。 ロマンティック浮かれモードの熱から冷めてしまった今、後悔の念が止まらない。 ミセ*゚ー゚)リ「どうしよ……わたしまた……い、いやあ、でも短時間の運動でこれだけできるんだなー。 さすがニュー速の開発!データ送っただけでこれだけのものが用意できるなんて感無量ですな!……はぁ」 現実逃避もうまくいかない。どうすればいい。 できれば穏便に、できればなかったことに。 残念ながらそれが無理なことは目の前に倒れた少年が示している。 ミセ*゚ー゚)リ「んー……男子寮に引っ張って――ああ場所わかんないなぁ、もう……あ、この人のケータイになんかあるかも」 服をまさぐってみる。ないじゃないか。 いまどきの人間はみんな持ってるものじゃないのか? 警戒心の無さといい、まさかこいつはけっこう駄目な奴なのではないだろうか。 ミセ#゚―゚)リ「あーもーいい!いーや!どーにでもなっちゃえばいいよ!!!」 我ながら無責任だがしょうがないのだ、 そう、全部自分が悪い。恨まれてもそれはそれ。慣れてるから大丈夫。と自分に言い訳をしつつ引きずる。 とりあえず繁華街に放置すればなんとかなるだろう。そうだ。うん。治安いいみたいだし。 気絶者をずるずると引っ張ってくるのはなかなかの運動だ。いっそ本当に繁華街に放置してしまおう。 わたしは決心しました。自分が原因だけど、まためんどうなことにしちゃったなあ……。 少年を引きずる少女の背中には、陰鬱としたオーラが目に見えるほどまとわりついていた。 第一話「暇人に走る電撃」・おわり
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28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:43:41.73 ID:q6XuIg3o0 - 第二話「歌は地球を揺らす」
( >ω<)<;:''、;:';「ヴェックショアアアアアラアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」 悶々とした気分を解放するかのようなクシャミ。発したのはブーンだ。 _ ( ゚∀゚)「るっせ。何で技術局の帰りに中央通りのど真ん中で寝るんだ?いやぁ、おまえ常識なかったんだな……ひくわ……」 つい先ほど部屋にやってきたジョルジュは、彼の顔ほどの大きさのバウムクーヘンを食べながら何とも言えない表情でブーンを見ている。 ( ^ω^)「いや違うお。僕が倒れていたのはもっとさみしいとこだお!なんか知らない女にぶん殴られたんだお!」 _ ( ゚∀゚)「そうか、それは大変だな!いや妄想ってわかってるが。ああ……」 ( ^ω^)「勘弁してくれお。僕をドクオみたいなやつと一緒にしないでくれお」 _ ( ゚∀゚)「ドクオは生きた人間に陶酔してるからギリッギリで救いがあるんだ。だがなあブーン、てめえは駄目だ」 ブーンを半目で見るジョルジュは突然親友を一人亡くしてしまった少年の見せる、独特な虚無感に包まれた顔を見せる。 ( ^ω^)「わかったお。これを見るお!」 ブーンは服をたくし上げた。ジョルジュはなお悲しそうな顔をするところだったが、ブーンの腹にはっきり付いた小さな拳の跡を発見し、真剣な顔になる。 _ ( ゚∀゚)「なんだ?それだけの痣、教官レベルなんじゃねえか?」 ( ^ω^)「相手は明らかに知識持ちだったけど、教官の突きの威力は並の中等部の生徒じゃ三、四年生でも届くやつはなかなかいないお。 高等部はこの時期居ないしなんなんだお」 _ ( ゚∀゚)「でも見たことない顔なんだろ?それレベルならそこそこ顔も知れるはずだ――あ、まさかあれか?」
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29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:46:52.28 ID:q6XuIg3o0 - ジョルジュがはっとした顔をする。
( ^ω^)「なんだお?」 _ ( ゚∀゚)「ちょまって、人呼ぶわ」 携帯を取り出す。 _ ( ゚∀゚)「……あー俺ジョルジュ。わかるか?お、わかるか!お前いい奴だな! でさ、昨日俺の部屋教えたろ?その4っつ隣の部屋来てくんね?うん、まあお前の部屋から5つだな。そ。んじゃよろしく」 接続を切った。ジョルジュ部屋の隣――というかこの階一番端の部屋はこの前卒業生が出てから空いていたはずだ。それにまだ新入生の来る時期でもない。 _ ( ゚∀゚)「来るってよ。あー、あのな、あそこには昨日から交換留学生が来てんだよ。 おまえがホームレスごっこしてた時に丁度な。ラウンジからだと。結構ノリいい奴だったからID教えてもらったんだ」 ( ^ω^)「まさか僕を殴ったのって――」 と、ノックの音。ジョルジュがいーぞ、と声をかけるとパッとドアが開く。 「ども、俺ラウンジの交換留学で来たモララー。よろしく」 なにやらやたら爽やかでさっぱりした優男風の少年が登場した。彼はそのまま接近してきて手を差し出した。どうやら握手を求めているようだ。 ( ^ω^)「ブーンだお。よろしくだお」 ( ・∀・)「よろしくどうぞ」 ( ^ω^)「いきなりで悪いけど聞きたいことがあるんだお、いいかお?」
