トップページ > ニュー速VIP > 2009年04月11日 > q3/iQDlV0

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猿避支援大歓迎
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
予告のない投下停止は猿だと思ってください
ただ、現在>>1はインフルエンザのため、途中で長期中断するかも
1
再開
もうすぐ猿が来るので保守頼みます
猿でした。
再び猿食らってました。間隔短すぎだろ。
超王道ジャンル「君といた場所」

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超王道ジャンル「君といた場所」
1 :猿避支援大歓迎[]:2009/04/11(土) 16:46:12.27 ID:q3/iQDlV0
−3月31日朝 自宅−

ジリリリリリリリッ!!

男「…ん、ああ、もう朝か…」

男「…げっ!?もうこんな時間じゃねーか!?
  ったく、いつもは寝坊なんてしないのにどうして今日に限って…やっべ!」

男「さて朝ごはんは、と…あれ?何も食卓にない…?」

男「………」

男「ああ、そりゃそうだ。俺は一人暮らし、だもんな…」
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2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 16:48:39.13 ID:q3/iQDlV0
男「さーて、歯磨きして、と…ん?なんで歯ブラシが2本…買い置きか?でも両方使った形跡が…」

男「………」

男「まあいいや。とりあえず青い方使っておこう」

男「何だろう…何か…違和感があるような…」
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4 :予告のない投下停止は猿だと思ってください[]:2009/04/11(土) 16:51:00.14 ID:q3/iQDlV0
男「星占いだけTVで観ておくか…ちっ。まだニュースコーナーかよ」

男「最近いつ見ても『謎の奇病』の話題ばっかだもんなー」

男「突然精神的に不安定になったかと思えば、涙が止まらなくなってしまう謎の病気…何なんだろうな、一体」

男「まあ俺はかかったことはないからいいけどさ」

男「今日の星占いは…なんだよ、運勢最悪じゃん」
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6 :ただ、現在>>1はインフルエンザのため、途中で長期中断するかも[]:2009/04/11(土) 16:53:24.02 ID:q3/iQDlV0
−同日朝 駅前−

男「うー、眠い。朝は辛いな」

男「平日の朝っぱらだというのに人少ないな…」

―――春休みしすぎだろjk…。

男「ったく、駅がバカでか過ぎるっつーの」

少女「………」 ジッ

男「ん?」

―――ふと、強い視線を感じた。
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8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 16:55:42.77 ID:q3/iQDlV0
男「…ん?(なんだあの子、さっきからずっと俺の方を見てる?)」

少女「………」

男「…?(気のせいか…でもなんか不思議な雰囲気の子だな)」

少女「………」 クルッ

男「あ…!」

少女「ッ!?」
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10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 16:58:00.41 ID:q3/iQDlV0
男「あ、いや…(うっかり声出しちゃったじゃねーか)」

少女「…私が、見えるのですか?」

男「へ?み、見えるってそりゃあ…」

少女「本当に見えてる…」

男「は?何を当たり前の―――」

少女「いま世界に蔓延している『奇病』を知っていますか?」

男「奇病…ああ、あの涙が出て止まらなくなる病気?」

少女「そう…世界の崩壊を示す『奇病』です」
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13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:00:39.82 ID:q3/iQDlV0
男「世界の…?(何を言い出すんだこの女の子は?)」

少女「あなたは選ばれし存在です…だからあなたに全てがかかっています」

男「な、何を…?」

少女「『神』の救済、です…」

男「はあ?(何だよこの子?おかしいんじゃないか?)」

少女「願わくばあなたの意思が『神』の意思ではないことを―――」 クルッ 

男「お、おい!君は一体…」

少女「私は…『70』と言います」 タタタタタタッ

男「えっな、ななじ…ちょっと!」
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14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:03:11.99 ID:q3/iQDlV0
男「何だったんだ?今の少女は…?」

男「世界の崩壊だとか神の意思だとか…とてもまともな発言とは思えないけど…。
   もしかして宗教勧誘とか?」

男「『世界の崩壊』か…なんだか全くウソとは思えない雰囲気だったけど…」

男「あの子、『奇病』について何か知ってる…?まさか、ねえ…」

男「いけねっ!遅れる遅れる!」
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15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:05:36.50 ID:q3/iQDlV0
−同日朝 駅前公園噴水前−

