- 名探偵○○○
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 17:43:19.23 ID:4EnfX+bw0 - 名探偵 哀牙 星威岳
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 18:53:25.46 ID:4EnfX+bw0 - 投下します。立つかな?
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 18:54:08.29 ID:4EnfX+bw0 -
少しだけ昔、あるところに、小さなパン屋がありました。 (´・ω・`) 「ふー、疲れた。……今日もお客さん、来なかったな」 狭くて、暗い、路地裏。 一見、パン屋とはわからない寂れた外観。この店に寄ってくるのは、ショボンから、余ったパンを与えられる、数匹の野良猫だけです。 (´・ω・`) 「きっと、僕の腕がまだまだ未熟なんだ」 まだまだ、歳の若い店主、ショボン。 彼は、パンを作ることは、得意でしたが、お店を繁盛させることは苦手でした。 なので、この店に閑古鳥が鳴く原因は、自分の実力のせいだと、ショボンはいつも思っていました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 18:56:14.51 ID:4EnfX+bw0 -
ある日、ショボンは、あることを思いつきました。 (´・ω・`) 「今までにないような、新しいパンを焼こう。そうすれば、お客さんが来てくれるかもしれないぞ!」 ショボンは、真っ白な調理服に着替え、ちょっと頭の高いコック帽をかぶります。 そして、ショボンは、せっせとパンを焼く作業を始めるのでした。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 18:58:09.14 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:00:19.22 ID:4EnfX+bw0 -
二時間後、とうとうパンが焼きあがりました。 チーン、という心地よい音とともに、大きな竈の扉が開かれます。 (´・ω・`) 「どれどれ……」 ( ^ω^) ホカホカ (´・ω・`) 「やった! うまくいったぞ!!」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:02:05.72 ID:4EnfX+bw0 -
( ^ω^) 「それは良かったお!」 (´・ω・`) 「ああ! やった! やった!」 ( ^ω^) 「やったお! やったお!」 (´・ω・`) 「……」 ( ^ω^) 「……」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:03:53.43 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`) 「さて、試食してみるか」 ( ^ω^) 「うわ、待てなにをs」 なんとも奇妙なことです。 なんと、ショボンが焼き上げたパンは、自由に喋ることができたのです。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:06:33.69 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`) 「よし、ひとまず食べるのはやめよう」 ( ^ω^) 「ご理解感謝するお」 (´・ω・`) 「質問しようか。君は、なんで喋れるんだい?」 ( ^ω^) 「VIPクオリティ、って言葉知ってるかお?」 (´・ω・`) 「ウ゛ィップ? なんだい、それ?」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:08:47.88 ID:4EnfX+bw0 -
( ^ω^) 「新参乙wwww 半年ROMれ」 (´・ω・`) 「えーと、ジャムとナイフはどこにあったかな……」 ( ^ω^) 「正直スマンカッタ」 ちょっと生意気な、このパン。 ショボンは、名前をつけることにしました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:10:44.56 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`) 「しかし、名前をつけるには特徴がほしいね……。ソーセージをぶっさしてみるか」 (;^ω^) 「ちょwww おまwww 無理はやめ、やめる……アーッ!」 (´・ω・`) 「よし、完成」 ⊂( ^ω^)⊃ 「……。両側から突き出たソーセージが、ちょっと格好いいお」 (´・ω・`) 「まるで、両手を広げてるみたいだね。今にも、大空を飛びそうだ」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:12:36.64 ID:4EnfX+bw0 -
