- (´ェ`ツ子 団地妻エツ子の優雅なる昼下がりのようです
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 01:28:29.42 ID:kLLE5Q4M0 - これってあれか? チャットで言ってたやつを作ったのか?
マジキチ
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- ( ФωФ)ブーン系小説練習&イラスト総合案内所のようです
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 11:06:31.68 ID:kLLE5Q4M0 - ちょっとすまんが、汗を流しているジョルジュのAAをくれないか?
何かズレるの
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- ( ФωФ)ブーン系小説練習&イラスト総合案内所のようです
149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 11:11:49.56 ID:kLLE5Q4M0 - 注文が多くてすまないが、眉毛つきで全角セミコロンのやつでお願いします
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- ( ФωФ)ブーン系小説練習&イラスト総合案内所のようです
153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 11:25:40.68 ID:kLLE5Q4M0 - ありがてえありがてえ。お前ら朝からイケメンすぎるぜ。女なら絶世の美女だ
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:06:57.99 ID:kLLE5Q4M0 - ショップきゅっきゅきゅっきゅきゅきゅー!o川*>ー<)o
ショップきゅっきゅきゅっきゅきゅきゅー!o川*゚q゚)o このギャグ、どや!? すみませんパクりましたああああああああああああああ まとめていただいてる神 http://hoku6363.fool.jp/ http://bouquet.u-abel.net/ http://vipmain.sakura.ne.jp/ 今回は、読んでくれる人を置いてけぼりにする自信がありまぅ
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:08:06.37 ID:kLLE5Q4M0 -
※今回はちゃんとした、イケメンと美女だけに見える注意書き。 1:実のところ、人を置いてけぼりにする物語が書きたいのです。あとたまにエロい。 タビと道づれとか、かげふみさんとか。何かその辺のものを目指してイっちゃう。 2:GO!GO!7188の歌詞・・・つーか、好きな歌の歌詞が勢い余って出たりします。 でも、モロだと某団体が鬱陶しいし、何よりつまらないので工夫しちゃう>< 3:読んでて気持ち悪くなる文章を目指してまするが、難しいね。仕方ないね。 4:不自然に長い台詞や、やたらと説明的な台詞が出ます。 そういうの、俺は好き。てへっ。好きなふうにやらせてくれえwwwwっうぇ 5:まだ書きなれていないので、言葉の誤用が多発してしまうます。 見辛かったらすまないね! だらしねえな! いやあ、サーセン。 お前らの広い懐を貸してもらうぞ・・・・・・//// オッスオッス! 6:キャラクターの知能に合わせて漢字を使い分けていマッスル。 例:ブーン「〜〜〜こと」。クー「〜〜〜事」。 7:比較的さっぱり終わりますん。風俗のお姉ちゃんのお仕事みたいにね。 8:書き手は切れ痔です。 異常。
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:09:18.05 ID:kLLE5Q4M0 - その洋館は、山奥にある湖のほとりに建っていた。
茂良家が所有している洋館で、“九時館”と呼ばれていた。 主は、残忍だった。気に入らない使用人が居れば、即刻解雇である。 いつ如何なる時でも、使用人達の働きに目を光らせていた。 周りのもの達は畏怖を覚えながら、仕事に従事していた。 そのような人間ではあるが、主には一人だけ気を許す人物がいた。 連れ合いである。そちらは主とは対照的に、穏やかな性格だった。 心の底から愛していたのだ。誰だって、愛の前では平等だ。 「末永く、君と生きていたい」 祈った。居るのか分からない神にね。祈ったのだ。祈ったのだ。 ――確かに、祈ったのだよ。
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5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:09:45.07 ID:kLLE5Q4M0 -
3:二十一グラムは永遠の愛を求める ver.パライソ
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:10:27.31 ID:kLLE5Q4M0 - (#^ω^)「うるさいお! このポンコツ時計め! ぶっ潰してやる!」
ブーンは、目覚まし時計のベルに起こされた。仕返しとばかりに何度もボタンを叩く。 執念深く幾度となく。しかし、この目覚まし時計は精巧かつ頑丈だ。壊れることがない。 根負けして肩を落とし、ブーンはベッドから滑り落ちた。ベッドに、彼の妻の姿はない。 もう正午過ぎだからだ。きっと、デレは邸のどこかに居るのだろう。ブーンが立ち上がって、 カレンダーに視線を遣る。今日は十二月十四日である。一年の終わりが、すぐそこに来ている。 だけれど、彼には関係のないことだ。大事なのは、その少し前にあるクリスマスである。 (*^ω^)「クリスマス。クリスマス。ふっふーん♪」 パジャマから上等のスーツに着替えて、ブーンは調子はずれな鼻歌を奏でる。 クリスマス。神が人間として生まれた日を祝う、キリスト教の記念日である。 彼はその前日、つまりクリスマスイブの日に、何かイベントを計画しているのだった。 デレと熱い夜を過ごす? またまたご冗談を。彼の考えるものは、もう少しだけ高尚である。 ( ^ω^)(ツンとデレは仲が悪いようだお。僕がその仲を取り持つのだ)
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:10:57.11 ID:kLLE5Q4M0 - どうしてかは分からないが、妹のツンとデレは仲が悪い。目を合わそうとしないのだ。
見たところ、ツンが一方的にデレを嫌っているようだが、これではいけない。 心優しいブーンは、二人を仲良くさせるために、イブの日にイベントを予定している。 この企画は、驚かせたいので二人には内証にして、友人のショボンにだけ打ち明けるつもりだ。 彼は口が軽いきらいがあるが、物事の分別が出来る人間だ。秘密を守ってくれるだろう。 (*^ω^)(僕って、なんて他人の気持ちが分かる男なのだろう!) ブーンは浮かれ出した。自分は配慮の出来る人間である! おお、さといさとい。 腰に両手を当てて、廊下をスキップで進む。そして、リビングに入るとツンが居た。 彼の登場の仕方に驚愕して、ツンは丁度飲んでいたジュースを噴き出しそうになった。 ξ;><)ξ「けほっ! けほっ! お兄様は本当に二十七歳なのですか!?」 カウチソファでくつろいでいた彼女は、コップをコースターに置いて自分の胸を撫でる。 飲み物が気管に入りかけた。ごほごほと、むせながらツンはブーンを鋭い目付きで睨む。 ブーンはそんな彼女の後ろに回り、両肩に手を置いて、優しく揉み解した。そう。優しくね。
