トップページ > ニュー速VIP > 2009年02月13日 > aWSpUdyv0

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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
ラララブラウザゲーwwwブラウザゲーwwwブラウザゲーwww
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
「チョコいくつもらった?」←最も華麗に返したやつが優勝
芸術劇場「山の巨人たち」
キーボードの右上についてそろそろ真剣に語ろう
地元の道の駅のブラウザゲーがディズニーの某キャラに似てる件www
キョン「今日? 悪い、ハルヒと出かけるんだ」
三浪東大足きりくらったorz
翠星石「ジュンがギンギンに勃起してるですぅ……」

書き込みレス一覧

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ラララブラウザゲーwwwブラウザゲーwwwブラウザゲーwww
769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 02:10:51.81 ID:aWSpUdyv0
[スーパーセラー]
microm

栄えた
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 15:49:39.43 ID:aWSpUdyv0
学生「どうかしました?野比先生」

のび太「ううん、何でもないよ。それより研磨は終わったかい?」

学生「はい。これでもうバリはないはずです」

のび太「本体側のインターロック回路も大丈夫?」

学生「はい、動作確認済みです」

のび太「よし。じゃあモータを駆動してみようか」

青い球体の中にギアボックスを収められるのを、のび太は少し離れて見守っていた。


のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 15:51:49.20 ID:aWSpUdyv0
 中学卒業と同時に、ドラえもんが未来に帰った。
 のび太がもう一人立ち出来る、別れを割りきれる年齢と判断したらしい。
 高校の類型選択で、のび太は何となく理系を選択した。数学や理科が得意なわけ
ではないが、国語や英語も別に得意ではなかった。
 相変わらずの適当さでのらりくらりと高校を卒業し、藤子大学の工学部に入学し
たのび太は、そのまま大学院まで進学し、博士課程を修了する。
 今ではその藤子大学工学部ロボット工学科で助手をしていた。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 15:53:46.16 ID:aWSpUdyv0
その日の午後、のび太が大学生協でラーメンを食べていると、不意に声をかけら
れた。

???「野比先生!」

のび太「ん?ああ、しずかちゃん」

しずか「うふふ。まさかのび太さんのことを先生って呼ぶことになるとはね」

のび太「慣れないなあ、その呼び方」

 のび太はガシガシと頭を書く。ボサボサの髪の毛が余計ボサボサになる。
 高校が別れてから疎遠になりがちだったしずかと、藤子大学の図書館で再開した
のはつい最近のことだった。彼女は大学図書館で司書として働いているらしい。

しずか「それより、のび太さんまたラーメン?」

のび太「うん。でも昨日はカップの塩ラーメンで、今日は生協の醤油ラーメンな
    んだよ」

しずか「…………」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 15:55:48.61 ID:aWSpUdyv0
しずか「のび太さん、そういうところは変わらないわね」

のび太「そうかな?でもこないだしずかちゃんに言われてから、ヒゲは毎朝剃るよ
    うにしたんだよ」

しずか「それだけじゃダメよ。他に……」

のび太「他に?」

しずか「そうね、まずその伸ばしっぱなしのボサボサ髪を綺麗に切って整えて、
    丸眼鏡をオシャレフレームに変えて、背筋を伸ばして、ヨレヨレの白
    衣を洗濯してアイロンかけて……」

のび太「………いろいろダメみたいだね」


のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 15:59:42.41 ID:aWSpUdyv0
しずか「そんなことより、ここへ来る途中に研究室の前を通ったんだけど……」

のび太「ん?」

しずか「のび太さんの研究室で作ってるアレ……ドラちゃん?」

のび太「……うん。といっても、形だけだよ」

しずか「そうよね……」

のび太「情報工学科との共同開発でね、言語学習型のコミュニケーションロボッ
    ト。そのロボットのデザインを、ドラえもんにしてみたんだ。周りから
    はなんでそんなデザインに』って言われたけど」

しずか「のび太さんらしいわ」

のび太「けど、本物のドラえもんには程遠いよ」

のび太「実際、今の科学じゃドラえもんは無理なんだ」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:01:27.05 ID:aWSpUdyv0
???「やあ、野比先生にしずかちゃん」

しずか「あら、出木杉さん」

のび太「出木杉くん……その呼び方はやめてよ」

出木杉「いいじゃないか。助手になったのはのび太くんの方が先なんだし」

のび太「君のいる情報工学科とは違って、うちは慢性的な人手不足だから……そ
    れだけの理由だよ」

出木杉「謙遜するなって」

のび太「そんなことないよ……現に今の共同開発だって君が皆を引っ張ってるし
    ね。出木杉くんの方が、やっぱり僕より優秀だよ」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:03:14.37 ID:aWSpUdyv0
出木杉「そうかな。それより、ドラえもんの話をしていたみたいだけど?」

