- アガサ・クリスティ 21
114 :名無しのオプ[sage]:2011/06/12(日) 11:35:14.40 ID:lXYp45iP - >>92
料理人が自分が仕えている主人に目がないと見るや、料理の具材なんかを どんどん横流ししたり自分のものにしたりというのはバルザックで読んで あー、市民社会化するとそうなるのかと思わされたものでしたね。 メイドの出現は、政界が保守貴族派と新興ブルジョア派のせめぎ合いを していた中で、使用人の待遇を上げる法案が通ってしまったためにその 法案の適用範囲外だった女性を雇用しないと、もう貴族の懐が持たなく なったからだとよく言われますね。
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115 :名無しのオプ[sage]:2011/06/12(日) 11:38:11.74 ID:lXYp45iP - そのメイドもどんどん相対的地位が上がってしまい、貴族がある一日だけ
屋敷の使用人を「主人」として接待するという日を設けたりと御機嫌を とらなきゃいけなくなってきたとかいう話を聞くと、ある時代を生きていた 人間たちが階級差別などもひっくるめて「昔は良かった」と言うのも、ちょっと 気持ちは理解できるという気が。 街のカフェとかの給女が貴族の屋敷で支給されていたメイド服を着てたのは 一般庶民が「メイド服を着た女性に給仕されるなんて貴族になったみたいだ」 といい気分になったからだったなんて話を聞くと、世の中変わらないものだと 笑ってしまえますが。
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119 :名無しのオプ[sage]:2011/06/12(日) 15:58:02.93 ID:lXYp45iP - >>116
それがやっぱり時代が激動している時ならではの現象なんでしょうね。 ブルジョア層も貴族の既得権益を切り崩そうとしている間に今度は下の 労働者階級から「お前らの取り分もこっちに回せ」と突き上げを食らう。 それをかつての貴族たちが皮肉な目で眺めている。 確かに皮肉ではあるけれど、その執事たちの行動を内心拍手して読んだ 階層や世代の読者層もきっといたのでしょう。 クリスティの作品世界が時代ごとに違った意味合いで歓迎されていたという 部分もその辺りと関わっていた要素もあったでしょうし。
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120 :名無しのオプ[sage]:2011/06/12(日) 16:01:09.82 ID:lXYp45iP - >>92の作品はハヤカワだと「王女マメーリア」に収められていましたけど
今はどうなのでしょう。 似たような傾向の作品「味」は、小林信彦が日本で紹介されて早々に 「コリアはホンモノだがダールは最高に出来のいいニセモノだ」と 評していた作品でしたよね。(小林さんのさまざまなジャンルにおける 「出来のいいニセモノ」論はとても面白いのですがそれは別として…)
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125 :名無しのオプ[sage]:2011/06/12(日) 20:10:55.16 ID:lXYp45iP - >>123
「地獄の読書録」の記述やいくつかのダールファンの方の書き込みで そう思い込んでいましたが、時期的にその頃だと言うだけで確かに 「味」に限定したものではなかったかもしれません。 その言葉自体もたぶんコリア評の言葉を読んだものだと思うので、 あなたがご存じのソース以上のものは存在していないと思います。 あやふやなことを言ってすみませんでした。
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126 :名無しのオプ[sage]:2011/06/12(日) 20:15:36.53 ID:lXYp45iP - ただ小林信彦氏は色々なところで「面白いニセモノ、つまらないホンモノ」
「ニセモノに見える本物のようでやっぱりニセモノ」「本物のように見える ニセモノと見せて実は本物」などという分類に当てはまる作品をイヒイヒと 楽しんで分類していたりします。英国伝来のエンタテインメント作法を重んじ、 日本的私小説の権威というものを否定する氏なので、「ニセモノ」という言葉にも 「作者の体験に頼らずに人工的な巧緻によって成し遂げた作品世界づくり」という ニュアンスが含まれていると解釈していたので、決して低評価であるとばかり 断定しなくてもよいのではと思っています。 いや失礼しました。
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