- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:34:02.69 ID:qmLpcURE0 - yutoriでスレ立てる
↓ え?VIPが分裂した?ex25?何それ? ↓ ex25…こっちで立てるべきだった! ↓ じゃあ立てればいいじゃない ↓←今ここ この行為を不快に感じた方はこのままスレを閉じてください では投下していきたいと思います ひぐらしのなく頃に 薔薇巻き編
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2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:34:57.10 ID:qmLpcURE0 - 「ちくしょう…今日もひどい目にあった…。」
この俺、前原圭一は今日もいつもの部活でこてんぱんにやられ、 手ひどい罰ゲームを受けて今帰宅してきたところだ 部屋に入るなりすぐに布団に寝そべり、今もぐったりとしている うぅ…思い出すのもおぞましいぜ…お婿にいけなくなっちゃう… あいつらの考える罰ゲームは容赦なさすぎるんだよ… しかもそういう時に限って嫌なことは続くもので 帰宅したのとほぼ同時に電話がかかってきて、慌てて受話器を取ったらイタ電だった さらに泣きっ面に蜂とばかりにダイニングテーブルに書置きがあり、 お袋と親父はまたもや仕事の都合で東京に行っちまったらしい
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3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:35:36.30 ID:qmLpcURE0 - 勘弁してくれ…
帰ってくるのは明日の夜らしいから…場合によっては4食連続でカップラーメンだ 明日が休みでさえなければ昼はみんなの弁当を少しずつ分けてもらう手があったんだが… いや…しかしさすがに4食カップ麺はまずいな 沙都子のおかげでご飯と 味噌汁くらいは作れるようになったはずだ 面倒がらずに明日の昼はそれでいこう しかし今日はもう肉体的にも精神的にも疲弊しきっているからカップ麺だな… よっ、と軽い掛け声と共に体を起こす 「…なんだこれ?」 ふと横を見ると四角いものが目に飛び込んでくる どうやら…西洋の鞄…? なんだか高級そうだが…こんなモンさっきあったか…? とりあえず鞄を手元に寄せる
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4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:36:27.46 ID:qmLpcURE0 - 「…ぅお…!」
思わず声が漏れた 鞄の中にはまるで本物の少女と見間違うかのような美しい人形があった 「すげえな…人形ってこんなに精巧に作れるもんなのか…?」 以前魅音の親戚の店であるというおもちゃ屋で行われた部活、 その時にも人形を貰ったがあれとは比べ物にならない 男の俺が見ても美しいと思えるほどの美しさだ この人形、魅音にあげたら喜ぶだろうな… って何考えてんだ俺!いつからこんなロマンチストになっちまったんだ!
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5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:38:01.99 ID:qmLpcURE0 - 頭の中をKOOLにしながら人形を眺めていると、背中に小さな穴が開いているのに気がついた
…ねじ穴…?ということはねじも鞄に入ってるのか? と思ったのと同時にそれは見つかった シンプルな形のねじだ 「こいつを巻けばいいのかな…」 ねじを巻くということは動くのかな? まぁとりあえずやってみよう やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいって誰かが言ってたような気がする
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6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:39:01.52 ID:qmLpcURE0 - キリ…キリ…キリ…
俺以外の誰もいない部屋にねじを巻く音だけが広がる 何回巻けばいいんだろうか… と思うが早いか、それは突然起こった 「のわぁ!?な、何だこりゃ!」 KOOLになれ!KOOLになるんだ前原圭一! しかしこの状況で落ち着ける方がどうかしてるぞ! いったい何が起こったって? 人形が光りだしたんだよ!そして今宙に浮いてるんだ! わけがわからない…あれか!?オヤシロさまの祟りか!? 畜生こんなとこで死にたくねぇ!悟史!俺に力を貸してくれ!1500秒だ!
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8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:40:12.10 ID:qmLpcURE0 - 混乱しているうちに、人形から発せられる光は収まった
だが異変はまだ続いている 人形がこっちに向かって、まるで生きているかのように歩き出した もうやだ…ちびりそう… そして俺の目の前で止まる ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなs… パチン!