女「おっはよ♪男っ」ドカッ

男「痛えな!何すんだよ朝っぱらから!」

女「どーせ寝ぼけまなここすって歩いてんでしょ?目覚ましよ、目覚まし」

男「いらねえっつの」

女「むううっ!朝からノリが悪いっ」
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16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:08:38.03 ID:q3/iQDlV0
女「そういえばさ、例のラブレター、何て返事するの?」

男「あ、ああ…」

女「後輩女ちゃん、かわいいもんね。男には勿体ないなあ」

男「うっせ!」

女「…で、何て返事するの?」

男「そりゃ…なんつーか、断る理由とかないし…」
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18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:11:12.56 ID:q3/iQDlV0
女「OKするんだ?」

男「も、もちろんだろ!?千載一遇のチャンスじゃねーか」

女「…うん、そうだよね。その方が絶対いいよ。
  男には勿体ないくらいのチャンスなんだから、幸せにしてあげなさいよ?」

男「あ、ああ…も、もちろんじゃねーか」
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19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:13:24.30 ID:q3/iQDlV0
女「じゃあこの噴水前で待ち合わせするのも今日で最後だね」

男「あ、ああ…そうなのかな」

女「そりゃあ彼女になる後輩女ちゃんと登校することになるんだからそうでしょう?」

男「ま、まあ…」

女「幼稚園の頃からずっと一緒にここから通ったけど、今日が最後か…。
  なんかそれはそれで寂しいかも」

男「………」
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21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:15:43.71 ID:q3/iQDlV0
女「覚えてる?この噴水の前で私たちは出会ったんだよ?」

男「覚えてねーよ!何年前の話だよ」

女「だよねー。でも私は覚えてる。この噴水前で出会って、幼馴染になって…。
  今までずっと男と遊んできた思い出の場所」

男「ああ、そうだっけ」
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22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:18:12.32 ID:q3/iQDlV0
女「初めて会った男は振った話題、何か覚えてる?」

男「何だっけ?」

女「ライブ・ア・ライブってゲーム。いきなりゲームの話題を女の子に振るってどうなの、って感じよねぇ?」

男「い、いいじゃねーか!すっげー面白かったんだよ!それに何より…」

女「言葉が好きなんでしょ?live aliveにすると何だかすごく生きるって感じだから前向きで好きだって」

男「あ、ああ…うんそう」

女「へへっ…////」
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23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:21:00.37 ID:q3/iQDlV0
女「なんかね、その一言がすごく印象に残ってるんだ」

男「そう、なんだ…」

女「うん…」

男「………」

女「…ごめん。ちょっとしんみりしちゃった!?」

男「あ、いや…その、ごめん」

女「ううん、私が悪いの…あはは」
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24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:23:36.89 ID:q3/iQDlV0
女「そうだ!」 ガサゴソ…

男「…ん?デジカメ?」

女「そ!幼馴染de登校の最後記念撮影〜♪」

男「意味分からん…」

女「さあさあ、寄って寄って!」

男「うわっぷ!ちょっと距離近すぎんだろッ!?」
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26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:25:58.60 ID:q3/iQDlV0
女「気にしない気にしない!」

男「気にしないってお前…ちょっ胸っ////////」

女「笑って笑ってー!はい、チーズ!」

男「ぬわわっ!?」

カシャッ

女「にひひっ♪撮っちゃった」

男「ったく…強引なんだから」
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30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:28:12.82 ID:q3/iQDlV0
男・女「………」 テクテクテク

男「学校遠いよな」 テクテクテク

女「遠いね」 テクテクテク

男「駅からざっと20分はかかる」 テクテクテク

女「かかるよね」 テクテクテク

男・女「………」 テクテクテク

男・女「あのさ!」

男・女「え…?」

男・女「…何でもないっ」
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32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:30:51.49 ID:q3/iQDlV0
−同日朝 学校−

女「学校着いちゃったね…」

男「あ、ああ…じゃあ俺こっちだから」

女「う、うん…私はこっちだから」

男「………」

女「………」

男・女「じ、じゃあね」
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35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:32:52.85 ID:q3/iQDlV0
女「…バイバイ」

女「グスッ…うぅ…」

女「ゴメンね、本当にゴメンね」

女「本当は…本当は私だって…!」

女「―――――ッ」
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36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:35:31.87 ID:q3/iQDlV0
ワイワイ ガヤガヤ…

