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名無しのオプ
船戸与一 2

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船戸与一 2
180 :名無しのオプ[]:2011/03/26(土) 02:02:10.49 ID:fG8WVJvC
それは確実に『炎流れる彼方』
最近読み返したばっかり。
船戸与一 2
181 :名無しのオプ[]:2011/03/26(土) 02:08:51.68 ID:fG8WVJvC
>>172
北方謙三は、挑戦シリーズが船戸の冒険小説っぽくっていい。

ハードボイルド作品としては、圧倒的に初期の作品がいい。
『明日なき街角』『檻』『友よ静かに瞑れ』など。
その後の大量生産モードで陳腐化したきらいはある。

水滸伝はまぁおもしろかったけれ。
船戸与一 2
182 :名無しのオプ[]:2011/03/26(土) 02:43:16.21 ID:fG8WVJvC
船戸与一は、左か右かといったらそりゃ左だろうけれど、それ以前に
魅力的な英雄譚・冒険譚を語りたい、という思いが強い一作家だと思う。
プロレタリア小説のように、社会批評や政治闘争・運動などの目的達成
のための単なる道具にはなっていない。

「全ての英雄伝説は無庇である。黄泉の国に旅立った主人公の一挙一動は
 すべて増幅され、新陳代謝され、ついには現実の泥沼で喘いでいるもの
 にとって慄然と輝くロマンとしてはるか彼方で発光しはじめるのだ。
 希望。苦悩。冒険談。これらは単なる事実性よりも、民衆の痛切な必要性
 によって取捨選択せられる。役に立つ逸話はフレーム・アップし、無用の
 ものは切り棄てられて英雄の物語はひとつの方向性−−革命願望へと
 発展していく。それが残された者、死ねなかった民衆の義務とでも言うが
 ごとく。かくて、英雄伝説はリアリズムの挟撃にはびくともしない高みに
 達し、人々の心に不撓不屈の精神の記念碑として強固に刻みこまれるのだ。
 これが英雄伝説の仕組みであり、主人公が重箱の隅をつつきたがる学究
 たちのアラ探しにも微動だにせず泰然自若としていられる理由である。
 ましてや、アニミズムの世界におけるヒーローの物語は完璧であり非の
 打ちどころがない。森や木立や泉、川のせせらぎが、これに応援するからだ。
 悲壮な最期を遂げた勇者は大地に抱かれて眠り、その魂は・偉大なる精霊・
 と合体し天空を駆けめぐる。死者が遺した想い、生きているうちにはついに
 果たせなかった志に、風は震え花は涙を注ぎ石はじっとり汗をかく。ここに
 ちゃちな実証主義がつけいる隙はない。(『叛アメリカ史』)

船戸与一 2
183 :名無しのオプ[]:2011/03/26(土) 02:46:44.55 ID:fG8WVJvC
それに、「右」に民族主義もふくまれるなら、「左」との共通項は無くはない。
虐げられし少数民族の場合は左になり、抑圧する側の多数派民族なら右になる
だけで、民族愛という点に関してはさして変わりはないから。

 「聞かなくたってわかっている。あんたがた文明人とやらの夢は実にみすぼらしい。
  立身出世の夢、物質を所有する夢、そしてせいぜいが家族や個人的な関係を持続する夢だ。
  だが、アフガン人は違う! この小さな国は絶えず外国の侵略に晒されてきた。イギリスの
  次はソ連だ。アフガン人の夢はな、そういう外国勢力を撥ねのけ、アフガン人がアフガンの
  大地を自由に跳びはねる夢だ! いかなる外国の策謀もはねのけ、アフガン人がイスラムの
  戒律だけに生きる夢だ! もちろん、その夢が簡単にかなえられるはずもない。そういう
  夢はいつだって血塗られた夢となるからだ! 」 (『血と夢』)

 「中央情報局に奉職を決意したその当時、アメリカ合衆国は実に惨めな状態にあった。
  ヴェトナムからの撤退はすでに決定済みだったし、それに乗ずるかのように世界各地では
  反米運動が展開されていた。国内ではウォーターゲート事件によるあらゆる権威の失墜、
  通貨の面ではかつてびくともしたことのないドルに切り下げ…世界の秩序の中枢であった
  アメリカ合衆国は巨像が得体の知れない虫に食い荒らされるようにぼろぼろになりつつあった。
  ウェップナーの脳裏である考えが天啓のように閃いたのはマンハッタンの夕映えを眺めていた
  ときのことだった。祖国を救わねばならない! それは電撃のように全身を貫いたが、はじめて
  知った恋に似て他人にうち明けられる性質のものではなかった。祖国愛などいまでは博物館に
  しか陳列されていないし、中央情報局のなかでもそんな言葉を口にする人間はいはしない。
  だから、いいのだ。だからこそ、その言葉は崇高な輝きを取り戻しつつある。」(『神話の果て』)

敵役の資本主義の走狗的なキャラもけっこう魅力的に描かれているのが多い。上のジョージ・
ウェップナーもそうだし、山猫の夏の主人公の父親も二二六事件に参加した皇道派陸軍将校。
船戸与一 2
186 :名無しのオプ[]:2011/03/26(土) 12:28:26.42 ID:fG8WVJvC
『炎流れる彼方』のエンディングは、主人公の日本人(ラッキー、少林寺拳法の先生)
と子供(ビリー、マギー、ベトナムの少年少女)以外、敵も味方もみんな死亡。
最後の決戦は強烈なインパクトあるぞ。

この作品の敵役は本当に悪の権化みたいな憎たらしいキャラだった。共感はまったくできない。w
船戸与一 2
187 :名無しのオプ[]:2011/03/26(土) 12:34:17.07 ID:fG8WVJvC
あのデブは砂クロあたりだけ読んで感想文書いてたんだろう。
左側の人間に人気がある作品ではあった。でもまぁどうでも
いいわ。これを思い出すくらいだね。

10 名前: :2000/06/22(木) 23:02
車谷は地を這って来た男と言われる。
故・白州正子の古典鑑識には誰もが一目置いていた。
つまり、この二人は対極にあった。
骨董の鑑識で白州と車谷が出会い、対談が交わされた。
「福田和也の骨董イジリは品の無いインチキだ。」と
いとも簡単にふたりに切って捨てた。
これは、
福田和也の「思想」の底の浅さと品性を見抜かれたということだ。
福田は自己の日本思想の原点に骨董趣味をひけらかしながら近付こうと
してきたのだから。
福田の書くナチスや北一輝がスカスカなのを彼らは、既に
福田和也の骨董イジリの軽薄さのなかに、
見事に見抜いていたのだ。


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