- また冤罪か?疑問残る「白バイ警官死亡事件」有罪判決 2
145 :朝まで名無しさん[sage]:2008/07/09(水) 07:08:35 ID:D1i3oOxC - 平成19年6月7日 高知地方裁判所 判決(禁錮1年4月〔求刑禁錮1年8月〕)
平成19年10月30日 高松高等裁判所 判決(控訴棄却) 「第3 控訴趣意中,事実誤認の主張について 論旨は,被告人が,被告人車を運転して右折のためD地点でしばらく停止していた時に,被告人車に 被害者車が衝突してきたものであって,被告人には過失がないのに,被告人が,B地点で右方道路を 一瞥したのみで右方道路から進行してくる車両等はないと軽信し,左方道路に注意を奪われ,右方道路 から進行してくる車両の有無及びその安全確認不十分のまま発進したため,C地点で被告人車を右方 道路から進行してきた白バイに衝突させたと認めた上,被告人には過失があるとして被告人を有罪とした 原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある、というのである。 そこで,記録を調査して検討するに,原判決が,その挙示する証拠によって,被告人には過失があると して被告人を本件業務上過失致死の事実につき有罪としたのは正当であり,また,その「事実認定の 補足説明」の項において説示するところもおおむね正当として是認することができる。若干,補足すると, 実況見分調書(原審甲2),写真撮影報告書(同甲23)等の関係証拠によれば,次の事実が認められる。 すなわち,被告人車と被害者車の衝突現場は,ほぼ南北に通じる片側2車線の国道上で,双方に更に 右折レーンが設けられた変形四差路交差点内である。 被告人車は,国道の西側に存する路外施設から国道を南方向に進行するため,B地点でいったん停止 した後,北行き車線の横断を開始し,最終的にD地点で停止し,他方,被害者車は,北行き第二車線を 進行し,被告人車と衝突後,C地点で転倒停止した。なお,B地点付近から北行き車線右方向の見通し 可能距離は,98メートル以上であった。」
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146 :朝まで名無しさん[sage]:2008/07/09(水) 07:10:50 ID:D1i3oOxC - >>145のつづき
「そして,衝突現場付近の路上の状況をみるとD地点で停止した被告人車の左右前輪の接地面の 中央からそれぞれ西(後)方に向けてやや右に流れるように長さ約1メートルあるいは約1.2メートルの 2条のスリップ痕様のものが存し,また,被告人車の右前輪右側付近にアスファルト路面の表面を硬い もので削ったような複数の擦過痕が存し,その中には,南北方向に短く形成されながら,突如転向して 東向きに長く形成されてC地点まで伸びているものも存し,さらに,被告人車の,右前輪後方に被害者車 から脱落した赤色回転灯のカバーが,東(前)方に多数の細かな破片等が存し,被害者車から漏れたと みられる液体も広がっていた。 なお,写真撮影報告書(原審甲23)の2枚日(表紙部分を含む)表上段,中段,3枚目表下段,4枚日表 下段,同裏上段,中段,5枚日表下段,同裏上段,中段,14枚日表全部,15枚日表上段,中段等の 写真によれば,スリップ痕様のもの及び擦過痕は,衝突直後から存しており,殊にスリップ痕様のものは 被告人車のタイヤと続いていることが明らかである。 他方,衝突現場には被告人車内の上記生徒や教員のほか野次馬等もいる(同2枚目裏中段,3枚目表 上段等)中,警察官が被告人を逮捕して警察署に引致し,現場に戻すまでの間にねつ造し得る状況では なかったから,スリップ痕様のもの等をねつ造した疑いは全くない。 次に,被告人車及び被害者車の損傷状況をみると,被告人車は,右前面が凹損し,前部バンパーが 右から左に押し込まれたように挫屈し,右ヘッドライト上部に水平な線状の擦過痕が存するなどしており, また,被害者車は,右側にある前後のバンパー,排気管及びマフラーに擦過痕が存するなどしている。 このような路上の状況並びに被告人車及び被害者車の損傷状況に加え,これに符合していて十分に 信用することができる本件事故を目撃した白バイ隊員のA隊員の原審供述等によれば,上記スリップ痕様の ものは被告人車によって形成されたものであり,上記擦過痕は被害者車によって形成されたものであって, 捜査官がねつ造したものではない。」
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147 :朝まで名無しさん[sage]:2008/07/09(水) 07:12:45 ID:D1i3oOxC - >>146のつづき
「このスリップ痕様のものと擦過痕,被告人車及び被害者車の損傷状況によれば,被告人車と被害者車との 衝突地点は,C地点を進行中の被告人車の右前部付近であり,算定書(原審甲26)によれば,その時の 速度は,被告人車が時速約10キロメートル,被害者車が時速約60キロメートルであったと認められる。 なお,算定書は,物理の専門家が作成したもので,計算の過程が物理学の基本原理に則っており,また, 摩擦係数や衝突により重心点のずれる角度について採用された数値も適切であって,十分信用することが できる。 これに反する被告人,証人S,証人C及び証人Bの各原審供述は,いずれも信用することができない。 