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9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:41:07.02 ID:qmLpcURE0 - 一瞬、何をされたのか分からなかった
頬に走る痛みに、自分は今この人形にビンタされたのだとわかった 「な…な…」 多少は意識がはっきりしてきたものの、まだ混乱は解けてない 喋ろうとしても、金魚のように口がぱくぱくするだけでまるで言葉にならない そんな俺のぐちゃぐちゃな頭の中の様子を知ってか知らずか なんでもないかのように、その人形は口を開いた
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10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:42:10.45 ID:qmLpcURE0 - 「あなたが私のミーディアムね。名は?」
「へ…?」 自分でも思うくらい間抜けな声が出る 「聞こえなかったの?あなた、名は何というの?」 「ま、前原圭一」 なんとか声を絞り出し、慌てて答える 「そう、圭一…。それにしてもさえない部屋ね…私が住むのにふさわしくないわ。 でもしょうがないわね。あなたに巻かれてしまったんですもの。」 と人形はため息を漏らす 俺は人形のあまりの落ち着きっぷりにつられてか、 少しずつ落ち着きを取り戻していた
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12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:43:34.22 ID:qmLpcURE0 - 「お…おいおい、いきなり失礼な奴だな。ていうか『巻かれた』って…
あのねじのことか…?お前、いったい何者なんだ?」 人形はこちらを見上げ、落ち着いた声で言う 「あら、自己紹介がまだだったわね。私の名前は真紅。 誇り高いローゼンメイデンの第五ドールよ。」 「ローゼンメイデン…?なんだそりゃ…? それに第五って…お前みたいな奴が少なくともあと四体もいるのか!?」 「ええ。ローゼンメイデンは全部で七体。 アリスゲームに勝って、完璧な少女アリスになるために作られた人形。 アリスになれば私たちのお父様、ローゼンに会えるの。」
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13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:44:44.76 ID:qmLpcURE0 - 聞きなれない言葉の連発にまた混乱しそうになる
だがこう見えても頭の回転の良さには自身がある 少し落ち着いて整理すれば…理解できた 「なるほどな…しかしそりゃまた随分と勝手な父親だな。 娘同士を戦わせて自分は高みの見物たぁいい身分じゃねぇか。」 「…あなたには分からないわ。これは私たちドールの問題ですもの。」 少し怒ったような口調でぴしゃりと言われてしまう あちゃー…少し言葉がきつかったか… 誰でも自分の親のことを悪く言われるのは嫌だもんな
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14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:46:07.59 ID:qmLpcURE0 - 「いや、すまん。謝るよ。
ただお前の親父さんとは話が合いそうにないなぁと思ってさ。」 そうだな…もし俺がこんなリアルな人形を七体も作ったなら絶対に手放さない それだけでハーレムの完成じゃねぇか 見たところこの真紅はお嬢様タイプってとこか? なら他のドールはどんなタイプがいるんだろうか 姉?妹?幼馴染?あとツンデレは必須だろjk… これはたまらねぇぜ…ふひひひひ… 「まったく…人間のオスは下劣ね…」 ゲッ!まさかまた考えたことをそのまま口に出しちまったのか!?
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15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:47:21.22 ID:qmLpcURE0 - 真紅は呆れたようにため息をつき、口を開く
「まぁいいわ…それより圭一。契約をするわよ。」 「契約…?なんのだよ?」 「あなたが私のミーディアムとなり、私を守る契約なのだわ。」 「ふーん…契約か…なんだかかっこいいじゃねぇか! 男に生まれたからにはこういうことをぜひ体験してみたいぜ! よっしゃ!その契約、結んでやるよ!」 と真紅を見ると、少し驚いたような表情を浮かべている
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17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:48:28.24 ID:qmLpcURE0 - 「ん?どうしたんだよ。」
「いえ…そんなに喜んで契約を結んでくれるとは思ってなかったのだわ…。 でもよかった。なら、この指輪に誓いのキスを。」 ますますかっこいいな…白馬の王子様ってやつか?ちょっと照れるぜ… ゆっくりと唇を真紅の指輪へと近づける そして唇と指輪の距離がゼロになった瞬間、あたりがまばゆい光に包まれた 「いい子ね、圭一…。」 優しく微笑む真紅にちょっとだけ萌えたのは内緒だ
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18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:49:44.85 ID:qmLpcURE0 - その光は少したつとすぐに消えた
これだけでもう契約は終わったのだろうか? そんな疑問が頭に浮かび、真紅に確認を取ろうとした が、ふと自分の指に感じる何かに気づき、すぐにその必要はないとわかった 真紅の指輪と同じような指輪が自分の指にもあったからだ 「それがドールとミーディアムの繋がりの証。 その指輪を通じて私はあなたの力を貰いながら戦うの。」
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19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:51:00.87 ID:qmLpcURE0 - 力を貰う…?俺の生命力を使うってことか?