のび太「ああ、あのコミュニケーションロボットの方のね」

しずか「言葉を学習するって聞いたわ」

出木杉「まあ、多少はね。でも22世紀からきた、あのドラえもんほどのAIはとて
    も無理だ」

しずか「そう……」

のび太「……本当に、ドラえもんの言っていたような未来が来るのかな?」

しずか「どういうこと?」

のび太「ドラえもんが言っていた年までに、今の科学があそこまで進歩するなん
    て思えないよ」

出木杉「僕もそう思うな。今の科学では到底無理だ」

しずか「でも、ドラちゃんはそう言ったのよ?」

のび太「それが気になるんだ……どうしたってドラえもんの言っていた年には間
    に合わない」

のび太「なぜドラえもんは嘘をついたんだ?」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:05:00.91 ID:aWSpUdyv0
 その日の夜、居酒屋に懐かしい5人がそろった。
 のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、出木杉。
 のび太としずかと出来杉の3人が顔を合わせたので、どうせならみんなで飲もう
という話になったのだ。

ジャイアン「しかしのび太が大学の先生だなんてよー、何回聞いても笑えるよなw
      ww」

スネ夫「出木杉はしっくりくるのになwww」

のび太「どうせ馬鹿ですよーだ……」

ジャイアン「で、なんなんだよ?話って」

出木杉「いや、実はね……」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:06:43.71 ID:aWSpUdyv0
スネ夫「なるほど、ドラえもんか……」

 呟いたスネ夫がスーツのポケットから煙草を取り出そうとし、しずかの方を見て
やめた。
 ジャイアンは逞しい腕を組み合わせ、考えこんでいる。
 スネ夫は大学卒業後親の会社に入り、ジャイアンは高校を中退して剛田商店を継
いだと聞いている。

スネ夫「僕はのび太や出木杉みたいに専門じゃないけどさ、今の科学でドラえも
    んが作れないことはわかるよ」

ジャイアン「待てよ、俺テレビで見たぜ。二足歩行したり、会話するロボット」

出木杉「ああいうのとはレベルが違うよ」

ジャイアン「でもよぉ……そもそもドラえもんが出来たのっていつだ?」

スネ夫「確か、2112年」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:08:00.40 ID:aWSpUdyv0
ジャイアン「何だよ!まだ100年以上あるんじゃねぇか!それなら……」

出木杉「無理だよ。今の開発段階からドラえもんまでの間にある壁は、あまりに
    も高く厚い。感情を持って、思考して、なめらかな動作も必要。今のロ
    ボットはね、走るのさえ難しいんだよ?」

しずか「それにドラちゃんより先に秘密道具が必要よ」

のび太「うん、秘密道具はドラえもん誕生以前に出来てたはずだよ。それに、ド
    ラえもんの話が本当ならタイムマシンはもう出来てるはずなんだ」

ジャイアン「え?」

のび太「ドラえもんは言ったんだ……タイムマシンが発明されたのは2008年だって」

 ジャイアンは黙ったまま、店内を見回した。
 そして、カレンダーを見ると目を見開く。

ジャイアン「2008年って、去年じゃねぇか!!」

スネ夫「反応遅っ!」

出木杉「……その話は僕も初耳だったな」

のび太「つまり、ドラえもんの話にはすでに矛盾が生じてるわけだ」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:09:56.46 ID:aWSpUdyv0
しずか「でも……」

 カルーアミルクのグラスを置いて、しずかが口を開いた。
 みんなの酒のペースは格段に遅くなっていた。

しずか「でも、まだドラちゃんが嘘をついたとは限らないわ」

スネ夫「ま、断定は出来ないね」

ジャイアン「おい、何でだよ。俺にわかるように言えよ」

出木杉「つまり、ドラえもんがいた未来と僕らの未来は違う……未来が変わった
    可能性もある」

スネ夫「本来は今年中にタイムマシンが出来てるはずなのに、その未来がねじ曲
    げられた」

出木杉「そう。その可能性は高いだろうね」

のび太「問題はどこまで未来が変わったのかだね。タイムマシンが遅れただけな
    らいいけど、最悪……」

しずか「ドラちゃんが、作られない?」

スネ夫「かもね……」

ジャイアン「おい、何でだよ。俺にわかるように言えよ」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:12:13.94 ID:aWSpUdyv0

スネ夫「こういうのは考えられないかな?」

出木杉「なんだい?」

スネ夫「確かに、今の科学じゃドラえもんの道具やドラえもん自体の開発は考え
    られない。でも、今の科学を急激に発達させる何かがあったとしたら?」

のび太「何かって?」

出木杉「戦争があると技術が発達するっていうよね」

しずか「そんなまさか……」

スネ夫「待って待って!そんな物騒な話じゃないんだ。例えば、宇宙人が地球に
    来たとする。彼らは未知の文明を持っていて、彼らの技術を参考に地球
    の科学が爆発的に飛躍するんだ」

