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29 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 17:59:12.51 ID:0FERahCv - 周囲の環境に適応しているものが生き残り、適応していないものは淘汰されるという過程によって生物の進化が起こると
いうチャールズ・ダーウィンの自然選択説に基づく進化論は、生物学をはじめ他の学問分野にも大きな影響をあたえた。 ところが、個体を単位とする自然選択説では説明が難しい動物の行動が、広く存在している。例えば、ミツバチでは、女王 バチが産んだ卵から成長した雌バチは、自分では卵を産むことなく、女王を助けて自分の妹たちの世話を焼いて一生を過ご す。つまり、自分の繁殖の機会を棄てて女王の繁殖を助ける。またシマウマの群れでは見張り役がいて、ライオンの接近を 鳴き声や身振りで群れに知らせるという。そのような目立つ行動を取ることは、まず敵の注意を引くので危険であると考え られる。それに、敵を見つけたら、黙って逃げ出した方が早く逃れられるし、他の仲間を身代わりにすることもできるであ ろうとも思われる。このように、自分を犠牲にして他者を助ける行動を利他的行動とよび、その例は多い。 このような行動を説明するのにまず提唱されたのが群選択説であった。これは生物個体の行動は群れや種の利益を最大化す るようにできており、生存競争は群れの間で起きると考えられた。この説明は「種の保存のため」というフレーズと共に、 利他行動の説明として受け容れやすかったため広まった。しかしこの説ではどうやって自己を犠牲にし種全体の利益を計る 性質が受け継がれていくかを厳密には説明できなかった。 すなわち利他的行動を取る個体の集団の中に、突然変異や他の群れからの移住によって利己的な個体が発生したと仮定する 。たとえば見張りをしても、敵の接近を仲間に知らせないで逃げる個体が出現するというようなことである。もしそうなれ ば、そのような個体の方が死亡率は低くなるだろうから、自然選択の結果、真っ先に逃げるような形質が残るはずである。 働きバチの例はそれより深刻で、働きバチはそもそも繁殖をしない。親が繁殖をして、親の形質が伝わった子孫が残るのが 自然選択の前提なので、この場合、その前提が成立しない。繁殖をしないのだから、その形質を持つ子孫が残るはずがない のである。ダーウィン自身はこの問題に、アリやハチの場合は家族単位で選択が働くのだろうと答え、後の議論の先き取り をしていたが、そのメカニズムを説明することができなかったため場当たり的な説明だと批判を受けた。[誰?] 1964年、イギリスの生物学者、ウィリアム・ドナルド・ハミルトンが血縁淘汰説を発表する。一般にこの説が発表された時 点が社会生物学の始まりと考えられている。社会生物学という分野の名称は、この血縁淘汰説などを援用して書かれたエド ワード・オズボーン・ウィルソン の「社会生物学」(1975年)によって広く認知されるようになった。 血縁淘汰説は、まず自然選択で選択されるのは個体ではなく、遺伝子のもたらす表現型である、ということを明らかにする ことから始まる。そして、自然選択を遺伝子の側から見直したのである。 自分の子を残すと言うことは、自分の遺伝子を残すと言うことである。これを遺伝子の側から見れば、自分と同じ遺伝子が 入った個体が残るという言い方になるだろう。つまり、ある遺伝子が表す表現形が、たとえば体色が目立たなくて敵に見つ からないなど、結果としてその遺伝子を持つ個体を増やすように働くなら、その遺伝子は自然選択によって残ることになる 。遺伝子には行動に影響を与えるものもあるだろう。その場合、行動も他の形質と同じく、自然選択を受ける表現型として 捉えられる。 そこで、遺伝子をより多く残すにはどうすればいいか。人間と同じ繁殖様式の動物では、親から見れば、子供には自分の半 分の遺伝子が入っている。これを遺伝子側から見ると、親にある任意の遺伝子が、その子に含まれる確率は2分の1である 。兄弟ではどうかというと、兄弟間で片方の持つ任意の遺伝子がもう片方に含まれる確率は、親子間同様2分の1である。 そうすると、自分の持つ遺伝子を後世に残す方法として、子を産まなくても、兄弟を増やせばいいという選択も成り立つ。 いま、ここに自分は生殖に参加せず、母親を助けて兄弟を育てるという行動を取らせる遺伝子があったとする。そして、そ の行動を取ることによって、もし自分が単独で繁殖した場合に手に入る子孫以上の兄弟が手に入るとしたら、この遺伝子は 兄弟を通じて自然選択に勝つことができる。
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30 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 17:59:28.10 ID:0FERahCv - 米国において、ワーキングプアに関する議論が初めて社会に知られるようになったのは、進歩主義時代(1890 - 1920)の
頃である。進歩主義時代の思想家、Robert Hunter、ジェーン・アダムズ、W・E・B・デュボイスらは貧困・ワーキングプア の根底にあるのは社会的機会の不平等構造であるとしたが、しかしその一方で、貧困と労働者個人のモラルにも関連すると した。W・E・B・デュボイスはフィラディルフィアにおけるアフリカ系アメリカ人人口研究において、貧困から抜け出せない 貧困層の実体を記しており、その理由はひとつは人種差別、もうひとつは彼らの怠惰・忍耐力欠如などのモラル欠如である としている 。その後、ワーキングプアに関する議論はより二極化していき、自由主義思想家らは構造的な理由を、保守 主義思想家はモラル的な理由を論じるようになった。このようにワーキングプアは、その最も基本的な定義(貧困線を満た す収入を得られていない労働者)では思想家らが見解を同じくしているが、用語の意味や定義については未だに論争のある テーマである。一般にワーキングプアの定義について「労働力人口のうち貧困線以下の者」とされている。 途上国の例で は、国際労働機関が「労働力人口のうち一日の可処分所得が1US$以下の者」としている。アメリカ合衆国の連邦労働省労働 統計局は、ワーキングプアを「16歳以上で1年間のうち少なくとも27週間以上(約6ヶ月強)職に就いているか、職を探すか しているにもかかわらず、公的な貧困線を下回る所得しか得られない者[7][8]」と定義し、1987年から調査を行っている。 2007年9月の報告書では、2005年のアメリカの貧困率は12.6%(3,700万人)で、このうち770万人がワーキングプアであると 述べている。韓国では1997年の経済危機をきっかけに非正規化が一気に進み、韓国の非正規社員率は55%で、日本の過去最 高である34%を超えている。後述の台湾と同じく、中国に工場が進出していったことによる産業空洞化も発生、ワーキング プアが大量に生み出されている。2010年代を迎えた今の韓国の若者たちは「三放世代」と呼ばれ、恋愛、結婚、出産を諦め ている人が多い状況である。台湾では、2007年時点で人口の約1%にあたる22万人がワーキングプアとなっており、その数は 増加傾向にあるという。増加の要因は、派遣労働の増加にある。更に、2010年代以降は中華人民共和国への経済的依存が強 まり、主要な工場が中国へ進出したことにより産業空洞化現象が発生、大量の若者がまともな就職先にありつけず、ワーキ ングプアとなっている。このことへの不満が、2014年の台湾学生による立法院占拠のひとつの原因になった。イスラエルで も急速にワーキングプアが増加していることが労働党党首シェリー・ヤヒモビッチにより指摘されており、また、2011年に は貧富の格差是正、最低賃金引き上げなどを求めて数十万人規模の抗議デモが行われた。