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8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:11:20.84 ID:kLLE5Q4M0 - ξ;゚听)ξ「な、なんですか・・・? お兄様らしくありませんわ」
普段とはかけ離れた兄の労いの行為に、ツンはどぎまぎとして振り返る。 兄がにかやかな表情で自分の肩を揉んでくれている。この人は、一体誰なのだろう。 肌が粟立つ。頭を何かにぶつけてしまって、ブーンはおかしくなってしまったのか。 ξ;゚听)ξ「はっ!? もしや、私に知られると、怒られるようなことをしましたね?」 ( ^ω^)「そんなことはしてないお。ただ、僕は労ってあげているだけだお。 いつも料理を作ってくれたり、邸を掃除してくれている君をね」 ξ゚听)ξ「お兄様・・・」 ツンは感動して、涙を流しそうになった。不遜で高慢だった兄が親切にしてくれている。 二十七歳になって、ようやく成長したのだ! ツンが急に熱を帯び始めた目頭を押さえる。 ξ;凵G)ξ「やっと大人になってくださったのですね。私、ツンは嬉しゅうございます」
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:12:38.33 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「大げさな。それに僕は、元から成熟しきった大人だお」
ξ;凵G)ξ「はい。もうそれでも良いので、どうかこれからもお願いします」 何度も念入りに揉んでから、ブーンはツンの肩から手を離した。彼女の肩は少しこっていた。 ツンは朝昼夕料理を作り、ブーンの自室以外の部屋を綺麗に掃除していて、無職とは若干違う。 内藤邸は使用人を雇っていた頃があり、彼らが寝泊りしていた場所もあって部屋数が多い。 今は使われていないが、それでもツンは掃除をしているのだ。彼女と結婚する男性は幸せだろう。 しかし、ツンには現在懇意にしている男性は居ないし、兄が猛反対するのは目に見えている。 物思いにため息を吐くツンの隣に、ブーンが腰を下ろす。そして彼は、ツンの肩に腕を回した。 ( ^ω^)「嬉しそうにしたかと思えば物憂げにしたり、ツンの表情はよく変わるね」 ξ゚听)ξ「・・・私には色々と悩みがあるのです。ああ、心配なさらなくても大丈夫ですわ。 自分で解決出来ることですので。お兄様はご自分の心配だけなさってくださいね」 ( ^ω^)「うむ。ツンは強い女性だお。だけど、耐えられなくなったら僕に言いたまえお。 僕が相談に乗ろう。ツンは可愛い妹なのだ。ひたすら尽力するお!」
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11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:13:16.45 ID:kLLE5Q4M0 - もしも、ブーンに相談などを持ちかけると、とんでもない行動に走るに違いない。
それを把握しきっているツンは話半分に聞き、「はい」とにこやかに受け答えた。 二人は顔を前に向ける。大型のテレビに、ニュースを読み上げるキャスターが映っている。 特に恐ろしい事件は報道されていない。至極良いことではあるが、つまらない内容でもある。 大きな欠伸をしたブーンは、ふと思い出した。そういえば、デレはどこに居るのだ。 ( ^ω^)「・・・デレは? デレはどうしたのだお?」 一人きりにされた子犬のような目をして、ブーンが尋ねた。ツンは目を細めて答える。 ξ゚听)ξ「お昼ご飯を食べたあと、クドリャフカを連れて散歩に行きましたわ」 素っ気ない言い方だった。ツンは本当にデレを嫌っているようだ。まあ、当然の話だが。 やはり、ブーンには理由が分からないが、このまま放っておくわけにはいかない。 二ヶ月前の十月に、ブーンとデレは内藤邸にてささやかな結婚式を挙げたのだ。 正式にとはいえないが、デレは内藤家の一員になったのである。仲たがいは駄目だ。 ( ^ω^)「ふむ。散歩に出たのかお。・・・ツン、デレと仲良くして欲しいのだけど」
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13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:14:03.92 ID:kLLE5Q4M0 - ξ゚听)ξ「・・・・・・」
ツンは黙して答えなかった。じっとニュースのテロップを目で追っている。 政界のニュースが終わり、クリスマスの話題に移った。都会でイベントが催される。 全長十キロメートルほどの大通りに、幾何学的な模様のイルミネーションが飾られるそうだ。 その都市はキジョという名称で、ブーンの大学時代の友人が住んでいる場所である。 友人はジョルジュ長岡といい、女性のふくよかな胸に異常な好奇心を示す好青年だ。 ( ^ω^)「ジョルジュが住んでいるところだお」 ξ*゚听)ξ「そうでしたわね。電飾が色鮮やかですわー。一度行ってみたいです」 映像に写るきらびやかなイルミネーションを見て、ツンが茶色の瞳を輝かせる。 彼女は都会には赴いたことがない。大学も電車で数駅乗ったところのに通っていた。 ここで、ブーンはぴんと閃いた。クリスマスイブに都会に連れて行けばいいのではないか。 ショボンと事前に打ち合わせをして、ツンとデレが二人きりになる時間を作るのだ。 二人になれば、いやでも会話をしなくてはならない。頭脳明晰な青年は指を打ち鳴らした。
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14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:15:12.59 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「いいね! 僕は類まれなる知性の持ち主だお!」
ξ;゚听)ξ「? よく分かりませんが、それは有りえないと思います」 ( ^ω^)「善は急げだお!」 ブーンはすっくと立ち上がった。リビングの隅に設置されている電話の受話器を取る。 かける相手はショボンだ。流れるような指使いで、ショボン宅の電話番号を入力する。 十回ほどのコールのあと、電話が繋がった。友人の声は少し上擦っていた。 『もしもし。ショボン書店だよ』 客からかかってきたかもしれないのに、ショボンはくだけた言葉で応対した。 何でもありだな、この人間は。眉を顰めて、ブーンは馬鹿にした態度を取る。 ( ^ω^)「君ねえ。また酒を呑んでいただろう。声が高くなってるのだお。 それに仕事をする気があるのなら、丁寧な対応を心がけたまえお」
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16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:16:24.50 ID:kLLE5Q4M0 - 『黙れよ。無職ボーイ。僕の家の電話番号を知っているのは、君ら兄妹とジョルジュだけだよ。