男友「よっす男」

男「おう、おはよ」

男友「相変わらずお前は女とおしどり夫婦だな?朝からアツいもんだ」

男「ちげえよ、そんなんじゃねーし」

男友「やっぱ幼馴染っていいよなあ。付き合っちゃえよ?」

男「………するか、バカ野郎」

男友「…あれ?ご機嫌ななめ?」
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37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:37:40.91 ID:q3/iQDlV0
担任「じゃあ出席取るぞー」

男「…なあ、なんでこの学校ってさ、教室にこんな空席多いんだ?」

男友「さあ?倉庫がないじゃね?敷地狭い学校だし」

男「そう、なのかなあ…」

担任「…男君と男友君!いつまで喋ってるんだ?」

男・男友「あ、すんませんっ」

男「ちっ…カピバラうるせえな」

男友「いつも思うけどあの担任、マジでカピバラそっくりだよな」
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38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:39:52.78 ID:q3/iQDlV0
担任「―――。―――。よし、これで出席は全部だな?」

男友「えっ?」

担任「ん、なんだ男友君?」

男友「あ、いや…えっと…何かその…あれ…なんでだろ?すごく違和感が」

男「おいおい一体どうしたんだ―――ッ!?」

男友「はあ…はあ…あうう…」

男「お、おい!?何泣いてんだよッ!?」
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40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:42:43.66 ID:q3/iQDlV0
男友「はあ…はあ…分からない。ただ突然、急に涙が…なんでだ?どうしたんだよ…俺?」

男「お、おい!しっかりしろよ!?」

男友「あう…何でだよ!?どうしちゃったんだよ俺!?涙が…涙が止まらない…」

担任「しっかりしたまえ!一体どうし―――」

男友「うああああああああああああああああああああああああああッ!!」 ガタンッ

男「おい!?」
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41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:44:58.00 ID:q3/iQDlV0
−同日昼 食堂−

女「あ、男…」

男「…ああ、女か」

女「朝、男友君が『例の奇病』を発症したって本当?」

男「…本当だ」

女「い、今は…?」

男「病院に搬送された」

女「これでこの学校も半分近くの人が『例の奇病』にかかったことになるんだね」
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42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:47:14.80 ID:q3/iQDlV0
女「ねえ、何だと思う?あの奇病」

男「なんだと言われても…」

女「だって体に異常は無くて、いきなり精神的不安定になって涙を流すだけなんでしょ?
  発症後は何事も無く元に戻る人もいるけど…」

男「多くの人が精神的に何かしらの後遺症を残す、か…。
  何だか人類全体が鬱病にかかったような奇病だよな…」

女「何なんだろうね…一体」
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43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:49:23.63 ID:q3/iQDlV0
女「ねえ、後輩女ちゃんにいつ会うの?」

男「約束は放課後だな」

女「そっか…放課後か」

男「…何だよ?」

女「…何も。ったく、人生で初めて彼女が出来る日なんだからもっと嬉しそうな顔しなさいよ、もうっ」 バシーン

男「痛ええ!何すんだよ!?」
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44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:51:46.13 ID:q3/iQDlV0
女「じゃね、もうすぐ次の授業始まるから」

男「あ、ああ…」

女「…もし、気が変わったら(ボソッ)」

男「は?」

女「いつでも噴水のところで待ってるから…」 ザワザワ

男「何て?周りがうるさくて聞こえない!」

女「…じゃね」

男「あ、おい!」

男「………」
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47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:54:01.30 ID:q3/iQDlV0
−?−

男「………」

―――ここはどこだろうか。

男「…?」

―――何やら怪しげな機材がところ狭しと並んでいる。

男「………」

―――どこかの研究所?どこだろう。俺は知らない。

男「…!」

―――幾多のモニターが並び、その中には…なんだろう。

男「…?」

―――オーロラのような波がひたすら映されている。
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51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:56:25.66 ID:q3/iQDlV0
男「…!

―――ふと気がつくと、隣に白衣を着た男が座っていた。

男「…?」

―――何かを握り締めて涙を流している。ここの研究者だろうか。

男「…?」

―――顔はよく見えない。だが嗚咽に混じって何かをしゃべっている。
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53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 17:59:01.30 ID:q3/iQDlV0
研究者『         』

―――なんだ?何を言っているのかよく分からない。

研究者『        イ』

―――聴こえない、なんて言ってるんだ?