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30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:50:11.58 ID:q6XuIg3o0 - ( ・∀・)「んーいいよ。俺にわかる話なら」
ブーンは昨日殴ってきた女の身体的特徴と、有していたであろう能力の考察をした。時折モララーは目を見開いたり、ため息をついたりしている。 見当がついたのだろう。話し終えると同時に、鞭打ちになりそうな勢いでモララーは頭を下げた。 (;・∀・)「すまん!そいつは俺の班のミセリってやつだ!間違いねえ!あのバカこっちでも問題起こそうってのか! あいつラウンジでもいろいろあって!俺はこっちに来る時散々注意したんだが、まさかさっそくこうなってしまうとは!本当にすまん!」 彼は聞いてるこっちが申し訳なくなるほど悲壮な声でひたすら捲し立てた。 事情を聞かなくても決して彼はなにも悪くないのだが、少々の情報は理解できたので質問をする手間が省けたのはいいことだ。 ( ^ω^)「いやモララーは悪くないお。というか別に仕返しとかもするつもりはないからいいお」 ( ・∀・)「とりあえずミセリ呼んで謝らせる。すまん」 モララーはすぐさま通信をする。 (#・∀・)「おいミセリ、いまから男子寮来い!あ?今クーとゲームだ?知るか!いいから来い!昨日お前が殴った人といるんだ、謝りに来い!」 『……はっ!!!ほんと!!??ちょっ!!!ごめんなさい!!!すぐ行く!!!場所わかんないからクーも来て!!!』 バタバタした音と大きな声が聞こえる。雰囲気は違うがブーンを襲った昨日の少女の声であるのは間違いないだろう。 (# ・∀・)「早くしろよ!……ったく。あいつ実はドМなんじゃねえか……?」 呟き苛立つモララーに、部屋が妙な空気になってしまった。変に真剣になられても若干困ってしまう二人。 _ ( ゚∀゚)「んー、まあこれから二人来るんだろ?部屋じゃちょい狭いし、ロビーで待とうぜ。あ、今のクーって子も同じ班だよな?」
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31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:53:24.23 ID:q6XuIg3o0 - ( ・∀・)「ああ。そうだよ。あの子は関係ないだろうけど、ミセリと仲いいんだ」
_ ( ゚∀゚)「じゃあ俺らもツン呼ぶか。班同士で顔合わせしよーぜ!」 前向きな提案に少しばかり場の空気が変わりそうであった。 場所も移しての顔合わせとは悪くない判断だろう。ブーンは頷き、ツンに連絡した。 ミセ;゚ー゚)リ(;・∀・)「「本っ当にすいませんでした!!!!」」 到着するなり、ブーンを殴った少女とモララーは揃って頭を下げる。 昨日のおっかない女とは大分違った表情だ。 髪の逆立ちも今はちょっと激しいハネっぷり程度にしか見えない。 もう一人の女の子も事情を知っているのか、静かに頭を下げている。 ちなみにこちらは長身のねーちゃん。肩甲骨ほどまですらりと伸びた、枝毛など微塵もない黒髪ストレート。 ミセ;゚Д゚)リ「ごめんなさい!昨日はホントに悪気なくて!新しいとこだしなんか浮かれちゃって!こっちではうまくいくかなって! でもね!ニュー速の技術力高いってきいてたから試したくなって!ほんとにごめん!なんでもするから許してください!」 ( ^ω^)「いや別に怒ってはいないお。結構強いみたいだから知りたくなって。だから頭上げるお」 彼の言葉は事実である。 殴られていちいち切れていたら今頃はクックル教官あたりに殺されて灰になっているだろうからだ。 むっつりのブーンはむしろ、可愛らしい女の子と知り合えて万々歳ってくらいである。 だが、ミセリはさっき以上に凄まじい剣幕で謝り続けている。 ξ;゚听)ξ「え、なに?修羅場!?ジョルジュ何したの!?最低!!」 遅れてロビーにツンがやって来ると、彼女は状況を見るなり、驚いたまま何故かジョルジュに辛辣なセリフを吐いた。
