- なんでこれが全米一位なの?って曲4
309 :ベストヒット名無しさん[ayw]:2019/10/07(月) 22:59:50.17 ID:0WyHtgRY - 東京からわずか十三里半の所に“気違い部落”がある。
といっても、まともな気違いが住んでいるわけではない。 貧乏な中で色と慾をむき出しにした農民生活が、 “気違い沙汰”にみえるので人々はこう呼んでいる。 機屋の因業親爺良介、高利貸又一、この二人の親方を中心に 十四世帯の集落は統一されている。 親方の権力は絶対で、集落の掟は国の法律より優先することさえあった。 ある日、頑固者の鉄次は、昔祖父が集落に寄付した神社の境内が まだ登記されていないのを知って、自分の土地だと縄張りをして耕しはじめた。 親分連は鉄次の暴挙に腹を立てたが、彼は平気だった。 良介一家は鉄次とのつきあいを断った。 何んでも屋の三造夫婦も、酒好きの仁太、自転車屋の助夫、 鉄次の伯父甚助までもこれに加わった。 結局鉄次の家は村八分にされてしまった。 これに一番困ったのは鉄次の娘お光だった。 彼女は自家の敵の息子で、東京へ出稼ぎに行っている次郎と恋仲であった。 駐在さんの骨折りも一切無駄だった。 お光は肺病になり、集落に帰って来た次郎に頼まれた駐在は ストマイを安く買ってやった。 お光は一時はよくなったが、冬を迎えてポックリ死んでしまった。 鉄次が薬代のもとを取ろうとして、残りをヤミ売りしてしまったからだ。 誰ひとり弔う者もない寂しい葬式の翌日、家出して東京に発つ次郎は いい働き口があると鉄次を誘った。 次郎は「こんな村にいたって、百姓は雑木と同じだ。狭い土地に根を下し、 木材と養分の取りっこをしたとて何になる、先祖のして来たことの繰返しだ」 と、しかし鉄次は「ここを捨てたとて、日本中どこでもおなじだんべ」といった。
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