⊂( ^ω^)⊃ 「!! まじかお! 空も飛べるのかお!? じゃあ、いっちょ飛んでみるお!」 (´・ω・`) 「よし、いくんだ!」 ⊂(*^ω^)⊃ ブーン!! 威勢の良い掛け声とともに、パンは大空へ飛び立ちました。 ……そんなわけがなく、パンは微動だにしません。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:15:27.07 ID:4EnfX+bw0 -
⊂(;^ω^)⊃ 「あれ、どうしてだお?」 (´・ω・`) 「まあ、しょうがないよ。人間やパンは、自力では飛べないもの」 ⊂(;^ω^)⊃ 「そうなのかお……?」 (´・ω・`) 「でも、大丈夫さ。ブーンは飛べるよ。なんたって、僕が腕によりをかけた最高のパンだからね」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
25 :>>24修正[]:2008/01/16(水) 19:16:07.44 ID:4EnfX+bw0 -
⊂(;^ω^)⊃ 「あれ、どうしてだお?」 (´・ω・`) 「まあ、しょうがないよ。人間やパンは、自力では飛べないもの」 ⊂(;^ω^)⊃ 「そうなのかお……?」 (´・ω・`) 「でも、大丈夫さ。君は飛べるよ。なんたって、僕が腕によりをかけた、最高のパンだからね」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:18:01.35 ID:4EnfX+bw0 -
⊂(*^ω^)⊃ 「ほ、本当かお!? じゃあ、もっと頑張ってみるお!! 僕は大空を飛ぶんだお!!」 ⊂(*^ω^)⊃ ブーン! ブーン! ブーン! (´・ω・`) 「ふふっ、おかしなパンだ」 何度も、何度も、「ブーン」と叫び続ける姿。 それを見て、不思議なことにショボンは、いつかブーンは空を飛べるんだろうな、と思いました。 そして、ショボンはこのパンを「ブーン」と名づけることにしました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:20:13.44 ID:4EnfX+bw0 - それからというもの、この店は徐々に活気付き始めました。
それは、ある一枚のチラシがきっかけでした。 『やあ (´・ω・`) ようこそ、バーボンハウスへ。 このクロワッサンはサービスだから、よく噛んで食べて、落ち着いて欲しい。 うん、「パン屋」なんだ。済まない。 ア○パ○ンの顔も、リサイクルって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、この店を訪れたとき、君は、きっと今まで見たことのない 「喋るパン」みたいなものを見られると思う。 殺伐とした世の中で、そういうドキドキを忘れないで欲しい、 そして、「この店がもっと繁盛してほしい」そう思って このチラシを配ってるんだ。 じゃあ、注文を聞こうか。 ショボン 』
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:23:10.49 ID:4EnfX+bw0 -
この一風変わった内容と、「喋るパン」という物珍しさから、お客さんが増えるようになったのです。 一旦広がった噂は、更に人から人へと伝わり、また更に……。以前は山のように余ったパンも、今では不足するほどです。 気がつけば、ショボンの店はこの町で一番のパン屋となっていました。 しかし、人気とは常に移り変わるものです。 数ヶ月たったころには、新たにこの町にやってきた「ひろゆき・ベーカリー」に客を奪われてしまったのです。 (´・ω・`) 「……」 ⊂( ^ω^)⊃ 「……お客さん、来ないおね」 (´・ω・`) 「……しょぼーん」 ⊂(;^ω^)⊃ 「き、気にすることないお! きっと今に、お客さんは集まるお!」 そんなブーンの励ましもあってか、ショボンのお店は以前ほどではないものの、ある程度の活気は感じられるようになりました。 しかし、大量に刷ったチラシは高い高いお山となっていました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:24:56.21 ID:4EnfX+bw0 -
そんなある日、ショボンはあることに気がつきました。 (;´・ω・`) 「……なんてことだ」 ⊂( ^ω^)二 「どうしたんだお?」 (;´・ω・`) 「ブーン、ソーセージの片方の先っぽ、どうしたんだい?」 ⊂( ^ω^)二 「お?」 ⊂( ^ω^)二 ジー ⊂(^ω^)二
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:26:43.76 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`) 「これは困ったな。お客に、イタズラでもされたのか?」 ⊂( ^ω^)二 「それは無いと思うお。ここのお客さんは、みんな優しいお」 (´・ω・`) 「ふむ……」 結局、原因はわかりませんでした。 しょうがないので、ショボンは以前のソーセージを抜き、新しくチョリソーをブーンに突っ込んでやりました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:28:27.37 ID:4EnfX+bw0 -