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32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:55:58.75 ID:q6XuIg3o0 - そのままジョルジュに捕まり説明を受けることになったツン。
ミセリはモララーに軽いチョップを喰らい、クーは少し離れ無言でその場全体を眺めている。 そしてそれぞれがようやっと一段落したのを確認したブーンは、声をあげた。 (* ^ω^)「こりゃもうせっかくだしみんな友達になるお!春休みは六人で遊ぶお!」 「「「へ?」」」 とミセリ、ツン、モララー。 少し発言が能天気過ぎたのか三人が呆けた顔。 ジョルジュはニヤニヤ、クーは無表情でブーンを見る。 _ ( ゚∀゚)「ミセリは『なんでもする』って言ったしな!俺は大賛成だ!」 ジョルジュが名乗りを上げた。 さすがブーンと付き合いが長いだけあるのだろう、このような展開に対しても、迷いは微塵もない顔である。 川 ゚ -゚) 「私も賛成。ミセリ、朝から様子変だったし、自分の行動に後悔したんでしょ? そうやって謝るのもわかるけど、この人たちはきっとそういうのじゃないんだよ。 ミセリだって友達、欲しいでしょ?私、なんだかわからないけどこの人たちならやっていけそうだよ」 さっきから黙っていたクーが一気に捲し立てるように言った。 以外にも積極的な意見でブーンを後押しする。 そんな彼女を見て、 ( ・∀・)「そりゃあこっちにとっちゃありがたい提案だ、ブーン!これから仲良くしようぜ!!」 モララーも乗りブーンと肩を組む。
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33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 15:59:16.42 ID:q6XuIg3o0 - ブーンはとにかく彼女らと後腐れが無いようにしたいのだ。強いであろうミセリと手合わせもしてみたい。
モララーは絡みやすい人間であるようだし、なにより交換留学生の三人だ、面白い部分のほうが明らかに多いだろう。 ξ゚听)ξ「いいわね。私ものった!私ブーン以外にこの学年でまともな友達いなかったし!」 ツンも笑って応えた。 ツンは初等部三年間を一年で飛び級してきたため、周り全員が年上で一線を引いた関係しかないとブーンに言っていた。 これがきっかけになればツンにとってプラスになるだろう。 その発言を聞いたジョルジュは、俺はぁ〜?、と呟くが、まるで当然のように誰も聞いていない。 残ったのはミセリだ。彼女は未だ自体を飲み込めていないのか茫然としている、と言うよりブーンを見つめて動かなくなっている。 そこにクーとモララーが近寄り、小声で話しかける。 川 ゚ -゚) 「ミセリ、だいじょぶ。ほんとにブーン君は怒ってないよ」 ( ・∀・)「そうだよ。あっちにいた奴らみたいな人達じゃない。というか、なかなかいないぞこんな人たち……おまえなら目を見ればわかるんじゃないか?」 ミセ゚―゚)リ「わかる。わかってる。でも……私馬鹿だから、頭で動けない人間だから、さ。この人たちに今回みたいな迷惑かけちゃうかも知れないよ……」 ミセリは震えていた。彼女は過去、似たようなことがあっても一度として許してもらった試しがない。 もちろん彼女自身にも問題があって起こったものは彼女の責任である。 が、彼女に明らかに非が無く、本来被害者だと言い切れるであろう場合でも責められたことがある。それも一度だけではないのだ。 そんなことが積み重なっていけば、本来脆い少女の心が荒んでしまうのも当然と言えるだろう。 だから彼女は慣れてしまっていた。罵られること、嫌われることに。 しかし彼らは、そんなそぶりすら見せないのだ。 ミセ ― )リ「何でそんな簡単に許しちゃうの……?全然わかんない……」 ミセリの声は大きく、徐々に涙声になる。
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34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:02:36.58 ID:q6XuIg3o0 - カラオケではやはりジョルジュが一曲目を歌いだす。