そんな俺の思いを察したか、真紅は口を開いた 「心配は要らないわ。健康な人間ならまず命の心配はない。 ただ少し体が疲れるだけなのだわ。」 「なるほど。元気玉みたいなもんか。」 真紅は何を言ってるのか良く分からないという表情だ そりゃそうだ、俺だって自分で何を言ってるのか良く分からん
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20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:52:13.02 ID:qmLpcURE0 - 「ま、とにかく契約も済んだことだし…圭一、お茶を入れてきてちょうだい。」
突然の要求に少し面食らう 「お茶ぁ?なんで俺がへぶん!」 別に俺は天国じゃない これは真紅の長いツインテールに引っ叩かれて出た悲鳴だ 「いいから。入れてきなさい。主人に文句を言う下僕がどこにいるの?」 「はぁ!?いつから俺が下僕になったんだよ!」 「何を言ってるの?さっき契約したばかりじゃない。」
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22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:53:21.45 ID:qmLpcURE0 - 「なっ…そんな話聞いてねあべし!」
「うるさい下僕ね…まだ立場がわからないの?」 ちくしょう…なんでこんなことに… 俺の夢はご主人様なんだ…俺専属のメイドさんがいて、 朝はいってらっしゃい、夜はおやすみなさいまでたっぷりご奉仕三昧なんだ… なのにどうして…すまん…イリー…トミー…クラウド… 「早く入れてきてちょうだい。」 「うぅ…わ、わかったよ!入れてくりゃいいんだろ入れてくりゃ!」
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23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:54:57.66 ID:qmLpcURE0 - やれやれ…とため息をつきながら階段を下り、冷蔵庫からお茶を探す
「え〜っと…あったあった。よし。」 お茶をコップに注いで持ってあがる まったく…なんで俺がこんなことを… 「ほらよ、持ってきてやったぜ。」 「あら、以外に早かっt…圭一?これは何なの?」 「何って…お茶だろ?自家製の麦茶だぜ。」
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25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:56:35.88 ID:qmLpcURE0 - 「私は紅茶が飲みたいの。まったく、それくらいわかりなさい。
使えない下僕ね…。」 …KOOLになれ…怒りを鎮めるんだ前原圭一…そうだ、この麦茶を飲み干そう それで頭を冷やすんだ…じゃないと頭がフットーしそうだよぉ…! グビッ…グビッ…ぷはぁ! よし…落ち着いた。ったく、この人形はわがままにも程がある… 「わかったよ、紅茶だな?まったく…」 「早くしなさい。待ちくたびれてしまうわ。」
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26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:57:37.81 ID:qmLpcURE0 - さて…紅茶の葉が果たして家にあるのか、
という少しの不安は台所の棚を少し探せば解消された しかしまたここで新たな問題が…紅茶ってどうやって入れるんだ? とりあえずお湯と茶葉を使うということはわかるんだが… まぁその二つがあればお茶にはなるだろ まずティーカップに紅茶の葉を入れて…どのくらいだろう
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27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 18:59:00.69 ID:qmLpcURE0 - カップの半分くらいか?どばどばっ…と
そしてお湯を注ぐ…うっ…少し茶葉を入れすぎたかも… いや、このくらいのほうが濃い良い味が出るはずだ! とにかく完成だ。さぁ、早く真紅のもとへ行こう 早く持っていかないとまた殴られちまうぜ しかしこの数十秒後、持って行くのが早かろうが遅かろうが 殴られることには変わりなかったと思い知らされたのであった
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28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:00:17.47 ID:qmLpcURE0 - 「まったく…何を考えてるのか分かったものではないわね…」
「だって紅茶なんか入れるのも初めてだし、 入れてるところを見たこともないんだぜ? あんなにフルボッコにしなくてもいいじゃねぇか…。」 「茶葉を粗末に扱った罰なのだわ。ほら、きちんと見ていなさい。まずは…」 あのあと俺製スペシャルティーを真紅に見せた途端、 真紅のツインテールがまるで拷問道具の鞭のように 俺に襲い掛かってきた。そこから先はよく覚えていない ただひとつ分かることは、俺の顔が目も当てられない 悲惨な状況になっているということです
