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528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 12:41:02.69 ID:55s0CV/sO - スレ立て依頼ですぇ―
題:【砂山】川 ゚ -゚)は死を賜るようです【全星】 本文:ご自由に お願いしま―
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531 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 12:48:42.82 ID:55s0CV/sO - >>530
ありがとうオプーナ お礼に今度ワゴンで見つけたら買うよ、wii持ってないけど
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- 【砂山】川 ゚ -゚)は死を賜るようです【全星】
5 :死賜 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 12:53:05.43 ID:55s0CV/sO - ( ^ω^)「乗っ取りktkr」
ξ゚听)ξノシ「>>2、一話100レス×11話だよ、頑張ってね」
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533 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 13:13:13.48 ID:55s0CV/sO - オプーナには悪いんだが、スレ乗っ取られたんで
>>528をもう一度立ててもらえないかな?
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535 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 13:18:41.04 ID:55s0CV/sO - >>534
いや……オプーナへの礼を考えてたらさ……スレの一桁代殆ど埋められててさ…… 今からやるとどこから始まってるか解らなくなる、と思うんだが、異端かな?
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538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 13:29:53.47 ID:55s0CV/sO - >>537
自分もそう思う だから再度依頼したなんだ
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543 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 13:40:24.76 ID:55s0CV/sO - >>540
いや……まぁ、確かにそうだけど。 でも、読んでみてまあまあ面白かったし、それなり盛り上がってたから、アレはこのまま静観しておこうと思うんだ。 スレ立て出来なくて人が頭下げて頼んだのを乗っ取るんだから、こっちもそれなり楽しませてもらわんと
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551 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 14:00:42.53 ID:55s0CV/sO - >>547
ほんと、あなたの言う通り、自分いつもスレ立て出来んから代理してくれる人には感謝してる。 少なくとも人のスレを乗っ取りするような基地外よりかは上だと思うが。まぁVIPでは良くある事 あと、乗っ取り終わったみたいなんで投下してくんわ。お騒がせしてサーセン ノシ
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29 :死賜 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:07:47.85 ID:55s0CV/sO - ( ^ω^)ノシ
「おいすー」 ξ゚听)ξノシ ( ^ω^)「改めて、>>1さん代理さんきゅ」 ξ゚听)ξ「乗っ取り終わったみたいなんで始めるわよ。 ……素直に読んでみて面白かったからもっと続けて欲しかったけどね」 ( ^ω^)「コホン、『川 ゚ -゚)は死を賜るようです』、新連載だお」 ξ゚听)ξ「現行? 何それ美味しいの?」 ( ^ω^)「後でとやかく言われるとアレだから最初に言っておくけど、元ネタアリだお。 もし、途中で気付いてもネタバレはしないで欲しいお」 ξ゚听)ξ「因みに、この話は全11話の中編よ」 ( ^ω^)「とはいえ、一話一話が長い上に第二話の書き貯めすら無いがな」 ( ^ω^)ノシ 「見切り発車でハジマルヨー」 ξ゚听)ξノシ
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31 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:10:35.55 ID:55s0CV/sO -
童心に戻って、公園の片隅でひとり砂山を作りあげる。 ぼんやりと鼻歌いながら。 もう桜も散り始めてるいうのに。 私の肌を刺そうとするように、夜の空気は冷え込んでいく。 真っ暗な空に浮かぶ満面の星達が、その殺節な風景を照らしだす。 私はポカンと呆けながら、自然に湧いてくるその思いを口から紡いだ。 ――涙とめどなく溢れくる それは、破滅の序曲。 ――ひとりすずかけの並木道 だが、同時に一筋の光が見えた。 ――君と幸せになると信じてた しかし、そんな風に考えてしまう汚れた自分が恨めしかった。 愛の灯火が 嗚呼 逃げてゆく