彼の地声は普段わりかしいいほうなのだが、悲しいかな歌となると聞くに堪えない雑音に変わってしまうのだ。 そのうえ激しい曲調だったので、さらに聴く者の体力を減らしてしまう。 モララーは笑って、ぐったりしているミセリにオレンジジュースを渡した。ミセリの様子は先ほどより大丈夫そうだ。 _ ( ゚∀゚)「いやー気持ちよかった!なあ、上達したろ?」 アホの自慢げな顔。見事なアホ面である。 ( ^ω^)「声でかくなっただけだお。要するにうるせえから歌うなお」 _ ( ゚∀゚)「酷いな」 ( ・∀・)「まあまあ。歌には個性が出るからな」 川 ゚ -゚) 「次、私だな」 そしてマイクを取るクー。巨乳な彼女の歌はいかがなものか。ブーン班の注目が集まり、そして曲が始まる。 川 ゚ -゚) 「♪〜」 ブーンはカルピスを吹いた。 ジョルジュはクーを凝視した。 ツンは口が開いていた。 電波ソングである。 おちんぽみるく、そんなみるくにブーンとツンは固まり、なにを思ったか突然ジョルジュは床でくねくねした。 ツンはブーンのカルピスをジョルジュにかけた。性的な意味ではない。 川 ゚ -゚) 「ふう……すまんな。狙った。言い訳してもいいならしておく。これは今後無意識で奇行に走ってしまった時の保険だ」
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35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:04:45.98 ID:q6XuIg3o0 - あ、間違えた33の次
_ (*゚∀゚)「っしゃあ!!それじゃ親睦会ってことでこれからカラオケな! おれおとといヒトカラ行ってルーム料金2時間無料、さらにフリードリンク付き券持ちじゃ!いっくぞおオラア!!」 (* ^ω^)「おまえこの前居ないと思ったらヒトカラ行ってたのかお!なんで僕誘わなかったんだお!」 _ ( ゚∀゚)「トレーニングだよ、トレーニング!!悪いけど俺、マジ上手くなりました!」 ξ゚听)ξ「うわジョルジュきも」 _ ( ゚∀゚)「えっ」 ( ^ω^)「確かにきもいお。反省するお」 突然三人が笑顔で騒ぎだした。 わざとらしさが前面に出ているが、あのままでは距離を置かれるのでは、と不安であったモララーはこの予期しない行動にすかさず絡んでゆく。 (* ・∀・)「よっしゃ行こうぜ!!俺様の声に酔うがいいさ!!!」 (* ^ω^)「ほら、二人とも行くお!!一緒にジョルジュを馬鹿にするお!」 クーはしっかりと頷き、混乱するミセリの手を掴むとはしゃぐ4人の輪の中に連れてゆく。 _ (*゚∀゚)「全員いるか?っしゃー行こうぜ!!」
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36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:07:51.21 ID:q6XuIg3o0 - 一番で曲を止め、ジョルジュを蹴った。
(;^ω^)「結構なお手前で……」ξ;゚听)ξ「ええ……」 と。次のイントロである。これは誰でも知っている世界的に有名なアーティストの曲だ。歌詞がこちらの言語ではないのであまり歌う人はいないが。 (*・∀・)「おっと、俺じゃないか。よく聞いておけ、俺の秘密がちょっとわかるぞ☆」 とモララー。モニターに歌詞が並びだす。 ―――よし、歌おう。これはこれからの彼女の為に。 そして、曲が終わる。 ブーン班三人は唸りつつ涙を流していた。 ( ;ω;)「……ぉぉ」 _ ( ;∀;)「あぁ……」 ξ;凵G)ξ「……」
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37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:11:18.91 ID:q6XuIg3o0 - 一体何なのだろうか。歌が始まった途端、全員の耳が音に捕まってしまった。
彼の歌声は、カラオケの糞音質を吹き飛ばし、その声を、追従するメロディラインを、脳に直接ぶつけてきた。 そこには歌詞の言語の壁であるとか、歌っている人間の印象だとか、他人への不信感や不安感、親友への信頼感、安心感とか、そんなものは存在し得なかった。 一方的に彼が持っているものを全身の受動的な器官全てにぶつけられたような感覚。 その場にいた者達は皆同じことを感じただろう。 そこで、人間は等しく同じ存在であるのだと実感させるようであった。 歌が終わってしまうと、脳が本来の機能を思い出し、ただそれが去ってしまったことへの悲しみから、涙を流してしまう。 見れば、モララー以外全員が泣いている。 皆、顔のパーツは違えど、浮かべた表情は同じであった。 川 ; -;) 「いつ聞いても素晴らしいな……」 ミセ*;ー;)リ「そうだね……」 泣きながら笑顔で座る5人は微妙にシュールである。 ♪〜 _ ( ゚∀゚)「お、このイントロ、次ブーンだな!」 ミセ*;ー;)リ「グスッ……あ、これわたしわかる」 (* ^ω^)「お!一緒に歌うお!」 ミセ*゚ー゚)リ「あ……うん!」 ( ・∀・)b「……」 なんかモララーは親指を立てていた。