イスラエルはベンヤミン・ネタニ ヤフ首相の新自由主義政策により貧富の差が激しい国である。個人がワーキングプアに転落するリスク要因には、主要なも のに以下の五つがあるとされている。 それは「産業セクター」「人口統計」「経済」「労働市場の制度」「福祉の配分状況 」である。 ワーキングプアは幅広い人々に関連する現象であるが、とくに雇用要因・人口グループ・政治的要因・経済的 要因がとりわけ重要な要因であるとされる。産業的・人口的な要因は、何故ある国の人々は他の国よりもワーキングプアに なりやすいか論じる助けとなる。政治的・経済的要因は、なぜ国ごとにワーキングプアの割合が異なるのか論じる助けとな る。労働市場は効率性・平等性などの点で中間に位置する。 Brady, Fullerton, and Cross (2010) によると 「効率のよい 労働市場は、柔軟であり、失業率が低く、経済成長が高く、労働者が迅速に雇用および解雇できるものである。皆に望まれ る労働市場とは、堅固な労働市場制度をもち、高賃金、高セキュリティなものである(p562)」とされている。[icon] この節 の加筆が望まれています。ワーキングプアは日本だけの問題ではなく、他の先進国でもすでに同様の問題が引き起こされて いる。韓国では派遣社員(非正社員)の増加を規制する法案として、「非正規保護法」を成立させた。これは「2年以上勤 めた非正社員を、正社員化させなければならない」とするものであり、違反した企業には最高1000万円の罰金という厳しい 規制を課しているが、現実には「非正社員が2年以内の期間雇用とした上で、再雇用しない」という手法で正社員化を阻止 する事例が増えており、非正規雇用の長期継続化が避けられる反面、雇用の継続自体を困難とする事態となる
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31 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 17:59:43.55 ID:0FERahCv - 個人と個人がネット上で小口の融資を行えるソーシャルレンディングの原型ともいえるサービスは2005年にイギリスのZOPA
が開始した。その後米国でも同様のサービスを提供するProsper(2006) 、Lending Club(2007)が誕生し順調に事業を拡大さ せている。上記のサービスは大きくマーケット型とオークション型に分けられ、ZOPAがマーケット型、Prosper、Lending C lubgaがオークション型である。国内でもmaneo(2008)がオークション型、AQUSH(2009)、SBIソーシャルレンディング(2011) がマーケット型としてサービスを開始したが、法整備や文化の問題から個人間の融資を行うサービスはいずれも撤退、休止 状態を強いられている。その代わりに国内では個人、企業から集めた資金を企業(事業者)に融資して、返済の際の元利、も しくは配当を資金提供者に配分するサービスが一般的になりつつある。これら日本独特とも言えるサービスは貸付型・ファ ンド型とも言われている。長く上記3社のみによるサービスが続いてきたが、国内でクラウドファンディングの機運が高まる のに連れて、匿名投資組合契約型として、2013年にはクラウドバンク、2014年にはラッキーバンク、2015年にはトラストフ ァイナンスが参入して市場に活気が出てきている。2015年には7月にはmaneoがそのシステムを他社に提供する形で、新たに サービスの立ち上げが予定されている。日本では出資ではない融資を行う場合、貸金業法2条1項により、金銭の貸借の媒介 で業として行うものに該当し、貸金業としての登録が必要となる。また、不特定多数からの出資を集めて融資や出資の仲介 を行うことから、匿名組合出資契約を募集するための第2種金融商品取引業の登録も必要になる。サービスの運営会社が審 査をし、借り手個人の格付けを行うが、貸し手個人がどの格付けにいくら、どのくらいの金利で貸付けを行うかを決定する 。格付けを得るために、融資希望者は借りたい額と必要な個人情報を運営会社へ送信することが求められ、運営会社は送ら れてきた個人情報と信用情報機関への問い合わせによって格付けを決定する。貸す側は希望するリスクリターンに見合った 格付けと金利、融資額を自分で決め、貸付けを行う。運営会社はこのように出資された金額を束ね、貸付け希望条件にあっ た借入をマッチングさせる。この形式がマーケット型と呼ばれるのは、貸し手のリスク許容度や希望利回りに応じて金利が タイムリーに変動し、あたかも株式市場のような動きをするからである。もちろん、資金需要者として借り手が貸し手の金 利設定に影響するので、金利がマーケットシステムによって公正に決定される仕組みになっている。融資を希望する側は 借り入れの目的や信用度をコミュニティ内にアピールし,貸し手側はそれらを判断材料として投資・融資先を決定する。 利率はオークション形式、すなわち貸し手側による入札(ビッディング)で決まり、通常、一番安い利率でビッドした貸し 手(一人とは限らない)が貸し付けの権利を得ることができる。貸し手は、借り手の借り入れの目的・信用度・バックグラ ウンド等を考慮して利率を入札するが、その際、名前、住所等の個人情報は一切公開されない。金融市場の相場や一般利率 に左右されないので、優良な借り手であれば低金利で資金調達が可能である一方、高利率のビッドが確定し、貸し手が高い 利息を受け取れる可能性もある。この他にも家族間・友人間での貸借を行う場としても活用されている。サービスの運営会 社が借り手の企業を審査をし金利、金額、期間等を決定する。貸し手はその条件を見てその案件にいくら出資をするかを決 定する。融資希望者は借りたい額と必要な企業情報、事業計画を運営会社へ開示することが求められ、また場合によっては 保証人を立てること、担保の提出を行う。運営会社は上記情報をもとに厳しく審査した上でファンドの形で貸し手に案件を 提出する。日本の文化、実態に合わせて生まれたソーシャルレンディングの新しい型といえる。なお、国内の投資型クラウ ドファンディング事業者について、貸金業法に基づき融資してその利息を収益とする形式を貸付型、同法に基づかず国内・ 海外の事業者などに投資してその配当を収益とする形式をファンド型(株式投資型、狭義の投資型)と呼ぶ分け方が提唱さ れているが、一般に根付いているとは言いがたい。なお、東洋経済では投資型クラウドファンディングを融資(貸付)型、 ファンド型、株式(エクイティ)型に区分している。2005年頃から同様のサービスが始まっている欧米ではソーシャルレン ディングは拡大傾向にあり、金融業界でその地歩を固めつつある。
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32 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:00:00.26 ID:0FERahCv - ある初期状態が与えらればその後の全ての状態量の変化が決定される系を力学系と呼ぶ特に決定論に従う力学系を扱う