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34 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:13:00.12 ID:55s0CV/sO -
川 ゚ -゚)は死を賜るようです track-1「慕情」
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36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 14:14:50.03 ID:55s0CV/sO - >>32
意外に謙虚でビックリしたwww 自分が投下する度にその話投下してくれると嬉しゼ
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38 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:18:15.89 ID:55s0CV/sO -
もう四月になるというのに、吐き出す息が白くなる。 川*゚ー゚)「行ってきまーす!」 朝の澄んだ空の中へ、明るい少女の声が溶けてゆく。 lw´‐ _‐ノv「はい、行ってらっしゃい。 お父さんはもう先に行ったからね」 可愛らしい少女を見て、母親は優しく微笑む。 そんな、どこにでもある日常。 いつもと変わらない風景。 lw´‐ _‐ノv「クー、早くしないとキューに置いていかれるわよ」 わかってるさ、と小さく頷く。 ローファーの踵に突っ込んでいた靴べらを抜き取ると、瞬間、走り出す。 私の体は、朝日に照らされた景色の中に溶けていった。
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40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/02/20(水) 14:20:30.16 ID:55s0CV/sO - >>37
>>29見ての通り全くメドがたっておりませんwwサーセンwwwwww まぁ、スレ立ててるの見かけたら投下後とかに。 以下、ハイパー投下に専念タイム
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41 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:22:46.95 ID:55s0CV/sO -
川*゚ー゚)o「ねぇお姉ちゃん、テスト勉強はかどってる?」 くたびれた通学路を共に歩いていると、隣りに並び歩く少女が声をかけてきた。 可愛らしい笑顔。 綺麗に手入れされた艶の出だ黒髪。 そのつぶらな瞳に、私の姿が映っている。 川 ゚ -゚)「……あぁ」 小さく頷いてみせる。 川*゚ー゚)「そっか〜、サスガだなお姉ちゃんは。 私なんか今度の国語が古文全然でさ〜」 少女は予想通り、私の動作を見るなり自身の事情を話す事にへと興味を移していく。 本当は、ここ最近は勉学よりも他の事で頭が一杯なのだが。
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42 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:25:10.15 ID:55s0CV/sO -
川*^ー^)o「でね〜、この間伊藤さんがね〜」 いつの間にか彼女は友人との身内話を始めていた。 その能天気な笑顔を見ていると、何故か細かい事はどうでも良い様に思えた。 彼女の名前は、キュー。 私の自慢の妹である。 私達姉妹は顔が良く似ている。 いわゆる『一卵性』の双子である。 小さい頃から同じ場所同じ時を過ごしてきた自分達は、お互いの事を良く理解している。 性格は違うように見えても根本的な所は同じで、例えば二人共自分の思っている事はハッキリ言う。 二人のただ一つ違う点と言えば、「姉」と「妹」という所だ。
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44 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:28:21.72 ID:55s0CV/sO -
4人家族の中、のびのびと明るく生きてきたキュー。 長女として将来我が家守るという責務がある、自分。 17のこの歳になるまでに、次第に物事を見る目が冷めていった。 川*^ー^)「〜〜」 天真爛漫な妹の表情を眺めていると、正直羨ましいくなってくる。 偶に、 「あぁ、母さんの中から先に頭を出したのが、私ではなくこの子だったら」 と思う事がある。 しかし、くだらぬ想像をする度に、私はしっかりと自分を戒める。
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45 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:29:22.95 ID:55s0CV/sO -
私はキューの姉だ。 もし妹に何かあったら、彼女を守るのはこの私なんだ。 川*゚ー゚)「……どうかしたの?」 私が自分の中で禊ぎを行っていると、妹が何か察知したのだろうか。 彼女は不思議そうにして、私の顔を覗き込んできた。 川 ゚ -゚)「……いや」 川*゚ー゚)「いや?」 キューが私の呟きを復唱する。