研究者『       ナイ』

―――泣きながらその研究者は写真に向かって語りかけている。

研究者『         マナイ』

―――それは、悲痛なまでに搾り出した懺悔の言葉だった。

研究者『スマナイ…』
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55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:01:26.44 ID:q3/iQDlV0
−同日昼過ぎ 学校−

担任「起きなさい男君ッ!」 スパーン

男「…痛えッ!」

担任「授業中に寝すぎだ、バカたれ」

男「あ…すみません」

担任「明日は男君が日直だ。しっかりやってくれよ?」 カツカツカツ…

男「…夢、か?」

男「何だろう、すごく…リアルな夢を見た気がする」
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57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:03:31.91 ID:q3/iQDlV0
キーンコーンカーンコーン

男「ふいー、やっと授業終わった」

男「さて、と…後輩女と約束の時間か」

男「………」

男「なんで俺のことなんか好きになったんだろうな」
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59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:05:47.55 ID:q3/iQDlV0
後輩女「…まだかな、センパイ」

男「ごめんごめん待った?」

後輩女「えッ!?あ、いえいえ!全然です」

男「色々とあってな…」

後輩女「あ、そうですよね、お忙しいところわざわざすみません…」

男「………」

後輩女「………」

男「手紙の返事のこと、だけどさ…」
超王道ジャンル「君といた場所」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:08:05.61 ID:q3/iQDlV0
後輩女「は、はい…」

男「えっと…そ、その…/////」

後輩女「…っ!」

男「こちらこそよろし―――」



女『この噴水前で出会って、幼馴染になって…今までずっと男と遊んできた思い出の場所―――』



男「あ…」

―――どうしていま、今朝の女との会話を思い出したんだろう。
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62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:10:36.74 ID:q3/iQDlV0
後輩女「…?」

男「あ、いやゴメン!なんでもない」

後輩女「えっとそれじゃあ…」

男「こちらこそよろしくお願いします」

後輩女「えッ!?ホ、ホントですかッ!?」

男「あ、ああ…俺なんかでよければ…」

後輩女「あ、ありがとうございますッ!」

男「…ああ」

―――これで、良かったんだろうか。いや、良かったはずだよな?
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63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:12:55.01 ID:q3/iQDlV0
−同日夕方 駅前−

男「ごめん、今日はちょっと用事があるんだ」

後輩女「そうなんですか?」

男「ああ、友達が昼間、『奇病』を発症してな、いま病院にいるんだよ」

後輩女「そうなんですか…お大事にと伝えてください」

男「ああ、じゃあ俺こっちだから」

後輩女「あ、あの!明日は―――」

男「ああ、ここで待ってるから、学校一緒に行こうな」

後輩女「は、はいっ!」
超王道ジャンル「君といた場所」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:15:10.92 ID:q3/iQDlV0
男「じゃあなー!…ふう」

男「さて男友が搬送された病院は―――」

少女「………」

男「君は…今朝の…」

少女「…もう時間はありません」

男「時間って…何の…?」

少女「…『それ』はあなたの意思なのですか?それとも『神』の意思なのですか?」
超王道ジャンル「君といた場所」
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:19:04.86 ID:q3/iQDlV0
男「何の話だ?君が何を言っているのかまったく俺には…」

少女「たとえどちらであってももはや世界の崩壊は免れられません…。
    ですが、もしかしたら救いはあるのかもしれない」

男「…救い?」

少女「あなたが『神』にどのような救済をもたらすのだとしても…」

男「………」

少女「その救済はあなたの『意思』であって欲しい」 クルッ タタタタタタッ

男「あ、おい!…い、一体何なんだよあの女の子は?」

男「救いって何だ?俺にそれを話して何の意味があるんだよ?」
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67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:21:28.36 ID:q3/iQDlV0
−同日夕方 駅前病院−

男「よっす!」

男友「…男か」

男「少しは元気になったか?」

男友「ああ、まだ精神的不安定だけど…だいぶ収まったよ」

男「…だいぶ軽いみたいだな、症状は」

男友「…そう、なんだろうな」

男「…?」

男友「なあ、お前は気づかないのか?何かがおかしいことに」
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68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:23:37.56 ID:q3/iQDlV0
男「…何かがおかしい?」