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38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:14:23.75 ID:q6XuIg3o0 - その後もカラオケは盛り上がり、結局延長して4時間いることとなった。
_ ( ゚∀゚)「いやー楽しかったな!でもやっぱモララー半端じゃねーな!」 ( ・∀・)「まーねー。言っちゃうと、あれが俺の能力。これ、別に言ってもいいだろ?」 と女性二人に確認。 ( ・∀・)「声で相手の精神、ってか脳に負荷を与える。『ディーヴァ』って呼んでくれ、男だが。 かっこいいからな!ちなみに耳栓効かねー音出せるから、嫌いな奴の安眠妨害をしたかったら言ってくれ!」 モララーは笑う。三人も笑う。彼の実力がこの名前に負けていないのは身をもって知ったので、もう噴き出すしかなかったのだ。 しかし彼をこれからディーヴァと呼ぼうと思った者は一人もいなかった。 無論、恥ずかしいからである。 _ ( ゚∀゚)「これから二次会――といきたいけど、今日はこんくらいでいいか!まあ男女で解散なー」 と、互いの寮へ別れてゆく。 _ (*゚∀゚)o彡゜「いやー疲れたなー。すっげー楽しかったけど」 まだテンションが下がりきっていないジョルジュ。この鬱陶しい手は彼のトレードマークだ。 (* ^ω^)「僕もだお。やっぱ大勢は楽しいお!」 ( ・∀・)「俺達三人では、今までじゃこういう機会になかなか恵まれなかったな。最高に楽しかった、ありがとう」
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39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:17:49.93 ID:q6XuIg3o0 - _
( ゚∀゚)「おう!これから一年間覚悟しておけよ!まだ面白い奴らがたくさんいるんだぜ!」 ( ^ω^)「それにしても地味に気になるお、あっちでなんかあったのかお?」 ( ・∀・)「ま、いろいろな。おまえらなら……そのうち話す機会もあるだろ。今日はこれから荷物整理するわ。んじゃ明日〜」 モララーと三階で別れた。そのままジョルジュはブーンの部屋へ流れていく。 _ ( ゚∀゚)「おいブーンよー」 ( ^ω^)「ん、なんだお?」 _ ( ゚∀゚)「あんま踏み込んだこと聞くなよ?」 ( ^ω^)「ああ、僕も今モララーに言った時ちょっと思ったお」 _ ( ゚∀゚)「まーおまえならわかってるだろうから、とりあえず言葉にしておくだけだ。意外と違うもんだからな、こういうのは」 ( ^ω^)「だお。……またジョルジュにメンタル指導されちまったお」 _ ( ゚∀゚)「いや……悪い。……なかなか鬱陶しいだろ!」 ( ^ω^)「助けられたし、今も助けられてるお。まぁ、成績は僕がサポートしてるからおあいこっすねwwwwwドゥフwwwwwwwwww」 _ (*゚∀゚)「おうおう言うじゃねえの!今日は気分いいからスルーしてやんよ!」 ( ^ω^)「おっお〜」
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40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:20:53.14 ID:q6XuIg3o0 - そのころ
ξ*゚听)ξ「ちょwwwやめてwww」 ミセ*゚ー゚)リ「いーからいいなさいよwwwブーン君?ジョルジュ君?www」 川 ゚ -゚) 「さっさと言わないと大変なことになるぞ?」 ツンを年上二人が羽交い締めにしている。ミセリがうりうり、と脇腹を責める。クーは持ち前の胸でツンの顔を挟みにかかっていた。 ξ*゚听)ξ「くーさんなにしてwwwwwwひゃんっwww」 ミセ*゚ー゚)リ「クーやばいってwwwぬーぐーなーwwwwww」 ξ*゚听)ξ「ミセリもだめwwやwwwwwwいうからwwwwwwやwんっwwww」 いろんな意味で限界を悟ったのか、ツンが降参の意を示す。 それが叫ばれたのは、顔真っ赤なツンを見て楽しくなったのかミセリの責めがあらぬ位置まで来ているところであった。クーはたわわな胸を抱えながら無言で舌打ちをする。 彼女たちが過ごす部屋のテーブルには、誰が飲んだか多くの缶チューハイが散乱していた。 ミセ*゚ー゚)リ「ほら、はやくいいなよwwwwww」 ξ*゚听)ξ「うそwwwwwwwいわなwwwwwwwwwwいwwwwwwwwwwそういうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwのじゃwwwwwwwwないしwww」 川 ゚ ー゚) 「ククク……ツン、君には教育が必要なようだな……」 今日初顔合わせのはずの彼女たちとツンの夜は、まだ終わりそうにない。 第二話「歌は地球を揺らす」・おわり