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46 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:31:41.06 ID:55s0CV/sO -
川 ゚ -゚)「……まぁ、逆子だったらしいからな」 川*゚ー゚)「へ?」 キューは私の戯れ言に感づく素振りをみせない。 一瞬ヒヤッとしたが、それが直ぐに苦笑となった。 つくづく、母さんには苦労をかける。 彼女はそれ程鋭くはない。どちらかと言うと、鈍い。 きっと私から向けられた憧れの眼差しなど、未だ気付いていないだろう。 私は静かに微笑むと、妹の先にへと歩み進んだ。 川*゚ー゚)、「あ、待ってよ〜」 私は自分を追いかけてきた妹と共に、アスファルトで舗装された道をゆっくりと歩いていった。
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47 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:35:32.47 ID:55s0CV/sO -
高校へと通う道は、最後まで徒歩だ。 私達姉妹が通う公立高校は、自宅から徒歩10分ほどで非常に近い。 色々と事情があるのだが、皆でこの高校に通うと決めた理由の一つはこれである。 川*´ー`)「は〜、なんかこんな時間からもう疲れてるよ〜」 川 ゚ -゚)「……夜更けまで携帯をいじくり回してるからだ」 ……一応、こう見えて2人共に部活にも入っている。 妹はこの体たらくだが、彼女は剣道部、私は柔道部と共に運動系だ。 昔から近所の幼なじみとよく外で遊んでいたので、割と体は動ける方だった。 川*゚ー゚)「……あ」 道中、小さな交差点に行きあたったところで、疲れ顔だったキューの表情が再び活気を取り戻す。
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48 : ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:38:09.06 ID:55s0CV/sO -
その瞳に映っているのは、「皆」で我が校に通う事を決めた、彼なのだろう。 川*^ー^)ノ「えへ〜、お〜い、どっく〜ん!」 キューは満面の笑みで、私の見知った男の元へと駆け寄っていった。 軽やかな足取りで、キューが彼の元へ駆け寄っていく。 私は相変わらずのマイペースで歩みを進めながら、その様子を静かに眺めていた。 ('A`)「……おせーぞ、砂尾」 彼は私の顔を見ると、私の名字を口にした。
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49 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:40:35.36 ID:55s0CV/sO -
川*^ー^)、「ごめ〜ん、ちょっと遅れちゃった〜」 ('A`)「……キュー、どーせあの後夜更かして寝坊したんだろ。 全く、ちゃんと早く寝ろって注意したのに……」 川*´ー`)「えへ、バレちゃったか」 どうやら、彼女の昨晩のメールの相手は、彼だったらしい。 信号機横にもたれかかって私達を待っていたのは、幼なじみのドクオ。 彼は「独毒男」という珍しい名前の持ち主である。 私達が幼い頃は、キューと一緒に彼の名を見て「異邦人」や「ベトベトン」などからかってたものだ。 だが、彼は歴とした純血の日本人だ。 本来なら私達が言えたものではない。
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51 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:43:08.31 ID:55s0CV/sO -
彼は名前もそうだが、少し他人とは違う。 ('A`)「ほら、こんな所で時間くってると遅刻するぞ。サッサと歩け」 川*゚ー゚)「あ、置いてかないでよ〜」 内向的というか卑屈というか。 自分の思っている事を素直に話さない。 そういう面では、私達姉妹とは180度趣が違ってくる。 彼にとっては、他人とは違う奇特な名前や、恵まれない体格を持った自己への保身の手段なのだろう。 しかし、根は真面目でイイ奴だ。 そうでなければ、いくら近所に住むからと言って10年以上も友達付き合いを続けてはいなかっただろう。
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- 【砂山】川 ゚ -゚)は死を賜るようです【全星】
52 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:45:36.03 ID:55s0CV/sO -
('A`)「……なにボーっとしてんだよ、砂尾」 キューの横に歩いていたドクオが、遅れている私の方へと振り返る。 川 ゚ -゚)「……いいや」 私は呟くと、直ぐに彼らの後を追う。 三人で、淡い花びらを咲かせた桜並木の坂道を、急ぎ足で登って行く。 坂の下から吹き上げてくる風にスカートをが捲れる。 川;゚ー゚)「キャッ!」 (;'3`)=゚・゚、「ブッ」 川 ゚ -゚)「……貴様」 (;'A`)「み、見てない! 砂尾のは見てない!!」 川 ゚ -゚)「……そういう問題じゃない」 彼の赤ら顔を軽くつねる。 憂鬱な今の気分では、彼の私の呼び名さえどうでも良く思えた。
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53 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:48:20.99 ID:55s0CV/sO -