だから、敬語を使う必要はないのさ。分かったかい? なら、用件を言ってくれよ』 ショボンの話は、クーほどではないが長い。そして、彼は辛辣な言葉を吐くときがある。 降って湧いた頭痛に、ブーンはこめかみを押さえる。口では彼に、一生敵いそうにない。 ( ^ω^)「ふん。威張っていうことじゃないお。その内、店を潰してしまえ。 ・・・用件はね。僕の邸に来て欲しいのだお。なるべく早くね!」 『ちょっと待ってくれ。急だね。ブーンはね、いつも自分勝手が過ぎるんだよ。 一度肺を空気で満たして、大きく吐いた方が良い。それで、用件は何なんだい?』 ( ^ω^)「だから、内藤邸に足を運びたまえと言ってるのだお! しつこいお!」 『・・・・・・どうやら、本気らしい。ううん。酒が抜けたら行かせて貰うよ』 (;^ω^)「やっぱり呑んでたのかお。ショボンはね、自由が過ぎるのだお。 じゃあ、夕刻以降だお。それでも良いから、よろしく頼んだお」
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19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:17:37.26 ID:kLLE5Q4M0 - ブーンは受話器を置いた。ショボンとの会話は短かったが、精神をすり減らすまでに至った。
額に手を置いて、彼は天井を仰いだ。そんなブーンの側には、慌てた様子のツンが立っている。 ξ;゚听)ξ「ショボンさんが来られるのですか。どうしよう。お茶菓子を用意しなくっちゃ」 ( ^ω^)「いらないいらない。ショボンになんて、何も出さなくていいのだお」 言って、ブーンが手を振るがしかし、心優しいツンはリビングを去って行ったのだった。 何か菓子でも作って、ショボンをもてなすつもりだろう。兄とは違って、立派な妹である。 手持ちぶさたになったブーンは、「これから何をしようかね」と唇の先で手を合わせた。 デレは散歩に行っているようだし、ツンは菓子を作りに台所に行ってしまった。 ツンの手伝いでもしようかと思ったが、自分は料理が出来ない。邪魔になるだけだ。 仕方がない。ブーンは居間でくつろぐことにした。彼はソファに深く腰を埋める。 ( ^ω^)+(テレビは低俗だお。僕のような慧眼の持ち主は、読書が似合う) テレビの電源を落として、ブーンはテーブルの上にある一冊の本に手を伸ばした。 “ハサミ男”。ミステリーというジャンルに於いて、人々によく知られた小説である。 デレもツンもミステリーが好きなので、どちらの所有物かは不明だ。彼はページを開く。
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20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:18:34.13 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)(・・・どんな話だったかお)
随分と前に読んだので、話の内容を忘れてしまった。・・・その方が楽しめるか。 べ、別に、記憶力がないわけではないのだお! 鼻を鳴らせて、ブーンは寝転んだ。 そうして読み進めていると、ツンが部屋に顔を出した。ツンはブーンに注意をする。 ξ゚听)ξ「何ですか! お兄様、だらしのない格好で。きちんと座ってください」 ( ^ω^)「うーん。それは確かに言えてるお。仕方ないね」 ブーンは身体を起こして姿勢を正した。妹の言葉だけは、よく聞く男である。 栞代わりに親指を挟んで本を閉じ、ブーンは扉の側に立つツンを見遣る。 ξ゚听)ξ「材料が足りないので、急いで街に行ってきます。お兄様は留守番をお願いします」 ( ^ω^)「なに? ツンが街に出なくても良いお。僕が買いに行ってやる。 もしかしたら君を口説こうとする、不届きな輩が居るかもしれない」
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21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:19:33.81 ID:kLLE5Q4M0 - 果てしなく過保護なブーンがお使いを買って出るが、ツンは即座に拒否をした。
ξ゚听)ξ「お兄様にお任せしたら、きっとおかしなことになりますわ。 いつでしたか。紅茶の葉を頼んだのに、ゲーム機を買ってきましたよね。 最新式の。どうすれば、そんな事態になるのですか? ゲームをしないのに」 (;^ω^)「う・・・」 ブーンは言いよどんだ。ツンが言った通り彼は、頼んだものとは別なもの買ってくる。 それはまだマシな方で、時には何も買ってこない場合もある。これでは信頼を得られない。 ツンは、ブーンの言葉を待たずに出て行ってしまった。一人になったブーンは肩を落とす。 悄然とした気持ちで、再び本を読み始めた。三十分ほど経つと、玄関の方が騒がしくなった。 デレが帰ってきたのだ。カチカチと、飼い犬の爪が廊下を鳴らす音が近付いてくる。 やがて、ブーンに似た顔をした犬と、ふわふわとした髪の毛が可愛い女性が部屋に入って来た。 ζ(゚ー゚*ζ「ただいまですのー! クドちゃんが途中で疲れて大変でしたの」 (U^ω^) わんわんお。 (小型犬に、何キロも歩かせないでよね)
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23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:20:27.93 ID:kLLE5Q4M0 - デレはブーンの元に寄ってきて、彼の膝の上に乗った。甘い香りが彼の鼻腔をくすぐる。
女性はどうして、良い匂いがするのだろうか。ブーンは本を置き、彼女を抱き寄せる。 服と服がこすれあう。ブーンがデレの首筋に口付けしようとするがしかし、抵抗された。 ζ(゚ー゚*ζ「だあめ! ツンさんがいらっしゃいますの」 ( ^ω^)「ツンなら、街に買い物に行ったお」 ζ(゚ー゚*ζ「そうですの? でも」 昼間からは――。と言いかけたデレだったが、首に腕を回されて引き寄せられた。 ブーンはデレの雪のように白い首筋に、舌先を這わせる。温かな感触に、デレの肩が震える。 一分間。執拗にそうしたあと、ブーンは首から顔を離した。彼は確認のために、顎を上げた。 ブーンの首に腕を回し、きつく抱きしめているデレは頬を赤くして、瞳にうすら涙を浮かべている。 きちんと感じてくれているようだ。高鳴る胸の鼓動を抑え、ブーンは彼女をソファに寝転ばせた。 口に手を添えて緊張の面持ちのデレに馬乗りになり、ブーンはスーツを脱ぎ始めた。
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24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:21:12.87 ID:kLLE5Q4M0 - あ、地の文多いって注意かくの忘れてた(゚д゚)ヤベーマジヤベー
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25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:22:24.35 ID:kLLE5Q4M0 - これから二人がすることは決まっている。未来にまで子孫を残そうとする、神聖な生殖行為である。
