- ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━
66 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:38:25.96 ID:43xCdwDW0 -
(´・ω・`)「セオリーだ 」 A_A 爪゚Д゚)「あん?」 ひたすら無言のままに攻撃を凌ぎ続けていたショボンがボソリと呟く。 金鬼もこれに反応するが攻撃の手を緩める事はない。 せいぜい命乞いでもするのだろうと思っていた。 (´・ω・`)「セオリーだよ。お前のような体中のどこも傷付けられない金属野郎はな……」 A_A 爪゚Д゚)「ガッ……!!」 一瞬の内に金鬼の口から冷たい刀の刀身が生えていた。 荒れ狂う猛攻を物ともせず、ショボンは疾風の様な突きを寸分の狂いも無く金鬼の口中に突き刺したのだ。 (´・ω・`)「口の中が切れる。そのベラベラと良く動く口の中がな 」
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67 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:38:46.20 ID:43xCdwDW0 - A_A
爪 Д )「カッ……カハッ…!! 」 徒手空拳の弾幕の中、その全てを凌ぎ切り、たった1度の反撃を成功させる。 相当な技術を要する芸当だったが、ショボンは大して表情も変えない。 自身はこの程度の事はやって当然の事だと思っていた。 (´・ω・`)「流石に金属の皮膚は貫けないか。 全く……。つまらない相手だった 」 A_A 爪 Д )「カッ……カッ……」 (´・ω・`)「ん?」 ショボンは金鬼の喉から刀、『妖刀百足丸』を引き抜こうと力を込める。 しかし―――、抜けない!? A_A 爪゚Д゚)「カカカカカカカカカッwwwwww」 (´・ω・`)「コイツは……」
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68 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:39:04.89 ID:43xCdwDW0 -
妖刀の刀身は、金鬼によってがっしりと噛み締められていた。 それを緩めて刀が抜ける。 代わりに鬼の表情は愉悦に歪んだ。 A_A 爪゚Д゚)「セオリーwww? 口の、中が、切れるwww? クククク……、ヒャハハハハハ!!!!」 (´・ω・`)「……なるほど。『金鬼』とは良く言ったものだな。 全身余す所無く金属という事か……」 A_A 爪゚Д゚)「クックックwww。 絶望的だなwww。 1つだけ教えておいてやる。 オレはな、今まで1度も痛みというものを感じた事がない。 傷付けられた事がないからだwww」 (´・ω・`)「ふぅ〜ん……」 A_A 爪゚Д゚)「何呆けた面してやがる? あ? オラwww。もっと抵抗して―――」
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69 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:39:26.05 ID:43xCdwDW0 -
ショボンは引き抜いた刀を地面に突き刺す。 そして空いた手で、ジャケットの内側から銃を出した。 ベレッタM92。 その扱い易さから、アメリカ軍を始めとする幅広い層に使用されるオーソドックスな拳銃。 (´・ω・`)「まぁ……」 銃を片手で操作する。 カチャ、という無機質な音と共に装填していたマガジンが地面に落ちた。 (´・ω・`)「大した……」 そして新たなマガジンを取り出し、装填。 それは計15発の破魔弾丸が込められた退魔行専用のマガジン。 ショボンはトリガーに指をかけ、真っ直ぐに銃口を金鬼に向けた。 (´・ω・`)「アドバンテージじゃない、な 」 △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
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70 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:43:47.10 ID:43xCdwDW0 -
▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ('A`)「……ふっ!!」 A | (◎) |「っ!?」 ドクオが一歩踏み込む。 強烈な踏み込み。 その踏み込みが終わると同時に逆の足が踏み込む。 その爆発的な猛進はドクオと風鬼の間を瞬時に埋めた。 ('A`)「らぁっ!!」 スピードに乗せたドクオの右フックが、風穴の開いた鬼の顔面を襲う。 人相手に油断していたのか鬼は判断が一瞬遅れた。 しかしそこは人間と魔。 一瞬程度の時間は致命的なミスにはならない。 風鬼は上体を最小限の動きで後ろに反らし、ドクオの拳をかわす。
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71 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:44:14.50 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「驚いたよwww。人間がこんなに速k―――」 嘲笑交じりの声を拳を振り抜いたドクオの背中に投げつけようとした時、鬼はここで真の意味での判断ミスに気付く。 今この瞬間、ドクオの顔を追ってしまったことにより生まれた死角。 見えないが超至近距離から自分に向って何かが猛烈に迫っている。 ドクオは始めから拳の一撃は『避けられていい』と思って出していた。 何故なら…… ('∀`)「へっ!!」 ニヤリと口の端を伸ばして直ぐにその場を飛び退く。 次の瞬間、ドクオが居た場所は水鬼の凶悪な金棒に抉られていた。 そしてそこに続いて落ちるのは赤黒い液体―――鬼の鮮血。 ―――ドクオは始めから拳の一撃は『避けられていい』と思って出していた。 何故なら…… 何故なら、後に続くコートの裾に仕込んだ、鋸状の刃の斬撃こそが本命の一撃だったから。