⊂二( ^ω^)二⊃ 「おー、前よりも強そうだお!」 (´・ω・`) 「ああ、この腕なら、より高く空を飛べそうな気がしないかい?」 ⊂二(*^ω^)二⊃ 「夢が広がりんぐ!!」 ブーンの両腕は、以前よりも逞しく、また一歩空に近づいたような気がしました。 心なしか、大量にあったチラシも少しだけ減ったような気がしました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:30:40.20 ID:4EnfX+bw0 -
それからのショボンのお店は、大変な日々を送っていました。 あるときは、全くお客さんはきません。またあるときは、それが嘘のようにお客さんがたくさんやってきます。 その状態が、ここ数ヶ月続いているのです。 ショボンは、材料がもったいないので、お客が来てからパンを焼くようになりました。 (´・ω・`) (不思議だな……) ショボンは、このことを不思議に思っていました。 しかし、いつもギリギリの生活を送っていたので、いつしかそのことは気にしないようになりました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:33:30.82 ID:4EnfX+bw0 -
もう一つ、不思議なことがありました。 それは、ブーンのことです。 (´・ω・`) 「またか……」 二( ^ω^)二 「寝てる間に、減ってたみたいだお」 (´・ω・`) 「君も寝るんだね」 二( ^ω^)二 「自慢のチョリソーも、これでは役立たずだお。取り替えてくれお」 (´・ω・`) 「了解」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:35:52.04 ID:4EnfX+bw0 -
ブーンの体は周期的に、一部分が欠けるようになっていました。 その度に、ショボンは綺麗にしてあげます。しかし、日がたつと必ずどこか欠けているのでした。 (´・ω・`) (どこの悪がきのイタズラかね……) 奇妙なことにショボンは、ブーンの体が欠けるときの現場を見たことがありませんでした。 なので、いつしか犯人を、その場でとっ捕まえようと考えていました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:38:23.55 ID:4EnfX+bw0 -
そして、そのときはやってきました。 それはショボンが、ブーンをさっそく綺麗にした、その日の晩でした。 (´・ω-`) 「おや……?」 最近、お客さんも入っておらず、ついつい空腹から、ショボンは目を覚ましてしまいました。 すると、夜中だというのに、誰もいないはずの厨房から物音がするのです。 唯一いるとしたら、それはパンのブーンだけです。しかし、彼はパンです。動けるはずがありません。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:40:27.04 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`) 「こいつだな、犯人は」 ショボンは、ピン、ときました。 そして、フライパンを両手で抱きかかえると、足音を立てずに厨房へと向かいました。 薄暗い厨房に、人影はありませんでした。 そのかわり、それがいました。一匹の野良猫が。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:42:17.28 ID:4EnfX+bw0 -
( ФωФ) 「……」 その猫は、ただ静かにブーンを見つめていました。 その眼は、暗闇の中、煌々と光を放っています。 (´・ω・`) (猫か。ちょっと厄介だな) 野良猫は危機的状況に敏感で、非常にすばしっこいものです。 ショボンは、しばらく様子を見ることにしました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:44:54.37 ID:4EnfX+bw0 -
( ФωФ) 「……ニャオ」 その猫はブーンに噛み付くわけでもなく、襲い掛かるわけでもなく。ただ、ブーンに向かって鳴いているだけでした。 すると、どうでしょう。 突然その猫は、ブーンの横に置かれたチラシを、十数枚口に咥えました。 そして、そっとブーンのいる台へ飛び乗ると、尻尾を使いブーンを背中へと乗せたのです。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:47:07.17 ID:4EnfX+bw0 -
( ФωФ) 「ニャー」 ⊂二( ^ω^)二⊃ 「ありがとうだお。さあ、今日も行くかお」 (´・ω・`) (今日も……?) そして、ブーンと野良猫は、そっと窓から出て行きました。 ブーンの言葉に引っ掛かりを感じたショボンは、ばれないように後を追うことにしました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:49:10.59 ID:4EnfX+bw0 -