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29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:01:21.57 ID:qmLpcURE0 - そして今この瞬間はというと、真紅先生のお紅茶講座の時間だ
俺に紅茶の入れ方を熱心にご指導して下さっている それなら自分で入れた方が早いだろjk… でもそんなこと言っても無駄だろうから言わないでおく 「…なのだわ。わかった?」 「あぁ、だいたいわかったが…思ったより難しそうだな…。 お湯の温度にこんなに気をつけなきゃいけないなんて始めて知ったよ。」
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31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:03:02.58 ID:qmLpcURE0 - >>30
うん 「えぇ、お湯の温度ももちろんだけど、もっと大切なものがあるわ。 それは、愛情。愛情がなければ美味しい紅茶など入れられはしないのだわ。」 「へぇ…良いこと言うじゃねぇか。愛情が大切ってのは俺もよくわかるぜ!」 それは沙都子が俺に教えてくれた大切なことだ 沙都子が作ってくれた料理は俺への愛情が詰まっていて、最高に美味かった それは紅茶にも言えることだったんだな… しみじみとそんなことを考えていると、そんな俺の胸中を悟ったのか、 真紅は「そう。」とにっこりと微笑んで言ったのだった
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32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:04:37.13 ID:qmLpcURE0 - その後は真紅の入れたお茶を俺の部屋で二人でのんびりと味わっていた
一息ついたところで、少し気になることがあり俺は真紅に話しかける 「なぁ真紅、お前…他のドールたちとは仲いいのか?」 真紅は少しの間を空けて答える 「そうね…一体だけまだ会ってないドールがいるけれど、 大体は仲がいいと言えるわね。姉妹ですもの。」 一人の子を除いては…とぼそりと付け加えたのが聞こえたが、 そのことにはあまり触れないほうがいいような気がした
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34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:06:44.57 ID:qmLpcURE0 - それよりも…
「仲がいいってことはさ…さっきのアリスゲーム…だっけ? あれで姉妹たちを倒さないといけないんだろ? それってつらくないか?倒されたドールはただじゃすまないんだよな?」 真紅は少し目を閉じ、それからカチャ…とカップを置き、口を開いた 「えぇ、倒されたドールは私たちの命の源、ローザミスティカを奪われ、 そして動くことも話すこともできないただの人形になってしまう。 それでも私たちは他の子を倒さなくてはならない。 そうしなければアリスにならないから。 そうしなければお父様に会えないから。 そしてそれが私たちローゼンメイデンに定められた…」 「運命だから…か?」 真紅は少しだけ驚いた表情を浮かべたが、それはすぐ消えた 「えぇ、そうよ。運命には…逆らえない。」 どこかで聞いたような言葉 『もう、決まっていることなのですよ。運命なのです。』
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35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:08:04.08 ID:qmLpcURE0 - あれは夢だったのだろうか…
かつて梨花ちゃんが口にした、「運命」という言葉 その口から出た「運命」は「絶望」という言葉とまるで同じだった そして今真紅の口から出ようとした「運命」もそれとほとんど変わらない 一見、強い決意が感じられるようだが、その実それはほとんど諦めに近い 俺はこの言葉をそんな意味で使って欲しくない だから言ってやった 「真紅…お前、予言って信じるか?」
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37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:09:21.00 ID:qmLpcURE0 - 真紅は一瞬、「何を言い出すんだこいつは」という表情を浮かべたが
俺が真面目な表情を崩さないのを見てふざけた質問ではないとわかってくれたようだ 「…いいえ、あまり信じていないわ。」 「だろうな、俺もそうだった。 だがな…予言ってのは実在する。俺は予言をできる人を知っている。」 真紅はやはり俺の言おうとしていることが分からないようだ しかし構わず俺は続ける 「その人はいつに何が起こるか、普通では絶対に分かり得ないことを 次々と予言していき、それらはすべて的中した。 そしてその人は自分が昭和58年6月に自分が殺されると予言していた。 そして言ったんだ。 『これはすべて運命だ。すでに決められている運命には決して抗えない。』 ってな。」
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38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:10:32.07 ID:qmLpcURE0 - 真紅は少しうつむき、顔をそむける