ことを強調して決定論的力学系とも呼ばれる。カオス理論において研究されるカオスと呼ばれる複雑で確率的なランダ ムにも見える振る舞いは、この決定論的力学系に従って生み出されるものである。この点を強調するためカオス理論が取り 扱うカオスを決定論的カオス(deterministic chaos)とも呼ぶ。複雑で高次元の系ではなくとも、1次元離散方程式や3次元連 続方程式のような非常に簡単な低次元の系からでも、確率的ランダムに相当する振る舞いが生起される点が決定論的カオス の特徴といえる。この用語は、カオス理論以前から存在するボルツマンにより導入された分子カオスと呼び分ける意味合い もある。ボルツマンによるカオスは確率論的乱雑さを表しており、カオス理論におけるカオスとは概念が異なる。カオス理 論におけるカオスの厳密な定義は研究者ごとに違い、まだ統一的な定義は得られていない。できるだけ簡単な表現でまとめ ると、カオスの定義あるいはカオスと呼ばれるものの特性とは、「非線形な決定論的力学系から発生する、初期値鋭敏性を 持つ、有界な非周期軌道」といえる。また、このような軌道を含む力学系の性質を指してカオスとも呼ぶ。軌道を指してい ることを明らかにする場合はカオス軌道(chaotic orbit)と呼ぶ場合もある。以下に、もう少し詳細に説明する。力学系には 大きく分けて線形力学系と非線形力学系が存在するが、その系からカオスが生起されるためには、系が何らかの非線形性 (nonlinearity)を持つ必要がある]。言い換えると、軌道を生成する系が非線形力学系であることは、その系からカオスが 生起されるための必要条件である。これの十分条件は満たされず、すなわち、非線形力学系であれば必ずカオスが生起する わけではない。一方の線形力学系ではカオスは発生しない。以下に述べる特性と違い、非線形性はカオス軌道自体の特性と いうよりは、カオスを生起する系の特性である。カオスの定義あるいは特性として第一に挙げられるのが初期値鋭敏性(sen sitivity to initial conditions)である]。これは、同じ系であっても初期状態に極僅かな差があれば、時間発展と共に指 数関数的にその差が大きくなる性質である。この性質は軌道不安定性(orbital instability)と言い換えられることもある 。定量的には、この初期値鋭敏性は、リアプノフ指数、コルモゴロフ-シナイエントロピーなどで評価される。初期値鋭敏 性により極めて小さな差も指数関数的に増大していくので、初期値鋭敏性を有する実在の系の将来を数値実験で予測しよう としても、初期状態(入力値)の測定誤差を無くすことはできないので、長時間後の状態の予測は近似的にも不可能となる 。このような性質は長期予測不能性(long-term unpredictability)や予測不可能性(unpredictablity)などとも呼ばれる。 一方で、例えカオスであっても決定論的法則から発生されるものであるため、短時間内であれば有用な予測は可能といえる 。以上のような性質は、標語的にバタフライ効果(butterfly effect)と呼ばれる。初期値鋭敏性、すなわち指数関数的に初 期状態の差が広がる軌道を有する系というだけでは、カオスには該当しない。カオス軌道であるためには軌道がある有界な 範囲に収まる必要がある。このようなカオスの特性は有界性(boundedness)とも呼ばれる。初期値鋭敏性のみではカオスと ならない例として、 {\displaystyle x_{n+1}=ax_{n}} x_{{n+1}}=ax_{n}という単純な等比数列形式の離散力学系の写像が 考えられる。これに対して初期値が異なる2つの軌道を考えると、初期値の差をδとすれば、その差は {\displaystyle a^ {n}\delta } a^{{n}}\delta で表せる。よって、これら2つの軌道は離散時間nが増加すれば指数関数的に差が開いていくの で、系は初期値鋭敏性を有するといえる。しかし、これらの軌道は {\displaystyle x_{n}=x_{0}\ a^{n}} x_{n}=x_{0}\ a ^{{n}}で示される単純な指数関数曲線であり、有界な領域に収まらず発散してしまい、非周期的な軌道も存在しない。カオ スの特徴は、平衡点に収束するわけでもなく、周期的軌道に漸近するわけでもなく、非周期的な軌道を取る点である。 持たないことからカオスには分類されない。
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33 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:00:17.60 ID:0FERahCv - 2007年に提唱を開始した,サード・リアリティ,という概念を説明する文章の中で、都市や国家単位の規模で、
成立する集合知同士がインターネットで相互接続され、統合して処理が行えるようになる結果として、地球全体として成立 しつつある知性として巨大知が説明されている。環境を観測するセンサーや各種コンテンツ配信システムのインターネット への接続により、産業、医療、気象、交通、農業、芸術作品等の様々な情報がインターネット上に蓄積され、不特定多数の 人間により改変が行われることで、人類が得た多様な知識が地球全体で統合処理されるようになる結果として、地球全体を 覆う程に巨大かつ高度な知性が成立する。この巨大知の成立の結果として、従来は思い付けなかったような新しい発想が生 まれやすくなり、文明の進歩も大幅に加速されることになる。1995年にインターネットが民間に開放され、全世界的にイン ターネットの民間への普及が始まった。しかし、当時唯一のインターネット接続端末であったパソコンは性能が低く、極め て高価であり、普及率もそこまで高くはなかった。1990年代後半は、一般家庭においてはダイヤルアップ接続を介したイン ターネットの利用が主流であった。アナログの音声信号を伝達する電話回線を転用した56kbps程度の帯域の回線が主流であ り、従量制で課金され、サーバからのデータ取得においても長時間待つ必要があった。企業や団体のWebサイト閲覧や電子 掲示板の利用や電子メール送受信が主たる利用方法であり、不特定多数の個人間では電子掲示板やネットニュースやチャッ トのような、知識として統合されない簡易的なメッセージ共有のみが行われていた。従って、典型的な巨大知と言えるWik iの長時間の編集には高額な接続料金が掛かり、芸術的な文化の発展を支えるマルチメディアコンテンツは、インターネッ ト接続端末の処理能力とストレージの容量と回線の帯域の制約が厳しく、作成,集積,流通,消費共に難しい状況であったと 言える。このことから、1990年代のインターネットでは巨大知は成立していなかったと推測できる。2000年から2004年ま での間に高速回線によるインターネットへの常時接続サービスが一般家庭にも広く普及した。2004年には個人が世界中に 向けて情報発信を行う事が可能になった事を受けて、Web 2.0という概念も提唱された。2005年から2006年に掛けてYouTub eを筆頭とする動画配信サイトやTwitterやfacebook等の大手SNSもサービスを開始した。これにより、2006年以降はインタ ーネット上で非常に活発なコミュニケーションが行われるようになった。従って、遅くとも2006年にはインターネット上 で巨大知が成立する条件が揃ったと考えられる。2006年以降は、都市や国家単位で得られる情報の統合処理では不可能で あったような非常に高度な水準の知識が入手可能になっている。2008年頃から本格的に始まったスマートフォンの普及に より、個人の認識や行動に関する情報のインターネットへのアップロードが大規模に行われるようになった。2000年代中 頃に起きた巨大知の成立は、社会構造に非常に大きな変化をもたらした。この変化により、1990年代の段階では全く想像 出来ない程に、人々の生活様式も大きく変化して行った。例えば、Wikiの登場により、膨大な数の人間により広範な分野 の知識がインターネット上にアップロードされ、集約された形で共有されるようになった。また、ソフトウェアのソース コードを世界中に開示して開発を進めることで、インターネットを介して膨大な数の人間がソフトウェア開発に参加する ことが可能になり、従来から存在する商用製品を置き換え可能なほどに高性能なソフトウェアが無償で提供されるように なった。さらに、音楽や映画と言った芸術においても、国籍や分野を問わず他者の作品に影響を受けて新たな創作が行わ れる創作の連鎖が毎日のように起こるようになった。毎日のようにコンテンツがアップロードされ、瞬時に世界中に共有 されるようになったため、次々と新しいアイデアが生まれ、流行の激しい変化も起きるようになった。インターネットに よって遠隔地とのコミュニケーションが容易になったため、現実世界において専門分野や居住地の垣根を超えて様々な人 々が集うコミュニティが容易に形成されるようになった。特に、共通の志を持つ仲間を募ることが気軽に出来るようにな ったため、様々なテーマを持った勉強会の開催数やシェアハウスの件数が急激に増加している。