はたして、身体の形は同じだが厳密にいえば存在が違うので、子供が出来るのかは分からないが。 ・・・そのようなことは構わないのだ。人間と影との違いなんて、二人には些細な問題である。 スーツを脱いだブーンは、デレに熱い口付けをした。彼女は瞼を閉じて、身体を強張らせる。 ああ。とうとう閲覧注意になってしまう。なるたけ避けたかったのだが、なってしまうのです。 ブーンは彼女のあまり発達をしていない胸に手で触れながら、耳元でささやきかける。 ( ^ω^)「僕はデレを愛しているお。死ぬまで、ずっとね。 でも、僕が死んでしまったら、僕の愛はどうなるのだろう。 ・・・君の方がずっと長生きだ。死の概念なんてないのかもしれない。 考えると無性に怖くなるのだお。だから、僕は愛の形を残しておきたい。 つまり、僕とデレの子供を作るのだお。それなら、永遠に愛は残る」 ζ(゚ー゚*ζ「ブーンさん」 デレは、身体の抵抗を全て解いた。あとはブーンの行動に身を委ねた。 二人の性行為は、各々の一風変わった性格があらわれていて、非常にねちねちとしている。 まず、前戯には時間をかけ、最中にも時間をかけ、それから後戯にも時間をかける。 その中でも、特に入念にしているのは後戯である。これは男女の関係を保つ上で重要な スキンシップの内の一つである。ブーンがデレをどれほど愛しているかが窺い知れる。 大体の男性は、性行為のあとは眠ってしまうものだ。仕方がないけど、だらしないものだ。 それにしても、この程度の描写ならば大丈夫だろう。・・・・・・んふ。セーフでしょう。
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27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:24:09.77 ID:kLLE5Q4M0 - 一時間が経過し、二人はセックスを終えた。デレはシャワーを浴びに行っている。
ブーンは未だ興奮冷めやらない表情で、ソファに座って余韻に浸っている。 (U^ω^) わんわんお。 (そのはしょり方、イエスだね) 人知れず、クドリャフカは早い段階でメタ的なことを思った。彼女はブーンの足元に居る。 丸まって、壁を見つめている仕草が可愛らしい。ブーンに似ていなければの話だが。 ブーンは肥えた飼い犬を、両手で抱き上げて膝の上に乗せた。小型犬の重さじゃあ、ない。 ( ^ω^)「む。クド、また痩せたかお? まさか病気ではあるまいね」 (U^ω^) わんわんお。 (実際は、二キロくらい太ったんだけどね)
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28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:25:13.23 ID:kLLE5Q4M0 - 茶色い毛並みを、ブーンが撫でる。太ってはいても、犬の手触りは気持ちの良いものだ。
ゆるやかに時間が過ぎる。壁にある、からくり時計の鳩が二度鳴いた。二時になったのである。 ツンはまだ帰って来ない。まさか、本当に軟派な男に声をかけられてしまったのではないか! 黒々とした不安が湧き上がる。「こうしてはいられない!」、とブーンは腰を上げた。 自分も街に出て、ツンを追いかけるのだ。見付けられるかは知らないが、黙ってはいられない。 暴風のように廊下を駆け、玄関の扉を開ける。すると、丁度ツンが目の前に立っていたのだった。 ξ゚听)ξ「・・・どうしたのです?」 ブーンは、口を結んでいない風船の如く萎んで、ゆるゆると地面に崩折れた。 杞憂だったのだ。この時のブーンの安堵感といったら、途方もないものであった。 彼はスーツに付着してしまった土埃を、気持ち悪そうに何度もしつこく払って立ち上がる。 (;^ω^)「ツンの帰りが遅くて心配になって、探そうとしていたのだお!」 ξ゚听)ξ「それはすみません。久々に街に下りたので、日用品も買っていたのです」 「ほら」、と言って両腕を上げる。ツンは、満杯になって膨らんだビニール袋を持っている。 かなりの重量がありそうだ。妹は重い荷物を持って、街から自宅への坂を登ってきたのか! ブーンはくっと涙を堪え、荷物を持ってやった。彼女はとても甲斐甲斐しいのである。
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29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:26:10.03 ID:kLLE5Q4M0 ?-PLT(15125) - sssp://img.2ch.net/ico/nagato.gif
さてさて。それから更に時間は流れ、夕方の五時になった。ショボンはまだ来ない。 食堂にて傲岸不遜なブーンは、待たされて苛々としている。ショボンは凡百な人間である。 人間であるからには、肝臓の機能の限界に従うべきだ。アルコールが抜けるのには時間がかかる。 彼は、内藤邸に来るときは自動車を用いるのだ。飲酒運転をしてはいけないのは明らかだ。 それでも、長い時間待つのは気に入らない。さっさと、来たまえよ。呑んだくれボーイ。 (#^ω^)「ツン! 紅茶のおかわりを頼むお!」 ξ--)ξ「ご自分で淹れてくださいよね。・・・・・・ちょっと待っててください」 ため息とともにツンは腰を上げた。本当に自由奔放な人間だが唯一の兄なのだ。 彼女はブーンに紅茶のおかわりを入れて来てあげようと、キッチンへと足を運ぼうとする。 \ζ(゚ー゚*ζ「あ。あたしもお手伝いしますの」 デレが元気よく手を上げたがしかし、ツンは「結構です」と、つんとした態度で断った。 その様子を横目で見ていたブーンは、頬杖をつく。この二人の状態を解決せねばなるまい。 そのためにショボンを呼んだのだけれど。遅いなあ! 僕を待たせるなんて、大したやつだ! 怒りが頂点にまで達したブーンが、不気味に笑う。怒りが有り余った分は笑顔と化すのだ。グフフ。
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31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:27:08.33 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「ふふ。こうやって待ちくたびれるのも、たまにはいいね!」
ζ(゚、゚;ζ「目が笑っていませんの。ショボンさんなら、その内に来られますの」 ( ^ω^)「その内ねえ。あと三十分して来なかったら、絶対に許さないお!」 三十分以内に、ショボンは内藤邸に来た。正確にいえば、二十九分後に訪れたのだった。 これはどう扱えば良いのだ。釈然としない面持ちで、彼はショボンの車を誘導した。 駐車スペースに車を止めると、ショボンはドアを開けて姿を見せた。いつもの服装である。 (´・ω・`)「やあやあ。遅くなってごめんね。君のことだから、きっと怒っているだろう。 『あと数分で来なかったら許さない』、とか数分前に言っていたに違いないね」 ( ^ω^)「三十分を限度に、二十九分後だお。君はギリギリだったのだお。だが、僕は許さない」 (´・ω・`)「おお。そんなにも猶予をくれたのかい。君も心が広くなったもんだ」
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33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:27:47.14 ID:kLLE5Q4M0 - ちょっと酒持ってくる
140レスあるからゆっくり
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34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:29:54.09 ID:kLLE5Q4M0 - ショボンが内藤邸の中へと通される。相変わらず、広々として優美な空間だ。