「だがな、俺は言ってやったぜ。 運命なんて簡単に打ち破れる。金魚すくいの網よりも簡単に。 ってな!」 「そんな簡単に言わな…」 「さて、ここで問題だ。その予言者は昭和58年7月現在、生きているでしょうか? それとも死んでしまったでしょうか?」 言わなくてもわかるはずだ
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39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:12:41.91 ID:qmLpcURE0 - 真紅は顔を上げこちらを見る
「俺たちは立ち向かったんだ。その予言者の命を狙う敵と、死の運命に。 そして勝った!予言者自身がこの死の運命だけには絶対に抗えないと言っていた、 その運命を打ち破ったんだよ!分かるだろ!? 運命なんてのは、金魚すくいの網よりも簡単に打ち破れるんだよ!!」 そこで俺は一旦言葉を切り、一拍置いてさらに続ける 「だがな、その運命は俺だけの力で打ち破ったわけじゃない。 俺の仲間全員と、その予言者本人が全員で力を合わせたんだ! つまり真紅、その『姉妹を倒さなければならない』なんてふざけた運命とやらを 打ち破るには、お前自身の力が必要なんだ! 運命には抗える!そして掴めるんだ!その先の未来ってやつを!」
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40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:14:03.98 ID:qmLpcURE0 - 言い切ると真紅はしばらく呆然としていたが、ふと穏やかに笑って言った
「そうね…もしかしたらアリスゲーム以外にもお父様に会う方法があるかもしれない。 姉妹を傷つけずに済むのかもしれない。 圭一、ありがとう。あなたの言葉はまるで魔法のよう…。 今の言葉、あの子にも聞かせてあげたいわ…。」 「あの子って…?さっきの…」 「ええ、私のせいで深く傷つき、心を閉じてしまった子…。 戦いと深い闇に心を支配されつつあるかわいそうな子…。 私はあの子を助けたい…! そして私のせいで傷つくその前の、本当のあの子に戻ってほしい…! あなたの言葉なら、彼女に届くかも…」 「いいや、違うな。」 「えっ…?」
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42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:15:32.92 ID:qmLpcURE0 - 「その人はお前にとって大切な人なんだろ?だったら、その人の心に届くのはお前の声だ。」
「で、でも…今までずっと…!」 「今までだめだったからと言って諦めるのか?違うよな。 何度呼びかけてだめでも、本当に大切だと思っているなら 最後には絶対届く!心を取り戻せる!」 また、あり得ない記憶 俺がおかしくなり、レナが俺に呼びかける レナがおかしくなり、俺がレナに呼びかける 俺へのレナの呼びかけは、少し遅かったがちゃんと届いた 俺のレナへの呼びかけは、とても早く届いた 早さの違いはあれど、いつかは必ず届く この記憶が、あり得ない記憶であるはずなのに… 何よりも確実な証拠のような気がする
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43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:17:05.14 ID:qmLpcURE0 - 「俺なんかの言葉より、その人を一番大切に思う
お前の言葉の方がずっと届きやすいはずだ。 俺の言葉で心の扉を開けることはできるだろう。 だが相手を本当に思いやる者でないとその扉の奥には行けない。 俺は真紅と力を合わせて扉を開けてやる。 だがそこから先は真紅、お前の仕事だ。わかるな?」 心なしか真紅の目じりに涙が溜まった気がしたが、 彼女が一瞬うつむきまた顔を上げたときには、そこには笑顔があるだけだった そして一言「えぇ」とだけ言い、残った紅茶を飲み干すと すっかり元の調子を取り戻し、俺は苦笑いするしかなかった
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44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:18:32.70 ID:qmLpcURE0 - しかしさっきのレナの記憶といい梨花ちゃんの記憶といい、何だったんだろうか
もしかしたら、パラレルワールドというものは実在して、 ああいう世界もあったのかも知れない… というようなことを考えていると、真紅がおもむろに元いた鞄に入り始めた 「…どうしたんだ?」 「私たちドールは夜は鞄で寝るの。夜は眠りの時間なのだわ。」 夜って…まだ9時ぴったりじゃねぇか やけに早寝なんだな… とは言ったものの、俺もあまりの驚きと久しぶりの熱弁に疲れ果てている そのせいか腹も減ってない このまま横になれば眠れそうだ と思い横になるとどんどん意識が遠ざかっていく どうやら本当にこのまま眠ることになりそうだぜ… 頭の中でそう呟いたのが最後、俺の意識はそこで途切れた
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45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:20:28.37 ID:qmLpcURE0 - ほんの10分程度休憩
所見の人どのくらい居るんだろう…?