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34 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:00:35.57 ID:0FERahCv - ハミルトンが提唱した血縁選択説のルーツは、ロナルド・フィッシャーとJ・B・S・ホールデンの示したアイディアまで遡
ることができる。しかしハミルトンが理論的な枠組みを完成させたことで、この説は進化生物学に大きな転換をもたらした 本来はアリやハチなど社会性生物に関する理論だったが、ジョージ・ウィリアムスやE.O.ウィルソン、リチャード・ドーキ ンスらによって、より幅広く、様々な生物の社会性の進化に適用できる理論であることが示された 血縁淘汰説、ESS理論などの考え方を、一部の昆虫だけでなく様々な生物の形質に適用できる一般的な理論だと考え、更に 先鋭なスタイルで表現したのが、リチャード・ドーキンスである。彼は、1976年に発表した「利己的な遺伝子」や「延長さ れた表現型」(1982年)などの著作でこの考え方を広めた。この考え方は遺伝子中心視点主義と呼ばれるようになった( 日本では利己的遺伝子論と呼ばれることが多い)。 自然選択の実質的な単位は、それが固体であれ群れであれ、たとえ何であっても常に利己的である。自己の適応度を高め、 他者の適応度を低めるような性質を持っていなければ自然選択によって排除されるためである。先の血縁淘汰説があきらか にしたのは自然選択で選ばれている実質的な単位は遺伝子だということである。遺伝子は細胞の機能を介して生物の形質を 作り上げる。生物たちは、その機能をもって競争し、競争に勝ったものだけがその子孫をのこし、それが進化をもたらす。 ドーキンスは遺伝子が自分の作った生物個体という名の生存機械を使ってサバイバルゲームを演じている、と表現した。 この論理は生物学だけでなく社会一般に大きな衝撃を持って迎えられた。その表現のスタイルは、ウィルソン「社会生物 学」の大胆な展望とともに激しい論争を引き起こした。特に利己的遺伝子という比喩表現は広く誤解を受けた。利己的遺 伝子とは、遺伝子が利己的な考えを持っているという意味ではなく、また個体が常に自分勝手だという意味でもない。ただ 単に自然選択の単位が遺伝子であることを表しているに過ぎない。1960年代から始まった社会生物学は急激にその論旨を展 開していったが、現在では遺伝子中心視点主義は、広く受け入れられている。 このような新しい観点は、動物の行動の研究にもまったく新しい局面を切り開いた。 それまでの動物の行動に対する研究 は、その習性が種の繁栄にとってどのように役にたつかという観点から論じられ、同じ種であればどの個体も基本的には同 じ行動をとるものと考えられてきた。 しかし、血縁淘汰説が同種の個体同士は必ずしも協力しているのではなく、むしろ 最も激しく生存競争をしている競争相手であると示したことにより、個体の行動が個々の個体にとってどのような意味が あるかが考えられるようになった。たとえば性淘汰説では雄と雌ではそれぞれに最適な戦略は違うのではないか、といった 分析が、なされるようになった。そして、これまで見逃されて来た多くの現象が明らかになってきた。 ある種のハチでは、地下で蛹になり、羽化して地上にでる。この時、雄が先に羽化して地面に縄張りを作る。そしてその縄 張り内から羽化してきた雌バチと交尾する。ほとんどの雌バチは地下から出たところで雄バチに捕まる. しかし、雄バチ の目を逃れる雌バチが少数ながらおり、彼女らは次に花を訪れる。そこには先の縄張り作りの競争に負け、縄張りを作れ ない雄バチがいて、彼らは花に縄張りを作っている。つまり地面に縄張りを作れない場合は、代わりに雌の2番目の訪問 先である花で、縄張りを作るという、代替作戦を持っているわけである。 このように、ほとんど融通が効かないとされてきた本能行動の中にも、主たる戦術が失敗したときの代替案が存在する事 があきらかになってきた。このような行動はそれまでは例外やエラーとして無視されていたが、行動の意味を個体の視点 から考えることで、例外ではなく有意義な行動で、あることが発見されたのである。 社会性動物の定義はそれまでは漠然としていた。しかし働きバチのような生殖をしない階級の重要性が認められた事で、 社会性昆虫に見られるような繁殖をしない階級の存在するものを真社会性生物というようになった。真社会性を生む仕組 みの解明は、それ以外の真社会性動物発見への方向性を示し、アブラムシや哺乳類ではハダカデバネズミ、甲殻類ではテッ ポウエビから、真社会性のものが発見された。
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35 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:00:53.33 ID:0FERahCv - 周囲の環境に適応しているものが生き残り、適応していないものは淘汰されるという過程によって生物の進化が起こると
いうチャールズ・ダーウィンの自然選択説に基づく進化論は、生物学をはじめ他の学問分野にも大きな影響をあたえた。 ところが、個体を単位とする自然選択説では説明が難しい動物の行動が、広く存在している。例えば、ミツバチでは、女王 バチが産んだ卵から成長した雌バチは、自分では卵を産むことなく、女王を助けて自分の妹たちの世話を焼いて一生を過ご す。つまり、自分の繁殖の機会を棄てて女王の繁殖を助ける。またシマウマの群れでは見張り役がいて、ライオンの接近を 鳴き声や身振りで群れに知らせるという。そのような目立つ行動を取ることは、まず敵の注意を引くので危険であると考え られる。それに、敵を見つけたら、黙って逃げ出した方が早く逃れられるし、他の仲間を身代わりにすることもできるであ ろうとも思われる。このように、自分を犠牲にして他者を助ける行動を利他的行動とよび、その例は多い。 このような行動を説明するのにまず提唱されたのが群選択説であった。これは生物個体の行動は群れや種の利益を最大化す るようにできており、生存競争は群れの間で起きると考えられた。この説明は「種の保存のため」というフレーズと共に、 利他行動の説明として受け容れやすかったため広まった。しかしこの説ではどうやって自己を犠牲にし種全体の利益を計る 性質が受け継がれていくかを厳密には説明できなかった。 すなわち利他的行動を取る個体の集団の中に、突然変異や他の群れからの移住によって利己的な個体が発生したと仮定する 。たとえば見張りをしても、敵の接近を仲間に知らせないで逃げる個体が出現するというようなことである。もしそうなれ ば、そのような個体の方が死亡率は低くなるだろうから、自然選択の結果、真っ先に逃げるような形質が残るはずである。 働きバチの例はそれより深刻で、働きバチはそもそも繁殖をしない。親が繁殖をして、親の形質が伝わった子孫が残るのが 自然選択の前提なので、この場合、その前提が成立しない。