内藤邸は二階建ての洋館である。複雑な構造はしていない。内部の説明はとても簡単だ。 玄関ホールから東西に、廊下が伸びているだけだ。それでも、部屋は一つ一つが広い。 廊下の両側に部屋があって、ブーン達――三人と一匹が住むには巨大過ぎる建物である。 ξ゚听)ξ「こんにちは。遠いところまで来ていただいて、申し訳ありません。 また兄が馬鹿なことを考え付いて、ショボンさんを呼び出したのですわ」 玄関ホールで待っていたツンが、挨拶をする。彼女特有の棘はなく、流麗な物腰だった。 (´・ω・`)「ツンちゃん。お久しぶり。前に会ったのは確か、十月の中旬だったね。 ブーンとデレさんの結婚式さ。いやあ。あれから仲良くやっているかい?」 ショボンが訊ねるが、どうにも話が長くなりそうだ、とブーンは頷くだけにした。 クーが長くて冷淡とした物言いならば、ショボンは長くて粘着質なのである。 玄関で長話などしていられない。ブーンは早々に、友人を自室に招き入れることにする。 ξ゚听)ξ「あら。応接間でお話をするのではないのですか?」
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- ( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:31:21.46 ID:kLLE5Q4M0 - 自室へとショボンを連れて行こうとする兄を見て、ツンが呼び止めた。
( ^ω^)「この男に応接間を使うなんて勿体ない。僕の部屋で充分だお。 ああ。そうそう。僕はこれからショボンと大事な相談をするから、 部屋に入る際はノックを確実に頼むお。デレもツンと一緒に居てくれお」 ζ(゚ー゚*ζ「? はいですの」 ξ゚听)ξ「大事な相談、ですか?」 (´・ω・`)「二人きり・・・。はっ!? まさか僕の身体が目当てじゃないだろうね。 勘弁してくれよ。僕は女性に興味はないけど、男にも興味がないんだよ」 (#^ω^)「気色の悪いことを言うなお! 僕も男色の気はないお! ・・・ともかく、大事な話だからくれぐれも入って来ないように!」 ξ゚听)ξ「はあ。あ、ショボンさん。今夜は、夕食をお出しいたしますので」 ブーンは「はいはい」と手を振って、ショボンを連れて玄関ホールをあとにした。
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37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:32:02.41 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「さて。君はそこらへんの椅子に腰をかけてくれお」
ブーンの自室は、西側の廊下の一番奥にある。以前片付けたのに、また汚れてしまっている。 整理整頓の技術を会得するのは、彼には一生不可能だ。ショボンは近くにあった椅子に腰掛けた。 (´・ω・`)「それで、何の用なんだい? 大事な話があるらしいけど」 ( ^ω^)「おっおっお。それはね――」 思わせぶりに言って、ブーンは窓の側に立った。夕日の光線が、彼の輪郭を明るく浮かばせる。 後ろ手を組んで、遠くを流れる巻積雲(いわし雲)を眺める。そして、彼は静かに口を開いた。 ( ^ω^)「・・・僕が見るに、ツンはデレを嫌っている。デレが影だからだろうか。 しかし、デレは良い人だお。影ながらも、そこいらの人間より良い人格だお。 ツンにはデレと仲良くして欲しいのだお。だからね。僕は君を呼んだのだお。 何か案を考えて、二人の仲立ちをするのだ。分かったかお? ショボン」 (´;ω;`) ブワッ
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38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:32:49.96 ID:kLLE5Q4M0 - ブーンの慈愛に満ち満ちた言葉を耳にして、ショボンは大げさに涙を流した。
振り返ったブーンは、彼が泣いている姿を見て吃驚した。何が友人の琴線に触れたのだ。 (;^ω^)「ど、どうしたのだお!? 目に、馬鹿みたいにでかいゴミでも入ったのかお?」 (´;ω;`)「いいや。僕の目に入ったのは、一回り成長したブーンの姿だよ。 あんなにも屑みたいな人間が、他人を心配するなんて・・・。泣ける話じゃないか。 良いとも、良いとも! 地球は愛で廻っている。僕も君の手伝いをしてやろう」 ショボンは了解してくれたが、言葉の間にとんでもない卑語がありやしなかったか? ブーンが思い出そうとするが、ショボンの泣き顔で全ての記憶を吹き飛ばされていた。 ・・・まあ、良いや。悠然と両腕を広げ、ブーンは考えていた計画を披露する。 ( ^ω^)「ジョルジュが住む街。“キジョ”で、クリスマスに催し物があるそうだお」 (つω・`)「ひっくひっく。そうだね。目抜き通りにイルミネーションを飾るらしいね」
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39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:33:53.50 ID:kLLE5Q4M0 - ショボンもニュースを観て知っていた。それならば、話は早い。ブーンは要点だけを口にする。
( ^ω^)「イブの日に、ツンとデレをそこに連れて行こうと思うのだお。 キジョに行くには、電車か車しかない。・・・僕は電車が大嫌いだお。 ゆえにショボン。君の車に乗せて欲しいのだお。把握してくれたまえお」 ブーンは、母親を電車の脱線事故で亡くしている。十数年も昔に、平和なビップで起こった 数少ない凄惨な事件だった。乗車していた人間が多くはなかったのが不幸中の幸いではあるが、 そんなことは関係ない。母親を電車事故で亡くした。だから、彼は電車を忌み嫌っている。 (´・ω・`)「ふうむ。僕は一人身だし、確かにその日は暇だよ。しかし、 ツンちゃんとデレさんを都会に連れて行って、どうするんだい?」 ( ^ω^)「打ち合わせをしておいて、二人っきりにさせる時間を作るのだお。 二人だけになれば、話をする他はあるまいお。ううん。僕って賢いお」 言い終え、ブーンは椅子に座った。居丈高に足を組んで、身体をふんぞり返らせる。 一方、ショボンはというと、「そんなに上手く行くのかなあ」と首を傾げている。 ブーンの言っていることは、理想だけがやたらと高く、緻密な計算がなされていない。
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40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:34:59.74 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「勿論、君は了承してくれるよね!? 友人の頼みなのだお」
こういうときだけ調子の良いことを言い、ブーンはにやにやと笑う。 ショボンは腕を組んで一頻り考えてから、彼に視線を真っ直ぐに遣った。 (´・ω・`)「まあ、構わないよ。君が珍しく他人を思っているのだから。 それに、うん。“友人”の願いは断ってはいけないしね。ふふふ」 たまには友人の頼みを素直に聞いてあげるか。ショボンはブーンの話しに乗ることにした。 (*^ω^)「実に素晴らしい。これでツンとデレを仲良くさせられる。ううん。 さすがはショボン。僕の引き立て役を、担っているだけはある」 おもむろに、ブーンは立ち上がった。窓から射し込む光は、先ほどと比べて弱くなっている。 夕空が終わり、夜空がやってくるのだ。空は黒色と橙色が入り混じって、紫色に染まっている。 夕日は最後の力を振り絞って、暗がりの部屋で座るショボンの顔をおぼろげに映し出した。 その光が消えれば、これから数時間は部屋は漆黒に包まれる。ブーンは電気を点けようとする。 パチン。スイッチが押されたからには、部屋の様子が鮮明になる。再度、彼は椅子に座った。