学舎に着けば、もまた今日もつまらない一日が始まった。 /,' 3「……で、あるからにして……」 白髪の混じった爺が、何かもごもごと言いながら黒板に白墨をこすりつける。 教室の中は至って静かで、鉛筆の動く音しか聞こえない。 自分らの高校は地元ではそこそこの進学校であった。 その為、義務教育の頃とは違い、生徒の授業態度も良く、騒がしい雰囲気が苦手な私にはその点では良かった。 川*゚ -゚)(む〜) まぁ、彼女には退屈以外の何者でもなかったようだが。 後ろの私の席より、少し離れた教卓の前で、キューが退屈そうに教科書を眺めている。 そんな彼女の不満そうな顔を眺めていると、私の心に溜まっている鬱憤が晴れていく。 いじらしい彼女の表情を眺めていると、この先の心配事さえ、どうでも良く思ってくるから不思議だった。
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55 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:50:44.99 ID:55s0CV/sO -
/,' 3「それじゃあクーさん、ここを読んで下さい」 不意に、爺から指名される。 川 ゚ -゚)「……はい」 静かに返事をして、椅子から立ち上がる。 川*>ー<)ー☆「……!」 私の名が呼ばれたのを見て、キューが嬉しそうな顔をしてこちらに振り向いた。 きっと彼女は応援の意を込めてウインクをしているつもりなのだろう。 しかし、片方の目を閉じるものを両目を瞑ってしまっている。 川;>ー<)「〜っ! 〜っ!」 彼女が必死に片目を開けようとしているのが滑稽で、思わず笑い出しそうになってしまう。 そんな衝動を堪え、私は教科書に綴られたくたびれた文字達を読み上げる。 川 ゚ -゚)「……私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでも先生と書くだけで本名は打ち明けない。 これは世間を憚る遠慮と言うよりも、その方が私にとって自然だからである―――」 窓の外の空が、雲に覆われてゆくのが見えた。
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56 : ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:53:57.81 ID:55s0CV/sO -
('A`)「……どうしたんだよ、そんな浮かない顔して」 昼休み。 隣のクラスからやって来たドクオが、パンを頬張りながら話しかけてきた。 川 ゚ -゚)「……」 私はドクオの問いかけに答えず、黙々と箸を口元にへと運び続ける。 川*゚ー゚)「……ほら、次はウチのクラス、体育なんだよ」 隣りに座っていたキューが、ほっぺたにご飯粒をつけながらもごもごと喋った。 ('A`)「……あぁ、そっか。 お前らのクラスの体育担当って、長岡先生だっけ」
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58 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:56:09.78 ID:55s0CV/sO -
ドクオは私達の気落ちした顔を見て、黙り込む。 彼は私達が落ち込む理由を知っているから、それ以上は何も言及してこない。 ( ^Д^)「なんだよ、気にする事ないじゃん。 先生が実のお父さんだからって」 昼食の輪の側に、プギャーが机を寄せてきた。 彼は私とキューのクラスメートで、クラスの中でも明るく目立った存在であった。 ('A`)「……プギャー、あんまり大きい声でそれを言うな」 ( ^Д^)「なんでだよ? 別にいいじゃん、本当の事なんだし」
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59 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 14:59:12.19 ID:55s0CV/sO -
ドクオがプギャーを見て顔をしかめた。 プギャーは私達が抱える問題を知らない。 川*゚ー゚)、「……プギャーくん。 他の人の目が気になるから、あまり長岡先生の事、私達の前で言わないで欲しいな」 はっきりと嫌悪感を示すドクオの横で、キューが優しく微笑みかける。 ( ^Д^)「えー、何でだよ? 実の親なんだろ? 家族なんだから大切にしろよ!」 まぁ、プギャーの言う事は正論である。 我が身をこの世に繰り出してくれた父母には、子供が感謝するのは至極当然であり、責務である。 しかし、私達には父親に対してそれができない理由があった。
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60 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:02:05.10 ID:55s0CV/sO -
我々の高校の体育教師、長岡。 私とキューの遺伝的観念に基づいた実の父親である。 私の本名は、砂尾九。 かつての国民的スターから取ったというその名前を付けたのが、長岡である。 まぁ、そんな話はどうでもいい。 普通に考えれば解ると思う。 ( ^Д^)「……」 しかし、このお調子者のお気楽な脳味噌では、その複雑な事情に気付けてないようだった。
