- アルバム全曲レビュースレ in 邦楽版29th
384 :名無しのエリー[]:2021/05/30(日) 22:16:35.38 ID:y0PTvJAa0 - くるり / thaw
1.心のなかの悪魔 ★★★★☆ 「魂のゆくえ」期のアウトテイク。 これぞくるりといった淡々と進む叙情感たっぷりな名曲。「ハイウェイ」「さよならリグレット」路線みたいな。 派手さはないけど、訴えかけてくるものがあって惹きつけられる。 2.鍋の中のつみれ ★★☆ 「魂のゆくえ」期のアウトテイク。 前曲と同じく、構成はごくシンプルな淡々とした曲。 タイトル通りつみれ目線で展開する歌詞は面白いけど、総合的に見れば前曲のほうが上だと思う。 3.ippo ★★★ 「坩堝の電圧」期のアウトテイク。 シングルひとつ残さずに辞めていった元メンバー・田中裕司のドラムがここで初蔵出し。 ただ、肝心の曲調がカントリー調だったので結局普通にドラムを叩いている様子は伺えなかった…曲自体は良かった。 4.チェリーパイ ★★★☆ 「TEAM ROCK」期のアウトテイク。 今作に入っているこの時期の没曲の中では一番まともな構成というか、唯一ちゃんとしたボーカルがある。 そうはいっても曲自体はだいぶ前衛的。全体的に漂う不穏な空気はどっちかというと「図鑑」期に近い。 5.evergreen ★★☆ 「坩堝の電圧」期のアウトテイク。この曲だけ新しくボーカルを録り直したそう。 若干吉田省念の作風に引っ張られたような和やかな一曲。ちょうどこの頃担当していたチオビタのCMソングとかに使われてても違和感ないと思う。 最後に向かってだんだん演奏が忙しなくなっていくのがひねくれ者のくるりらしいといえばらしい。 6.Hotel Evropa ★★☆ 「ワルツを踊れ」期のアウトテイク。 ベース担当の佐藤が作曲した1分にも満たないインスト。 曲というよりは街並みの音をサンプリングしたテープコラージュみたいだ。
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385 :名無しのエリー[]:2021/05/30(日) 22:17:05.05 ID:y0PTvJAa0 - 7.ダンスミュージック ★★★☆
「TEAM ROCK」期のアウトテイク。 これも佐藤作曲のインスト。初期くるり特有の実験精神が炸裂している文字通りのダンスミュージック。 なんだかんだ「TEAM ROCK」自体実験的なアルバムだったんで案外この曲が入っててもおかしくなかったかも。 8.怒りのぶるうす ★★★ 「ジョゼと虎と魚たち」「アンテナ」期のアウトテイク。 タイトル通りブルージーで重ためなロック。サビはまさかの叫び声オンリー。 しかし飛び道具感も否めず、そこまでリピートするような曲でもない。 9.Giant Fish ★★★ 「ファンデリア」「さよならストレンジャー」期のアウトテイク。 初期くるりのイメージをそのまま投影したような曲。 「続きのない夢の中」「窓」が好きな人はこの曲も気に入ると思う。 10.さっきの女の子 ★★★ 「NIKKI」期のアウトテイク。 跳ねたリズムのロックンロール。サウンドが三枚目。 この明るさからはメディアにたくさん出てきて一番世間に素直だった頃のくるりの根幹が垣間見える。 11.人間通 ★★★★☆ 「TEAM ROCK」期のアウトテイク。 くるり全般を見渡してもなお一番意味のわからない怪曲。ただこういう曲が結構ツボだったり。 わちゃわちゃしたサウンドやエネルギッシュな最後のマーチの箇所は特に気に入った。
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386 :名無しのエリー[]:2021/05/30(日) 22:17:40.19 ID:y0PTvJAa0 - 12.Only You ★★★★★
「ファンデリア」「さよならストレンジャー」期のアウトテイク。ここからCDのみの収録。 「トランスファー」と「ミレニアム」を合わせたみたいな明るくも暗くもないロック。 個人的にこういう路線が好みなので、この曲があるだけでもCDを借りてきてよかったと思える。 13.Wonderful Life ★★★ 「坩堝の電圧」期のアウトテイク。元メンバー・吉田省念氏作曲の牧歌的なナンバー。 くるり加入前の彼の作風に近い気持ちよくうたた寝できそうなゆったりした曲調。 と思いきや最後でいきなりドラムが入ってロックロックし始めるのには普通にビックリした。 14.Midnight Train (has gone) ★★☆ 「NIKKI」期のアウトテイク。 6分にわたって淡々と(といってもこっちは「ラブソング」「ガロン」に近い雰囲気)進行する浮遊感ある一曲。 なんかこの曲だけ歌声が妙に細いので、曲調もあいまってフィッシュマンズの「LONG SEASON」を思い起こさせられる。 15.ヘウレーカ! ★★★☆ 30秒に満たないNHKの教育番組用のインスト。歌詞も「へウレーカ」しかない。 NHKに献上した曲だけあって今作の中では一番わかりやすい曲調。改めてくるりの職人気質っぷりを感じる。 アルバムの締めにはあんまり似つかわしくないけど、他に締めに使えそうな曲がないのでここに置いてあるのは妥当か。 総評 コロナウイルスによるライブ自粛を受けて急遽発売されたくるりの没曲・アウトテイク集。 元々が没曲だったりするので地味だったり実験的な曲が多い。(しかしくるり自身(特に最近の)がそもそも地味な曲・実験的な曲を多く出しているので、もしコロナがなくてこれが普通の新作として世に出ていてもそんなに違和感はなかった気がする。) そんなわけで今作は完全に聴かせるモードに入った一作。コンセプトにしても完全にファンアイテムで、間違ってもライトリスナーが聴くような作品ではない。 しかしくるりの長所を前面に引き出した「心のなかの悪魔」や今のくるりにはもう書けない曲であろう「Only You」、ベストの初回盤にしか入ってなかった8~11などのレア曲も収録されているので、逆にファンであれば聴く価値は大いにある。 コロナが出てきてよかったとは全く思わないが、それをきっかけにこのアルバムが世に出てきたのは本当によかったと思う。
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