しずか「宇宙人が……?」

のび太「確かに、なくもない」

出木杉「おいおいのび太くん、科学者らしからぬ発言だね」

のび太「いや……僕らはドラえもんの道具で何度か宇宙に行き、その星の文明に
    接しているんだ。宇宙人を否定できない」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:14:24.31 ID:aWSpUdyv0
スネ夫「まあ、宇宙人でなくてもいいんだ。未来人が秘密道具を落としていった
    とか……とにかく、爆発的な科学の進歩によって2112年までにあのレベ
    ルに達する。そういう可能性もあるんじゃない?」

のび太「ありうるね。それならタイムマシンが遅れただけのことになる」

しずか「確かに……」

出木杉「考えられなくはないな。未来人か……」

ジャイアン「さっぱりわからん」


のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:15:52.02 ID:aWSpUdyv0
しずか「もし……未来が変わったんだとしたら問題ね」

のび太「でも未来が変わるのを、タイム・パトロールが見逃すかな?」

スネ夫「大きい変化なら見逃さないだろうけど、小さい変化なら自然修復できる
    って考えじゃない?」

のび太「でもさ、2008年にタイムマシンが出来なくなったのなら、ドラえもんが
    その情報を持っているはずがない。すると僕がそれをドラえもんから聞
    くこともないはずなのに、僕は聞いて、今も覚えている。これって矛盾
    しないかな?」

出木杉「タイム・パラドクスか……」

ジャイアン「まず俺のパラドクスを何とかしてくれ」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:17:24.98 ID:aWSpUdyv0
のび太「結局、僕らは何もわかってないってことなんだろうね」

しずか「あんなにドラちゃんと一緒にいたのにね……」

スネ夫「どう足掻いても無駄さ、僕らは現代人なんだもの」

のび太「現代人……か」

出木杉「結局、僕らは僕らの科学を進めるしかないんだろうね」

しずか「のび太さんと出木来杉さんのロボットみたいに?」

スネ夫「へぇ。なんなのさ、そのロボットってのは?」

出木杉「僕のいる情報工学科とのび太くんのいるロボット工学科の共同開発で、
    コミュニケーションロボットを作ってるんだ」

スネ夫「へぇ……のび太のくせに生意気だなww」

のび太「懐かしいな、そのセリフ」

ジャイアン「ようやく俺にもわかる話題になってきたぜ!」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:19:33.12 ID:aWSpUdyv0
 結局その日は、ジャイアンがピッチャーを一人で飲み干したところでお開きとな
った。
 もともと酒の弱いのび太は途中からソフトドリンクに切り換えていたし、しずか
と出木杉とスネ夫はホロ酔い程度、ジャイアンに至ってはあれだけ飲んでまったく
変わりがない。

スネ夫「もう一軒……はさすがに無さそうだなww」

しずか「みんな明日も仕事だもんね」

ジャイアン「よぉ、みんなはどうやって帰るんだ?」

出木杉「僕とのび太くんとしずかちゃんは方向が同じだから、3人で一緒に電車で
    帰るよ」

のび太「いや、僕は大学にいったん戻るから……」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:21:07.26 ID:aWSpUdyv0
出木杉「今から?じゃあ、しずかちゃん。2人で帰ろうか」

しずか「ええ……」

スネ夫「僕はタクシーを拾うよ。のび太も乗ってく?」

のび太「いいよ、スネ夫ん家と方向逆だし」

ジャイアン「俺は歩いて帰るぞ」

しずか「武さん、大丈夫?」

ジャイアン「なーに、しずかちゃん。この俺様に怖いものなどない!
      さ、行くぞのび太!」

のび太「えぇ?なんで」

ジャイアン「いいから一緒に帰ろうぜ!心の友よ!」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:22:48.56 ID:aWSpUdyv0
ジャイアン「なぁ、のび太」

 帰り道でふと、ジャイアンが口を開いた。

のび太「ん?」

ジャイアン「よかったのか? しずかちゃんを出木杉と二人で帰してよぉ」

のび太「……どうして? 僕は別にしずかちゃんの恋人じゃあないよ」

ジャイアン「でも、未来の結婚相手だ」

のび太「それも、どうかな」

ジャイアン「??」

のび太「未来は変わった……そう考えるなら、ドラえもんが見せてくれた僕としず
    かちゃんの未来だって怪しいよ。だったら僕にしずかちゃんを繋ぎ止める
    権利なんかない」

ジャイアン「建前はわかった。本音はどうなんだ? おまえはしずかちゃんのことが
      好きじゃあないのか?」

のび太「僕は……」

ジャイアン「難しいこと考えすぎんな。頭こるぞ」

 そういってジャイアンはのび太の頭をはたいた。
 その痛さを妙に優しく感じたのび太だった。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:24:30.06 ID:aWSpUdyv0
 スネ夫はマンションの前でタクシーを降りた。
 オートロックの入り口をくぐり、エレベーターを待つ。

スネ夫(のび太はしっかりしたようで、やっぱり相変わらずだな。しずかちゃんを
    出木杉に持っていかれちゃってさ)

