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読後感 ◆VkkhTVc0Ug
『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7

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『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7
106 :読後感 ◆VkkhTVc0Ug [sage]:2011/04/21(木) 19:53:33.00 ID:O1dA1Xyr
「宮原龍雄探偵小説選」宮原龍雄(論創社)

いくつかのアンソロジーで片鱗に触れていたので読む前は
この掃き溜に3匹目の鶴が舞い降りたかと期待していた。
しかし、読み終えた今そう簡単に言い切れないと思い至った。

宮原作品は@地元佐賀を舞台としA伝奇的な要素を盛り込んだB社会派の素振りを見せた
C本格ミステリである。探偵役は刑事乃至検事なのだが、
扱う事件は密室ありアリバイありの不可能犯罪で、奇抜なトリックのオンパレードだ。
総論は素晴らしい。だが各論では2つ気になる箇所がある。

まず1つ目は、探偵について。刑事乃至検事が探偵役ということから
読者は如何にも足を使って核心に迫る凡人探偵を想起する。
事実、作中ことあるごとにファイロ・ヴァンスを引き合いに出され
天才型探偵の不在が強調されている。
だが、作品を読んでいくとこの満城警部補も三原検事も結局は思いつきに近い
天啓によって事件の真相を言い当てることが多いように見受けられる。
そして2つ目は1つ目にリンクするのだが、後半がやたら駆け足で推理の過程が見えないこと。
伏線も不十分だし、犯人自白して探偵の推理が正しかったと判るみたいな。
プロットは良いのに肉付けの途中で飽きてくるんだろうかね。勿体ない。

だから手放しで誉めにくいんだよなぁ。

続く
『読みました』報告・国内編(書斎厳禁)Part.7
107 :読後感 ◆VkkhTVc0Ug [sage]:2011/04/21(木) 20:28:17.21 ID:O1dA1Xyr
承前

本書後半の「評論・随筆篇」を読めば本格非本格に対する作者の複雑な胸中が垣間見えるゆえ、
そこが作風を理解する足掛かりになるのかもね。たぶん……。

ベストは「ニッポン・海鷹」かな。未だ隠然たる勢力を保つ海賊の末裔の島が舞台
なんてロマンがあるし、序盤の幽霊船消失のトリックが鮮やかで印象に残った。
ただし殺人の方はイマイチ。
次点は「不知火」。こちらも先住民が起こした宗教団体が出てきて有明海で派手な爆破消失をやったりして
読み応えがある。露天風呂殺人の盲点を衝いたトリックも良い。あれ、こっちが一番かも。

他にも事故ったトラックの荷台の樽からそのトラックを見送った女性の死体が出てくる
飛び切りの不可能犯罪もの「三つの樽」や、機械トリックが見事な「瓢と鯰」、
チェスタトン風味の「髭のある自画像」、論理のアクロバットが映える「新納の棺」(既読)
などがある。
読んでみなされ。


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