繁殖をしないのだから、その形質を持つ子孫が残るはずがない のである。ダーウィン自身はこの問題に、アリやハチの場合は家族単位で選択が働くのだろうと答え、後の議論の先き取り をしていたが、そのメカニズムを説明することができなかったため場当たり的な説明だと批判を受けた。[誰?] 1964年、イギリスの生物学者、ウィリアム・ドナルド・ハミルトンが血縁淘汰説を発表する。一般にこの説が発表された時 点が社会生物学の始まりと考えられている。社会生物学という分野の名称は、この血縁淘汰説などを援用して書かれたエド ワード・オズボーン・ウィルソン の「社会生物学」(1975年)によって広く認知されるようになった。 血縁淘汰説は、まず自然選択で選択されるのは個体ではなく、遺伝子のもたらす表現型である、ということを明らかにする ことから始まる。そして、自然選択を遺伝子の側から見直したのである。 自分の子を残すと言うことは、自分の遺伝子を残すと言うことである。これを遺伝子の側から見れば、自分と同じ遺伝子が 入った個体が残るという言い方になるだろう。つまり、ある遺伝子が表す表現形が、たとえば体色が目立たなくて敵に見つ からないなど、結果としてその遺伝子を持つ個体を増やすように働くなら、その遺伝子は自然選択によって残ることになる 。遺伝子には行動に影響を与えるものもあるだろう。その場合、行動も他の形質と同じく、自然選択を受ける表現型として 捉えられる。 そこで、遺伝子をより多く残すにはどうすればいいか。人間と同じ繁殖様式の動物では、親から見れば、子供には自分の半 分の遺伝子が入っている。これを遺伝子側から見ると、親にある任意の遺伝子が、その子に含まれる確率は2分の1である 。兄弟ではどうかというと、兄弟間で片方の持つ任意の遺伝子がもう片方に含まれる確率は、親子間同様2分の1である。 そうすると、自分の持つ遺伝子を後世に残す方法として、子を産まなくても、兄弟を増やせばいいという選択も成り立つ。 いま、ここに自分は生殖に参加せず、母親を助けて兄弟を育てるという行動を取らせる遺伝子があったとする。そして、そ の行動を取ることによって、もし自分が単独で繁殖した場合に手に入る子孫以上の兄弟が手に入るとしたら、この遺伝子は 兄弟を通じて自然選択に勝つことができる。
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36 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:01:09.23 ID:0FERahCv - 米国において、ワーキングプアに関する議論が初めて社会に知られるようになったのは、進歩主義時代(1890 - 1920)の
頃である。進歩主義時代の思想家、Robert Hunter、ジェーン・アダムズ、W・E・B・デュボイスらは貧困・ワーキングプア の根底にあるのは社会的機会の不平等構造であるとしたが、しかしその一方で、貧困と労働者個人のモラルにも関連すると した。W・E・B・デュボイスはフィラディルフィアにおけるアフリカ系アメリカ人人口研究において、貧困から抜け出せない 貧困層の実体を記しており、その理由はひとつは人種差別、もうひとつは彼らの怠惰・忍耐力欠如などのモラル欠如である としている 。その後、ワーキングプアに関する議論はより二極化していき、自由主義思想家らは構造的な理由を、保守 主義思想家はモラル的な理由を論じるようになった。このようにワーキングプアは、その最も基本的な定義(貧困線を満た す収入を得られていない労働者)では思想家らが見解を同じくしているが、用語の意味や定義については未だに論争のある テーマである。一般にワーキングプアの定義について「労働力人口のうち貧困線以下の者」とされている。 途上国の例で は、国際労働機関が「労働力人口のうち一日の可処分所得が1US$以下の者」としている。アメリカ合衆国の連邦労働省労働 統計局は、ワーキングプアを「16歳以上で1年間のうち少なくとも27週間以上(約6ヶ月強)職に就いているか、職を探すか しているにもかかわらず、公的な貧困線を下回る所得しか得られない者[7][8]」と定義し、1987年から調査を行っている。 2007年9月の報告書では、2005年のアメリカの貧困率は12.6%(3,700万人)で、このうち770万人がワーキングプアであると 述べている。韓国では1997年の経済危機をきっかけに非正規化が一気に進み、韓国の非正規社員率は55%で、日本の過去最 高である34%を超えている。後述の台湾と同じく、中国に工場が進出していったことによる産業空洞化も発生、ワーキング プアが大量に生み出されている。2010年代を迎えた今の韓国の若者たちは「三放世代」と呼ばれ、恋愛、結婚、出産を諦め ている人が多い状況である。台湾では、2007年時点で人口の約1%にあたる22万人がワーキングプアとなっており、その数は 増加傾向にあるという。増加の要因は、派遣労働の増加にある。更に、2010年代以降は中華人民共和国への経済的依存が強 まり、主要な工場が中国へ進出したことにより産業空洞化現象が発生、大量の若者がまともな就職先にありつけず、ワーキ ングプアとなっている。このことへの不満が、2014年の台湾学生による立法院占拠のひとつの原因になった。イスラエルで も急速にワーキングプアが増加していることが労働党党首シェリー・ヤヒモビッチにより指摘されており、また、2011年に は貧富の格差是正、最低賃金引き上げなどを求めて数十万人規模の抗議デモが行われた。イスラエルはベンヤミン・ネタニ ヤフ首相の新自由主義政策により貧富の差が激しい国である。個人がワーキングプアに転落するリスク要因には、主要なも のに以下の五つがあるとされている。 それは「産業セクター」「人口統計」「経済」「労働市場の制度」「福祉の配分状況 」である。 ワーキングプアは幅広い人々に関連する現象であるが、とくに雇用要因・人口グループ・政治的要因・経済的 要因がとりわけ重要な要因であるとされる。産業的・人口的な要因は、何故ある国の人々は他の国よりもワーキングプアに なりやすいか論じる助けとなる。政治的・経済的要因は、なぜ国ごとにワーキングプアの割合が異なるのか論じる助けとな る。労働市場は効率性・平等性などの点で中間に位置する。 Brady, Fullerton, and Cross (2010) によると 「効率のよい 労働市場は、柔軟であり、失業率が低く、経済成長が高く、労働者が迅速に雇用および解雇できるものである。皆に望まれ る労働市場とは、堅固な労働市場制度をもち、高賃金、高セキュリティなものである(p562)」とされている。[icon] この節 の加筆が望まれています。ワーキングプアは日本だけの問題ではなく、他の先進国でもすでに同様の問題が引き起こされて いる。韓国では派遣社員(非正社員)の増加を規制する法案として、「非正規保護法」を成立させた。これは「2年以上勤 めた非正社員を、正社員化させなければならない」とするものであり、違反した企業には最高1000万円の罰金という厳しい 規制を課しているが、現実には「非正社員が2年以内の期間雇用とした上で、再雇用しない」という手法で正社員化を阻止 する事例が増えており、非正規雇用の長期継続化が避けられる反面、雇用の継続自体を困難とする事態となる
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37 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:01:24.98 ID:0FERahCv - 個人と個人がネット上で小口の融資を行えるソーシャルレンディングの原型ともいえるサービスは2005年にイギリスのZOPA