 エレベーターに乗り込み、上昇を感じながらスネ夫は昔を思い出した。
 いつからだろうか、スネ夫はのび太としずかの結婚を望むようになっていた。それ
はタイムテレビで見た幸せな光景のせいだろうか?
 あの未来だけは変わってほしくない。そう思っている自分にスネ夫は驚く。昔は自
分だって、しずかのことが好きだったはずなのに。

スネ夫(ドラえもんのせい、かな)

 自分の部屋の前に着くと、ポケットに手を突っ込んで鍵を探す。
 と、そのときスネ夫は違和感を感じ、顔を上げた。
 窓から明かりが漏れていた。出掛けに明かりは全部消したはずなのに。

スネ夫(誰か……いる)

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:26:18.26 ID:aWSpUdyv0
 極力音を立てないよう慎重に鍵を開けると、スネ夫は静かにドアを開け警戒しなが
ら玄関に身を滑り込ませた。傘立てからお気に入りのバーバリーの高級傘を引き抜く
と、両手で構えながら部屋の中へ入っていく。

そのときだった。

 突如開いたウォークインクローゼットから人影が飛び出し、飛びついてきた。
 傘をそちらに構えなおす暇もなく、スネ夫は自由を奪われる。

???「スネちゃま、お帰りなさいざーます!!」

スネ夫「……ママ、何でいるの?」

 抱きついてきた母親を引き剥がし、スネ夫は傘を床に置く。

スネ母「スネちゃまが心配でつい来ちゃったざます」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:27:41.66 ID:aWSpUdyv0
スネ夫「ママ、僕ももういい年なんだからさ。ママが心配してくるようなこともな    いんだよ」

スネ母「いーえ、スネちゃまはまだまだ子供ざます」

スネ夫「もう子供じゃな……」

 言いかけたスネ夫は母が手に何か握っていることに気づいた。
 それが何であるかスネ夫が認識するより早く、その「何か」はスネ夫の腹部に突き立
てられていた。

スネ母「スネちゃまは子供ざます。そして子供のまま……死ぬざます」

 スネ夫は母の手に握られた包丁が自分の腹に突き刺さっているのを見て、呆然として
いた。いったい、なぜ……
 包丁が引き抜かれる。激痛とともに血液が噴出し、スネ夫はその場にくず折れた。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:29:09.40 ID:aWSpUdyv0
スネ夫「マ……マ、どうし……がぁあ!!」

 言いかけたその背中に再び包丁が突き立てられる。
 視界が歪む中、必死でスネ夫は顔を上げる。目の前に母の顔があった。
 笑っている。鼻が少し赤かった。

スネ母「死ぬざます死ぬざます死ぬざます!!!!」

スネ夫「く……そ……」

 バーバリーの傘を探すが、手が届かない。
 スネ夫は最後の力を振り絞り、拳を突き出した。抵抗にも攻撃にもならない、その力
ない一撃がゆっくりと母の顔面を打つ。

 すると突如、母の動きが停止した。そして、空気の漏れるような音とともに母の体が
萎み、人形へと変わっていく。

スネ夫(コピー……ロボット? そうか、鼻のボタンに拳が当たったから……)

 そこまで考えたところで意識が遠のき、スネ夫の視界は黒で塗りつぶされていった。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:30:31.62 ID:aWSpUdyv0
 そのころ、のび太は辟易していた。
 ジャイアンがしつこく、「俺の家で飲みなおそうぜ」と誘ってくるのだ。
 明日も仕事だから、と断ろうとするとすぐに昔のガキ大将の顔を覗かせるのだから
困ったものだ。

ジャイアン「いいじゃねぇか。ほら、最近いい芋焼酎仕入れたんだぜ。一緒に飲もう
      じゃねぇか」

のび太「いや、今日は遠慮しとくよ」

ジャイアン「それにさ、留学していたジャイ子が今ちょうど帰ってきてるんだよ。あ
      いつもおまえに会いたがってたぜ。それにな、ここだけの話あいつ昔は
      おまえのこと……」

のび太「いや、遠慮しとく」

ジャイアン「それにあいつ、海外のファッションに影響されたのか最近すごくお洒落
      になったんだぜ? 今日なんかすげぇミニスカートを……」

のび太「断固、遠慮しとく」

ジャイアン「しょうがねぇな、とっておきの情報教えてやるよ。俺知ってんだ。ジャ
      イ子のやつ今日は安全日……」

のび太「遠 慮 し と く」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:32:07.21 ID:aWSpUdyv0
 無理やりジャイアンに引っ張られ、ついに剛田商店まであと十数メーターというとこ
ろまで来てしまった。
 ここまで来たらもう覚悟を決めるしかないだろう。のび太は腹をくくった。

のび太(さよなら……僕の童貞……)