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61 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:03:40.53 ID:55s0CV/sO -
私達双子と、父親の名字は違う。 私とキューの名字は母親の物である。 10年前、長岡とシュールは離婚した。 原因は父親の浮気らしい。当時から教師であった父が、実の教え子に手を出したようだ。 しかもその事実が発覚した後、学校とグルになって手を出した女性徒の家族に金を渡し、隠蔽したらしい。 普段物静かな母はその真相を知り、激昂した。 即座に離婚届を叩きつけ、長岡を家から叩き出したのだ、と、母から聞いた。 唐突に、昼休みの終わりを知らせる予鈴が鳴った。
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62 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:05:51.11 ID:55s0CV/sO -
川*゚ー゚)「……そろそろ着替えにいかなきゃ。お姉ちゃん、いこ」 壁に掛けられた時計を見ながら、キューが呟く。 私は静かに頷き、使っていた机を元の場所にへと移動させた。 プギャーも私達の内に流れる重たい空気を知れない呑気な顔をして、のこのこと教室から出ていった。 ('A`)「……クー」 先に出ていったキューの後を追おうとしたところ、ドクオの小さな声が耳に入ってきた。 川 ゚ -゚)「……なんだ」
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63 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:11:21.82 ID:55s0CV/sO -
('A`)「あんまり気にすんな。 プギャーが馬鹿なだけで他の奴らはみんな解ってるよ」 彼の口から放たれた言葉は、気休めの物であった。 いや、彼は精一杯私を励ましてくれているのだろう。 彼の言う通り、プギャー以外のクラスメートは私達の前で長岡の話をしようとはしなかった。 彼等なりの、私達への気遣いの仕方なのだろう。 川 ゚ -゚)「……解ってるさ」 しかし、私の心に広がるのは焦燥であった。 川 ゚ -゚)「しかし、あんな風に何の思慮も遠慮も無く言ってくれる奴がいると、少しはこっちも気が楽になるのさ」
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64 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:12:53.56 ID:55s0CV/sO -
精一杯の、笑顔を作る。 自分では見れないので解らない。 それを見ているドクオには、果たして自分の顔は果たしてどのように映っているだろうか。 川 ゚ -゚)「心配してくれて、ありがとう」 そう小さく言って、私は足早に人の少なくなった教室から去っていった。 私が運動場に着いた頃には、もう既に生徒達がランニングを行っていた。
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65 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:16:31.81 ID:55s0CV/sO -
( ゚∀゚)「……遅いぞ、クー」 砂の上に描かれたトラックの外側で、一人の男がこちらを見つめていた。 禿かかった頭で、いかにも好色そうな笑い顔をした中年男。 ジャージ着て出席簿を持った小太りのあの男が、長岡だ。 川 ゚ -゚)「すいません」
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66 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:17:13.51 ID:55s0CV/sO -
目を合わせずに、素っ気なく言い放つ。 すると案の定、彼は声を荒げた。 ( ゚∀゚)「……おい。 テメェ、教師に向かって生意気な態度とってるんじゃねぇよ」 彼の戯れ言を聞き流しながら、私はしゃがんで靴紐を結び直した。 (#゚∀゚)「おい! 聞いてんのかテメェ!?」 冷静を装っている私を見て、視界の片隅に映る彼の醜悪な顔がどんどん赤くなっているのが解った。 川;゚ー゚)「お姉ちゃん!」 騒ぎを聞きつけて、ランニングをしていた集団の中からキューが飛び出してきた。
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67 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:21:02.02 ID:55s0CV/sO -
私の側に来たキューが、息を切らせながら長岡に頭を下げる。 川;-ー-)「す、スイマセン! ほら、お姉ちゃんも謝って!!」 グランドの上を走っている生徒達の視線を感じる。 私は駆け寄ってきていきなり謝罪を促したキューに、不快感を感じた。 川 ゚ -゚)「何を謝れと言うのだ? ちょっと遅刻しただけだろう、その事は既に謝っておいたさ」 川;-ー-)「お姉ちゃん!!」 (#゚∀゚)「クー……テメェ、調子に乗ってんじゃねーぞ!!」 私の素っ気ない態度を目前にして2人が声を荒げた。
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68 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:23:00.57 ID:55s0CV/sO -