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72 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:44:30.51 ID:43xCdwDW0 -
鬼の金棒が届かないだけの距離を取り、ドクオは表情を引き締め敵を観察する。 ('A`)。o ○(チッ……。これくらいじゃ動じねぇってか) 風鬼はドクオを追う事もなく、切られた胸の傷を金棒を持っていない方の手でなぞっていた。 一通り傷を弄ぶと、ドクオの方に顔を向ける。 目も鼻も口も無い、ただ大きな穴だけが開いている顔を。 A | (◎) |「良いコートだねwww」 ('A`)「ハンドメイドのビンテージだからな。貰いモンだけど 」 ドクオは密かに舌打ちする。 今の鬼の口調。 大したダメージになっていない事を理解するのに十分だった。
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73 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:44:46.38 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「傷を負うのも久しぶりだ。おいでよ。君にも怪我させてあげる 」 ('A`)「怪我で済むのかよ?」 A | (◎) |「さぁ?それはキミ次第だな。フフフ……」 ('A`)「へっへっへ。アンタの声、口もねぇのに一体どこから出てるんだ?」 A | (◎) |「どこだと思う? フフフフフフwwwww 」 ('A`)「見当も付かねえよ。へっへっへっへっへっへwwwww 」 両者は相対して笑う。 そして互いに心得ている。 この笑みはすぐに終わる。 ドクオはコートの内側に手を入れた…… ('A`)「コイツはサービスだ!!」 A | (◎) |「火!?」 ドクオがコートから手を出した時、数枚の札がその手に握られていた。 それを風鬼に投げつける。 不動明王真言が込められたその札は、瞬く間に燃えだし風鬼の目の前に広がった。
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74 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:45:02.62 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「小賢しいよ!! ちょっとビックリしたけどね!!」 しかし風鬼は動じない。 自らを焼き尽くさんと迫りくる炎を、手にした金棒で横に大きく薙ぐ。 恐るべき力を秘めたその横薙ぎは、燃え盛る炎すら空気と共に切り裂いた。 ('A`)「ナイススウィング。横腹が御留守だぜ 」 A | (◎) |「なっ!?」 オーバーモーションで武器を振るった代償か、がら空きになった風鬼の懐にドクオが飛び込んでいる。 ドクオは炎を投げつけると同時に駈け出していた。 炎に阻まれ、風鬼にはドクオの姿が見えなかったのだ。 即座に反撃に転じようとする風鬼の目の前で、ドクオが大きく身をかがめる。 瞬間、飛ぶような瞬発力で地面を蹴り、天を貫くような肘を風鬼の脇腹に突き刺した。
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75 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:45:17.29 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「っ!!」 ('A`)「まだだっ!!」 思わず手にした金棒を取り落とし、よろける風鬼にさらに詰めよるドクオ。 右の掌を自分の頭の上にある鬼の顎に叩きこむ。 伸びあがった鬼の腹に左右のボディーブローを1、2、3、4、5!! くの字に折れ曲がる鬼の体。 下がった頭を強烈に蹴り上げる。 強引に体を起こされた鬼はヨロヨロと2〜3歩後退した。 しかしドクオは距離を取ることを許さない。 更なる追撃を加えるために詰め寄る。 その時――― A | (◎) |「捕まえたwww」 ('A`)「ち……。効いてねぇのかよ。冗談きついぜ 」 がっしりと掴まれたドクオの両手には、鬼の力がひしひしと伝わって来る。 締め付ける鬼の力は、自分の手をこのまま握り潰す事など造作もないだろう。 向き合う形で拘束されるドクオに顔を近づけ、鬼は飄々と喋り出した。
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76 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:45:34.03 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「効いてない事もないよ。かなり痛かった 」 ('A`)「それを聞いて安心したよ。全く無駄ってワケでもないんだな 」 A | (◎) |「君が死ねば全ては徒労に変わる。結局は無駄さ 」 ('A`)「え〜〜〜。それは困る〜〜。ウチの上司に怒られちまう 」 A | (◎) |「フフフwww 君は中々面白いね。気に入ったよ。命だけは助けてあげる 」 ('A`)「お、ホント?」 A | (◎) |「でも代わりにこの癖の悪い両手は貰うからね 」 ('A`)「舐めてんのかテメェ? 手が無くなったらどうやってオナニーするんだよ?」 A | (◎) |「床にでも擦りつけなよwww」 軽い口調とは裏腹に、風鬼の両手が万力のように締まる。 ミシミシと嫌な音を自分の両手が発しているのをドクオは聞いた。
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77 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:46:01.42 ID:43xCdwDW0 -
('A`)「ねぇ?」 A | (◎) |「何?」 ('A`)「足はいいの? オレの足も相当曲者だよ?」 A | (◎) |「足は許してあげるよ。歩き辛いだろ?」 ('A`)「あっそう。オレは言ったからな。足も癖が悪いって 」 A | (◎) |「?」 ドクオは右足を1度上げると、踵で強く地面を踏んだ。 嘲笑を漏らしながら、何事かとその様子を見つめる風鬼。 バネが弾けるような音。そして気付く。 ドクオの靴の爪先から、さっきまでは確かに無かった輝く刃が生えている事に。