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41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:24:11.66 ID:q6XuIg3o0 - 春休みが始まってから三週間が過ぎた。件の交換留学生たちとの交流も順調な頃、ブーンは一人、部屋にこもり映画鑑賞を楽しんでいた。
昨日の深夜から降り出した雨は今日まで続き、昼になっても飲み過ぎた奴のゲロのように降るその勢いは止むことを知らない。 モララーら三人は始業も近いためだろう、学園のほうで呼び出しがかかったらしく、雨の中朝から出かけてしまっていた。 こんな日だ、これは映画を見るしかない、とブーンは以前から見るタイミングを逃し続けた作品の処理にかかっていたのだ。 _ (;゚∀゚)「おい聞いてくれよ!きのう俺が廃墟行ったの知ってるだろ?」 そんな楽しい趣味の時間に、騒がしくドアを開けながら長身の男が声を掛けてきた。 ブーンはリラックス状態を阻害されたためあからさまに不快な表情を見せつけ、わざとらしく溜息を吐きながら映像を一時停止した。 ( ^ω^)「ああ……ギコ達とサバゲー行ったってやつかお?」 _ ( ゚∀゚)「そーそれ。そんでさ、まじびびった事件があったわけよ」 ( ^ω^)「なんだお。面倒だから早く言えお」 ブーンはさっさと自分の世界に帰りたかったのだろう。睨みつけながら急かす。 _ ( ゚∀゚)「いやいや、ここ引っ張りどころじゃねーか?」 ( ^ω^)「知るか」 _ ( ゚∀゚)「いやーホントさー。このご時世にありえねえもん見たんだ」 (# ^ω^)「だから早く言えお」 _ ( ゚∀゚)「おう。幽霊見た。マジに」 第三話「鉄と幽霊」
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- ( ^ω^)達の中だるみな一年のようです
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:27:18.41 ID:q6XuIg3o0 - 先ほどより雨が強くなったのか、部屋の中にまで響きそうな雨音。
ブーンは一瞬、先ほど自分が止めた映像のように停止するが、何事もなかったように無言でヘッドホンを着け、映画の続きを再生した。 画面の中の中年男性は涙を流し、今は亡き娘の手紙を握りしめている。クライマックスであった。 _ ( ゚∀゚)「おい聞け、我が親友ブーン」 ( ^ω^)「……」 彼は集中モードに突入してしまったらしい。画面を見つめる目が潤いを帯びている。こうなったら終わるまで話を聞かない。 強制的に止めたときは烈火のごとく、それこそ文字そのままに怒ったことがあるのだ。 仕方ないのでジョルジュは適当な漫画を本棚から引き出し、ベットを占領、漫画を開いた。 …… ( ^ω^)「いやあ良かったお。ジョルジュも観ればよかったお」 _ ( ゚∀゚)「で、俺の話聞く気になったか?あれは――」 ( ^ω^)「同じセントジョーンズ監督の作品で、これまた良い評判のものがあるお。次これ観るお!」 ブーンは華麗にスルーし、女性の裸体がパッケージの映画を取り出した。なんとも扇情的である。 _ ( ゚∀゚)「あれ?それエロいやつじゃね?俺も見ていい?」 ( ^ω^)「エロスの中に見え隠れする人の醜さ、美しさが作中の登場人物の立ち回りの印象で 人によって感じ方が全然違うらしいお。異性と観ると一層面白いお」 _ ( ゚∀゚)「なんかしらんが見ようぜ!」 (* ^ω^)「いいけどしゃべったら殺すお!」
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- ( ^ω^)達の中だるみな一年のようです
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:30:34.46 ID:q6XuIg3o0 - ――スタッフロール。