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41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:35:41.56 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「ショボン。前々から聞こうと思っていたのだけれどね。
君はどうして拳銃を持っていたのだお? 須名邸での話だお」 (´・ω・`)「・・・・・・単なる護身のためだよ。それに――――」 ショボンは、作務衣の大きなポケットに手を入れた。姿を現せたのは、一丁の拳銃である。 回転式の拳銃だ。リボルバーと呼んでもいい。彼はそれを握り、自らのこめかみに銃口を当てた。 撃鉄が引き起こされ、射撃準備が整う。ショボンの細い人差し指が、トリガーに触れる。 (;^ω^)「な、何を」 何をしているのだ。慌てて、ブーンが手を伸ばす。すると、カチリと金属の音がした。 (´・ω・`)「エアソフトガンなんだよ。弾も装填されていない」 銃が下ろされ、ポケットの中に仕舞われた。ただの遊戯銃だったのか。 ブーンは安堵して、椅子にもたれた。とんでもないジョークを飛ばす男である。
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43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:36:21.63 ID:kLLE5Q4M0 - (;^ω^)「君ねえ。笑えない冗談はよしたまえお。心臓に悪い・・・」
(´・ω・`)「ブーンがそんなに驚くとは、すまない。最近は、物騒な世の中だからね。 玩具の拳銃でも、役に立つかなって思ってさ。ほら、僕って痩せぎすだろう。 喧嘩は苦手だし、何らかの武器でも持たないと、襲われたらひとたまりもない」 ( ^ω^)「ふん。君なら、どんな奴でも負かしてしまいそうだがね」 (´・ω・`)「そんな事はないよ。昔は荒くれだったけど、今は無害な人間なんだ。 ほら。見てよ。僕の腕を。筋肉が削がれきっているじゃあないか」 ショボンは、藍色の服の袖をめくって腕を見せ付ける。腕の皮膚には骨が浮かんでいる。 確かに、これだけ貧弱ならば喧嘩では勝てないだろう。口喧嘩では圧勝出来そうではあるが。 それからしばらくして、ツンやデレの話題をブーンがしていると、ノックの音が聞こえた。 もう部屋に入れても良いだろう。ブーンが返事をすると、ツンが紅茶とお菓子を持ってきた。
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44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:37:24.21 ID:kLLE5Q4M0 - ξ゚听)ξ「失礼します。つまらないものですが、どうぞ」
ツンはデスクの上に、紅茶の入ったコップと、クッキーが散りばめられた皿を置いた。 紅茶もクッキーも温かい。作り立てなのだろう。二人は腰を上げてコップを手に取った。 ( ^ω^)「これはね。ツンが、街に買い出しにまで行って作られたものなのだお。 感謝したまえ。ツンの手料理を食べるのを、君だけは特別に許してやる」 そう言って、ブーンは感謝の“か”の字もなく、ボリボリとクッキーを貪り食う。 ツンは笑顔で、無作法な彼の臀部をつねった。クッキーの欠片が口から噴き出される。 (;^ω^)「ぶひいっ!? ツン! 何をするのだお!」 ξ゚ー゚)ξ「はしたない召し上がり方は、よしてくださいな」 微笑んでいるのに、何故か怖い。ブーンはぞくっと背筋を凍らせた。 ξ゚听)ξ「お話は済んだのですか?」
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46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:38:04.48 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「うむ。有意義な時間だったお。ねえ? ショボン」
(´・ω・`)「まあね。ブーンにしては、まともな話だった」 ( ^ω^)「君の言葉は、いちいち僕の癇に障るお。一言多いのだお」 ξ゚听)ξ「そうですか」 ツンは話の内容を訊ねなかった。男同士でしか話せない話題も、世の中にはあるのだろう。 ショボンさんも嫌そうな顔をしていないので、きっと、本当にまともな相談だったんだわ。 思い、ツンは納得した。そして彼女は、二十四日に密談の内容の一端を知るのだった。
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48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:39:08.49 ID:kLLE5Q4M0 - こんな時間から酒のんで、俺は・・・俺は深い悲しみに包まれた
あ、>>6に―1―を忘れます田
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49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:39:59.56 ID:kLLE5Q4M0 - ―2―
二十四日の早朝。ブーンは、ショボンが運転をする車の後部座席に、腰を下ろしていた。 計画が実行に移されたのである。前の日に、ブーンから小旅行の話を聞かされたツンは驚いた。 そして、喜んでもいた。滅多に旅行はしないので、彼女が狂喜するのは必然なのである。 一行は一泊する予定だが、泊まる場所も考えてある。友人のジョルジュに連絡を入れてあるのだ。 今のところ、滞りなく予定が進んでいて完璧である。ブーンは余裕綽々の笑みを溢した。 ξ゚听)ξ「今日は、都会では雪が降るそうですわ」 助手席では、ツンが嬉しそうな表情で、ハンドルを握るショボンと会話をしている。 彼女の装いは飾り気のない洋服である。ツンという人物は、目立つ服装を好まないのだ。 ファッションとは人柄が如実に表れるものである。つまり、クーやヒートは変わっている。 ζ(゚ー゚*ζ「とぅっとぅとぅーう。とぅっとぅとぅーう。とぅっとぅとぅーうう♪」 ブーンの隣にはデレがちょこんと座っている。スピーカーから流れる音楽に合わせて、 彼女は歌を口ずさんでいる。ブーンには曲名が分からないが、今日も彼女はかわいい! 中途に彼の主観が入ったが、デレは明るい性格に合った洋服を着ていて、可愛いのは間違いない。 ( ^ω^)「ふふふ」
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50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:41:28.92 ID:kLLE5Q4M0 - なんという至福の時間か。妹が楽しそうにしていて、最愛の妻がすぐ側に居てくれている。