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79 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:47:58.50 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「……何これ?」 ('A`)「これ?」 2人でドクオの靴からたった今飛び出した刃を見ながら風鬼が呟く。 次の瞬間ドクオの右足が跳ね上がった。 ('A`)「暗器だよ!!」 A | (◎) |「ちょっ!!」 とっさに拘束していた両手を離し、距離を取る事でその蹴りは回避出来た。 しかしドクオは距離を取ることを許さない。 風鬼に自分の射程距離の外に出る事を許さない。 瞬時に詰め寄り追撃を加える。 A | (◎) |「ちょっとその手のは何っ!?」 ('A`)「これも暗器!!」 ドクオのコートの袖から、拳をぐるりと囲むような形で数本の刃物が覗いている。 両手両足の斬撃は鬼を少なからず震撼させた。 先ほど武器を落とした鬼は、その全てを素手で捌かなければならない。
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80 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:48:18.54 ID:43xCdwDW0 -
致命的な一撃は避けてはいるものの、僅かに裂かれる皮膚。 その痛みから、鬼はこの刃物の全てが退魔の刃であることを理解する。 まともに貫かれれば命はないだろう。 A | (◎) |「こんなっ!! 事ならっ!! 足から貰っておけばっ!! 良かったなっ!!」 ('A`)「サービスタイムは終わりですぅ〜!! 欲しけりゃ自分で毟り取りな!!」 ドクオの雨のように降り注ぐ攻撃を捌き、避けながら鬼は言う。 一方的に攻撃を受け続け、自然に後退させられる鬼。 そして鬼は背中に岩の感触を受ける。 ('A`)「後がねぇぜ!?」 A | (◎) |「う〜ん、そうみたいだね 」 ドクオの攻撃は止まらない。 逃げ場を無くした風鬼はそれでもドクオの攻撃を捌き続ける。 しかし後退を許されない状況から、明らかに今までより深く切りつけられていた。 致命傷を受けるのは時間の問題だった。
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81 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:48:36.29 ID:43xCdwDW0 -
('A`)「正直助かったぜ。アンタを倒すのは重要な仕事だったんでな。 これで結界の封印は1つクリアだ 」 A | (◎) |「………」 ドクオは左のフックを受け流される。 しかし同時に、体を大きく右に捻り込む。 刹那の溜めと同時に強烈に反転。 遠心力を利用し、ドクオのコートの止めの斬撃が風鬼を切り裂かんと襲う。 ('A`)「え……?」 A | (◎) |「………」 気が付くとドクオは仰向けに天井を見ていた。 必殺の間合いとタイミングで鬼を切り裂いたはず。 しかし、切り裂かれ膝をつく鬼を見ているはずの自分の方が、今は何故か地面に転がっている。
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82 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:48:52.16 ID:43xCdwDW0 -
目を離してはいない。 決して目を離してはいない。 鬼はあの瞬間、ぴくりとも動いてはいなかった。 こちらを向いていただけだった…… A | (◎) |「少し君を侮りすぎたかな?」 (;'A`)「は?」 壁際に押しやられ、ドクオの前に為す術がなかった鬼がゆるりと声を出す。 ドクオは瞬時に跳ね起き、戦闘の態勢を取る。 背筋に寒い物を感じながら鬼の言葉を聞いていた。 A | (◎) |「そういえば自己紹介がまだだったよね?」 (;'A`)「………」 鬼の声音は落ち着いている。 いきなり飛びかかってくるような素振りはない。
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83 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:49:08.72 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「僕は藤原千方の四鬼が一角・『風鬼』」 ('A`)「風……鬼?」 A | (◎) |「そう、風鬼 」 ドクオは理解する。 自分を吹き飛ばした物を理解する。 そして鬼の顔面に何故あのような大穴が開いていたのかも同時に理解した。 これは風穴だ……。 風を吹き出す……風穴。 A | (◎) |「覚悟はいいかい? 今からは僕も本気だ。悪いけど殺してしまうかもしれない 」 ('A`)「何だよ……。やっぱり手を抜いてやがったか……」
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85 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:49:24.74 ID:43xCdwDW0 -
全てを理解し、ドクオは逆に腹を括った。 今更泣き喚いた所で相手が弱くなるわけでもない。 相手が強いなら自分がそれを上回ればいいだけの事。 風鬼の風穴に空気が収束していく。 足元の細かい砂礫が舞い上がり、恐ろしい速度で風鬼の元へと吸い込まれていく。 ('A`)「来いよ!!」 A | (◎) |「君の事は……しばらく覚えておくよ 」 風鬼がそう言うと、風穴への空気の収束が止まった。 一瞬の静寂。 ―――そして、烈風が吹き荒ぶ――― △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
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86 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:49:45.01 ID:43xCdwDW0 -
▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ A_A 爪;゚Д゚)「………」 (´・ω・`)「うらうらうら……、よいしょ。うらうらうらうら……」 金鬼は弾幕の中戸惑っていた。 ショボンの手に握られている拳銃。 見た事はないが恐らく攻撃のための武器だろう。 しかし、金属質の体を持つ金鬼にとって、この武器の攻撃は痛くも痒くもない。 何も感じない、一切のダメージがないのだ。 それを相手も分かっているはずなのに一心不乱に撃ち続けている。 A_A 爪;゚Д゚)「何やってんだテメェ……?」 (´・ω・`)「う〜らうらうら……。ん? 攻撃に決まってるだろ。う〜らうら……よいしょ 」 言いながら空になったマガジンを交換し、更に発砲。 金鬼は無傷の優越感を通り越して、次第に不気味な物を感じ始めていた。
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87 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:49:59.68 ID:43xCdwDW0 - A_A
爪;゚Д゚)「へっ!! とうとう気が触れたかよ!! そろそろ潮時だな!! 大人しく食われやがれ!!」 (´・ω・`)「うらら〜うらら〜うらうら、よっと 」 金鬼の流れるような動きからの接近攻撃。 しかしショボンは甘んじて受ける事はなく、常に距離を取り続け発砲に没頭する。 その真意が汲み取れない。 A_A 爪;゚Д゚)「一体何なんだよぉー―――!!」 相手の攻撃は一切ダメージにならない。 しかしやる気がないと片付けるにはどうもおかしい。 着々と傷にもならない被弾を続ける金鬼は、ついに癇癪を起して地面を強烈に蹴りつけた。 轟音と共に揺れる足場。 金鬼が踏みつけた個所には大きなクレーターが出来ている。 分からない。ショボンの意図が分からない―――
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88 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:50:14.89 ID:43xCdwDW0 - A_A
爪;゚Д゚)「分かったよ!! 一思いに苦しまないように食ってやるから!! な!? お前もそれで良いだろ!?」 分からない、分からない、わからない、わからない…… ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ…… その力によりいつも何者よりも上位の側であった金鬼。 その金鬼が、抱いたことのない感情に捉われ始めていた。 ─── 一介の人間に恐怖を感じ始めていた。 (´・ω・`)「……う〜ぅらっと。そろそろ頃合いかな 」 ショボンの発砲が止む。 半狂乱に陥っていた金鬼は既に冷静な思考を失いつつあった。 不気味な攻撃の手が止み、心底ほっとする自分に気付き戸惑う。
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89 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:50:31.89 ID:43xCdwDW0 - A_A
爪;゚Д゚)「よ、良し。いい子じゃねぇかwww。その心意気に免じて楽に殺しt―――」 (´・ω・`)「ハァ? 何言ってるんだ、お前は?」 ショボンは肩をすくめ、呆れたように言い放つ。 金鬼はまたしても絶句し、硬直する。 今度は怒りからの絶句ではない。 単純にショボンが恐ろしかった。 (´・ω・`)「今の状況は口で説明するより身を以て理解した方が良いな。 1歩こっちに近付いてみろ 」 A_A 爪#゚Д゚)「テメェ!! ―――ッ!?」 魔としてのプライドか、人に対する優越感か、ショボンの命令口調に金鬼は激怒し飛びかかる。 いや、飛びかかろうとした。 出来なかったのだ。 金鬼は大きく転倒し、信じられない思いでそれを見た。 膝下からぽっきりと折れてしまった自分の足を。
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90 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:50:57.42 ID:43xCdwDW0 - A_A
爪#゚Д゚)「なっ!! ななな、何だこれはー―――!? テメェ!! オレに何をしやがった!?」 何も感じない。 本来ならば生まれて初めての激痛を味わうはずなのに何も感じない。 経験した事の無い体験。 (´・ω・`)「恐ろしいか? 恐怖も生まれて初めてだろう?」 ショボンの冷たい声が響く。 金鬼は何が起こったかすら理解出来ずにいる。 ただ確実なのは、このショボくれた顔の男が自分に『 何 か 』をしたという事実。 (´・ω・`)「『脆性破壊』というものを知ってるか? あぁ、知るわけないか 」 A_A 爪;゚Д゚)「ぜい……せい?」
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91 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:51:15.43 ID:43xCdwDW0 -
(´・ω・`)「そう、『脆性』。物質はな、超低温に晒されると極端に脆くなるんだ。金属もな 」 爪;゚Д゚)「低温だと? いつ……?」 (´・ω・`)「これだよ 」 ショボンは適当な場所に向けて1発の弾丸を発射する。 金鬼の目の前で、着弾箇所に一瞬のうちに氷が張った。 (´・ω・`)「魔が相手じゃ、並の弾丸では効果は薄いんでな。 どうやらお前の外皮にはあらゆる感覚がないらしい。冷たい事すら感じなかったろ?」
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92 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 22:51:33.55 ID:43xCdwDW0 - A_A