男友「今朝、俺は出席を取っている時に何かに気がついた…そんな気がするんだ。
   そしたら急に胸が苦しくなって涙が溢れた」

男「…どういうことだ?」

男友「分からない。思い出せないんだ。今はもう…思い出せない。その気づいた『何か』が…」

男「………」

男友「もしかしたら、だから今の俺は症状が軽いのかもな」
超王道ジャンル「君といた場所」
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:25:55.90 ID:q3/iQDlV0
男友「それは例えようもない喪失感に近かった気がする…」

男「喪失感…?」

男友「…ごめんな。こんな話ばっかで」

男「いや、いいんだ。ついでに1つ、俺からも聞いていいか?」

男友「…なんだ?」

男「世界が崩壊する…って話、どう思う?」

男友「…はあ?」
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73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:28:16.65 ID:q3/iQDlV0
男友「―――なるほど、不思議な少女ね。まあ普通に考えたら、ただの変な人だけど…」

男「そう、なぜか無視できないリアリティがあるんだよ…」

男友「その少女は『奇病』について何か知ってるのかもな」

男「…今度出会ったら、問い詰めてみる」

男友「なんだろう…突如として変な世界に迷い込んでしまったような気分だ」

男「だな…」
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75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:31:05.17 ID:q3/iQDlV0
−同日夜 自宅−

男「ただいまー」

シーン

男「…そうだ、一人暮らしなのに返事があるわけないじゃん」

男「ふう…何だか今日1日めちゃくちゃ疲れたな」

男「…なんだろう、今朝からずっと何かが引っかかってる気がする」

男「なんだ?すごく全てが薄まったような寂しい気分だ」
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76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:34:09.33 ID:q3/iQDlV0
ピリリリリリリリリッ! ピリリリリリリリリッ!

男「…もしもし?」

『私、だけど…』

男「ああ、女か。どうしたんだこんな夜に」

『ちゃんとOKしたの?』

男「OK…ああ、後輩女とのやつか」

『そ。で、どうなの?』
超王道ジャンル「君といた場所」
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:37:09.40 ID:q3/iQDlV0
男「あ、ああ…え、えっと…」

―――何をためらっているのだろうか。

『OK…したよね?』

男「…した」

『へえ、やっぱりしたんだ…そっかそっか』

男「お前はその確認のために電話してきたのか?」

―――俺、分かってて聞いてるよな?
超王道ジャンル「君といた場所」
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:39:17.22 ID:q3/iQDlV0
『そ、そりゃそーでしょ!後輩女ちゃんが心配だし』

―――うそだな。

男「そんなに俺は悪者かよッ!」

『と、当然でしょ!アンタかわいい娘に何するか分かんないしっ』

男「ったく…」

『へへ…』

男「………」

『………』
超王道ジャンル「君といた場所」
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:42:19.03 ID:q3/iQDlV0
『ねえ、明後日どうする?』

男「ん?明後日?」

『ほら、4月2日は…』

男「ああ、お前の誕生日か」

『私の誕生日には必ず駅前公園の噴水の前でお花見してきたじゃん』

男「そういや…なんか恒例行事過ぎて意識してなかったわ」

『それで駅前の美味しいクレープおごってくれたよね!?』

男「完熟イチゴとカスタードのクレープだっけ?」

『そうそう!苺、大好きだから…行く?あ、でも今は彼女いるもんね…』

男「あ、ああ…うん」
超王道ジャンル「君といた場所」
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:45:49.63 ID:q3/iQDlV0
『やっぱいいや。後輩女ちゃん大切にしてあげて』

男「ああ、分かった」

―――分かっていない。絶対に分かってなんかいない。

『ごめんね、夜遅くに。おやすみ』

男「ああ、おやすみ」

『クスッ…ばーか、元気出しなさいよ。じゃ』

プチッ ツーツーツー

男「…元気、出してるつもりなんだぜ?」
超王道ジャンル「君といた場所」
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/04/11(土) 18:48:02.20 ID:q3/iQDlV0
男「………」

男「これでよかったのかな」

男「いや、俺は間違ったことはしてない、してないはずだ」

男「後輩女が俺の彼女なんだ、大切にしてやらないと」

男「………」

男「そうだよ、今は女より後輩女だろ…」

男「そうだよ、な?」
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