私はそれを尻目に、何とも無いように上着をブルマの中から出した。 私は、この男が嫌いだ。 この男のせいで、あの真面目な母親が散々苦労した。 長岡と離婚した母は私達姉妹を抱えながら、生活保護を受ける事もなく必死に働いていた。 そんな様子の母を見たにもかかわらず、この男は母から私達の親権を剥奪しようと裁判をけしかけたしたらしい。 母は貧しさに喘ぐ傍ら、私達を守る為に必死に長岡と闘った。 それというのも、長岡が私達姉妹を取ろうとしたのが、己のテゴメにしようとしていたからだと解っていたからだ。 自分の生徒に手を出したこのロリコン男の欲望は底知れない。 この体操着だってそうだ。 体育教師兼、私達第二学年の学年主任として、職員会議でこの年からブルマを復活させようと提案したらしい。 長年この高校に勤めてきた彼の発言力は高い物らしく、すんなりとその要望は通された。
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70 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:26:37.11 ID:55s0CV/sO -
全くもって、反吐が出る。 「長岡先生、どうかなさいましたか?」 私を凝視する2人を無視して、上着を翻えし去ろうとすると、ある人物と鉢合わせした。 ( ゚∀゚)「……ああ、ナベちゃんか」 長岡は目前の初々しい体操着姿の少女を見て、尖らせていた唇を卑猥に歪めていった。 从'ー'从「クーちゃんもどうかしたの?」 今まで体育倉庫に行っていたのか、その手にはリレーで使うだろうバトンが数本握られていた。
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71 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:28:37.05 ID:55s0CV/sO -
彼女は私達のクラスの委員長、渡辺さんである。 川 ゚ -゚)「……いや、何でもないさ」 私が素っ気なく言って立ち去ろうとすると、長岡のうざったいどもり声が耳に入った。 ( ゚∀゚)「ナベちゃ〜ん、聞いてくれよ〜! この糞ッタレの倅が、俺に向かって生意気な態度とってくるんだよ。どうしたらいいかな?」 長岡が気持ちの悪いニヤケ面で渡辺さんに話しかけているのは振り向かなくてもわかる。 ( ゚∀゚)「ホント、こんな事ならこいつら産まなきゃ良かったよ。 俺が偶々引っ掛けた女と寝た時にそいつが妊娠しやがってな。面倒な事になったもんだよ」 川*゚ー゚)「……」 キュー、こんな人間の戯れ言などそんな真面目に聞かなくていい。 人としての道を外し、恋人であった我が母にも見捨てられ、落ちるとこまで落ちた糞っ垂れだ。
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- 【砂山】川 ゚ -゚)は死を賜るようです【全星】
73 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:33:11.09 ID:55s0CV/sO -
同情する余地も無い。 せめて、この学校という狭い空間の中でその滑稽な権力という物を揮ってればいいのさ…… ( ゚∀゚)「ったく、あの腐れ女。 俺の金目当てでこいつら産みやがったな。どうしようもねぇ奴だ」 ぼそりと吐き出した長岡の言葉が、私の耳元に入った。 川;゚ー゚)「お、お姉ちゃん止めて!!」
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74 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:35:01.04 ID:55s0CV/sO -
川#゚ -゚)「……離せ」 私はとっさに、長岡に向かって拳を振り上げていた。 私の変容にいち早く気付いたキューが、私の体を抑え込む。 ( ゚∀゚)「なんだよ、クー。教師に向かって暴力たぁ見上げた根性だな」 川#゚ -゚)「黙れ、ゲス野郎。 私達への文句ならいい、だが母さんへの悪口だけは許さん!」 この腐れ外道から母への苦言など言語道断。 極めて腹立たしい。 私の怒りは上限を越え、ただただこいつの呆けた顔面に一発を入れてやりたい欲望が為に、キューの拘束と格闘していた。
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75 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:36:49.59 ID:55s0CV/sO -
そんな様子を見て、渡辺さんが割って入ってきた。 从'ー'从「はいはい、喧嘩はそこまで。早くしないと授業時間が勿体無いですよ」 渡辺さんは私の視界を遮るように目前に立ちはだかると、長岡に振り返った。 从'ー'从「先生、それより今日の夕方空いてます?」 (*゚∀゚)「おっ、なんだいナベちゃん。デートのお誘いかな?」 川#゚ -゚)「調子に乗るn……」 川;゚ー゚)「お姉ちゃん、しーっ」 長岡の妄言を聞いて自然に吐き捨てそうになった言葉を、キューに遮られた。
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76 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:39:26.51 ID:55s0CV/sO -