膝の上では、預かってくれる人間が居なかったので、連れて来た飼い犬が寝息を立てている。 都会に着くのが何だか惜しい。とてつもない多幸感に包まれたブーンは、目を閉じた。 瞼の裏に笑顔のツンが映り、同じく嫣然としたデレが映る。腹が膨れるほど幸せだ。 ・・・しかし一つだけ、そんな幸福感をぶち壊しにするものがある。ショボンの存在である。 (´・ω・`)「雪か。キジョに着いてからなら良いけど、運転中には降って欲しくないなあ」 やがて、瞼の裏にショボンの格好が映る。赤と白の、もこもことした服だ。サンタルック。 そう。ショボンはサンタクロースの格好をしているのだ。奇人め。ブーンは目を開けた。 ( ^ω^)「ずっと黙っていたが、そろそろ君の格好について突っ込もう。 ヘイ。ショボン。君は作務衣とやらが、永遠の服装じゃなかったのかお?」 (´・ω・`)「今日はクリスマスだよ。クリスマスと言えばサンタクロースじゃないか。 一年に一度のこのイベントを、僕なりに盛り上げようとしているんだよ」 ( ^ω^)「そう。それは分かったが、恥ずかしくはないのかね。みんな笑ってるお。 ツンもデレもたしなめてやるべきだお。馬鹿な考えをやめるんだ、って」
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52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:43:24.13 ID:kLLE5Q4M0 - ブーンは腕を組んで鼻を鳴らした。人が見れば、ショボンのコスプレは恥ずかしいものがある。
子供みたいに浮かれる彼を、ブーンは見過ごせない。しかし、ツンとデレは言うのだった。 ξ゚听)ξ「ショボンさんは、私たちを楽しませようとしてくれているのです。 運転までして頂いて、お兄様も何か役に立ってみてはいかがですか?」 ζ(゚ー゚*ζ「クリスマスといえばサンタクロースですの! プレゼントが欲しいですのー」 なんだ? 不意にショボン教でも発足されたのか? 二人はショボンを擁護した。 ツンだけならまだしも、いつもはブーンの意見に賛同しているデレも、反論めいた言動を取った。 人徳の差というものであるが、不遜なブーンには気付けない。彼は不貞腐れて黙り込む。 そして、窓の外に視線を遣った。街を出てから山道に入ったので、周りは木々ばかりである。 擦れ違う車も少なく、躁気質なブーンにとって、つまらない景色が続いているのだった。 ふと視線を上に向けると、にび色の空が広がっていた。寒々しく、今にも雪が降り出しそうだ。 ブーンは雪が好きだ。精微に言うと、雪の日が好きなのだ。雪が舞う日は街の様子が変わる。 白い景色の中では、人々がにわかに活気付く。母親と手を繋いで雪の中を歩いた記憶が蘇る。 あの日は、結局雪は積もったのだろうか。それは、記憶のピースが欠けていて思い出せない。 けれども幸せな記憶である。ブーンは暖かな追憶に心をもたれさせて、そっと目を閉じた。
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53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:44:10.03 ID:kLLE5Q4M0 - (´・ω・`)「あれれ。おかしいな。地図通りに車を走らせたはずなんだけど」
ξ;゚听)ξ「すごい雪・・・。先の景色が見えませんわ」 ζ(>ε<;ζ「もしかして、あたし達は遭難しちゃうんですの? そうなんですの!?」 ( −ω−)「んんん・・・・・・。静かにしたまえお」 三時間ほどが経ってブーンが目を覚ますと、車内は何やら騒然としていた。 ツンとデレ、そしてショボンも慌てた様子である。ブーンが後ろから身を乗り出して訊ねる。 ( ^ω^)「どうしたのだお?」 (´・ω・`)「どうにも道に迷ったようだ。ちゃんと地図に従って運転していたのだけどね。 おまけに、視界が白で埋まるほどの雪が降っている。困ったなあ・・・・・・」 本当に困った表情のショボンが説明する通り、フロントガラスから見える景色は白一色だ。 叩き付けると言っても良いぐらいの勢いで、雪が曇天から降っている。猛吹雪である。 これでは、車を走らせるのは厳しい。引き返して停車させた方が賢いのは、明らかだ。
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54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:45:15.09 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「一度、安全な場所に車を停めるべきだお」
(´・ω・`)「そう思ってトンネルに戻ろうとしたんだけど、無くなっていたんだよ」 ( ^ω^)「なにが?」 (´・ω・`)「トンネルが」 ( ^ω^)「馬鹿な」 ξ;゚听)ξ「本当ですよ。長いトンネルを抜けると、猛吹雪になっていたんです。 ショボンさんは、すぐにトンネルに戻ろうとしたんですけど――」 ζ(>、<;ζ「消えていたんですの! それから全く知らない道が続いているのです!」 ツンとデレが補足した。話をまとめれば、“来た道が消えてしまった”ということである。 まさか、マヨイガにでも入ったのか。そんなはずはあるまい。あれは日本に伝わる奇談である。 それにマヨイガは、花々が咲き乱れる素敵な場所だ。雪が吹き荒れる場所では、決してない
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55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:46:09.82 ID:kLLE5Q4M0 - ( ^ω^)「・・・・・・今、僕達はどこに居るのだお?」
(´・ω・`)「すまない。分からないんだ。薄っすらと木々が見えるから、山道だと思う。 地図によれば、トンネルを抜けると小さな町に入るはずだったのに。 今は車を停めて、雪の勢いが弱まるのを待っている。・・・その気配はないけど」 ブーンは勢い良くシートに背中を埋め、大きなため息を吐いた。まったくの災難である。 折角の楽しい旅行が台無しだ! ブーンは、ぶつぶつと運転手を務めるショボンに愚痴る。 五分ほどして、ブーンはすっかりと黙り込んだ。愚痴を溢しても、状況は好転しない。 以前よりかは、やや大人になったらしい彼は、腕を組んでフロントガラスの外へと目を遣る。 荒れ狂う雪は止む気配がない。ワイパーに除けられても、すぐに降り積もろうとする。 ブーンに一種の恐怖がこみ上げる。自分達は本当に、遭難してしまったのかもしれない。 雪は好きだが、程度を自重してこそのものだ。眉根を寄せ、ブーンはただじっと中空を睨む。 ( ^ω^)「――お」 「城だ」、とブーンは思った。白に染められた景色の中に、灰色のシルエットが浮かんだのだ。 その形状が、歴史の書物に描かれていた城と酷似していたのである。あまりにも巨大な城だ。 ここから数百メートル先に、山のように巨大な城が聳えている。ブーンは心を奪われた。 ( ^ω^)9m「・・・ショボン。あれは、何だろうかお?」
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56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:46:45.90 ID:kLLE5Q4M0 - (´・ω・`)「え?」