が開始した。その後米国でも同様のサービスを提供するProsper(2006) 、Lending Club(2007)が誕生し順調に事業を拡大さ せている。上記のサービスは大きくマーケット型とオークション型に分けられ、ZOPAがマーケット型、Prosper、Lending C lubgaがオークション型である。国内でもmaneo(2008)がオークション型、AQUSH(2009)、SBIソーシャルレンディング(2011) がマーケット型としてサービスを開始したが、法整備や文化の問題から個人間の融資を行うサービスはいずれも撤退、休止 状態を強いられている。その代わりに国内では個人、企業から集めた資金を企業(事業者)に融資して、返済の際の元利、も しくは配当を資金提供者に配分するサービスが一般的になりつつある。これら日本独特とも言えるサービスは貸付型・ファ ンド型とも言われている。長く上記3社のみによるサービスが続いてきたが、国内でクラウドファンディングの機運が高まる のに連れて、匿名投資組合契約型として、2013年にはクラウドバンク、2014年にはラッキーバンク、2015年にはトラストフ ァイナンスが参入して市場に活気が出てきている。2015年には7月にはmaneoがそのシステムを他社に提供する形で、新たに サービスの立ち上げが予定されている。日本では出資ではない融資を行う場合、貸金業法2条1項により、金銭の貸借の媒介 で業として行うものに該当し、貸金業としての登録が必要となる。また、不特定多数からの出資を集めて融資や出資の仲介 を行うことから、匿名組合出資契約を募集するための第2種金融商品取引業の登録も必要になる。サービスの運営会社が審 査をし、借り手個人の格付けを行うが、貸し手個人がどの格付けにいくら、どのくらいの金利で貸付けを行うかを決定する 。格付けを得るために、融資希望者は借りたい額と必要な個人情報を運営会社へ送信することが求められ、運営会社は送ら れてきた個人情報と信用情報機関への問い合わせによって格付けを決定する。貸す側は希望するリスクリターンに見合った 格付けと金利、融資額を自分で決め、貸付けを行う。運営会社はこのように出資された金額を束ね、貸付け希望条件にあっ た借入をマッチングさせる。この形式がマーケット型と呼ばれるのは、貸し手のリスク許容度や希望利回りに応じて金利が タイムリーに変動し、あたかも株式市場のような動きをするからである。もちろん、資金需要者として借り手が貸し手の金 利設定に影響するので、金利がマーケットシステムによって公正に決定される仕組みになっている。融資を希望する側は 借り入れの目的や信用度をコミュニティ内にアピールし,貸し手側はそれらを判断材料として投資・融資先を決定する。 利率はオークション形式、すなわち貸し手側による入札(ビッディング)で決まり、通常、一番安い利率でビッドした貸し 手(一人とは限らない)が貸し付けの権利を得ることができる。貸し手は、借り手の借り入れの目的・信用度・バックグラ ウンド等を考慮して利率を入札するが、その際、名前、住所等の個人情報は一切公開されない。金融市場の相場や一般利率 に左右されないので、優良な借り手であれば低金利で資金調達が可能である一方、高利率のビッドが確定し、貸し手が高い 利息を受け取れる可能性もある。この他にも家族間・友人間での貸借を行う場としても活用されている。サービスの運営会 社が借り手の企業を審査をし金利、金額、期間等を決定する。貸し手はその条件を見てその案件にいくら出資をするかを決 定する。融資希望者は借りたい額と必要な企業情報、事業計画を運営会社へ開示することが求められ、また場合によっては 保証人を立てること、担保の提出を行う。運営会社は上記情報をもとに厳しく審査した上でファンドの形で貸し手に案件を 提出する。日本の文化、実態に合わせて生まれたソーシャルレンディングの新しい型といえる。なお、国内の投資型クラウ ドファンディング事業者について、貸金業法に基づき融資してその利息を収益とする形式を貸付型、同法に基づかず国内・ 海外の事業者などに投資してその配当を収益とする形式をファンド型(株式投資型、狭義の投資型)と呼ぶ分け方が提唱さ れているが、一般に根付いているとは言いがたい。なお、東洋経済では投資型クラウドファンディングを融資(貸付)型、 ファンド型、株式(エクイティ)型に区分している。2005年頃から同様のサービスが始まっている欧米ではソーシャルレン ディングは拡大傾向にあり、金融業界でその地歩を固めつつある。
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38 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:01:41.07 ID:0FERahCv - ある初期状態が与えらればその後の全ての状態量の変化が決定される系を力学系と呼ぶ特に決定論に従う力学系を扱う
ことを強調して決定論的力学系とも呼ばれる。カオス理論において研究されるカオスと呼ばれる複雑で確率的なランダ ムにも見える振る舞いは、この決定論的力学系に従って生み出されるものである。この点を強調するためカオス理論が取り 扱うカオスを決定論的カオス(deterministic chaos)とも呼ぶ。複雑で高次元の系ではなくとも、1次元離散方程式や3次元連 続方程式のような非常に簡単な低次元の系からでも、確率的ランダムに相当する振る舞いが生起される点が決定論的カオス の特徴といえる。この用語は、カオス理論以前から存在するボルツマンにより導入された分子カオスと呼び分ける意味合い もある。ボルツマンによるカオスは確率論的乱雑さを表しており、カオス理論におけるカオスとは概念が異なる。カオス理 論におけるカオスの厳密な定義は研究者ごとに違い、まだ統一的な定義は得られていない。できるだけ簡単な表現でまとめ ると、カオスの定義あるいはカオスと呼ばれるものの特性とは、「非線形な決定論的力学系から発生する、初期値鋭敏性を 持つ、有界な非周期軌道」といえる。また、このような軌道を含む力学系の性質を指してカオスとも呼ぶ。軌道を指してい ることを明らかにする場合はカオス軌道(chaotic orbit)と呼ぶ場合もある。以下に、もう少し詳細に説明する。力学系には 大きく分けて線形力学系と非線形力学系が存在するが、その系からカオスが生起されるためには、系が何らかの非線形性 (nonlinearity)を持つ必要がある]。言い換えると、軌道を生成する系が非線形力学系であることは、その系からカオスが 生起されるための必要条件である。これの十分条件は満たされず、すなわち、非線形力学系であれば必ずカオスが生起する わけではない。一方の線形力学系ではカオスは発生しない。以下に述べる特性と違い、非線形性はカオス軌道自体の特性と いうよりは、カオスを生起する系の特性である。カオスの定義あるいは特性として第一に挙げられるのが初期値鋭敏性(sen sitivity to initial conditions)である]。これは、同じ系であっても初期状態に極僅かな差があれば、時間発展と共に指 数関数的にその差が大きくなる性質である。この性質は軌道不安定性(orbital instability)と言い換えられることもある 。定量的には、この初期値鋭敏性は、リアプノフ指数、コルモゴロフ-シナイエントロピーなどで評価される。初期値鋭敏 性により極めて小さな差も指数関数的に増大していくので、初期値鋭敏性を有する実在の系の将来を数値実験で予測しよう としても、初期状態(入力値)の測定誤差を無くすことはできないので、長時間後の状態の予測は近似的にも不可能となる 。このような性質は長期予測不能性(long-term unpredictability)や予測不可能性(unpredictablity)などとも呼ばれる。 一方で、例えカオスであっても決定論的法則から発生されるものであるため、短時間内であれば有用な予測は可能といえる 。