爪;゚Д゚)「テメェ……オ、オ、オレを一体どうする……」 (´・ω・`)「足がもげても痛がる素振りさえ見せない所を見ると、神経が完全に凍りついてるな。 冷気で痛覚が麻痺してるんだろう。良かったじゃないか 」 A_A 爪;゚Д゚)「いいいいいいい、一体いいいい、どどどうするつもりりりりり 」 ショボンは装填していたベレッタの破魔弾丸のマガジンを外し、新たなマガジンを入れた。 それは何の変哲も無い、ただのフルメタルジャケット。 魔に対して用いるには余りにも頼りない弾丸だが、この場合はこれで充分。 ショボンは銃口を、呂律が回らなくなり始めた金鬼の眉間に静かに向ける。 (´・ω・`)「『傷付けられた事がないから痛みを感じた事がない』だったか……?」 A_A 爪;゚Д゚)「オ、レを一、体どうす、るつも、りなんだぁ、ぁぁ、ぁ、ぁぁ、ぁっ!!!! 」 (´・ω・`)「お前は、痛みを知らないまま死ぬ 」 その場に響く1発の銃声。 その直後、砕けたガラスが粉々になるような音が辺りを貫いた。 △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
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95 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:04:18.38 ID:43xCdwDW0 -
▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ξ゚听)ξ「ツイてなかったわね、鬼さん 」 猛烈な水蒸気が場を包む。 その中でツンという少女は、何ら物怖じすることなく見るも恐ろしい鬼に話しかける。 その鬼は人外の余裕など、とうの昔に失い錯乱していた。 水鬼「馬鹿な!! そんな馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なバカナバカ……」 その鬼は水鬼。 藤原千方が四鬼、水を操る神通力を持つ鬼。 その力で、これまでに目の前の少女を何度も溺死させようと襲いかかったが…… ξ゚听)ξ「だから運が悪かったのよ。炎と水じゃ相性が最悪。 ゴメンね。アタシがパー。アンタはグー。 ってジャンケン知らないか 」
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96 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:04:36.01 ID:43xCdwDW0 -
水鬼の水は尽く蒸発し、現在は水蒸気として漂っている。 成す術もない。 そんな馬鹿な。 水鬼「ふざけるな!! オレは水鬼だぞ!! この世の全ての水を自在に操る水鬼だぞ!!」 炎を使う退魔師など、オレの前では成す術もない!! 飽きるほどに喰らってやったんだぞ!!」 ξ゚听)ξ「あらそう。残念だったわね。 この炎はこの世の炎じゃないの。 私の炎は阿修羅の炎……」 水鬼「おのれぇぇぇぇえー――!!!!」 かき消すことが出来るはずの炎に逆に飲まれる。 水鬼は無駄と知りつつも再び大量の水を召喚する。 鉄砲水として現われた水は、土石流となりツンに牙を剥いた。
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97 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:04:52.45 ID:43xCdwDW0 -
ξ゚听)ξ「阿修羅の炎は……」 濁流がツンの鼻先に触れようとする瞬間、彼女は両手を大きく外に開く。 一瞬にして駆け上がる場の温度。 炎に舐められ、かき消える濁流。 ξ゚听)ξ「地獄の業火!!」 蒸発する激流。 蒸発する水の鬼……。 △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
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100 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:09:25.67 ID:43xCdwDW0 -
▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ∧_∧ (*゚;;-゚)「のぅ? お主は穏形鬼じゃろう? 藤原千方が誇る四鬼最強の穏形鬼じゃろう?」 一つ大きな欠伸をしながらでぃは言う。 目の前には血濡れとなった漆黒の鬼、穏形鬼が肩で息をしながら立ち尽くしていた。 ∧_∧ (*゚;;-゚)「つまらぬ。最強の鬼が聞いて呆れるわ。 この程度の術が奥の手とは 」 穏形鬼「何故!? 何故我が姿が見える!? 我は影に潜み、影から殺す影の鬼ぞ!! 何故我が身体に爪牙が届く!?」 穏形鬼の体が二重三重にぶれる。 即座にぶれは実体と化した。 分身の術。 3人の穏形鬼がでぃに襲いかかる。
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- ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━
101 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:09:53.78 ID:43xCdwDW0 - ∧_∧
(*゚;;-゚)「所詮は幻術じゃろう? 実態のない物など夢と同じ。喰らい尽くしてくれようぞ 」 でぃは大きく開けた口を迫りくる穏形鬼達に向ける。 唸り声と共に息を吸い込んだでぃ。 その瞬間、3人の穏形鬼の内2人。 鬼の分身が体を崩し、紫煙となってでぃの口に吸い込まれた。 穏形鬼「この紫の煙は『獏』の夢食いの力!!やはり貴様……!!」 ∧_∧ (*゚;;-゚)「長く生きておるとな、このような力も使えるようになるのよwww」 『獏』とは悪夢を喰らう神の獣。 悪夢とは幻。幻とは幻術。 幻術を力とする穏形鬼は、まさにそれを主食とする力の前に戦う手段は無い。 穏形鬼「GUuuuuuOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」 満身創痍の穏形鬼が雄叫びを上げる。 その力の全てを使い生み出した分身の数、約100。 その全てがでぃに襲いかかる。
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- ( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━