_ (;゚∀゚)「なんかよくわかんなかった……」 ( ^ω^)「僕にも理解できなかったお……」 喜々として再生された映像はひたすらヒステリックを起こす若い女性の生活から始まり、 その後は彼女のストーカーである中年男性とのねちっこい濡れ場が三回、それから青年と少女の恋が描かれ、濡れ場。 そこからはごちゃごちゃしたそれまでのフラッシュバックのような映像の使い回しが続けられ、 ラストシーンは冒頭に出てきたかもしれないが本編とは全然関係ないカップルが全裸で車に乗りこみ湖に飛ぶという入水自殺だった。 酷い出来だった。適当に撮った映像を適当な編集屋が適当に処理したのではないかと感じるほど。無論この場合の「適当」は「いい加減」という意味で。 ( ^ω^)「あああ。なんかがっかりだお。がっかりついでにジョルジュの話も聞いてやるお」 _ ( ゚∀゚)「おう……昨日廃墟にサバゲーしに行ったんだ。んで俺ちょっと忘れ物して、一人で奥に入ったんだよ。あ、陣地にしてたとこな。 そしたらそこに銀色の髪した女が立っててさ……こっち振り返りそうで怖くて俺ビビって逃げ出しちゃったわけよ。で、荷物とれなかったから大変なんだ。助けろ」 ( ^ω^)「ええ……淡々と話し過ぎだお。それで終わりかお。つーかそれ別に幽霊じゃなくないかお?」 _ ( ゚∀゚)「あれには俺の財布やらが入っててよー、普通に困ってるんだ。でもこえーから行けない」 ( ^ω^)「話聞けお。それになんだおその口ぶり。もしかして行ってこいとでも?先に言っとくけど断るお」 _ ( ゚∀゚)「ついてきて欲しい」 ( ^ω^)「クソが」
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- マックのコーラって美味しいよな
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:36:46.34 ID:q6XuIg3o0 - それよりチキンタツタまずすぎるわ
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- 究極の牛丼はわさび山掛けに決まったわけだが
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:38:29.30 ID:q6XuIg3o0 - 卵入れないの?
おかしいよ!
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- 自分的良ゲーの法則
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:43:31.98 ID:q6XuIg3o0 - チュートリアルが無い
説明書読むわ
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- 射精するときに勢い余ってチンコを机の角にぶつけた
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 16:48:20.10 ID:q6XuIg3o0 - ちょっと試してみるから机とオカズくれ
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- ( ^ω^)達の中だるみな一年のようです
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 17:04:08.96 ID:q6XuIg3o0 - 雨上がりの夕日はなかなか美しいものだ。廃墟となってしまっているこの地区は学園都市では危険区域とされ、人通りが無い。
高い建造物などもここには立てられることがないため、空を見るだけならば実はこの付近はなかなかいい場所だったりする。 そんなことに感慨を覚えることも無く、区域の内外を隔離するための鉄条網を音を立て乗り越え、ブーンとジョルジュは侵入した。 ( ^ω^)「日が完全に落ちたらマジであぶねーお」 _ ( ゚∀゚)「俺は走って逃げるだけだ!余裕!」 ( ^ω^)「聞いてねえお」 _ ( ゚∀゚)「まあマジでやばかったらフォローすっからよ、よろしく頼むぜブーン」 (;^ω^)「帰りてえお……」 この場所が危険区域とされる理由は、野良犬、野良猫が多数出没するためである。 この辺の動物たちはブーンたちのような特殊な人間のように、何らかの力を持っているケースが非常に多い。 四十年程前、ここが廃墟になったのはその動物たちが暴れたのが原因だ。 そしてここに動物たちが集まるようになってしまったので、逆にそれを利用し区域一帯を完全に隔離することに決定したのだ。 以来、ここには人が寄らなくなってしまう。たまに来るとすれば、それはジョルジュのようなそこそこの指導を受けた学園生程度である。 なにをしても注意されることはないので、昼間はそのような阿呆のたまり場になってしまっていることが多いのだ。 しかし闇夜で動物に襲われた場合阿呆でも危険な程でシャレにならないため、普通夜にはだれも来ない。ブーンがいやいやな理由がそこにある。 _ (;゚∀゚)「この辺だ……って何もねえ!ま、まさか幽霊がもってったのか……!」 ( ^ω^)「んなわけねーお。大方犬かなんかが持ってったんだお」 _ ( ゚∀゚)「厄介だな。どーしたもんか……」 ( ^ω^)「帰るお。実家に助けを求めればいいお。金ならドバドバ出て来るお」