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50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:30:29.61 ID:qmLpcURE0 - 小鳥のさえずりと窓から差し込む朝日で俺は目を覚ました
それにしても… 「不思議な夢だったな…」 思わずそう呟く なかなか面白い夢だっただけに、目が覚めたのが少し残念だぜ… 今度は頭の中でそう呟き、寝返りを打つ ………………いやごめん、夢じゃなかったわ 寝返りをうった先の視界に真っ先に飛び込んだのが さっきまで夢だと疑わなかったそれそのもの、 動く人形が一人優雅に紅茶を飲んでいる姿だったのだから とっさに誰かに謝りたくなったのも無理はない
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51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:31:55.53 ID:qmLpcURE0 - 「あら、遅いお目覚めね圭一。下僕が主人より遅くおきるなんてなってないのだわ。
またしつけが必要かしら…って、何をしているの?」 「いや、なんでもない。 ちょっと寝坊した自分への戒めに頬をつねっただけだ。」 「そう…いい心がけね。」 めちゃくちゃ痛ぇ…どうやら夢じゃないみたいだ まぁあんなリアルな夢あるわけねぇしなぁ…
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52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:33:11.05 ID:qmLpcURE0 - っと…それはそうと今何時だ?
げ、もう11時かよ…! 確か今日も昼から部活だと魅音が言ってたよな… もしかしたら魅音から電話があったかも知れない 「真紅、俺が寝ている間に電話なかったか?」 「いいえ、なかったわよ。」 ?それは少し変だな…なんだかんだで几帳面な魅音だ いつもなら10時、遅くとも10時半には電話があるはずだが… 仕方ない、あちらから連絡がないならこちらから連絡するまでだ
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53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:34:13.75 ID:qmLpcURE0 - プルルルル…プルルルル…ガチャ
「はい、園崎です。」 「あ、もしもし。魅音さんの友人の前原です。 魅音さんに代わっていただけますか?」 「わかりました、前原さんですね。少々お待ちください。」 受話器を置き、パタパタと走り去る足音がする おそらく今のが園崎本家のお手伝いさんだろう まったくすげぇよな…お手伝いさんを雇うなんて… などとぼんやり考えているうちに電話に人が出た
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55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:35:50.61 ID:qmLpcURE0 - 魅音?という呼びかけの言葉は、
耳に飛び込んできたお手伝いさんの声に押さえ込まれた 「ごめんなさい、魅音さん今手が離せないみたいで…伝言を言付かってきました。 今日の部活は中止、だそうです。それと、前原さんの方から 他の部活メンバーにも連絡しておいてくれ、とのことでした。」 「あ…そうですか、わかりました。承ったと伝えておいてください。それでは。」 俺は別れの言葉を言い、チン…と受話器を置いた
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57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:37:05.11 ID:qmLpcURE0 - >>54
今執筆中でござい 第一章は書き終わった
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58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:38:17.16 ID:qmLpcURE0 - なんだろう、体調でも悪いんだろうか
それはそれで心配だが、それならそうとお手伝いさんがきちんと言うはずだ 何か急用ができたと見るのが妥当だろう やっぱり園崎家がらみか…? などといろいろ邪推を働かせているところに小さな人影が、真紅が足元にいた 「どわっ!びっくりさせるなよ!」 「なんの電話だったの?」 スルーですか 「遊びの電話だよ。でもあいにく急用ができたんだとさ。」 「そう…」
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60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:39:58.65 ID:qmLpcURE0 - >>59