 そのときだった。

???「キャアアアアアアアアアアアアアッ!」

のび太「!? ジャイアン、今の悲鳴……」

ジャイアン「ジャイ子の声だ」

 ジャイアンの顔が蒼白になった。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:33:44.58 ID:aWSpUdyv0
 ドアをぶち破る勢いで二人が剛田商店に飛び込むと、縛られ猿轡をされたジャイアンの
母と、わき腹を押さえてうずくまるジャイ子の姿があった。わき腹を押える手の隙間から
血が流れでいる。

ジャイアン「ジャイ子ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

のび太「落ち着くんだジャイアン!!とにかく止血を……ぐあっ!!」

 横っ腹に衝撃を感じると同時に、のび太の体は蹴り飛ばされタンスに叩きつけられた。
 ジャイアンが振り返ると、のび太を蹴り飛ばしたと思われる二人組が立っていた。二人
とも黒服にサングラス。その手には血のついたナイフが握られていた。

黒服1「大人しくするんだな。騒がしいのはごめんだ」

黒服2「しかし野比のび太まで一緒とはありがたいな……手間が省けた」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:35:21.21 ID:aWSpUdyv0
ジャイアン「……おまえらか?」

黒服1「あ? 何がだ?」

ジャイアン「ジャイ子と母ちゃんにこんなことしたのはおまえらかって聞いてんだ!」

 返事を待たずにジャイアンが突撃する。ジャイアンのラリアットが黒服の二人を吹き飛
ばした。

黒服1「がはぁ!!」

黒服2「ぐほぁぁ!!」

ジャイアン「貴っ様ら、よぉくも〜〜〜!!!!!!!」

 咆哮しながら、ジャイアンは馬乗りになり二人を殴り続ける。

黒服1「が!!ちょ……やめ……ぐほぉ!!」





>>80
始めてっす
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:36:58.09 ID:aWSpUdyv0
黒服2「く……そ!!いい加減にしやがれ!!」

 黒服の蹴りがジャイアンの腹にヒットし、後退したジャイアンと黒服二人の間に間合い
ができる。

ジャイアン「よくも、よくも母ちゃんを!ジャイ子を!のび太を!!」

黒服1「はぁ……はぁ……こいつ、何だよ。化け物かよ」

黒服2「このままじゃ分が悪いな。あれ、使うか」

黒服1「しかし、未来の痕跡を残すわけには……」

黒服2「言ってる場合か? 保身が優先だ」

 そう言うと黒服のうち一人がポケットに手を入れ、銀色の筒状のものを取り出す。
 男はそれを指にはめ、拳銃よろしくジャイアンのほうへ構えた。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:38:40.66 ID:aWSpUdyv0
 銀色の筒を指にはめ構える――何も知らない現代人が見たら意味不明な行動。
 普通なら油断してやられていただろう。
 しかしジャイアンは知っていた。

ジャイアン(あれは……空気ピストル?)

 未来のひみつ道具、空気ピストル。
 「バン」という声に反応して空気の塊を射出する。射程距離は10メートル前後。
 ジャイアンは瞬間的に身をよじるとテーブルの上の大理石の灰皿を手に取る。

黒服2「くらえ!!バ……」

 「バン」と言い終えるより早く、ジャイアンがアンダースローで放った大理石の灰皿が
空気ピストルを黒服の指から弾き飛ばしていた。指ごと粉砕していたかもしれない。
 元・ジャイアンズピッチャーの豪速球は健在だった。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:40:05.96 ID:aWSpUdyv0
黒服2「がぁぁぁっ!!!指が!!指がやられた!!」

黒服1「くそ、大丈夫か!仕方ない、逃げるぞ!!」


 黒服二人が廊下へと逃げていく。

ジャイアン「逃がすかよ!!」

 再び投げた灰皿が今度は別の黒服の背中にヒットする。
 黒服が何かを落とした。

黒服1「がぁ!!……あ、待て!!ビッグライトを落とした!!」

黒服2「拾ってる暇はねぇ!どうせバッテリー切れだ、放っておけ」

 そのまま黒服は廊下を曲がっていく。
 ジャイアンがあとを追いかけ廊下を曲がると、男たちの姿はなかった。
 代わりに、ピンク色のドアが消えていくの見えた。


のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:41:38.10 ID:aWSpUdyv0
のび太「う……ジャイアン」

ジャイアン「のび太!!おまえ大丈夫か!!」

のび太「ああ、僕は蹴られただけだから……あいつらは?」

ジャイアン「逃げたよ……どこでもドアでな」

のび太「なんだって!? ……いや、それより今はジャイ子ちゃんの手当てが先だ」

ジャイアン「ジャイ子!!ジャイ子は助かるのか!!」

のび太「わき腹だからたぶん致命傷ではないと思う。僕は専門じゃないけど……止血し
    て急いで病院に連れて行けば……」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:43:10.79 ID:aWSpUdyv0
 一方その頃出木杉はというと、しずかとの間に微妙な空気を感じつつあった。
 小学校の頃からしずかとはよく遊んだし、彼女からの好意も少なからず感じる。間違
いなくいける、そう思うのに何故のび太に遠慮してしまうのだろう。別にのび太としずかは付き合ってるわけではないはずだ。なのに、どうして?