一匹の猫と一つのパンは、真夜中の街を馴れた足取りで、スイスイと進んでいきます。 (´・ω・`) (一体、なにをしているんだろう?) ショボンはあれこれと思索しながら、彼らの背中を追っていきます。 でもそれは、ショボンに隠しつつやっているのだから、きっと良くないことなのだろう、とショボンは考えていました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:51:22.63 ID:4EnfX+bw0 -
辿り着いた先は、ちょっと裕福な人たちが住む住宅街でした。 もちろん、真夜中ですので明かりを灯している家は、ほとんどありません。 (´・ω・`) (……) ( ФωФ) 「……」 ( ^ω^) 「……」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:53:16.97 ID:4EnfX+bw0 -
しばらく、沈黙が続きました。 その沈黙は、どれくらいの長さだったのでしょうか。 きっと短かったはずですが、ショボンにとっては、とても長く感じられました。 それは、突然の出来事でした。 少し待たされて、ぼーっとしていたショボンでしたが、いきなりの甲高い音に意識をはっきりさせられました。 ( ФωФ) 「アオーーーーーーン!!」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:55:59.58 ID:4EnfX+bw0 -
長い、長い。 高い、高い。 そして、どこまででも届いてしまいそうな、響きのある鳴き声。 そして、それが合図になったかのように、あちこちの家から光が漏れ始めました。 次々に開かれる、玄関。そこから出てくる人々はみんな、ブーンと猫のもとへと寄ってくるのです。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 19:58:45.06 ID:4EnfX+bw0 - すいません、飯なので少しだけ席をはずします
すぐ戻ってくるので、ちょっと待っててくれたらありがたいです ごめんなさい
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:19:39.81 ID:4EnfX+bw0 - お待たせしました、保守ありがとうごじゃいます
続きいきます
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
105 :>>87からの続き[]:2008/01/16(水) 20:22:05.01 ID:4EnfX+bw0 -
「あら、ひさしぶりね」 「もうこんな時期かしら」 「相変わらず、可愛い猫ちゃんと、素敵なパンね」 ( ФωФ) 「ニャオ」 (*^ω^) 「おっおっお!」 不思議な光景でした。 一匹の猫がビラを咥えながら、人々の間を行き来します。 人々はそのビラを手に取り、「明日行くわね」と、猫に向かってウインクするのです。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:24:42.33 ID:4EnfX+bw0 -
(;^ω^) 「みなさん、明日はサービスデイですおー!! 是非、是非バーボン・ハウスにいらしてくださいおー!」 ブーンも、負けじと声を張り上げます。 猫の背中に乗りながら、人々に向かって、一生懸命に……ショボンのお店を、アピールするのです。 (´・ω・`) 「……」 (´・ω・`) 「……!」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:26:51.66 ID:4EnfX+bw0 -
ショボンは、気づきました。 お客さんが全くこない時期、急にお店が繁盛する時期。それが何故、交互にやってくるのかを。 最近は、全く客はやってきていませんでした。 (´・ω・`) (明日は……きっと、たくさんのお客さんが来るのだろう) ショボンは、発見を、確信へと変えました。 そして……。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:29:09.66 ID:4EnfX+bw0 -
(´;ω;`) 「ブーン、ありがとう……」 静かに、涙を流しました。 一粒、口の中に流れ込んだ涙は、不思議と温かいものでした。 そして急いで店にもどり、翌日の準備を始めることにしました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:31:55.61 ID:4EnfX+bw0 -
(;´・ω・`) 「……」 ショボンは、額に汗を浮かべながら、一生懸命に作業をこなしました。 そして日が昇る頃には、今までにないくらい良い仕上がりのパン達が並べられました。 (´・ω・`) 「これで、よし。……ん?」 店の外から、物音が聞こえます。 恐らく、ブーンと猫が戻ってきたのでしょう。 ショボンは、ブーンの心遣いを無下にしてはいけないと思い、そっと身を隠しました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:34:05.00 ID:4EnfX+bw0 -