103 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:10:56.85 ID:43xCdwDW0 - ∧_∧
(*゚;;-゚)「所詮は幻術じゃろう? 実態のない物など夢と同じ。喰らい尽くしてくれようぞ 」 でぃは大きく開けた口を迫りくる穏形鬼達に向ける。 唸り声と共に息を吸い込んだでぃ。 その瞬間、3人の穏形鬼の内2人。 鬼の分身が体を崩し、紫煙となってでぃの口に吸い込まれた。 穏形鬼「この紫の煙は『獏』の夢食いの力!!やはり貴様……!!」 ∧_∧ (*゚;;-゚)「長く生きておるとな、このような力も使えるようになるのよwww」 『獏』とは悪夢を喰らう神の獣。 悪夢とは幻。幻とは幻術。 幻術を力とする穏形鬼は、まさにそれを主食とする力の前に戦う手段は無い。 穏形鬼「GUuuuuuOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」 満身創痍の穏形鬼が雄叫びを上げる。 その力の全てを使い生み出した分身の数、約100。 その全てがでぃに襲いかかる。
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104 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:11:24.74 ID:43xCdwDW0 - ∧_∧
(*゚;;-゚)「分身をいくら出そうが無駄無駄無駄www。 ワシをなんと心得る?」 まともに戦えば軍隊さながらの戦力を持つ穏形鬼とその分身。 しかし、その絶対的な力にも拘らず鬼達は焦っていた。 早くこの猫を殺さなければ、為す術もなく喰われるのだ。 今も次々と向かって行った分身達が、哀れにも紫煙と化し吸い込まれて行く。 分身の大群は大量の紫煙となり、大量の紫煙は猫も分身も覆い隠す。 煙の中、目を凝らす穏形鬼本体。 その中でとてつもなく巨大な獣の影が蠢いた。 ∧_∧ ミ*゚;;-゚)「ワシは悠久を生きる猫又ぞ!!」 その大顎に噛み砕かれ、穏形鬼は二度と復活することのない永遠の淵へと消えた。 △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
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108 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:15:36.71 ID:43xCdwDW0 -
▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ('A`)「ぐ……痛ぇ……」 口から赤いものが混じった唾を乱暴に吐くドクオ。 吹き荒ぶ暴風に身を叩かれ、何度も地面に打ち付けた顔面は腫れ上がってしまっている。 半分塞がったドクオの両目は、それでも鋭い眼光を湛えていた。 A | (◎) |「驚いたな。まだ生きてるの?じゃ、サヨナr―――」 ('A`)「ちょっと待て!!」 A | (◎) |「何だい?」
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109 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:15:55.18 ID:43xCdwDW0 -
掌を風鬼に向けて制するドクオ。 それに大人しく従い、風を収める風鬼を確認してドクオはぽつりと言う。 ('A`)「やっぱりさ、不公平だと思うんだよ 」 A | (◎) |「何が?」 ('A`)「ホラ、オレッてただの人間だよ? 法力も超能力も無いただの人間。 ただの人間相手に風ビュンビュン吹かせてぶっ飛ばしたりってやっぱり卑怯じゃね?」 A | (◎) |「う〜ん。そう言われてみるとそうかも……」 ('∀`)「だろ!? お前の一生からしてみればクズみたいな人間のオレに、卑怯とか言われてるんだよ? ここは一先ずその風は封印して、1つ男と男のガチンコ勝負をだな!!」 A | (◎) |「君だって刃物隠し持ってたじゃん 」 ('∀`;)「う……」 A | (◎) |「手の内を最後まで隠すのは別に卑怯じゃないんじゃないの?」
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110 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:16:12.94 ID:43xCdwDW0 -
うすら笑いを浮かべていたドクオだったが、ここで表情を元に戻す。 同時に大きく溜め息をついた。 楽して戦う事は許されないようだ。 ('A`)「はぁ〜ぁ。ですよねー」 A | (◎) |「お互い持ってる駒は全部使わないと。死んでから後悔しても遅いよ?」 ('A`)「持ってる駒ねぇ……」 風鬼の一言を聞き、ドクオはコートのポケットに詰めてある物を探った。 分厚い紙の束が指先に触れる。 仄かに暖かいのは、その紙にはある法力が込められているから。 A | (◎) |「君は僕の『風』に匹敵する武器を最初に見せてくれたじゃないか 」 ('A`)「良いの? そんなにヒントくれちゃって。使うよ、オレ?」 A | (◎) |「まぁ、そっちの方が面白そうではあるし 」 ('A`)「へいへい。変な鬼だな、お前は 」
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111 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:16:32.75 ID:43xCdwDW0 -
コートの両ポケットから引っ張り出したドクオの両手には、数枚の護符が握られている。 信頼すべきブーンが、ドクオの為に書き上げた法力の護符だ。 不浄を焼き払う、不動明王の炎の真言が込められている退魔の護符。 ('A`)「風と炎か。どっちが強いかね?」 A | (◎) |「さぁwww。でも僕が昔殺した退魔師の中には炎を使う輩もいたよ?」 ('A`)「まぁ、いいや。じゃ、早速……」 真っ直ぐに風鬼を見据えるドクオ。 目は無いが、風鬼も自分を見つめていることをドクオは感じた。 時が止まったかのように微動だにしない両者。 そして凍りついたような静寂を打ち破るのはドクオ。 ('A`)「不動明王 火炎呪だ!!」 左手に掴んだ炎の護符を、一気に投げつけた。
