- アルバム全曲レビュースレ in 邦楽版29th
113 :名無しのエリー[]:2019/12/30(月) 12:58:56.67 ID:TDIe9rhu0 - 2005年11月23日リリース
堀込高樹『Home Ground』 絶交 ★★★★★ いきなり『絶交』という仰々しいタイトル。 しかし裏腹に曲は爽やかで、イントロのギターはなんだかスピッツみたい。 歌詞がとにかく良く、新しい街での新しい生活に、後ろめたいところはありながらも前向きに生きようとする男を描いている。 『絶好』とのダブルミーニングかもしれない。 泣きのストリングスが爽やかなアレンジに一匙、哀愁を加えている。 「遠い昔 死んだ星の放った光が僕の胸に届く 今はまさに孤独の季節」 冬来たりなば ★★★★★ クラムボンの原田郁子さんがコーラスで参加している綺麗なバラード。 J-POPではあまり取り上げられない正月ソングである。 とにかく正月の風景描写、人々の生活を丁寧に描いており、これがまたキラキラしたサウンドにドンピシャなのである。 「正月のこの街 いつでも晴れだね」「日陰の雪 解けだして凍てついて繰り返して春が」 名曲。
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114 :名無しのエリー[]:2019/12/30(月) 13:00:32.29 ID:TDIe9rhu0 - クレゾールの魔法 ★★★
スティーリー・ダンのようなアダルティな雰囲気を纏った曲。 にもかかわらず、その内容は風邪を引いて診察を受ける女性に惚れてしまった男の歌である。 同じ症状で思わず喜んでしまったり、「純白のチュチュよりもマスクが似合うね」など、 兄の若干アブノーマルな変態性が発揮されている。 あと、「小さく「はい」と言う」のところの「はい」の歌い方が気持ち悪い、というか不気味。 パレードはなぜ急ぐ ★★★☆ モダンなダンス(?)チューン。フルートの音色が印象的である。 静かな曲だが、サウンドだけで『冬』の雰囲気を味わえる。 一方で、歌詞はあまり冬っぽくはない。というか抽象的すぎて、イマイチ曲のテーマがぼやける。 良い曲だが、ちょっと長すぎるかな。あと兄のボーカルが不気味。 Soft focus ★★★★ これも静かな曲。冬の人々の様子や、景色を「beautiful!」と高らかに皮肉っている。個人的にはかなり好きな曲。 なんか全体的にピコピコしているが、メロディ、サウンドは兄らしく洗練されている。 「貝殻ひらいて耳を隠して 遠い日の潮騒を懐かしむように聞く君の声」 というフレーズが素晴らしい。
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115 :名無しのエリー[]:2019/12/30(月) 13:02:45.24 ID:TDIe9rhu0 - 涙のマネーロンダリング ★★★★
ここでいきなり、ホーンアレンジと重苦しいギターリフが効いたロックチューンに。 サビメロがカッコいい。コーラスとの掛け合いもグッド。 歌詞は、ハイエースでワンカップのパーティーをしているあたり、おそらくガテン系の仕事で稼いだ金を、恋人に捧げる歌。 「この想いはプライスレス」「俺の愛をペイオフしないで」など、タイトルに掛かるワードを選んでいて面白い。 AIR GUITAR ★★★ インスト。タイトルのとおり、ギターの音を全面に押し出したロックなナンバー。 と思いきや、途中から女性ボーカルによる謎の中華風なメロディのサンプリング音声が流れてきてなんともカオスな展開に。 わちゃわちゃしていて楽しいが、ちょっと長い。 雪んこ ★★★★ 前曲から一転、ピアノがメインのスローロックへ。 前奏が長いので、最初、これもインストかな?とか思っていたらいきなりボーカルが入ってきた。 ピアノとギターの優しい音色が特徴的な、まるで童謡のような楽曲だが、 ところどころでメロディが難解になるので、これは童謡じゃあないなと思った。 あと、数年後に発表されるセレーネのセレナーデにちょっと似てる。
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116 :名無しのエリー[]:2019/12/30(月) 13:04:08.87 ID:TDIe9rhu0 - 一度きりの上映 ★★★★★
実質的なラストを飾るのは、『休日ダイヤ』を彷彿とさせるスローで軽快なポップナンバー。 とにかく歌詞が素晴らしい。 移り変わっていく冬の景色、廃れた映画館、そしてヒトの人生それらを『一度きりの上映』と表してしまうセンス。 「知られざる傑作かもしれない」と歌っているが、ラストの描写がちょっぴり切ない。 静かな大名曲。 Epilogue ~ 街から町へ ~ かなり短めのインスト(?)なので評価はなし。 『パレードはなぜ急ぐ』のリズムトラックに街のSEと、兄のファルセットが重なる曲。 まあ、これがあっても無くても名盤には変わりなしなので、特に気にはならなかった。 余談だが、初めてこのアルバムを聴いたのが車の中だったので、クラクションのSEにビビった。 総評 ★★★★★ 『キリンジ』の兄、堀込高樹によるソロアルバム。 『冬』をテーマにしたアルバムで、メロディ、サウンドは兄らしく洗練されているが、今作で特に素晴らしいのは冬にしか見られない美しい景色や、正月の人々の暮らしを丁寧に切り取った歌詞だろう。 サウンドとの相性も抜群で、全てにおいて完成度が高いと言って良いかもしれない。 若干鼻にかかった兄のボーカルですらこの作品にはピッタリ合っている。この時期にぜひ聴いて欲しい大名盤である。
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