出木杉(これが正しい未来ではないからか? やはりしずかちゃんはのび太くんと結ばれ
    るはずだからか……? いや、そんなの僕らしくない。それじゃまるで運命を認
    めるようなものじゃないか……)

 自分自身が何を願っているのかわからない。
 しずかの気持ちがわからない。
 何となく、逃げ出したいような気持ちに駆られた。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:44:45.07 ID:aWSpUdyv0
しずか「あら?」

出木杉「どうしたんだい、しずかちゃん」

しずか「あれ……スネ夫さんじゃない?」

出木杉「え? スネ夫くんはタクシーで帰ったはずじゃ……」

しずか「でも、ほら……」

 しずかの言うとおり、少し先の路地に黒のトヨタ車が停められいてその横にコートを着たスネ夫が立っていた。

出木杉「スネ夫くん!どうしたんだい? 帰ったんじゃあ……」

スネ夫「いや、ちょっと用事を思い出してね。家からすぐに引き返してここで君たちを待    ってたんだ」

しずか「スネ夫さん、でも飲酒運転じゃないの?」

スネ夫「細かいことは気にするなよ。ほら、全然酒臭くないだろ? もうアルコールは
    抜けたよ」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:46:20.65 ID:aWSpUdyv0
出木杉「で、用事って何なの?」

スネ夫「それはね……」

 そのとき、出木杉の上着の中で携帯が震えた。

出木杉「あ、ちょっとごめん。電話が……」

 電話を取ろうとして出木杉はいぶかしむ。スネ夫の携帯からの着信表示が出ていたか
らだ。不思議に思いつつも電話に出る。

出木杉「もしもし……」

スネ夫『……出木杉くん? すぐに、しずかちゃんを連れて逃げ……るんだ』

 驚いて出木杉は目の前のスネ夫を見る。彼は電話を持ってないし、何も喋っていない。
 しかし、電話の向こうの声もスネ夫に違いなかった。

スネ夫『逃げて……僕は刺された。さっきまで意識がなかったんだ……相手は……』

 そこでスネ夫の声が途切れる。また意識を失ったのかもしれない。
 そのとき、目の前のスネ夫がコートの内ポケットから包丁を取り出し突進してきた。
 しずかの短い悲鳴。
 出木杉は包丁を鞄で受け止めると、しずかの手を引き逃げる。車を挟んでスネ夫と対峙した。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:48:07.02 ID:aWSpUdyv0
出木杉「君は……君はいったい誰だ?」

スネ夫「何を言ってるんだい? 僕はスネ夫じゃないか」

出木杉「嘘だ!今電話してきたのが本物のスネ夫くんだろう。君は偽者だ!」

しずか「鼻……」

出木杉「???」

しずか「鼻が赤いわ!!出木杉さん、あれはコピーロボットだわ!未来の道具なの……鼻
    のボタンを押せば止まるはずよ!」

出木杉「鼻のボタンを……」

 言いながら出木杉は偽スネ夫が乗ってきた車を見ていた。
 キーがついている。そして、偽スネ夫がいる助手席側のドアはロックされている。

出木杉「しずかちゃん……運転できるよね?」

 小声でしずかに言う。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:49:31.44 ID:aWSpUdyv0
しずか「ええ、出来るけど……」

出木杉「僕が奴を止める。その隙に君はこの車に乗って逃げるんだ。のび太くんか剛田
    くんに連絡を取ってスネ夫くんを助けに行ってくれ」

しずか「そんな!出木杉さんが危ないわ!!」

出木杉「大丈夫、僕は柔道をやってたから……それに、本物のスネ夫くんが怪我をして
    る。早く助けに行かないと」

しずか「……わかったわ」

出木杉「よし、合図でいくよ。1……2の……3!!」

 しずかは運転席のドアをあけ素早く車に乗り込むと、キーを回した。
 二人の意図に気づいた偽スネ夫が、ボンネットを飛び越えるようにして襲い掛かってきた。その偽スネ夫に鞄を投げつけると、出木杉は包丁を持った手に組み付く。

偽スネ夫「くそ、離せ!!」

出木杉「離……すもんか!しずかちゃん……急いで!!」

 しずかは頷くと、アクセルを踏み込む。少しばかり無茶なスピードで、車が発進した。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:51:23.72 ID:aWSpUdyv0
 しずかが無事逃げたのを確認すると、出木来杉は偽スネ夫の鼻に肘鉄を叩き込もうとした
。が、偽スネ夫は一瞬早く身を引き、出来杉と距離をとる。
 偽スネ夫と出来杉は少し間合いを取って向き合う。