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114 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:21:32.55 ID:43xCdwDW0 -
炎が破裂する。 急激に膨張した炎は空気を焦がし、眼前を覆い尽くす。 しかし炎は風鬼の顔の風穴から吹き出す突風にぶつかった。 A | (◎) |「良い炎だ……。本当に良い炎だよ!! でもね!!」 ('A`)「っ!!」 炎に覆われた視界が晴れる。 風で炎が引き裂かれて行く。 A | (◎) |「炎は風に捲かれるものさ!!」 炎を突き破った烈風は、ドクオの体を容赦なく打ち付けた。 その鈍器のような風圧にドクオは顔を歪める。 まさしく嵐といって差し支えのない暴風が吹き荒れた。
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115 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:21:59.60 ID:43xCdwDW0 -
('A`)「この……っ!! 野郎が!!」 それでもドクオは一心に護符を投げつける。 このままでは無駄だという事は分かっている。 A | (◎) |「それは無駄だって――」 ('A`)「これでもかよ!?」 A | (◎) |「ぬっ!?」 無駄だと分かっているからそこにもう一手加える。 ドクオは前方に投げつけた護符に、更に投げつけた。 投擲用の暗器、苦無。 苦無の群れは炎の護符を貫き、刀身に絡めたまま風鬼に迫った。 炎が荒れ狂う。 苦無の質量に乗せた炎は、風を刺し貫き風鬼に届く。 A | (◎) |「ぬ!! NUUUUUuuuuuuuOhhhhhhhhhAhhhhhhhhh―――!!」
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116 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:22:17.40 ID:43xCdwDW0 -
風を掻い潜った最初の1本が風鬼の体に刺さると、後りも吸い込まれるように鬼に襲いかかった。 魔に到達した不動明王の炎は、その身を焼き尽くさんと猛威を振るう。 瞬く間に風鬼は炎に包まれ、轟々と火柱が燃え上がった。 ('A`;)「ふっ、ぅっ……!! 見たか!! 人間を舐めるなよ!!」 視界が炎に染まる。 突風に晒され、巻き上げられ、打ちつけられたドクオのダメージは甚大。 一気に力が抜け膝を突く。 今になって足に強烈な痛みがある事に気付いた。 立ち上がろうと力を込めるがそれは敵わない。 知らぬ間に、ドクオの右足は折れていた。 ('∀`;)「へへ……へ……。名誉の負傷ってか 」 ドクオは立つ事を諦め、仰向けに寝転んだ。 ドーム状の茶色い岩の天井を見上げる。 その表情は痛みに歪むも勝利に酔っていた。
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120 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:28:51.88 ID:43xCdwDW0 -
瞼が落ち、視界を閉ざす。 ドクオは心地良い闇に身を任せていた。 しかしふと気付き目を開ける。 風が吹いている。 ('A`)「おいおいおい……。勘弁してほしいぜ……」 目を開けた先には未だに燻っている炎。 物を焼いた煙と臭いが漂ってくる。 しかし、風が吹いている。 A | (◎) |「……間違いなく僕が見た人間で十指に入る強さだ 」 ('A`)「ふぅ。だったら大人しく負けてくんねぇかな……」 地面に片膝を突き見上げるドクオの先には、全身が火傷で爛れた風鬼が仁王のように立っていた。 所々完全に炭化した皮はパックリと割れ、生焼けの筋肉が覗いている。 それでも鬼は立っていた。
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121 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:30:06.72 ID:43xCdwDW0 -
('A`)。o ○(残りの札は……、2〜3枚ってとこか ) 静かにポケットに手を突っ込んで中を探る。 残されたカードは少ない。 ショボンの言いつけを守るとするならば、今すぐ逃げ出したいところだ。 ('A`)。o ○(足がこれじゃ、速くは動けねぇ……。ちっ。死ぬかもな ) 思ったより頭は冷静に働いた。 死の予感に集中力を研ぎ澄まされたのか。 その集中力が何度も脳内で今後の展開のシミュレーションを行う。 ('∀`)。o ○(悪ぃショボン。オレ、死んだわ ) それがドクオの脳がはじき出した答えだった。
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122 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:30:23.70 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「こんなに楽しかったのは生れて初めてだよ……」 ('A`)「オレもだよ。色んな所が痛くなけりゃもっと良かった 」 A | (◎) |「残念だ。知り合ったのが人と暮らしてた昔だったら、良い友人になれたのかもね 」 風鬼は焼け爛れた顔の風穴をドクオに向ける。 炎で半壊したその風穴は、ぎこちなく風を集め始めた。 万全ではないにしても、人を殺すには十分すぎる風の力が収斂する。 A | (◎) |「ここまでだ。君を殺す 」 ('A`)「言ったはずだぜ? 人間はな、牛や豚と違って噛みつくんだよ!!」 ドクオがポケットから出した護符は3枚。 それが全て。 それで打ち止めだった。
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123 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:30:41.31 ID:43xCdwDW0 -