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52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 17:07:12.55 ID:q6XuIg3o0 - ( ゚∀゚)「仕方ねえか……あんま気が進まねーが……」
(;^ω^)「……ぬお!」 突然、とん、と二人の目の前に着地した大きめの猫。その口には彼らの見覚えのあるグレー主体のシンプルなデザインがなされたバッグである。 ごろごろ、とその猫が全身に生える茶色の毛を揺らし、ジョルジュを見つめている。 _ ( ゚∀゚)「ブーン」 ( ^ω^)「おk」 じりじりとにじり寄る二人。猫の両サイドへゆっくりと移動する。彼らは、自身の手のぎりぎり届かないところまでうまく距離を詰め、猫に隙が生まれるのを待つ。 数秒。猫が顔を洗い始めた。なんと無防備な猫か。これは間違いなく隙。そして―― 「「っ!!」」 跳躍。まるで来るのがわかっていたかのように、いや、事実猫は分かっていたのだ。おちょくるような素振りにジョルジュは苛立つ。どう捕まえるべきか。 ( ^ω^)「ジョルジュ!」 逃げる猫を追いかけ始めるブーンにジョルジュも続くと、ブーンは素早くジョルジュに通常より一回り小さい癇癪玉を数個渡す。 ( ^ω^)「これは壁に強く投げつければ火花が出るお。うまくすればこっち側に誘導できるかも」 _ ( ゚∀゚)「助かるぜ!とりあえず追跡だな!」 逃げる猫からは一瞬も目を離さずにやりとりをするブーン。 彼のそういった冷静さは班内でよく頼りにされることが多い。 これは普段の生活ではあまり見せない部分だ。
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53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 17:10:21.30 ID:q6XuIg3o0 - _
(#゚∀゚)「うおおお、逃がすかよ!」 猫は逃げに逃げるが、20分ほどの追跡でようやくブーンたちは猫の逃げる先に袋小路を確認。 壁を介して上に逃げる可能性を加味して、癇癪玉を手に構える。 ΛΛ「ぎにゃあ!」 予測通り猫は壁に爪を掛けた。 その瞬間に壁から火花が発生し、驚いた猫は後ろに跳躍、着地点には腕を硬化させたジョルジュが滑り込む。 _ ( ゚∀゚)「っしゃあつかまえたぜ!!って引っ掻くな!よこせこら!」 猫は頭をぶんぶん振り、ジョルジュの腕を引っ掻き回す。 その根性はなかなかのもので、バッグを離そうとしない。 _ ( ;∀;)「うわああ!俺のロンTがボソボソに!」 それでも数分ほどにゃーにゃーにゃーにゃーやっていると、ようやく猫は観念したのかバッグを離し、さっさとこの場を離れていった。 _ ( ゚∀゚)「よーし。ブーン、助かったぜ」 ( ^ω^)「ねこかわいいお。ちょっとかわいそうだったお」 _ ( ゚∀゚)「憎たらしいわ」
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54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/03(土) 17:13:25.41 ID:q6XuIg3o0 - ( ^ω^)「お、ジョルジュ!」
_ ( ゚∀゚)「あらまあ」 ブーンらが居た袋小路の出口にいたのは大型犬であった。それにしても頭の数が多い。左から一つ、二つ、三つだ。 ( ^ω^)「多分あの猫はこいつの接近を危惧して逃げたんだお。……それにしてもまさかケルベロスがいるなんて」 _ ( ゚∀゚)「ケルベロスなんて品種はいねー、ただの異形犬だ。とりあえず逃げようぜ?俺がひきつけるからパッと離れろよ」 と、話している間にジョルジュが体を硬化させていた。 カンカン、と金属の乾いた音を響かせ、異形の注意を引く。 ΛΛΛΛΛΛ「「「ばうわう!」」」 すると一斉にジョルジュの頭や肩を狙い大型犬が跳びついた。 その重さにたまらず彼は転倒してしまい、乗られ、ひたすら噛みつかれる。 その隙にブーンは彼らの横をすり抜け、 _ (#゚∀゚)「ええい鬱陶しい!」 確認をしたジョルジュが犬を殴り飛ばし、怯んだ隙に一気にダッシュで逃げ遂せた。 _ (;゚∀゚)「ああ、ひっでえなこれ」 ジョルジュが腕を持ち上げ、猫や犬に引っ掻かれボロボロになった袖を見る。 肩のほうもだいぶ悲惨な状態なのをブーンは知っているが、わざわざ口には出さない。
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