- 甦れ!横溝正史スレ
872 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/12/03(土) 21:07:45.82 ID:lIX6k7/D - >>871
君も同好の士であったか!(w ディヴァインが御大の作を読んでいたとするのは、 突飛な主張であるのはわかったと思うけど、 両者共に直接あるいは間接に、英国十八番の怪奇小説・ゴシックロマンの影響下に あると見るのは十分に可能だ。 海外作家であるディヴァインに関しては先達の影響を論じるまでもないが、 御大に関しては、自身で明言しているのは、絵双紙や読本の影響ではあるが、 怪奇やドロドロを書いても、どこかすっきりした面もある作風は、 海外作品の読破の影響と考えられる。 更に、愛読した綺堂作品は、半七はホームズが念頭にあったものだし、 スマートな作風を特色とする綺堂の怪談には英国怪奇小説の影響を見て取ることが出来る。
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- 江戸川乱歩2
346 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/12/03(土) 21:09:39.23 ID:lIX6k7/D - >>345→ちゃう、ちゃう(w
>>344 ミッチー=都筑道夫。これでわかった?
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- 【清張史】松本清張-12-【発掘】
236 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/12/03(土) 21:16:53.22 ID:lIX6k7/D - >多作であるにも関わらず、何読んでも一定の水準の質を
>保っているのも凄いちゃ凄い。 この評価はよく聞くものだが、やはり長編に関しては出来・不出来の差は 非常に大きいものがある。 しかし、繰り返し批判対象としている御都合主義モード満載な作品群にしても、 着眼点は面白いものであったり、細かいトリックに見るべきものがあったりと、 全く箸にも棒にもかからないような作は皆無かもしれぬ。 まあ、活動期間の長さを考慮すれば、これは凄いと言えば凄い。
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- ディクスン・カー(カーター・ディクスン) Part12
461 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/12/03(土) 21:18:40.18 ID:lIX6k7/D - 久々にディクスン・カー「死者はよみがえる」を読む。
うーん、大乱歩が高評価したのが、いまだに納得がゆかない凡作としか 言いようがない。 ジョンが後に手を染める時代活劇の世界でならともかく、現代本格ミステリで 反則技を堂々と使ってはいかんでしょ。 事件の舞台がロンドンの近代的なホテルと郊外の邸宅に分割されているのも、 ストーリー展開上の都合からとはいえ、落ち着きを欠くものがあり、 十八番の密室殺人もなく、不可能犯罪とまでもゆかない不可思議犯罪程度 のネタのせいもあって、優れたストーリーテラーであるジョンを以ってしても、 中盤で退屈してしまうような面もあった。 また、鉄の処女見立ての残虐な殺人はあるものの、オカルティズム色は皆無なのも、一層、本作を地味なものにしているという感あり。 終盤、夜の墓場での対決シーンは、それなりにスリリングだが、ここに至る 展開がアホ過ぎるし(犯人と警官を間違うとか・・・) 作中、ギディオンやハドリーが過去の事件「三つの棺」「マッドハッター」 「盲目の理髪師」に軽く言及するシーンがあるが、かえってこれらの傑作を 思い出し比較してしまう結果となり、本作に対する評価がシビアにならざるを 得ないのは逆効果であった。 評価は高くないが、ジョン作品らしいトンデモぶりは堪能出来る「剣の八」 (終盤、この作にも言及される)よりも面白みがないという感あり。
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- 『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7
263 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/12/03(土) 21:21:02.29 ID:lIX6k7/D - 泡坂妻夫「蔭桔梗」を読む。
平成に入ってからの、表題作による直木賞受賞は少し驚きであった。 今更感もあったし、もうこのビッグタイトルには縁無し、稀代のパズラー という存在で記憶される作家なんやろうかと思うていたのだ。 作者の家業である紋章上絵師等の東京の職人たちを主人公にした作品が主 として収録され、各話が簡潔に纏まった作品集。 謎解きや怪談含みの展開の作があるのは、いかにもこの作者らしくもある。 まあ、遊び心に徹したミステリと同様に、読み手により評価が分かれる「本」 であろうか。俺はさほど面白いとは思わず。 では、そろそろ大好評な収録作品全話講評逝ってみようか!!! 「増山雁金」 表題に掲げられた紋にまつわる秘められた物語。 上絵師の目を通して遠まわしに語られるのが、かえって印象深い。 「遺影」 イェーイ!とか言う椰子は正直言うて「アホ」である(w 職人談ではなく不倫ネタ。 最後に幻想談へと転じてゆくのがわざとらしい感あり。 「絹針」 着物の仕立屋談。これも過去の恋バナネタ。それだけという感もある。 「簪」 作者の少年時代を想起させるエピ。戦争怪談の締め。 先の展開が見えがちなのが残念な作ではある。
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- 『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7
264 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/12/03(土) 21:21:59.48 ID:lIX6k7/D - 「蔭桔梗」
正直いうて、これで直木賞?という感もあり。 悪い作ではないのだが、またしても過去の恋バナネタ。 桔梗の紋がポイントになるが、さほどインパクトのある話には思えず。 「弱竹の字」 事実上の主役、表題にも名がある弱竹さん自身が1度も登場しないという構成 が粋。 「十一月五日」 現代社会の職人のひとつとも言える歯科技工士という地味な職業に着目 したなかなかに面白い作であった。弱竹同様、技工士の藤巻さんは直接には 1度も登場しない構成が、かえってその存在感を増す効果があって成功 している。 「竜田川」 滲抜屋という職人を主人公にミステリ仕立てで進行する収録作品中では わりと異色の作である。それだけにかえって通俗的過ぎる面も有るのが難か。 「くれまどう」 職人談ではなく、旦那がリーマン兼業の文房具店主夫妻の話。 現代的視点でクールに見ると、妻の不倫に対する旦那の態度が出来過ぎ感が あって不自然という感あり。 「色揚げ」 またしても過去の恋バナ。いい加減にせい!という感もあるが、 最後は色揚げされた女と綺麗に決めてくれてはいる。 決まり過ぎという気もするが。 「校舎惜別」 職人談ではなく、引退した教員を主人公にした懐古談。 メーンは真面目な天ぷら学生のエピで心を打つものがあったのだが・・・ 老いらくの恋ならぬ「愛」ネタに変じて来る終盤は、ややキショいものも有り。
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