1枚目。 手を離れると同時に発火。 豪炎が燃え立つ。 ―――しかし突風に巻き上げられ、炎は無力と化す。 2枚目。 吹き荒れる大風の中、予め苦無に巻きつけた護符を投擲する。 風に捲られる札単体ではなく、重量に乗せて風を裂く。 ―――しかし烈風はその炎の暗器をも封じ、吹き飛ばした。 A | (◎) |「僕は鬼。所詮、人とは相容れない存在。 鬼は鬼らしく、君の命を貪り食らおう!!」
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124 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:30:59.44 ID:43xCdwDW0 -
風は止む事は無い。 その暴圧はドクオの肉を押し潰し、骨を軋ませる。 ('A`)。o ○(最後の1枚か……。……ん?) 暴風の中、何とか顔を動かして見た最後の護符。 何かおかしい。 何かが違う。 不動明王と書かれているはずのその護符には、違う神の名が書かれていた。 ドクオは頭を働かせる。 ごく最近、バーボンハウスであった出来事を思い返した。 『ここんトコ、間違えてるよ』 そして護符に手を加えた人間がいた。
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125 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:32:33.32 ID:43xCdwDW0 -
('A`)。o ○(荒巻のじいさんか!? あの時、この札を忍ばせたってのか!! ) 賭けるしかない。 他にカードは残されていないのだ。 どのような法力が込められているか知らないが、ドクオはこの1枚に全てを委ねると決めた。 ('A`)「ラストの1枚だ。これでアンタを倒せなきゃオレの負け。 殺すなり食うなり好きにしろよ 」 A | (◎) |「……すまないが……、正直喋る余裕がないんだ……」 ('A`)「へっ……。実はオレもなんだよ 」 両者口を噤む。 この間も風鬼の風は強さを増し続けていた。 結局喋ることなどもう出来はしない。
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126 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:32:59.19 ID:43xCdwDW0 -
正真正銘、最後の大暴風。 ドクオは足を踏み締め、地面に縋ろうとする。 しかし吹き飛ばされるのも時間の問題だった。 ドクオは右の拳の中に最後の護符をしっかりと握り込む。 体を締め付ける風。体を押さえつける強風。 その中で強く握り閉めた右手を真っ直ぐに相手に向けた。 その真言。 『帝釈天』の法力が込められた護符を───。
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128 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:33:35.99 ID:43xCdwDW0 -
('A`;)「な!! 何だこりゃぁ……!!」 轟音と閃光。 強烈な光が風の暴力を切り裂く。 稲妻が網膜を焼くほどに閃き、雷鳴が鼓膜を打ち付ける。 飛び出した雷は刹那の内に風鬼を強襲する。 A | (◎) |「ガがっ!!……ガガガガ!!」 電撃が体中を駆け巡り、内側から身を焼く。 そして行き場を失った電流は空気中へと放電した。 その様は、さながらフラッシュを連続して焚いたかのように周囲を白く鋭い光に染めた。
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130 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:33:57.50 ID:43xCdwDW0 - A
| (◎) |「………」 ('A`;)「スゲぇ……」 電撃の奔流が止んだ時、風鬼はもうそれ以上喋ることはなかった。 立ったまま、割れた皮膚や諸々の箇所から湯気を立ち上らせている。 鬼は間違いなく絶命していた。 ドクオは握ったままだった右手を見つめる。 あまりにも強く握っていたため、左手で指をこじ開ける必要があった。 ('A`)「『帝釈天 雷帝杵』か……」 勝てはした。 しかし運の要素が大きい。大きすぎる。 ドクオはこの現実に直面し、同時に自分に落胆した。 (#'A`)。o ○(チクショウ……、マグレ勝ちだ。このままで良いワケがあるかよ!!) △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
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132 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:34:44.32 ID:43xCdwDW0 -
▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ドクオが決着を付けた頃、ブーンとジョルジュの待つ場所では1つの事象が起こった。 部屋の中央に積み上げられていた石の塚が突然崩れ、その後に脈々と続く黒いトンネルが現れた。 入口から覗く限り、松明の様な物に灯された青い炎が足場を照らしている。 ここからでは出口を見る事は出来ない。 _ ( ゚∀゚)「行くわよ 」 ( ^ω^)「おうだお!!」 2人は微塵の躊躇も無くその中へと飛び込んだ。 入口が開いたという事は、4人の仲間達がそれぞれの役割を果たしたという事。 ショボンもドクオもでぃも、そしてツンも。 走る。 四鬼を復活させ、百鬼夜行を支配下に置くモララーの元へ。 皆が開いてくれた道。 その先に何が居ようと必ず打ち倒すことを心に誓い、ブーンは一心不乱に疾走した。
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134 : ◆FnO7DEzKDs []:2008/05/29(木) 23:35:54.42 ID:43xCdwDW0 -
( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━ ――――第一章・クソジジイの指令・地獄の1丁目へようこそ―――― 〜その2、四鬼結界〜終
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