金曜19時にyutoriに立てるって言っちゃったから それは許してくれ…
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- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:41:12.19 ID:qmLpcURE0 - そう言ってそのまま立ち去ろうとする
…?変な奴だな… ん?ちょっと待てよ… 少し心に引っかかることがあり、俺は真紅を呼び止めた 「なぁ、真紅。お前以外のローゼンメイデンって、今どこにいるんだ?」 「それはわからないわ…アリスゲームを始められるように 同じ時代の同じ場所で目覚めるようにはなってるはずだけど…。」 まさか…いや、まさかな…それはあまりに世間が狭いってもんだぜ… 俺は頭に浮かんだ若干の嫌な予感を無理やり振り払い、 久しぶりの自炊に勤しむことにした
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- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:42:24.20 ID:qmLpcURE0 - あ…ありのまま今起こった事を話すよ!
『人形のねじを巻いたら動き出した』 な…何を言ってるのかわからないと思うけど おじさんも何が起こったのかわからなかった 頭がどうにかなりそうだった… 徹甲弾とか空気投げとか そんなチャチなもんじゃあ断じてない もっと恐ろしいものの片鱗を味わったよ… 時は少しだけさかのぼる
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- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:43:45.63 ID:qmLpcURE0 - 「んっ…ふぁあ〜…」
今日もいつも通りの時間に目が覚める 園崎家時期頭主として育てられ、起床の時間はもうすっかり体に染み付いている いつもと変わらない時間に起きる、いつも通りの朝 …のはずだった 「あるぇー…?なんだこれ?」 昨日の夜にはなかったそれは堂々と私の横にあった 見たところ鞄のようだが… 好奇心に押されるがままにそれを開け、 私は感嘆の声をあげる
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- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:45:48.97 ID:qmLpcURE0 - 「かわいい…」
中にはとてもよくできた作りの人形が入っていた 西洋風の人形を見ると、圭ちゃんにもらったあの人形を思い出す あれは今でも私のお気に入りだ 壊れたり汚れたりしたら嫌だから一緒に寝てはいないが寝る前には必ずキスをしている この初めて見る人形は、あの私のお気に入りに負けないくらい可愛かった いや…もしあの人形が圭ちゃんにもらったものでなければダントツでこっちの方がすごい いわゆる脳内補正というやつだ …まぁともかく、本当にこの人形はすごい と、あることに気が付く …ん?この背中の穴は…ねじ穴? ということはどこかにねじが…お、あったあった これを巻けばいいんだね あ…ありのまま(ry
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- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:48:01.89 ID:qmLpcURE0 - そんなわけで今まさに私の目の前には動く人形がいる
かなり仰天したが、以外とすぐに落ち着きを取り戻せた それには理由がある この人形の方が私に怯えているかのように鞄の陰に隠れているのだ 自分を怖がっている者に怯えることはない まずは相手の恐怖心を取り除くために優しく話しかけよう 「あなた、何者なの?」 「は、話しかけるなですぅ!人間!」 あるぇー?
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- ローゼンメイデンが雛見沢で巻かれたようです
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/05/31(土) 19:49:25.49 ID:qmLpcURE0 - 「いや…話しかけるなと言われても…」
「やかましいですぅ!話しかけるんじゃねぇですぅ!」 …参ったなあ そんなこと言われてもこんな不思議な状況にあるんだから まずは現状把握から始めなきゃ何もできない けど相手は相当こっちを警戒してて話しかけるなの一点張り この空気はまさに一触即発、張り詰めた空気だ… よしわかった、こんな時は… 「強行突破あああああああ!」 「いやああああああ!けだものですぅうううううううう!!!」
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