 突如、偽スネ夫は出木杉に背を向けて走り出した。
 そのまま駅の駐輪場へと逃げ込んでいく。

出木杉「!? 待て!!」

 すぐさま後を追って出木杉も駐輪場へ入った。駐輪場は暗く、雑然と自転車が置かれて
いるため見通しが悪い。
 周囲を見渡していると、右後ろから物音がした。偽スネ夫が包丁を持って向かってくる。
 出木杉はすばやく偽スネ夫を掴むと、軸足を素早く踏み出しもう片足で偽スネ夫の足を刈り上げた。大外刈り、一本。頭から落ちる危険な技だが、ロボット相手に容赦も何もなかっ
た。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:54:47.01 ID:aWSpUdyv0
 鼻のボタンを押そうと手を伸ばし、出木杉は手を止めた。

偽スネ夫「これでも押せるかい?」

 偽スネ夫は、どこかのバイクから拝借したのかフルフェイスのヘルメットを被っていた。
 これでは、鼻のボタンは押せない。

 一瞬の隙を突いて、偽スネ夫が包丁を振るう。 
 
 慌てて出木杉は身を引いた。先ほどまで出木杉の顔があった位置を包丁が通過する。

出来杉(くそっ!ボタンが押せない!!)

 出木杉はとっさに周囲の自転車を引き倒した。
 無数の自転車が偽スネ夫の上に倒れてくる。
 自転車に動きを封じられた偽スネ夫から離れると、出木杉は駅へ向かって脱兎のごとく
逃げ出した。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:57:36.42 ID:aWSpUdyv0
 しずかは、のび太、ジャイアンと合流し病院にいた。ジャイ子とスネ夫が搬送された病院
だ。
 ジャイ子はのび太の見たとおりわき腹を包丁が掠めただけのようで、軽症であった。スネ
夫のほうは二箇所を刺されており重症だったが、一命はとりとめ先ほど意識も回復したらし
い。
 警察の事情聴取には「強盗に襲われた」と口裏を合わせることにした。未来の道具などと
いっても信じてはもらえないだろうし、むしろ自分たちが疑われかねない、という懸念のた
めだった。しずかたちが襲われた件については、出木杉から電話があり彼の無事が確認され
たので警察に話さないことにした。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 16:59:18.73 ID:aWSpUdyv0
 1時間ほど遅れて出木杉が病院にやってきた。

出木杉「みんな、大丈夫?」

しずか「出木杉さん!!」

のび太「君のほうこそ大丈夫?」

出木杉「ああ。でもコピーロボットは倒せなかった。奴がついてこないように遠回りをして    

きたら遅くなっちゃって……スネ夫くんは?」

のび太「命に別状はないって。さっき意識を取り戻して、今病室で警察の人と話してる」

出木杉「剛田くんは?」

しずか「武さんはジャイ子ちゃんの病室よ」

出木杉「そうか……」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:01:32.73 ID:aWSpUdyv0
のび太「出木杉くん。悪いんだけど……」

 そう言うと、のび太は出木杉の顔を……特に鼻の辺りを手で撫で回す。

のび太「うん、赤鼻を塗装したわけじゃなさそうだね。本物だ」

出木杉「もちろん、本物さ」

のび太「ごめん。でもこういう事態だから……」

出木杉「わかってるよ。今のところ、鼻で区別するしかないからね……」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:02:57.17 ID:aWSpUdyv0
 しばらくして、警察がスネ夫の部屋から出てきた。入ってもいいとのことなので、しずかがジャイ

アンを呼びにいき、5人が病室にそろった。

出木杉「とにかく、偶然じゃない。一晩でここにいる5人全員が襲われたんだ。しかも、ひ
    みつ道具が使われてる……」

ジャイアン「あいつらは、未来人なのか?」

のび太「だろうね……どこでもドアを使ってるし」

スネ夫「……僕らを殺す気なのかな」

出木杉「たぶん。しかも未来ってことは……」

しずか「ドラちゃん?」

出木杉「うん。メンバーから考えてもドラえもん絡みである可能性が高い」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:07:03.81 ID:aWSpUdyv0
しずか「わたしは……ひょっとしてのび太さんがドラちゃんを作るからかなって」

のび太「それじゃまるでターミネーターだ。それに僕にドラえもんは作れない」

出木杉「でも、僕らを殺さなきゃいけない理由って何だ?」

ジャイアン「俺たちは昔の冒険で未来の悪人に恨まれてることあるかもしんねぇ
      けど、出木杉はそうでもないだろ?」

出木杉「いや、わからないよ。そんな区別してないのかもしれない」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:08:30.54 ID:aWSpUdyv0
ジャイアン「そうだ!これ……」

 ジャイアンはポケットから銀色の筒と懐中電灯のようなものを取り出した。

のび太「!!……それは、空気ピストルに……ビックライト!?」

ジャイアン「ああ、おまえが部屋で倒れてるときにあいつらが落としていったんだ」

 のび太はジャイアンの手から空気ピストルを受け取ると、指にはめてみる。昔冒険の主力
武器だった空気ピストル。懐かしく感じた。
 空気ピストルをスネ夫から受け取った枕に向けて構える。