从^ー^从「えへへ……デートじゃないんですが…… 今度の文化祭で使う用具の買い出しに付き合って欲しいんです」 (*゚∀゚)「おぉ、そうか。なんてったってナベちゃんのお願いだ、先生喜んで引き受けるぞ〜」 渡辺さんが長岡と会話を始めた時。 不意に、渡辺さんが私達に向かってウインクした。 川 ゚ -゚)「……!」 その意図が私に伝わったのを確認すると、彼女は再び長岡と話しだす。 从'ー'从「それじゃあ、今日の四時半に昇降口の前で……」 川*゚ー゚)(渡辺さん……長岡先生の気を逸らしてくれたんだね) 隣りのキューの呟きが微かに聞こえた。
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77 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:41:55.58 ID:55s0CV/sO -
川*゚ー゚)「……お姉ちゃん、今のうちに」 キューにエスコートされ、私は長岡達の元からさり気なく離れていった。 川 ゚ -゚)「……」 川*゚ -゚)「もう、あんまり学校で長岡先生といざこざ起こさないでよね」 無言で歩く私を見て、キューが苦言を漏らす。 私はそれに答えずに、黙々とグランドの上を歩き続けた。 何故、私達があの傍若無人な男に気を遣ってなければいけないのか。 一度、アイツを袋叩きにして懲らしめてやった方がいいのではないだろうか。 最近の私の頭の中には、いつもそんな思いが渦巻いていた。 しかし、我慢をしていればこの平穏な日常が保たる事も解っていた。 キューもそれは解っているのだろう。 彼女だって、長岡の母への悪口は頭に来ていたに違いない。
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78 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:44:38.64 ID:55s0CV/sO -
苦労して私達を育て上げてくれた母への悪口など、平気で聞いてられる訳がなかった。 だが、しかし。 それでも、この平凡な高校生活を送るのには、長岡の存在を我慢するしかないのだ。 川 ゚ -゚)「……彼女には借りが出来てしまったな」 長岡と明るく会話話をしている渡辺へと目をやる。 どうしてあの男とあんなに楽しそうに出来るのか不思議でしょうがないが、それも彼女なりの私達への気遣いなのだろうか。 どのみち、彼女に助けられたのは事実だ。 あのままでは、本気で殴り合いが勃発してもおかしくなかった。 今は心の中で、彼女に礼を述べた。 川*゚ー゚)「そうだね。後で御礼言っておかないとね」 キューが私を見てはにかんだ。
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79 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:46:21.20 ID:55s0CV/sO -
放課後。 私達姉妹は渡辺さんの元へ礼を述べに行った。 从'ー'从「ううん、気にしないでいいよ」 彼女は明るくそう言ってくれた。 クラスの委員長として、彼女は前から良く複雑な家庭環境の私達に気を遣ってくれていた。 そんな彼女には、とても言葉だけでは感謝しきれない。 容姿端麗で成績優秀。 クラスの委員長をやりながら新聞部の部長をも勤めるスーパーウーマン。 それでいて人格者というのだから、全くもって頭が上がらない。
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81 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:52:44.99 ID:55s0CV/sO -
('A`)「よぉ」 渡辺さんと別れた後、キューと一緒に廊下を歩いているとドクオが話しかけてきた。 川*゚ー゚)ノ「おーっす」 キューが明るく応えるのを尻目に、私は無言を貫く。 ('A`)ノ「おーっす。キューは今日部活だっけか?」 川*゚ー゚)「うん、そうだよ。 今日は格技場で6時まで剣道部の練習があるから、お姉ちゃん達は先帰ってていいよ」 キューの言葉を聞いて、黙っていた私はポツリと呟いた。
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83 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:54:46.77 ID:55s0CV/sO -
川 ゚ -゚)「……いや、今日はお前を待ってるよ」 私はそう言って、ドクオを見据えた。 川*゚ー゚)「え? でも、まだ2時間もあるし……」 川 ゚ -゚)「ドクオと一緒にいつものゲーセンで待ってるさ」 そう言ってドクオを見つめる。 彼は、まんざらでもないような表情をしながら頭を掻いた。 f('A`)、「ん……まぁ、今日は俺らも部活無いし、別にいいよ」
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84 :「慕情」 ◆ZB7B4XJvSk []:2008/02/20(水) 15:56:21.56 ID:55s0CV/sO -
キューを見送った後、ドクオと2人で通学路を歩く。 ('A`)「……」 川 ゚ -゚)「……」 お互いあまり話す方ではないし、特に語るべき事も無い。 ただ、黙々と歩みを進めていっていた。 ふと、私達が二番目の曲がり角にさし当たった時、ドクオが話しかけてきた。 ('A`)「砂尾」 相変わらず私には名字で呼ぶドクオ。 しかし、それはいつもの事なので、大して気にもならない。 川 ゚ -゚)「なんだ」 素っ気なく、言葉を返した。
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