そうすると,被告人は,西側に存する路外施設から国道の北行き車線を横断して,南行き車線に進入 しようとして,北行き第二車線上であるC地点を進行中に同車線を進行中の被害者車と衝突しているが, このような場合北行き車線に進入してから横断を終えるまで,北行き車線を進行する車両の有無,及び その安全確認を十分にしなければならないことは当然であり,北行き車線右方向の見通しもそれなりに 良好であって,被告人は,上記安全確認を十分にしていれば,被害者車に容易に気付いて衝突を回避し 得たものである。 それにもかかわらず,被告人は,衝突するまで被害者車に全く気付かなかったのであるから,被告人には 上記安全確認を十分にしなかった過失かある。」 「(2)被害者の過失について 所論は,原審弁護人が,弁論の際に,被害者には前方不注視の過失がある旨指摘したのに,原判決は それに対する判断を示していない,と主張する。 しかしながら,被害者に過失があったか否かは,被告人に過失があったか否かと直接関係がないから, 原判決が,被告人の過失を認定した理由を説示する際に被害者の過失に触れなくても問題はない。なお, 原判決は,「量刑の理由」の項で,「被害者にも前方注視義務が課せられる状況にあった」と判示している。 その他所論にかんがみ,更に記録を調査,検討しても,原判決には事実の誤認はない。論旨は理由が ない。」
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148 :朝まで名無しさん[sage]:2008/07/09(水) 07:15:26 ID:D1i3oOxC - >>147のつづき
「第4 控訴趣意中,量刑不当の主張について 論旨は,原判決の量刑は重すぎて不当であり,被告人に対し刑の執行を猶予すべきである, というのである。 そこで,記録を調査し,当審における事実取調べの結果を併せて検討するに,原判決の量刑 及び「量刑の理由」は相当として是認することができる。 すなわち,本件は,被告人が,大型乗用自動車を運転し,西側に存する路外施設から国道の 南行き車線に進入するため北行き車線上を横断するに当たり,北行き車線右方向から進行してくる 車両の有無及びその安全確認を怠った過失により,自車を北行き第二車線を進行してきた自動 二輪車に衝突させて同車の運転者(当時26歳の男性)を跳ね飛ばして転倒させ,その結果,同人に 胸部大動脈損傷のけがを負わせ,その約1時間後に同人を上記けがにより死亡させたという 業務上過失致死の事案である。 職業運転手であった被告人の過失が大きい上,人一人の尊い命を奪った結果が重大で, 妻と幼子二人を残し,26歳という若さで突然非業の最期を遂げるに至った被害者の無念さは 察するに余りあり,さらに,その遺族の処罰感情も未だに厳しい。 しかも,被告人は,平成12年12月以降,交通違反歴2回を有しており,交通法規に対する 遵法精神が希薄である。 加えて,被告人は,被告人車が停止していたところに,被害者車が衝突してきたなどと衝突現場の 状況等に反する不合理な弁解をして責任を免れようとしており,真摯な反省の情に欠けている。 これらによれば,被告人の刑責は軽くないから,被害者にも前方不注視の過失があったといえること, 被告人が,被害者の冥福を祈って供養をしていること,運転手として働いていたのに,本件で運転免許が 取り消されたため退職を余儀なくされたこと,家庭には妻がいること,前科を有しないこと,被害者遺族に 対しては,近い将来保険等によって相当の財産的給付がなされることなど,被告人のために酌むべき 事情を十分考慮しても,本件は刑の執行猶予を相当とする事案とは認められず,刑期の点においても, 被告人を禁鏑1年4月に処した原判決の量刑が不当に重いとはいえない。」
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152 :朝まで名無しさん[sage]:2008/07/09(水) 13:51:29 ID:D1i3oOxC - 「6 被告人の過失等について
(1)視認可能性について 所論は,C地点が衝突地点としても,被告人は,被害者車を視認し得ず,予見・回避可能性が なかったから,被告人には過失がない,と主張し,その論拠として,B地点から被害者車が進行 していた北行き第二車線右方向の見通し可能距離は約98.6メートルであったが,被害者車は 時速約100キロメートルで進行していたから,被告人がB地点で右方を確認した時点では 被害者車は視界に入らず,被害者車が時速60キロメートルで進行していたとしても,被害者車が 衝突現場直前まで進行しなければ視界に入らなかった,と指摘する。 しかしながら,既に説示したとおり,被告人が国道西側に設置された路外施設から南行き車線に 右折して進入する際,北行き車線右方向から進行してくる車両等の有無及びその安全確認義務を 課せられていたのは,北行き車線に進入してから同車線の横断を終えるまでの間であって, B地点に限られない上,被害者車の速度は,時速約60キロメートルであったから,所論は前提を 誤っている。 そして,被害者車が時速60キロメートル(秒速約16.7メートル)で進行していれば,B地点付近からは 衝突の約5.9秒前に被害者車を視認し得たもので,被告人車がC地点直前に至るまでの間に右方を 確認していれば,容易に被害者車の進行に気付くことができ,また,最高でも時速約10キロメートルで 被告人車を進行させていた被告人にとって,被害者車に気付いてから被告人車を停止させて被害者車との 衝突を避けることは容易であった。 このように,被告人が北行き車線右方向から進行してくる車両等の有無及びその安全を確認していれば, 被害者車を容易に視認し得たもので,予見・回避可能性があったから,被告人に過失があったことは 明らかである。」(>>147後段につづく)
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