以上のような性質は、標語的にバタフライ効果(butterfly effect)と呼ばれる。初期値鋭敏性、すなわち指数関数的に初 期状態の差が広がる軌道を有する系というだけでは、カオスには該当しない。カオス軌道であるためには軌道がある有界な 範囲に収まる必要がある。このようなカオスの特性は有界性(boundedness)とも呼ばれる。初期値鋭敏性のみではカオスと ならない例として、 {\displaystyle x_{n+1}=ax_{n}} x_{{n+1}}=ax_{n}という単純な等比数列形式の離散力学系の写像が 考えられる。これに対して初期値が異なる2つの軌道を考えると、初期値の差をδとすれば、その差は {\displaystyle a^ {n}\delta } a^{{n}}\delta で表せる。よって、これら2つの軌道は離散時間nが増加すれば指数関数的に差が開いていくの で、系は初期値鋭敏性を有するといえる。しかし、これらの軌道は {\displaystyle x_{n}=x_{0}\ a^{n}} x_{n}=x_{0}\ a ^{{n}}で示される単純な指数関数曲線であり、有界な領域に収まらず発散してしまい、非周期的な軌道も存在しない。カオ スの特徴は、平衡点に収束するわけでもなく、周期的軌道に漸近するわけでもなく、非周期的な軌道を取る点である。 持たないことからカオスには分類されない。
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39 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:01:56.73 ID:0FERahCv - 2007年に提唱を開始した,サード・リアリティ,という概念を説明する文章の中で、都市や国家単位の規模で、
成立する集合知同士がインターネットで相互接続され、統合して処理が行えるようになる結果として、地球全体として成立 しつつある知性として巨大知が説明されている。環境を観測するセンサーや各種コンテンツ配信システムのインターネット への接続により、産業、医療、気象、交通、農業、芸術作品等の様々な情報がインターネット上に蓄積され、不特定多数の 人間により改変が行われることで、人類が得た多様な知識が地球全体で統合処理されるようになる結果として、地球全体を 覆う程に巨大かつ高度な知性が成立する。この巨大知の成立の結果として、従来は思い付けなかったような新しい発想が生 まれやすくなり、文明の進歩も大幅に加速されることになる。1995年にインターネットが民間に開放され、全世界的にイン ターネットの民間への普及が始まった。しかし、当時唯一のインターネット接続端末であったパソコンは性能が低く、極め て高価であり、普及率もそこまで高くはなかった。1990年代後半は、一般家庭においてはダイヤルアップ接続を介したイン ターネットの利用が主流であった。アナログの音声信号を伝達する電話回線を転用した56kbps程度の帯域の回線が主流であ り、従量制で課金され、サーバからのデータ取得においても長時間待つ必要があった。企業や団体のWebサイト閲覧や電子 掲示板の利用や電子メール送受信が主たる利用方法であり、不特定多数の個人間では電子掲示板やネットニュースやチャッ トのような、知識として統合されない簡易的なメッセージ共有のみが行われていた。従って、典型的な巨大知と言えるWik iの長時間の編集には高額な接続料金が掛かり、芸術的な文化の発展を支えるマルチメディアコンテンツは、インターネッ ト接続端末の処理能力とストレージの容量と回線の帯域の制約が厳しく、作成,集積,流通,消費共に難しい状況であったと 言える。このことから、1990年代のインターネットでは巨大知は成立していなかったと推測できる。2000年から2004年ま での間に高速回線によるインターネットへの常時接続サービスが一般家庭にも広く普及した。2004年には個人が世界中に 向けて情報発信を行う事が可能になった事を受けて、Web 2.0という概念も提唱された。2005年から2006年に掛けてYouTub eを筆頭とする動画配信サイトやTwitterやfacebook等の大手SNSもサービスを開始した。これにより、2006年以降はインタ ーネット上で非常に活発なコミュニケーションが行われるようになった。従って、遅くとも2006年にはインターネット上 で巨大知が成立する条件が揃ったと考えられる。2006年以降は、都市や国家単位で得られる情報の統合処理では不可能で あったような非常に高度な水準の知識が入手可能になっている。2008年頃から本格的に始まったスマートフォンの普及に より、個人の認識や行動に関する情報のインターネットへのアップロードが大規模に行われるようになった。2000年代中 頃に起きた巨大知の成立は、社会構造に非常に大きな変化をもたらした。この変化により、1990年代の段階では全く想像 出来ない程に、人々の生活様式も大きく変化して行った。例えば、Wikiの登場により、膨大な数の人間により広範な分野 の知識がインターネット上にアップロードされ、集約された形で共有されるようになった。また、ソフトウェアのソース コードを世界中に開示して開発を進めることで、インターネットを介して膨大な数の人間がソフトウェア開発に参加する ことが可能になり、従来から存在する商用製品を置き換え可能なほどに高性能なソフトウェアが無償で提供されるように なった。さらに、音楽や映画と言った芸術においても、国籍や分野を問わず他者の作品に影響を受けて新たな創作が行わ れる創作の連鎖が毎日のように起こるようになった。毎日のようにコンテンツがアップロードされ、瞬時に世界中に共有 されるようになったため、次々と新しいアイデアが生まれ、流行の激しい変化も起きるようになった。インターネットに よって遠隔地とのコミュニケーションが容易になったため、現実世界において専門分野や居住地の垣根を超えて様々な人 々が集うコミュニティが容易に形成されるようになった。特に、共通の志を持つ仲間を募ることが気軽に出来るようにな ったため、様々なテーマを持った勉強会の開催数やシェアハウスの件数が急激に増加している。
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40 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:02:11.22 ID:0FERahCv - ハミルトンが提唱した血縁選択説のルーツは、ロナルド・フィッシャーとJ・B・S・ホールデンの示したアイディアまで遡