のび太「バン!」

 何も起こらない。

ジャイアン「俺、思いっきりその空気ピストルに灰皿ぶつけちまったからな。それに、そっ
      ちのビックライトはバッテリー切れらしい」

のび太「いや、完全に切れてるわけじゃないよ。たぶんあと一回……少しくらいなら使える
    と思うよ」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:10:32.22 ID:aWSpUdyv0
ジャイアン「どっちみち、スモールライトもないんじゃ武器になんないな」

しずか「……武器?」

ジャイアン「え、ああ。またあいつらが来たらギッタンギッタンにしてやらなきゃいけない
      からな!!」

しずか「また来るのかしら」

のび太「来るだろうね」

ジャイアン「あいつら、未来の痕跡は残せないとか言ってたぜ」

スネ夫「だから包丁だったんだ。ひみつ道具は下手に使えないんだよ、きっと」

出木杉「ならまだ勝ち目はある……といっても、いざとなったら向こうもひみつ道具を使っ
    てくるだろうけどね」

スネ夫「パパが昔使ってた猟銃がある……僕の部屋だ。それを使ってくれ」

しずか「駄目よ、そんなの!相手が死んじゃうわ!」

スネ夫「僕は刺されたんだよ……これは昔の冒険とは違う。殺し合いなんだ……現代の道具
    で立ち向かおうとしたら、そういうことになる」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:12:05.68 ID:aWSpUdyv0
のび太「今回は、ドラえもんもドラミちゃんも無しなんだ」

 のび太は皆の顔を見回す。
 戸惑うしずか。
 怒りに燃えるジャイアン。
 苦痛に顔をゆがめるスネ夫。
 思案を練る出木杉。

のび太(この5人で戦うんだ……未来と)


のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:13:28.84 ID:aWSpUdyv0
 ジャイアンは、翌日から剛田商店を休みにした。
 ジャイ子もスネ夫も同じ病院なので、護衛がてら泊り込むことになった。釣竿のケースに
入れて、スネ夫の父の猟銃も病院に持ち込んだ。
 のび太と出来杉としずかは平常どおり出勤することにした。3人とも同じ藤子大学の職員であるの

で、むしろ職場にいたほうが安全と判断したためだ。

学生「野比先生」

のび太「ん?」

学生「研究室に情報工学科から電話がかかってきてます。メールに返信がないからって」

のび太「ああ、ごめんね。今日パソコン見てなくて……出木杉先生?」

学生「はい」

のび太「わかった。すぐ行くよ」

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:15:34.14 ID:aWSpUdyv0
のび太「もしもし、出木杉くん? 僕だけど」

出木杉『ああ、よかった。何かあったのかと思ったよ……どこにいたの?』

のび太「DR-1の共同研究室だよ。機械をいじってないと落ち着かなくて」

出木杉『DR-1……ドラえもんのとこだね』

のび太「うん。初期の対話システムだけ組み込んでみた。電源を入れると挨拶するやつ」

出木杉『そう。順調?』

のび太「うん、ちゃんと時間ごとに違う挨拶を聞かせてくれたよ。時間があまったからね…
    …ついでに面白いものも作ったよ」

出木杉『面白いもの?』

のび太「今度見せるよ」
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:17:03.13 ID:aWSpUdyv0
のび太「で、空気ピストルはどうだった?」

出木杉『そうそう。それをメールしたんだ。あれはすごいナノマシンだよ』

のび太「だろうね。あのサイズで空気圧縮や音声認識をやるんだから……」

出木杉『こっちでの詳しい解析結果はメールに添付しておいたから。あとは、そっちの専門
    分野だろ?』

のび太「厳密には違うけど、とりあえず了解」

出木杉『それと、しずかちゃんがお昼一緒に食べようって』

のび太「ああ……わかった。生協?」

出木杉『うん、12時50分に』


のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/02/13(金) 17:18:34.45 ID:aWSpUdyv0
 時間より5分遅刻して、のび太は生協で二人と合流した。
 しずかはドリア、出木杉はスパゲッティを食べている。のび太は豚骨ラーメンの器をテー
ブルにおいて、腰掛けた。

しずか「のび太さん、またラーメン?」

のび太「ん? うん。昨日は醤油だったから今日は豚骨」

出木杉「不健康だなぁ」

 しばらく取り留めのないことを話しながら食事を楽しむ。
 全員が食べ終わったのを見計らって、出木杉が本題に入った。

出木杉「昨日コピーロボットが出たのはスネ夫くん家と、駅の駐輪場付近だよね。で、実は
    安孫子大学の都市環境工学科があの辺に実験用の電磁波の測定装置を設置していた
    んで、ちょっとそのデータを見せてもらったんだ」

 そう言うと、出木杉は鞄の中からA4の用紙を何枚か取り出した。

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