それから、十分が経ちました。 しかし、ブーンの姿は未だ厨房に現れません。 疑問に思ったショボンは、外へ様子を見に行くことにしました。 ( ФωФ) 「……」 ⊂二( ^ω^)二⊃ 「……」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:36:44.19 ID:4EnfX+bw0 -
そこにいたのは、やはりブーンと野良猫でした。どうやら、三匹の子猫もいるようです。 猫とブーンは、お互いを見つめています。 そして、猫がゆっくりとブーンに近づき――ブーンの片腕を、その牙で、食いちぎりました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:40:30.23 ID:4EnfX+bw0 -
(;´・ω・`) 「なにをするんだ!!」 ( ФωФ) 「!!」 ⊂二(;^ω^)二 「……!!」 ショボンは、思わず叫んでしまいました。 そして、すばやくブーンに近づき、そっと抱きかかえます。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:43:26.42 ID:4EnfX+bw0 -
(#´・ω・`) 「 いつも、ブーンを傷つけていたのは、お前だったのか!!」 (#ФωФ) 「フーッ!」 ショボンが、思わず片手をふりあげた、そのとき―― ブーンが、大声で、叫びました。 ⊂二(#^ω^)二 「やめるお!!」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:46:05.18 ID:4EnfX+bw0 -
(;´・ω・`) 「!?」 ⊂二(#^ω^)二 「腕を、下げるお!!」 (;´・ω・`) 「……けど、現にその猫は、ブーンの腕を」 ⊂二(;^ω^)二 「……」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:48:25.18 ID:4EnfX+bw0 -
(;´・ω・`) 「……」 ⊂二( ´ω`)二 「これには、わけがあるんだお……」 ブーンは、ゆっくりと、ことの顛末を話し始めました。 言葉がおかしかったり、ろれつが回らなかったりしながらも、ブーンは一生懸命喋りました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:51:24.09 ID:4EnfX+bw0 -
⊂二( ^ω^)二 「僕は、パンだお。ただの、パンだお」 (´・ω・`) 「いや、君は特別だ」 ⊂二( ^ω^)二 「ちょっと喋れるだけだお。本当なら他のパンと同じ、食べられる運命だったんだお」 (´・ω・`) 「……」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:54:09.44 ID:4EnfX+bw0 -
⊂二( ^ω^)二 「でも、そんな僕に、情けをかけてくれた人がいたお」 ⊂二( ;ω^)二 「生意気な僕に、名前をつけてくれた人がいたお」 ⊂二( ;ω;)二 「ただのパンである僕に、大空を飛べると言ってくれた人がいたお」 (´・ω・`) 「……」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 20:56:43.73 ID:4EnfX+bw0 -
⊂二( ;ω;)二 「そんな人に、僕の親に、恩返しをしたいと思ったお。だから、ブーン目当てに、客が集まったときは、すごい嬉しかったお。 でも、すぐにブーンは飽きられたお。すごく悔しかったお。なにか、できることはないかと考えたお。 だけど、僕はただのパン。一人じゃ、歩くことさえできない。……そんなときに、助けてくれたのが、この猫だったお」 ブーンは野良猫に顔を向け、顔をふきふき、ニコリと笑います。 野良猫はそれに答えるように、一声「ニャー」と鳴きました。
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 21:00:53.09 ID:4EnfX+bw0 -
⊂二( ^ω^)二 「僕を背中に乗せ、チラシを口に咥え、住宅街に向かったお。ちょっとばかりお金を持ってそうな、住宅街に。 みんな、優しかったお。そしていつしか、僕たちが来るのがお決まりにのようになっていたお。 みんな、ちゃんと店に来てくれたお。そんなとき僕の中が、すごくホカホカになっていったお!!」
|
- (´・ω・`)ショボンが不思議なパンを焼くようです
181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[]:2008/01/16(水) 21:03:54.57 ID:4EnfX+bw0 -
(´・ω・`) 「……ああ。でも、どうして? 何故、ブーンの体を、その猫に与えたんだ?」 ショボンが質問すると、どうでしょう。 それまで、順調に話していたブーンの口調に、少し陰りが生じました。
|