ショボンは、ブーンの指の先を追った。そこには、ブーンが視認したシルエットがある。 城。ショボンも彼と同じ感想を抱き、感嘆の息を漏らした。そして、ハンドルに手を置いた。 (´・ω・`)「誰かの邸かな・・・。けど、これは僥倖だ。あそこに、一時的に避難させて頂こう。 人が住んでいるかは分からないけど、ここで立ち往生しているよりかはマシだ」 ζ(゚ー゚*ζ「そうですの。きっと、素敵なお邸ですの。ミステリー小説みたいです」 ξ゚听)ξ「目視のままの想像ですと、完膚なきまでに内藤邸の負けですね。お兄様」 ( ^ω^)「ふん。ただ、大きいだけの代物かもしれない」 そうして、車は遠くに見える城のような邸の影に向かって、ゆっくりと動き始めた。 時刻は十時。依然として雪は勢いを増すばかりで、風は唸り声を上げて吹き荒れていた。
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57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:47:38.00 ID:kLLE5Q4M0 - (´・ω・`)(とてつもない大きさの邸だな)
ブーン達を車の中に残し、ショボンは吹雪の中を遮二無二進んで門の前に立った。 邸はいかめしい石壁に囲われている。高さは標準的な人間の身長で測ると、四人分はある。 赤錆びた鉄製の門の側に、インターホンがある。これは通常のサイズで、何だか滑稽である。 まあ、インターホンまで巨大にするわけにはいくまい。ショボンはスイッチを押した。 メロディは鳴らなかった。邸の中に、音は響いたのだろうか。ショボンは反応を待った。 暫くして、誰も出て来ず、ショボンが諦めて引き返そうとすると、門が重々しい音とともに開かれた。 インターホンの音はちゃんと邸の内部に鳴り渡り、無事に住人の耳に届いてくれたのである。 門が開いて現れたのは、三人の人間であった。給仕服の女性が一人と、スーツ姿の男性が二人。 まずショボンは、男性二人に挟まれた給仕服の女性に目が行った。彼女が一番に目立っている。 オレンジ色に染められた髪の毛に左目が隠され、何というか・・・ガラが悪い印象を受けるのである。 右目の目付きが鋭い。給仕服を着ていなかったら、男性と勘違いしてしまうかもしれない。 从 ゚∀从「何の用だ? ・・・つっても、俺達には分かってるけどな。迷い込んだんだろ」
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58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:48:32.91 ID:kLLE5Q4M0 - 自分のことを“俺”などと呼んだが、声は女性特有の高いものだった。仄かに優しさもあった。
女装をした男性ではない。きっと、両親に男らしく育てられたか、元々の性格なのだ。 それよりも、ショボンは重大な事実に気が付いた。目の前の三人の背中には、黒い翼があるのだ。 三人は影なのであった。自分達が“迷い込んだ”ことを知っている。罠なのかもしれない。 (´・ω・`)「いやあ。仰られる通りだよ。道に迷って――此処の住人は人間ではないようだ」 从 ゚∀从「うほっ! おい、デブとノッポ! 聞いたか!?」 ショボンの言葉を聞いた三人は、顔を寄せてひそひそと話し始めた。デブとノッポ。 確かに、男性二人の体型を的確に表していた。一方が小太りで、もう一方は長身である。 小太りの男性は、じろじろとショボンを見て落胆し、のんびりとした口調で言う (*´ω`*)「君は、まるくないなあ。おまんじゅうみたいじゃないなあ。かわいくない」 (´・ω・`)(・・・・・・) ショボンには、小太りの男性の言葉の意味を、即座に理解出来なかった。・・・かわいくない? 男なのだから当然だろうに。自分が丸くてお饅頭みたいであったら、気に入られたのか。 ということは! ショボンはハッとして、男性から距離を置いた。ガチホモの可能性がある。 その様子を見ていた女性が男性の肩に腕を回して、けらけらと笑いながら紹介する。
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60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:49:32.04 ID:kLLE5Q4M0 - 从 ゚∀从「ああ。こいつは丸川・ガイドラインといって、ゲイだ。気を付けろ」
(*´ω`*)「僕は、まるくておまんじゅうみたいな男の子しか、興味がないの」 (´・ω・`)(やっぱりか) この太った丸川という男。ショボンが推理した通り、男色家であった。危険な男だ。 警戒心を強めるショボンを他所に、女性は紹介を続ける。彼女は親指で後ろを指した。 从 ゚∀从「俺の後ろに居る寡黙な男は、オッコトワーリ・ガイドラインだ。丸川の弟だぜ。 何でも拒絶してしまう男だ。そう! 相手の幸せな人生さえも、な。クックック」 ( ゚ω゚ )「・・・・・・」 オッコトワーリという男は、低身長の兄とは対象的に、身長が二メートルはあり、細身の男だ。 身体は無駄な贅肉がなく引き締まっており、相手を射抜くような鋭い目付きをしている。 こういう男は何を考えているのか分からないので、注意しておくに越したことはない。 女性は気だるげに指を下ろし、自分の胸に手を置いた。胸部には女性らしい起伏がある。
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61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:50:27.35 ID:kLLE5Q4M0 - >>59
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1246371347/l50 ここに行って訊けば良い
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62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/07/01(水) 15:51:39.69 ID:kLLE5Q4M0 - 从 ゚∀从「そして、俺が給仕長のハインリッヒ・高岡だ。よおっく覚えていろ」
(´・ω・`)「ご丁寧にどうも。僕はショボン。仲間と一緒に都会へ行く途中だったんだが、 この悪天候だ。軒を貸して貰おうと思ったんだけど、どうしたものかな。 見たところ皆さんは影のようだ。ということは、ここの主人も影なんだろう。 僕は全く気にしないけど、実はこっちの連れにも影の女性が一人だけ居てね。 これがまた、見過ごしておけば良い問題に、顔を突っ込んでしまう女性なんだ。 普通の人間も二人居るんだけど、どちらも影が視える。やあやあ。参ったもんだよ」 从 ゚∀从「これはこれは。しかし、俺達にはお前らに何かしようというつもりはないぜ。 邸の中に入れば良いさ。よおく、相談してからな。話が纏まったら言ってくれ」 (´・ω・`)「うん。そうさせて貰うよ。命に関わることかもしれないし」 ショボンは車の中へと戻って、ハインという女性から聞かされた話を三人に語った。 ブーンとデレの二人は、ショボンが思った通りに興味を示し、ほがらかに了承した。 向こうに悪意はなさそうなのだから、何もしなければ良いのだが。・・・無理な話か。 問題はツンである。彼女は影が嫌いと言っていた。反対するだろう、と彼は思っていたが、 意外にもツンも了解した。話がまとまり、ショボン達は邸に入れてもらうことになった。
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