ることができる。しかしハミルトンが理論的な枠組みを完成させたことで、この説は進化生物学に大きな転換をもたらした 本来はアリやハチなど社会性生物に関する理論だったが、ジョージ・ウィリアムスやE.O.ウィルソン、リチャード・ドーキ ンスらによって、より幅広く、様々な生物の社会性の進化に適用できる理論であることが示された 血縁淘汰説、ESS理論などの考え方を、一部の昆虫だけでなく様々な生物の形質に適用できる一般的な理論だと考え、更に 先鋭なスタイルで表現したのが、リチャード・ドーキンスである。彼は、1976年に発表した「利己的な遺伝子」や「延長さ れた表現型」(1982年)などの著作でこの考え方を広めた。この考え方は遺伝子中心視点主義と呼ばれるようになった( 日本では利己的遺伝子論と呼ばれることが多い)。 自然選択の実質的な単位は、それが固体であれ群れであれ、たとえ何であっても常に利己的である。自己の適応度を高め、 他者の適応度を低めるような性質を持っていなければ自然選択によって排除されるためである。先の血縁淘汰説があきらか にしたのは自然選択で選ばれている実質的な単位は遺伝子だということである。遺伝子は細胞の機能を介して生物の形質を 作り上げる。生物たちは、その機能をもって競争し、競争に勝ったものだけがその子孫をのこし、それが進化をもたらす。 ドーキンスは遺伝子が自分の作った生物個体という名の生存機械を使ってサバイバルゲームを演じている、と表現した。 この論理は生物学だけでなく社会一般に大きな衝撃を持って迎えられた。その表現のスタイルは、ウィルソン「社会生物 学」の大胆な展望とともに激しい論争を引き起こした。特に利己的遺伝子という比喩表現は広く誤解を受けた。利己的遺 伝子とは、遺伝子が利己的な考えを持っているという意味ではなく、また個体が常に自分勝手だという意味でもない。ただ 単に自然選択の単位が遺伝子であることを表しているに過ぎない。1960年代から始まった社会生物学は急激にその論旨を展 開していったが、現在では遺伝子中心視点主義は、広く受け入れられている。 このような新しい観点は、動物の行動の研究にもまったく新しい局面を切り開いた。 それまでの動物の行動に対する研究 は、その習性が種の繁栄にとってどのように役にたつかという観点から論じられ、同じ種であればどの個体も基本的には同 じ行動をとるものと考えられてきた。 しかし、血縁淘汰説が同種の個体同士は必ずしも協力しているのではなく、むしろ 最も激しく生存競争をしている競争相手であると示したことにより、個体の行動が個々の個体にとってどのような意味が あるかが考えられるようになった。たとえば性淘汰説では雄と雌ではそれぞれに最適な戦略は違うのではないか、といった 分析が、なされるようになった。そして、これまで見逃されて来た多くの現象が明らかになってきた。 ある種のハチでは、地下で蛹になり、羽化して地上にでる。この時、雄が先に羽化して地面に縄張りを作る。そしてその縄 張り内から羽化してきた雌バチと交尾する。ほとんどの雌バチは地下から出たところで雄バチに捕まる. しかし、雄バチ の目を逃れる雌バチが少数ながらおり、彼女らは次に花を訪れる。そこには先の縄張り作りの競争に負け、縄張りを作れ ない雄バチがいて、彼らは花に縄張りを作っている。つまり地面に縄張りを作れない場合は、代わりに雌の2番目の訪問 先である花で、縄張りを作るという、代替作戦を持っているわけである。 このように、ほとんど融通が効かないとされてきた本能行動の中にも、主たる戦術が失敗したときの代替案が存在する事 があきらかになってきた。このような行動はそれまでは例外やエラーとして無視されていたが、行動の意味を個体の視点 から考えることで、例外ではなく有意義な行動で、あることが発見されたのである。 社会性動物の定義はそれまでは漠然としていた。しかし働きバチのような生殖をしない階級の重要性が認められた事で、 社会性昆虫に見られるような繁殖をしない階級の存在するものを真社会性生物というようになった。真社会性を生む仕組 みの解明は、それ以外の真社会性動物発見への方向性を示し、アブラムシや哺乳類ではハダカデバネズミ、甲殻類ではテッ ポウエビから、真社会性のものが発見された。
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41 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/21(土) 18:02:25.69 ID:0FERahCv - 周囲の環境に適応しているものが生き残り、適応していないものは淘汰されるという過程によって生物の進化が起こると
いうチャールズ・ダーウィンの自然選択説に基づく進化論は、生物学をはじめ他の学問分野にも大きな影響をあたえた。 ところが、個体を単位とする自然選択説では説明が難しい動物の行動が、広く存在している。例えば、ミツバチでは、女王 バチが産んだ卵から成長した雌バチは、自分では卵を産むことなく、女王を助けて自分の妹たちの世話を焼いて一生を過ご す。つまり、自分の繁殖の機会を棄てて女王の繁殖を助ける。またシマウマの群れでは見張り役がいて、ライオンの接近を 鳴き声や身振りで群れに知らせるという。そのような目立つ行動を取ることは、まず敵の注意を引くので危険であると考え られる。それに、敵を見つけたら、黙って逃げ出した方が早く逃れられるし、他の仲間を身代わりにすることもできるであ ろうとも思われる。このように、自分を犠牲にして他者を助ける行動を利他的行動とよび、その例は多い。 このような行動を説明するのにまず提唱されたのが群選択説であった。これは生物個体の行動は群れや種の利益を最大化す るようにできており、生存競争は群れの間で起きると考えられた。この説明は「種の保存のため」というフレーズと共に、 利他行動の説明として受け容れやすかったため広まった。しかしこの説ではどうやって自己を犠牲にし種全体の利益を計る 性質が受け継がれていくかを厳密には説明できなかった。 すなわち利他的行動を取る個体の集団の中に、突然変異や他の群れからの移住によって利己的な個体が発生したと仮定する 。たとえば見張りをしても、敵の接近を仲間に知らせないで逃げる個体が出現するというようなことである。もしそうなれ ば、そのような個体の方が死亡率は低くなるだろうから、自然選択の結果、真っ先に逃げるような形質が残るはずである。 働きバチの例はそれより深刻で、働きバチはそもそも繁殖をしない。親が繁殖をして、親の形質が伝わった子孫が残るのが 自然選択の前提なので、この場合、その前提が成立しない。繁殖をしないのだから、その形質を持つ子孫が残るはずがない のである。ダーウィン自身はこの問題に、アリやハチの場合は家族単位で選択が働くのだろうと答え、後の議論の先き取り をしていたが、そのメカニズムを説明することができなかったため場当たり的な説明だと批判を受けた。[誰?] 1964年、イギリスの生物学者、ウィリアム・ドナルド・ハミルトンが血縁淘汰説を発表する。一般にこの説が発表された時 点が社会生物学の始まりと考えられている。社会生物学という分野の名称は、この血縁淘汰説などを援用して書かれたエド ワード・オズボーン・ウィルソン の「社会生物学」(1975年)によって広く認知されるようになった。 血縁淘汰説は、まず自然選択で選択されるのは個体ではなく、遺伝子のもたらす表現型である、ということを明らかにする ことから始まる。そして、自然選択を遺伝子の側から見直したのである。 自分の子を残すと言うことは、自分の遺伝子を残すと言うことである。これを遺伝子の側から見れば、自分と同じ遺伝子が 入った個体が残るという言い方になるだろう。つまり、ある遺伝子が表す表現形が、たとえば体色が目立たなくて敵に見つ からないなど、結果としてその遺伝子を持つ個体を増やすように働くなら、その遺伝子は自然選択によって残ることになる 。遺伝子には行動に影響を与えるものもあるだろう。その場合、行動も他の形質と同じく、自然選択を受ける表現型として 捉えられる。 そこで、遺伝子をより多く残すにはどうすればいいか。人間と同じ繁殖様式の動物では、親から見れば、子供には自分の半 分の遺伝子が入っている。これを遺伝子側から見ると、親にある任意の遺伝子が、その子に含まれる確率は2分の1である 。兄弟ではどうかというと、兄弟間で片方の持つ任意の遺伝子がもう片方に含まれる確率は、親子間同様2分の1である。 そうすると、自分の持つ遺伝子を後世に残す方法として、子を産まなくても、兄弟を増やせばいいという選択も成り立つ。 いま、ここに自分は生殖に参加せず、母親を助けて兄弟を育てるという行動を取らせる遺伝子があったとする。そして、そ の行動を取ることによって、もし自分が単独で繁殖した場合に手に入る子孫以上の兄弟が手に入るとしたら、この遺伝子は 兄弟を通じて自然選択に勝つことができる。
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