- 『読みました』報告・海外編Part.6
357 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/08/27(土) 16:17:08.06 ID:gC8MfF2Z - マンシェット「愚者が出てくる、城寨が見える」を読む。
かねてからフランス・ノワールを紹介した記事でその存在だけは知っていた ので、気にかかっていた作ではあるが、 やはり光文社古典新訳文庫からの刊行というのは意外感あり。 ギャング一味に追われる文字どおり逝っちゃてる(頭が)子守女と少年、 血と殺戮が渦巻く逃避行が始まる・・・ 独自の味わいが魅力なサスペンス・ミステリと並ぶフランス十八番のジャンル、ノワールの魅力溢れる一編、ヒロインのキャラに共通項もあって H・チェイスの「蘭の肉体」を想起させるものあり。
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- 『読みました』報告・海外編Part.6
358 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/08/27(土) 16:18:17.43 ID:gC8MfF2Z - (ゆえに、仏におけるチェイス人気がわかる感もあり)
ただし、黒幕(誘拐の依頼者)の正体は見え見えだし、 ヒロインのジュリーが犯す無意味に残忍な殺人(ガイシャがいかにもとろい ねらー風なのが読者の同情を誘うかもなー)、最後までどうも物語における ポジションが判然としないフェンテスというキャラ等々、 「どこかとち狂ったキャラ連中によるとち狂った物語」の趣旨から見れば、 仕方ないのであろうが、アクション小説としてはともかく、ミステリとしての興趣が薄過ぎるのは気にかかるわな。 訳者の中条省平先生は、解説、あとがきまで一人でこなす熱の入れようだが、 うーん、悪くはないがそこまでの作とは思えぬ。
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- 都筑道夫
779 :書斎魔神 ◆AhysOwpt/w []:2011/08/27(土) 16:20:43.05 ID:gC8MfF2Z - 都筑道夫「なめくじに聞いてみろ」を読む。
これも久しい再読。 うーん、刊行当時は何とも思わなんだが、今はこういうゲーム感覚で 殺しを描いてゆくオモシロ小説ってのは無理があるかと思う。 この点で、現時点での絶版は納得、納得・・・か。 正直言うて、つまらんです。 和製007をイメージということだが、映画版ならともかく、 意外やボンドの人間臭ささも魅力(映画ほど超人でなく、クールでもない。 ゆえにそこにスリルも人間ドラマも生じて来る)の原作のそれとは 全く異なるという感あり。
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